シルバー新報 2008年5月30日号の主な記事 見出しと要旨


今年度中に抜本的見直し 介護サービス情報公表

厚生労働省は、介護情報サービスの情報の公表について、制度の運用のあり方を今年度中に抜本的に見直す。古都賢一老健局振興課長は23日に行われた「全国介護サービス情報の公表制度担当者会議」で、同制度を「信頼されるものにするため」、今年度中に検討・見直しを行い、09年度からの制度全面施行に間に合わせる方針を説明した。利用者の活用状況の調査も行う。事業者から徴収する手数料については、合計手数料の平均が4万5488円となり、昨年度に比べて約8600円下がったが、引き続き見直しを求めていく考えだ。(もっと読む)

「社保費削減の撤回を」

自民党の厚生労働部会、社会保障制度調査会、雇用・生活調査会の3つの合同部会は27日、毎年2200億円ずつ社会保障費を削減する政府の方針に対して撤回を求める決議をした。同日、政調会長に提出。近く官邸にも提出する予定だ。来月とりまとめる経済財政改革の基本方針「骨太の方針」に、「削減撤回」が盛り込まれるかが争点となりそうだ。
 決議では、09年度には基礎年金国庫負担割合の2分の1への引き上げが決まっており、「新たな国民負担をお願いしなければならない時に、更に社会保障の削減を行うことは、到底理解を得られないものと考える」と言及。社会保障については、02年度から06年度までの5年間に合計1・1兆円の歳出削減を行い、骨太の方針2006に基づいて07〜08年度予算でも2200億円ずつの削減が行われていることから「すでに相当な国庫負担の削減となっている」とし、09年度は社会保障の削減を行うべきではないと明記した。(以下略)

説明会に事業者殺到

EPAに基づきインドネシア人看護師・介護士候補の就労あっ旋業務を行う国際厚生事業団は22日から2日間、東京と大阪で受け入れ施設の募集に伴う説明会を開催した(写真=東京会場)。定員を上回る参加者が殺到し、この件に対する事業者の関心の高さが改めて浮き彫りになった。「人手不足で明日にでも来てほしい」とする積極派から、「どんなトラブルが発生するか想像がつかない。事業者支援が必要」という慎重派まで反応はさまざまだった。
 日本での国家試験受験要件を満たすためには介護士候補者には7月末までに入国してもらわなければならない。そのため、7月17日には雇用契約を締結する突貫スケジュールだ。
 募集の詳細について、まず、「日本人と同等以上」としなければならないとされている報酬については、「職務内容で決め、個々の施設で判断する」という解釈だとし、日本では無資格者として扱って差し支えないと説明した。だが、インドネシア政府は交渉の最終段階まで具体的な賃金水準を明確にすることを求めていた。具体的には、「介護福祉士候補者で17万5千円以上、看護師候補者は20万円以上の月給」。受け入れ希望施設に政府の意向を伝えることが交渉成立の要件ともなったとした。(以下略)

維持期でも機能回復目指す

日本の医療・介護現場では、「慢性期のリハビリはまだ確立されていない」というのが一般的な認識だろう。少しでも元通りに動けるようになりたいと願う患者の思いは慢性期でも変わらない。千葉市稲毛区にある通所リハ「富家千葉病院デイケアセンター」では、今年4月から、短期集中的な訓練でまひした手を動かす脳卒中患者の機能回復訓練法「CI療法」を導入している。まだ対象者は1人だが、わずか2週間の集中プログラムでまひした手が動くようになったという効果を上げた。「デイとの違いをアピールしていきたい」と意欲的に取り組んでいく考えだ。
 「全く力が入らなかった左手で、今では野菜をしっかりと押さえられるようになりました。キャベツの千切りもできるんですよ」
 嬉しそうに話すのは、篠原キクミさん(79歳)だ。昨年6月に脳卒中で倒れ、左半身にまひが残った。リハビリはすぐに行ったものの医療保険のリハは回復途上で終了し、退院してからは自宅に引きこもる日が続いていたという。今では別人のように生きいきとしている。
 篠原さんを変えたのは、「CI療法(Constraint-induced movement therapy)」という富家千葉病院デイケアセンターで行ったリハビリプログラムだ。簡単に言うと、まひした側の「動かない」上肢を集中的に「動かす」訓練だ。(以下略)

コムスン"巡り明暗

 大手介護事業者の2008年3月期決算説明会が順次行われている。昨年度は、介護業界を揺るがす大事件となった在宅介護大手コムスンの指定停止と事業承継が起こった年。明暗が分かれたようだ。

 ●ツクイ(横浜市港南区、津久井督六社長)

 デイが好調で過去最高益に
 全国展開するデイサービス204カ所を中心に在宅介護事業が好調で、増収増益。過去最高益となった。昨年度のコムスン事業承継においては、一度、引き受けを表明した後で手を下ろした経緯がある。23日に行われた決算説明会で津久井社長は、「迷いはあったが、自社でマーケティングした地域で新規出店する方針を維持した」と今後も自社出店で事業拡大を目指していく考えを示した。
 在宅介護事業と合わせて今後の事業の「三本柱」としている医療・介護の人材派遣業、有料老人ホーム事業は08年3月期は赤字にとどまった。昨年度に人材派遣事業所26事業所、有料老人ホーム7事業所を新規出店した初期投資分の回収ができていないためとした。 また、今期はデイ73カ所、人材派遣24カ所の大量出店を行い、47都道府県すべてに事業所を設置する考えだ。泡風呂と足浴を設置した「新型デイ」を導入していく。
 08年3月期の実績は、売上高300億円、営業益12億4千万円。09年3月期の業績予想は、売上高371億円、営業益13億9千万円を見込む。(以下略)



シルバー新報 2008年5月23日号の主な記事 見出しと要旨


インドネシア人介護士 受け入れ施設募集開始

日本・インドネシア経済連携協定(EPA)が16日に国会で承認された。これを受け、日本側でインドネシア人の就労あっせん業務を一元的に担う国際厚生事業団(JICWELS)は19日から受け入れ施設の募集を開始した。(もっと読む)

改正介護保険法を可決

 コムスン事件の再発防止のために法令遵守の体制整備をサービス事業者に義務付ける改正介護保険法案、介護従事者の人材確保と処遇改善に関する法律案などが21日、参議院で全会一致で可決された。改正介護保険法については、事業者、行政の準備状況を踏まえ、来年6月までに施行される見通しだ。
 20日の参議院厚生労働委員会では、採決にあたり、業務管理体制の義務付けが、事業者の過度の負担にならないようにすること、地域差の反映や、サービス提供責任者の評価などを報酬改定にあたって配慮することなど5項目が附帯決議された。
 衆議院で民主党が介護職員の給与を引き上げる「2万円上乗せ法案」を提出したことをきっかけに、衆参両院を通して審議は介護職員の処遇改善に終始した。2万円法に代わって成立した「介護従事者処遇改善法」の内容には具体性はないが、与野党が合意したことで政府としても何らかの対応を迫られる。処遇改善に介護報酬の引き上げを求める意見がある一方で、職員に給与として還元される保証がないこと、高齢者の保険料、利用料が高くなることなどから慎重論もある。
 財務省が軽度者の給付を切り下げた場合の介護保険財政の削減効果の試算を提示したことについて、舛添厚生労働大臣は答弁の中で「社会保障費の削減は限界。まったく考えていない」と不快感を表明する場面もあった。 (以下略)

療養病床3700床転換へ 高知県地域ケア体制整備構想 

療養病床再編を踏まえ2011年度末の医療療養病床数を盛り込んだ地域ケア体制整備構想が昨年度末までにほとんどの都道府県で策定された。全国の医療療養病床の計画値は厚生労働省が示していた15万床を上回る見込みだが、療養病床数が高齢者人口比で全国一の高知県では、療養病床の5割強にあたる3700床を転換するという厳しい数値を打ち出した。県健康福祉部に聞いた。
 高知県が同構想で示した11年度末の医療療養病床数は3082床。計画上では、現状の療養病床6793床のうち、5割強にあたる3711床を老健施設等に転換することになる。07年8月現在での医療療養病床数は4012床で、介護だけでなく医療療養病床にも再編のメスが入る公算だ。
 療養病床の経営者にとっては厳しい目標値が設定されたかたちだが、同県健康福祉部高齢者福祉課の福留利也地域ケア体制整備推進担当チーム長はその算定方法を、「入院患者の状態像からみて適切な施設割合から算出した」と説明する。
 そもそも高知県の高齢者千人あたりの療養病床数は39・7床で全国一だ。全国平均の2・8倍で、在院日数、県民医療費とも全国トップクラス。今回の再編計画ではまず、中長期的な理想像を示すことに重点を置いたという。(以下略)

特養・老健の非正規介護職 34%が雇用期間の定めなし

NPO法人北海道総合福祉研究センター(五十嵐教行理事長)はこのほど、特養・老健施設に勤務するパート勤務や派遣、契約職員など「非正規職員」を対象に、仕事へのやりがいや就業継続の意向、賃金などの実態について調査した結果をまとめた。全体の34・1%の人は、雇用期間が定まっていない形での契約となっていたこと、過半数を超える57・1%は、現在の職場での仕事の継続を望んでいることなどが分かった。また、自分の仕事に対して直属の上司が正しく評価しているかどうか、「わからない」「評価されていない」があわせて半数を超えており、非正規であっても職場での人間関係や組織・チームの一員としての存在であることを意識している人が多いこともうかがえる結果となった。
 調査は2007年5〜6月、北海道内の特養ホームと老人保健施設に勤務する非正規職員945人を対象に実施。特養397人、老健245人のあわせて642人から回答を得た(回収率67・9%)。
 全体の約9割の人はヘルパーや介護福祉士、ケアマネジャーなどのなんらかの資格を持っている。勤続年数では27・2%が1年以内で3カ月未満も1割と採用されたばかりの新人が多いが、5年以上も12・2%と8人に1人の割合で少なくはない。一方、雇用者との雇用期間の定めについては、「定まっている」と「定まっていない」がほぼ6対4の割合だった。雇用期間の定めがある人の98%は1年以内の契約だった。(以下略)

高専賃モデルを検討へ

ワタミ(東京都大田区・渡邉美樹社長)は15日、2008年3月期の決算を発表し、介護事業部門で今期は高齢者専用賃貸住宅に介護サービスを付けたサービス形態のモデルを検討していくことを明らかにした。介護付き有料老人ホームの総量規制を受けて、新事業での成長の方策を探っていく考えだ。
 ワタミは2005年の介護事業への参入以来、介護付き有料老人ホームを中心に事業展開を図ってきていた。だが、06年度からの介護付き有料老人ホームの総量規制の導入で、新規のホーム設置は難しくなりつつある現状がある。
 渡邉社長は、今後の介護部門の運営について、「総量規制もあり、09年3月期は特定施設型有料老人ホーム以外の展開を検討する」とし、具体的には高齢者専用賃貸住宅の事業モデルを検証・確立していく考えを示した。
 また、同時にこれまでの関東地方中心の展開を他の地域にも広げることでさらなる成長を図ると説明している。(以下略)



シルバー新報 2008年5月16日号の主な記事 見出しと要旨


軽度者の給付見直しを 財務省 

財務省は13日、介護保険の費用削減について3案を試算し、財政制度等審議会に提示した。いずれも要支援から要介護2までの軽度者への給付を見直す内容だ。給付範囲を最も狭めて、軽度者を給付対象外にした場合は、年間約2兆9000億円、自己負担を1割から2割に引き上げた場合には約2300億円が抑制できるとしている。来年4月からの報酬改定に向けては厚生労働省でも今後議論が本格化する。人材確保難もあり、介護報酬の引き上げを求める現場にとっては出鼻をくじかれたかたち。自己負担増については、舛添厚生労働大臣がすでに消極姿勢を示しているように、厚生労働省、与党にも慎重論は強い。年末の来年度予算編成に向け、政府部内での攻防が始まる。(もっと読む)

外国人介護士の受け入れ拡大へ組織 経済財政諮問会議で方針

 政府の経済財政諮問会議は9日、専門分野で活躍する外国人の受け入れ数を、06年末の16万人から2015年末には30万人に倍増させるため、官房長官の下に産学官のメンバーからなる推進会議を設置することを決めた。介護福祉士や看護師も日本の国家試験をパスすれば、在留資格を認める「高度人材」の対象に加え、EPA協定の枠にとどまらず介護人材を積極的に受け入れていくべきとする意見が出た。今秋をめどに具体策をまとめる。
 現在は、芸術、法律・会計、医療、研究などの専門的技術分野で外国人の在留資格が認められており、06年時点では約15万8千人が日本で働いている。(以下略)

岡山・津山のGH、指定取消し事業所

  岡山県津山市にある認知症グループホーム「Ring」(NPO法人高齢者介護研究実践の会Ring藤井諭理事長)が、入居者への虐待などを事由として、4月30日付で介護保険事業所としての指定を取り消された。発端となったのは、市役所に、「事業所内で罰則的な食事減が行われている」などという苦情が寄せられたことだ。しかし、Ring理事長の藤井氏は現在にいたるまで「虐待を行った認識はまったくない」という。現在弁護士と協議中で、行政訴訟も辞さない構えだ。(フリーライター・田中元)
 藤井氏は介護施設などに勤務した後、今から約4年前、30代後半の時に生活の場での認知症ケアを目指し、現在の場所に2ユニット定員18人の認知症グループホームを開設した。県の認知症研修では講師も務めていた。
 苦情は、2006年11月あたりから市役所に寄せられるようになった。市介護保険管轄課の田中健夫氏によると、苦情が匿名によるため、「市側としてはRing側に事実確認を行い、文書による改善報告を求めた」という。しかし、昨年11月の実地指導までに具体的な改善点について回答がなかったことから、「改めて12月までの間に改善報告を求め、11月12日にそれを受理した」。(以下略)

在宅、家族なしでは成立せず

在宅で暮らしている要介護高齢者の半数近くはNPOやボランティアなどのインフォーマルサービスを併用しているものの、同居や近隣の家族が食事や通院の付き添いなど直接的な介護から日常的な支援までを幅広く担っており、家族なくしては生活の継続が成り立たない現実であることが、市民福祉サポートセンター(SSC)の調査研究報告書で明らかになった。5人に1人は状態が変化しても適切にサービスを増やせなかったとしており、経済的負担の限界を理由とする人も少なくない。現在の在宅生活は介護保険サービスも地域の共助も充足しているとはいえないと指摘している。
 調査は昨年9月〜11月にかけ、市民参加型活動にかかわる団体がサービスを提供している在宅の要介護高齢者75人を対象に行った。在宅生活を継続するための「条件」を明らかにするのが目的だ。ケアマネジャーによる聞き取りを中心に、利用者の属性や利用しているサービスの種類、医療ケアの有無、経済的負担の状況、家族や近隣、友人との関係性など実態を詳細に把握している。
 報告書によると、対象者の85%は75歳以上の後期高齢者で、要支援から要介護5まで分布しているが半数が日常的に介護が必要な状態であり、寝たきりで医療ケアが必要な人は4人に1人、また、認知症も2人に1人など重度者が多い。既往症や病気を持つ人は9割近くに達し、挙げられた病名は54種類にも及ぶ。(以下略)

看護師1人で開業実現

 潜在看護師を掘り起こし、制度にとらわれない柔軟な支援で在宅ケアに携わる看護師を増やす活動などを行っている全国訪問ボランティアナースの会キャンナス(菅原由美代表)が中心となり、7月に「日本開業看護師会」を発足させる。現在は制度上、2・5人以上いなければ開設できない訪問看護ステーションの基準緩和を求めたり、開業意志を持つナースの全国的なネットワークづくりを行っていく。呼びかけ人代表の菅原さんは、「人員基準が緩和されればもっとたくさんの看護師が独立し、地域で困っている人を支えることができる。自己責任、自己決定ができるナースが増えることは、在宅ケアを推進する原動力になるはず」と話している。発会式は7月19日、東京都港区の女性と仕事の未来館で開催する予定だ。
 訪問看護ステーションは最低基準が2・5人以上となっており、医師やケアマネジャーのように看護師が1人で独立・開業することはできないのが現状だ。キャンナスでは昨年10月、在宅ケアや開業に関心のある看護師を対象に「1人開業」の実現に向けて活動していくネットワークづくりを呼びかける集会を開催したところ、150人が集まり、「1人で開業できるなら訪問看護事業をしたい」「看護師としての路を模索している中で参考になった」など賛同する声が多かったという。新しい看護師の働き方を切り拓く活動に発展させていくため、このほど開業看護師会として正式に発足させることとした。(以下略)



シルバー新報 2008年5月2日号の主な記事 見出しと要旨


条件変更めぐり対立

 コムスンの高知県の事業を承継した「ふるさと自然村」(山本惠子理事長)では、労働条件の変更をめぐり、「適正化」「不利益変更」と法人と労働組合の意見が対立。収拾のめどが立っていない。全国規模の企業を都道府県単位に分割して承継させたことの「無理」が噴出したという見方もある。大手企業のコムスン事業承継が表面上、波風は立っていないのは、労働条件、サービス提供方式もコムスン方式を踏襲していることが大きく、いずれ、既存事業との一本化に踏み込めば、同じ道をいかないとは限らない。その時に改めて、今回の処理の成否が問われることになりそうだ。(もっと読む)

報酬による手当て要望 介護人材確保で 

 厚生労働省は25日、「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」(座長=大橋勇策・中央大学大学院教授)の第2回会合を開催し、介護事業者3団体を対象にヒアリングを行った。人材教育、有資格者への評価など、報酬による手当てを求める声が相次いだ。同省は雇用管理の改善策を来年度予算に盛り込む方向で議論する予定だが、業界とは温度差がありそうだ。
 ヒアリングは、全国老人福祉施設協議会(中村博彦会長)、日本在宅介護協会(寺田明彦会長)、全国老人保健施設協会(川合秀治会長)の3団体が、厚生労働省が事前に示した質問事項に回答する形式で行われた。質問事項は、事業所の離職の状況、人材の募集方法や応募の状況、必要と感じるキャリア管理や教育訓練の内容など。
 有限責任中間法人「日本在宅介護協会」の北村俊之研修広報副委員長は、3〜4年前は1人あたり15万円程度だった採用費用が、現在は同50万円程度かかっていると説明し、それでも「折り込みチラシを4週出しても1人も採用できない場合もある」と極端に応募が少ない状況を訴えた。離職率も高く、在宅サービス全体では年間27%が入れ替わっており、特に訪問入浴は46%だという。また、在宅の現場では、新人への教育も利用者宅でサービス提供する中で行うが、同一時間に二重の人件費や研修費がかかることへの費用の保証がないとして「何らかの支援」を要請した。(以下略)

原油高騰 影響あり8割

 長野県はこのほど、県内の社会福祉施設の8割が原油価格高騰による燃料費の値上げで施設経営への影響を感じているとする調査結果をまとめた。07年度の燃料代が増加したとする施設が9割に上っており、同県では「国に介護報酬の物価スライド制の導入などの対策を求めて行きたい」と話している。
 調査は、今年1〜3月にかけて特養ホームや児童養護施設などの入所施設やデイ、訪問介護事業所など568カ所を対象に行い、309カ所から回答を得た(回答率54%)。
 調査結果によると、06年度と07年度の灯油やガソリンなどの燃料代の増減を尋ねたところ、87%が増加したと回答。増減額では、10万円以上の増加が6割で、100万円以上の増加とした施設も2割弱あった。  燃料代の増加幅が大きいのは、入所施設の暖房代がトップで平均77万円の増。通所系施設の車両燃料費は平均6万円アップ。訪問介護事業所ではガソリン代の高騰にもかかわらず4割の事業所が自家用車等の燃料代手当ての引き上げを「経営困難で見送り」とするなど厳しい経営状況だ。
 原油高騰にともなう施設運営への影響については、全体の8割が影響があると回答していた。(以下略)

後期高齢者医療制度 ケアマネの連携に報酬評価を

 日本介護支援専門員協会の木村隆次会長は、後期高齢者医療制度でのケアマネジャーの情報共有・連携の取り組みに対して、介護報酬上の評価を求める要望書を提出した。医療機関と一緒に退院時調整などに取り組むことも求められるが、診療報酬上はケアマネには点数がつかないからだ。また、医療・介護分野の専門職間の「共通言語」を構築するための連携シートを国に作成するよう求めている。木村会長に、これら要望のねらいと、介護報酬改定の方向性について話を聞いた。(以下略)

シルバー新報20周年記念企画「伝えたい 介護の楽しさ 奥深さ」作文募集 最優秀賞候補11作品を発表

たくさんのご応募ありがとうございました  本当に応募はあるのだろうか? 作文コンクールの企画をしてはみたものの不安は一杯のスタートでしたが、全国から3月末までに寄せられた作品は281通。編集部の予想を上回る結果になりました。たくさんのご応募に心から感謝いたします。
 編集部で全ての作品に目を通しましたが、どうしても絞りきれず、今回、読者投票を企画いたしました。最優秀賞1点(副賞10万円)、優秀賞2点(副賞5万円)の選定に皆様の意見を反映させていただきたいと思っています。
 優秀賞候補として選定した作品は11点。「介護は私の天職」「心からのありがとうがもらえる仕事」「人生の先輩であるお年寄りに教えられることが多い」  。つづられている思いやエピソードは多くの作品に共通するもので、正直に申し上げて、甲乙はつけがたく、選考現場は喧々諤々。最終的には、素直な自分の言葉でつづられていて、ストレートに気持ちが伝わってくること、を選考基準としました。年齢や職種などのバリエーションにも配慮しました。残念ながら選に漏れた作品も紙一重の差です。
 介護は、人と人とのかかわりの中にあり、仕事としての魅力もその中にあるのだと改めて思い知りました。その意味で、一番、思いが強かったのは、家族を介護した方、している一般の方からの作品です。プロ以上のさまざまな工夫も紹介いただきました。大変なご苦労をしたものの、介護をやり通し、今はいい思い出になっているという作品もありました。
 訪問介護のヘルパーからの作品も印象深いものが多かったように思います。一人ひとりときちんと向き合える。暮らしを支えている実感がある。それがヘルパーという仕事の魅力であり、やりがいなのだと教えていただきました。
 大阪府の特別養護老人ホームからは、施設長から、看護師、調理の方まで、全職員61人から作文の応募をいただきました。心から感謝します。施設はさまざまな職種の方に支えていただいているお仕事と実感いたしました。
 老人保健施設や有料老人ホーム、認知症グループホームなど今は施設の種類もさまざま。介護保険ができて、介護の職場は多様化。制度を利用して、家族や仲間と起業した方々からも多くの作品をいただいています。
 本当にこの仕事でよかったのかと若い方に迷いがあるのは当然でしょうが、それにしても、一般の企業だったらリタイアの準備に入るような中高年の方々のお元気なこと。
 いただいた作品から編集部もたくさんの元気をいただきました。読者の方にもおすそ分けします。さて、あなたはその作品が一番だと思いますか。ぜひ、ご意見をお寄せ下さい。
 その集計結果と、ゲスト審査員の審査をあわせて、最終選考をする予定です。(以下略)



シルバー新報 2008年4月25日号の主な記事 見出しと要旨


厚労省が介護人材確保で検討会

 厚生労働省は18日、「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」(座長=大橋勇策・中央大学大学院教授)を設置し、初会合を開催した。人手不足が深刻化する介護サービス分野を介護職が働き続けられる環境にするため、具体的な人材確保・定着や雇用管理・処遇改善、生産性の向上など施策の方向性をとりまとめる。2014年に必要と推計する140〜160万人の確保に向け、学卒者の参入状況や離職率の最新状況を踏まえた上で、サービス種別ごとの供給見通しを示す方針だ。有資格者の約4割にのぼる潜在介護福祉士の掘り起こし策、ハローワーク等のマッチング機能の検証も行う。7月をめどに中間報告をまとめる。(もっと読む)

高齢者虐待で事業者指定を取り消し

入所者に対する虐待などがあったとして、岡山県津山市は17日、同市の「グループホームRing」(定員9人)を運営するNPO法人に対して、今月30日付けで介護保険法の事業者指定を取り消す処分を決定し、同法人に通知した。同市は、入居者が医師により「低栄養、またはそれに準ずる状態」と診断されたことから、十分な食事提供が行われないなどの虐待があったと認定した。厚生労働省によると、入居者への虐待を理由に事業所の義務違反で指定を取り消す事例は初めて。(以下略)

市川市の1%支援制度 税金の使途 市民が決定

与野党議員も参加  高齢社会をよくする女性の会(樋口恵子理事長)などからなる実行委員会は15日、都内で民主党が提出し国会で審議中の介護人材確保法案など介護人材の待遇改善策の実施を求める緊急集会を開催し(写真)、介護従事者や介護家族、事業者などが介護人材の待遇改善策の必要性を訴えた。与党の国会議員も参加し、「待遇改善策の必要性の点では思いは一つ」だが、人材確保法案への賛成はできないという考えを示した。超党派での対策の検討には含みを持たせている。
 衆議院の厚生労働委員会では9日から事業者指導を強化する内容を盛り込んだ介護保険法の改正案とともに、民主党が提案した介護従事者の給与を月額2万円引き上げるとする介護人材確保法案の審議が始まっている。
 会場では、特養ホーム職員が「施設では残された人で何とかやりくりしている状態で良いケアなど望めない」。介護家族は「ヘルパーが離職でコロコロ変わる。認知症にはなじみの関係が大切なのに」などと窮状を訴えた。(以下略)

介護と看護の"連携"マニュアル

生活支援と医療・健康管理が重なり合う高齢者介護では、看護職と介護職の連携が欠かせない。だが、頭では分かっていても実際にはちょっとしたことがきっかけで摩擦や対立が生じることも少なくないのではないだろうか。全国高齢者ケア協会(鎌田ケイ子理事長)は、両者のものの見方や考え方、価値観の違いをお互いが認め合い、日々のケアに生かしていくための方法を提案した「介護と看護の連携のためのマニュアル」を作成した。「相手の知らない知識をひけらかす態度をとらない」「新しいやり方を提案をするときは、相手のメリットをまず考えること」など、女性中心の職場で感情的なしこりを残さないための現実的なアドバイスを始め、施設と在宅、ターミナルや認知症ケアなど状況に応じた基本的な連携の考え方をまとめている。お互いの理解を深められる内容だ。
 同協会は15年前の設立当初から、「介護と看護の自立と協働のあり方を探ること」を活動のテーマとしてきた。介護職の医療行為に関する実態や意識調査なども数多く行っており、それらをもとに、看護と介護職が実際に連携を進めていくための基本的な考え方を整理し、具体的な実践方法を提案したのが今回の連携マニュアルだ。(以下略)

2割強が開催頻度3〜6カ月

 全国認知症グループホーム協会(木川田典彌代表理事)はこのほど、2006年度から地域密着型サービスに義務付けられた「運営推進会議」について、会員事業所を対象に行った実態調査結果をまとめた。省令で定められている「2カ月に1度」の開催を実行しているグループホームは全体の7割近くに上っているが、3カ月や4カ月ごと、あるいは半年に1度しか開催できない事業者も26%に上っていた。また、会議の参加者に対する謝金は特に規定されていないが、調査では11・7%が現金で支払っており、その金額は1人当たり1千円〜7千円までと幅があることなども分かった。
 調査は昨年12月、全国2千カ所の会員グループホームに対して実施し、508件から回答を得た(有効回収率25%)。06年改正では、事業運営に地域住民の意見を反映させ、サービスの質向上につなぐ目的で地域密着型サービスに「運営推進会議」の設置・開催が義務付けられた。その運営状況全般について調べたものだ。(以下略)



シルバー新報 2008年4月18日号の主な記事 見出しと要旨


経産省が規制強化検討 販売前に「安全性」確認も 事故多発

電動車いすの事故事例が相次いでいる実態を受け、経済産業省では安全対策を強化する検討を始めた。安全性の認証を受けなければ発売できないPSマーク制度(消費生活用製品安全法)の対象とすることも検討しているという。
 電動車いす最大手のスズキ(静岡県浜松市・津田紘社長)は10日、同社の電動車いす「スズキセニアカー」の4機種とOEM商品の「タウンパートナーEK」シリーズの計3万5千台をリコール対象商品とすることを発表した。モーターなどを交換する。
 これを受け、経済産業省では同日、リコールの対象商品となった機種で過去に重大事故が3件発生していたことを公表した。
 07年11月に富山で起きた事故では、ガードレールのない県道を走行中に転落し、死亡。07年12月の福井の事故では、走行中に側溝に落ちブロック塀で頭を強打し重症。さらに、今年4月の熊本の事故では河川敷の道路を走行中に砂利にハンドルをとられ、4m下の河原に転落して死亡していた。いずれも原因は調査中だが、「モーターに不具合があった可能性」もあるとしている。
 スズキ側では、「当社の調査では製品起因の事故でないと推測されている。今回の不具合については、通常の使用では問題が発生するものではないが、安全に万全を期して対応することにした」(広報部)とする。(3面に関連記事)(もっと読む)

介護士の受け入れ 第一陣はインドネシア

介護人材の受け入れを含むインドネシアとの経済連携協定(EPA)が16日、衆議院の外務委員会で採決された。17日の本会議で承認される見通しで、参議院の承認を経なくても自然承認されることから、先行して協定を結んでいたフィリピンよりもインドネシア人のほうが早く来日することが確実になった。早ければ今夏にも第一陣の介護士・看護師の受け入れが始まる見込みだ。
 同協定は昨年8月、日本とインドネシアの間で署名されていた。
 17日の衆院本会議で承認された後、参院に送付されれてから遅くとも30日以内には承認される見通し。インドネシアでは協定の国会承認が不要なため、日本の国会の承認をもって発効の手続きに入る。厚労省によると7月にも発効される見通しだ。同時に、両国間で実務の詰めを行い、インドネシア側は候補者の募集・選考、日本側は国際厚生事業団による受け入れ病院・施設の募集、選定を行う。「最速で7〜8月に受け入れが始まることも考えられる」(厚労省)状況だ。(以下略) (以下略)

介護人材 待遇改善 対策の実施求め集会

与野党議員も参加  高齢社会をよくする女性の会(樋口恵子理事長)などからなる実行委員会は15日、都内で民主党が提出し国会で審議中の介護人材確保法案など介護人材の待遇改善策の実施を求める緊急集会を開催し(写真)、介護従事者や介護家族、事業者などが介護人材の待遇改善策の必要性を訴えた。与党の国会議員も参加し、「待遇改善策の必要性の点では思いは一つ」だが、人材確保法案への賛成はできないという考えを示した。超党派での対策の検討には含みを持たせている。
 衆議院の厚生労働委員会では9日から事業者指導を強化する内容を盛り込んだ介護保険法の改正案とともに、民主党が提案した介護従事者の給与を月額2万円引き上げるとする介護人材確保法案の審議が始まっている。
 会場では、特養ホーム職員が「施設では残された人で何とかやりくりしている状態で良いケアなど望めない」。介護家族は「ヘルパーが離職でコロコロ変わる。認知症にはなじみの関係が大切なのに」などと窮状を訴えた。(以下略)

ヘルパー提言養成研修 介護の基本はセルフケア

 厚生労働省は今年2月、2012年度をめどにホームヘルパー1級養成課程を廃止し、介護保険法改正で導入した500時間の介護職員基礎研修に一元化する考えを示した。2級課程については当面継続するとしているが、将来的に介護職の基礎資格を介護福祉士に統一する方針に向けた見直しの一歩といえそうだ。ライフ・プランニング・センター理事長の日野原重明さんが30年前から続けている養成講座では、介護にかかわる人全てに、健康で生きるための基礎的な知識である医学・看護学を身に付けてもらうことをモットーとしている。ヘルパー養成課程は、多くの人が正しい医学的知識を学べる機会としてむしろ広げていくべきだと話す。(以下略)

予防も介護と同じ手間

東京都の江東区介護支援専門員協議会(会長=國澤一男すこやか代表取締役)はこのほど、会員ケアマネジャーを対象に行った実態調査の報告書をまとめた。2006年度に導入された予防給付について、新規利用者のサービス計画が交付できるまでの訪問回数や、地域包括支援センター・他事業所との連絡調整、書類作成などに要する時間を尋ねたところ、いずれも介護給付と同じだけの手間がかかっていることが明らかになった。身寄りがなかったり、同居する家族にも何らかの疾患があるなど、対応が難しいケースが予防・介護にかかわらず増えていることが大きな理由だ。同協議会では、包括センターと介護サービス事業所が一緒に問題解決に取り組めるような体制づくりを求めて、区に要望書を提出した。
 同協議会は2001年に発足。区内で活動する約300人のケアマネジャーのうち約200人が加入している。資質向上や会員間の連携強化のための研修会などを重点的に行っていたが、実態調査は初めてだ。 調査項目は、ケアマネジャーの経験年数や給与・賞与、時間外労働などのプロフィルのほか、離職意向、やりがいや困難と感じること、ケアプランを立てる上で個々のサービス種別ごとにどんな問題があったのか――など50項目にも及ぶ。会員の7割を超える147人から回答を得た。
 結果で特に注目したのは、まず、介護給付のケアプランと予防プランでかかっている手間に差がなかった点だ。新規利用者のプラン交付までの平均訪問回数を見ると、介護も予防も「3回」が最多。訪問や他事業所との連絡調整に費やす時間も、ともに「3〜5時間」がピークとなっており、書類作成の時間についても同様の傾向だった。(以下略)



シルバー新報 2008年4月11日号の主な記事 見出しと要旨


後期高齢者診療料「算定せず」

後期高齢者医療制度のスタートに伴い創設された「後期高齢者診療料」について、茨城県、山形県の医師会が相次いで算定しない方針を決定し、会員に通知した。月6千円の包括払いで、慢性疾患のある高齢者を計画的に診療した場合に算定できる。「高齢者にふさわしい医療」の目玉でもあるが、1つの医療機関しか算定できないことから「患者の囲い込みが起きかねない」「フリーアクセスの阻害につながる」として反発している。将来的には、患者があらかじめ登録した医療機関を通さなければ他の機関を受診できなくなる「登録医制度」に移行するのではないかという警戒は強い。全国的にもどのくらいの診療所が算定するかは未知数だ。(3面に関連記事)(もっと読む)

特定高齢者把握を変更

厚生労働省は3月31日、新年度からの「地域生活支援事業の実施について」を都道府県宛に通知した。介護予防の特定高齢者把握の対象者から「要支援者」を除外、生活機能評価による対象者の決定方法の変更などが大きな改正点だ。新年度から都道府県適正化計画に基づく「適正化元年」となることから認定調査チェック、ケアプランの点検など5つの事業が主要事業に位置付けられた。
 老人保健法が4月から高齢者医療確保法に全面改正されたのに伴い、要介護予備軍のスクリーニングとして導入されていた「生活機能評価」が介護保険法に基づく事業に位置付け直された。費用は地域支援事業交付金をあてる。(以下略) (以下略)

高齢者にふさわしい医療とは

4月から動き出した後期高齢者医療制度。スタート早々保険料徴収などに絡んだ批判や「6千円までしか医療が受けられない」といった誤報が飛び交っているが、高齢者にふさわしい医療のあり方が一定程度取り入れられたと評価する声もある。それぞれの立場で制度創設に関わった2人の識者に聞いた。(以下略)

高齢者に不適切な薬剤リストを作成

今井博久・国立保健医療科学院疫学部部長などからなる研究チームは1日、高齢者への使用が不適切な薬剤をまとめたリストを作成した。若年者に比べて薬剤の副作用の影響を受けやすい高齢者の特徴を踏まえ、心不全や転倒などのリスクのある薬を基準を設けて整理したものだ。日本で高齢者に限定した不適切な薬剤のリストは初めてという。介護現場でも活用してほしいとしている。
 「抗不安剤の長期作用型ベンゾジアゼピン系薬剤は、高齢者における半減期が長く、使用すると転倒骨折の危険性が高くなる」、「H2ブロッカーの含まれる胃腸薬は、せん妄を引き起こす恐れが高い」――。 作成されたリストには、高齢者が使用を避けることが望ましい薬剤70種類が列挙されている。加えて、認知症や心疾患、排尿障害など病態別に25種類の薬剤も紹介されている。
 「高齢者では、若年者と違って薬剤の代謝・排泄機能が低下するなど薬物の副作用リスクが高い傾向にある。それにもかかわらず、これまで日本では高齢者を対象にした薬物処方の基準についての研究はほとんどなされてこなかった」
 今井同科学院疫学部部長はリスト作成の理由を話す。既に欧米では、病院や製薬会社への薬剤事故による訴訟対策の観点からも高齢者に使用が不適切な薬剤のリストが作成され、広まっている現状がある。アメリカでは患者の4割程度が薬物の有害事象を体験しており、薬剤関連の死因が全体の5番目という調査結果もあるという。(以下略)

アイ・ピー・エスの在日比人ヘルパー

在日外国人向けの国際通信事業や在日フィリピン人を対象にしたヘルパー養成、派遣・紹介業を行っているアイ・ピー・エス(東京都中央区、宮下幸治社長、0120・933・587)は、4月から在日比人向けのヘルパー講座を名古屋市でもスタートさせた。東京で開講している養成講座卒業生の派遣事業が好評だったことから、東海地域での養成・派遣事業にも力を入れていく考えだ。
 同社は、1991年設立。在日外国人向け国際通信事業や通信販売事業が事業の柱。2005年には在日比人を主な対象としたヘルパー2級講座を開講し、06年からは、在日外国人介護職の人材派遣事業もスタートさせていた。この2年で卒業生は約1千人。有料老人ホームを中心に470人が就業したという。
 派遣事業では、24時間対応で母国語を話せる電話オペレーターを置き派遣社員の悩み相談に応じるなどの体制をとっており、定着率も「日本人よりも高いくらい」(宮下社長)だ。在日外国人が苦労する読み書きについても養成時間にプラスして介護記録の付け方を教えるなどフォロー体制にも力を入れている。
 (以下略)



シルバー新報 2008年4月4日号の主な記事 見出しと要旨


予防サービスに一定の"効果"?

厚生労働省の介護予防継続的評価分析等検討会(座長=辻一郎東北大学大学院教授)は3月31日、介護予防サービスについて一定の効果が認められるとする仮の分析結果をまとめた。秋頃には、分析方法をさらに精査し、最新のデータをもとに中間まとめを行う予定だ。厚生労働省は、分析結果を今年度中に各保険者が策定する第4期介護保険事業計画にも反映することを求める方針を示している。「効果」を巡る議論が再燃しそうだ。(もっと読む)

小規模多機能型で高い報酬

 厚生労働省は3月28日、小規模多機能型居宅介護などについて保険者による独自の高い報酬設定を認める認定通知を、申請のあった全国29区市町に対して行った。申請区市町村の大半が4月利用分から加算の上乗せを実施。事業創設から丸2年が経つが、採算面などから全国的にサービスが増えない状況を踏まえて、高い報酬を設定して事業者の参入を促したい考えだ。
 小規模多機能型と夜間対応型については、市町村が、地域の実情に合わせて独自の報酬が設定できる。小規模多機能型では認知症高齢者の割合、専門職の確保、他事業者や地域との連携――の国が示した指針に沿って市町村が要件を設定し500〜1千単位、夜間対応型ではオペレーションセンターを設置していない場合で100〜300単位の上乗せが認められる。
 2月末を締め切りに行われた2回目の申請認定では、厚労省に申請した6区20市3町が独自基準の設定を認められた。昨年10月から実施している東京都足立区、群馬県高崎市、秋田県横手市の3区市を含めると全国32区市町。(以下略) (以下略)

2012年度には20万床強

療養病床の再編を受けて2012年度末に残す医療療養病床数を盛り込んだ医療費適正化計画がほとんどの都道府県で策定された。3月末の本紙の聞き取り調査では、6県を除く41都道府県が目標値を明らかにした。06年10月時点で約35万床の病床を、14万4000床(42%)削減し、約20万床にする。厚生労働省は当初、全国に12万床ある介護療養病床を全廃し、23万床ある医療療養病床も15万床に削減する再編計画を示したが、都道府県の計画を積み上げた結果はこれを5万床上回っている。地域差も大きい。
 高齢者医療確保法に基づく医療費適正化計画は、将来の医療療養病床(回復期リハビリ病床を除く)の必要数などを盛り込み、今年4月に施行とされている。本紙が3月末に都道府県に聞き取り調査を行ったところ、ほとんどが策定を終えており、41県が12年度の目標数を明らかにした。
 06年10月1日時点の全国の療養病床数は、医療約23万床、介護約12万床の合計約35万床。これを受けて、各都道府県が出した12年度末時点の医療療養病床の目標値を積み上げると、20万1282床になった(6県分除く)。約5年間で14万4000床、42%の療養病床を削減する計算だ。
 しかし、当初政府が掲げていた目標数は、介護療養病床は全廃、医療療養病床は15万床にするというもの。比べると、5万床も多い計算だ。目標値を明らかにしていない残り6県分を積上げると、さらに残る療養病床数は多くなると予想される。(以下略)

認知症短期集中リハに効果

2006年度の報酬改定で老人保健施設に創設された「認知症短期集中リハビリテーション実施加算」について、全国老人保健施設協会(全老健、川合秀治会長)が、その効果を検証する研究事業を進めている。このほどまとまった06年度の調査研究報告書では、同加算を算定してリハを実施した入所者はそれ以外の人と比較して、身の回りの家事や周囲への関心、コミュニケーションなどの状態が有意に改善したほか、抑うつ状態や日常生活動作にも改善傾向が見られたことが明らかになった。認知症高齢者に対するリハビリテーションの有効性を裏付ける結果だとしている。
 06年度改定ではリハビリテーションに関する報酬上の評価が手厚くなったのが一つの特徴だが、認知症高齢者に対するリハの方法論は確立されていないこともあり、同加算は老健施設の入所者のみを対象とする限定的なものとなっている。いわば試行的な扱いだ。  同加算の算定要件は、まず、多職種協働で週2回以上、1日20分以上の個別リハを行う「リハビリテーションマネジメント加算」を算定していることを条件に、1日20分以上、認知症の入所者とPT、OT、STなどのセラピストがマンツーマンでリハビリを行うものだ。算定上限は週3回まで、期間は入所から3カ月となっている。(以下略)

元コムスン事業 5カ月後の今

コムスンの事業継承から5カ月が経った現状をシリーズで紹介する。在宅系事業を最多の14県で承継したセントケ・アホールディング(東京都中央区・村上美晴会長兼社長)では、4月から、教育事業で元コムスン事業と既存事業とを一本化する。本当の意味での「統合」に向けてようやく第一歩を踏み出すといえる。
 セントケアは、在宅系事業で最多の14県で事業の承継を受けた。承継の方式は、各都道府県ごとに立ち上げた承継会社で事業を引き受けるかたちで、宮城、茨城、静岡など12県で昨年11月1日から、熊本、宮崎の2県で12月1日からセントケアとしてのサービスをスタートさせている。しかし、情報把握や体制整備に追われ、既存事業と元コムスン事業の2つが別々に動いていたという。
 「4月から既存事業と元コムスン事業との教育・研修事業を一本化する。まずは、元コムスンの従業員の方にも弊社の理念と介護への考え方を理解してもらいたい」
  現状を説明するのは介護事業を統括する田村良一ヘルスケア事業部部長だ。同社とコムスンでは、社風も給与体系も、サービス提供の体制も異なる。たとえば、同社では訪問介護を専門性あるプロの仕事と位置付け、身体介護と生活介護でも同額のヘルパー時給としているが、コムスンは身体介護に手厚い介護報酬に沿った時給設定になっている。しかも、同社と承継事業の従業員数の比率が2対1程度。「統合」への道のりは平坦ではない。
 (以下略)



シルバー新報 2008年3月28日号の主な記事 見出しと要旨

看護師確保が困難 経過措置を再々延長

 社会保障審議会介護給付費分科会は25日、前回の報酬改定で特別養護老人ホームで創設された重度化対応加算の算定要件になっている「看護師」の配置について准看護師でもかまわないとする経過措置をさらに半年延長する諮問案を了承した。経過措置は本来は1年だったが、人材確保が困難として1年延長されていた。再々延長することについては強い反対意見もあったほか、明確に「半年で打ち切り」とすべきとする意見もあったが、今後実態調査を行った上で、「9月末に最終判断」をすることで決着した。ショートステイ、特定施設での「夜間看護体制加算」も同様の扱いになる。(もっと読む)

後期高齢者医療の中止へ大集会

後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める東京連絡会が23日、「東京大集会」を開催した。吉田万三連絡会代表は「新しい医療制度では、高齢者がこれまでのような医療をうけられなくなるかもしれない。これまでに500万筆の署名が集まった。我々の働きかけで、東京都では62区市町村のうち49議会で意見書が採択された」と成果を報告。政府レベルでも野党4党が廃止法案を国会に提出しており、制度は4月からスタートすることになるが、さらに働きかけを強めていくことを集会で決議した。(以下略) (以下略)

誰もが生き生き社会へ基本法を

「チャレンジドを納税者にできる日本」をキャッチフレーズにITなど最新の科学技術を活用して障害者が社会で活躍できるしくみづくりなどを行っているプロップ・ステーション(竹中ナミ理事長)と読売新聞社は24日、都内で年齢、性別、障害の有無にかかわず誰もが生き生きと暮らせるユニバーサル社会の実現を目指すシンポジウムを開催した。ダイナー・コーエン米国防総省電子調整プログラム(CAP)理事長が最新の科学技術を用いた障害者の就労支援の活動を紹介したほか、与野党の国会議員も訪れ、「ユニバーサル社会基本法」の制定を超党派での検討も含めて進めていく決意を表明した。
 「活動理念は、『すべての人が誇りを持って生きられるようにすること、それが国防の第一歩』です」
 米国防総省は、その名の通り日本の防衛省にあたる国の機関。来日講演したコーエン米国防総省CAP理事長は、防総省の最新の科学技術を用いた障害者の社会復帰支援の活動を紹介した。
 1990年に創設されたCAPでは病床軍人の社会復帰を支援する活動をきっかけに、現在では障害を持つ全ての国民を対象に防総省が持つ最新の科学技術で社会復帰を進める活動を行ってきているという。具体的には、IT技術を活用し四肢が不自由でも入力できるキーボードや音声入力装置でパソコンを使った仕事などが可能で、そのための訓練プログラムも開発されている。米国の省庁でも既に、目が見えない秘書や両手の先を失った公認会計士や省庁の長官クラスでも障害を持った人が活躍しているという。これまでにCAPで支援した人の数は6万人以上だ。
 「日本でも変えていく決意と思いがあれば、誰でもチャンスを得られる社会をつくっていくことができる」とエールを送った。(以下略)

専任教員や実習施設の要件引き上げ

厚生労働省は24日、昨年改正された社会福祉士及び介護福祉士法の施行に向け、養成施設のカリキュラムや指定基準、実習施設の要件などの改正省令を交布した。介護福祉士養成施設については、再編された教育分野ごとに実務経験のある介護福祉士や医師・看護師等の有資格者を専任教員として配置を義務付ける。また、実習の質確保のため、サービス提供のマニュアル整備や職員研修を計画的に実施している事業所を必ず実習先として確保しなければならなくなった。実習指導者の養成講習も来年度から新たに始める。2009年度から施行するが、既存施設については3年間の経過措置を設けるとした。
 改正社会福祉士・介護福祉士法では、受験資格要件の見直しのほか、養成施設の教育内容を拡充し、教員や実習施設の要件も見直すことが柱だ。これまで文部科学省の指導監督下にあった介護福祉士養成科目を持つ福祉系高校も養成施設に準じた教育内容や教員配置基準を課し、厚労省が指導監督を行うようになることから、今回両省合同での省令改正となった。
 新たな養成施設指定規則ではまず、社会福祉士の教育時間を現行の1050時間から1200時間以上に、介護福祉士は1650時間を1800時間以上に引き上げ、科目や教育時間も大幅に拡充する。社会福祉士の科目は13から19科目に。介護福祉士の場合、これまでの「基礎」「専門」の2分野で講義主体だった教育内容を、新たに「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」の3領域に再編し、演習・実習を主体とした内容に組み替える。現在は3年以上の実務経験があれば介護福祉士試験の受験資格が得られる介護職も、2012年度からはこの養成課程を6カ月以上(600時間程度)受講しなければならなくなる。 教育内容の拡充に合わせ、養成施設の指定基準や実習施設の要件も引き上げられる。(以下略)

癒しと学びの場に集まれ看護師さん 

 セカンドオピニオンの取得など医療機関と患者・家族との間をつなぎ、患者が納得した医療を受けることを支援する医療コーディネーターの養成・紹介事業を行っている楽患ナース(東京都足立区・岩本貴社長)が3月3日、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を開設し、看護師の新しい仲間づくりにつながるなど盛り上がりをみせている。「同じ悩みを持つ看護師が集まる癒しの場、明日への活力と知識や技術を高める学びの場にしていきたい」と岩本ゆり取締役は設置の目的を話している。
 SNSは、ミクシィなどで知られるインターネット上の会員制のコミュニティサイトだ。会員が作ったブログに他の会員が訪れ、意見を書き込んだりと情報交換できるのが特徴。「自立した看護師のSNS」がミクシィと違うのは、参加資格は看護師資格者であることと、どの会員のページにも自由に訪れることができる点だ。他にも、トピックスを設けて意見交換することもできる。
 「看護の専門性をもっと発揮したいと考えていながら悩んでいる看護師は多い。それは訪問看護師など独立して事業を行う人だけでなく、病院勤務であっても同じです」(以下略)



シルバー新報 2008年3月21日号の主な記事 見出しと要旨

社会福祉法人経営合理化へ合併マニュアル

厚生労働省は社会福祉法人の経営の合理化を進める。社会・援護局長、経営者、識者などで構成する社会福祉法人経営研究会が「合併・事業譲渡・法人間連携の手引き」を3月末までにまとめるのを受け、新年度は具体的に推進するためにアドバイスを行う経営支援協議会を設置するモデル事業を10都道府県で行う。介護保険の導入などの相次ぐ制度改革や社会保障費の削減で、公費での丸抱えを前提にした運営が難しくなり、経営の自立を促さなければならない状況だ。今後はこれまで社会福祉法人では実績のない事業の有償譲渡についても可能性を検討していくという。(もっと読む)

退職金の資金など融資

療養病床から老健施設などの介護保険施設への転換を促すために、福祉医療機構は4月から、今年度実施した貸付金利優遇措置に加えて、償還期間の延長や転換を受けて人員を削減する場合の退職金資金の融資など新しい転換支援制度を開始する。
 同機構は、療養病床を持つ医療機関が、老健施設や有料老人ホーム、ケアハウス、グループホームなどに転換する場合に、融資条件を優遇している。高齢者専用賃貸住宅に転換する場合は対象外だ。
 新しい「療養病床転換支援資金」は、現在の療養病床の増改築などのために民間金融機関から借り入れた債務や、職員の退職金などに必要な運転資金が貸付の対象で、貸付限度額は原則4億8千万円。償還期間は10年以内。利率は年1・6%(3月12日現在)で、担保、連帯保証人が必要。期間は、介護療養病床が廃止となる2011年度まで。
 療養病床の整備費にかかった借入金の残高の償還期間も10年まで延長可能(合わせて30年が限度)となる。 
 同機構は、今年度から老健への転換分の施設整備費の貸付金利を、通常より0・1%低く設定して利用を促していたが、利用実績はゼロ。診療報酬や介護報酬も決まらない中で、多くの病院が「様子見」を決め込んでいた。(以下略)

75歳以上世帯2倍に

 75歳以上が世帯主の世帯は、25年後の2030年に現在の2倍に増加し、特に単独世帯は429万世帯と2・18倍になることが、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計から分かった。現行の社会保障制度は世帯が基本単位となっており、実態からずれているとの指摘もある。介護保険制度も、家族介護を前提とした在宅サービスのあり方などを根本的に見直す必要に迫られる。
 06年12月に推計した将来推計人口を基に2030年までの日本の世帯数を推計した。日本の一般世帯総数は05年の4906世帯から15年には5060世帯に増加するものの、30年には4880万世帯に減少。この間の総人口は05年1億2777万人から、30年1億1522万人まで減少が続く予想だ。(以下略)

介護福祉士で生活できる仕組みを

全国老人保健施設協会(川合秀治会長)は18日、都内で昨年12月に施行された改正介護福祉士法を踏まえ、介護職員の将来像を考える公開シンポジウムを開催した(写真)。介護職員の確保難が危機的な状況にある中で、介護福祉士となるためのハードルを大幅に引き上げる内容に対して、「資格に見合う賃金を保障できる仕組みをつくるべき」と、介護報酬の引き上げが必要とする一方で、事業者側でも介護職員が人生の将来設計を抱けるような雇用管理モデルを提示していく必要があるとの意見が出された。
 厚労省が05年に行った調査によると、老健施設は常勤介護職のうち5割近くが介護福祉士資格者となっており、介護保険3施設のなかでも最も有資格者の比率が高かった。介護福祉士法改正の影響は、老健施設全体に及ぶという問題意識がある。
 シンポジウムではまず、国家資格であるのに取得しても生活を成り立たせるのが難しいほど低い介護福祉士の賃金水準について取り上げられた。
 神奈川県で小規模多機能型居宅介護などを運営する柴田範子樂理事長は、「改正法では質の向上のための研修が強化されているが、ぎりぎりの人員で事業者としては研修に出す余裕がない」と話し、実務を経て受験する人にも600時間の研修を義務付ける改正内容に疑問を呈した。
 同様に事業者の立場から発言した平川博之同協会研修委員長は、「協会の調査では、厳しい経営環境のなかでも介護職員の給与を毎年上げていることが分かっている。だが、人件費率も50%を超え、事業者努力はもう限界だ」と国は事業者の経営努力や介護職の”まごころ”に頼るのをやめ、労働環境改善に向けた抜本的な支援策を打ち出すべきと訴えた(以下略)

宅老所の有料老人ホーム届け出

 2006年度の老人福祉法改正で、有料老人ホームの定義が「1人以上入居し、食事、介護、家事など何らかのサービスを提供していること」に変わり、いわゆる宅老所など民家を活用した小規模施設にも当てはまるようになった。厚生労働省は、「入居者保護の観点から届け出は必要」と、実態把握に努めて届け出を受理するよう指導してきたが、該当するかどうかの判断に苦慮している自治体は少なくないようだ。「多様な実態があり、そもそも有料老人ホームと同じ基準で指導することに無理がある」という声も少なくない。いくつかの自治体に現状を聞いた。
 沖縄県では1月11日、老人福祉法の改正に伴い有料老人ホームの設置届け出が必要となった施設の「当面の処理方針」を決めた。もともと定めていた県の有料老人ホームの指導指針では、居室はプライバシーが確保されるドアのついた「個室」で、なおかつ10・65平方m以上が原則となっている。これを満たさなくても有料老人ホームとして届出を受理できるようにする方針を示したものだ。
 県では、06年度の法改正以降、新しい有料老人ホームの定義に当てはまることになった10人以下の小規模施設に対し、届け出を行うよう指導してきた。しかし、事業者側から提出された書類では、指針の基準を満たさない民家改修型が大半。結局、届け出されたうち121件が受理できない状態となっていた。(以下略)



シルバー新報 2008年3月14日号の主な記事 見出しと要旨

業務管理体制を義務化

政府が4日閣議決定した改正介護保険法案はコムスン事件の反省を踏まえ、法人である事業者への指導と利用者保護などを強化した内容だ。具体的には、事業者に対し、法令遵守を徹底するための「業務管理体制」の整備を義務付け、違反があった場合には立ち入り検査や改善勧告、命令ができるようにする。事業所が廃止・休止した場合のサービス継続については、これまでは法律上無策といえる状況だったが、利用者のサービスの継続のための調整を事業者に義務付ける。廃止届けも事前届出に変更し、行政も関与できるようにした。(もっと読む)

障害者自立支援法の新報酬単価案

 厚生労働省はこのほど、障害者自立支援法に基づく4月からの新報酬単価案を明らかにした。来年度は与党プロジェクトチームの報告書を受け、緊急措置による事業者支援が強化されるため、通所サービスの単価引き上げを始めさまざまな緩和措置が講じられる。主な改正項目を取り上げる。
●通所サービス4・6%アップ、定員超過減算も緩和
 通所サービスは利用実績に応じた「日額払い方式」。欠員などによる利用者数の確保が不安定なことから、支援費制度と比べて大幅に減収となったところが多く事業者から最も不満があった点だ。08年度末までは従前報酬額の9割を保障する激変緩和措置を講じることになっていたが、根本的な問題は解決されないとして、来年度からは単価設定にかかる「利用率」を見直し、単価そのものを4・6%ずつ引き上げることになった。
 児童デイサービス、宿泊型・訪問型の自立訓練以外の通所系サービスすべてが対象だ。
 また、定員を超えた場合の利用者の受け入れ基準も緩和する。具体的には過去3カ月間の延べ利用者数が、定員に開所日数を乗じて得た数の125%増しまで、あるいは1日あたり定員の150%増し(定員50人以下の場合)までの受け入れを可能とする。(以下略)

総合的に診る医師養成 日本老年医学会が専門医対象に研修会

 後期高齢者を総合的に診ることのできる医師の養成が急務――。4月から始まる後期高齢者医療制度をにらんで、日本老年医学会の関東甲信越支部は3月1・2日、学会の老年病専門医を対象にした研修会を都内で開催した。後期高齢者を総合的に診る医師に対しては、専門の研修を受けることが促されており、学会の専門医がその研修の講師を務められるよう体制を整えるねらいだ。2日間で約250人が受講し、入院医療で評価される総合的機能評価(CGA)の実施方法や検査値の読み方、在宅医療のあり方など12項目を履修した。
 新制度では、高齢者を総合的に診る医師がキーマンと位置付けられており、国は医療機関の医師がその役割を果たせるように、後期高齢者について一定の知識と診断技術を学ぶ研修を受けるよう促している。
 日本老年医学会は、老年病の研究者や専門家からなる団体。新制度に関連して一般の医師向けの研修が動き始める際には、学会の認定資格「老年病専門医」が講師を務められるよう体制を整えておこうと、昨年末から支部単位で研修会を開催している。3月には関東甲信越支部が研修会を開催。同支部に登録している専門医約560人のうち約6割の受講を目標にしている。
 同学会の理事長で、社会保障審議会医療保険部会委員の大内尉義東京大学大学院教授は、「後期高齢者を診るには特殊な診療能力が求められ、トレーニングが必要。今後一般医を対象にした研修を行う際に講師になっていただくのがこの研修会のねらいだ」と述べた上で、先ごろ決まった診療報酬から新制度に関する項目を紹介した。「総合的機能評価(CGA)の導入や入退院時の地域連携など、点数の多寡はともかく老年医学会がこれまで主張してきたことがかなり取り入れられている」と制度の方向性を評価した。(以下略)

予防マネジメントとサービスプログラムを開発

 地域保健研究会(田中甲子代表)はこのほど、2006年度に行った調査研究事業をもとに、予防訪問介護の利用者を対象とした「予防マネジメントとサービスプログラム」を開発した。予防給付で位置付けられている運動器・口腔機能向上、栄養改善の3つの予防メニューは通所サービスだけで提供される仕組みとなっているが、要支援者は訪問介護だけを利用するケースも多い。単にヘルパーと一緒に家事を行ったり、身体機能を向上させるのではなく、本人ができる行為を増やすことを目指しているのがポイントだ。地域包括支援センターが行う予防アセスメントツールを始め、ヘルパーが実施する予防メニューのプログラム化、評価方法まで一連のプロセスを提案している。
 「『在宅版』介護予防プログラム」の開発にあたっては、@マネジメント、A運動機能・生活向上、B栄養・食改善、C口腔機能向上、のそれぞれについて専門職が中心となった研究班を編成してプログラムづくりを行った。地域包括支援センターでマネジメント全般を担うプロセスは現行制度上と変わらないが、利用者が日常生活を送る上で「している・していない」「できる・できない」行為をより詳細に把握できるよう、現行の基本チェックリストに新たに30項目を追加し、提供する予防プログラムの重点領域がひと目で分かるようにするなど、独自の帳票類を作成したのが最大の特徴だ。(以下略)

介護人材確保に団塊の世代を呼び込み

2年制の介護福祉士養成コースを開講している早稲田福祉専門学院(東京都新宿区・寺本雅夫学院長)と埼玉県の団塊世代活動支援センターは6日、さいたま市内で団塊の世代をターゲットに絞った介護の仕事の紹介セミナーを初開催した。景気の回復傾向など”成り手”の減少から福祉系専門学校の定員割れが進んでいる。今までの効率とスピードばかりが求められる仕事と違う介護の仕事に魅力を感じているビジネスマンも多いようだ。
 早稲田福祉専門学院は、1992年に創立。1学年66人の2年制で介護福祉士養成コースしかない小規模な専門学校だ。以前から、積極的に社会人学生を受け入れており、現在も19歳から63歳までが一緒に学んでいるという特徴がある。2007年4月に団塊世代の地域活動支援などを目的に設立された埼玉県が運営する団塊世代活動支援センターと中高年の再就職、転職支援の点で思惑が一致し、今回のセミナーの実施につながったという。
 セミナーでは同学院の今泉夕佳事務局長が団塊の世代は「3度介護に出会う」とし、親の介護、自分の介護予防とともに「地域社会貢献として仕事として介護にかかわる選択肢もある」と介護の仕事を紹介。「06年度の全国の有効求人倍率は1・02。一方、埼玉県の介護関連職は2・39。学院の卒業生は50代でも正規職員として採用されている」とアピールした。(以下略)



シルバー新報 2008年3月7日号の主な記事 見出しと要旨


介護療養病床の8割を維持

社会保障審議会介護給付費分科会は3日、療養病床からの転換の受け皿とする新しい類型の介護報酬を諮問どおりに答申した。通称は「介護療養型老健」。同省によるモデル試算では、介護療養病床と比較して8割程度の水準。必要な医療行為を積み上げて報酬設定しており、懸念されていた医療難民はでないというのが同省の考えだ。しかし、保険者側にとっては転換による財政の削減効果は当面は見込めない数字といえる。来年に迫った保険料改定は難航が予想される。(もっと読む)

介護保険担当課長会議開く

 厚生労働省は2月27日、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議を開催した(写真)。療養病床からの転換分を受け入れながらの第4期介護保険事業計画の策定、事業所の事務負担軽減、ヘルパー1級課程の2012年度の廃止など、老健局の各担当課から重点事項について説明が行われた。
 療養病床の再編の道筋が見えない中で、都道府県、市町村は来年度中に第4期介護保険事業計画を策定することになる。最も課題になる施設サービス量の見込みについて、14年度の目標数を要介護2以上の認定者数に対する割合を37%以下とする原則は変えず、医療療養病床からの転換分は別枠で受け入れるようにすることなど考え方を示した。また、介護予防事業については来年度は事業の効果を評価する年にあたることから、評価結果をもとに推計値を見直す方針を示した。
 介護療養病床は第4期事業計画の終了年である11年度末で廃止。医療療養病床は医療費適正化計画で都道府県が設定した12年度末の必要数がベッド数のマックスになる。必要数を超えた医療療養病床から介護保険施設の転換数については、無条件に認める方針がすでに示されており、介護保険事業計画はこれらを織り込んで策定することになる。 具体的には、施設数の見込みの基本的考え方である「14年度の目標数を要介護2以上の認定者数に対する割合を37%以下」の原則は変更せずに、必要数を超えている分の医療療養病床のベッド分を施設見込み数の「外数」として扱うよう求めた。市町村が指定する地域密着型のサービスに転換する場合も、必要利用定員数を理由にした指定拒否の仕組みは適用しない。つまり、「原則」以上の介護保険施設を介護保険が抱えることになり、特に、療養病床の過剰地域では介護保険料が高騰することが懸念される。(以下略)

介護保険料の賦課方式 保険者9割が「問題」

 厚生労働省は2月29日に開かれた「介護保険料の在り方等に関する検討会」で全国の保険者に対して行った介護保険料についてのアンケート調査結果を提出した。9割の保険者が将来的に現行の賦課方式では問題が生じると考えていることが分かった。しかし、「見直すべき」と「現行のままでよい」とする回答はほぼ5割で拮抗しており、早急な賦課方式の変更には疑問符がついた。見直す場合の方式としては、「現行の段階別定額制の拡大」と「『定率制+定額制』あるいは「定率制のみ」」が4割程度で並んだ。
 現行の第1号の介護保険料は定額制を基本に、低所得者に配慮して所得区分に応じた階段状の「段階別定額制」で設定されている。住民税の課税状況と連動した仕組みになっているが、世帯内の被保険者本人以外の課税状況により保険料が変わってくること、近年の税制改正で所得に変化がなくても保険料が急増するケースがあるなどの問題点が指摘されていた。今年4月に創設される後期高齢者医療制度は「定率制+定額制」で、保険者には住民の理解が得にくくなりかねないという懸念もある。前回の検討会で、当面は「段階別定額制」の所得区分を保険者の裁量で細かく設定することになったが、抜本的な改革は引き続き検討課題になっている。(以下略)

>訪問看護報酬・制度改正「3団体協同」を宣言 

 日本看護協会と日本訪問看護振興財団、全国訪問看護事業協会の3団体は3日、今後の訪問看護分野での介護報酬の改定・制度改正への提言活動や研究・教育事業を共同して行っていくことを明らかにした。中重度者の在宅生活の継続に不可欠なサービスとして必要性が増している訪問看護ステーションだが、事業所数は伸び悩んでいる。訪問看護の制度や経営上の課題を解消しなければ需要に応えられないとして、3団体が力を合わせて取り組んでいく考えだ。訪問看護師の支援方法の体系化や教育について、これまでは各団体別々に実施していたものを共通の理念の元に再編し、来年度から本格的に活動を開始する。
 3団体は3日、都内で研究報告会を開き、その場で「訪問看護活性化のグランドデザイン」を発表した。10年後の2018年に誰もが安心して在宅での24時間365日の療養生活を送ったり、看取りができるようなサービス供給ができるようにすることを目指す将来像を提示。これを実現するために訪問看護分野での制度や経営上の課題、人材育成などの教育事業に取り組んでいくことを宣言した。 具体的には、@訪問看護のニーズの適正な把握と整備目標を設定、A事業経営の安定化のための方策の検討、B訪問看護ステーションの電話対応や記録・請求業務、衛生材料の供給などを地域で一括して請け負うセンター設置の検討――の3項目だ。(以下略)

”ローカルルール”に負けない!

 給付適正化の流れと相まって都道府県や市町村による指導が年々厳しくなっていることに、泣かされているケアマネジャーは少なくないだろう。利用者の実態を勘案せずに書面だけで判断する画一的な指導も不満の種だが、さらに厄介なのは自治体ごとに解釈が違う、いわゆる”ローカルルール”の運用がまかり通っていることだ。こうした状況を改善しようと、東京都介護支援専門員研究協議会(鈴木博之理事長)では、給付算定についてケアマネジャーが保険者に照会した事例を集めて、保険者間の解釈の差異を明確にしていく活動を始めた。「真に必要性のあるケースについてはきちんと算定がされるよう、少しずつでも事例を積み上げていけば、共通ルールを増やすことができるかもしれない」。ケアマネジャーが利用者のために働くことができる環境をつくりたいと意欲を見せている。
 同協議会がこのほど作成したのは「介護給付に関するFAX報告フォーム」だ。ケアマネジャーの名前と連絡先のほか、介護報酬の算定に関する疑義について保険者に問い合わせた内容や、指導検査で不適切と指導を受けたものの疑問点が残った場合など、保険者とのやりとりを具体的に書き込むようになっているA4サイズ1枚の様式だ。
 同居家族がいる利用者への生活援助の適応や通院介助の算定の解釈など、各保険者や都道府県が行っている指導内容にバラつきがあることは以前から指摘されている。報告フォームは、そうした事例を集めるためのものだが、単なる実態把握が目的ではない。
 「目的は、保険者ごとに解釈が異なるために、利用者が不利益を被ることのないようにしていくこと。それを主張するための材料をケアマネジャーに提供することです」(以下略)



シルバー新報 2008年2月22日号の主な記事 見出しと要旨


「4月から引き下げ」大勢 情報の公表手数料

 介護サービス事業者から「高すぎる」との大ブーイングだった情報の公表の調査事務手数料・公表事務手数料について、大半の都道府県が来年度から引き下げる見通しであることが本紙の調べで分かった。新年度から予防サービスやショートステイなど22サービスが公表対象に加わるが、別途手数料は徴収しないというのが大勢だ。「制度施行から2年が経過し、事務作業の効率化が進んでいる」というのが引き下げの建前の理由だが、事業者からの突き上げや、厚労省からの引き下げ圧力がかかったことが実際の理由のようだ。(もっと読む)

転換老健の全体像を提示 介護給付費分科会

  厚生労働省は20日、社会保障審議会介護給付費分科会に療養病床からの転換の受け皿とする新しい類型の老人保健施設の報酬骨格、施設要件などを示した。新名称は「介護療養型老健」とする。夜間も配置できるよう看護師は6対1、現在の介護療養病床で最も多い介護職の4対1も当面の間維持する。看取りや医療保険から急性増悪時の加算が取れるようになるなど転換による影響は最小限に抑えられたといえる。しかし、「病院から入所した人の割合が家庭からの入所の35%以上」や医療行為の必要な人が一定以上いることが算定要件。転換から時間がたって家庭からの入所が増えたり、軽度の人が増えた場合には、通常の老健の報酬を算定するようになる。「なし崩し」的な転換推進策といえる。
介護療養病床からの転換を推進するために前回の改定では、「経過型介護療養病床」が設けられているが、さらに4月から老健の類型の中に「転換型」が設けられることになる。報酬水準も、「経過型」と通常の老健の中間に位置付けられる見込みだ。(以下略)

介護給付 島根県が適正化計画

 島根県は15日、県内の13保険者が08年度から実施する介護給付適正化事業についてまとめた「県介護給付適正化プログラム」を公表した。ケアプラン点検や要介護認定など7項目の適正化事業について保険者ごとに実施開始年度や取り組み内容を記載しているが、同プログラムはあくまで「第4期介護保険事業計画策定に向けた適正化分野の指針」と位置付け、事業の詳細は各保険者が次期事業計画の中で最終決定するものとしている。厚生労働省は、全都道府県に対して同様の計画を今年度中に策定するよう求めている。
 県はプログラムに、13ある保険者ごとに、要介護認定の適正化、ケアプランの点検、福祉用具レンタル・購入、医療情報との突合など厚労省が主要適正化事業と位置付けている7項目について、現在までの取り組み状況や実施開始年度、今後の方向性を記載している。「実施しない」場合の補完措置の内容も示した。厚労省は「10年度の100%実施」を求めているが、保険者ごとの現時点での実施見込みを踏まえ、県は実施率をケアプラン・介護給付費通知は10年度に69%、認定調査状況のチェック100%などとしている。。(以下略)

生活援助 制限の実態変わらず

ホームヘルパーが個人単位で加入できる全国組織「ホームヘルパー全国連絡会」が17日に開催した全国交流集会では、現場の介護職員から各自治体が行っている生活援助の「制限」の実態が報告された。昨年12月に厚生労働省は、訪問介護の生活援助について同居家族の有無のみで一律に「利用不可」とするのは適切でないとする事務連絡を出しているが、実態はまだ変わっていないようだ。国や自治体に対して制度改善を求める声を挙げていこうとアピールもまとめている。厚労省は昨年12月20日に「同居家族がいることのみを判断基準とする一律の生活援助の制限は適切でない」とする事務連絡を発出した。改正介護保険以降に、これまでは利用できていた生活援助を打ち切る市町村が相次いでいるとの指摘を受けて、個々の利用者の状況に応じた判断をするよう改めて周知したものだ。(以下略)

急増する有料ホーム紹介業3

ネットや電話で施設に関する資料請求を受けたら直ちに、施設側に連絡をする。連絡を受けた施設からは営業マンが請求者のもとに駆けつける。最もシンプルな有料老人ホームの紹介事業はこういうかたちだ。 つまり、情報を右から左に流すだけ。これで入居契約が成立すれば最低でも数十万円の手数料が紹介事業者に支払われる。
 ウェブサイトと電話があれば開業は簡単。施設の営業マンがヒモ付きで独立開業というのもよく耳にする話だ。小さな事務所に数人の相談員をを置いて、サイト一つで年間七千万円以上を売り上げたというツワモノも実在する。この数年で首都圏を中心に雨後の筍状態で増え続け、80社以上が存在するという説もあるが、全貌は藪の中だ。
 「最近ではどっちが先に『ツバをつけたか』で紹介業者同士のトラブルになることもあります」(業界関係者)
 2つのサイトで同じ施設の資料を請求した場合に、起きる問題だ。情報を「右から左」に流すだけだから起きる。事業者と紹介業との間で、同じ顧客の情報提供を受けた場合は「早い者勝ち」のルールを設けているケースもある。
 何気なく資料請求をした利用者がネットの裏でこんなドタバタが繰り広げられていることを知ったらびっくりすることだろう。もう一つ知っておいてほしいのは、個人情報の扱いも「無法地帯」といえる状況にあることだ。前述したようなビジネスモデルがあり、紹介業者としては一刻でも早く個人を特定できる情報をホーム経営者に伝える必要があるためだ。(以下略)



シルバー新報 2008年2月15日号の主な記事 見出しと要旨


居住系への在宅医療 大幅減

今年4月からの診療報酬が、13日に決まった。有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅などへの在宅医療、訪問看護が引き下げられ、療養病床から転換した老人保健施設への夜間、休日の往診が創設される一方、医療療養病床の報酬は引き下げに。介護保険やこれにかかわる事業者にも密接にかかわる部分をピックアップする。(もっと読む)

年金天引きへ秒読み段階

 75歳以上の被保険者全員から保険料が徴収される後期高齢者医療制度。施行される4月当初から安くない保険料が年金から天引きされる高齢者もいる。施行まで2カ月を切った6日、厚生労働省は、都道府県の老人医療課長や後期高齢者医療広域連合事務局長を対象とした会議で、被保険者の類型ごとに異なる保険料徴収の方法などの周知徹底を求めた。年金制度への信頼が根幹から揺らいでいる中での年金からの「強制徴収」となる。自治体や同省への問い合わせ殺到は不可避といえそうだ。
 4月の施行を目前に同省が重要視するのは「制度の広報活動」だ。今月中には、被保険者ごとに算定した保険料額について、制度施行を待たずに、現時点の見込み額として可能な限り情報を提供するよう求めた。
 同省の昨年12月のまとめによると、全国の後期高齢者医療保険料の1人あたり平均額はおよそ年間7万2千円。8〜9万円台の広域連合も複数ある。
 年金額が一定額以上の被保険者は、年金からの天引きが行われるが、天引き開始時期は、新制度施行前に加入していた制度ごとにバラバラだ。(以下略)

転換老健で現場ヒアリング 社保審分科会

 社会保障審議会介護給付費分科会(大森弥分科会長)は8日、療養病床からの転換の受け皿とするために老人保健施設の中に医療機能を強化した新しい類型を設けることについて関係者からのヒアリングを行った。「このまま進めば生き地獄」。介護療養型医療施設の存続を求める会の吉岡充上川病院理事長は訴えた。一方、保険者側は、新たに設けられる老健の報酬が廃止になる介護療養病床と比べて低くなるよう求めており、財政面から廃止は当然の立場で平行線は変わらない。新報酬は来月3日に示される予定だ。
「平均在院日数の数え方には除外規定があり、一般病棟の中に寝たきりの高齢者は多い。中途半端な一般病棟こそ無くすべき」
 そう訴えたのは、日本療養病床協会の副会長で徳島県博愛病院の武久洋三理事長だ。さらに、病院の耐火基準より老健のほうが厳しいことや、医療設備のある病院では老健の居室面積の基準である「8平方m」を満たすことは難しいなど現実的な転換の「カベ」を指摘。転換先の新しい施設の類型は「医療のできる介護施設であるべき」とした。
 「転換推進にあたっては地域性に配慮すべき」としたのは東京にある永生病院の安藤高朗理事長だ。東京は人件費などコストも高く、経営的に他の地域より厳しいだけでなく、さらに深刻な人手不足の状況がある。介護療養病床の数も人口比でいけば少なく、そもそも「不足状態」という。転換を推進するにあたっては、「最低でも看護6対1、介護4対1を継続しないと夜間体制もおぼつかない」と訴えた。(以下略)

介護報酬 加算・減算の点検

 報酬加算の検証を行う2つめのテーマは、特養ホームに新設された「看取り介護加算」だ。常勤の医師の配置義務がなく医療体制の薄い特養でターミナルまで対応する体制を整えることは、入所者の重度化が進む現場や市民団体からも強い要望があった。まずは数回にわたり現場の評価を紹介する。
 「看取り介護加算」を算定できる施設は、まず「重度化対応加算」を算定していることが条件だ。医療ニーズと切り離せないターミナル期まで対応するため、常勤看護師の配置や病院等との連携などの体制を整えた上で、介護職や家族の協力を得て施設での看取りを行った場合に初めて算定できる。報酬改定時には、厚労省も中重度者に対するケアを進めていく観点から、要件のハードルは比較的緩やかに設定して普及させていきたいとしていた。
 神奈川県小田原市の特養ホーム潤生園(100床)は、これまでに320人を施設内で看取ってきた全国的にも「終の棲家」として知られる施設だ。施設で看取った人は、退所者全体の55%と、全国平均(03年厚労省調査)25・8%の2倍以上。平均要介護度は療養病床とほぼ同じ4・2。入所者の平均年齢は87歳。
 これだけ高齢化・重度化が進んでいる背景には、同園が29年前の開設当初から「特養にターミナルケアは必要不可欠」という方針を明確に打ち出し、積極的に重度の利用者を受け入れてきたことが大きい。(以下略)

小規模多機能サービスは今

 2006年制度改正で創設された「小規模多機能型居宅介護」は、利用者のニーズに応じて通所や泊まり、訪問サービスを柔軟に組み合わせて提供することで、要介護になっても住み慣れた地域で暮らし続けられるようにすることを目指したサービスだ。厚生労働省は在宅支援の新たな切り札として推進しようとしているが、2年近く経った現在でも指定事業所数は1313カ所(1月31日現在、WAM NET)と低迷している。指定を取った事業者からは、きめ細かな対応をすればするほどスタッフの負担が大きくなるなど、運営を軌道に乗せる難しさを訴える声が上がっている。さらに、モデルとされていた宅老所のほとんどは新制度に転換していない。新たな仕組みの課題はどこにあるのか。
 ベテラン
 も手探り 「始める前からそう簡単な事業ではないだろうと覚悟はしていました。でも、考えていた以上に厳しいのが現実です」
 埼玉県新座市に昨年2月からオープンした「まどか」は、市内第1号の小規模多機能型居宅介護事業所だ。運営主体のNPO法人暮らしネット・えんの代表理事を務める小島美里さんが、現在の状況についてそう話した。
 「えん」はもともと、全身性障害者の生活支援を行うボランティアグループとして発足。ひとり暮らしの高齢者や筋ジストロフィーの障害者、精神障害者など、地域の中で支援を必要とするすべての人を対象に、ホームヘルプサービスを始めデイ、グループホームも運営している。(以下略)



シルバー新報 2008年2月8日号の主な記事 見出しと要旨


基礎研修 「ヘルパー2級の現任研修に」

 大阪府内でホームヘルパー養成研修を行っている民間事業者で組織する大阪府訪問介護員養成研修事業者協議会(黒田輝政理事長、大阪訪養協)はこのほど、介護職の研修体系についての提言書をまとめた。現役ヘルパーが働きながらスキルアップできるようにするため、ヘルパーも含む介護職全員への義務化を目指して2006年度から始まった500時間の「介護職員基礎研修」を、ヘルパー2級取得者の現任研修として位置付けることなどを求めている。大阪訪養協の調査では、現在働いている介護職の大半は40〜50代の2級ヘルパーであり、現任研修の受講率も低く現時点でも研鑽の機会が思うように得られていない。単なる義務付けでは、現役で働く人がこぼれるだけでなく、最初の入り口でも介護職を目指す人が減ると懸念している。(もっと読む)

千代田区外出介助も利用OK

東京都千代田区は、来年度から軽度者向けの独自のホームヘルプサービスを拡充する。同区は介護保険制度施行当初から独居や高齢者のみ世帯の非該当者などを対象にホームヘルプを提供してきたが、4月からはこれに加え保険対象外の外出介助や同居家族がいる場合のホームヘルプを利用できるようにする。
 制度外のホームヘルプサービスは4メニュー。@非該当者と要支援1・2を対象とした生活援助(週1・5時間以内)A要介護1以上を対象とした生活援助・身体介護(週2〜10時間)B要支援1以上の外出介助(1回30分以上で週2時間)C要支援1以上の同居家族がいる世帯の生活援助(1回1・5時間、週2回)。利用者負担は、生活援助は30分〜1・5時間で220円〜400円。身体介護は30分〜2時間で250円〜720円の設定で、この10倍が事業者の収入となる。
 @とAは制度導入時から非該当者や支給限度額を使い切ってしまう要介護者を対象に市町村特別給付で行ってきた事業。月に45人程度が利用。4月以降は、外出介助と同居家族がいる場合のホームヘルプが追加される(以下略)

昨年5月から3人死亡 介護ベッド手すり事故

今年1月、介護ベッド用手すりの隙間に首を挟まれた香川県の80代の女性が死亡したことが、経済産業省が1日に公表した製品事故のまとめから分かった。介護ベッド用手すりをめぐっては昨年5月以降、首を挟まれるなどして高齢者3人が死亡、2人がケガを負うなど5件の重大事故が起こっていることから、同省は福祉用具レンタル事業者団体やメーカーに対してヒヤリハットも含めた事例や消費者からのクレームを報告するよう求めている。情報収集の結果を踏まえた上で、必要に応じて行政指導などの対応を検討するとしている。
 同省は昨年5月、消費生活用製品安全法の改正を受けて、製品メーカーに対して重大な製品事故が発覚した場合は10日以内に同省へ報告するよう義務付ける制度を開始した。
 この制度に基づき昨年5月以降、介護ベッド用手すりに関して報告された事故は5件。うち3件は死亡事故だった。今月21日に発生した香川県の女性の事故のほか、昨年5月には兵庫県の男性の衣服がベッドの手すりの固定用ノブに引っかかり窒息死、12月には愛知県の60代の男性が手すりの隙間で首を吊った状態で死亡していた。いずれも要介護者が1人のときに発生していた。
 兵庫県の死亡事故ではプラッツのスイングアーム式介護ベッド用手すり、昨年11月の東京都の事故ではパラマウントベッドの同式の手すりが使用されていたことが公表されている。調査の結果、一定程度製品に事故原因があると判断されたかたちだが、リコールは行われていない。同省製品事故対策室は「使用者が要介護者の場合、問題が製品にあったのか、使用上の問題だったのかを断定するのは非常に難しい」と話す。(以下略)

研修講師はヘルパー自身

名古屋市で訪問介護と居宅介護支援、保健指導サービスを提供しているみなか(鈴木恵美子代表取締役)では、毎月1回開催する社内研修の企画・運営を、登録ヘルパーも含む職員全員が交代で担っている。これまで経験だけでやってきたことも、講師として人に教えるとなれば理論や根拠から勉強し直すことになり、伝える力も身に付いていく。50代、60代になってヘルパーとして働いている人でも、「成長し続けられる喜び」を感じてもらえるようにするのが同社の基本的な教育方針だ。
 「2007年4月・ケアスタッフに求められる観察・報告力とは」「12月・コミュニケーション能力を高める」「2月・ベッド上の洗髪」――。代表取締役の鈴木恵美子さんが見せてくれたのは、昨年4月に作成した07年度の訪問介護員研修計画書だ。決まっているのは向こう1年間の研修テーマだけでなく、担当する講師役も。同社に勤務するヘルパーの名前がずらりと並んでいる。
 鈴木さんは、看護師と保健師の免許を持ち、企業の健保組合で訪問相談を行っていた際、組合員の家族から介護の相談を受けることが多かったのを機に、自ら在宅生活の支え手になりたいと考えて04年に「みなか」を設立。職員の採用面接では、「おむつ交換」を始め「口腔ケア」「吸引」「調理」などの主な介護技術について、どの程度自信を持ってできると考えているのかを自己評価してもらっていたのだが、ヘルパー研修を修了してもおむつ交換さえ自信がないと答える人がいたり、介護福祉士でも利用者の状態を報告したり記録に残したりすることはお手上げ、という人もいた。
 「利用者の方にとっては、未経験のパートでもベテランでも同じ会社のヘルパーですから、みんなにプロ意(以下略)

新・急増する有料ホーム紹介業 「選ぶ」時代の舞台裏 

 首都圏を中心に介護付き有料老人ホームなど民間の老人ホームなどが急増するのに伴い、施設を探す利用者と施設の橋渡し役として「紹介業」という新たなビジネスが生まれている。正確な実態は分からないが、首都圏を中心にすでに50社を超えるという調査もある。最大手とされるみんかい(東京都品川区、山崎保社長)でも約10年と歴史は浅く、課題もあるが、本格化する「選ぶ時代」に向け、可能性を秘めているともいえる。業界の動向を紹介する。
 一都三県で特定施設の指定を取った介護付き有料老人ホームは、793カ所。うち、最も多い東京には359カ所がある。利用者数にほぼイコールと考えられる請求件数をみると、東京の特定施設は月1万9千件。特養ホームの3万4700件には及ばないものの、老人保健施設の8700件、介護療養病床の2600件を大きく上回る。特養には順番待ちの長蛇の列があり、入所は簡単ではない。首都圏の住民にとって、「施設選び」といえば、有料老人ホームのことといっても過言ではない状況だ。価格やサービス、契約内容もそれぞれで多様化の一方。自分や家族にとってどこが一番ぴったりくる施設かが消費者にとってますます分かりにくくなっており、紹介センタービジネスの成長を後押ししているかたちだ。
 「事業を始めた頃は有料老人ホームの数自体が100カ所もなく、売り手市場で、紹介センターなんてという雰囲気でした。状況が変わったのはこの5〜6年。介護保険ができて、ケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーからの相談が増えてきた。今では有料老人ホームにとってなくてはならない存在になっています」
 そう話すのはみんかいの笹川康宏民間介護施設紹介センター所長だ。みんかいは、業界最大手で最も老舗。年間の相談件数は5千件以上。紹介した人と施設でこの10年で2597件の契約が成立した。実績をかわれて、4月からリクルートと三井物産の合弁会社が開設する介後情報サイト「かいごのみかた」に寄せられた相談への対応で業務提携した。東京、横浜、埼玉に加えて、千葉にも相談室の開設を準備中だ。(以下略)



シルバー新報 2008年2月1日号の主な記事 見出しと要旨


外国人介護士 横浜市が就労を支援

横浜市は来年度、フィリピンやインドネシアの介護士を受け入れる施設への助成や外国人本人への支援事業を1月29日に発表した市の予算案に計上した。受け入れ職員の給与の一部助成や、研修会や情報交換会の実施による国家資格取得対策・日常生活支援を行う。東京都でも受け入れ施設が行う研修への補助を予定しており、施設での人手不足が顕著な都市部の自治体がいち早く積極的な受け入れ姿勢を表明した格好だ。地方では「来年度予算案を編成中だが、事業として取り組む予定はない」という自治体もあり、温度差もあるようだ。(もっと読む)

社会保障の財源を議論

政府は1月29日、社会保障制度の給付と負担のあり方を検討する「社会保障国民会議」の初会合を開催した。毎年給付の削減を迫られている各社会保障制度の財源確保にめどをつけるため、消費税の引き上げも視野に入れた議論を展開するのがねらい。会議の下に3つの分科会を設け、6月をめどに中間報告をとりまとめ、骨太の方針の策定に反映させたい考えだ。当初は民主党など野党もまじえて財源確保策を議論するねらいだったが、民主党が参加を拒否したため、与党サイドの会議という格好となった。
 座長には吉川洋東京大学大学院教授が就任。竹中ナミプロップ・ステーション理事長、中田清全国老人福祉施設協議会副会長、樋口恵子高齢社会をよくする女性の会理事長ら高齢福祉分野の委員をはじめ連合や日本医師会、マスコミ、都道府県知事など14人が参加した。。(以下略)

介護保険国会内で見直し訴え

 介護保険は原点に帰れ  。市民福祉情報オフィス・ハスカップは1月29日、「安心して利用できる介護保険を」をテーマに国会内で集会を開いた(写真)。利用者やNPO代表、識者などが国民の立場に立った制度の見直しを訴えた。
 ハスカップでは、定期的に利用者からの電話相談を実施し、制度の課題を探っている。06年改正は、利用者に分かりづらいだけでなく、給付抑制的で、特に訪問介護が利用しづらくなったことで、在宅で暮らし続けることが難しくなっており、事業者にも厳しい内容になっているというのが発言者の共通の立場だ。
 「要支援か、要介護1でケアマネジメントの担当者も変わってしまう。楽しみにしていた訪問介護での散歩もできなくなった」
 そう訴えたのは、サービス利用者の清嶋玲子さん。
 「家族は介護従事者。4割の人が働いており、その5割が仕事に影響が出ているという調査結果が出た。ショートステイの充実は不可欠。家族の直接的な支援がないと在宅サービスが成り立たない」
 介護者サポートネットワークセンター・アラジンの牧野史子理事長は介護する家族の立場から指摘した。(以下略)

介護報酬 加算・減算の点検

今年から、いよいよ3回目の介護報酬改定に向けての議論が本格化する。2006年改定では在宅推進を名目に、細かな加算・減算が乱発されたのが特徴だったが、果たして現場での評価は。検証してみたい。今回は特養ホームの「在宅・入所相互利用加算」だ。
 特養ホームに創設された「在宅・入所相互利用加算」は、要介護度3以上の利用者が複数で交互に入所した場合、1人あたり1日30単位を加算する制度だ。利用期限は1回につき3カ月。ショートステイよりも長く、入所より短い期間を施設で過ごすことで、重度の高齢者が長く在宅生活を維持できるようにするのが目的だ。北海道などの施設が提案しモデル事業を行った。当時は「ホームシェアリング方式」と呼ばれていた。
 「この加算こそ目指す方向だと思いました」
 そう話すのは、東京都世田谷区にある区立特養きたざわ苑の岩上広一施設長だ。
 同施設は01年の開設。運営主体の正吉福祉会は他にも複数の施設系サービスを持っているが、以前から「利用者の願いは在宅での生活を維持すること。入所は必要なときだけに利用し、また在宅に戻る循環の仕組みを」という思いがあったという。相互利用加算は、そんな法人の理念に合致するものだった。(以下略)

現場発!ホントは楽しい介護の仕事 感動体験が継続の力に

愛知県北名古屋市の福祉の里(矢吹孝男社長)は1983年、たった1台の訪問入浴車と2人の社員で始めた民間入浴サービスの草分け的な企業だ。今ではホームヘルプや居宅介護支援、ショートステイ専門施設など11サービス・20事業所を展開し、職員600人を抱えるまでに拡大した。規模は大きくなっても、社長自らが仕事を通じて得た喜びや感動体験を、率直に職員と分かち合おうとする姿勢は今も昔も変わらない。そんなところに成長し続ける理由がありそうだ。
 ――報酬が上がらなければ人の定着も質の向上もできないと嘆く事業者は多いが。
 「私が訪問入浴を始めた25年前は、民間企業が自治体の委託を受けることは、まさに死にもの狂いの努力が必要だった。だが、その分、どうすれば他社よりも安くいいサービスを提供できるかを真剣に考えることができた。『1日5件の訪問を、質を下げずに10件回るようにするには』などと寝ないで考え、毎日覚悟を決めて仕事に出たものです。そういう経営者は多かったと思います。その時代のことを思えば国が決めた報酬を当たり前のように受け取れる介護保険は本当にラク。しかし、それに甘えて業績が上がらないのは介護保険のせい、働く人たちは経営者が悪いという悪循環が起き、介護業界全体のレベルが低下しているように思う。報酬も本来は国民の同意のもとで決めていくべき。そういう方向に持っていくために質を上げ、コストを下げるのが民間企業のはずです。
 国の財政事情を見れば、もう介護だけにお金を投入できない。だからこそ民間が創意工夫で面白い仕事ができるチャンスだと思っている。人が来ないと言っている事業者が多いのも同じで、あそこの会社は面白そうだなと思ってもらえるようにいろいろ考えてみるのは楽しいですよ」(以下略)



シルバー新報 2008年1月25日号の主な記事 見出しと要旨


渋谷区が独自サービス

 東京・渋谷区は、1月からホームヘルプサービスの独自提供事業を開始した。2006年度の制度改正で「サービスが使いにくくなった」という利用者などの声を受けて、事実上給付制限されている生活援助サービスを、独り暮らし高齢者や老老世帯の軽度者を中心に追加的に提供する。利用者負担や事業者への報酬は、介護保険制度とほぼ同等だ。現在、約30事業所が区と委託契約を結んでいる。5種類のメニューを用意しているが、外出介助の希望が最も高いという。都内では千代田区も同様の事業を検討している。(以下略)

人材確保で1億2600万円

東京都は来年度、福祉分野での人材確保対策や地域密着型の施設整備に力を入れる。人材確保では1億2600万円を新規に予算計上。人手不足感の高い介護施設で人材を確保するため、介護現場に関心のある人材を1日体験や2週間〜1カ月のインターンシップで試行的に受け入れ、就業につなげるほか、外国人介護職の受け入れ体制も整備する。
 東京都は18日に2008年度の予算原案を発表した。都税収入を過去最高の5兆5097億円と見込み、一般会計は前年度当初予算比3・8%増の総額6兆8560億円とした。1996年度並みの財政規模となる。
 景気回復などの影響により、都市部の人材確保難は深刻で、介護関係職種の有効求人倍率(2006年度)も全職種平均の倍近い2・72倍という状況だ。
 こうした現状を受けて、都は予算原案で「福祉人材の確保」を計上。介護施設での人材確保対策として「一日職場体験」と「インターンシップ」の2つのメニューを設定。一日体験は、介護施設での就労希望者に現場を体験してもらうことを目的に、施設に対し受け入れに要する昼食や雑費相当(1人につき日額1500円)を補助する。(以下略)

介護・障害「一本化」に依然意欲

 介護保険の被保険者・受給者範囲の拡大をテーマにしたシンポジウムが18日、長寿社会開発センターの主催により都内で開催された。昨年5月、対象拡大を検討していた厚生労働省の有識者会議は結論を先送りして一旦終了したが、引き続き合意形成を進めたいというのがシンポのねらいだ。有識者会議で座長を務めた京極高宣国立社会保障・人口問題研究所所長が「障害者施策との普遍化」に強い意欲を見せ、労働団体賛成、経済団体・保険者は反対という構図は変わらないが、「対象拡大は継続的な議題」ということを再認識させる内容となった。
 介護保険の被保険者の対象を40歳以下にも広げる案は制度当初からの懸案事項だ。
 06年度の制度改正前には、給付の増大による保険料の高騰を抑え、財政の安定化を図る目的で障害者福祉との統合で被保険者を増やす議論が争点となったが見送り。さらに、一昨年3月には厚労省が有識者会議を設置。「09年度の拡大・統合」の結論をまとめようとしたが慎重な声が大きかったため、今年5月に中間報告をまとめて、実質は見送りになっていた。
 今回のシンポジウムは、この中間報告に制度の被保険者・受給者範囲について引き続き幅広い議論を行うよう求める一文が盛り込まれているのを根拠に開催されたとしている。
 先の有識者会議でも座長を務め、介護保険と障害者自立支援法一本化の推進派である京極氏は、「実施主体が市町村であったり、支給決定手続きや利用者負担のあり方が似ているなど、非常に共通項が多いから一緒にしたほうがいい」との持論を改めて強調。財政的には以前より逼迫しており、増税もすぐに実現は難しい中、普遍化は避けて通れないと説明した。(以下略)

現場発! ホントは楽しい介護の仕事 全職員で"喜び"を共有

本紙1月1日号で特集した「ホントは楽しい介護の仕事」に、読者からたくさんの共感の声をいただいた。その中で、「実はうちでも職員の側からやりがいを発信しようという取り組みをしてみたんです」。そう話してくれたのは、東京都板橋区にある高齢者総合福祉施設みどりの苑(至誠学舎東京)だ。昨年11月、介護職だけでなく調理や事務職も含め、全職員が仕事の魅力について語り合う機会を設けた。同じ職場でも、日ごろこういうことを面と向かって話すことは案外ないものだ。広報誌にまとめ、家族や地域住民へ発信もした。
 「介護は大変だ、辛い仕事だと言われてばかりで悔しくなってしまって。私たちは辛い仕事をただただ我慢してやっているわけじゃないということを、どうにかして発信したいと思ったんです」
 そう話すのは施設長の原口美智江さんだ。
 みどりの苑は特養ホームにデイ、ショート、訪問介護、居宅介護支援を併設し、地域包括センターも運営している。職員は全体で140人ほど。そのうち6割近くが非常勤職員だが、年に3回全員が参加する研修会がある。昨年11月、原口さんはその場で「私の仕事の魅力、みどりの苑で働くことの魅力」を話し合ってもらいたいと持ちかけた。コムスン事件以来、重労働で低賃金、割りに合わない悲惨な仕事の代表格といわんばかりのメディアの報道が続き、職員に「そんなにひどい仕事なのか」と自嘲気味になる人も見受けられたからだ。
 同施設では、各部署の職員と施設長が定期的に一緒に昼食を食べて交流したり、事業計画も全職員の提案をベースに策定するなど、日ごろから"ボトムアップ型"の運営を心がけてきた。しかし、正面切って仕事のやりがいや楽しいことを話してもらう機会は、なかったという。自分の仕事の魅力を説明することに、最初は「恥ずかしい」「胸を張って言っていいことかどうか…」など戸惑いの声も上がったそうだが、いざ始めてみると。(以下略)

ヘルパー 就労延びても賃金据え置き

介護保険が始まって間もない2001年と比べ、現在のホームヘルパーの平均就労年数は4年以上延びているが、平均時給は7年間でわずか23円アップとほぼ据え置き状態となっており、2割弱だった転職・離職希望者も6割近くまで増えていることが、八戸大学人間科学部講師・篠崎良勝氏が行った調査で明らかになった。給与や各種手当、研修制度など福利厚生や労働環境整備について「必要」とするヘルパーが多い項目は正社員・非正社員を問わず増えているが、整備状況は改善されておらず、就労継続意欲の低下と無関係ではないと分析している。
 調査は介護労働者の労働環境や就労意識について、介護保険が施行されて間もない01年と07年の状況を比較する目的で行った。対象者は01年が1200人、07年が500人で、回収率はそれぞれ29・9%、26・4%。賃金・福利厚生・保険など労働環境整備に関する項目、医療行為の実施状況など、いずれも同じ質問項目を用いた。
 ヘルパーの平均年齢は01年に44・8歳だったのが07年には49・7歳となり、全体として高齢化が進んでいるが、特に20〜29歳の若年者層が13・9%から3・0%へと10・9ポイントも減っている。一方、60歳以上の構成比は6・6%から14・3%へと2倍以上増加。また、平均就労年数は35カ月から85カ月へと4年以上延びていた。(以下略)



シルバー新報 2008年1月18日号の主な記事 見出しと要旨


後期高齢者に担当医制

厚生労働省は16日、75歳以上の診療の初診料を引き上げ、再診料を引き下げるなどの報酬項目案を盛り込んだ08年度診療報酬改定の骨子案を中央社会保険医療協議会(中医協)に提出した。後期高齢者医療制度では、診療所の「高齢者担当医(仮称)」を高齢者を医学的に管理するキーマンと位置づける外来診療の仕組みを導入している。医療療養病床の入院基本料は引き下げの方針。介護保険施設への転換に誘導するねらいだ。(以下略)

全国厚生労働関係部局長会議

厚生労働省は16・17日、全国厚生労働関係部局長会議を開催した。介護給付の適正化を進める老健局、「地域福祉」を最重要課題に掲げる社会・援護局など各局が、予算案と合わせ来年度事業について説明した。
老健局 不正の再発防止改正法を提出へ
 老健局にとって、昨年最大の事件は最大手の在宅介護事業者だったコムスンの行政処分だ。12月1日でほぼ全ての事業継承が完了したが、阿曽沼慎司老健局長は都道府県に対しては今後も利用者や承継先の法人のフォローアップを求めるとともに、「不正の再発防止のために対策をとりまとめ、通常国会に介護保険の改正法案を提出をめざしたい」と挨拶した。08年度からは各保険者は都道府県が策定する「介護給付費適正化計画」に基づき、適正化事業を推進していくことになるが、その事業費用について初年度に限っての特例措置として給付費の見込み額の3%と定められている地域支援事業交付金の上限を0・15%上乗せできる政令改正を行う考えを示した。来年度から、12年度までの間の5年間で営利法人の全ての事業所に指導監査を実施するための具体的な実施方法は2月の課長会議で示す予定だ。 (以下略)

連座制の運用見直しへ

社会保障審議会介護保険部会(座長・貝塚啓明京都産業大教授)は17日、連座制の運用の見直しなど介護事業適正化の議論を本格化した。同部会のとりまとめをうけ、厚生労働省は介護保険法の改正案を通常国会に提出する予定だ。
 コムスン事件を受けて開かれていた「有識者会議」が昨年12月にまとめた報告書が議論のたたき台となる。報告書は、全国展開する事業者の本部へ立ち入り調査ができるようにするなど現行法の盲点の修正を求める一方で、利用者への影響が大きい「連座制」について、全国一律の運用から都道府県毎に判断するようにするなど運用を見直すことや事業者の規模に応じて法令遵守体制を義務化することなどを求めている。あわせて現行の指導監査、情報の公表のあり方の問題も指摘されている。(以下略)

優良事業所を加算で評価 介護人材確保法 待遇改善への呼び水に

介護人材確保法案の概要
 国がサービス種類や地域ごとに設定した介護労働者賃金の「基準額」を上回る平均賃金を出している事業者を「認定」事業所とし、介護報酬を3%加算する。
 基準額は、全介護事業所の50%程度が対象になるように設定。必要予算は、約900億円。常勤換算で介護労働者一人あたり月額2万円程度の賃金引き上げが可能と推計している。
 加算分については全額介護報酬からの給付とし、利用者負担は増加させない。
 民主党は9日、衆議院に介護労働者の賃金の引き上げを目指す「介護労働者の人材確保に関する特別措置法案」を提出した。一定水準以上の平均賃金を支払っている「優良」事業所を介護報酬の加算で評価することが柱だ。深刻な人材不足の最大の原因となっている低賃金の現状を改善するための特別措置法で、今年4月からの実施を目指している。18日から始まる通常国会で審議されるかどうかは不透明な状況ではあるが、この法案を待遇改善の動きの" 呼び水" にしたいという。同党ネクストキャビネット厚生労働副大臣で法案の提出者でもある山井和則衆議院議員に聞いた。(以下略)

人材育成〜これからの人づくり〜

東京都中野区にある「葉っぱのフレディ・ヘルパーセンター」は8年前の開設からこれまで、1度もヘルパーを募集したことがない。1人でサービス提供に入るヘルパーが不安になったり困ったりした時、管理者やサービス提供責任者からいつでもアドバイスがもらえる体制を整えているほか、定期的に開く社内研修ではヘルパーが持ち回りで講師を務めて、自分の得意な技術や成功体験を他のヘルパーと共有できるようにしている。安心して働ける環境と主体的に学ぼうとする意欲を引き出している取り組みは、どんな事業所にとっても参考になりそうだ。
 所長の片山蘭子さんは32年間病院看護師を勤めた後、都内の訪問看護ステーションで訪問看護師として在宅ケアに携わった経歴を持つ。経験豊富なベテラン看護師がなぜ、看護ステーションではなく「介護」で起業したのだろうか。そう聞くと片山さんはすかさず答えた。
 「それは私が訪問看護をしていた時、ヘルパーの存在がどれだけ大きいかを実感したからなんです」
 制度上、訪問看護師が滞在できるのは1回の訪問で30分から1時間ほど。全身清拭やバイタルチェックなどの看護行為を済ませるだけで時間切れとなることも多いが、多くの患者は看護師に少しでも長く居てもらえるように、あれこれと用事を探しては引きとめようとする。探し物を一緒にしてほしいとか、昨日あったできごとを聞いてもらいたいとか。ささやかなことばかりだが片山さんはその度に、「側にいてほしい」という利用者の心の声に後ろ髪を引かれるような思いだったという。
 「利用者が必要としているのは、看護の技術だけではなく心に寄り添ってくれる存在。まさに看護と介護は一体のものなんですね。訪問看護と両輪で、地域で在宅を支えられる力を持ったヘルパーを育てたいと思いました」(片山さん) (以下略)



シルバー新報 2008年1月11日号の主な記事 見出しと要旨


総額は22兆1223億円

厚生労働省の08年度予算案総額は、12月24日、対前年度6454億円増の22兆1223億円で決定した。当初内示より44億円増。セーフティネット交付金の増額などが復活折衝で追加で認められた。社会保障関係費の総額も今年度比3・1%増の21兆6132億円となった。介護保険の国庫負担等は内示通り1兆8997億円で、食住費の自己負担化が導入された06年度以来の減となった。各局の予算の概要を紹介する。(以下略)

08年度厚労省各局予算案

障害保健福祉部が所管する08年度予算額は、対前年度比6・7%増加し、総額で9700億円となった。障害者自立支援法による給付費を含む障害福祉サービス関係費は、このうち5345億円を占めており、前年度と比べて472億円(9・7%)と大きく増加した。自立支援給付のホームヘルプなど福祉サービス費は10・6%増の4945億円、公費負担医療である自立支援医療は7・7%増の1414億円を計上した。
 12月7日には、与党のプロジェクトチームが自立支援法について抜本的に見直す必要を報告書にまとめ、06年度補正予算から08年度までの時限措置となっていた利用者負担の軽減措置などの特別対策を拡張して続行していくことを決定。これを受けて、08年度予算では、これまでの特別対策で設置した基金に加え、新たに130億円を計上し、満額で310億円規模の緊急措置を講じることとなった。
 今年度から実施する緊急措置は、@低所得者世帯を中心とした利用者負担上限額の引き下げなど「利用者負担の見直し」(新規予算額70億円・7月から実施)、A通所サービスの報酬単価引き上げや利用人数の弾力化など「事業者の経営基盤の強化」(同30億円・4月実施)、Bグループホームなど施設整備費助成(同30億円・4月実施)、の3本が柱。(以下略)

厚労省 税制改正の概要まとめ

厚生労働省は12月24日、08年度の税制改正の概要をまとめた。地域で確保が困難な医療を担う社会医療法人への非課税措置の創設や、特定健診・保健指導で一定の支援対象者が負担する費用を医療費控除の対象とすることなどが盛り込まれた。
 今年4月から後期高齢者医療制度が創設されるが、現在も軽減を受けている低所得者世帯については、世帯のうち1人が新制度に移行した場合でも、国民健康保険税について世帯単位で現行同様の軽減措置を一定期間受けられる。
 要援護高齢者の介護費用や、民間介護保険加入者への所得控除についても、具体的な検討を行う方針が示された。
 また、4月から医療保険者が実施する特定健診・特定保健指導では、積極的支援の対象者のうち生活習慣病と診断される基準を超えている対象者について、自己負担分を医療費控除の対象にする。(以下略)

介護記録ネットで閲覧 北海道NPOサポート

 北海道NPOサポートセンターは来年度から、認知症グループホームや特養など介護施設が作成している介護記録を、入居者の家族がいつでも閲覧できるよう開発したインターネットシステム「ケアレコネット」の本格運用に乗り出す。ネットが見られる環境さえあれば利用できる上、手書きの介護記録もスキャナーで読み取りデータ化できるため、職員の負担増にならずに情報開示できるのがメリットだ。同センターでは「遠方で暮らしていて頻繁に面会に行けない家族も少なくない。施設と家族の信頼関係を構築するツールとしても活用してもらいたい」と話している。
 ケアレコネットは、06年度から福祉医療機構の助成を受けて取り組んできた調査・研究事業で開発した。必要なのはインターネットに接続できるパソコンだけで、手書きの介護記録をスキャナで読み取ってPDF化し、サーバーに保存する。家族は発行されたユーザー名とパスワードを入力すると保存された介護記録を見ることができる仕組みだ。また、介護記録を開示することに抵抗を感じる事業所もあるため、入居者の日常の様子などを文字や画像などで家族に伝えられる機能も付加した。いずれも通信内容は暗号化し、氏名や住所などの個人情報は入力しない。プライバシー上の問題もないという。(以下略)

きょうされん「利用者部会」を発足

 障害者が利用する通所系施設を中心に全国約1900カ所が集まるきょうされんは、12月21〜22日の両日、東京ビッグサイトなどで第30回全国大会を開いた(写真)。30周年の節目となる年で、参加者は4千人を超えた。障害者自立支援法を始め、障害者を取り巻く状況が混沌としている変革期の中で、改めて「当事者主体」の活動を進めていくため、この日当事者自身が運営を担う初の「利用者部会」が立ち上がった。トが見られる環境さえあれば利用できる上、手書きの介護記録もスキャナーで読み取りデータ化できるため、職員の負担増にならずに情報開示できるのがメリットだ。同センターでは「遠方で暮らしていて頻繁に面会に行けない家族も少なくない。施設と家族の信頼関係を構築するツールとしても活用してもらいたい」と話している。
 きょうされんは、1977年、障害当事者のニーズ重視をモットーに無認可の共同作業所16カ所の連絡会から出発。現在は共同作業所を始め授産施設やグループホーム、生活施設、生活支援センターなど1900カ所の会員を抱え、利用者の障害の領域も知的、身体、精神だけでなくこれらの障害者福祉の狭間にある高次脳機能障害や発達障害などにも広がっている。トが見られる環境さえあれば利用できる上、手書きの介護記録もスキャナーで読み取りデータ化できるため、職員の負担増にならずに情報開示できるのがメリットだ。同センターでは「遠方で暮らしていて頻繁に面会に行けない家族も少なくない。施設と家族の信頼関係を構築するツールとしても活用してもらいたい」と話している。
 30年を振り返る基調報告では、障害者自立支援法や障害者権利条約の批准をめぐる課題など、国内外の最新の動向についても言及。厚生労働省は、自立支援法の影響は少ないと言い続けているが、きょうされんの独自調査では、事業所の収入が減少し、職員の労働条件が悪化していることが明らかになっている。 (以下略)



シルバー新報 2008年1月1日号の主な記事 見出しと要旨


ホントは楽しい介護の仕事

   特集のタイトルを「ホントに」ではなく、あえて「ホントは」にしたのは、この仕事の楽しさがよく知られていないのではと思ったからです。コムスン事件に続き、低賃金の報道が目立ちます。メディアだけをみていると、金儲け主義の経営者と悪代官顔負けの官僚が若者と女性を搾取しているようなイメージで、それも人離れに拍車をかけているように思います。さて、皆さんはそんなお気の毒な仕事をなさっているのでしょうか。今年は、「楽しいよ」の話もしていきませんか。(以下略)

介護給付費初のマイナス

厚生労働省は12月20日、08年度の予算当初内示を公表した。一般会計予算は前年度2・9%増の22兆1179億円。うち社会保障関係費は3・1%増の21兆6079億円で一般歳出の半分を占める。政府管掌健康保険の国庫負担を1千億円削減し、それを健康保険組合に肩代わりさせる措置などによって、社会保障費総額を2200億円圧縮した。しかし、この措置は健保組合側の猛反発があり、1年限りとされている。
 08年度の診療報酬改定については、医師の技術料にあたる本体部分を8年ぶりに0・38%引き上げるが、薬価は1・2%減で、トータルの改定率は0・82%のマイナス改定。一方、生活保護費の生活扶助基準については、引き下げの方向性を示していたが、与党内で慎重な意見が出たことから08年度の対応を見送った。
 介護分野は423億円(2・2%)減の1兆9062億円で社会保障関係費に占める割合は8・8%。(以下略)

よくわかるQ&A 経営安定と人材対策

Q子 厚生労働省でも人材対策を考えていると聞いたけれど。
A男 介護報酬を検討する介護給付費分科会のワーキングチームが、介護事業所の経営安定と人材定着対策について検討していた。12月10日の分科会で報告があって、今後の検討の方向性が確認された。
Q子 で、介護報酬は上げてくれることになったの。A男 いや。結論は「介護報酬の水準だけでは、処遇改善の根本的な解決策につながらない」。前倒し改定の期待もあったようだけれど、まず、経営努力が先ということだ。
Q子 それって、無責任じゃない。
A男 まあ、厚労省が出している介護労働の実態調査をみてみよう。まず、平均賃金は、男性の場合は全産業が37・2万円に対し、福祉施設は22・7万円だ。
Q子 15万円も差がある。やっぱり安いのね。
A男 全産業では平均年齢41・8歳、勤続年数13・5年なのに対し、福祉施設が33・2歳で、4・9年と差がある。若くて、勤続年数が短いんだ。
 一方、女性は全産業は23・9万円に対し、福祉施設職員が20・6万円で男性ほど差がないけど、勤続年数は8・8年に対し、5・3年でやはり短い。圧倒的に女性の割合が多いというのも介護労働者の特徴だ。単純に比較できないという指摘だ。
Q子 それは給与が低くて、長く続けられないからじゃないの。
A男 まあ、ちょっと待ってよ。常勤雇用者の離職率では、全産業の平均が16・2%なのに対し、介護職員・ヘルパーでは20・3%と高い。今、一番、問題になっているのはどうして辞めてしまうかだ。
 全産業平均の場合の離職率では非正社員のほうが高いのに、介護では非正社員のほうが辞めないという特徴もある。
 定着率が低くて困っているのは、訪問系よりも、施設系の事業所のほうが多いというデータもある。君はさっきから、何でも「低賃金」のせいにしているけれど、辞める理由でみるとヘルパーの場合は「職場の人間関係」のほうが、「待遇への不満」を上回っているし、「家庭の事情」も結構多い。どう思う。
Q子 ヘルパーの正社員というとサービス提供責任者だけれど、ヘルパーもやらなきゃいけないし、事務も大変だしで、残業ばかりだからやりたくないという人は結構いるわね。中高年の女性は空いた時間で気楽に働きたいという人も多いものね。
A男 こういうデータもある。訪問介護で1年間の常勤職員の離職率が3割を超える事業所がある一方で、ゼロのところも6割。登録ヘルパーでは、約4割の事業所で離職率ゼロなのに、3割以上も2割。
 つまり、事業所ごとに離職率には大きな差があるということだ。
 施設でも同じだ。たとえば、特別養護老人ホームの場合は1年間の離職率は平均で19・7%だけれど、10%未満も3割、一方で3割以上も辞める施設が2割。同じ報酬でも働く環境に「格差」があると指摘されている。(以下略)

精神保健福祉士 養成見直しで検討会

厚生労働省は12月19日、精神保健福祉士の養成のあり方について見直すための検討会を発足させた。検討事項は教育カリキュラムや実習の内容・時間数、国家試験のあり方など全般にわたるが、まずは先行して進めている社会福祉士の教育カリキュラムの見直しを踏まえ、国家試験の免除科目にもなっている共通科目の取り扱いについて先行して議論する。基本的には現行通り共通科目を維持することを前提に、社会福祉士の見直し案と足並みを揃えるかたちとなりそうだ。08年2月までに中間報告をまとめ、告示・政省令を改正する。法改正に関わる項目については、障害者自立支援法の見直しが予定されている09年度に行う考えだ。
 精神保健福祉士は1998年に施行。その後、障害者自立支援法をはじめ、医療観察法や自殺対策基本法の成立といった精神保健医療福祉にかかわる制度変更が行われ、精神保健福祉士にも高い専門性が求められるようになったことが、検討会設置理由としている。検討事項は、@教育カリキュラム全般の見直し、A実習、B国家試験のあり方や実務経験の範囲、卒後研修、などとなっており、養成教育のあり方全般について幅広く見直す考えだ。(以下略)

介護の人材活用 〜明るい未来が見えますか?

 介護業界の人材不足をどう考えるか、また、貴重な人材をどのように活用していくか。在宅介護などサービス事業や人材派遣業界に携わる4人で話し合っていただいた。現状では雇用する側、働く側の双方に課題があるという指摘は厳しいが、逆にいえば、まだまだ改善の余地があるということだ。業界の明日につながるヒントと受け止めてほしい。
出 席 者 ※50音順
株式会社SORA 代表取締役社長 藤田 聖二氏
株式会社ツクイ 人事部部長 久保田 勝氏
株式会社パソナスパークル ケアワーカー派遣事業部長 田中千世子氏
株式会社やさしい手 大橋スタッフィングファーム課長 小俣 行史氏
司会:本紙編集長 川名佐貴子
(以下略)