コムスン事件を受けて開かれていた「介護事業運営の適正化に関する有識者会議」(座長=遠藤久夫学習院大学教授)は3日、報告書をまとめた。コムスンのように都道府県の枠を超えて広域的に事業展開している場合には直接サービスを提供していない本部や本社などに行政が立ち入り調査したり、改善命令などができるよう求めている。一方、一つの事業所が取り消し処分になると系列のほかの事業所についても新規指定・更新ができなくなる「連座制」については、一律に判断するのではなく、組織的な不正だったかどうかを確認した上で、都道府県、市町村が指定・更新の可否を判断できるよう現行の仕組みを緩和することを提案している。厚生労働省はこれを受けて、介護保険法の改正案を時期通常国会に提出することを目指す方針だ。 現行の介護保険の仕組みは、サービスを提供している事業所を単位としており、事業所の指定を行う都道府県の範囲を超えた全国展開などは想定外だ。コムスンの事件では、指令塔である本社、本部に行政が立ち入り調査はできない。また、処分前に事業廃止届を出したり、グループ会社に事業譲渡をすれば処分を免れることができることもわかった。有識者会議では、事件が教えてくれた法の隙間をどう埋めていくかと、今回、初の適用となった「連座」など新しい事後規制ルールが適正だったかの2点が問われた。利用者も巻き添えになるにもかかわらず、法律上、何の手当てがないことも今回明らかになった点だ。連座については、「行為と制裁の均衡という点から妥当か」と厳しい意見も委員の中にはあった。ヒアリングでは事業者団体などから指導・監査の判断基準が曖昧などそもそもの行政指導のあり方にも不満が強く寄せられており、こうした意見にも配慮したかたちだ。(以下略) |