厚生労働省は二十日、全国有料老人ホーム・特定施設担当者会議を開催し、四月からの制度改正の全体像について説明した。「新しい法律に匹敵するほど大幅な見直し」になったとした上で、高齢期の多様な住まいの場を広げるためであり、住所地特例も拡大されており、自治体が参入抑制的にならないよう理解を求めた。また、定員が九人以下の施設でも有料ホームとなることになったことから、まずは既存の施設の届出を徹底することを要請した。
四月からの老人福祉法の改正で、有料老人ホームは、定義が変更になり対象となる施設が拡大した。従来は定員一〇人以上、食事サービスの提供が必要だったが、改正後は定員一人以上からとなり、食事、介護、家事、健康管理のいずれかのサービスを提供すれば有料老人ホームに該当する。入居金の保全措置、情報開示、帳簿の保存が義務化され、都道府県の立ち入り検査ができるようにするなど規制も強化された。さらに、行政指導の設置運営指導指針では、九○日以内に退去した場合に支払った費用を全額返還するクーリングオフの導入も求められている。(以下略)
「多様な住まい」7月から 中央医療保険協議会は二十一日、七月から介護保険の介護付き有料老人ホームなど特定施設や認知症グループホームなど「多様な住まい」に在宅医療を拡大することを了承した。争点となっていた、同一グループ内の病院から有料老人ホームやグループホームなどへの往診の算定制限を解除することについては、療養病床をこれらの居住施設に転換した場合と条件付きで容認された。
これにより、日在宅療養支援診療所の医師が行う特定施設への往診について「在宅時医学総合管理料(在医総管、週二回以上の定期的往診など)」が算定可=現行は末期がん患者だけ、を拡大、月在宅療養支援診療所の医師が行う外部サービス利用型特定施設の往診について「在医総管」と「在宅患者訪問診療料」(往診の都度算定)が算定可、火在宅療養支援診療所の医師が行う往診について、特別な関係のある有料老人ホーム(非特定施設)や認知症グループホームなどでも「在医総管」と「在宅末期医療総合診療料」が算定可、在宅療養支援診療所と同等の体制をもつ病院であって、療養病床をこれらの居住系施設に転換するなどの措置を講じた場合は「在医総管」が算定可=現行は算定不可、が可能となる。病院からの転換は、過去でも実績があれば可能とされた。(以下略)
- 「メニュー選択式」で予防に効果
- 京都府モデル事業報告書
京都府はこのほど、デイサービスで実施する介護予防のアクティビティのあり方について、モデル事業を行った結果を報告書にまとめた。アクティビティは運動器の機能向上など他の予防メニューのようにマニュアルはなく、予防の効果検証の方法なども確立されていない。府では、集団で一つのメニューに取り組むのではなく、なるべく多くのメニューを用意し、利用者自身に選択してもらいながら少人数単位で活動する方法を提示。府内の三つの事業所で試行的に取り組んだところ、利用者の活動意欲や心身機能が向上し、自宅でも活動を継続する人も増えたとしている。府では今後「京都式えらべるデイサービス」として多くの事業所に取り組んでもらいたい考えだ。
モデル事業は昨年十一月から二月にかけて府内の三カ所のデイサービス事業所で実施した。利用者は一六九人。ゲーム・健康、ものづくり、園芸などのメニューの中から希望する活動を選んでもらい、少人数のグループで実施した。グループ活動には地域の元気高齢者にボランティアとして参加してもらい、職員の負担を軽減するようにした。(以下略)
日本スウェーデン福祉研究所(JSCI、東京都港区、中込敏寛代表取締役)はこのほど、看護・介護職向けの認知症ケア教育機関であるスウェーデンの王立財団シルヴィアホームと業務提携し、同ホームの教育プログラムを独占的に日本で提供する研修事業をスタートさせる。薬物を使わず、独特のマッサージで認知症の周辺症状を和らげる「タクティールケア」など、同ホームが保有する全ての教育プログラムを海外で受講できるのは初めてという。専門職から在宅で介護をしている家族、学生など幅広い層を対象に研修コースを設定し、拠点となる都内の研修センターで定期的に開催していくほか、介護施設に直接インストラクターの派遣事業なども行う。スウェーデン式の認知症ケアの普及を目指す。シルヴィアホームは、認知症患者へのデイケアを行う一方、職員や家族に対して認知症ケア教育も行う専門機関。認知症患者のQOLを、身体・精神面だけでなく、社会的な存在や役割など多面的な視点から向上させることを理念とした緩和ケアを提供しているのが特徴だ。(以下略)
日本在宅介護協会(=在宅協、寺田明彦会長)は二十日、東京都内で二〇〇六年度総会を開催した。寺田会長はあいさつで、法改正後の事業者への影響について実態調査を行うほか、ヘルパーの移動賃金の問題について重点的に取り組むと発表した。厚生労働省は○四年に直接のサービス提供時間だけでなく、移動時間や業務報告書作成時間なども労働時間に該当するとの見解を通達で示しており、現在この通達の内容を遵守しているかどうか、事業者に対してヒアリングを行っている。しかし、四月から介護予防が導入された上、生活援助の報酬設定が一時間で頭打ちになったことにより、事業経営は厳しさを増す一方だ。「国の報酬設定と連動する問題」として問題提起を行っていく方針だ。(以下略)