後期高齢者医療制度のスタートに伴い創設された「後期高齢者診療料」について、茨城県、山形県の医師会が相次いで算定しない方針を決定し、会員に通知した。月6千円の包括払いで、慢性疾患のある高齢者を計画的に診療した場合に算定できる。「高齢者にふさわしい医療」の目玉でもあるが、1つの医療機関しか算定できないことから「患者の囲い込みが起きかねない」「フリーアクセスの阻害につながる」として反発している。将来的には、患者があらかじめ登録した医療機関を通さなければ他の機関を受診できなくなる「登録医制度」に移行するのではないかという警戒は強い。全国的にもどのくらいの診療所が算定するかは未知数だ。(3面に関連記事)(もっと読む)
厚生労働省は3月31日、新年度からの「地域生活支援事業の実施について」を都道府県宛に通知した。介護予防の特定高齢者把握の対象者から「要支援者」を除外、生活機能評価による対象者の決定方法の変更などが大きな改正点だ。新年度から都道府県適正化計画に基づく「適正化元年」となることから認定調査チェック、ケアプランの点検など5つの事業が主要事業に位置付けられた。
老人保健法が4月から高齢者医療確保法に全面改正されたのに伴い、要介護予備軍のスクリーニングとして導入されていた「生活機能評価」が介護保険法に基づく事業に位置付け直された。費用は地域支援事業交付金をあてる。(以下略)
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- 野中医院院長 野中 博氏 患者に聞くことが大事「医療のあり方」理解を
- 東京大学大学院教授 日本老年医学会理事長 大内 尉義氏 担う「指揮者」の役割 流れ変える一歩を評価
4月から動き出した後期高齢者医療制度。スタート早々保険料徴収などに絡んだ批判や「6千円までしか医療が受けられない」といった誤報が飛び交っているが、高齢者にふさわしい医療のあり方が一定程度取り入れられたと評価する声もある。それぞれの立場で制度創設に関わった2人の識者に聞いた。
野中医院院長 野中 博氏
患者に聞くことが大事「医療のあり方」理解を
東京大学大学院教授
日本老年医学会理事長 大内 尉義氏
担う「指揮者」の役割
流れ変える一歩を評価(以下略)
- 今井医療科学院部長らのチーム
- 日本初、基準設けて選別
今井博久・国立保健医療科学院疫学部部長などからなる研究チームは1日、高齢者への使用が不適切な薬剤をまとめたリストを作成した。若年者に比べて薬剤の副作用の影響を受けやすい高齢者の特徴を踏まえ、心不全や転倒などのリスクのある薬を基準を設けて整理したものだ。日本で高齢者に限定した不適切な薬剤のリストは初めてという。介護現場でも活用してほしいとしている。
「抗不安剤の長期作用型ベンゾジアゼピン系薬剤は、高齢者における半減期が長く、使用すると転倒骨折の危険性が高くなる」、「H2ブロッカーの含まれる胃腸薬は、せん妄を引き起こす恐れが高い」――。 作成されたリストには、高齢者が使用を避けることが望ましい薬剤70種類が列挙されている。加えて、認知症や心疾患、排尿障害など病態別に25種類の薬剤も紹介されている。
「高齢者では、若年者と違って薬剤の代謝・排泄機能が低下するなど薬物の副作用リスクが高い傾向にある。それにもかかわらず、これまで日本では高齢者を対象にした薬物処方の基準についての研究はほとんどなされてこなかった」
今井同科学院疫学部部長はリスト作成の理由を話す。既に欧米では、病院や製薬会社への薬剤事故による訴訟対策の観点からも高齢者に使用が不適切な薬剤のリストが作成され、広まっている現状がある。アメリカでは患者の4割程度が薬物の有害事象を体験しており、薬剤関連の死因が全体の5番目という調査結果もあるという。(以下略)
在日外国人向けの国際通信事業や在日フィリピン人を対象にしたヘルパー養成、派遣・紹介業を行っているアイ・ピー・エス(東京都中央区、宮下幸治社長、0120・933・587)は、4月から在日比人向けのヘルパー講座を名古屋市でもスタートさせた。東京で開講している養成講座卒業生の派遣事業が好評だったことから、東海地域での養成・派遣事業にも力を入れていく考えだ。
同社は、1991年設立。在日外国人向け国際通信事業や通信販売事業が事業の柱。2005年には在日比人を主な対象としたヘルパー2級講座を開講し、06年からは、在日外国人介護職の人材派遣事業もスタートさせていた。この2年で卒業生は約1千人。有料老人ホームを中心に470人が就業したという。
派遣事業では、24時間対応で母国語を話せる電話オペレーターを置き派遣社員の悩み相談に応じるなどの体制をとっており、定着率も「日本人よりも高いくらい」(宮下社長)だ。在日外国人が苦労する読み書きについても養成時間にプラスして介護記録の付け方を教えるなどフォロー体制にも力を入れている。
(以下略)