政府・与党が10月30日に発表した「追加経済対策」には、介護人材確保のため来年度からの介護報酬を3%引き上げる方針が盛り込まれた。高齢者、現役世代の保険料の激変緩和のために補正で1200億円程度の予算を確保、基金を設置する。介護報酬に連動して設定されている障害者自立支援法の報酬単価も引き上げられる方向だ。ただ、社会保障費の抑制は既定路線通りで、介護報酬の3%の引き上げに必要になる国庫負担の約500億円については、現状では財源の目途がついていない。実現すれば、例年にも増して厳しい予算編成になりそうだ。 具体策の目玉はバラマキ批判の強い「総額2兆円を限度」とする生活支援定額給付金だ。介護・福祉関連では、介護報酬の3%の引き上げ、介護人材の10万人増強、出産・子育て支援の拡充、障害者支援の拡充などがある。 このうち、介護報酬の引き上げについては、「介護従事者の処遇改善」のためと明記した。今年の通常国会に民主党はいわゆる「給与2万円引き上げ法案」を提出、総選挙のマニフェストにも引き続き盛り込んだ。民主党案では、半数の事業所の常勤職員80〜90万人を対象に約1千億円規模だったのに対し、政府・与党案はその2倍の規模。選挙での争点化を避ける意味合いが濃厚といえる。 高齢化による給付費の自然増も別途見込まれており、全体の引き上げ幅は3%を超えることになる。過去2回がすべてマイナス改定だった介護保険制度では初の引き上げになる。
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