シルバー新報 2007年12月14日号の主な記事 見出しと要旨


事務負担軽減を検討へ

   介護事業の効率化や職員定着対策などを検討していたワーキングチームの報告を受け、社会保障審議会介護給付費分科会は10日、煩雑になっている事務の効率化や常勤や非常勤など働き方に応じた支援策を考えることなど今後の検討課題について了承した。事業者ヒアリングでは介護報酬の引き上げを求める声が相次いだが、保険料に跳ね返る報酬引き上げは行わない方針だ。ただ、事務の効率化など報酬にかかわらない部分は合意がとれ次第、実現していく。訪問介護では、サービス提供責任者の配置のあり方や、生活援助の範囲の限定、自費サービスとの組み合わせなどサービスのあり方の根幹にかかわる部分が俎上に上っており、今後の争点になりそうだ。(以下略)

自立支援法見直し案 利用者軽減策を延長

与党障害者自立支援法に関するプロジェクトチーム(PT)は7日、障害者自立支援法の抜本的見直しについての報告書をまとめた。昨年12月から実施している利用者の負担軽減策などの特別対策を2009年度以降も拡張して延長するほか、長期的な検討課題として障害程度区分の見直しやサービス体系の見直しを検討する考えを示している。見直しの視点として、「介護保険との統合を前提とせずに検討する」との一文も明記されている。
 与党PTは、今年9月の福田内閣発足の際に自民党と公明党で結ばれた連立政権合意に「自立支援法の抜本見直し」が盛り込まれたことから設置されていた。
 報告書では、08年度から緊急的に行う事項と09年度の自立支援法の施行後3年の見直しとなる09年度を目途に行う事項の2つに分けて見直しの方向性を示した。(以下略)

経営実態を独自調査

 

全国老人施設保健施設協会(川合秀治会長)は4日から、会員施設を対象に老健施設の現状と地域特性に関する緊急調査を開始した。独自に会員施設の収支状況などを調査し、結果をもとに介護報酬改定の基礎資料とされている厚生労働省の「介護事業経営実態調査」の内容の見直しを求めていく方針だ。
 厚労省の「介護事業経営実態調査」は、次期介護報酬改定の基礎資料となる調査。来年4月に行われる。(以下略)

ケアマネ試験合格者は3万8391人に

 今年10月28日に行われた第10回の介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の合格率は22・8%で、過去最低だった前年度を2・3ポイント上回ったことが本紙の調査で分かった。合格者数も、前年より3千人あまり多い3万1658人となった。ほぼ全都道府県で合格率が上昇していたこともあり、「合格基準が下がった」ことを理由として指摘する都道府県担当者が多かった。
 各都道府県は10日に合格者の発表を行った。受験者数は、13万9006人で前年より744人の微増、合格者数は3万1658人であることが分かった。合格率については、茨城を除く全都道府県で上昇し、過去最低だった前年の合格率を2・3ポイント上回る22・8%となった。
 合格率が上昇したことについて、各都道府県の担当者が理由として挙げたのが「合格基準が下がった」ことだ。合格基準は、正答率70%を基準として問題の難易度で補正することになっているが、今年は前年より保健医療福祉分野の「免除なし」の人で35点満点中2点引き下げられた。医師や歯科医師、看護師、介護福祉士などのそれぞれの専門で「免除あり」でも1〜2点下がっていた。
 都道府県の指摘に対して、試験問題の作成・合格基準の設定を行っている社会福祉振興・試験センターでは、「受験者の質もあるので、一概に合格基準点の引き下げが合格率増の要因とはいえない」としている。学識者からなる委員会で問題作成から合格基準の設定までを行っている。(以下略)

介護人材窮状打破へ緊急集会

 深刻化する介護人材不足を解消するため、待遇改善のための法律の制定を求めて活動している高齢社会をよくする女性の会(樋口恵子理事長)は9日、都内で緊急集会を開催した。介護従事者からは、「このままの待遇では、大好きな介護を続けることができない」など悲痛な訴えが相次いだほか、与野党の国会議員によるシンポジウムも行われ、超党派で対策を検討する可能性にも言及がなされた。
 同会では、9月に介護従事者の賃金に月額3万円を上乗せする緊急対策「3万円法」の創設を与野党に提案するなど、介護職の低賃金、低待遇の改善を求める活動を続けている。緊急対策の実現を訴える目的で企画されたのが今回の集会だ。参加者は一般市民も含め400人を超えた。
 「介護保険制度は、介護を社会全体で支える仕組みを生み出したすばらしい制度。しかし、厚労省の懸念する財政面より先に、人材確保の点から崩壊の危機に瀕している」と主催者代表の樋口理事長は挨拶。改めて危機感を表明した。
 続いて行われたのは、介護従事者からの現状報告だ。訪問介護事業所に勤める26歳の男性の月給は15万程度。「介護が大好きでずっと続けたい。でも、結婚したばかりで生活を考えると転職を考えざるを得ない」と苦しい心境を吐露。その後も窮状を訴える声が続いた。
 これを受けて経営者からも、「頑張っている人には報いてあげたいが自分の給与を切り詰めても限界がある」。事業者努力だけでは改善できないとする声が共通だった。(以下略)



シルバー新報 2007年12月7日号の主な記事 見出しと要旨


本部にも調査、改善命令

   コムスン事件を受けて開かれていた「介護事業運営の適正化に関する有識者会議」(座長=遠藤久夫学習院大学教授)は3日、報告書をまとめた。コムスンのように都道府県の枠を超えて広域的に事業展開している場合には直接サービスを提供していない本部や本社などに行政が立ち入り調査したり、改善命令などができるよう求めている。一方、一つの事業所が取り消し処分になると系列のほかの事業所についても新規指定・更新ができなくなる「連座制」については、一律に判断するのではなく、組織的な不正だったかどうかを確認した上で、都道府県、市町村が指定・更新の可否を判断できるよう現行の仕組みを緩和することを提案している。厚生労働省はこれを受けて、介護保険法の改正案を時期通常国会に提出することを目指す方針だ。(以下略)

慢性期外来定額払いに

中央社会保険医療協議会は11月28日、来年度からスタートする後期高齢者医療制度について、慢性疾患を抱える患者を対象にした医学管理、検査、画像診断などを定額払いにする方針を示した。重複投与を防ぐため医師や薬剤師にお薬手帳の確認も義務付ける。このほか、療養病床からの転換型老健に対して、施設医師が不在の時間帯に必要に応じて併設医療機関の医師が緊急処置を行った場合にも、診療報酬上で算定できるようにする方針も示された。診療報酬の改定率については、「マイナス改定を行う状況にない」と医療機関側の厳しい経営状況を示唆した。
 後期高齢者の外来診療では同省は継続的な医学管理が必要な慢性疾患を対象に、疾患名や治療・検査スケジュールなどを記載した年間診療計画書を作成した「主治医」に対して、医学管理、検査、処置、画像診断の診療項目を包括して点数付けする定額払いの導入を提案した。(以下略)

慢性期外来定額払いに 後期高齢者で中医協方針

 

11月30日から改正都市計画法が施行される。これによって、市街化調整地域でこれまで許可が原則的に不要とされていた病院や福祉施設、有料老人ホームなどの公益事業も開発許可が必要になる。
 都市計画法は、中心市街地の整備を目的とした「中心市街地活性化法」、1千平方メートルを超える大型店を規制するための「大店立地法」、などと並ぶ、「まちづくり三法」の1つだ。人口減少・超高齢化が進む中で、様々な都市機能がコンパクトに集積したまちづくりを進めるのが改正のねらい。
 改正に伴い、市街化調整区域の開発許可も変わる。市街化調整区域とは都市計画法で「市街化を抑制すべき区域」と定義されており、原則として新たに建築物を建てたり、増築することが出来ない地域をいう。例外として、許可を受けた大規模開発、また、病院、学校などの公益施設は許可なしでも建設を認めていた。改正により、大規模開発も原則不許可とし、地区計画を定め、適合した建築物のみ許可するようになる。公益施設も許可が必要になる。(以下略)

生活扶助 基準引き下げの方針

 厚生労働省の生活扶助基準に関する検討会(樋口美雄・慶応大学教授)は11月30日、生活保護給付のうち食費、光熱水費などの日常生活費に関する「生活扶助」の水準について報告書をまとめた。低所得世帯の消費支出に比べて、生活保護世帯の生活扶助費の基準が高いと指摘する内容。同省は報告書を根拠に、生活扶助額を引き下げる方針で、年末の来年度予算編成に反映したい考えだ。被保護者の支援団体などから反発が起きている。
 検討会は今年10月に設置され、1カ月半で集中的に5回の会合を行った。生活扶助基準の妥当性を検証するため、保護を受けていない低所得世帯の消費実態と、生活扶助基準の均衡が図られているかを、5年に1回実施する全国消費実態調査の結果と比較した。
 その結果、夫婦と子ども1人の3人世帯の平均生活扶助基準額が15万408円であるのに対し、同じ構成で全世帯のうち年間収入が下から1割の低所得者世帯では14万8781円で、生活扶助基準額が実際の生活費を1600円上回っていた。さらに、被保護世帯の7割強を占める単身世帯にも着目して比較したところ、60歳以上の生活扶助基準額7万1209円に対して、低所得者の支出額は6万2831円と8000円の違いがあり、「扶助基準額が高めとなっている」と指摘されている。(以下略)

合同説明会で事業者アピール 東社協

東京都社会福祉協議会(野村寛事務局長)は1日、人材を募集している介護・福祉事業者が一堂に介し、求職者に対して説明会を行う「合同就職説明会」(写真)を開催した。有効求人倍率が特に高い都市部では介護事業者の人材難も深刻化しており、1法人1施設の小規模な社会福祉法人が単独で採用を行うことが困難になっている。東社協は、コストを抑えながら採用のチャンスを広げるため、複数の社会福祉法人が合同で求人、採用試験、研修などを実施する「福祉人材確保ネットワーク事業」を今年10月に立ち上げた。合同就職説明会はその第一歩だ。参加した新卒予定者と転職希望者70人に対し、30事業者が職場の魅力をアピールした。
 同事業は、求人事業者と求職者を会員とし、東社協が間に入って適性審査などの採用試験と就職後の研修などを一手に引き受ける仕組みだ。法人にとっては採用にかかるコストを削減でき、求職者にも様々な職場を知る機会が与えられるため、選択の幅が広がるメリットがある。現在までに124人の求職者がエントリー。事業者も31法人が参加している。
 合同就職説明会に参加した求職者は、来年3月卒業予定の新卒者と現任介護職など70人だ。
 午前、午後の2回実施されたのは、参加者全員を対象とした各法人の「職場アピール」。わずか2分半の持ち時間しかないが、「ユニットケアで家庭的な雰囲気の介護を実践している」「若い人が活躍している楽しい職場環境が自慢」「資格取得の勉強をサポートできる体制が整っている」など、それぞれの特徴を分かりやすく説明。求職者もメモを取りながら真剣な面持ちで耳を傾けていた。(以下略)



シルバー新報 2007年11月23日号の主な記事 見出しと要旨


混合医療の解禁を

   政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は15日、保険の利かない自由診療と保険診療を組み合わせた「混合診療」の解禁を12月にまとめる第2次答申の重点項目に盛り込む方針を発表した。このほか、医師不足への対応として、看護師・介護福祉士の業務範囲の拡大が挙げられている。(以下略)

導入の意義に疑問続々

 政府が2011年度をめどに、年金・医療・介護の3分野での導入を目指している社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会は20日、第1回の作業部会を開催し、介護・医療分野の関係団体のヒアリングを行った。介護関係2団体も参加。一元化による効率化や、身分証明書代わりになる点については評価もあったが、「そもそもは年金問題対策であり、介護や医療は現行のままでも特にデメリットはない」と、「便乗収録」に十分納得できない様子が見受けられた。具体的検討が進められていることについて関係団体すらも「よく知らなかった」と打ち明ける状況で、カード導入の意義や基本の仕組みについての周知が不十分なことが浮き彫りになった。
 同検討会は、厚労省が、総務省などの参加も求めて9月に設置。議論が一巡したのを受け、年金、医療、介護の関係団体に対して、この日からヒアリングを開始した。
 介護施設代表として召集された全国老人福祉施設協議会の太田二郎広報委員会委員長は、「行政や家族は便利になるといえるが、高齢者自身にとってはどうか疑問」とした。同カードは自宅のパソコンで年金記録や健診情報を閲覧できることを特徴に掲げているが、パソコンに慣れていない高齢者はその機能の恩恵に預かれないのではという懸念だ。身分証明書代わりに使える点は便利になると評価した。(以下略)

4人に1人を在宅で 推進会議中間報告

 

 国立長寿医療センター(大島伸一総長)は8日、在宅医療についての政策提言などを行うことを目的に今年5月に設置していた「在宅医療推進会議」の中間報告をまとめた。5年後に4人に1人を在宅で看取ることができる体制整備を目標に掲げ、現状では受け皿として脆弱な在宅医療を推進するために必要な取り組みを、在宅医療に従事する医療者の拡充、訪問看護ステーション、在宅療養支援診療所の機能強化――など5項目を提案している。
 同会議は、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる在宅医療体制を実現するための方策を検討・提案するのが目的。日本医師会や日本看護協会など関連する19団体も参加している。
 中間報告では、現状では在宅での看取りが13%にとどまっているものの、希望している人は多いと指摘。本来希望している場所での看取りを実現できていない背景には在宅医療体制の脆弱さがあるとし、今後5年間で現在の倍にあたる4人に1人が在宅での看取りを希望しても対応できる体制を整備する必要があるとしている。(以下略)

ケアマネが連携の要に

日本介護支援専門員協会の木村隆次会長は16日、さいたま市で開催されたセミナーで、後期高齢者医療制度とケアマネジャーの関係について講演した。同制度の診療報酬が主治医とケアマネジャーの連携を評価する方向で議論されていることに触れ、ケアマネの役割が多方面から期待されていると説明。積極的に連携役を務めていく必要があると話した。一方、次期介護報酬改定については、現在協会内で要望内容を検討しているが、制度を維持していくためには給付の適正化が必要であり、ケアマネジャーはインフォーマルサービスなどの構築によって必要のない保険サービスを減らしていく役割を担うことが重要だとした。
 セミナーは、市内でケアマネジメントの質の向上や専門職のネットワークづくりを行っているNPO、ケアマネージメントサポートセンター(長谷川佳和理事長)が企画。500人が参加した。
 後期高齢者医療制度は、75歳以上を対象に創設される新たな医療保険制度だ。現在、厚労省内で診療報酬の設定などの議論が進められているが、複数の疾患や認知症を持つ人への対応が重要になることから、今年4月に社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」がまとめた診療報酬体系の骨子の中では、介護・福祉サービスとの連携を進めるため「主治医等とケアマネジャーを中心として情報共有を進める必要がある」と盛り込まれた。(以下略)

住民出資でNPOが複合型福祉マンション

会員制の助け合い活動から出発し、高齢者・障害者の地域生活支援を中心に活動を続けてきた神奈川県藤沢市のNPO法人ぐるーぷ藤(鷲尾公子理事長)が先月、新たな事業をスタートさせた。高齢者の終いの住まいとなるケア付き住宅に小規模多機能型居宅介護や精神障害者のグループホーム、そして子育て支援と障害者が働くレストラン――。地域住民が必要としているサービスを一つの建物に集約させた複合型施設だ。土地の購入資金の大半を市民からの出資で賄っているのも全国では珍しいケース。地域に根ざした活動に対する信頼が大きな実を結んだかたちだ。
 団地や一般住宅が建ち並ぶ住宅街の一角。見た目は普通の新築マンションだが、通りに面した一角にはテラス付きのレストランがあり、建物の中から子どもたちの大きな笑い声が聞こえてくる。入り口からヘルパーの女性と手を携えながら、お年寄りが「ちょっと散歩に行ってきますね」と出かけて行った。
 さまざまな人が出入りするこの建物が、先月オープンしたばかりの「ぐるーぷ藤一番館・藤が岡」だ。4階建てで3、4階部分は一人暮らしが不安な高齢者21人が入居するケア付き住宅。1、2階には訪問看護・介護ステーションと小規模多機能型居宅介護、子育て支援、そして精神障害者のグループホームにレストラン。さらに、入り口のすぐ正面には、保健師やケアマネが常駐し、誰もが利用できる相談窓口も併設されている。
 「この地域で暮らしていく上で必要とされていたものを、全て集合させたらこんな形になったのです。私たち法人の十年来の夢でもありました」
 運営主体であるNPO法人ぐるーぷ藤の理事長・鷲尾公子さんは、心底嬉しそうな表情でそう話す(以下略)



シルバー新報 2007年11月16日号の主な記事 見出しと要旨


病院からの入所者数要件に医療区分1,2受け入れ

   社会保障審議会介護給付費分科会は12日、療養病床から老人保健施設に転換した場合も引き続き、一定の医療サービスを提供できるようにする場合の施設要件などの検討に入った。一般の老人保健施設と差別化するために、医療機関から入所する人が家庭から入所する人よりどれだけ多いか、過去、3カ月間に実際に医療処置を受けた人の割合など実態に基づいた条件をつける方針だ。
 厚生労働省によると、介護療養病床が11年度末で廃止されることになったが、一般病床からの退院の受け皿としての機能は一部残す必要があるという。具体的にイメージしているのは、医療療養病床では報酬が低く設定されている医療区分1、2の患者だ。看護師を24時間体制にしたり、夜間などの医師の往診を認めるが、介護療養病床から転換した全ての老人保健施設に認めるわけではなく、一定の要件を設ける。
 具体的には、病院からの入所者が家庭からの入所者より一定以上多い、実際に行った医療処置で判断するの2つ。現行の介護療養病床でみると、医療区分1、2の入所者の69%が病院から、21・9%が家庭からで差が3・2倍ある。現行の老人保健施設と比較して喀たん吸引で3・9倍、経管栄養が6・7倍の開きがあることからこれらのデータを踏まえて具体的な基準設定を行う。 もっと読む (以下略)

老健で医療用麻薬算定中医協了承 

厚生労働省は9日、老健など介護施設での末期がん患者の受け入れを促すため、施設入所者に疼痛緩和のための医療用麻薬を処方する場合は薬剤費を診療報酬上で算定できるようにする案を中央社会保険医療協議会に提案し、了承された。現在包括払いとなっている中から、医療用麻薬に限定して診療報酬で算定可能にする。
 現在、老健や介護療養病床の薬剤費は介護報酬による包括払いとなっており、保険医療機関の医師が処方しても診療報酬上で算定できない。施設の持ち出しとなるため、これらの施設では大量の麻薬を必要とする末期のがん患者などの受け入れは敬遠されがちとなっている。
 同省はある老健でがん患者を受け入れた場合に使用した麻薬の処方例と費用を例示。安定時期には1日500円程度だが、病状が進行すると必要量が増え2000円、終末期には3万円近くなるケースもあると説明した。(以下略)

 

社会保障審議会介護給付費分科会のワーキングチーム(WT)による事業者向けヒアリングが8日、13日に行われた。事業所や働く人の負担になっている事務の軽減など運営の効率化や介護人材の定着対策を行うための原案をつくるのがねらいとしている。厚生労働省サイドの報酬の引き上げを前提にしないという意思はうかがうことができるが、事業者への投げかけは曖昧だったようだ。経営の厳しさを訴える事業者らに対し、「なぜ上乗せ費用を徴収できないのか」と問うちぐはぐな場面も目立った。WTではヒアリングを踏まえ報告書をまとめ、来月の介護給付費分科会に提出する予定だが、現状はあまり期待できそうにもない。(以下略)

制度改正で月4割減収

全国労働組合総連合(熊谷金道議長・全労連)はこのほど、介護保険制度改正後のヘルパーの労働時間や月給の変化についての実態調査の結果を明らかにした。非正規労働者を中心に労働時間、時給がともに減少しており、月収が下がったヘルパーが非正規労働者で4割強、常勤で2割近くに上っていることが分かった。全労連では、これを受け12日に労働条件の改善を求める要請書を各党の厚生労働委員会委員に提出した。
 調査は、昨年11月から今年3月にかけて全国のヘルパー7370人を対象に実施、1247人から回答を得た(回答率17%)。
 調査結果によると、回答者のうち、組合未加入者の割合は7割弱。保有資格を組合加入の非正規労働者、未加入の非正規労働者、常勤労働者に3分類して尋ねたところ、「ヘルパー2級」が非正規加入者で6割強、非正規未加入者で8割弱と最も多かった。常勤では、「介護福祉士」が52%で過半数を占めた。(以下略)

新・行って見たフィリピン 介護士養成の現場から 

10月17〜21日まで駆け足でフィリピンの介護士養成校などを訪ねた。現地では日比経済連携協定(JPEPA)の批准が政治的争点になっていたが、推進派には旗色の悪い状況だった。まだまだお互いのことが分かっていない。行って見て感じた率直な感想だ。少しでも両国の距離が縮まることを祈りつつ、現地ルポをお届けする。(川名佐貴子)(以下略)



シルバー新報 2007年11月9日号の主な記事 見出しと要旨


都道府県、手数料取り過ぎ 介護サービス情報公表

    介護サービス情報の公表の調査事務手数料を、30都道府県が「取り過ぎ」であることが、厚生労働省がまとめた調査結果から分かった。都道府県が徴収する調査事務・公表手数料については、事業所側から「高額すぎる」との苦情や意見が相次いでいたが、今回その実態が裏付けられた格好だ。しかも、公表画面へのアクセス件数も都道府県月平均約5000件と低調で、改めて制度の意義にも疑問符がつきそうだ。来年度からは予防サービスなど新たに22サービスが追加されるが、同省は調査を簡素化して実施する方法を示した。都道府県に手数料引き上げの理由はないため、来年度からの手数料を引き下げるよう求めている。 もっと読む 

保険料減免措置延長

 厚生労働省は高齢者への年金への課税が強化されたことにより、介護保険料が大きく引き上げになる人に対して行われていた激変緩和措置を期限の切れる来年度も市町村の判断で延長できるようにすることを決めた。翌09年度は介護保険料の改定期にあたることから、これに合わせよりきめ細かく保険料を設定する「多段階」方式での対応を求めていく。この問題については、保険料の設定方式を変えることも含め「介護保険料の在り方等に関する検討会」で検討していたが、根本的な見直しは見送られたかたちだ。一方、施設入所者に設けられていた利用料の激変緩和措置は予定意通りに打ち切りになる。「保険料は払うだけの人もいるが、施設利用者は受益している。全国一律で行えば税財源も必要」と説明した。
 介護保険料が減免される「低所得者」は住民税非課税世帯と定義されている。年金への課税強化や非課税限度額の廃止など相次いで高齢者の課税が強化されたことで、介護保険料の負担段階が上がり、保険料が大幅に引き上げになることが想定されたため、政府では2年間に限って激変緩和措置を認めていた。(以下略)

医療法人等の特養設置 次期国会提出見送りへ

厚生労働省は、6月20日の「介護保険施設等の在り方に関する委員会」で療養病床の転換支援策の一つとして医療法人など非営利法人に特養ホームの設置を認める案を示していたが、設置主体の変更を行うための老人福祉法改正案を次期通常国会に提出することは見送る可能性が強まった。
 特養ホームは現在、社会福祉法人と都道府県にしか設置が認められていない。厚労省では、療養病床の転換支援策の一環として設置主体を医療法人などに広げる考えを示していたが、全国老人福祉施設協議会や社会福祉法人経営者の集まりである全国社会福祉施設経営者協議会(経営協)などが、特養経営に求められる公益性や低所得者への配慮などの業務内容から社会福祉法人での運営がふさわしいと反対の意見を明らかにしていた。(以下略)

高齢者維持期リハの提供 外来・通所・訪問を一体的に

 日本リハビリテーション病院・施設協会(浜村明徳会長)はこのほど、団塊の世代が高齢者となる2015年を目標に、医療・介護保険で提供する高齢者へのリハビリテーションサービスのあるべき姿についてまとめた「高齢者リハビリテーション医療のグランドデザイン(暫定版)」を公表した。現在のリハサービスは急性期・回復期は医療保険、維持期は介護保険で対応することになっているが、高齢者にとって望ましいのは、疾病や障害、生活までを包括的にカバーしてくれるリハサービスであると指摘。地域のかかりつけ医のリハ機能を強化し、外来・通所・訪問リハをニーズに応じて迅速かつ適切に提供する新たな拠点整備が必要だとして、「在宅リハビリテーションセンター」の創設などを提案している。日本リハ医学会、日本理学療法士協会などリハ関連5団体で内容に合意。年内には最終版を取りまとめ、今後はこの内容に基づき医療・介護保険改革や報酬改定への提案を行っていきたいとしている。(以下略)

GHと小規模多機能型 統一組織を結成

東京都グループホーム(GH)連絡会(和田行男事務局長)は1日、臨時総会を開催し、都小規模多機能型居宅介護連絡会と組織統合した「東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会」を立ち上げることを決議した。同時に新組織の結成総会を開催。代表に選任された和田氏は、「事業の区分けにこだわらず、力を合わせて高齢者が地域で安心して暮らせるシステムをつくっていきたい」と挨拶した。今後は、同連絡協議会のもとにグループホーム連絡会と小規模多機能連絡会を設置し、協力して研修や提言活動を行っていく。地域密着型サービスで連絡会を運営するのは、全国でも珍しい。
 結成総会に先立ち挨拶した和田氏は、介護保険制度の改正で同じ地域密着型サービスに位置付けられたことを契機に、「認知症の人のその人らしい生活の支援」という共通の目的を促進していくために組織統合の準備を進めてきたと経過を報告。「特に東京では、人材&s足どころではなく人手&s足が深刻な状況」と事業経営が厳しい現状にあることも指摘し、サービスの区別にこだわらず協力して、高齢者が安心して暮らし続けられる制度設計を訴えていかなくてはいけない状況と説明した。(以下略)



シルバー新報 2007年11月2日号の主な記事 見出しと要旨


実態探り制度見直しへ 社保審分科会、介護サービスWTがスタート

   社会保障審議会介護給付費分科会の「介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム」が10月30日からスタートした。コムスン事件の背景として、制度見直しや報酬改定による介護事業の収益の採算性が悪化していることが指摘されていたのを受け、事業の現状について実態を探り、必要な見直しにつなげるのがねらいだ。30日にヒアリングを行った介護事業の労働者側の代表らからは介護報酬の引き上げを求める声が相次いだ。 もっと読む 

後期高齢者保険料 半年凍結後1割徴収

高齢者医療費の負担増凍結を検討していた自民・公明両党の与党プロジェクトチームは10月30日、4月から新たに保険料負担が発生する予定だった75歳以上の高齢者の保険料を半年間免除し、その後半年も保険料額の1割の徴収にとどめることを決定した。70〜74歳の窓口負担の2割への引き上げも1年間凍結し、1割負担に据え置く。
 負担凍結に必要な財源は、70〜74歳の窓口負担凍結で1100億円、75歳以上の保険料軽減で約360億円、4月からの保険料徴収に向け開発を進めていた市町村のシステムを、凍結に伴い改修する費用に約100億円で、合わせて約1500億円の計算。今年度の補正予算で対応する。 (以下略)

介護側との情報共有評価 

厚生労働省は10月26日、中央社会保険医療協議会(座長=土田武史早稲田大学教授)の診療報酬基本問題小委員会を開催し、後期高齢者医療制度の在宅医療の報酬体系について議論した。主治医がカンファレンスや紙媒体で患者の情報を介護・医療関係者と共有し、必要な助言・指導を行った場合に診療報酬を加算。急変した患者が事前に連携していた病院に入院した場合にも主治医の点数を引き上げる。一方で、有料老人ホームなどへの訪問診療は一施設に複数の患者がいると想定されることから点数を引き下げる方針だ。
 後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子では、主治医やケアマネが中心となってカンファレンスなどで情報を共有化する取り組みを評価するとしている。
 これを受け、主治医が在宅での医療・福祉サービス情報をカンファレンスなどを通じて共有し、患者に在宅療養で必要な指導・助言を行った場合に評価する方針を示した。会議だけでなく、紙を使った情報共有も評価する考えだ。
 また、在宅療養の患者が急変した場合に主治医の求めに応じて事前に連携体制がとられている病院に入院した場合は病院をさらに評価する。
 在宅療養のカギとなる訪問看護については、「二四時間体制(24時間連絡体制加算=月2500円)が重要なのに、早朝・夜間・深夜の加算がない」(古橋美智子日本看護協会副会長)として、点数を引き上げる。人工呼吸器装着の患者や吸引などにより週4日以上の訪問が必要な患者への対応も評価する。(以下略)

北九州市「爪はがし」事件虐待ではなく「フットケア」

 日本看護協会(久常節子会長)は10月4日、北九州市の北九州八幡東病院で女性看護師が行った入院患者の高齢者の爪をはがす行為が、「傷害」とみなされ、刑事起訴された事件について、「虐待ではなく、経験知に基づく看護ケア」という見解を発表した。同協会では、事件後すぐに病院関係者からの聞き取りをはじめ、法律やフットケアの専門家などから情報収集を開始。当該看護師との接見も行った上で出した結論という。同協会の楠本万里子常任理事に聞いた。(以下略)

認知症サポーター27万人に

 厚生労働省が2005年度から、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを進めるための啓発キャンペーンの一環として養成している「認知症サポーター」。サポーター養成事業の実施主体である全国キャラバン・メイト連絡協議会は10月25日、これまでの成果報告会として先駆的事例の表彰式を開催した。07年9月末時点で、認知症サポーターは27万人となったことが報告されたほか、7企業・団体の活動が表彰された。
 厚生労働省は、05年度から認知症啓発キャンペーンをスタート。認知症サポーターは、認知症について学ぶ講座を受講した人を「認定」し、地域で認知症の人を支える活動などに発展させてもらうのが目的だ。09年度までに100万人のサポーター養成を目標に掲げている。
 全国キャラバン・メイト連絡協議会が実施主体となっており、研修の講師を養成。全国の自治体や企業などが開催するサポーター養成講座への講師派遣も行っている。
 冒頭のあいさつで、菅原弘子代表は、「サポーター養成も3年目を迎え、講座を開く主体も自治体から介護施設、民間企業まで広がりが出てきている。中身もそれぞれに工夫がある」と、活動が着実に浸透している現状を報告した。9月30日現在でサポーターの認定者数は27万人だ。(以下略)



シルバー新報 2007年10月26日号の主な記事 見出しと要旨


日本の受け入れ条件は「不当」

   フィリピン人の看護師、介護士を日本に受け入れるかがかかっている日比経済連携協定(JPEPA)にフィリピン国内での反発が強まっている。人材の関係では、フィリピン看護協会が日本語で国家試験に合格しなければならないなど日本側が示している受け入れの具体案は不利益が多いと反対のキャンペーンに参加している。 もっと読む 

地域ケア構想策定 年明け予想の自治体も

 地域ケア体制整備構想の策定が遅れている。国は「年内策定」を都道府県に促しているが、「国の言う通りには作れない」と担当者は困り果てている。二〇一二年度までの療養病床削減の目標値を構想に盛り込もうにも、介護・診療報酬改定の方向性や転換先の新型老健の具体像も見えない中で、医療機関の転換意向が見込めないからだ。年度末までに間に合わせる構えの自治体、「あくまで現時点の数字」と割り切って来月中にも完成させる自治体。いずれにせよ実効性の低い目標値になりそうだ。
 地域ケア体制整備構想は、都道府県が地域の医療・介護の将来像をまとめる計画。三〇年後の高齢者介護サービス・見守りサービスの需要、二〇一一年度までの介護サービス必要量の見込み、そして二〇一二年度末までの圏域ごとの療養病床数の転換数を入れた療養病床転換推進計画を盛り込む内容だ。(以下略)

自立支援法 根本的な見直しを

民主党は九月二十八日、参議院に障害者自立支援法の改正法案を提出している。サービス利用料の定率一割負担となっている応益負担の廃止≠ニ事業者側への自立支援法前の報酬の完全保障と月割報酬を日割に戻すことが二本柱だ。障害者団体や事業者からの、利用者負担のために必要なサービスを利用できない人が出ている深刻な状況や、事業経営の厳しさを訴える声を受けての緊急避難法という。会期末が迫る中、法案の成立の見通しは不透明だが、改めて民主党のネクストキャビネット厚生労働副大臣の谷博之参議院議員に聞いた。(以下略)

経営者も考え方刷新を

 全国老人福祉施設協議会(全国老施協・中村博彦会長)は二十二日から三日間、盛岡市で全国大会を開催した。中村会長は、給付費抑制の中で軽度者が保険から切り離される方向で改革が進んでいることや、二度の介護報酬のマイナス改定により介護事業の経営が悪化し、介護人材の流出が進んでいる現状から、「介護保険制度の存続が危機に瀕している」と指摘。特養ホームを運営する社会福祉法人の理事長、施設長には危機感をもって、高齢者が安心して暮らせる高品質のサービス提供と魅力ある職場づくりに注力するよう求めた。
 初日の基調講演では、中村会長は「特養が生き残っていけるかの瀬戸際に来ている」とし、昨年度の制度改革で要支援と要介護1の一部が介護予防サービスへ移るなど軽度者へのサービス抑制が進んでいることから、「次期制度改革では、軽度者を保険から、要介護1を施設から外す方向性もまことしやかに検討されている」と指摘。また、二度の報酬のマイナス改定を受け、特養の中には人件費の圧縮で利益率を確保する動きが加速していることについて、「介護人材が流出する大きな要因となっている。介護保険制度が危機的状況にさらされていることを経営者はもっと認識すべきだ」と話した。(以下略)

ロールプレイングで理解を 

利用者のクレームに困ったことはないだろうか。「ちょっとしたコツと、組織できちんとした対応策を用意しておけば、必要以上に恐れることはない」と話すのはインソース(東京都千代田区)の津田卓也氏だ。同社は自治体や大手企業などを中心に、クレーム対応研修だけでも年間一〇〇件以上を手がけるというコンサルティング会社だ。東電パートナーズ(東京都中央区)の介護事業所である東電さわやかケアポートとしまが主催したセミナーでクレーム対応のコツを学んだ。
 「井上さんっていうヘルパーさんいるかしら。今仕事から帰ってきて気が付いたんですが、食事を温めないで出したみたいなの。いったいどういう教育をしてるの。食中毒にでもなったらどうするつもりなのよ」
 「申し訳ございません。井上は不在でして…戻りましたら必ず申し伝えます」
 「あなたに話しててもらちがあかないわ。井上さんの携帯番号を教えて」
 「…」
「おたくは、ろくに教育もせずに平気で仕事をさせているんじゃないの。市役所に言うわよ」
 緊迫感のあるやりとりだが、これは研修でのロールプレイングのひとこま。
 ホームヘルプサービス利用者の娘から、ホームヘルパーが夕食として用意した豆腐ハンバーグが、加熱処理されずにそのまま盛り付けられていたことに対して苦情の電話がかかってきたという細かな設定だ。その分、苦情を言う役、言われる役になる人のやり取りも自然と臨場感がこもる。(以下略)



シルバー新報 2007年10月19日号の主な記事 見出しと要旨


ケアマネ試験申込者数 6年連続増も伸び率低下

   今月二十八日に行われる第十回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の申し込み者数は、昨年より二一○一人増え、約一四万九二八七人となることが、本紙の調べで分かった。六年連続の増加となったものの、伸び率はわずか一・四%。昨年度の二・五%をさらに下回り、なんとかプラスを維持したものの、天井が見えつつある状況と言えそうだ。「制度に振り回されてばかり」「忙しい割に待遇が低い」。制度改正の影響もあって、最近はケアマネの仕事自体を敬遠する人も増えているが、近年増えつつある福祉系の受験者にとってはやはり待遇やキャリアアップに結びつく上位資格。「横ばい」「平年並み」といった声も多い。 もっと読む 

病院から転換の老健 医療機能評価「加算」で

  療養病床からの転換の受け皿となる「医療機能強化型老健」の報酬を議論するため社会保障審議会介護給付費分科会(会長=大森彌東京大学名誉教授)が十二日からスタートした。病院よりも医師・看護師を少なくするのに「医療強化」という仮称はおかしいという指摘が相次ぎ、今後は別名称を使用することになった。従来の老健と差別化するために、入院患者に占める「医療区分1」の患者の割合が一定以上であること、新しい施設類型をつくるのではなく医療機能分については従来の施設サービス費に加算で評価することなど具体的な報酬体系を事務局が示した。
 医療機能強化型老健については、検討会で、ターミナルケアや急性増悪への対応ができるよう、制度上は医師・看護師の配置のない早朝・夜間も対応できるようにするとされていた。
 この日事務局が示した具体案は、@夜間など日勤帯以外の対応には、医療保険からの往診を認める、A夜間など日勤の時間以外で看護が必要な人が一定以上いる場合は看護体制を手厚くできるよう加算を設ける、B医薬品費・医療材料費も報酬で評価、C施設内で死亡した場合には看取り加算を算定できるようにする  などの内容だ。(以下略)

基本チェックリストHPでオンライン判定

 和歌山県はこのほど、ホームページ(HP)上で基本チェックリストのオンライン判定ができるシステムを導入した。高齢者や家族が画面上の質問に答えて判定ボタンを押すと判定結果が表示される仕組み。機能低下が見つかった場合は市町村や地域包括支援センターに相談するよう促している。ネット上でチェックリストの判定ができる仕組みを導入している自治体は珍しい。
 厚生労働省が定めた二五項目の基本チェックリストは、介護予防事業の対象となる特定高齢者を見つけ出すツールとして、昨年度から地域包括支援センターなどで活用されている。
 昨年度、同県での基本チェックリストの実施割合は高齢者人口に対して一七%。特定高齢者として決定したのは〇・二七%だった。
 より多くの高齢者に自己チェックで老化のサインを発見してもらおうと、介護予防推進室のHPにチェックリストを掲載。「はい」「いいえ」をチェックし、判定ボタンを押すと「運動」「栄養」「口腔機能」「生活機能」の四分野でのリスクがポイントで示される。本人か家族による使用を想定している。繰り返しチェックしてもらう中で、機能の低下が見られたら判定結果を印刷して、市町村か地域包括支援センターに相談するよう促している。(以下略)

報酬設定に地域差反映

 都市部で特に深刻化している介護職不足を解消するには、人件費率や物価指数の地域差を適正に反映させた介護報酬単価の見直しが必要――。東京都社会福祉協議会は十二日、都内の介護施設職員や一般市民を対象にフォーラムを開催し、次期介護報酬改定に向けて報酬の地域係数是正を求めていくことをアピールした。現行の介護報酬は人件費率を四割で設定しているが、ここ数年都内介護施設では七割近くに達しているのが実態だ。事業者と利用者が一致団結して声を上げていくことが必要だと協力を求めた。
 都内の特養ホームなどが加盟する東社協高齢者施設福祉部会が中心となってまとめた「緊急提言」は、次期介護報酬改定に対して、「大都市東京の介護報酬は人件費率を六五%、地域差指数を三〇%に引き上げて計算し、一二・三七円の単価とすること」を柱とする四項目。今月四日に厚生労働省に提出した。
 副部会長の鈴木恂子氏(府中市立特養ホームあさひ苑施設長)は、この報酬単価の根拠には、会員施設を対象に行った経営実態調査結果で、補助金を除いた人件費率が二○○三年度以降六九〜七〇%と高い水準を維持していること、平均利用率が九五%の施設でも三割が赤字となっていることなどを上げた。(以下略)

団地の中に在宅支援拠点

 神奈川県内を中心に特養ホームや保育園などを運営している社会福祉法人伸こう福祉会(横浜市栄区、金子伸一理事長)は今月一日、約八○○世帯が暮らす市内の飯島団地の一角に、介護保険外の生活支援や相談にも対応する「クロスハート在宅介護センター」を開設した。同団地は高度経済成長期に建てられ、県内でも住民の高齢化が急速に進んでいる地域の一つ。ゴミ出しや電球の取替えなどちょっとしたことに不便を感じている高齢者に『必要なだけのサポート』を臨機応変に提供する、いわば地域の駆け込み寺のような拠点だ。できる限り長く暮らし続けられるようにする在宅支援の新しいモデルになりたいという。
 「クロスハート在宅介護センター」は、横浜市栄区にある戸数八○○以上の飯島団地の一角に開設した。ところどころシャッターが下りたままの空き店舗もある。ここももとは地方銀行の店舗だった場所だった。訪問介護と居宅介護支援を併設する事業所だが、介護保険上のサービスだけではなく、「どんな相談にも対応する」。これがセンターの大きな特徴だ。
 「例えば部屋の電球が切れたけど自分一人では付け替えられないとか、救急車を呼ぶほどではないけど具合が悪くなってしまったときとか。まずはここへ連絡すれば誰かが対応してくれる。いわば『よろず屋』的な場所なんです」
 そう話すのは、伸こう福祉会の副理事長・片山ます江さんだ。同法人は、認知症高齢者を積極的に受け入れる特養ホーム「クロスハート栄・横浜」を始め、居宅介護支援や配食などの在宅サービス、そして保育園も運営し、地域の子育てや介護ニーズに応え続けてきた法人として実績がある。特養ホームは、落ち着いたインテリアで統一し、厨房にはフランス料理店などで経験を積んだスタッフが嚥下食から本格的なフルコースまで対応する。さまざまな付加価値のあるサービスを日常的に提供することで差別化を図ってきた。
 開設から七年が過ぎ、「施設に入るならぜひここで」と言われるまで地域住民から評価されるようになったが、片山さんは一方で、施設入所を希望する高齢者の多くは、ちょっとした支援があればまだまだ在宅で暮らせる人たちであることが気にかかるようになったという。(以下略)



シルバー新報 2007年10月12日号の主な記事 見出しと要旨


「凍結」でも課題山積 高齢者医療費の負担増

    与党プロジェクトチーム(PT、座長・鈴木俊一衆院議員)で来年四月から予定されていた高齢者の医療費負担増凍結に関する議論が進められている。七○歳から七四歳の窓口負担の一割から二割への引き上げは一年、七五歳以上の後期高齢者医療制度で新たに発生する保険料については、凍結期間を九カ月と公明党が主張していたが半年で調整される見通しだ。後期高齢者医療制度については、徐々に細部を詰める中で、年齢で制度を分けることの矛盾も明らかになってきた。また、首都圏では、保険料が割高になる問題も指摘されているが、これらについては手をつけない。凍結の費用は補正予算で手当てする方針だ。その場しのぎでは巨費を投じての「選挙対策」のそしりは免れない。 もっと読む 

介護保険との関係に配慮を

 来年四月から導入予定の七五歳以上の後期高齢者を対象とした医療保険制度の診療報酬のあり方について、社会保障審議会の特別部会は四日、骨子をまとめた。患者の病歴や服薬状況、他の医療機関の受診状況を集約して把握する主治医制を導入し、入院時も退院後を見越した診療計画を策定することなど、在宅生活を継続させる医療を評価する内容だ。骨子は、今週にも開催の中央社会保険医療協議会(中医協)に提出され、具体的な点数設定の議論に入る。
 骨子は、前回九月開催の特別部会での委員からの意見や、その後行われた社会保障審議会医療保険部会、医療部会の議論を踏まえてまとめられた。
 外来医療では、患者の複数医療機関の重複受診や重複投薬を抑えるため、患者の病歴や受診歴、服薬状況を集約して把握する「主治医」を位置付け、診療報酬上で評価するとしている。外来や在宅医療では主治医やケアマネジャーを中心として、医療機関や介護・福祉サービスとの情報共有を図ること、入院中でも退院後の生活を見越した診療計画を策定することなどが重点評価の対象として挙げられている。在宅での看取りに関連して訪問診療や訪問看護も評価するとしている。(以下略)

利用者保護軸に議論集約

コムスン事件で露呈した事業者処分に関する制度の不備を見直すために設置されている「介護事業運営の適正化に関する有識者会議」(遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)が五日、開催された。処分を受けたコムスンの在宅系事業所については、九月二十日まで移行先法人と契約が完了したことが報告された。阿曽沼老健局長は、連座制の適用を受けるとサービスがすぐになくなってしまうというイメージもあり、法律的な規定も未整備な中で、利用者へのサービスの継続が最も困難だったと指摘。利用者の保護を軸に議論を集約していくよう要請した。
 有識者会議は今回で三回め。これまでの議論を、@広域的な介護サービス事業者に対する規制のあり方、A指定事業者の法令遵守徹底のために必要な措置、B事業廃止後の利用者へのサービスの確保のために必要な方策の三点に整理し、さらに議論を深めたかたちだ。(以下略)

従来型老健の評価向上を

全国老人保健施設協会(全老健)は十日から三日間、名古屋市で第一八回の全国大会を開催した。初日には、第一回の「老健医療研究会」が発足した。「医療提供施設としての老健」のあり方を確認し議論する場として、今後の大会でも継続的に実施する考えだ。研究会では、研究事例の発表に続いて「療養病床再編と老健施設」をテーマにしたシンポジウムが開催され、従来型老健の評価を高め、療養病床退院患者の受け皿として機能するためにも、慢性期疾患の治療の確立や制度上の課題解決に向け主張し、行動することが必要との意見が出た。
 療養病床再編の受け皿と目されている一方で、「医療機能が弱い」「第二の特養」との批判もある老健施設での医療のあり方を問い直すために発足したのが同研究会だ。全老健の川合秀治会長は、「積年の願いであった研究会を発足した。『医療機能強化型』などとかまびすしいが、我々は原点に返り、老健が提供する医療について発信し、学ぶ場としてこの会を育てていきたい」と挨拶した。(以下略)

地域密着型サービスの更新

 厚生労働省は三日、改正介護保険で導入された事業所の指定更新制について、市町村が更新手続きを行う地域密着型サービスでは、二○○二年四月一日以前に指定を受けた認知症グループホーム、認知症対応型通所サービスなど「みなし指定」となっていた事業所の指定有効期間について事務連絡した。最も早い有効期間終了は今年度一杯となり、二○○○年四月一日に指定を受けた事業所などが対象となる。他市町村の利用者を受け入れてみなし指定を受けている事業所もあるため、早めの周知徹底を求めている。
 介護保険法の改正で事業所の指定有効期間を六年とする更新制が導入された。指定はもともと都道府県が行っていたが、地域密着型サービスについては指定権限が市町村に移管されたため、更新手続きも市町村となった。
 小規模多機能居宅介護と夜間対応型訪問介護以外の地域密着型事業所の指定更新については、改正介護保険法の附則で、○二年四月一日以前の指定事業所には、最大で八年間の有効期間とする経過措置が設けられている。改正以前から指定を受けている認知症対応型通所介護や認知症グループホームなどは、昨年四月一日時点で地域密着型サービスに「みなし指定」が行われているが、そこから起算して六年にはならないので注意が必要だ。具体的には、二○○二年四月一日以前までの指定事業所の場合は今年四月一日以降に来る指定日から一年間。それ以降で昨年三月末までに指定を受けた場合は、指定日から起算して六年が有効期間だ。(以下略)



シルバー新報 2007年10月5日号の主な記事 見出しと要旨


今月中旬にも報酬議論 医療機能強化型老健

   厚生労働省は九月二十八日、「介護施設等の在り方に関する委員会」(委員長=大森彌東京大学名誉教授、写真)を開催し、これまでの議論の取りまとめを行った。療養病床からの転換の受け皿として、創設が提案されていた「医療機能強化型老健」については来年度実施に向けて、今月中旬にも介護給付費分科会を立ち上げ、具体的な基準や報酬設定を議論していく。委員会の議論で出た「介護施設での医療提供の在り方」や「介護保険と医療保険の適用関係」など全体にわたるテーマについては仕切り直し、介護保険部会に議論の場を移す方針が示された。 もっと読む 

【特集 老健施設の役割】療養病床削減と老健施設

もともとは「中間施設」として、いまは地域性に合わせさまざまな機能を提供している老人保健施設。「医療機能強化型老健」の創設が打ち出されるなど、療養病床の削減は改めて老人保健施設の役割を問うことになりそうだ。
 介護療養病床を廃止し、医療療養病床の数も減らしていく――。すでに法律も改正され、方針だけは決定しているものの、現在も混沌とした状況だ。
 この方針に道筋をつけるために、厚生労働省は今年秋までに都道府県ごとに「地域ケア整備構想」を策定するように求めている。構想の策定に反映できるよう、今年になって、相次いで病院からの転換の追加支援策を打ち出した。医療機能強化型老健もその一つ。
 老健施設の医療機能強化型は、夜間や休日の医師の不在時に往診を認めたり、看取りへの対応のため、現在、療養病床で行っているような高度な医療処置ができる体制を整えたもの。療養病床からの転換した場合についてのみ認めるとする点について、全国老人保健施設協会(全老健)は「老健施設のダブルスタンダード化」と反発している。(以下略)

1割負担凍結案を提出 民主党参院に

民主党は九月二十八日、利用料の原則一割となっていた障害福祉サービスの利用者負担を凍結し、所得に応じた負担割合に戻す障害者自立支援法の改正案を参議院に提出した。参議院では、野党が過半数を占めているため、可決される見込みだ。一方で、自民、公明の両党も同月二十五日に締結した連立政権合意で自立支援法の抜本見直しの検討を盛り込んでおり、対応が注目される。
 昨年四月に施行された同法では、利用者の応益負担を原則としサービス利用料の一割の定率負担が新たに導入されたが、当事者や事業者団体からは、負担増からサービス利用を制限している利用者がいるなどの指摘が相次いでいた。厚生労働省では昨年度の補正予算から、低所得者への利用者負担軽減などを実施していたが、同党は自立支援法の抜本的な見直しを求めていた。(以下略)

就労移行支援事業所 厚労省まとめ

 厚生労働省職業安定局のまとめによると、二○○六年度、介護関連職種の有効求人倍率はパートタイム労働者を含む全体で一・七四倍となっており、全職業における有効求人倍率一・○二倍を○・七二ポイント上回っていることが分かった。雇用形態別では常用のパートタイム労働者が平均三・○八倍で全職種平均一・三五倍よりかなり高い水準となっている。都道府県別では、特に愛知(二・八六)、東京(二・八二)、神奈川(二・四二)など大都市で高く、地域格差も目立つ結果となっている。
 有効求人倍率の推移を年度別で見ると、一九九三年に○・二○倍だった福祉専門職種の有効求人倍率(パートを除く)は、二○○一年度までは全職業平均を下回って推移してきたが、○二年度には○・○二ポイント上回り、その後も同様の水準となっていた。同省が福祉専門職のうち、介護職について別に統計を取り始めたのは、○四年度からだが、すでにその時点ではパートを含む介護職全体では一・一四倍に。翌○五年度には一・四七倍、そして○六年度には一・七四倍と、全職業平均一・○二倍を○・七二ポイントも上回る高い水準となった。ここ三年間でその差は開いてきていることが分かる。(以下略)

介護職種有効求人倍率1・74に

厚生労働省職業安定局のまとめによると、二○○六年度、介護関連職種の有効求人倍率はパートタイム労働者を含む全体で一・七四倍となっており、全職業における有効求人倍率一・○二倍を○・七二ポイント上回っていることが分かった。雇用形態別では常用のパートタイム労働者が平均三・○八倍で全職種平均一・三五倍よりかなり高い水準となっている。都道府県別では、特に愛知(二・八六)、東京(二・八二)、神奈川(二・四二)など大都市で高く、地域格差も目立つ結果となっている。
 有効求人倍率の推移を年度別で見ると、一九九三年に○・二○倍だった福祉専門職種の有効求人倍率(パートを除く)は、二○○一年度までは全職業平均を下回って推移してきたが、○二年度には○・○二ポイント上回り、その後も同様の水準となっていた。同省が福祉専門職のうち、介護職について別に統計を取り始めたのは、○四年度からだが、すでにその時点ではパートを含む介護職全体では一・一四倍に。翌○五年度には一・四七倍、そして○六年度には一・七四倍と、全職業平均一・○二倍を○・七二ポイントも上回る高い水準となった。ここ三年間でその差は開いてきていることが分かる。(以下略)



シルバー新報 2007年9月28日号の主な記事 見出しと要旨


人材難なんかに負けない!

   今、介護サービス業界はどこもかしこも「人が足りない」「募集しても集まらない」という声ばかりだ。本紙が八月、全国の介護事業所を対象に行ったアンケート調査でも、「人手不足を実感している」は九割に達している。深刻な事態となっていることは間違いない。今年八月、厚生労働省は一九九三年の策定以来、初めて「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針(福祉人材確保指針)」を改正。今働いている一○○万人の介護職員を、二○一四年までに少なくとも一四○〜一六○万人まで増やさなければならないと推計した。 もっと読む 

特集 人材難なんかに負けない!【現場ルポ】社内で介護力の検定試験も スタッフ・アクタガワ

ハートを抱きしめたかわいいペンギンがシンボルマークの「スタッフ・アクタガワ」(静岡市、芥川崇仁社長)も、当初は高い離職率に悩まされた。それを「働く人を中心にした」マネジメントで克服した。特に重視しているのは教育だ。入社後、一カ月はトレーナーがつき指導にあたるため経験の浅い人でも安心して働くことができる。社内の認定資格として「ベスト技能士」「スーパー技能士」を設けているのもユニークな点だ。スタッフそれぞれが自分らしく働ける工夫が、随所にある。
 「ケアセンター八幡」は、同社の最も新しい複合型の在宅拠点だ。二階部分は認知症グループホームがあり、一階は小規模多機能型居宅介護、通所介護と静岡市から委託を受けた地域包括支援センターがある。三月から取り組み始めた夜間対応も含む訪問介護や訪問入浴、訪問マッサージ、介護タクシーと合わせ二四時間三六五日の切れ目ない介護サービスを提供する拠点として運営されている。(以下略)

人材難なんかに負けない!【本紙アンケート】最も足りないのはヘルパー

 介護業界の人手不足は深刻な状況にあるようだ。本紙では八月に全国の経営者にアンケート調査を行ったところ、七〇%が「人材不足の実感が非常にある」と回答した。「少しある」を加えるとほぼ一〇〇%だ。さまざまな経営努力をしているが、「もう限界」と悲鳴に近い意見も。九割の経営者が「介護報酬の引き上げ」を求めている。人が集まらない理由として、「低賃金」がトップだったが、二番手は「介護保険の先行きが見えない」。コロコロ変わる制度が人材難に拍車をかけている側面もある。業界が「人」の問題をどうとらえ、どう乗り切ろうとしているか。アンケートから現状を分析する。
 アンケートは今年八月末までに、介護保険事業を行っている法人を二万件、抽出して行った。回答を寄せたのは六一三社・団体。パート・正職員を合わせた従業員の規模別でみると、一〇〜五〇人未満が最も多く四九%。調査時点で事業所数が二〇カ所を超える法人には本部に直接、依頼するかたちをとったがそれが二六法人。一部の大手事業所と中小・零細事業所で支えられているのが介護現場といえる。
 法人種別でみると、営利法人が五五%、社会福祉法人が二五%、医療法人六%。手がけているサービスでは、訪問介護、居宅介護支援、通所介護がトップスリー。今春の新卒採用が一〇〇人を超えたところも一%あったが、「なし」が五八%で過半数を占めた。(以下略)

厚労省 06年度の高齢者虐待を調査

二〇〇六年度、高齢者虐待の把握数は、家庭で一万二五七五件、施設で五三件だったことが厚生労働省が二十一日に公表した全国調査結果から分かった。在宅では、同居する息子や夫による虐待の割合が高く、男性が不慣れな在宅介護に追い詰められている実態も浮かび上がった。ケアマネジャーや介護保険事業者による相談通報が多く、介護が必要な高齢者に対してはサービス利用につなぐ対応がとられている。一方、支援体制構築の責務がある市町村は相談窓口の設置や住民・関係者への周知には取り組んでいるが、警察・医療機関など外部の関係機関との連携は不十分な実態も分かった。
 調査は、全国の一八二九市町村、四七都道府県を対象に、高齢者の虐待に関して相談や通報のあった事例について、虐待の状況、対応状況などをアンケートで調べた。昨年四月の高齢者虐待防止法施行後は初めての調査。
 調査によると、市町村への虐待相談・通報事例は一万八三九三件。相談・通報者がケアマネジャーや介護保険事業所の職員だったのは四一%、家族・親族が一三%と、介護保険サービス利用の中で虐待事例が発覚しているケースが多い。
 相談や通報のあった事例のうち、九割に訪問調査などによる事実確認を実施。確認の結果、市町村が虐待と判断したのは一万二五七五件。身体的虐待が六四%で、暴言を吐くなどの心理的虐待が三六%、介護放棄が三〇%を占めていた。(以下略)

下取り自社製品でレンタル

パラマウントベッド(東京都江東区、木村憲司社長)は十月一日から、レンタル事業者から下取りした自社製介護用ベッドのレンタル事業「PRBパラマウント・リサイクルベッド」を開始する。制度改正で福祉用具の利用が制限された要介護度が低い人を中心に、割安な料金でのレンタルのニーズは増えると判断した。二〇〇七年度で三〇〇〇万円、二〇〇八年度で二億円の売上を目指す。
 レンタル事業者から、有償で同社の介護ベッドを引き取り、洗浄、消毒、修理、検査などを行ったうえで、新品のマットレスとセットにしてレンタルする。契約期間は三六カ月。その間は同社が品質保証する。契約期間が終了しても整備済みの別のベッドで再契約できる。入院などやむを得ない事情の場合はキャンセル料の免除なども考えているという。(以下略)



シルバー新報 2007年9月21日号の主な記事 見出しと要旨


医療費、所得高い地域は割高

   七五歳以上を対象に来年四月からスタートする後期高齢者医療制度の保険料試算が全国の広域連合で本格化する。厚生労働省は全国平均の保険料を年間七万四四〇〇円としてきたが、医療費や、地域の高齢者の所得の平均額が高い場合はこれを上回るのは確実視されている。埼玉県では十八日までに年間九万四〇〇〇円と試算した。東京都では非公式な数字ながら最大で年一五万五〇〇〇円という数字もはじき出され、関係者を慌てさせている。 もっと読む 

「主治医」役割あいまい

厚生労働省は、社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」がまとめた報酬体系の骨子案を、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会に示した。二十日の医療保険部会では、患者の受診歴や服薬状況などを一元的に把握する「主治医」の役割や担い手があいまいとして厚労省に詳しい説明を求める声が相次いだ。現時点でも「新制度は当の高齢者にはほとんど知られていない」として、制度施行後の混乱を懸念する声も挙がった。
 後期高齢者医療制度の診療報酬は、社会保障審議会の特別部会が骨子をとりまとめ、中医協で個別の点数の議論に入る流れになっている。このほど、骨子案をもとに両部会で議論が行われた。
 二十日に行われた医療保険部会では、「主治医」「保険料設定」について意見が集中した。
 骨子案では、患者を一元的に診る主治医の役割が重視されている。しかし、医療関係者側はこの考えが医療機関への患者の登録制につながることを懸念している。厚労省は「主治医と総合診療医はリンクするものではない。骨子で示した役割を担う医師を評価するという内容で、制度的に登録ということは考えていない」と強調した。(以下略)

もう一つの引き継ぎ 〜くすのきの郷の介護はいま

九月、訪問介護大手コムスンの在宅・施設サービスの事業譲渡先が決まった。マスコミでも連日取り上げられたこの問題の陰で、「もう一つの引き継ぎ」も進められようとしている。二十日、文京区立特別養護老人ホーム「くすのきの郷」の新しい運営法人が決まった。終のすみかである特養の取り消しだけに、処分決定後の入居者や家族、施設職員らへの影響は大きく、今も不安に揺れている。その中でも努めてこれまで通り懸命に介護を続けてきたスタッフたち。評判の高かったケアは今後も守られるのか。
 同ホームは今年六月、就労資格のないフィリピン人ボランティアを夜勤に組み入れたことで、特養では全国で初めて指定の取り消しを受けた。行政は「悪質事業者」の烙印を押したが、入居者やその家族らは施設の介護を高く評価し、運営存続を求めてきた。「フィリピンの人たちはとっても働き者で、優しかった」とお年寄りたちからも慕われていた。
 五年前、入居者が起きて活動する日中の時間帯に常勤職員を手厚く配置し個別に関わろうと、別途パート職員をさまざまな方法で募集し続けたが人は集らなかった。夜勤にボランティアに入ってもらったのは、そんな状況での苦肉の選択だった。フィリピン人ボランティアが去った後もケアの質が落ちないよう夜勤シフトの組み方を日々考えているが、常勤職員一人が夜勤に入ると、日中帯に職員がフロアを小走りに右往左往する状況が起きている。(以下略)

認知症理解拡大に第一歩

たとえ認知症になっても住み慣れた地域で暮らせるよう、認知症への理解を広めよう――千葉県で十六日、今月二十一日の世界アルツハイマーデーにちなんで認知症の人が参加して行う街頭パレード「認知症メモリーウオーク」が日本で初開催された(写真)。認知症の人と家族の会や老人クラブなどに参加する元気高齢者、デイサービスなど高齢者ケアにかかわる人など約三○○人が集まり、千葉県庁から千葉駅まで約一・五kmを歩いた。
 世界アルツハイマーデーは、一九九四年に国際アルツハイマー病協会がWHO(世界保健機関)の後押しを受け制定した日だ。諸外国ではこの日を中心に、アルツハイマー病に関するさまざまな啓発イベントが行われる。街頭を練り歩くメモリーウオークも盛んに行われていると主催者はいうが、日本ではこの千葉での取り組みが初めてだ。
 認知症メモリーウオークを呼びかけたのは、県高齢者保健福祉計画推進作業部会の下に認知症の人と家族の会千葉支部などが参加して設置された「千葉県認知症対策研究会」。官民共同による実行委員会で準備を進めてきた。
 事前のセレモニーでは、実行委員会のメンバーの認知症の人と家族の会千葉支部の永島光枝さんが、「予想以上にたくさんの人が集まってくれた。少しでも認知症に関心を持ってもらえる人が増えれば嬉しい」と挨拶。認知症の当事者である加藤芙貴子さんとその夫が、「さぁ、出発です。元気よく歩きましょう」と音頭をとり、メモリーウオークが県庁からスタートした。(以下略)

オリジナル嚥下食開発

 首都圏を中心に介護付き有料老人ホーム「ヒルデモア」、「ヒュッテ」など九カ所を展開する東京海上日動サミュエル(横浜市、碓田茂社長)はオリジナル嚥下食「モアディッシュ」を開発した。嚥下機能に合わせて五段階で、少しずつ施設で取り入れ始めているソフト食を取り入れたのが大きな特徴だ。すでに二〇〇食のレシピを開発済みで、刻み食やミキサー食だった人も他の入居者と見た目も変わらない食事がとれる。十四、十五日にさいたま市で開催された「第一三回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会」で発表した。
 ヒルデモアは介護サービスの質の向上に積極的に取り組んでいる施設の一つだ。嚥下障害のある入居者には、定番の「ミキサー食」「刻み食」を提供していたが、露骨に嫌がる利用者もいた。そこで、同社では二〇〇五年から歯科衛生士、調理師、管理栄養士などからなる特別チームを結成、健常者向けの食事の見た目や味を維持しながら、舌でつぶせるやわらかさを兼ね備えた刻み食に代る介護食の開発に成功した。いわゆるソフト食といわれ、先進的な施設で少しずつ広がってきているが、悩みはレシピ不足で、日常的に提供できる体制になっているところはまだ少ない。三菱商事フードテックなど食品加工会社三社と共同で、新技術を駆使することで可能になった。現在、ヒルデモアたまプラーザでは、スタッフが手作りしているが、寿司、うどん、海苔巻き、漬物などレシピは二〇〇種類。刻み食、ミキサー食レベルの人でも見た目が他の入居者と変わらない食事ができる。行事食もあり、年内には五〇〇種類になる見込みだ。(以下略)



シルバー新報 2007年9月14日号の主な記事 見出しと要旨


「生活機能評価」また見直し

   認定外の介護予防事業の対象者を選定する「生活機能評価」。ハードルが高すぎて対象者が見つからないと今年の四月から新基準に見直したばかりだが、医療制度改革による健診事業再編に伴い、市町村は再度の仕切り直しを迫られている。老人保健事業が廃止になることで、税金で賄われていた健診費用が、介護保険の地域支援事業から捻出されることになるが、給付費の三%以内という上限があり、「足りるのか」との声も上がっている。 もっと読む 

訪問介護 10カ所指定取り消し

東京都は十日、コムスン(港区、樋口公一代表)、クリスタル介護センター(中野区、森薫代表)、ダスキンゼロケア(港区、本間恒夫社長)の三社が運営する訪問介護事業所計一○カ所について、十月三十一日付けで指定を取り消すことを決めた。いずれも指定時に管理者やサービス提供責任者に該当しない職員をあてて申請していたり、その後も管理者不在や常勤職員が足りないなど人員基準に違反したまま、数カ月にわたって事業運営していたことが判明したためだ。都は、介護報酬を不正請求していたとしてコムスンに約二億三六○○万円、クリスタル介護センターに約四億八九○○万円、ダスキンゼロケアに約九六○○万円の返還を求めた。ダスキンゼロケアは東京・神奈川、埼玉、千葉、大阪など首都圏を中心に四七カ所の訪問介護事業所を展開しているが、指定取り消し処分を受けるのは今回が初めてとなる。いずれも改正前に開設した事業所のため、連座制の対象にはならない。(以下略)

入院と在宅支援機能で地域連携を

日本療養病床協会(会長=木下毅・光風園病院理事長)は九月五日から二日間、兵庫県・神戸市内で全国研究会を開催した。テーマは「良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」。「介護療養病床の役割は終わった」として療養病床の廃止・削減を進める国へのアンチテーゼだ。参加した病院からは、廃止・削減案は医療依存度の高い患者の実態や、患者・家族のニーズに合っていないとして反発する声が相次いだ。一方、協会のトップからは、国が推進する在宅療養と、急性期病院や介護保険施設をつなぐ拠点として生き残りを図る案が提案された。今後は老健との役割分担も議論になりそうだ。
 「介護療養型医療施設の今後」をテーマにしたシンポジウムでは、廃止後の選択肢として示されている医療療養病床や老人保健施設への転換について問題点や課題が指摘された。
 矢野諭・南小樽病院副院長は、老健への転換を検討する医療機関に、医療療養病床に転換するよう「再考」を求めた。「医師は一人しかおらず、医療行為も極力抑制している老健では(療養病床入院患者への)対応は難しい」ため、国の目標通りに病床削減すれば医療療養病床は不足するというのがその理由だ。介護療養病床を持つ自院でも、良質な慢性期医療を提供してきたという自負から、「老健への転換は選択はしたくない」と訴えた。医療機関でなくなることへの病院関係者の抵抗感は強い。
 病院の意向だけでなく、「患者も病床廃止に反対している」と訴えたのは小松和子・有馬温泉病院看護師長。昨年末、神戸市内の介護療養病床に入院している患者家族にアンケートを行ったところ、九割から「在宅では介護できない」との回答があったと報告した。「決して社会的入院ではなく、医療を必要としている」と方針の見直しを求めた。(以下略)

都国保連 介護サービス苦情相談

東京都国民健康保険団体連合会はこのほど、昨年度一年間に区市町村、東京都、都国保連の三者に寄せられた介護保険に関する苦情相談の結果をまとめた「介護サービスの苦情相談白書 平成十八年度版」を発行した。都国保連が毎年作成しているもので、全体の苦情件数は増加。特に昨年四月は保険料改定と制度改正が重なったことから、保険料と要介護認定に関する苦情が大幅増となっているのが特徴だ。一方で、サービス提供・保険給付に関する相談は減少。しかし、同居家族がいる場合の生活援助や要介護から要支援に移行した際の利用時間や回数についての苦情が見受けられ、制度改正に伴う不満の大きさが分かる。
 二〇〇六年度の苦情・相談受付件数は、六○五八件。一昨年度に比べて八五八件増だが、その内訳をみると急増しているのは「保険料」の一九七九件(対前年度九一三件増)、「要介護認定」の五八一件(同一八一件増)の二種類。毎年最も多い「サービス提供・保険給付」は昨年度も二二六一件で苦情の内訳ではトップだが、一昨年度の二六八三件からは減少している。昨年度に行われた介護保険制度の改正と保険料改定に伴う利用者の戸惑いがそのまま苦情に現れたと考えられる。
 サービス別の苦情件数は、訪問介護がトップで六四八件、居宅介護支援が五五八件で続くが、両者とも件数は減少している。(以下略)

途切れぬサービス要望

  コムスンの介護事業の引き受け先が固まったのを受け、厚生労働省は十日、全国介護保険・指導監査担当者会議を開き、サービスが切れ目なく提供できるように移行法人への指定手続きを行うよう求めた。今回の譲渡では、経営主体が変わることになり、通常のM&Aによる事業譲渡に比べて相当な手間が事業者、行政に求められることになる。
 事業の引継ぎ先については、第三者委員会の推薦をコムスンは全面的に受け入れている。有料老人ホームやグループホームは一括してニチイ学館に売却。
 都道府県毎に分割して譲渡するとされていた在宅サービス事業については、四日までに一六法人への譲渡が決まった。
 各社で個別に交渉が行われているが、三〇地域の事業を引き継ぐジャパンケアサービスは二二億五四〇〇万円、一二地域のセントケアは一五億円で売却額について合意済みだ。
 株式会社に対する事業譲渡は、会社分割方式で行われる。具体的にはコムスンが都道府県ごとに四七法人に分割。譲渡先法人が株式を取得して子会社化する。単純な株式譲渡方式だと、法人格が引き継がれるために介護保険法の欠格事由が解消されないためだ。非営利法人の場合は、子会社を保有することができないため、「事業譲渡方式」が用いられる。この場合も、欠格事由は解消されるが、サービス契約・賃貸借契約、雇用契約など全ての契約がいったん白紙になり、再契約が必要となる。今後手間取ることも予想される。(以下略)



シルバー新報 2007年9月7日号の主な記事 見出しと要旨


大手3社で30地域独占 コムスン在宅系 譲渡先決まる

   コムスンは四日、在宅事業の譲渡先を決定した。第三者委員会(委員長=堀田力弁護士)の推薦をそのまま受け入れたかたちだ。地域に根ざしたサービス提供を行っている事業者に譲渡するために、都道府県単位で分割して事業移行をする方針が示されていたが、四七都道府県中三〇地域をジャパンケアサービス、セントケア・ホールディング、ニチイ学館の大手事業者三社で占める結果になった。 もっと読む 

ケアマネとの連携評価

厚生労働省は四日、来年度から始まる後期高齢者医療制度の診療報酬の骨子案を、社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」に示した。高齢者の長期入院を是正し在宅医療へ誘導、医療・介護関係者の連携・情報共有によりひん回受診や重複投薬の抑制を目指す。患者の病歴や服薬状況を一元的に把握するかかりつけ医や、ケアマネジャーなどの介護・福祉関係者との連携を診療報酬上で重点的に評価すべきとしている。
 骨子案は、外来、入院、在宅、終末期医療ごとに、診療報酬上で重点評価する事項を示した。
 外来では、かかりつけ医(主治医)が、患者の病歴や受診歴、服薬状況を一元的に把握し、日常生活能力や認知機能などについて総合的に評価、必要な場合は専門の医療機関に紹介する役割を担えるような報酬上の評価を求めている。また、重複投薬を防ぐため、薬剤師をはじめとした医師、看護師による「お薬手帳」を活用した服薬情報の管理や、主治医やケアマネジャーを中心とした介護・福祉サービスとの情報共有・連携の評価を盛り込んでいる。
 入院では、退院後の生活を見越した診療計画を策定することを重視。入院中の状況を介護・福祉関係者とのケアカンファレンスで共有し、病院・在宅の関係職種が退院調整・退院前指導に連携して取り組むことができるようにする。 (以下略)

ボランティアで保険料軽減

 東京都稲城市は一日、高齢者の介護関連のボランティア活動をポイント換算し、現金に換えて介護保険料の支払いにあててもらう「介護支援ボランティア制度」を開始した。ボランティア活動を通じて元気高齢者の生きがいづくりや介護予防につなげ、その「評価」として介護保険料の負担を軽減するねらいだ。市が同制度を提案して二年。国は、保険料の減免を認めないとする介護保険制度の原則などを理由に実施を先送りしてきたが、今年五月、この仕組みを認める通知を出し、今回全国で初めて実現した。
 対象は六五歳以上の稲城市民。市社会福祉協議会に登録し、主に介護保険施設で行われる食事の配膳・下膳、散歩、移動介助、入居者の話し相手など市が指定する事業・活動でのボランティアを対象とする。活動を終了すると、一回一時間の活動に対して一つのスタンプを事業者が介護支援ボランティア手帳に押し、一日二回分までの活動を評価。スタンプを市社協でポイントに換算。一〇〜一九回で一〇〇〇ポイント、最大五〇〇〇ポイントが付与される。年に一回、現金化を希望する者が高齢福祉課に手帳を提出し、介護保険料の未納や滞納がない場合に、年間最大五〇〇〇円分の現金が口座に振り込まれる。すでに事業側は特養、NPOなど九団体、市民側は約七〇人が登録しているという。(以下略)

視野広い福祉専門職を育成

介護福祉士養成コースを持つ四年制大学の教職員が中心となってこのほど、「介護福祉士養成大学連絡協議会」を発足させることが決まった。現在、厚生労働省では二○○九年度から介護福祉士養成課程に新カリキュラムを導入する準備を進めているが、見直しは厚労省管轄の養成施設主導で進められ、四年制大学特有の課題が勘案されないとの危機感が強まったためだ。連絡協では、一般教養や社会福祉士の養成などと一体化した教育により、視野の広い福祉専門職を育成できるのが大学のメリットだとし、独自の養成カリキュラムを提案していく考えだ。
 連絡協は、古川孝順東洋大学教授を発起人に、五つの福祉系大学の教職員など一三人が六月から準備委員会を組織して進めてきた。今月三日には、介護福祉士養成コースを設置している三六大学・六〇人の教員たちが集まり、都内で設立準備会を開催した。
 古川教授は、四年制大学だけで協議会の設立を提案したことについて、「法改正に伴う新カリキュラムの検討作業は現在、厚労省の作業チームのほか日本介護福祉士養成施設協会(介養協)や日本介護福祉士会など関係団体でもそれぞれ進められている。しかし、その中では四年制大学が行っている専門職養成の実態や抱えている課題は俎上に上っていない。非常に危機感を感じている」と話した。 養成施設の上部団体である介養協には全国に約四二○校ある養成施設すべてが所属しており、介護福祉士養成コースを設置する大学も含まれているが、五〇校余りと少数派だ。これまで四年制大学への対応を取り上げて協議する場は持たれていないという。(以下略)

サービス以外の負担も増

 重度の身体障害者を対象にした身体障害者療護施設の入所者が集まってつくる療護施設自治会全国ネットワークは一日、都内で自立支援法後の療護施設の現状について話し合うシンポジウムを開催した(写真)。同ネットが行った入所者へのアンケート調査から自立支援法の自己負担分以外に施設との契約で定めるサービス利用料の負担も大きいことが分かった。
 療護施設は、身体障害者福祉法で定められた、常時介護を必要とする重度身体障害者が入所する施設だ。自立支援法では、施設入所の長期化をなくし、地域生活への移行を進めるため、日中の活動の場(デイサービスや就労訓練)と居住支援(ケアホーム、グループホームなど)を分けるようにサービス体系を改めた。しかし、二四時間の介護体制が必要な人も多く、就労や地域移行への課題は多い。
 シンポジウムでは、同協会が今年六月に全国の療護施設四七一カ所に実施したアンケート調査の結果が公表された。一八四施設の七八二人が回答。自立支援法後に生活が苦しくなったと回答した利用者が七割にのぼり、今年四月から低所得者への利用者負担軽減策が実施された後も生活の苦しさは続いていることが明らかになった。サービス利用料の一割負担や食費・光熱水費が自己負担となったこともあるが、調査では重要事項説明書で事業者との契約で定めるサービスの利用料の負担の大きさが明らかになった。理美容費、金銭管理、テレビ代のほか、趣味活動費、持ち込み電化製品の管理費、携帯電話の充電代まで徴収するようになった施設もあり、一人あたり平均四○○○円程度の負担となっている。毎月、自由に使える金額も一万円以下で四割を占めていた。(以下略)



シルバー新報 2007年8月31日号の主な記事 見出しと要旨


32%増の22兆1604億円 厚労省08年度予算概算要求

   厚生労働省は二十八日、〇八年度予算の概算要求をまとめた。一般会計総額は今年度当初予算比で、六八三五億円、三・二%増の二二兆一六〇四億円。介護保険の給付費総額は六兆八三六三億円で二・五%増と見込んだ。国庫負担総額は一兆九五九〇億円で〇・五%増にとどまっている。介護予防の導入で給付費の伸びが鈍化したのを受けて、伸び幅を低く見積もっている。 もっと読む 

「連座制見直しを」続々

コムスン事件をうけて、広域的な事業者への新たな規制や、サービス利用者の救済方法などを検討している介護事業の適正化に関する有識者会議は二十四日、事業者団体などからのヒアリングを行った。一つの事業所の不祥事が会社全体に及ぶ「連座」制については運用の見直しを求める意見が相次いだ。都道府県の指導・監査の際の判断基準が曖昧で、安心してサービス提供ができない、など行政不信を訴える声が目立った。
  特別養護老人ホームでは、六月に文京区の公設民営ホーム「くすのきの郷」が指定取消しを受け、連座制で他の法人が運営する公設ホームも巻き添えになった経緯がある。全国老人福祉施設協議会は「まったく無関係な受託法人にまで影響が及ぶ連座制には問題がある」と指摘。特に、社会福祉法人の場合は、経営側とみなされる「理事」には地域関係者や学識者を入れることが行政指導されており当事者責任を果たせない事情もあるとした。(以下略)

Jリーガーと健康づくり

 茨城県鹿嶋市は、今年度から日本プロサッカリーグ(通称・Jリーグ)に所属する鹿島アントラーズFCと提携して、中高年向けの健康づくり事業を始めた。二十五日には、五○歳以上の市民を対象に体験教室を初開催。アントラーズのプロサッカー選手も一緒に参加し交流できるとあって、ファンには堪らない取り組みだが、肝心の参加者は定員五○に対して二二人。中高年世代にはもう少しPRが必要のようだ。
 「身体をゆっくり伸ばしてください。無理をしないで痛くないところまででいいですよ」
 インストラクターの声かけに従って二二人の参加者が柔軟体操に取り組んでいる。苦しそうな顔で身体を伸ばそうとする参加者に混じって、軽々と足を伸ばしたり、体を曲げたりして一際目立つ若者が四人。彼らは鹿島アントラーズの現役選手だ。
 柔軟体操は、鹿嶋市が今年度からアントラーズの協力を得て始めた「健康づくり」事業のひとコマだ。五○歳以上の住民を対象とし、実施会場はアントラーズの本拠地である県立カシマサッカースタジアム。プロサッカー選手と一緒に運動しながら健康づくりを行うという全国でも珍しい取り組みだ。(以下略)

ヘルパー 現職6割が離職意向

 現在介護事業所で働くヘルパーの六三%が転職あるいは離職を考えており、その割合は二○○○年度に介護保険が始まった時と比べると四○ポイント以上も上がっていることが、篠崎良勝八戸大学講師が行った実態調査で分かった。離職の理由では「希望の収入に達しないこと」が最も多い。あわせてヘルパーが理想とする介護報酬額を尋ねたところ、生活援助の三○分以上一時間未満では現行の二○八○円よりも五二一円高い二六○一円を、一時間以上では七三七円上乗せした三六四七円だった。現在は報酬上の評価がないサービス提供責任者に対しては、全体の七割が報酬の設定が必要だとしており、利用者一人あたり一七○七円が希望報酬額となった。
 調査は北海道、茨城、東京、神奈川、新潟など一二の都道府県の介護事業所に勤めるホームヘルパー二五○人を対象に、今年六月に実施。一三五人から回答を得た(回収率五四%)。(以下略)

コムスン施設系 ニチイ学館に210億で売却

コムスンとニチイ学館は二十八日、グループホームや介護付き有料老人ホームなどコムスンの施設系事業をニチイ学館に二一〇億円で売却することで合意した。十一月一日をめどに、同事業はニチイ学館に引き継がれる。
 事業委譲先を検討していた第三者委員会(委員長=堀田力弁護士)は二十七日にニチイ学館を相手に選んだばかりで、スピード合意になった。第三者委の選定理由は他候補に比べて財務基盤が良好で、同社が提供するサービスはほぼすべての都道府県をカバーしていること、他社に比べて人員供給能力が高いこと、などを挙げている。また、同社から、事業承継前でも必要があれば人員調達、約半年間の資金調達が可能であるという提案があったことを評価した。
 譲渡の対象となるのは、介護付き有料老人ホーム「コムスンホーム」八施設、「コムスンのきらめき」十八施設、グループホーム「コムスンのほほえみ」一八三施設で、総利用者数は約四二〇〇人。北海道から九州まで幅広くカバーするが、東京、埼玉、神奈川などの首都圏の施設数は全体の二割未満だ。
 すべてオーナーが建てた建物を一棟借りするサブリース方式。同社には、このほか介護付き有料老人ホームの高級バージョンである「ガーデン」四施設、高級レジデンス「バーリントン」二施設があるが、いずれも自社物件であり、サブリース物件とは別に売却先を選定している。
 コムスンは二十八日付けで三つの施設種別ごとに受け皿会社を設立して、それぞれの事業を引き継がせたうえで、ニチイ学館に二一〇億円で売却した。(以下略)



シルバー新報 2007年8月24日号の主な記事 見出しと要旨


シルバー利用制限に”怒り”

 市民福祉情報オフィス・ハスカップなどNPO六団体が七月九日から三日間実施した介護保険電話相談の集計結果がこのほどまとまった。「同居家族がいるからと生活援助が打ち切りになってしまった」「自治体に相談してヘルパーを利用できると言われたのに、ケアマネジャーに断られた」「サービスを利用できないのに支払った介護保険料はどこへ行ってしまうのか」  。三日間で寄せられた九○件の相談の四割は、本人や介護家族からの『怒りと不満』だ。特に昨年四月以降、ヘルパーの利用が制限されたことを訴える声は多く、要介護度にかかわらず生活援助がカットされている傾向もうかがえる。電話相談の前に自治体担当者やケアマネジャーに相談しても納得のいく説明は受けられなかった人も半数近く。行き場のない怒りは、制度を利用する当事者からの貴重な声だ。 もっと読む 

民主党 1割負担凍結目指す

民主党は、九月にも召集される臨時国会で、障害者の一割負担凍結などを盛り込んだ障害者自立支援法改正案を参院に提出する方針を固めた。先の通常国会に提出し、衆院で継続審議となっている法案を一旦取り下げ、微修正の上、野党が過半数の議席を獲得している参院に先に提出する。社民党、国民新党からも賛同が得られると見ており、参院通過の公算は大きいとしている。
 先の通常国会の衆院に出された「障害者自立支援法・児童福祉法改正法案」には、自立支援法の定率一割の利用者負担を、支払い能力に応じた負担に改める改正のほか、減収となった事業者に対して、国や地方自治体が財政上・金融上の支援を行う規定が盛り込まれている。民主党は継続審議となっているこの法案を基本として、日額での報酬支払い、食費負担のあり方などの見直しを加えた上で、九月中旬にも召集予定の臨時国会に改正案を提出する方針だ。党内でも概ね了承が得られているという。(以下略)

神奈川県 「地域ケア」の素案提示

 神奈川県は、療養病床再編後の地域の受け皿となる介護サービスや見守りサービス、在宅医療の必要量を見込む「地域ケア体制整備構想(仮称)」の素案をまとめ、意見募集を開始した。九月十四日まで。現在約一万二〇〇〇床ある療養病床を、二〇一二年度末までに約一四〇〇床削減するとしている。意見募集の結果や、現在調査中の医療機関の転換意向や入院患者の実態を踏まえて、構想案を策定する。
 地域ケア体制整備構想は、今年六月に厚生労働省が出した基本指針で、都道府県ごとに今秋をめどに策定すると規定されている。
 素案によると、今年四月現在、県内の療養病床は、医療八四七三床、介護四三四〇床の合計一万二八一三床。政府は、二〇一一年度末までに介護療養病床の全廃を決めているが、同県の高齢者人口一〇万人あたりの療養病床数は約九〇〇床で全国四三位と「かなり少ない状況」にあり、地域的な偏在もある。三〇年後の二○三五年には高齢化率が三〇%に達し、要介護認定者も二〇一一年度には二割の増加が見込まれるため、「サービスニーズは増す」と分析している。
 また、入院患者の状態像は、医療療養病床では全国平均より医療の必要度の高い患者の割合が高く、介護療養病床でも要介護度4・5の割合も高い。単身者・高齢者のみ世帯は約四割、夜間・日中に介護者がいない割合は七割、自宅がない者の割合は二割など、家族の介護力も低下しているため、地域ケア体制の充実や特養の整備、高齢者向けの住宅整備が必要としている。(以下略)

人材育成〜これからの人づくり〜

広島県福山市にあるQOLサービスでは、毎年一回、全職員が日々の仕事上の研究成果を発表するユニークな試み、「ありがとう学会」を開催している。もともとは、自分の意見や考えを言葉で表すのが苦手な介護職に「周りに伝える力”を身につけて欲しい」と始めた取り組みだが、職員が自分の成長を確認する場にもなり、仕事に対する自信やモチベーションの維持につながっているという。法人が運営するグループホーム「ありがとう」では、二年間で退職者はわずか一人。結果として、人材定着にも効果を上げているといえそうだ。
グループホームありがとう 「ありがとう」は、JR東福山駅からバスで一○分程度の住宅地にある二ユニット(定員一八人)のグループホームだ。ホームは二○○四年の開設でまだ新しいが、運営法人のQOLサービスによる小規模多機能型居宅介護事業所や自主事業で障害者も受け入れるデイも隣接地で運営しており、障害者や高齢者の地域生活を支える拠点としてすでに地域では知られた存在となっている。
 代表取締役社長の妹尾弘幸氏はもとは病院のPTで、独立後はデイのメニューの開発やヘルパー研修などの教育事業を中心に活動してきた。その経緯もあり、介護事業所を始めた当初から職員の研修には特に力を入れてきたという。勉強会の開催や資格取得の支援などにも積極的だが、特にユニークなのが、全介護スタッフ七〇人が参加する「ありがとう学会」を毎年開催していることだ。
 「医療畑で仕事をしていたせいもあって、医療系の専門職と比べて介護職はプレゼンテーション能力が弱いと常々感じていました。思いと直感ですばらしい介護ができても、それを人に伝えることが苦手な人が多い。もったいないと思ったのです」(以下略)

退院後の自立生活支援 アビリティーズ ・ケアネット 

アビリティーズ・ケアネット(東京都渋谷区、伊東弘泰社長)は九月四日、東京都府中市に賃貸住宅と訪問・通所介護事業所、リハビリセンターなどを併設した複合施設「自立生活訓練センター(アビリティーズセンター)」を開設する。障害や疾病を持った人に対する入院治療やリハビリが短期化している中、退院後の在宅生活や社会参加の実現を支援していくための「受け皿」として機能させていくのがねらいだ。自宅に代わる住まいのほか、希望に応じてPT・OTなどのリハビリ専門職による個別のリハビリプログラムの提供や福祉用具・社会資源を活用した日常生活の提案などのサービスが身近な場所で受けられる新しいタイプの複合施設だ。
 同センターは、賃貸住宅一八戸に介護保険の通所介護事業所(定員一○人)、自主契約でリハビリを提供するジム、そして地域の誰もが利用できるコミュニティレストランを併設した複合施設だ。住宅部分はバリアフリー仕様でバス・トイレ・キッチンがついたワンルーム。二○平方mと四○平方mの二種類があり、いずれの住居にもテレビや冷蔵庫、ベッドなどの家具があらかじめ備え付けられているため、入居後すぐに生活を始められるようになっている。家賃は月額三○万円から。
 同社はこれまで要介護高齢者や障害者向けの在宅サービス、福祉用具の開発・レンタルを柱に有料ホームや高齢者住宅などの居住施設も展開しているが、リハビリ施設と住宅を組み合わせた複合施設は初めてだ。(以下略)



シルバー新報 2007年8月10日号の主な記事 見出しと要旨


独自高報酬は3区市 小規模多機能型・夜間訪問介護

小規模多機能型居宅介護や夜間対応型訪問介護について、独自に高い報酬を設定するとして七月末までに国に申請した市町村は、厚生労働省によると全国で三区市にとどまっていることが分かった。東京都足立区、群馬県高崎市、秋田県横手市。両サービスとも全国的に参入が低迷している背景には、報酬設定の問題もある。多数の保険者での設定を期待していた事業所側にとってまずは肩すかしといえそうだ。 もっと読む 

社会保障費 来年度も2200億円削減

政府の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)は七日、二〇〇八年度予算の指針となる〇八年度予算の全体像を決定した。社会保障費の伸びを二二〇〇億円抑制すること、公共事業費を対前年度比三%の削減を行うことを盛り込んでいる。これに基づき概算要求基準をまとめ、十日に閣議決定する見通しだ。社会保障関係では、診療報酬の薬価のマイナス改定などのほか、政管健保の国庫負担を引き下げ、健康保険組合や共済組合に負担を求める削減策を検討している。
 六日に行われた会議で提出された民間議員の提言をベースに、会議としての方針を決定した。概算要求基準の設定にあたっては一一年度にプライマリーバランスの黒字化を図るため歳出削減を行うとする「基本方針二〇〇六」に則って、来年度「最大限の削減を行う」と明記した一方、「地方や国民各層の経済成長の成果が行き渡るよう、一層のメリハリをつけるための取り組みを行う」としている。(以下略)

後期高齢者医療で担当者会議を開催 

厚生労働省は六日、全国老人医療・国民健康保険主管課長会議を開催し、後期高齢者医療制度の創設や特定健診の導入など主に来年四月から施行される制度改革に向けての準備作業について都道府県担当者らに説明した。政省令案は七月末からパブリックコメントを実施。準備の遅れに不満の声も聞こえた。主な事項を紹介する。
保険料上限は年間50万円に
 七五歳以上の後期高齢者が負担する保険料の上限を五〇万円に設定する考えを示した。国民健康保険料の五六万円とほぼ同水準だ。保険料算定のワークシートを提示し、九月から試算することを求めた。保険料は全員が負担する「均等割」と負担能力のある人だけが払う「所得割」で設定される。所得割を負担するのは全体の三割と推計されており、限度額を低く設定し高所得の人の負担を抑えると、中間所得層の負担が増えることになるため、できる限り負担能力のある人に負担してもらうようにするという。上限の五〇万円になる人は全体の一・五%程度。
また、保険料算定のワークシートも示された。医療費、財政安定化基金への拠出、保健事業の費用、審査支払い手数料など必要経費の総額をもとに算出していく。必要な係数などは九月初旬に提示し、十月には広域連合会議や市町村に保険料の説明ができるようにすることを広域連合に求めた。(以下略)

官民一体で介護予防推進

制度改正から二年目を迎えてもなお、介護予防業務で手一杯となっている地域包括支援センターが少なくない中、直営一カ所で予防から権利擁護事業、ケアマネジャーに対する支援まで順調に「地域包括ケア」の拠点として歩みを進めているのが宮城県岩沼市だ。予防では独自に開発したアセスメントシートを活用。「改善の可能性」を示せるようにしたことで、本人や家族が予防へ意欲を持てるようになり、委託先のケアマネジャーも支援計画が立てやすくなるなど効果を上げている。官民一体で包括センターを軌道に乗せた好例といえるだろう。
 岩沼市は人口四万四○○○人、高齢者人口約八○○○人(二○○七年六月末現在)小規模な自治体だが、今、地域包括支援センターがとても元気だ。
 センターは市の民生部介護福祉課に置かれた直営一カ所のみ。まず驚くのは、そこに配置された職員の数だ。所長と管理者である地域予防係長(保健師)を始め保健師三人、主任ケアマネジャー四人、社会福祉士二人。さらにケアマネジャーと事務職を合わせて総勢一四人。しかも主任ケアマネジャー以下の専門職はすべて、市内の在宅介護支援センターや社会福祉協議会などの民間法人からの出向だ。
 「新たな包括センターに対して市長が前向きだったこともありますが、それ以上に有難かったのは、民間の事業者さんが協力的だったこと。予防だけでなく、虐待への対応やケアマネジャーに対する支援といった包括的支援事業を軌道に乗せていくためには、行政と民間が一緒に考えていく体制が必要だと思っていました」(地域予防係長・今田昌美さん)。(以下略)

人材不足をどうするか 人材ビジネス界の提言 11

「看護師を目指す人々は、もともと仕事そのものに思い入れが強く、キャリアアップの意欲が強い人が多いのが特徴です」と話すのは、看護師を中心とした医療有資格者の紹介・派遣を手がけるメディカルアソシア(東京都千代田区、田中秀代社長)の上野剛嗣営業企画室室長だ。同社ではスタッフが登録時からマンツーマンでキャリア構築をフォローする「マイコーチ」制度を採用し、子育てや結婚などで一度職場を離れた「潜在看護師」の職場復帰に貢献している。
 一九八五年の設立から二〇年以上にわたって医療・福祉系の人材紹介を手がけてきたが、二〇〇四年に看護師の紹介予定派遣が解禁され、派遣業務にも注力、登録者数を順調に伸ばし、現在は約三万人。うち六割以上が看護師だ。
 ジェネリック医薬品や電子カルテの普及など、看護師に要求される資質は年々高度化しており、子育てなどで一度職を離れた看護師のなかにはいきなり第一線に復帰することにためらいもある。
 そんな看護師の職場復帰の第一段階として利用されるのが派遣という働き方であるようだ。実際に一番の人気は、スポット勤務が可能な訪問入浴という。それを経て、ステップアップしていく人も少なくない。
 なかには、最終的に五〇歳を超えてから有料老人ホームの施設長候補として転職を果たした例もあるという。このケースでは、当初提示された金額は本人の希望額をはるかに下回るものだった。しかし、同社はそれを年収ベースで八〇万円アップにも成功した。
 「就業先と本人との面接だけでは伝わらないことが多い。私たちエージェントは事前にじっくりカウンセリングをしていますので、追加情報を施設側に伝えました。彼女の場合は、『災害時に利用者をどのように避難させるか』など、看護師ならではの観点で介護を考える人でした。年収アップには、資格や経験年数といった表に見えるスキル以外のものがかぎとなるケースも多い」(上野室長)(以下略)



シルバー新報 2007年8月3日号の主な記事 見出しと要旨


離職者8割が勤続3年未満 

介護労働安定センター(野寺康幸理事長)は七月三十一日、全国の介護サービス事業所を対象に、介護職の労働条件や雇用管理、賃金などの状況について調べた「介護労働実態調査」の結果をまとめた。他産業と比べて高い離職率や低賃金が指摘されている介護業界だが、今回の調査結果でも介護職全体の離職率は二○・三%と、全産業の平均離職率一七・五%より二・八ポイント高かったほか、月給平均二一万三八○○円も一般労働者の三三万八○○○円を大きく下回る結果となった。一年間の離職者約三万六○○○人のうち、勤続年数が一年未満だった人は四割以上、三年未満で八割にも達している。同じ介護職でもホームヘルパーより施設介護職のほうが正社員・非正社員ともに離職率が高く、従業員二○人未満の小規模な事業所ほど職員の入れ替わりが激しいことなども明らかになった。 もっと読む 

総合的に診る医師実現性に疑問符

 社会保障審議会の後期高齢者医療の在り方に関する特別部会(部会長=糠谷真平国民生活センター理事長)は七月三十日、診療報酬体系の骨子取りまとめに向け、総括的な議論を行った。新制度では、主治医など高齢者を「総合的に診る医師」を位置付け、外来医療から入院、在宅医療を通じてかかわることを期待しているが、医師個人の能力に頼る制度設計に疑問を呈する声が複数挙がった。
 同部会は今年四月、複数の疾患を抱えケアの必要性のある後期高齢者には、在宅を重視し、入院しても退院後の生活を見越した評価とマネジメントが必要とする基本的考え方をまとめた。この考え方に沿って、入院医療、外来医療、在宅医療、終末期医療についての議論が一巡したため、同日の会合では、総括的な議論を行った。
 新制度では、主治医などの「総合的に診る医師」を診療の中心に位置付け、後期高齢者の病歴や受診歴を一元的に把握するとともに、入院中もかかわりを続け、在宅療養の際は看護師や薬剤師、ケアマネジャーなどと連携して、介護保険サービスも含めチームで一体的なサービスを提供するイメージが示されている。現在の医師養成課程は専門分化されているため、研修等を通じて能力を持った医師を養成する必要性も指摘している。(以下略)

在宅は都道府県で分割コムスン介護事業 

虚偽申請で処分を受け、介護事業からの撤退を余儀なくされたコムスン(東京都港区、樋口公一社長)は七月三十一日、事業移行計画を厚生労働省に提出し、訪問介護など在宅系サービスは都道府県別に四七区分に分割、介護付き有料老人ホームは全国一法人に譲渡する方針だ。事業継承先は公募の上、第三者委員会が審査、推薦する。
 グッドウィル・グループの日本シルバーサービス、他四社の介護事業会社については、処分の対象になっていないことから第三者委員会を通さずにグッドウィル・グループが個別に譲渡先を決定し、グループとして介護事業から全面撤退する。当初、同社は事業を一括で譲渡する方針を示していたが、市場の寡占化がすすみかねないことへの批判や、地域の多様性に配慮すべきと自治体から反発があったことから方針変更した。
 訪問介護、居宅介護支援などの在宅系サービスは各都道府県ごとに分割譲渡することで、離島やへき地など採算の取りにくい地域での引き継ぎをスムーズにするねらいもある介護付き有料老人ホーム、グループホームなどの居住系サービスについては一括譲渡としているが、場合によっては別々の法人に譲渡する可能性もある。
 譲渡先については公募を行い、社外の有識者からなる第三者委員会(委員長:堀田力さわやか法律事務所所長)が審査しコムスンに推薦する。(以下略)

技術よりも『聴く力』

介護保険外に特化した柔軟な生活支援サービスで全国展開を進めているダスキン・ホームインステッド事業。現在一二五店舗、利用者数約三〇〇〇人(六月単月)と、急速に業績を伸ばしている。五○歳代の主婦層が中心のケアスタッフは無資格・未経験者も半数を占めるが、定着率は八割以上。その秘密は継続的に提供される研修と管理体制にある。
 ホームインステッドは、ダスキンが二○○○年から展開している介護保険外の生活援助サービスだ。通院介助や夜間の見守り、介護家族の話し相手まで、基本的に医療・看護行為以外であれば、電話一本で対応する。使い勝手の良さに加え制約の多い介護保険サービスとの差別化にも奏功し、二○○六年度末の売上高は前期比七二・八%増の一三億九八○○万円を計上した。
 「最も大きいのが七割以上を占める定期利用者の存在。それだけケアスタッフに満足してくれているということですから」(石幡晃事業部長)
 介護保険のホームヘルプと違い、ホームインステッドでは見守りや話し相手など比較的長時間にわたる訪問サービスが中心だ。幅広いニーズに対応しなければならないが、採用に関して経験や資格の有無は一切問わない。現在四七○○人いるケアスタッフは平均年齢五○歳代半ばの主婦だ。
 人生経験が豊富で老いを自分のこととして意識している年代であるため、高齢者や家族の気持ちにも自然な共感を示すことができるという。(以下略)

看護職も仕事のビジョンを BSC活用で意識付け

「事業計画に沿ってどのポジションのスタッフが何人必要かをきちんと見極める。そのうえで直接雇用にするか派遣スタッフで補うかを考えてほしい」と、きちんとした経営ビジョンを持たず、人手をかき集めることに腐心する事業者に警鐘を鳴らすのがMedical CUBIC(東京都千代田区、深澤優子社長)だ。引く手あまたの看護職だが、自身で働き方の将来像を考えないと長続きしないともいい、業績評価システムとして大企業が採用しているバランスト・スコアカード(BSC)を求職者向けセミナーでもテーマにしている。今後は、経営サイドの人材を送り出したいという。
 同社は看護師を中心に扱う人材派遣・紹介会社。今年の四月には介護事業者の持株会社アントケアホールディングス(東京都中央区)の傘下に入った。
 看護師の経験とMBA(経営学修士)を持つ深澤社長ら三人が、看護師の活躍の場を広げるために立ち上げたという経緯もあり、派遣職種のほとんどが看護師で取引事業所も六割以上が医療機関。介護事業者との取引は現在三割程度。
 同社の特色は、事業者と登録スタッフの架け橋となるコーディネーター六人のうち四人が看護師、保健師、介護福祉士などの国家資格取得者で、なおかつ実務経験者であること。契約事業者からは「現場レベルの話もスムーズに理解してもらえる」、登録スタッフからは「本当に知りたいことをきちんと説明してくれる」と双方から好評という。(以下略)



シルバー新報 2007年7月27日号の主な記事 見出しと要旨


介護サービス情報ウェブ上で入力可能に

二年目を迎えた介護サービス情報の公表制度。神奈川県の指定情報公表センター「かながわ福祉サービス振興会」では、初年度の事業所からの苦情を分析し、専用サイト上で、情報を記入できるようにしたり、調査日の指定ができるようにして運用面で改善を図った。手数料が事業者負担で割高、しかも利用者の役に立っているかどうか分からないと事業所サイドから大ブーイングの同制度。「天下り先の確保」の批判をはね返すには、運営側の工夫も問われそうだ。 もっと読む 

6兆円の税源移譲要望

全国知事会(会長=麻生渡福岡県知事)は十二日、熊本市で開催された全国知事会議で二〇〇八年度の国の施策や予算への提案・要望をまとめた。国と地方の税源配分を五対五にするために、偏在性の少ない消費税などによる六兆円規模の税源移譲を求める方針を決めた。介護保険に関しては、介護予防プラン作成の報酬引き上げなどの支援策を講じることや、事業者の事後規制でさらなる法整備を求めている。
 知事会は今年度からの取り組みを「第二期地方分権改革」と位置づけ、まず現在六対四の国税と地方税の税源配分を五対五にするため、六兆円の税源移譲を求めることを掲げた。さらに、二重行政を解消するため、現在国の地方支分部局が行っている事務のうち地方でできるものを受け入れたり、不要な事務については廃止する。例えば、厚生労働省の地方厚生局で行っている医療機関の指定・監督や地方自治体への補助金執行事務などは地方で一本化でき、支分局は廃止可能としている。また、政府と地方の代表者が協議を行う「地方行財政会議(仮)」の設置を挙げた。(以下略)

介護報酬の地域差是正訴え

 二度の介護報酬マイナス改定で、厳しい経営を余儀なくされている介護事業者。加えて東京では、都や区部の施設が、地方に比べ人件費や物件費の高い実情が反映されない「全国一律」の報酬設定で二重に苦しめられているとして、東京都と地方の報酬の不均衡を見直すよう求めている。グループホームや地域密着型サービス拠点などの整備の遅れ、深刻な介護人材不足が起こっており、「このままでは東京で介護サービスを提供できなくなる」と強い危機感を表明している。
 今年五月、東京都は介護報酬に大都市部のコストを適正に反映するよう訴える提言書を厚生労働省に提出した。
 特に問題としているのは、地域加算のあり方だ。
 現行の介護報酬の基準単価は一〇円。人件費の地域差については、介護保険制度創設時の国家公務員給与の調整手当の支給率一二%に、人件費率(事業収支に占める人件費の割合)四〇%をかけて算出した単位を上乗せして設定している。東京二三区の場合は一〇・四八円だが、提言書はこの人件費の地域差の調整係数が地域格差の実態をまったく反映していないと指摘している。調整係数算定の元となっている「人件費率四〇%」は、厚生省が介護保険施行前に行った全国調査に基づく数字で、過去七年間見直しは行われていない。都が二〇〇三年度に行った調査によると、都内の民間特養の人件費率は七〇・六%。職員賃金の相場も全国平均を二〇%以上も上回っており、消費者物価指数も地価もずば抜けて高い。(以下略)

効果的な介護予防ケアマネジメント

 三菱総合研究所はこのほど、地域包括支援センターで実践されている効果的な介護予防ケアマネジメントについて分析し、その手法や要点などを取りまとめた研究報告書を作成した。包括センターではこれまで予防や介護分野に携わった経験のない保健師も少なくないため、改めて予防マネジメントの理念や効果的な手法を体系化することで、現場での実践に役立ててもらいたいとしている。
 研究事業は厚生労働省の補助事業として、東北大学大学院辻一郎教授を委員長とする研究グループが実施した。
 報告書は、@介護予防ケアマネジメントの要点、A実践事例集、B介護予防支援業務に係る重点化・効率化、の三本柱で構成されている。まず、@の「要点」では、介護予防が心身機能の維持・改善を目指すものではなく、自立した日常生活を営めるように本人の意欲を高めていくことが重要だとする基本理念を始め、それを実践していく上で重要な留意点として、住み慣れた地域資源を活用すること、できない原因を分析して「できること」に変えていくアセスメント、段階を踏んだ目標設定、次の目標につながる評価などを「一○の要点」として整理。それぞれの要点について実際に地域包括支援センターから収集した事例を挙げて解説している。(以下略)

コムスンヘルパー「再生のチャンスを」

 虚偽の申請で指定を受けたことなどで、処分を受け介護事業からの撤退を余儀なくされているコムスンの事業所で働くヘルパーが二十四日、厚生労働大臣宛にコムスンの存続を求める嘆願書を提出した。「重度の障害を持った利用者に対しても二四時間のケア体制で安心を提供してきた」「まじめに働いてきたスタッフは、移動中に罵声を浴びせられるなどつらい思いに耐えながら仕事を続けているが、コムスンの一員として働き続けたいと願っている」。同社登録ヘルパーの斉藤明美さんは、現在経営サイドだけで事業譲渡などの話が進んでいることに対し、「コムスンの実績を評価して、コムスンの従業員としてこれまで通りのサービスを続けられるようにしてほしいと考えている人が少なくないことをアピールしたかった」と言う。同省では事前に嘆願書は受け取れないと断ったが、伊藤さんら五人のヘルパーは制服を着て、全国のスタッフと利用者・家族三○○○人分の署名を同省老健局振興課に持ち込んだ(写真)。(以下略)



シルバー新報 2007年7月20日号の主な記事 見出しと要旨


介護事業適正運営で有識者会議 規制強化を検討

厚生労働省は十九日、「介護事業運営の適正化に関する有識者会議」を発足させた。コムスンの処分を巡っては、事業所を廃止してしまえば処分ができないことや、本社に対しては監査ができないなど法律の不備も指摘されている。有識者会議では、広域的に事業展開をするコムスンのような事業者に対する規制の在り方を再検討するほか、現行の規制の妥当性、事業が廃止された場合の利用者保護の仕組みなどを多角的に検討するとしている。秋までに報告をまとめ、必要な場合は法改正も行う予定だ。 もっと読む 

評価方法の検討へ 消防庁

総務省消防庁は、二○○九年度から、認知症グループホームなど一定基準以上の小規模施設についてもスプリンクラーや自動火災報知機などの設置を義務付ける改正消防法施行令が始まるのを受け、今月から「小規模福祉施設に対応した消防設備等に関する検討会」を発足させた。
 昨年一月に発生した長崎県の認知症グループホーム火災死亡事故をきっかけに今年六月十三日に改正された消防法施行令及び施行規則では、自力で避難することが困難な高齢者や障害者が入所している福祉施設について、延べ面積二七五平方m以上でスプリンクラーを、面積に関わらず全施設に自動火災報知機の設置などを義務付けることになった。二○○九年度から施行。既存施設については二○一一年度末まで経過措置がある。
 検討会では、対象となる小規模福祉施設が新たに消防用設備を設置する際、建物の規模や構造、利用形態などに合った機器を選択しやすいようにするため、機器の構成や性能の評価方法などについて検討を行う。消防庁予防課によると、既存の住宅用スプリンクラーヘッドは性能や規格等についての評価基準は現在のところないという。(以下略)

ケアの本質は利用者本位

 宅老所やグループホームなどの実践者と、昨年度創設された小規模多機能型居宅介護事業所が集まり、在宅生活を支えるための「小規模多機能ケア」について考える全国大会が十六日から二日間、北海道旭川市で開催された(写真)。宅老所をモデルに新たなサービスとして創設された小規模多機能型居宅介護について、利用者確保や定額制の報酬内でのケアマネジメントなど、制度の中で柔軟なサービス提供を実現していくことの難しさが課題に上った。
 今大会は、宅老所をモデルに昨年度、介護保険で小規模多機能型居宅介護が創設された以降の事業者の状況などを検証するのが大きな目的。既存の宅老所を始め、制度化を機に指定事業所に移行した事業者、新規参入を目指す事業者など四○○人を超える参加が集まった。関心は高い。
 二日目に行われたシンポジウムでは、熊本市で介護保険制度前から宅老所を運営し、先月発足した小規模多機能居宅介護の指定事業者団体の理事長に就任した川原秀夫氏が、指定事業所になったことによる経営面での厳しさを報告した。以下略)

MSW全国協会が発足

病院で患者や家族の退院支援や経済的問題などの相談に応じる医療ソーシャルワーカー(MSW)の国家資格化と独自の養成課程の確立を目指す「全国医療ソーシャルワーカー協会連絡協議会」が十四日、発足した。都道府県協会ごとの加入を条件としており、現時点では愛知、三重、岐阜、広島など六県約一三〇〇人が参加している。今後、厚生労働省などへの要望活動を行っていく方針だ。
 MSWは、主に病院に配置され、入院患者や家族の経済的・心理的な問題、在宅生活への移行、転院・施設入所などの相談に応じる専門職。精神保健福祉領域で同様の業務を行う精神保健福祉士は国家資格として位置付けられているが、MSWは資格化されておらず、一般的に社会福祉士の有資格者が採用されているケースが多い。また、平均在院日数の短縮化や療養病床の再編を受けて職種の必要性は高まっているものの、病院での配置義務はなく診療報酬上の評価もないため、病院経営者に任意で雇用されている状況だ。
 協議会は、MSWを国家資格化し、医療・福祉にまたがる専門性を培う独自カリキュラムを構築、専門職としての身分を確立することが目的だ。(以下略)

″教育″で離職率低下 未経験者にサポートも

 未経験者でも働きながら資格取得ができる体制に注力してきた人材派遣会社がニッソーネット(大阪市、山下謹吾社長)だ。同社は関西・関東地方で約二五〇カ所の病院、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの介護施設と契約している。働きながら資格取得するスタッフの受け入れについては、すでに関西地方で契約している顧客の約八割が承諾済みだ。自社で教育研修事業を手がけることで、スタッフのニーズに応じたきめ細かな研修を提供できる。離職率低下にも効果を上げているという。
 登録スタッフ数は約三〇〇〇人、うち約五〇〇人のヘルパー、介護福祉士、看護師、ケアマネジャーなどが同社のスタッフとして活躍中だ。人材確保策として力を入れてきたのが未経験者の取り込み。本当は資格を取りたいがそのための研修費用の負担は重いという人も大勢いるからだ。
 このため、同社ではスタッフの資格取得を時間・金銭両面からサポートしている。
 関西の三支社すべてに、ホームヘルパー二級、介護職員基礎研修(予定)などが受講できる「ほっと倶楽部」を併設する。大阪梅田、天王寺、神戸三ノ宮など、主要駅の駅前に立地しており、通学しやすい環境だ。
 「ほっと倶楽部」は自社運営のため、派遣スタッフの勤務シフトとの調整もスムーズ。「学びたいが職場で受講を切り出しづらい」という事態をなくすため、派遣先にもあらかじめ、受講のための時間確保を要請している。
 未経験者やブランクが長い人向けに、一日で介護技術のポイントを学習できる「ケアサポート研修」は週一回の頻度で開講され、思い立ったときにいつでも受講できる体制だ。
 「介護の仕事に限界を感じても、基本に戻ってもう一度研修を受けることで退職を思いとどまるケースも多い」(榎本課長)
 離職率低下にも一役買っているという。(以下略)



シルバー新報 2007年7月13日号の主な記事 見出しと要旨


介護人材確保へ指針案

 厚生労働省は四日、福祉・介護サービスに従事する人材を将来にわたって安定的に確保していくため、国や地方自治体、事業経営者が取り組むべき措置を盛り込んだ「福祉人材確保指針」の案をまとめ、社会保障審議会福祉部会(部会長=岩田正美日本女子大学教授)に提示した。他産業と比較して低い賃金水準であることが介護職が定着しない最大の要因だとして、介護報酬の引き上げを明確化すべきとする意見が相次いでいたが、新指針案では「保険料負担の水準にも留意しながら適切な介護報酬を設定すること」と表現するにとどまった。一方、介護福祉士の資格取得者を報酬で評価する仕組みや、人員配置基準のあり方について検討していくとした。単なる″努力規定″にとどまらないよう、定期的に評価検証して対策を講じていくなど、実効性を上げることも新たに盛り込まれた点だ もっと読む 

情報の公表事務費補助

 財務省は六日、介護サービス情報の公表制度について、厚生労働省の補助事業を廃止し、原則として事業者からの手数料でまかなうべきとする調査結果を公表した。国庫補助を受けている自治体は少数派の上、行政事務のコストが全国平均を上回っており、割高となっていると指摘。一層のコストの合理化・効率化によって事業者からの手数料だけで実施できるというのがその理由だ。一方、事業者から徴収する手数料については、手数料負担が重くならないようにすべきとしている。
 財務省は〇二年度以降毎年、各省の事業予算が効率的・効果的に使われているかを点検する「予算執行調査」を行っている。
 今度は厚生労働省の介護サービス情報の公表制度への国庫補助事業を含む四事業に対して、廃止を含めた見直しを求めている。(以下略)

介護保険の事後規制ルール「暴力団排除」規定を参考に

コムスンなどに適用された「連座制」の事後規制ルールについて、業界内では詳細は知らなかったという声が強い。法改正にあたって、公の場で議論されることはほとんどなく密室でルールがつくられたからだ。法律に欠格要件を設け、該当すると新規でも更新でも指定が受けられなくなったが、こうした手法は実は暴力団など特に悪質な事業者を強制排除するために用いられている。しかし、参考にされた産業廃棄物処理法では、欠格要件の適用に関する法解釈を巡り、各地で訴訟が起こる事態になっている。先例にどこまで学んだかも藪の中だ。悪事とは無縁の従業員だけでなく、介護サービスの場合は利用者も巻き添えになる。改めて議論が必要だ。
「聞いていなかった」 事業者には戸惑いも
 法改正は〇五年の通常国会だったが、予防や地域密着型サービスの導入など大仕事に追われ、新しい事後規制ルールは忘れられた存在だった。今年度から更新期間に入るのを受け、厚生労働省は今年二月になってようやく解釈を示した。五年以内に指定取り消しを受けている場合など、指定の欠格要件に該当する場合は、同じ法人が行っている取り消しを受けたサービスと同一類型のサービスはすべて新規の指定が受けられない。取り消しを受けた法人で役員だった人がいる場合も、同様の扱いになる「連座」の仕組みが初めて詳しく説明された。
 「それでもその時はこういうことにならないよう矜持を正す意味だと受け止めていました。それがこんな風に影響するなんて」
 都内の特別養護老人ホームの施設長は話す。コムスンのケースでは、指定取り消しはできなかったものの、虚偽の申請で指定を受けていたことや、処分逃れが「不正又は著しく不当な行為」と判断され、同一類型だけでなくすべての類型のサービスで新規指定・更新が受けられなくなった。
 これについて、七月六日付けの全国老人福祉施設協議会の会員向けニュースでは、「隠されていた一罰百戒のロジック」と表現した。つまり、この解釈について「聞いていなかった」ということだ。(以下略)

高次脳機能障害者支える専門デイ 

東京都世田谷区に今年三月に開設した「ケアセンターWITH(ウィズ)」は事故や病気などで脳に障害を負った高次脳機能障害者専用のデイだ。特有の障害を持った人のための受け皿として開設したが、利用者が主体的に参加できるように工夫したきめ細かなプログラムによる個別ケアは、多くの事業所にとっても参考になるだろう。
 「脳が壊れちゃって、分かんないだよ」
 男性はそう言ってもどかしそうに頭を抱えた。
 「今日のお昼は何を食べましたか」とスタッフに問いかけられたAさん。その周りで、写真をじっと見つめながらノートに一所懸命書き込んでいる人もいる。体操をしたり歌ったり、などといったよくあるデイサービスの風景とはかなり違った雰囲気だ。
 「思い出したり、考えていることを言葉で表現したりするのは、最も大事なリハビリの一つなんですよ」。説明してくれたのは、ウィズを運営する世田谷ボランティア協会福祉事業部長の和田敏子さんだ。
 高次脳機能障害は、事故や脳出血などで脳機能が損傷し、記憶障害や