「利用者の生活を支える基本的なサービス」と言われながら、実際は「家事手伝いの延長」と見られ、常に給付抑制のターゲットとされてきた訪問介護の生活援助。現在進行中の介護保険制度改正の議論では、この生活援助を保険給付から外して、地域のボランティア団体などに委ねるといった選択肢まで飛び出しているが、現場からは「生活援助はヘルパーの専門性が最も問われるサービス」と反対する声が大きくなっている。利用者の生活にリズムや、心の安定、自信を取り戻す「効果」にしっかり目を向けるよう求めている。
「今日は味噌汁の具は何にしますか」
「さつまいもがあるので、それを」
東京・大田区のNさん宅。お昼どき、台所でのヘルパーとのやりとりだ。
Nさんは92歳の女性。要介護1。週2回の訪問介護で、こうしてヘルパーと一緒に調理をする。
この日は、にんじんとじゃがいもの皮むきを担当。「私がやると時間がかかっちゃう」と言いながらも包丁で、じゃがいもの芽を一つひとつ丁寧に取っていく。1人で1食分すべて準備するのは難しいが、ヘルパーと一緒ならできる範囲で取り組むことができる。(以下略)
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