厚生労働省は十三日、社会保障審議会介護給付費分科会に「平成十八年度介護報酬改定に関する審議報告」を提出した。報酬水準については「できる限り保険料負担を抑制する方向」とマイナス改定を明記した。分科会はこれを了承した。報酬支払いシステムの変更準備を進めるために、この日に報酬の骨格イメージも示した。二十日までに決まる報酬の改定率を踏まえ、具体的な報酬額は、同分科会に諮問した上で、来年一月末をめどに決定する。(詳細は6〜7面)
今回、最も厳しい改定内容となるのが介護療養型医療施設だ。報告書では、一定の期間を決め、有料老人ホームなど生活重視型の施設や、老人保健施設への移行を図ることが明記された。介護療養病床は全国に一四万床ある。医師、看護師の配置が手厚い分、一月当たりの平均費用は四三万円で介護保険施設の中で最も高い。医療保険適用の療養病床との機能分担が曖昧、医療の必要のない在宅復帰が可能な人が入院していると批判が強い。療養環境減算を適用すれば、療養環境の整備されていない施設でも介護報酬の対象としてきた経過措置がずるずると続いてきたために病院然とした劣悪な環境の施設があることは国会でも問題視された。(以下略)
厚生労働省は七日、一定量のボランティアを行った高齢者の介護保険料を控除する仕組みについて、来年度の制度見直しでは実施しない方針を都道府県宛てに連絡した。提案した保険者は、来年の構造改革特区に提案する方針だ。
東京都稲城市と千代田区が今年八月に共同提案。週一回三カ月以上ボランティアを行った者が申請書を提出すれば年間五〇〇〇円程度の控除が受けられる仕組みとしていた。健康な高齢者に参加してもらい、健康づくり・介護予防につなげることもねらい。(以下略)
来年度からスタートする介護予防事業の拠点となる地域包括支援センターで、保健師が予防マネジメントの担い手として位置づけられたことを受け、日本看護協会(久常節子会長)では今月から、介護予防事業の企画立案や運営にリーダーシップを発揮できる人材を育成するモデル事業を始めた。現在、全国に約四万六○○○人いる保健師は約半数が市町村に就業しているが、老健事業や母子保健など従来の施策の縦割りもあって業務は複雑化しており、新たな介護予防に消極的な人も少なくない。同会の漆崎育子常任理事は、「地域包括支援センターに求められている役割は、予防事業を通じて地域住民全体の健康づくりを担っていくこと。それは技術的なノウハウも含め保健師本来の職能を発揮していく大きなチャンス」と話す。組織をあげて支援していく方針だ。 (吉田乃美)
――介護予防の導入で、保健師の配置が法律に明文化されたのは初めてだが。
「給付費削減の中で新たにメーンの施策として予防が前面に打ち出され、それを推進していく上で保健師の力が欠かせないと認められたことであり、非常に重く受け止めている。ただ、配置が明確に位置付けられたというだけでなく、今回の介護予防事業では地域包括支援センターが核となって、虚弱高齢者への新予防給付と、一般高齢者施策での地域支援事業を一体的に行うとした仕組みとなったことに大きな意義があると評価している。
現在、保健師の数は全国で四万五九七六人(二○○三年)。そのうち約半数の二万二二六四五人が市町村に就業している。保健師には国の施策を広く一般市民に広めていく役割があるためだが、業務は複雑化している。
一九八二年に老人保健、九○年に母子保健、そして二○○○年の介護保険と、二○年の間に市町村事業がこれだけ増え、保健師は、いずれの事業についても個別保健指導や地域住民に対する啓発活動の両面で行っているが、正直、手一杯。事業の成果が見えないとの批判もあるが、個々の施策を縦割りのまま消化せねばならないことも大きな要因だった。
介護予防だけでなく、さらに今般の医療制度改革においても生活習慣病予防対策が重点課題となるなど保健師の役割がクローズアップされている。保健・医療も介護も、体系的な取り組みを進めていくことができる期待は大きい」(以下略)
全国有料老人ホーム協会は来年四月から組織率の強化を目指す。老人福祉法の改正で一時金の保全措置が義務化されるのに伴い、加入ホームの倒産時に入居者に五〇〇万円を支払う「有料老人ホーム入居者基金」への需要が増えるものとみており、入会しやすいように会費を低額化し、加入を促進する考えだ。
同協会は、老人福祉法に位置づけられる業界団体で一五六社二五二ホームが加盟。介護保険で有料老人ホームの新規参入は増えている中、組織率は二割で低迷している。来年四月施行の老人福祉法の改正では一時金の保全措置が義務化され、一人でも入居者がいれば有料老人ホームとみなすことになる。新たな局面を迎え、加入しやすいような会費設定とし、組織率のアップを目指す。(以下略)
特養ホームを良くする市民の会(本間郁子理事長)はこのほど、十一月までに開設した全室個室・ユニット型特養ホームの総数をまとめた。全国の総施設数五五六一施設のうち、個室・ユニット型は七五七で整備率は一三・六%。昨年の四二一施設・七・九%から五・九ポイント増加した。都道府県別の整備状況では鳥取県が最も高く四四・一%。最下位は五○施設中一施設しかない高知県で二・○%となった。同会では個室・ユニットが制度化されて以降毎年調査を行っているが、今年度だけで三三六施設が増加しており、三年間で施設数は七倍以上に増えたことが分かる。
全室個室・ユニット型特養ホームの調査は二○○三年度から実施。全都道府県に対し、小規模生活単位型の指定を取った施設の推移を把握し、施設の概要をアンケート調査して市民に情報提供するのが目的だ。
先月までにまとめた二○○五年度分の調査結果によると、ユニット型施設として指定を受けた施設は七五七となっており、総施設数五五六一施設に占める割合は一三・六%となった。○四年度調査では四二一施設で、ここ一年で個室・ユニットは三三六施設増えたことになる。(以下略)
政府・与党は一日、七五歳以上を対象とした医療保険制度を〇八年度に創設することなどを盛り込んだ医療制度改革大綱を正式決定した。国と地方の攻防が続いた新保険の保険者は、厚生労働省の試案では「市町村」となっていたが、最終的には「都道府県単位で全市町村が加入する広域連合」として決着した。これに対して早くも運営責任があいまいで、医療費抑制効果は得られないのではとの声が相次いでいる。保険料は加入者全員から徴収。窓口負担も一割とする。そのほか、大綱には来年十月からの七〇歳以上の窓口負担増、療養病床入院患者を対象とした食費・居住費の自己負担化などの「負担増」がずらりと並ぶ。(以下略)
来年四月からの介護保険改正で市町村に設置を義務づけられている地域包括支援センター(以下、包括センター)について、各自治体の設置方針、準備の進捗状況を聞いた。
介護予防センター53カ所設置も □札幌市
札幌市は包括センターを一七カ所設置し、その下に相談事業や一般高齢者向けの介護予防事業を行う「介護予防センター(仮称)」五三カ所を設ける構想を提案している。民間委託している基幹型・地域型の在宅介護支援センター(以下、在介センター)を移行させる。
同市では現在、社会福祉法人など四七法人が、基幹型在支一〇カ所、地域型六四カ所の在介センターを運営している。閉じこもり予防や転倒予防、家族介護支援などの介護予防事業でも実績をつくってきた。
「ノウハウも人材も民間が持っている」(市高齢福祉課)ことからこの構想とした。包括センターは、既存の在介センターのうち、中立公正性の担保、専門職の確保などの条件を満たしたところに委託し、区の人口規模に応じて一〜二カ所設置する。一〇万人に一カ所程度となる代わりに三職種とケアマネ有資格者七〜八人を置く手厚い体制をとる。介護予防センターは、一般高齢者向けの介護予防の拠点として現在の地域型を移行させて設置する。
今年七月に行った意向調査では、四七法人のうち三七法人が運営の意思を表明。最終調整を行い、年内に委託法人を決定する予定だ。(以下略)
岐阜県瑞穂市と新生メディカルは国のモデル事業でヘルパーによる配食サービスに取り組んでいる。簡単な支援だけで済む人には制度にない「一〇分ケア」を提供。重度化や閉じこもりの予防まで幅広い対象者に効果が検証された。自立者向けに今年度からはボランティアによる配達も開始、さらに裾野が広がっている。低栄養の改善は、介護予防のメニューの一つだが、「どうやってきちんと食べてもらうか」を考える上でも注目だ。
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厚生労働省の「未来志向プロジェクト」の一環で瑞穂市の委託を受けて、新生メディカルが二○○四年度から行っている。毎日二回バランスのとれた食事をとってもらうことで低栄養を改善することと、給付費の適正化の二つがねらいだ。(以下略)
特養ホームを良くする市民の会(本間郁子理事長)は今月三日から二日間、十月から導入された施設居住費・食費の自己負担化に関する電話相談を行った。相談のほとんどが、満額自己負担しなければならない第四段階の所得層で、個室ユニット型施設の入居者。「このまま支払い続けるのは困難。退所するか、多床室へ移らざるを得ない」などとする声が相次いだという。低所得者対策を受けながら高額な遺族年金をもらっているなど、制度の矛盾に疑問を訴える施設職員の声も。同会では、「個室・ユニット型施設は年々増えているが、負担能力のある人を施設が優先的に選ぶ傾向が強まるのでは」と危惧している。制度のあり方そのものを根本的に見直す必要があると話す。
電話相談は、施設利用料の自己負担が導入された具体的な影響を把握する目的で実施した。二日間で寄せられた相談件数は一八件と数は多くないが、岐阜・大阪・茨城(以下略)
厚生労働省が来年度から現行のヘルパー研修を大幅に見直し、五○○時間の介護職員基礎研修を導入することで、現在研修事業を行っている民間事業者への影響が広がっている。最大手のニチイ学館で、二級研修受講者数が昨年度から三割減少しているのを始め、「開講しても定員を割り込む状態が続いている」「順次教室を閉鎖する方針を固めた」など、苦戦を強いられている事業者が少なくないようだ。各社とも見直しは介護職のステップアップには必要だとしているが、現状でも介護サービス業界は人材確保が困難な状態。基礎研修に一本化されれば、ますます人材不足が深刻化するのではと懸念する声も共通だ。
基礎研修は、将来的に介護職の基礎資格を介護福祉士に統一するための移行策の位置付けだ。同省が十月にまとめた第二次中間報告では、講義・演習・実習で合計五○○時間とする研修カリキュラムの内容が明らかになった。現行のヘルパー二級で一三○時間、一級で二三○時間と比べると、時間数・内容ともに大幅な拡充となる。(以下略)
社会保障審議会介護給付費分科会は十一月二十五日、介護保険施設の基準、報酬見直しを議論した。最大のポイントは、介護保険施設の将来像だ。厚生労働省は従来の類型の枠組みを超え、生活重視型、在宅復帰型、医療重視型に再編する方向を示した。特別養護老人ホームでも、老健のように在宅と施設を往復する「計画的利用」ができるようにする。十月改定では、老人保健施設や介護療養型でもユニット型個室の報酬が新設され、違いは少なくなった。四月改定でボーダーレス化をさらに進める考えだ。(以下略)
政府・与党は十一月三十日、国と地方の税財政を見直す三位一体改革で、施設整備費五〇〇億円の削減を決定した。対象とされたのは、地域介護・福祉空間整備等交付金の都道府県分や医療施設等整備補助金など。今年度創設されたばかりの交付金は、わずか一年で縮小される。(以下略)
医療経済研究機構は食住費自己負担化に伴う施設の新たな料金設定についての初の実態調査をまとめた。低所得者対策のある第一〜第三段階と、満額自己負担の第四段階で利用料のダブルスタンダード化、施設の所得による階層化が進んでいるのが調査からうかがえる。十一月二十五日の厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会に提出された。低所得者対策がなく満額を自己負担しなければならない負担区分の第四段階以上の世帯が想定以上に少ないことから「世帯分離」が進んでいるのではないかと制度の不備が指摘された。
調査は今年十月三日時点。特養一八五施設、老健一三四施設、介護療養型医療施設一一八施設が回答した。
食住費の自己負担化に伴い、施設は料金を自由に設定できるようになった。しかし、低所得者の補足給付を受けるためには、厚生労働省の示す基準額以下の料金設定であることが条件になる。(以下略)
来年度から開始される介護予防ケアマネジメントについて、地域でケアマネジャーの指導を行う指導者の研修(主催=財団法人長寿社会開発センター)が先月二十八日から二日間、千葉県浦安市で行われた。都道府県を通じて約三九〇人のケアマネジャー指導者が参加。この日、介護予防の地域支援事業と新予防給付で共通に使用するアセスメント・ケアプランの様式が公表された。
各都道府県でケアマネジャーの指導にあたっているケアマネジメント指導者らが参加。
研修初日は厚生労働省老健局企画官による制度改正に関する講義と、新予防給付で新たに開始される「運動器の機能向上」「口腔機能の向上」「栄養改善」の三サービスについて各研究に関わった講師らによる講義が行われた。
二日目には来年四月から始まる介護予防事業の新予防給付のアセスメント・ケアプラン作成のポイントを厚生労働省老健局の石原美和介護予防対策専門官が講義。新予防給付と地域支援事業で使用する基本チェックリストと、「利用者基本情報」「介護予防サービス・支援計画表」「介護予防支援・サービス評価表」「介護予防支援経過記録」の五つの様式が公表された。合わせて銚子市民生部高齢者福祉課の安藤智子係長によるアセスメント、ケアプラン作成の演習が行われた。(以下略)
「イギリスでは現在、ソーシャルワーカーの資格取得を目指す学生には、実習で″職種・分野を超えた連携″をするための知識や技術を身に付ける教育を受けることが義務付けられている。つまり、専門職である、ということは、″職種間連携ができる″ということを意味しているのです」
埼玉県立大学で先月二十五日に開催された国際セミナーで、そう講演したのはイギリスの民間非営利団体CAIPE(ケイプ)の所長・バーバラ・クレイグさんだ。
ケイプは、プライマリケアやチーム医療を推進する機関として一九八七年に設立。職種間連携を実践していくためには、基礎教育の段階からケアの理念や協働の重要性について学び、実践能力を身につけていくことが重要であるとし、専門職連携を推進する教育「Interprofessional Education:IPE」に関する研究や学習カリキュラムなどを開発・提供する拠点として全英の約三○○の教育機関や地方自治体などを会員に幅広い活動を行っている。三○年余り経つが、急速に発展したのは「九七年にブレア政権が発足して以降」(バーバラ所長)。医療・保健サービスと社会福祉サービスがすべて公的資金でまかなわれている英国では、公務員であるソーシャルワーカーが予算を握ってサービス調整を行う。しかし、地域によってサービスのコストに大きな格差が生じたり、強い法的権限を持つことから独善的な態度で利用者に接することも少なくないという問題も。(以下略)
厚生労働省は介護保険見直しで導入する介護予防事業の地域支援事業と新予防給付を一体的に運用するための共通のアセスメント・様式を作成した。「基本情報」、「チェックリスト」、「ケアプラン表」、「評価表」の四枚。全国でモデル事業まで実施した「暫定版」の新予防給付のアセスメント・様式は手間がかかりすぎること、地域支援事業とばらばらでは運用が非効率となることから廃案となる。十月中には確定する予定だったが、当初のボタンの掛け違えが迷走を招く結果となった。(以下略)
財務相の諮問機関である財政制度等審議会(貝塚啓明会長)は二十一日、二〇〇六年度予算編成の指針となる建議をまとめ、谷垣禎一財務相に提出した。社会保障関係費の抑制は、三位一体改革や公務員人件費削減と並ぶ歳出抑制の課題とされ、介護報酬改定についても「報酬水準を全体として引き下げる必要がある」と明記された。診療報酬改定でも「相当規模の引き下げ」が必要としている。
建議では、一般歳出の四割を占める社会保障関係費を抑制し、国民経済の「身の丈」にあった規模にすることが歳出面の最大の課題とし必要な社会保障費の財源を消費税の引き上げでまかなうとした自民党の財政改革研究会の「中間とりまとめ」にも触れた。新規国債発行額も「できるだけ三〇兆円に近づけ」、一般歳出を減額する方針が打ち出されている。(以下略)
認知症グループホームの外部評価を行っている神奈川県社会福祉協議会はこのほど、過去二年間の評価事業で実施した家族のアンケート結果の内容をもとに、事業所が日常的にケアの質を自己点検するためのチェック項目をまとめた。家族のアンケートは外部評価にも位置付けられているが、評価には直接影響せず、事業所側もサービス向上に生かす材料としてとらえているところは少ない。
直接要望や苦情を言いにくい家族の声をもっとサービス改善に役立ててもらいたい考えだ。
同社協が今回取りまとめたのは、二○○三年度から実施しているグループホーム外部評価の家族アンケート部分だ。家族アンケートは評価事業に位置付けられているが、無記名で強制ではなく、評価結果に直接影響するものではない。事業所が日常的に把握するのが基本だが、家族の立場からすればホームに直接言いにくいため、評価で得た意見や要望を日常のサービスに生かしてもらうのがねらいだ。(以下略)
ジャパンケアサービス(東京都豊島区)が二十二日発表した〇六年三月期の中間決算発表で、中・重度者へのサービス提供に特化し軽度者対応の予防事業には参入しないことを明らかにした。
主力サービスである訪問介護で、巡回型サービスを全拠点で提供できるよう体制を整備するほか、東京都世田谷区でモデル事業を実施した二四時間対応のナイトケアパトロールを大都市部中心に積極的に展開する。
来年四月に施行される改正介護保険法では軽度者へのサービスは新予防給付や地域支援事業へ移行する。「介護予防事業は二年も三年も高齢者が通うものではない。報酬も多くを見込めないためヘルパーの賃金を下げざるを得ず、ビジネスとして厳しい」(対馬徳昭社長)と中重度者への重点化を決めた。(以下略)
「大笑いで痛みが和らいだ」「免疫力が高まった」。近年、笑いが健康にもたらす効用についての実証研究が進んでいる。がんの治療に生かすなどの取り組みを進めている医療現場も少しずつ増えているが、一般的には病院や介護の現場は、「笑い」が少ない場所だ。そうした現状を変えようと、癒しの環境研究会(高柳和江代表世話人)はこのほど笑いを広げて自然治癒力を高める役割を担うユニークな資格認定を始めた。ずばり「笑い療法士」。初回の認定者には医師や看護師、教育や介護にかかわる人など多種多様なバックグラウンドを持つ四九人が選ばれた。どんな資格なのだろう? (田中知滋)
高柳和江さんは、かつて小児外科医としてクウェートやアメリカで働いた経験を持つ。十二年前、日本の医療には患者の気持ちを前向きにする環境づくりや心のケアが足りないという思いから、医療・介護の専門職などと立ち上げたのが「癒しの環境研究会」だ。
笑いを医療に広めていくことも以前から研究会で取り組んできたテーマの一つ。笑うことこそ最良の治療、と自ら道化師になって患者に接する米国の有名な医師・パッチ・アダムス氏を招いて講演会なども行ってきた。(以下略)
二〇〇四年度に生活保護を受けた世帯は一カ月平均九九万九〇〇〇世帯で、前年度より五万八〇〇〇世帯増加し、一九五一年の統計開始以来最高を記録したことが厚生労働省がまとめた社会福祉行政業務報告から分かった。被保護者の五割が高齢者で「年金化」が進んでいることがうかがえる。厚生労働省は、三位一体改革の税源移譲の削減ノルマを生活保護の国庫負担率の引き下げで果たしたい考えだが、地方側は「最低生活の保障は国の責任」と猛反発している。
被保護世帯はいわゆるバブル期直後の一九九二〜九三年度には六〇万世帯を切り底を迎えたが、以降毎年増加。高齢者世帯をはじめ、障害者・傷病者世帯、母子世帯も同様に右肩上がりを続けている。
〇四年度の一カ月平均の被保護世帯数は九九万八八八七世帯で過去最高に。うち高齢者世帯は四六万五六八〇世帯で、全世帯の四六・六%と半数を占めている。一方、被保護実人員は一四二万三三八八人。一九五一年ごろの二〇〇万人に比べれば減少しているが、第二次オイルショックの影響を受けた一九八〇年代前半の一四七万人に近づこうとしている。(以下略)
十二月上旬の取りまとめに向け、医療制度改革案の協議を行っている政府・与党の医療改革協議会は十四日、七〇歳以上の現役並み所得者の自己負担を三割に引き上げる方針で大筋合意した。医療保険療養病床に入院する七〇歳以上の高齢者に対しても食費・居住費を自己負担化する。来年十月から実施される見通しだ。
七〇歳以上は現行の一割負担者。高齢者医療制度を創設する〇八年から六五歳以上に引き下げる予定。患者負担引き上げの対象となる七〇歳以上の現役並み所得者とは、現行で最低年収額が夫婦で六二〇万円以上の世帯。
来年度には公的年金控除が縮小されるため、この額が「五二〇万円以上」となり、対象者が拡大される。七〇歳以上の約一一%にあたる二〇〇万人が対象になると試算している。(以下略)
介護給付費分科会は十六日、有料老人ホーム協会、特定施設事業者連絡協議会など五団体の事業者ヒアリングを行った。入居者は予防給付の対象となる軽度者も多いため影響が大きい。主な内容を紹介する。
介護予防 適正な評価を
特養、GHと整合性を
●全国有料老人ホーム協会
同協会は一五五法人二五〇ホームが加盟。有料老人ホームの健全育成と消費者保護のため老人福祉法に位置づけられている。同協会の会員は、介護保険前からある終身利用型のタイプが中心。
健康なときから入居する人が多く、要介護者約九○○○人のうち要支援、要介護1が約四〇%を占めている。新・予防給付の導入で大きな影響を受ける見込みだ。
このため、協会側は、新予防給付で掲げられるメニューについてはすでに七〇%が実施しているとして、特定施設の報酬での予防の評価を求めた。実施率は口腔ケア七七%、栄養改善七七%、生活行為向上支援八八%。
また、介護給付については実施されているサービスは医師の配置を除けば特別養護老人ホームと変わらないが、報酬は低い状況にあるとして引き下げをけん制した。(以下略)
介護保険や福祉分野に先進的に取り組む自治体が集う「介護保険推進全国サミット」が十、十一日の二日間、岩手県遠野市で開催された。全国から約一八〇〇人の自治体関係者や一般市民が参加し、介護予防や地域ケアシステム、高齢者の権利擁護などのテーマについて話し合った。来年四月からの地域包括支援センターをテーマにしたパネルディスカッションでは、自治体が責任を持って直営で運営すべきとの意見が相次いだほか、三職種の配置はチャンスであると同時に、生き残りの瀬戸際であるとの認識を持つべきなど厳しい意見も出た。(以下略)
宅老所・グループホーム全国ネットワークが主催する第九回全国研究フォーラムが十二日から二日間、岡山県倉敷市で開催された。来年度からは、宅老所の実践をモデルにした「小規模多機能居宅介護」が新たに創設されることになった。しかし、利用登録者数の上限や、通所・泊まり・訪問の三種類のサービスを包括化した報酬設定、ケアマネジャーの必置など、厚労省が現在までに明らかにしている運営・報酬に関する基準について、先駆的に実践していた現場からも「このままじゃ制度に乗れない」「今のままで十分」と、戸惑いの声が相次いでいる。もともと利用者の個別のニーズに応じて保険外サービスを組み合わせて在宅生活を支えてきた宅老所は、その多様性・柔軟性が最大の持ち味。″標準化″の壁は予想以上に高いものとなっている。
厚労省は先月までに、来年度から導入する小規模多機能型居宅介護について、具体的な基準や報酬設定の考え方の案をまとめた。
スタッフの配置は日中の通所用に三対一、訪問介護用で一人入れば可としたほか、宿泊に個室は必要なしとするなどハード面の基準は比較的緩やかなもの。さらに、市町村が独自に指定基準を設定したり報酬を上げることも可能になっている。
「できるだけ画一化しないこと、市町村に裁量の幅を持たせることに重点を置いた」。厚労省老健局認知症対策推進室・渡辺由美子室長は、民家活用が多い既存の宅老所が指定を受けやすいよう配慮していることを強調した。(以下略)
ケアマネジャーが個人で加盟する職能団体をめざして十一月三日、都内で日本介護支援専門員協会の設立総会が開催された。社団法人化が目標だ。これまでの「全国介護支援専門員連絡協議会」は発展的に解消する。新組織の会長には、全国連絡協の木村隆次会長が引き続き選出された。十二月一日に開催する臨時総会で入会方法や今後の事業計画などを決め、その後入会の受け付けを開始する。
新組織は「全国の介護支援専門員の資質の向上と地位の確立を図り、国民の保健医療の向上と福祉の増進に寄与すること」を目的とする。
これまでの全国連絡会は、先行してできていた都道府県単位の連絡協を束ねる全国組織として〇三年八月に発足。事業所加入のものや、個人加入が混在する「寄せ集め」の状況だった。ケアマネジャーの実態を政策に反映させたり、報酬での評価を得ていくためには個人加盟の組織への移行が必要という方向性が示されていた。
引き続き会長に選出された木村会長は「ケアマネジャーの団体としては連絡協議会という形ではなく、個人が会員であるべきと考え、検討を進めてきた。任意団体ではなく、社団法人を目指していく。全国の介護支援専門員と一緒にがんばりたい」と抱負を述べた。専門知識と技能の研鑽、政策提言などの活動を活発化させていく考えだ。
介護支援専門員個人からなる正会員の入会金は一○○○円、年会費は二○○○円。初年度は入会金は無料で、年会費は半額となる。 十二月一日以降に会員募集を行い、賛助会員、名誉会員も設ける。都道府県単位で支部を置く考えだ。
入会システムについては当面は現在の都道府県組織を通じてとりまとめを行う方針だ。(以下略)
日本看護協会は六日、協会会員の保健師などを対象に、先駆的に介護予防事業に取り組む自治体の事例を紹介する介護予防緊急フォーラムを開催した。会場に集まった約二四〇人のうち、八五%は市町村の保健師。厚生労働省の石原美和老健局計画課課長補佐は「これからは保健師の出番」と話しエールを送った。
◇ ◇ ◇
地域包括支援センターには保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの三職種が原則配置されるが、中でも介護予防ケアマネジメントを中心となって担う職種と位置づけられているのが保健師だ。
石原課長補佐は基調講演の中で、「制度改革のねらいは介護予防と地域づくりであり、介護予防には保健師の技術が欠かせない」と説明した。さらに「保健師の配置が法案レベルで位置づけられたのは初めてのこと」と今改正における役割の重要性を強調し、「保健師に新予防給付と地域支援事業の一体的な運営を期待している」と述べた。(以下略)
Q子 外部サービス活用型の特定施設って何。
A男 今、有料老人ホームとケアハウスが対象になっているのが、介護保険の特定施設入居者生活介護だ。これはわかるね。
今の報酬は要介護度別の「包括払い」だ。要介護者三人に一人の看護・介護職員の配置が求められる。つまり、特別養護老人ホームの基準がもとになっている。特定施設は「居住系」に扱われるけれど施設と同じなんだ。ただ、現実には自立した人ばかりの施設から、介護が必要な人ばかりを集めた施設まで中身はばらばらだ。入居者に介護サービスをうける人が少ない場合でも、基準は同じで効率が悪い。今は訪問介護の事業所は外部にいくらでもあるから、そういう外部のサービスを利用する類型をつくるという話だ。つまり、自立した高齢者を対象にしたケア付き高齢者住宅で、要介護の人が少ない場合を想定している。
Q子 具体的にはどういうふうになるの。
A男 報酬の基準案によると、施設の事業者が提供するのは、安否確認、計画作成など介護にかかわる基本的なサービス部分だけ。介護サービスはあらかじめ委託契約をした外部の事業所が提供する。要介護度別の上限額の範囲なら、利用できる在宅サービスの種類に制限はない。報酬は施設の事業者に一括して支払われ、その中から事業者が委託事業者に利用料を払う仕組みだ。介護サービスを提供しないから、施設側の人員配置は緩和される。一階がデイサービスセンターや診療所、二階以上が高齢者住宅というような形態向きだ。
Q子 そう言えば、今度の見直しの柱の一つに「新たな住まい」というのがあったわね。
A男 そうだね。国土交通省が今秋からスタートさせる「高齢者専用賃貸住宅」を特定施設の対象にすることも提案されている。
Q子 それって何。
A男 高齢者だけを対象にすること、賃貸契約とすること、情報公開の三点が条件の登録制度だ。
Q子 その住宅だけが外部サービス利用型をとれるの。
A男 そうじゃないよ。有料老人ホームやケアハウスだって、外部利用型かどちらを選んでもいい。
もちろん、軽度の人が中心でも既存の特定施設の指定を受けてもかまわないし、指定を受けないで、個別に外部の介護保険事業所のサービスを利用することもできる。いろいろなバリエーションが考えられる。(以下略)
宅老所・グループホーム全国ネットワークが厚生労働省の補助研究事業として取り組んできた「小規模多機能ケアの質の評価システムのあり方・運営に関する調査研究」の報告書がまとまった。自己評価と外部評価を基本としたのは現行のグループホームと同じだが、評価システム全体を運営する中心的な役割として、指定権限を持つ市町村を位置付けているのがポイントだ。報告書では、行政職員が小規模ケアに対する理解を深めるための研修を評価システムと一体的に行う必要があると指摘している。
来年度から地域密着型サービスの一つとして創設される小規模多機能居宅介護では、事業所に外部評価の取り組みが求められているとともに、質の確保について一定の条件を満たせば市町村が独自に報酬を上げることができるようにする方針も示されている。今回の研究事業はそれを具体化するための基礎資料だ。
報告書では、小規模多機能ケアの評価システムの枠組みについて、自己評価を基軸とした上で、評価機関による第三者評価と事業所同士の相互評価を外部評価として行う仕組みを提案。評価システムの運営には市町村が中心となって行うこととした。実際に第三者評価を熊本・栃木の三市町で、相互評価を愛知の八事業所でモデル事業を行った。(以下略)
東京都小平市に先月、バリアフリーの賃貸住宅と在宅医療・介護サービス事業所が一体となった複合施設「ケアタウン小平」が開設した。それぞれの事業を運営するのは、NPOと民間企業、そして個人開業の診療所という別々の事業体。疾患や年齢を限定せず、誰にでも必要な医療と生活支援を届けたい\\。長年にわたりホスピス医として活躍してきた一人の医師が、数年前から温めてきた新しい地域ケアのかたちだ。患者が望む場所で終末期までを支える医療と介護の共同体として一つのモデルとなりそうだ。
ケアタウン小平は、八○○坪の広大な敷地に建つ三階建ての建物だ。二、三階はバリアフリー形式の賃貸アパート「いっぷく荘」。一階には無床診療所とNPO法人が運営する訪問看護ステーションとデイサービスセンター、そして株式会社の訪問介護事業所がある。外観は老人ホームのような一つの施設に見えるが、アパートの住民と医療・介護サービスの四つの事業所は、建物を運営する有限会社とそれぞれ個々に賃貸契約を結んでいる。いわば、普通のアパートに在宅サービスがテナントのように組み合わさった形だ。
「必要な医療と介護がすばやく受けられる環境があれば、障害を持った人や認知症の高齢者、そしてがんの患者など何らかのケアを必要とする人でも最期まで普通の住宅で生活することができるのではないか。施設ホスピスで長年仕事をしてきた経験から考え付いた形です」
そう話すのは、ケアタウン小平の構想から実現まで中心となって活動してきた医師・山崎章郎さんだ。山崎さんは、一九九一年に開設した桜町病院で一○年以上ホスピス科の部長を務め、わが国の緩和ケア病棟普及の牽引役としても知られるホスピスケアの第一人者でもある。(以下略)
厚生労働省は、新予防給付の導入に伴い必要となる新しい要介護認定のモデル事業の結果を公表した。要介護1のうち、コンピュータによる一次判定で七八%だが、二次審査会の判断で二四%が重度に変更された結果、最終的に予防給付の対象となる「要支援2」に認定された人は六割に下がった。自治体ごとにみると、変更者の割合のバラつきも大きい。厚生労働省では、二次審査会で客観的な判断ができるよう修正することで当初の目標の七〜八割まで予防給付対象の割合は引き上げられるとみている。十一月から全国で第二次モデル事業を実施する予定だが、来年一月末からは本番の認定が始まることを考えれば十分な検証時間はなさそうだ。
予防給付の導入により、要介護1の認定者は、「要介護1」と予防対象の「要支援2」に振り分けられる。現在までの検討状況では、予防給付は一定期間の利用後に状態が改善してサービス利用が必要でなくなることを前提に制度設計されており、生活支援型の介護給付とはまったく異なる内容となる見込みだ。利用者にとって、予防か介護かは大きな違いとなる。厚生労働省は要介護1の七〜八割が予防給付の対象になるとする推計を示してきた。(以下略)
十月から介護保険施設で食費・居住費の徴収が始まった。施設により費用が異なるため、料金情報は利用者が施設を選択する際に重要になる。施設からの運営規定変更の届出を受け付けとりまとめて料金を把握している都道府県に、情報の公表予定を本紙で調べたところ、公表に向けて具体的な検討をしているのは神奈川県のみであることがわかった。消極的な理由として「保険外負担は公表してなかったので」「利用者などからの要請がない」など受身の態勢が目立った。
食費・居住費が十月から保険給付の対象外となったことは、施設やデイサービス、ショートステイが独自に料金を設定できるようになったことを意味する。事業者は、新しい利用料を記載した運営規定の変更届出を都道府県に提出することになっている。都道府県に料金の公表予定を聞き取り調査したところ、公表に向けて具体的に検討しているのは神奈川県のみだった。
神奈川県の場合、事業者に確認の上で、県のホームページの事業者リストに十月一日時点の料金を追加公表する検討をしている。社団法人が運営する県内の施設情報のページも変更する見通しだ。区市町村や利用者から「県の情報を公表してほしい」との強い要望が相次いだため。特にケアマネジャーからはデイサービスの料金を知りたいという声が大きかったという。(以下略)
来年度から新たに保険サービスの類型として創設される「地域密着型サービス」。その目玉とされるのが、既存の宅老所と呼ばれる小規模ケアをモデルとした小規模多機能型居宅介護だ。厚生労働省は先月までに設備・運営基準や報酬設定などの案を固めている。概要について解説する。
Q子 今日は″小規模多機能型居宅介護″について教えて。なんか舌かみそうな名前のサービスよね。
A男 まあね。まず、来年度から始まる改正介護保険で、予防以外に保険給付で新しいサービス類型ができるのは知っているよね。地域密着型サービスだ。種類は六つあるんだけど、厳密にはその中の四つは認知症グループホームや三○人以下の特養や特定施設ですでにあるサービスだ。この小規模多機能型居宅介護と夜間対応型訪問介護の二つは、従来にはない全く新しいサービス類型として位置付けられている。設備や運営基準、報酬なども新しく設定されるんだ。
Q子 予防の導入で締め付けられてる事業者も多いから、新しいサービスとなるととびつくところも多そうね。
A男 それはどうかな。先月までに厚労省がサービスの基準案や報酬設定の考え方についてかなり具体的にまとめているから説明しよう。
まずサービスの定義。「通い」を中心として利用者の様態や希望に応じ、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせてサービスを提供すること、とある。ポイントは、住む、つまり「居住」機能は原則として持たないことにあるんだ。最初から居住機能を付けてしまうと、事業者はまず定員を埋めようとしてしまうだろう。でも、このサービスはできる限り在宅での生活を続けてもらうことが目的だから、利用者もあくまで通所サービスがメイン。訪問や宿泊は必要に応じて、てことなんだ。(以下略)
「だらけ体操」は、亀戸大島クリニック(東京都江東区)の飯島治院長が在宅で「発見」した寝たきりの高齢者でもできるリハビリ体操だ。歩くまねをするだけで、疲れたらやめる。無理せずに継続できるのがポイントだ。
飯島院長は自称、「在宅リハビリ探検家」だ。病院での知識が在宅ではまったく役にたたないことにショックを受け、在宅でのリハビリを模索している。在宅のしかも、要介護度の高い高齢者のリハビリは教科書にもでてこない応用問題。現場に学ぶしかない。
「だらけ体操」も、訪問先で「発見」したものという。
「歩く動作は、子どもの頃からなじんだもの。誰でもすぐできるから、意欲の向上につながります」(飯島院長)
寝たきりの人は、寝たまま、座位のとれる人は座ってもいい。拘宿、麻痺のある人でもその人なりに身体を動かしてもらえる。約束は、「疲れたらやめること」「土日は休むこと」の二つだけ。つまり、無理せずに、長続きさせることがポイントだ。リハビリには無関心で、訪問してもいつも不機嫌だった高齢者にもやってもらえた。
一昨年九月からはじめて、同クリニックの利用者五〇人のうち、二十六人が実施。八割が一年たっても継続している。少しずつでも身体を動かすことで、腰痛や拘縮の痛みがとれた人もいる。(以下略)
高齢者虐待防止法が十一月一日、成立した。来年四月からの施行となる。
同法が対象とする虐待は、介護保険施設、在宅介護事業者が行う場合と、自宅で家族、介護者などが行う場合の二種類。医療機関が対象にならないことや、対象が高齢者だけに限られることについて、与党議員が反対し、法案の提出が危ぶまれた点については、検討項目が設けられ、必要な措置をとることとされた。
虐待の定義は、殴る蹴るの暴行だけでなく、介護放棄や「暴言」、財産の不当な侵害も含まれる。自分の勤める事業所の虐待を発見したり、他事業所や家族により生命や身体に危険のある虐待を見つけた場合には職員は市町村に対し通報義務を負うことになり、介護サービス事業にも密接に関係する内容だ。(以下略)
社会保障審議会介護給付費分科会は二十四日、既存の介護給付サービスの報酬改定の議論を開始した。全体的には重度者向けに報酬を重点化し、サービスの具体的な内容も細かく評価していく方向だ。争点になりそうなのは、「訪問介護」。「身体」「生活援助」の区分、出来高払いの体系を維持し、生活援助の長時間利用を適正化する。「生活援助」のみを予防給付と同様の「月額定額払い」にする。区分の一本化を図る、の三案が提示された。通所サービスは、経営のスケールメリットが得られる規模の大きい事業所で、基本報酬を減額する逓減制を導入する。
(居宅療養管理指導などは3面)
新予防給付の訪問介護では、身体介護、生活援助の区分を廃止し、支払い方式も従来の出来高払いから月額の定額払いとする根本的な見直しが提案されているのに比べると介護給付の見直し案はより無難な内容といえる。
体系案は、@現行の区分、出来高払いを維持、A現行の区分を維持するが、生活援助は定額払い、B現行の区分を一本化する\\の三案だ。@案は、生活援助の長時間利用を適正化するとしているが、最も現場への影響は少ない。委員の支持の高いのは「生活援助」のみ定額化するA案だが、意見は集約されていない。
サービス提供責任者の配置、研修体制、登録ヘルパーとの情報共有など事業者側が求めていた質向上対策は、事業所単位の加算として評価する。利用者にとっては、高いサービスとなることになる。(以下略)
二十六日、自民・民主・公明の三党が議員立法で提案した高齢者虐待防止・介護者支援法案が衆院厚生労働委員会で採択され、本会議に提出されることが決まった。十八日に自民党の厚生労働部会が法案の了承を見送り今国会での成立が絶望視されていたが、一部修正の上まとまった。
同法案は、介護保険施設や在宅サービスに従事する者が、虐待をうけ生命や身体に危険が及んでいる高齢者を発見した場合に、市町村への通報を義務付ける内容。(以下略)
東京都老人総合研究所は、家族の立場から介護サービスの効果を評価する研究を行った。現在、制度改正が進められているが、制度当初に掲げた「介護者支援」「在宅生活の継続」の面で効果があったのかを検証するのがねらいだ。結論は、「在宅サービスの量は増えているが、介護者の負担は軽減されていない」。ヘルパーを利用している人の方が精神的ストレスが強い傾向や、特に認知症高齢者のケアが不十分という「質」にまつわる問題が浮き彫りになった。同研究所の福祉と生活ケア研究チームの杉原陽子主任研究員は、民間では採算にのらない認知症や単身者などの処遇困難ケースについては、自治体で受け入れる体制をつくるべきと提案している。(以下略)
介護施設のユニットケアやグループホーム、そして改正介護保険で創設される小規模多機能型居宅介護など、小規模・個別ケアの実践で先進的な取り組みを進めている特養ホームの施設長などが中心となって、介護職のスキルアップや小規模ケアチームのリーダーを担う人材育成を目的としたNPO法人を設立する。厚生労働省では、将来的に介護職の基礎資格を介護福祉士に統一するため、現行のヘルパー研修に代わる五○○時間の介護職員基礎研修の導入や体系的な継続教育・現任研修システムの構築を打ち出しているが、NPOでは独自に開発した研修プログラムを先行して提供することでこうした国のキャリア開発システムにも対応していく考えだ。(以下略)
介護支援分野については、全般的に難問が多かった。かなり細かな知識を問う問題や、問題5肢2など、実力者でも見落とすような出題も散見された。問題17は被保険者の他市町村からの転入に関する要介護認定の手続きの問題であったが、極めて実務的で、基本テキストの範囲を超えた出題である。とはいうものの、中には過去問と同様の選択肢もみられ、しっかりと検討していた受験生は有利だったものと思われる。また、問題10の、個人情報の取り扱いについての出題も予想通りである。「獲れるところから点を獲る」という姿勢が重要といえよう。(以下略)
今月二十三日に行われる第八回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の申込者数は、昨年より一万一八六四人増の約一四万五〇〇〇人であることが、本紙の調べで分かった。伸び率は約一割増で昨年並みだ。制度施行五年を経て、受験資格となる五年の実務経験を満たした人が増えたほか、特に福祉系資格者の受験が全国的に増えている傾向にある。
第八回試験の受験予定者数は、全国で一四万四一五五人。前回試験の人数を一万一八六四人上回っており、約一割の増加だ。都道府県への調査は十九日までに実施した。
ケアマネジャー試験は、介護保険制度開始二年前の一九九八年に開始。初回は約二一万人が受験するという過熱ぶり。合格率も四四%と高かった。しかし、その初回を頂点に受験者数・合格者数、合格率はともに減少。二〇〇一年には受験者数が一〇万人を切った。
以降は復調し、〇三年度には一一万人、〇四年度は一二万五〇〇〇人が受験するなどコンスタントに右肩上がりを続けている。一方で、合格率は〇二年度以降は毎年三〇%程度と低迷している。背景には、介護従事者そのものが増えているという要因のほかに、制度施行五年を経て、実務経験五年という受験資格を満たす人が増えていることもあるようだ。
〇六年度から認知症高齢者グループホーム、特定施設でケアマネジャーが計画作成担当者として配置を義務づけられる。また、新たに創設予定である小規模多機能居宅介護でも配置が義務化される予定で、活躍する場も増えている。(以下略)
議員立法により今国会での成立を目指していた「高齢者虐待防止・介護者支援法案」について、十八日に行われた自民党厚生労働部会で、施設職員が虐待を発見した場合の市町村への通報を義務づけるなどの内容に反対の声があり不調に終わったことで法案の提出も危ぶまれる情勢となった。
前回の通常国会では、民主党、与党がそれぞれ法案を提出したが、衆院解散により廃案になった。今国会では各党の案を一本化。議員立法としての成立を目指していた。(以下略)
高齢者の要介護状態を引き起こす原因とされている「廃用症候群(生活不活発病)」について、厚生労働省の研究班(国立長寿医療センター研究所・大川弥生生活機能賦活研究部長らで構成)がこのほど初めて「予防マニュアル」を作成した。基礎資料となったのは、昨年十月に発生した新潟県中越地震の被災高齢者に対して行った大規模な実態調査だ。災害によって生活環境が変わり、一時的にでも自立していた生活行為ができなくなったり家庭内や地域の中での役割が失われると、それが廃用症候群の引き金となって進行する可能性が高いことが明らかになったためだ。研究班では、こうした緊急時には特に、生活機能の低下を早期発見・対応することが重要であると指摘。マニュアルにリスク者を洗い出す簡便なチェックリストや具体的な支援方法を盛り込んだ。介護予防を推進していくための基本ツールとしても活用してほしいとしている。
過度の安静などによって心身機能が低下し、それによって生活行為全般が困難になっていく廃用症候群は、高齢者の要介護状態となる原因として指摘されている。研究班は、生活や環境の激変を余儀なくされる災害時ではこうしたリスクがさらに高まる可能性があることから実態を検証し、具体的な対策を提案するために調査を実施した。(以下略)
京都府老人福祉施設協議会(府老協)は八日から、ショートステイ利用希望者やケアマネジャーに対するサービス向上の一環として、ショートステイ空床情報をホームページ(http://www.furoukyou.gr.jp/index.htm)上で公開するサービスを開始した。京都市を除く府全域の特養ホームの情報をカバーしており、原則として毎日情報を更新するため緊急ニーズへの対応にも役立つとしている。携帯電話からのアクセスも可能だ。
府老協によると、ショートステイ空床情報提供サービスを開始したのは、一昨年京都府が介護保険サービスの利用者に対して実施したアンケート調査がきっかけだ。
在宅サービスのうち、「利用したい時に空いていない」など最も使いにくいサービスとしてショートステイがあがった。しかし、一方で施設の利用実態を見ると一カ月のベッドの利用率は八五%。まだ余裕があることが分かった。(以下略)
介護予防サービスを提供する人材の育成を目的としてやさしい手(東京都目黒区)は十月から、東京都品川区に「やさしい手介護予防目黒スタジオ」を開設した。同社のヘルパーなどを対象に独自の介護予防研修を始めた。最初は約四〇〇人の社員から始め、その後登録ヘルパー全員にも実施する方針。東京都老人研究所の介護予防専門指導員研修講座の講師資格を取得したスタッフが講師となり、ICF(国際生活機能分類)に基づき同社が開発した介護予防プログラムを学んでもらい、サービス提供の質を底上げする。
介護予防目黒スタジオではICFの考えに基づいた介護予防の理論やセラバンド、いすを使って簡単にできる運動メニューの講習などを行う。一回二〇人程度の講座で丸一日、十二月まで本社勤務も含む全社員四〇〇人が受講する計画でその後はヘルパーを対象に行う。(以下略)
社会保障審議会介護給付費分科会は十二日、制度改正で新たに追加された介護予防など新サービスについての報酬体系について整理を行った。ケアマネジャー一人当たりの標準利用件数は現行の五〇人から、三〇〜四〇人程度に引き下げられる見込みだが、地域包括支援センターからの予防プランの委託件数には制限がなく、ケアマネジャーが超多忙な業務から開放されてケアマネジメントに専念できる体制になるかどうかなど詰めきれていない点もまだ多い。主な論点を紹介する。
予防通所サービス
予防サービスの中心的なサービスとなる通所系サービスは、基本的には現行の事業所に負担なくできるようにする基準案だ。ただ、新サービスのうち、口腔機能の向上にはSTか歯科衛生士、栄養改善には管理栄養士が必要で、施設併設でないと厳しい。
最後の論点は、目標達成を報酬で評価する仕組みだ。これについては、並行して介護予防ワーキングチームで議論されているが、当初は強かった「サービスの離脱」を指標とする意見から「要介護度の維持、改善」を評価する案が有力になっている。こうした指標から「目標達成率」を計算し、これを一定程度超えた事業所が高い報酬を請求できるようにする。初めての試みでもあり、当面は経営に大きく左右することはなさそうだ。
介護予防訪問介護
「生活援助」「身体介護」の区分が一本化されるが、出来高払いから、月単位の定額払いに変更になる。案では、要介護度別に複数段階を設けるとされた。現行の軽度者の利用状況では毎月当たりの請求件数が四回、八回の人が多いことから、これをもとに二区分を設けることになりそうだ。訪問介護の報酬の定額化については、サービスの手抜きにつながるなどとして、事業者団体の多くが反対を表明している。ヘルパーへの報酬の支払いなど実務面にも大きな影響を与えそうだ。(以下略)
介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム(WT)は、新予防給付の通所サービスで導入する「目標の達成度に応じた評価の仕組み」の具体的な指標をどう設定するかについて議論した。サービス利用者のうち、要介護度が「維持」「改善」した人の割合が一定以上である事業者が、高い報酬を請求できるようにする案が有力だ。ただ、初の試みでもあり当面は著しく成果をあげている事業所を評価する「表彰的な」導入になる見込みだ。
目標を達成したことを評価する仕組みの導入は、介護保険導入時も「成功報酬」の導入として議論されたテーマだ。しかし、事業者を報酬で評価すると努力をした本人の負担が高くなる矛盾が指摘され導入は見送られた経緯がある。負担の問題はクリアできないが、新・予防給付の通所サービスでは目標設定を行い達成されたかどうかを評価する「目標指向型」になることから、報酬での評価も必要とされた。これまでの議論では、利用者一人ひとりについて改善したかどうかをみるのではなく事業者全体のサービスの質として評価すること、改善の指標としてはサービスを利用しなくなることか、要介護度を用いることなどが適当とされていた。
厚生労働省の示した案は指標をもとに、改善率を計算し、一定以上上回った事業所がより高い報酬を請求できるようにする内容だ。 この日の議論では四つの案のうち委員からの支持が高かったのは、要介護度の維持、改善を指標とする案だ。(以下略)
全国介護支援専門員連絡協議会(木村隆次会長)が、新たにケアマネジャーが個人単位で加盟できる組織形態への移行を目指して設立準備を進めてきた「日本介護支援専門員協会」の設立総会が、十一月三日に開催されることが決まった。これを機に、同全国連絡協は解散、新組織への移行を正式に進めていくことになる。
事務局によると、設立総会は九月二十三日に開催された臨時総会で了承。東京都千代田区の弘済会館で開催する予定だ。現段階では全国連絡協に加入する各都道府県連絡組織の代表が集まって、新組織の運営等について協議していく内容になるとしている。
また、入会システムについても、都道府県の連絡協を通じた加入形態も検討中。発足してもケアマネジャー個人が直接入会する体制に一本化するのは、まだ先になる見込みもあるという。(以下略)
医療やリハビリの両面から見て、在宅での対応が可能なのに老健に入所している人が半数近くにのぼることが医療経済研究機構の調査から分かった。特養などの施設が空くまで一〜二年入所しているなど長期化が目立っている。費用負担やサービス提供事業者がいないといった課題が解消されれば、在宅復帰できる可能性はさらに高まると見ている。在宅復帰機能を発揮するために、往復型の利用に対する施設側の支援体制や、ショートステイの拡充を図る必要があるとしている。
調査は今年一〜二月、全国一五〇〇カ所の入所者を対象にアンケートを送付。約四割から回答を得た。
老健施設は、病院などから退院して在宅に戻るために必要なリハビリを受ける「中間施設」として創設された。しかし、特養などへの待機者を受け入れる中で在所期間も長期化しており、近年では老健と在宅との間を行き来する往復型の利用も目立つなど、施設のあり方も多様化している。二〇〇三年度の同機構の調査では、入所の理由は「リハや医学的管理が必要なため」(二二%)よりも、「待機中の介護施設が空かないため」(三八%)、「在宅でも対応可能だが家族の受け入れ体制が整わない」(三一%)が多かった。
今回の調査は、特に老健からの在宅復帰を阻害している要因に焦点をあて実施した。平均在所日数は四〇九・二日で、入所期間は平均要介護度3・5以上の施設では三六五日以上が半数以上になっている。(以下略)
十月から介護保険施設では居住費・食費が利用者負担になったが、介護報酬では新たに栄養管理に関する加算が導入された。その目玉となるのが「栄養マネジメント加算」。一人ひとりの高齢者の栄養状態に応じて栄養ケア計画を作成し、低栄養の改善や予防を図る。その一連のプロセスを栄養ケア・マネジメントと位置づけて評価するものだ。ポイントについてQ&Aで解説する。
Q子 いよいよ今月から施設の居住費・食費の利用者負担が始まったわね。施設の経営も厳しくなるって経営者は元気ないけど、知り合いの栄養士さんは妙に張りきっているわよ。″栄養ケア・マネジメント″とかいってたけど。それって何。
A男 今回改正された施設の報酬体系では、栄養管理に関して四つの加算で評価していく仕組みになったんだ。管理栄養士と栄養士を配置した場合に算定できる「栄養管理体制加算」を始め、摂食・嚥下機能が低下した高齢者に経口摂取を進める経口移行加算、医師の食事せんに基づいて療養食を提供する療養食加算。
そして四つめが「栄養マネジメント加算」で、これが今君が言った「栄養ケア・マネジメント」の実施を評価していくものなんだ。四つの加算の中でも特に重要と注目されているよ。
Q子 これまでも施設では栄養士がいて栄養管理を行っていたんでしょう? それとどう違うの。
A男 ひと言で言えば、目的が違う。これまでの介護報酬でも確かに管理栄養士や栄養士の配置加算はあったけど、極端に言えば「いればいい」というだけで、利用者の栄養状態の改善のために何をしたとかは全く問われなかったんだ。献立をつくって材料の手配しておしまい、でも良かったわけだ。そもそも従来の栄養管理は、医師の指示に基づく特別食の必要性や集団給食に必要な栄養量を算定するのが主目的だったからね。
栄養ケア・マネジメントは、この集団給食管理とは全く逆の発想といっていい。つまり、一人ひとりの利用者について栄養状態を把握するのが目的で、あくまで利用者の個別の栄養問題を改善するために行うものなんだ。だから、アセスメントして個別の栄養ケア計画を作成しなければ算定できない。(以下略)
社会保障審議会介護給付費分科会は四日、ケアマネジメントの報酬改定について議論した。事務局が示した案は、介護給付については、利用者の要介護度にかかわらず一律の報酬を要介護度別に見直す。一人当たりの担当件数を現在の五〇人から引き下げるものの、それを超えた場合や、偏った事業所のサービスばかりケアプランに位置づける場合などについて新たに減算を設ける。従来の報酬体系を全面的に見直す内容だ。委員からはケアプランの質や公正中立を報酬でコントロールするには限界があるとし批判が相次いだ。
居宅介護支援の介護報酬は利用者の要介護度によらず一人当たり八五〇〇円。当初は要介護度別の設定だったが、手間は変わらないとの指摘から一本化したばかりだ。月一回の訪問、サービス担当者会議を開催しないなど運営基準を遵守しない場合には「減算」となり、四種類のサービスをケアプランに位置づけた場合の加算も前回改定で導入された。
報酬は引き上げられたものの、それ以上にケアマネジャーの業務が増えただけ、サービスの種類が多いからといって業務量とは無関係など現場には強い不満がある。
厚生労働省の見直し案は、業務にかかるコスト、ケアマネジメントプロセスの公正・中立の評価がポイントという。
具体的には、基本報酬は要介護度別の体系とする。実態調査の結果、特に要介護4〜5で時間がかかっていたためという。さらに初回のアセスメントの加算を導入。
ケアマネジャー一人当たりの担当件数を引き下げるが、モニタリング、サービス担当者会議の開催など基本プロセスを踏まえることを基本に報酬水準を設定するとした。さらに、手間のかかる支援困難者のケアプランを受け入れる専任体制をとっている事業所も別途評価する。評判の悪い四種類のサービス加算は廃止だ。(以下略)
東京都国民健康保険団体連合会はこのほど、都民から区市町村や東京都、国保連に寄せられた苦情をまとめた。二〇〇四年度の苦情件数は五三三八件で、昨年より一二七四件減少した。このうちサービス提供や保険給付に関する苦情は二七一一件(五〇・八%)で半数以上を占めた。次いで保険料に対する苦情が一一八三件(二二・二%)だった。
苦情件数は、制度開始初年度の一万三九一件から〇四年度には半減したが、総数に占める「サービス提供、保険給付」の苦情の割合は、〇〇年度の三六・六%から五〇・八%に増加している。ケアプラン、サービス供給量についての苦情は減少傾向にあり、保険料も改定のあった〇三年度は二〇五一件が寄せられたが、〇四年度は一一八三件に減少している。介護報酬については、〇三年度の七八件から八五件に増加している。
苦情件数が減少してきた原因について都国保連は、「制度が根付いてきたため」と見る一方で、「東京都や市町村への苦情は減っているが、国保連へは増えており、苦情自体が複雑化している傾向がうかがえる」と分析している。(以下略)
社会保障審議会介護給付費分科会は九月二十九日、在宅介護を中心とする民間事業者六団体へのヒアリングを行った。新予防給付の創設で軽度者への生活援助的なサービスを一律にカットすることや通所、訪問介護の報酬を新たに包括化することに関しては慎重意見が根強いのは共通だ。しかし、各団体の意見はさまざま。在宅事業者は制度改革で最も深刻な影響を受けることが想定されるが、一枚岩にならない業界の難しさも浮き彫りになったかたちだ。主な意見を紹介する。
◇ ◇
日本在宅介護協会(在宅協)には、ニチイ学館、コムスン、セントケアなど大手どころが加盟する。意見のポイントは経営努力のいかせる環境整備といえる。
予防給付では、居宅介護支援、介護予防通所介護では、「介護」と「予防」が両立できる条件整備を求めた。口腔ケアの歯科衛生士の配置や、栄養改善の管理栄養士など予防通所での専門職の配置については、高コスト化、人材不足を招くとして反対。一定の研修を修了したヘルパーでもできるような基準とすること、予防の効果の事業者への評価として、要介護度の改善やサービスを利用しなくなることだけではなく、「維持」も対象に加えるべきとした。
訪問介護では、ヘルパー数に応じて配置が求められているサービス提供責任者が経営コストに大きく影響しているとして配置数の緩和を求めた。ヘルパー二級研修から五〇〇時間の介護基礎研修、さらに介護福祉士への要件の引き上げは、高コスト化につながり、マンパワーの確保が難しくなると懸念を表明した。(以下略)
高齢者アクティビティ開発センター(東京都中野区、多田千尋代表)は十二月から、高齢者介護施設や医療現場などの職員を対象に、アクティビティを企画・演出する専門資格の認定を始める。資格名は「アクティビティ ディレクター」。手工芸などの芸術創作活動と、高齢者や障害者が楽しみながらリハビリができる遊具・ゲームを使った「遊び」を中心に、高齢者一人ひとりの生活を活性化させるアクティビティを提案・実践する能力を身に付けるのがねらいだ。来春にはそのステップアップ資格として、生活全般の領域を視野に個人の長期的なケアプランを立案できる「アクティビティ プロデューサー」の認定セミナーも始める予定だ。(以下略)
横浜市福祉サービス協会総合労働組合は七月に、ヘルパーへのセクシャル・ハラスメントへの取り組みを小冊子「ひとりで悩まないでヘルパーへのセクハラ」にまとめた。ヘルパーは在宅という「密室」で、利用者と一対一で向き合い、身体接触を伴う介護を行う。ヘルパーは仕事中にセクハラがあっても、相手が援助を必要とする人だけに表立って問題にしにくい特殊性があるという。「まずは声をあげ、実態を知らせることが大切」と同組合委員長の橋本由紀子さんは指摘する。(田中知滋)
横浜市福祉サービス協会総合労働組合(組合)は、登録ヘルパーを中心に十三年前に設立され、現在では八○○人程度が加盟する。仕事柄、そのほとんどが女性だ。セクハラの問題はかねてから指摘されているが、これまで表立った取り組みがされることはほとんどなかった。しかし、同組合では昨年からアンケートを実施し実態を調べたり、講師を招いて学習会を開催するなど積極的に取り組んでいる。
「あまりの衝撃に、頭が真っ白になってその場では何もできませんでした」
きっかけは、組合員の松井孝子さん(仮名)の体験だ。松井さんは昨年の春に勤めている事業所の担当地区変更があり、新しい地域のサービス提供責任者として働き出した。担当ヘルパーとともに一人暮らしの高齢男性宅に訪問した時のことだ。
男性はあいさつしている松井さんの前で、近づいたヘルパーの胸を突然触ったのだ。これが電車の中であれば痴漢行為で立派な犯罪だ。呆然としている松井さんの代わりに、担当ヘルパーがすかさずいさめたが男性は取り合わない。
担当ヘルパーに話を聞くとこの男性はセクハラの「常習犯」という。ひわいな言葉を投げかけながら近づいてくる利用者に、恐怖から包丁を向けたこともあったという。(以下略)
十月一日の「福祉用具の日」を記念して、「福祉用の日」推進協議会が「福祉用具のある風景」をテーマに実施したフォトコンテストで、最優秀賞、厚生労働大臣賞、経済産業大臣賞各一点、特選四点、入選八点、特別賞一点の合計一六点が選ばれた。同協議会によるフォトコンテストは二回め。四七都道府県から一一三点の応募があった。二十七日、開催中のH.C.R.二〇〇五の会場で表彰式が行われた。
一九九五年に施行した福祉用具法を記念して、推進協議会が十月一日を「福祉用具の日」に制定し、各地で普及啓発のための関連イベントを展開している。今年で四年め。協議会には福祉用具にかかわるシルバーサービス振興会、新エネルギー・産業技術総合開発機構、テクノエイド協会、日本福祉用具供給協会、日本福祉用具・生活支援用具協会の五団体が参加する。
最優秀賞は電動車いすに乗った奥さんとご主人が杖をつきながら寄り添って散歩する風景を収めた「福祉用具に感謝。」。「散歩といえどもネクタイを締めて外出するご主人の姿には夫婦で歩んできた生活が見える」と審査委員長の千野直一審査委員長・慶應義塾大学名誉教授も絶賛だ。以下略)
厚生労働省は二十六日、全国介護保険・老人保健事業担当課長会議を開催した。地域支援事業の交付金の交付、地域密着型サービス実施に向けての手順など、来年四月の制度改正に向けた実務的な事項について説明が行われた。
老人保健
介護保険法に介護予防を行う地域支援事業が位置づけられたことで、これまでの予防事業である老人保健事業とどうすみ分けるかが課題となっていた。二〇〇六、〇七年度については、六五歳以上の健康診査と健康事業以外は行わないようにする一方で、基本健康診査の中で、予防健診を行っていく「相乗り」方式とする方針を明らかにした。これに伴い、来年度の概算要求額は、約二四〇億円となり、今年度予算より五〇億円の減額となる。
六五歳未満に対する老人保健事業は、来年度は現行通り六事業を実施する予定だ。主に老人保健事業で担ってきた疾病予防は今度の医療制度改革でも重要テーマになっており、議論の行方によっては診療報酬に取り込まれる可能性もある。第四次保健事業計画は昨年度終了し、改正介護保険の施行までのつなぎとして今年度は単年度計画で実施してきたが、来年度以降どうするかは未定だ。(以下略)
特養ホームの利用者のうち、七割近くは施設と「直接契約」によりサービスを利用しているが、本人の契約意思が確認できないまま家族などが契約手続きを行っているケースが八割以上あることが、全国老人福祉施設協議会の調査で明らかになった。同協議会では、本人の認知症などが理由でも意思確認ができない場合には代理権が法的に付与された成年後見人等を選任して契約するのが適正だとしているが、実際に同制度を利用しているのはわずか○・七%。低所得者で身寄りがない人も多く、医療行為に対する同意や死後の財産管理など、入所者の権利擁護については同制度だけでは限界があることも指摘されており、さまざまな制度・システムを活用して総合的な利用者の権利擁護に取り組んでいくことが重要だとしている。
本人意思確認は2割弱全老施協が権利擁護システム調査
「成年後見」利用は0.7%
特養ホームにおける利用者の権利擁護システムの実態を把握し、課題や今後のあるべきシステムについての検討材料とする目的で実施した。同協議会会員施設五○○カ所を対象に、昨年十月に郵送形式で実施、二六二施設から回答を得た(回収率五二・四%)。利用者数は一万七八八○人。
報告書によると、権利擁護に関連するシステムの導入状況でほぼ一○○%の施設で導入されていたのが、「苦情解決システム」「サービス利用契約」「金銭管理契約」の三種類。地域福祉権利擁護事業(三・八%)や成年後見制度(二六・七%)の導入率は低い。(以下略)
ツクイ(横浜市)は、十月一日からのデイサービスの食費の全額利用者負担化を逆手にとって、「食事一○○円キャンペーン」を実施する。九月から順次スタートし、年内までの期間限定。最終的には全国の同社デイサービス事業所の大半にあたる一五○カ所で実施。
キャンペーンを営業ツールとして活用することで、より多くの利用者やケアマネジャーに同社のサービスを知ってもらうきっかけとする考えで、利用者の一割増が目標だ。
料金を下げる分、食事の質を落とすのではなく、現状の質は維持する。利用者数の拡大による稼働率の向上を図る一方で、過剰な人員配置の適正化によるコストの見直しを進め、全体として採算をとる考えだ。一月以降の費用設定については、キャンペーンの結果をみて判断する。(以下略)
「私って若返ったかしら」最近、更新認定後の要介護度が以前に比べて低くなったとの声が聞こえている。利用している介護サービスは変わっていないのに、といぶかる高齢者が多くなっている。
「老い」という現象に逆らうことはどう考えても無理なことで、給付抑制のために「要介護認定」を操作していると考えざるを得ない。認定は全国一律に行うべきものであり、こうした対策は遺憾である。安易な手段に訴えることなく今回の制度見直しで、自治体が何をなすべきか。今後の方向性を示すのが本稿のテーマだ。
さて、介護保険制度も含め、社会保障制度全体の見直しの方向は、昨年社会保障審議会がまとめた「社会保障改革の方向性に関する意見」に示されている。ポイントは「制度間の給付の総合化」と「施策の総合的な対応」であり、介護においては、「持続可能(現金)」か「医療・介護サービス(利用料)」を購入する「社会保障費用の流れ」だ。つまり、社会保障費用を循環させる方向である。
この方向にあわせ、十月から「食費と居住費」を自己負担に振り替えることをスタートした。本来、年金に含まれる生活を支える給付と、介護報酬に含まれる食事提供費、居住費はこれまでは二重に給付されていたという理屈だ。これは、制度間の調整だけにとどまらず、報酬から食事提供費と居住費が切り離されることで介護保険からみると給付抑制策になる。
新しい介護保険事業計画の基本方針で厚生労働省は、介護保険三施設と居住系サービスの利用人数を現在の四一%から二〇一四年には三七%以下に下げる目標を示している。(以下略)
「郵政民営化」の国民投票となった衆議院選挙で自民党が圧勝したのはご存知の通りだ。
二十一日に召集される特別国会では、民営化法案の巻き添えで廃案になっていた障害者自立支援法案も再提出される見込みだ。
これまで公費でみてきた障害者の医療も、福祉サービスの利用料も原則的に一割負担とする内容だ。
「あれもだめ、これもだめ、何をしてもお金、お金の仕組み」
障害をもつ知人は批判する。反対で粘った野党も少数になり、与党が三分の二を占める情勢では提出されれば成立は確実だ。
与党は少子化対策には熱心だが、障害対策には冷淡だ。子どもを産めといっておいて、もし、障害を持つ子だったら面倒はみないというのだろうか。福祉先進国の少子化対策だけを切り取って輸入したところで子どもの数など増えるわけはない。必要なのは、社会全体の安心だ。
改正介護保険法の中身も歳出削減ありきだ。その第一波が、十月から始まる介護保険施設での居住費、食費の自己負担化だ。
十分な説明の時間がないのを百も承知で、年度半ばの十月から導入されることになった。今、現場はおおわらわだ(以下略)
全国老人福祉施設協議会(全老施協・中村博彦会長)は二十日、都内で緊急集会(写真)を開き、十月からの施設報酬の改定による食住費の利用者負担化と、来年四月に向けて議論が進む報酬改定などについて緊急アピールを行った。全国から施設経営者、家族会の代表など八○○名を超える参加者が集まった。
緊急アピールは、@利用者の生活・経済実態から大きくかけ離れた居住費・食費負担の早期是正、A官主導ではなく民主導のサービスを基本とし、介護予防の基幹となる地域包括支援センターは在宅介護支援センターを中心に進めること、B社会福祉法人に対する規制改革の促進――の三点。 全老施協では、「今回の食費・居住費の負担、そして介護予防の導入は五年間の介護保険の仕組みを損ね、利用者の生活実態とかけ離れたもの」(中田清同協議会副会長)。特に十月からの食住費の報酬についてはユニット型個室で利用者負担が一○万二○○○円となり、低所得者の補足給付や社会福祉法人の減免を行っても利用者の生活実態からは大きくかけ離れているとし、早期是正を求めていく考えを表明する目的で今回の緊急集会を開催したと説明した。ユニット型個室の報酬が大幅ダウンとなったことで先駆的に取り組む施設に不満が強まっていることもあり、改めて与党議員を兼ねる中村体制をアピールするねらいもある。自民党森派を中心とした現職議員も参加し、全老施協の要望に沿って関係省庁などへの働きかけを進めていく意向を示した。(以下略)
十月からの施設利用料の見直しに伴い、デイサービスの食費負担も変わる。今回、本紙では約六○○人の登録者がいる「ネットご意見番」に地域の事業者の動向や利用者への影響などを尋ねてみた。わずか一週間で一〇〇人の方にご回答いただきました。いつもながら有難いことです。
◇ ◇
デイの食費はこれまで食材費相当だけが利用者負担。今回の見直しで保険外負担となった調理コストの介護報酬は三九単位。単純に考えれば一人当たり約四○○円のマイナスだ。これをどう上乗せしているかが新しい食費を見る一つの目安となる。アンケートは九月中旬に実施した。
地域の事業所の価格設定については「正式に決まった」(二五%)「ほぼ固めているところが多い」(四七%)を合わせて七割を超えているが、十月からというのになかなか利用料が決まらないようすがうかがえる。ちなみに、ショートステイの食費・居住費については「ほとんど知らない」が半数近く。
さて、やはり気になるのは金額。″地域の相場″として選んでもらったところ、最も多かったのが「五○一〜六○○円」で三六%。全体では六○○円以下で六割を占めており、一割だが四○○円以下も。もともとの食材費をいくらに設定しているかにもよるが、単純に減額分を上乗せしているところは少ないといえる。
こうした価格設定を「妥当」と答えた人は四六%でトップ。お昼ごはんの値段と考えれば、五〜六○○円が一般的にも妥当なライン、ということか。ただ、デイの食事となるとその日の気分やサイフの中身と相談して自由に選ぶといったことも難しい。三割近くが「高い」としたのはやはり普通の食事とは違うという意味が強そうだ。
さて、デイはすでに都市部などでは事業所が飽和状態。編集部にも、今回の食費負担見直しで利用者確保のために低価格を打ち出して利用者確保に乗り出している事業者の情報もちらほらと入ってくる。そんな戦略的な事例がないかどうかも聞いてみた。
その中で目立ったのが「スペシャルメニューの開始」と「極端な値下げ」だ。(以下略)
十月から介護保険施設と在宅サービスの一部で食費と居住費が保険対象外になるのを受け、東京都千代田区などの保険者が費用の助成を行うことを明らかにした。年度途中に利用者負担が急激に増えるのを避ける目的だが、いずれも来年三月までの激変緩和措置だ。
東京都千代田区は、デイサービスの食費と施設入所者の一部に対する食費・居住費の助成を実施する。
デイについては、一食あたり二〇〇円を区内事業者に補助する。四二〇円の食事提供加算が廃止になるのを受けたもので、残り二二〇円は事業者に経営努力を求め、利用者負担は四〇〇円のまま据え置き、対象は一カ月の延べ人数で約二八〇〇件と見ている。
また、施設に関しては、国の補足給付の適用の対象だが実質的な値上げとなる利用者負担段階第三段階と、第四段階の所得七〇〇万円未満の区民に対して、補助率五〇〜七五%にあたる一万五〇〇円〜一万九五〇〇円を補助する。これら二つの補助の来年二月までの補正予算は約九二〇万円。(以下略)
厚生労働省は十二日、 介護報酬を算定するデータとなる二〇〇四年度介護事業経営概況調査の結果を公表した。前回の報酬改定で大幅な引き上げとなった居宅介護支援事業所だが、赤字幅は減ったものの損益率はマイナス一五・九%で全サービス中で最も低い数字にとどまっている。十月には最終版をとりまとめる予定だ。 昨年九月の収支状況についてまとめている。居宅介護支援事業所は二〇〇二年度の調査では損益率がマイナス二〇・二%で、一七・一%報酬が引き上げられたが、損益率はまだ一五・九%の赤字だ。前回の報酬改定は施設・在宅で平均二・三%のマイナス改定だったが、通所リハビリテーションの損益率は一六・五%で前回調査より三ポイント増加。下げ幅が大きいのは、訪問看護ステーション、短期入所生活介護。(以下略)
社会保障審議会介護給費分科会(座長・大森彌東京大学名誉会長)は五日から来年四月からの介護報酬見直しに向けての議論を開始した。来年度予算編成に向け、十二月中旬には基本的な考え方をとりまとめ、一月下旬までには新たな報酬額を諮問答申するスケジュールだ。
法改正をうけて分科会では、十月からの食住費の自己負担化に伴う施設報酬の見直しを審議し、七月十四日に答申を終えた。
四月の報酬改定では、軽度の利用者が対象となる予防給付が最大の争点だ。従来のサービスとはまったく発想も異なるため、介護予防ワーキングチーム(WT)が、報酬体系やサービスのあり方など技術的な課題について先行して議論し、予防給付は通所を中心とし、通所、訪問介護は月払いの定額報酬とし、通所については利用者の改善を報酬で評価するなどとする中間報告を八月末までにまとめた。
介護給付費分科会では、まず予防給付のほか、地域包括支援センターが行う介護予防マネジメントや要介護者のケアマネジメント、地域密着型サービスなど見直しで新たな創設されたサービスの議論を先行し、十月末までに基本的な考え方をまとめる。(以下略)
厚生労働省はユニット型個室で大幅に報酬減額になったことの救済策として、社会福祉法人の減免を拡充し、低所得者対策の上限となる利用料(基準額)を超えて利用料を徴収した場合にも最大三万円の公費助成を行う方針を固めた。四月までの特例措置。ユニット型個室の報酬引き上げはすでに規定路線となったかたちだ。
十月改定は、居住費を自己負担化する分を機械的に報酬から減額する内容だ。居住費の設定が、療養環境別に三段階に設定されることになったことで、最も自己負担の安い多床室で介護報酬が最も高くなり、厚生労働省が今後推進をめざしているユニット型個室では、報酬の減額幅が最大となり、批判が多い。
ユニット型個室では実質的に月四万八○○○円介護報酬が減る。一方、低所得者対策を行う利用料の上限(基準額)は六万円。厚生労働省では、現行の利用料が全国平均で一万円程度であることから、利用料に全額転嫁することも可能と判断していたが、新しい施設ではすでに上限近くまで利用者から徴収しているケースもあり、こうした施設で低所得者対策の範囲で利用料を設定した場合は大幅な減収になる。全国老人福祉施設協議会が対策を求めていた。(以下略)
十月からの食住費の自己負担化に伴う新しい介護報酬や、政省令、告示などの法令が七日、公布された。これをうけ、厚生労働省は同日、全国介護保険指定基準・監査担当者会議を開催し、保険者に対して利用者への周知を徹底すること、利用者からの相談体制の整備を求めた。公布をうけて利用者への説明を行うとする施設も多く、今後、現場の準備が本格化する。
自己負担徴収にあたって、特に強調したのは、低所得者対策のない利用者負担第四段階の居住費・食費は施設と利用者の間での契約によって水準を決定するという点だ。
実際の費用設定や、費用決定に至る費用の積み上げの内容ではなく、利用者に適切な説明がされ、契約が行われたかというプロセスをチェックすることになるという。プロセスがきちんとしていれば費用水準の妥当性は問わずに施設と利用者の間で自由に決定できることになる。(以下略)
予防マニュアルについて各担当研究者に尋ねるシリーズの四回目は、地域支援事業で実施する「認知症」「うつ」「閉じこもり」の三種類。一挙に紹介する。
認 知 症 本間昭都老研参事研究員に聞く
「地域づくり」が事業の鍵
認知症予防が他の介護予防事業と違うのは「地域づくり」であるということ――。介護予防マニュアルの主任研究者の本間昭東京都老人総合研究所参事研究員は、認知症予防としてより本来的なのは、高齢者が元気なうちから自主的、継続的に取り組める予防活動を地域で展開する「一般高齢者施策」だという。市町村が地域の高齢者のニーズ、社会資源などを調べることから始めなければならないという点でコストと手間はかかるが、認知症予防は介護保険制度の命題。各自治体の「やる気」が問われる事業といえそうだ。
――認知症は予防できますか。
「認知症の六割を占めるアルツハイマー型認知症の原因が次第に明らかになってきて、予防の可能性が言われるようになってきました。学術的に根拠のある方法に基づいた取り組みは少ないですが、アルツハイマー型認知症は、いっきに認知症になるわけではなく、ハイリスク群あるいは予備群とも考えられる時期を経てから移行します。この時期の状態は軽度認知機能障害と呼ばれており、介入することで認知症への移行を予防したり進行を遅らせることはできます。
具体的には、認知機能を重点的に使って、改善や維持をねらう″認知的アプローチ″で介入します。体験したことを覚えて思い出す「エピソード記憶」や対象に対して注意を振り向ける「注意分割機能」「思考力」を刺激することが重要です。
何らかの認知低下の自覚があるという″潜在的なリスク″を持つ人も対象にする必要があります」
――具体的にはどんなことを行うのですか。
「地域支援事業には特定高齢者施策と一般高齢者施策の二つがあります。
前者は、軽度認知機能障害の疑いがある人を対象に、「運動機能の向上、栄養改善、口腔機能の向上の事業を提供してそのなかで予防を図る」事業とされています。実際には、医療や保健領域で行われてきた老人保健事業の延長的なものになるでしょう。地域包括支援センターが介護予防健診や訪問などのルートを通じてハイリスク者を把握し、基本チェックリストによるアセスメントと健診結果に基づいて対象者を選定します。その際に、対象者に対して「認知症ではないがそのリスクがある」という診断をする医師が必要なはずですが、国はこのあたりを明確にしていません。どのみち地域で軽度認知機能障害の診断を受けられる体制はまだまだ整っていません。
認知症は、症状が現れるはるかに前から脳機能の障害というかたちで始まっていると考えると、健康な高齢者も対象とした一般高齢者施策のほうがより本来的な取り組みといえるでしょう。(以下略)
ラオックス、シグマスタッフなどは共同で十八日、国内初のリハビリ介護予防製品の専門店「ラオックス・グラファージショップ」を開設する。事業者向けには商品を使った効果的な介護予防メニューの研修を行う。初年度一億円の売上を目指す。
「ラオックス・グラファージショップ」は東京・秋葉原のラオックスのザ・コンピュータ館地下一階フロアの五〇坪に筋トレマシンからボール・バンドエクササイズ用品、各種介護予防グッズなど約八〇〇点のリハビリ・介護予防用品を揃える。
グラファージが商品調達と販売を行い、シグマスタッフは、介護予防専門指導員養成講座や介護予防の研修講座運営のノウハウを生かして介護予防プログラムの研修を提供する。(以下略)
介護保険制度の見直しで導入される新予防給付のサービスのあり方、報酬の骨格について議論していた社会保障審議会介護予防ワーキングチーム(座長・井形昭弘名古屋大学教授)は、中間報告をまとめた。軽度の利用者の多い通所サービス、訪問介護、福祉用具の三大サービスを重点的に見直す内容だ。これをうけて九月五日からは社会保障審議会介護給付費分科会が再開され、介護報酬改定の議論が本格化する。通所、訪問での包括払い(月単位の定額払い)や通所サービスでの成功報酬の導入など中間報告が求めている新しい報酬のあり方が争点になりそうだ。
ワーキングチームは、七月末から、新予防給付に位置付けられる一三種類のサービスについて見直しの方向を検討してきた。しかし、軽度の利用者では、通所系サービス、訪問介護、福祉用具レンタルで給付の九割をカバーすることからこれらの三大サービスを重点的に見直すことになる。
閉じこもり予防の効果も期待できるとして新予防給付の中心とされたのが、通所系サービスだ。通所リハ、通所介護は「共通サービス」と「選択サービス」の組み合わせとする同じ体系になるが、通所リハではリハビリテーションが義務付けられ、通所介護では「アクティビティ」が選択サービスに位置づけられるなど従来の枠組みは残る方向だ。
大きく変わるのが介護報酬で、現行の時間単位での支払いを止め、標準的なメニューを基本とする「包括払い(月単位の定額払い)」とする。さらに、目標の達成度合いに応じて、事業者への成功報酬の検討を求めた。目標を達成したかどうかの指標としては、サービスを利用しなくなったこと、要介護度の改善の二つが候補だ。利用者の一割負担を軽減するために包括支援センターが報酬を受けとった上で、事業者に支払う方式も提案されていたが事務作業が煩雑になることから見送られた。(以下略)
厚生労働省は〇六年度予算の概算要求をまとめた。一般会計の予算要求額は、今年度当初予算費を七二三七億円上回る二一兆五四一五億円。社会保障関係費は、政府のシーリング通り八〇〇〇億円分と見込まれた自然増分から二二〇〇億円を削減・合理化し、今年度予算額より五七九八億円増の一九兆九七三七億円を計上した。ただ、どの項目を圧縮するかは年末の予算編成に向け検討するとしている。全体的には、少子化対策への予算重点化が特徴的だ。介護保険関連では、法改正で創設される地域支援事業のための交付金として四九四億円を要求している。老人保健事業の大部分を占める老人健診を、来年度は介護保険に組み入れることを見送ったため、交付金としては当初予定の給付費の三%より少なく、二%となっている。
老人保健福祉関係予算は二兆三六一七億円で、今年度当初予算より一八九七億円増。緊縮財政にあって強気の要求だ。
介護保険制度では、介護給付費の伸びを今年度より七・七%増、四六四一億円増の六兆四六〇九億円と見込み、初めて六兆円を超えて計上した。調整交付金などの国庫負担は六・三%増の二兆七三九億円とした。このうち、財政安定化基金の国の負担分を七一億円と見込んでいる。(以下略)
厚生労働省は〇六年度予算の概算要求をまとめた。一般会計の予算要求額は、今年度当初予算費を七二三七億円上回る二一兆五四一五億円。社会保障関係費は、政府のシーリング通り八〇〇〇億円分と見込まれた自然増分から二二〇〇億円を削減・合理化し、今年度予算額より五七九八億円増の一九兆九七三七億円を計上した。ただ、どの項目を圧縮するかは年末の予算編成に向け検討するとしている。全体的には、少子化対策への予算重点化が特徴的だ。介護保険関連では、法改正で創設される地域支援事業のための交付金として四九四億円を要求している。老人保健事業の大部分を占める老人健診を、来年度は介護保険に組み入れることを見送ったため、交付金としては当初予定の給付費の三%より少なく、二%となっている。
老人保健福祉関係予算は二兆三六一七億円で、今年度当初予算より一八九七億円増。緊縮財政にあって強気の要求だ。
介護保険制度では、介護給付費の伸びを今年度より七・七%増、四六四一億円増の六兆四六〇九億円と見込み、初めて六兆円を超えて計上した。調整交付金などの国庫負担は六・三%増の二兆七三九億円とした。このうち、財政安定化基金の国の負担分を七一億円と見込んでいる。(以下略)
新予防給付の対象のサービスの一つが「口腔機能の向上」だ。介護予防マニュアル研究班主任研究者で、長年口腔衛生や摂食機能障害の支援を続けてきた植田耕一郎日本大学歯学部教授は、現行の介護保険のアセスメントでは口腔機能を問う項目が全くなく、一見元気そうな高齢者の口腔内が危機的な状況になっていると警鐘を鳴らす。むせや食べこぼしが介護度悪化のサインになっているというデータも明らかになったことから、歯科衛生士を中心に、マニュアルに沿って介護職員や本人が予防に取り組むことで口腔状態が改善へ向かうよう期待しているという。サービスの基本は正しいブラッシングと口の体操などの機能訓練だ。
\\口腔機能の向上を行う意義は?
「目的は″高齢者が一生美味しく、楽しく、安全な食生活を営むこと″です。
また、″自己実現の手段″という意味もあります。例えばお孫さんと一緒に遊ぶことが生きがいという人が満足に食事ができなければ一緒に食事を楽しむことも、外食することもできません。楽しい食生活、QOL向上の実現に貢献する。そうした観点からマニュアルを作成しました」
\\どんな人が対象ですか。重度者には肺炎や誤嚥予防などの効果があるとは聞きますが、軽度者にも効果があるのですか。
「対象者の状態像は、ごく普通に食事ができて身体機能も自立している人です。このような一見元気そうな要支援や要介護1の人の中に、よくよく聞いてみると「最近むせやすい」「味がわからない」「口が渇いてしょうがない」と訴える人が多いのです。軽度者の中でむせや食べこぼし、のどの違和感を訴える二割の人が、近い将来重度化するというエビデンスも得られました。そこで、兆候がある人を見過ごさないようにケアをして、重度化を防ごうというのが介護予防のねらいです。
いま高齢者の口の中を健診させてもらうと、合わない入れ歯をしていたり、歯が根っこしかなかったりなど、″体は元気でも口の中は寝たきり″という人が本当に多いのです。ブラッシングは自分でできても、清潔が保たれている人は多くありません。こうした方が、ひとたび脳卒中を起こしたり、ADLが低下すると、加速度的に悪化してしまうのです。
口腔ケアに関しては、これまで介護保険のアセスメントの中に全く項目がなく、半ば放置されてきた状況です。軽度のうちに口腔機能をチェックする仕組みが組み込まれることで高齢者自身の口への関心も高くなると期待しています」
\\新予防給付では、サービス提供従事者として歯科衛生士、言語聴覚士、看護職員などの専門職を挙げていますが、必置ですか。
「必置にはならないと思いますが、私はエキスパートとしての歯科衛生士を置く必要があると思います。もちろん、作業療法士や理学療法士、介護職員などでも機能訓練や助言指導を行うことはできるのですが、歯科衛生士と介護職が行う指導ではやはり内容が違ってくるからです。
新予防給付では、歯科衛生士が月一〜二回行う「専門的サービス」、介護職員が口腔清掃や健口体操などを行う「基本的サービス」、本人が自宅で行う「セルフケアプログラム」の三つを盛り込んだ計画書を作成します。計画は個別に作成しますが、グループで実施しても構わないでしょう。
地域包括支援センターで行う一次アセスメントでは、「むせや食べこぼしが気になるか」「口臭や口の渇きが気になるか」「現在どれぐらいの物が食べられるか」の三項目の問診項目と、嚥下機能や口腔衛生状態を調べる検査項目の例を示しました。事業者が実施する二次アセスメント項目は、マニュアルにもすでに現場で採用されているものを紹介しています。
地域支援事業の特定高齢者施策は、市町村の保健センターや公民館で「専門的サービス」と「セルフケアプログラム」を組み合わせて提供します。それぞれ対象者は約六万人と想定しています」(以下略)
介護予防とともに来年度から地域包括支援センターが創設されることによって、岐路に立たされているのが在宅介護支援センターだ。来年度からは国の補助金の統廃合で運営費補助も廃止されることが決まっており、存続を危ぶむ声は関係者を中心に高まっている。こうした状況の中、全国在宅介護支援センター協議会(黒木隆之会長)は先月二十六日、都内で開催した研修会で、市町村に対し地域支援事業に在宅介護支援センターの活用を積極的に求めていくよう呼びかけた。同協議会では、在支が包括支援センターを受託する効果などを研究報告書にまとめて提示。運営コスト軽減も含め、市町村にアピールしていく資料として活用を促していく考えだ。
「介護保険見直しの議論で地域包括支援センター構想が浮上した当初、『在支がなくなる』と言われ絶句した。これまで地域ケアの核として果たしてきた役割を何としても残さなければという一心で執行部はこの一年間、各方面に働きかけてきた」(林芳繁同協議会総務広報委員長)
同協議会では昨年十一月末、包括支援センターに必置となる保健師や運営協議会への専門職の派遣など、厚労省が示す構想が民間事業者から完全に独立した中立機関をイメージしたものであることに対し、反対する決議を採択。一九九○年の制度創設以来十五年間、住民の身近な相談機関として整備してきた八七○○カ所の在支の活用を前提に、包括支援センターの構想を具体化していくよう求めてきた。地域高齢者の実態把握や二四時間・三六五日の相談体制、自立・要介護高齢者に対する包括的・継続的なマネジメントなど、包括支援センターが担う業務の大半はこれまで在支が行ってきたという自負があるからだ。
その後国会の付帯決議で在支の活用が盛り込まれたのを始め、「人口規模に関わらず地域の実情に応じた設置カ所数で可」「人口一万五○○○人以下の小規模市町村は保健師・社会福祉士・主任ケアマネの弾力的な配置を認める」など、厚労省が示す包括支援センターの要件も徐々にトーンダウン。
「包括支援センターへの活路が見えてきた」。研修会では、協議会の役員メンバーによる組織的な働きかけが成果を上げたと強調した。
しかし、市町村レベルではすでに包括支援センターの設置・運営方針を固めたところも出てきており、在支の意見を聞くことなく協議を進めている自治体も少なくない。また、在支自身も今後の具体的な対応を見出せないでいる。
そこで同協議会は、一カ月ほど前に大阪市立大学大学院・白澤政和教授を座長とする「地域支援事業における在宅介護支援センターのあり方研究会」を設置。地域支援事業に対するかかわり方を、包括支援センターを全面的に受託する場合から相談機能など一部を実施する場合など、それぞれのメリット・デメリットを含む七つの選択肢を示した報告書を研究会で公表した。包括支援センターの設置方針をまだ決定していない市町村に対し、在支の機能や存在価値をアピールする資料として活用してもらうのがねらいだという。(以下略)
本紙の居宅介護支援事業所アンケートで恒例になっている介護保険業務支援ソフトの使用状況では、シェアが最も多かったのは昨年同様ワイズマンだった。ソフトへの満足度は五八パーセント。来年四月からの制度見直しで「買い替え予定がある」は一割あり、今後のシェア変動も予想される。
ソフトランキングは本紙が毎年実施する全国の居宅介護支援事業所アンケートの恒例だ。最終的に一五一四事業所から回答が寄せられた。(アンケート本文は前号で既報)
これによると、業務ソフトの使用率は八五・五%。満足度は「満足」「やや満足」とあわせて五八%で毎年、少しずつ上昇している。
ソフトランキングでは上位一〇社の顔ぶれは昨年とほとんど変わらない。初のランクインは一〇位の「ユニコン」のみだが、続く企業との差は少ない。トップ一〇の企業のシェア率の合計は約六割。多種多様なソフトが使用されている状況が続いている。
トップのワイズマンは昨年と同じ。昨年は大幅にシェアアップして三位になったウェルネスケアのケアマネくんがさらに一つランクをあげて二位になった。トップスリーの満足度を比較してみると、七一%から四九%まで大きな開きがあったのが興味深い点だ。
満足、不満足の理由をさらに分析するために「サポート体制」「機能」「使い勝手」「価格」の四項目について理由をさらに細かく尋ねた。
サポート体制では、「よい」五四%、「よくない」一八%。
使い勝手では、「よい」三九%、「よくない」二五%。
機能は「十分」三五%、「不十分」三九%。
価格は「高すぎる」三六%と「適当」三五%が拮抗するかたちだ。
相対的に評価が高かったのは、サポート体制。最も多くの事業所が不満をもっているのは「機能」と「価格」といえそうだ。PDFはこちらからご覧になれます。PDFはこちらから(以下略
厚生労働省は十六日、社会保障審議会介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム(WT)を開き、新予防給付の予防訪問介護サービスについて報酬体系の案を示した。現行の時間単位での報酬設定は、長時間のサービス提供になるほど報酬が増えることから利用者自身ができることもヘルパーが代行してしまいがちであるなどとして、@月単位の定額払い、A掃除や洗濯など行為ごとの定額払い、B一定期間以上で報酬を逓減する\\の三案を示した。身体介護、生活援助の区分も一本化する方針だ。通院介助は廃止の可能性が高い。自立支援の観点から、特にヘルパーによる家事サービスの提供をできるだけ限定したい考えだが、包括化しても漫然とサービスが行われるのをどう防ぐか、生活機能の向上をきちんと評価できるのかなど具体化に向けては課題も多い。本人のできることを増やしていくサービスが利用者や事業者にも定着するためには、報酬設計だけでは解決できない問題もある。WTは三十日に取りまとめを行う予定だ。
身体介護と生活援助の一本化も
同WTでは、新予防給付の報酬骨格について、軽度者の利用が特に多い通所、訪問介護を先行して重点的に議論し、今月中にとりまとめを行うとしている。
現行の介護報酬は「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の三類型。「身体介護」、「生活援助」については時間単位の評価とし、「通院等乗降介助」は一回あたりの定額払いとなっている。しかし、現行では要支援の八割超、要介護1で六割近くを「生活援助」の利用が占めており、一回あたりの利用時間も「一時間半以上二時間未満」の比較的長時間が三割程度となっている実態がある。
このため、同省では現行の時間単位の報酬設定は、時間が長いほど報酬が増えるため長時間サービスを誘引しやすく、ヘルパーの代行になりがちであるなどとして、予防訪問介護では時間単位の評価はしない方針を示した。
その上で考えられる報酬設定のあり方として、@月単位での定額払い、A掃除、洗濯など行為ごとの定額払い、B一定期間で報酬を逓減していく、という三つの案を提示。逓減型は、予防給付のメーンである通所サービスの利用によって、居宅でできる生活行為が増えるというのが理由。いずれも不必要なサービス提供をけん制する効果はあるが、サービス提供に時間のかかる利用者が敬遠されたり、漫然とサービスが提供されるなどの課題もある。(以下略)
政府は十一日、二〇〇六年度予算の概算要求基準(シーリング)を閣議決定した。一般歳出の概算要求基準額は四七・五兆円で、前年度より約二〇〇〇億円増加。社会保障費では、年金・医療・介護等で約八〇〇〇億円の自然増となるところを五八〇〇億円増に抑えるとの上限が設定された。制度や施策の見直しで二二〇〇億円を圧縮する計算だ。要求・要望の期限は八月末日。
考え方としては、「改革の総仕上げ」に向け、〇五年度に引き続き歳出改革路線を堅持・強化する方針を打ち出した。主な中身として、@年金・医療等の経費を制度改革などにより約二二〇〇億円削減・合理化、Aその他経費を一体的に見直しメリハリをつける、B公務員定員の純減確保、総人件費の抑制、C一般行政経費の徹底的な見直し\\を挙げている。
具体的には、年金・医療等以外では、義務的経費一二・六兆円、裁量的経費二二〇〇億円減の六・七兆円、公共投資関係費二八〇〇億円減の八兆円の上限を設けた。(以下略)
介護予防マニュアルについてポイントを尋ねる第二回めは、「栄養改善」。主任研究者の杉山みち子神奈川県立保健福祉大学教授は、高齢者の要介護状態と低栄養(たんぱく質やエネルギー量が欠乏した状態)の関連について長年調査研究を続けてきた第一人者だ。介護予防の観点から栄養改善に取り組む上で最も重要なのは、「食べる楽しみ」を通じて高齢者本人が生きる意欲を持てるようにしていくことだと話す。管理栄養士が中心となって行う栄養ケア・マネジメントも、従来の食事制限などの指導とは違い、「相談」を基本に個別の栄養ケア計画を組み立てていく。そのプロセスには多職種が協働で取り組んでいく視点が欠かせないという。
――栄養改善は要介護状態を予防する上でなぜ重要なのでしょうか。
「人が生命を維持し、日常の生活を営んでいくためには、生存するためのたんぱく質と活動するためのエネルギーを食事として十分に摂取することが基本となります。それが筋肉や内臓をつくり、身体機能や免疫機能の維持・向上につながるからです。結果として感染症や褥瘡の予防なども含めて要介護状態への移行を予防することになります。高齢者の場合は口腔や摂食・嚥下の機能の低下、発熱などのほか、身近な人の死などによっても食欲が低下したり、買い物や食事づくりが困難になってしまいやすい。習慣的な食事摂取量が低下してたんぱく質やエネルギーが欠乏した″低栄養状態″に陥るリスクが高いのです。
十分に口から食べることを通じて、低栄養状態にならないようにするとともに、早期に発見・改善することは、要介護状態を予防するベースとなるものです」
――従来の栄養食事指導とは違うのでしょうか。
「従来の栄養食事指導は、生活習慣病の予防と重症化予防を目的に、減塩やエネルギーを制限するなどの指導が中心です。一方でそれは″食べる楽しみ″を制限するものになりがちな面もありました。
私たちは九五年から介護施設などで高齢者の栄養状態について調査研究を続けてきましたが、低栄養状態の国際的な指標を下回る高齢者は、要介護者の三〜四割、要支援者で一割程度いると考えられました。つまり、高齢者に対して従来の生活習慣病対策による栄養指導を当てはめたのでは、明らかに痩せた高齢者が食べ過ぎを心配して食べることを控えてしまったり、減塩指導が行われるなどかえって栄養状態を悪化させ、要介護状態の引き金にもなりかねない場合もあります。
高齢者に対する介護予防の観点からの栄養改善は、こうした治療の一環としての食事指導ではなく、″食べる楽しみ″を通じて活動的に生きる基本となるエネルギー、たんぱく質を食事として十分に摂取してもらうとともに、その人の生活意欲を向上させ、生き生きと暮らしてもらうのがこのサービスの最も重要な目的です。それには個別的な対応が非常に重要になります。具体的に実践していくために栄養ケア・マネジメントという新たな体制づくりを提案しました」(以下略)
厚生労働省は先月二十六日付けで、医師法等で禁止されている「医療行為」の解釈について通知した。体温や血圧測定、つめ切りなど一一の行為は「医行為には該当しない」として、ホームヘルパーなどが行うことを認めた内容だ。しかし、これらについて実際に講義と実技による研修を現役のヘルパーに対して実施したところ、研修後には″ヘルパーの業務にできる″と考える割合が減少したとする研究結果がこのほど明らかになった。調査を行った八戸大学の篠崎良勝講師らは、「生活行為の延長という視点から介護職にも容易にできると認識されていた行為が、正確な知識や手法等を学ぶことで業務として提供することができるとは言い切れなくなった結果」だとしており、今回国が通知を出したことで違法行為に当たらなくなったとしても、専門職の業務として行うには講義や実習などの研修が必要だと提起している。
研究は、講義と実技による研修を用いることで、医療行為に対するヘルパーの意識変容を明らかにするのが目的だ。被験者(受講者)は東京・神奈川のヘルパーや施設介護職五一人。訪問看護ステーションで管理者などを務める看護師四人が講師となり、二○○四年十月〜十二月にかけ、一回二時間ずつ全八回の研修を実施した。研修で取り上げた行為は、@つめ切り、A座薬、B浣腸、C血圧測定、D軟膏(外用薬)の塗布、E検温、F点眼、G服薬管理、の八種類。講義では人体のメカニズムについて詳細に説明し、それを踏まえて医療器具を用いた実技を行う形とした。(以下略)
とにかく利用者、家族に見直しについてきちんと説明してほしい――。本紙が七月末に全国の居宅介護支援事業所に行ったアンケート調査では、情報不足で右往左往する現場の実態が浮かび上がった。十月からは在宅でも自己負担があがるが、その対応はやっとこれから。四月の見直しでは軽度の利用者が、新予防給付に移行し、サービスが見直されるが、細部が決まっていないことを理由に利用者に対する説明を行っておらず、不安を増幅している状況が浮かびあがった。予防の要となる地域包括支援センターの設置方針も六割の事業所は行政から聞いておらずケアマネ自身も情報不足に頭を抱えている状況だ。この状況を放置すれば導入にあたっての混乱は避けられそうもない。
アンケートは、七月末に全国約三万カ所の居宅介護支援事業所を対象に実施した。有効回答は、一二一五件で、延べ利用者数では一○万七〇〇〇人。
回答事業所を事業主体別にみると、最も多いのが営利法人で四四・三%。社会福祉法人二四・七%、医療法人二四・七%、NPO法人が四%と続く。
在宅でも10月から負担増
最初の質問は、十月からの介護保険施設の食住費の自己負担化に関するもの。七月中旬には、社会保障審議会で新しい施設報酬の答申が行われ、たびたびマスコミでも報道された旬のテーマだ。しかし、これに伴い、在宅サービスでもデイ、ショートステイの利用料が引き上げになることは一般には分かりにくい点だ。この点について、居宅介護支援事業所でケアプランを担当している利用者が知っていると思うかどうかたずねたところ、「知っている」三五%、「大体知っていると思う」三〇%。導入までに三カ月を切っているのに、残り三五%は知らないというのは気になるところだ。
「デイも食費が上がるというのは初耳。市町村も知っているかどうか」(滋賀県社会福祉法人)
制度の変更をケアマネジャーが説明しなければならないところだがこれでは心細い。施設同様にショートステイにも低所得者の利用軽減策があることについては「知らない」が一割もあった。
「デイの食事提供費の減額分三九〇円を全額もらうと、食材料費とあわせて七四〇円で負担が重い。全額もらうか検討中」(埼玉県営利法人)
「料金設定が決まっておらず、利用者・家族には身に迫った不安になっていない」(千葉県医療法人)
「負担が増えることを利用者に具体的に説明できないで困っている」(千葉県社会福祉法人)
新しい報酬をみて、事業所も十月からの新しい利用額をどうするか考え始めたばかりの時期にあたり、いくら上がるかはこの時期になっても分からない。
「施設の食費の見直しで一五〇〇万円の減収。途方に暮れている」(神奈川県社会福祉法人)
事業所側としてもようやく食住費徴収の「実感」が沸いてきたところといえるだろう。ケアマネであっても分からない人がいるのもムリはない。逆に言えば、担当するケアマネジャーの情報収集力が利用者にも大きく影響するといえる。
制度の変更を急ぎすぎる。その説明責任がケアマネジャーだけに押し付けられている。今回のアンケートに通底する現場の声だ。(以下略)
厚生労働省は、地域包括支援センターが行う新予防給付のケアマネジメント業務のうち、居宅介護支援事業所に委託できる範囲を明らかにした。五日に開いた全国介護保険担当課長会議で示した。利用者との契約、報酬の請求はセンターが行うが、アセスメントの実施から、介護予防サービス計画の原案作成、評価、給付管理業務までケアマネジメント業務の基本的な部分は委託可能だ。計画の原案の作成時や評価の後などセンターからチェックを受けることになる。地域包括支援センターが居宅介護支援事業所の「お目付け役」になる構図だが、利用者からは契約先の包括支援センターの役割は見えにくい。市町村の責任を明確にするとして創設された地域包括支援センターだが、センターも、予防プランも委託とした場合、責任の所在が曖昧になる可能性が高い。 (関連記事3面)
指定介護予防事業者の指定は法律上、地域包括支援センターしか受けられないが、居宅介護支援事業所に委託できることとされている。
業務がどこまで委託できるかは市町村にとって、包括支援センターの運営形式、設置箇所数を決定する上でのポイントとなり、自治体からの照会に答えた形だ。
今回、委託できるとして示されたのは、新予防給付の対象者に対するアセスメントの実施から、給付管理業務まで従来のケアマネジメント業務のほとんどにあたる。あくまでも責任主体は包括支援センターで、利用者との契約は包括支援センターが行い、その後、センターから委託を行う。
丸投げにならないよう、計画の原案を作成した時にはチェックを受けるほか、三〜六カ月で予防事業の効果を評価した後には、今後の方針について必要な助言や指導を受けることが求められる。書類の様式もこれに応じたかたちとなる。(以下略)
東京都高齢者研究・福祉振興財団は八日の東京都福祉サービス第三者評価検討会で、九月から第三者評価事業を開始する有料老人ホームや福祉用具貸与事業など一三サービスについて項目や評価手法などを決定した。今回の追加で五八サービスとなり当初予定していた福祉サービスを網羅する形だ。
追加の一三サービスは訪問入浴介護、特定施設入所者生活介護、福祉用具貸与、訪問看護、児童居宅介護、児童デイ、児童短期入所、ろうあ児施設、第二種自閉症施設、難聴幼児通園施設、精神障害者地域生活支援センター、精神障害者グループホーム、更正施設、宿所提供施設。
東京都福祉サービス第三者評価は利用者の福祉サービス選択の情報提供と事業者のサービスの質向上を目的に二〇〇三年度から本格実施した制度。調査方法は事業者へのアンケート調査と利用者への聞き取り調査が基本。同財団が認定した評価認定機関が評価を行い結果をホームページで公開する。
事業所のアンケート調査では、職員と経営層の調査があり、評価する項目ごとにできているべきものを標準項目として設定。標準項目全てを満たしていればA、一つでもできていないものがあればB、まったくできていなければC評価とし、標準の項目を満たした上での各事業所の工夫は促進項目として、これができていれば、A+とする。今年四月から採用した四段階の評価手法を使っている。(以下略)
全国老人保健施設協会(全老健・漆原彰会長)はこのほど、来年度に予定されている介護報酬の改定についての要望事項をまとめた。在宅復帰の目的が明確な一定期間の入所利用やリハビリに対する重点的な評価をはじめ、施設内で対応できない専門医療にかかる医療費を包括外とすることなど四項目が柱だ。特に医療に関しては、専門医療の必要な利用者が増えていることもあって常勤医師だけでは対応し切れず、「他科受診」による施設側の持ち出しが多くなっているため、現行の包括払いの見直しが必要だと強く求めている。
老人保健施設に対する介護報酬は特別養護老人ホームなどと同様に経営実態調査結果の経常利益をもとに設定されている。この中には療養上で必要な医療費も包括化されており、それ以外に算定できるのは救急救命が必要になった場合の応急処置など「緊急時治養管理費」と、皮膚科、眼科などの専門外来の「特定治療費」のみ。施設内で対応するのが原則だ。
これに対して全老健では、「通常の診療技術や見識では診断や処置の難しい専門診療が必要な利用者が年々増えており、薬剤費も含め他科受診による施設経営の負担は大きくなっている」としており、専門処置や一定水準以上の高額な薬剤などは包括外とすること、感染予防の観点からも入所時や年一回程度の検査費用については包括外と位置付けることを求めた。(以下略)
七月下旬までに運動器の向上から閉じこもり、うつ予防まで六種類のマニュアル案が各研究班によりまとめられている。内容は介護予防サービス実施にあたっての基準に反映される予定で利用者、事業者の今後に大きなかかわりがある。ポイントを各担当者に尋ねるシリーズの第一回目は「運動器の機能向上」について。大渕修一東京都老人総合研究所介護予防緊急対策室長に聞いた。なお、マニュアルは三十一日までパブリックコメントを実施中だ。
――マニュアルのポイントは。
「介護予防として『運動器の機能向上』に取り組むにあたっての基本的な考え方、事業の進め方をまとめました。マシンを使った筋力トレーニングや体操などの具体的な手法については触れていません。科学的に有効性が検証されている手法でも、地域特性を加味してアレンジしなければ、定着は難しい。ですから、個別のマニュアルは、サービスを実施する市町村や事業者がつくっていくべきものという考えです。
運動器の機能向上を通じて、社会的・心理的にも好ましい影響を与え、最終的に高齢者のQOLを高めることを事業の目標とすることを打ち出しているのが最大のポイントです。握力、片足立ち、歩行時間などが運動機能が向上したかどうかを評価する客観的指標となりますが、それ自体が目標ではありません。
個別の実施計画をつくる場合も、友人と散歩を楽しみたいとか、孫と公園で遊びたいなど生活上の希望を洗い出した上で、それができるようになるために三カ月で到達できる機能向上の目標を設定することとしています。
新・予防給付は個別プログラムで現行の通所事業の人員体制で無理なく対応できることが基本。地域支援事業では、新・予防給付よりも軽度の方の集団プログラムとして整理しています。これまで東京都などで取り組んできた予防事業の経験を踏まえ、現場ですぐに役立つようできるだけコンパクトにまとめたつもりです」
――モデル事業では、ケガなどのリスクも指摘されています。
「マニュアルでは、対象から除外すべき人の要件や事故への対応など安全管理体制をマニュアルに定めることや事前アセスメントで、看護職などの医療職が身体状況を評価するよう求めています。ただ、基本的にはサービスの利用を始める前の段階の認定、包括支援センター、ケアマネジャーの一次マネジメントの段階で利用の適否をふるい分けていることが前提になります」
――具体的にどうしたらQOLの向上につなげることができるますか。
「現実の高齢者は半年前にできたことができなくなる、知人・友人がなくなっていくなど『喪失』の体験が日常で、何事もあきらめてしまいがちです。そういう方々に、自分の意思でとり組んでもらうようにするには、少しずつでも「できる」体験を積み重ねていってもらうことがカギになります。
具体的には、三カ月の事業期間で到達できる運動機能の向上の目標を設定した上で、さらに一カ月毎の到達目標を決めて、ステップアップしなが進めるやり方を提示しました。
つまり、「できた」「できた」でステップアップしていく進め方です。重りが一キロあげられるようになった、階段の上り下りが楽になったなど参加者にとって、目標はできるだけ身近で、具体的でわかりやすい行動がいい。最近では八五歳以上になっても、積極的な介入で生活機能が向上が期待できるとしている研究もあります。プログラムの特性を現場で十分生かして効果をあげてもらいたいと思います。マニュアルには、行動心理学的な側面から利用者の意識や意欲を高めるためのハウツーも盛り込んでいますので参考にして下さい」
――プログラムに取り組もうと思うかどうかがまず問題になるのでは。(以下略)
高齢社会をよくする女性の会代表 樋口恵子代表に聞く
高齢社会をよくする女性の会(東京都新宿区、03・3356・3564)は「高齢女性の就労についての調査研究」を行った。少子高齢化が進む中で、高齢者も働いて社会の担い手になることが期待されているが、こと「女性」については今まで調査の対象にもされてこなかった。このまま少子高齢化が進むと、二○五○年には、日本の全人口の四分の一が「六五歳以上女性」。調査は「おばあさんの時代」に向けて一石を投じたかたちだ。同会は調査結果をもとに八月二十八日に「働くおばあさんが未来を変える!」をテーマにシンポジウムを開催するなどし、さらに意見集約を行い行政にも働きかけていく方針だ。樋口恵子代表に聞いた。(聞き手=田中知滋)
――なぜ、女性の就労ですか。
「これまでも高齢期の就労問題は、定年延長をはじめ多くの論議が行われていますが、基本的に男性を中心に語られてきました。
しかし実際には、女性は高齢人口の約六割を占める多数派で、高齢者の一人暮らしの八割。その上、短期コマ切れ就労、低賃金、低職位の結果として、厚生年金の受給額は男性二○万円に対して女性一一万円。
女性は老後の収入も資産も少ない、にもかかわらず老いを生きる時間は長いのです。働かざるを得ないという状況もあります。
二○五○年、社会保障・人口問題研究所の推計に基づくと日本の全人口の四分の一が六五歳以上の『おばあさん』の社会になります。高齢女性がリッチかプアか。健康か不健康か。自立して生活しているか、依存的か、蓄えがあるかないかの影響が社会に大きく出てきます。社会全体に与えるおばあさんの影響が、はかり知れないほど大きくなる時代が訪れようとしています。高齢女性の貧富の状況と社会参加の動向は、日本社会をくつがえすぐらいの大問題と思っています」
――調査結果はどうでしたか。
「高齢社会をよくする女性の会の会員を中心としたグループが対象のためでもありますが、仕事を持つ高齢女性が、前向きで多様な生き方を実践している様子を見て勇気づけられました。もっと経済的困難から働いているというデータがでるかなと思いましたが、社会にかかわっていたい、という意欲の部分が大きいことが明らかになりました。何か自分の力を生かしたい、人とつながっていたい。自分の力を伸ばしたい。人の役に立ちたいという思いがいつになっても強いんですね。
例えば、六二歳で、ボランティア活動から介護保険事業所に勤めている女性は、姑の介護と孫の保育をこなしながら、月に一六万円を稼いでいます。家族と社会を支える『働くおばあさん』。なんとまあ女は強いものかと思います」
――今後の取り組みは。
「行政には、実態を明らかにした上で、女性にとっての就労の窓口、相談したり、再就職の世話をしたりする場を作ってほしい。自治体が率先して一定割合の高齢者を雇用すること。能力開発だけでなく、就労に関する意識を高める研修を行うことも必要ですね。
また、家事、育児、介護など女性が経験してきたことを社会に活用できるよう、NPO団体などを援助することを求めていきます。さらに企業に対しては、年金の受給年齢の引き上げに伴う定年延長や再雇用の制度作り、年齢差別撤廃、女性に多様な働く場を提供するためのワークシェアリングの実現などを求めていくつもりです。(以下略)
介護保険の見直しで創設される新予防給付の介護報酬のたたき台をつくる社会保障審議会介護予防ワーキングチーム(WT)は二日、介護予防通所サービスの介護報酬のあり方について議論した。これまでの通所サービスは、利用時間に応じて報酬が支払われる仕組みだが、新予防給付では、新たに追加される運動器の機能向上など選択サービスごとの包括払い(月単位の定額払い)に変更し、併せて、漫然とサービスが行われることを防止し、自立支援に向けての本人、事業者のインセンティブをつけるために目標を達成したと客観的に判断できる場合は報酬で評価する成功報酬も導入する。ただ、何を目標達成の目安とするかや、報酬の支払い方法など具体化に向けては課題も多い。
新予防給付には一七種類のメニューがあるが、介護予防ワーキングチームでは、軽度者の利用が特に多い通所、訪問介護の報酬の見直しについて重点的に議論し、八月中に中間とりまとめを行う予定だ。
介護予防通所介護と介護予防通所リハビリテーションは、通所中心とされる予防給付の中核的なメニューとなる。新たに「運動器の機能向上」「口腔ケア」「栄養改善」の三メニューを追加。目標を設定し、三〜六カ月の単位で達成したかどうかをチェックしていくなどプログラムの進め方はすでに示されている。介護報酬をどう設計するかがWTのテーマだ。
厚生労働省は二日、新たな報酬の構造と報酬設定上の具体的な論点を示した。
新たなサービスの基本構造は、共通サービスと選択サービスの二階建て。共通サービスには、計画立案や事前の健康チェック、モニタリングなど目標とする生活機能の向上をサポートする「生活行為向上支援」(仮称)を新たに位置づける。従来は加算で評価していた入浴や、送迎を特別扱いせずに共通サービスとするかは課題の一つだ。通所リハでは、リハビリテーションの実施を義務付けることで通所介護との差別化を図る。
選択サービスは、介護予防の新たな三メニューのほか、通所介護ではアクティビティも位置づけられた。国会で軽度者に対しても望めば従来のようなサービスが利用できるよう求められたことによる。
新しい報酬は、新しい基本構造をベースに設定される。具体的には、これまでは利用時間で設定してきた報酬を選択メニューごとの包括払い(月単位の定額払い)とする方向だ。(以下略)
厚生労働省は七月二十九日、中長期的な医療費抑制策として、健診受診率や平均在院日数の短縮化、終末期医療の削減などについて二〇一五年度以降の目標値を掲げた案を社会保障審議会医療保険部会に示した。健診受診率を今後一〇年間で九割に引き上げ、平均在院日数を三〇日以下に短縮、在宅での死亡割合を約四割に引き上げた場合、二〇一五年度に給付費は二・八兆円削減できると試算している。今年六月に閣議決定した骨太の方針で「医療費適正化の実質的な成果を目指す政策目標を設定する」と示されたのを受けた案。同省としては経済財政諮問会議の民間議員などが主張している社会保障費の総額管理は避けたい考えだ。
医療費適正化の方策として、生活習慣病対策、医療・介護の連携による平均在院日数の短縮化、終末期医療のあり方の三つの観点から目標値を設定した。
生活習慣病は〇二年度時点で、国民医療費の三割を占め、死亡数では約六割を占める状況。成果目標として、糖尿病発生率を今後一〇年で二割改善、脳卒中発生率を同様に二五%改善するとし、実現のために現状六割の二〇歳以上の健診受診率を九割に引き上げ、糖尿病予備軍の健診後の保健指導実施率を七割から九割に引き上げるとした。これにより、二〇一五年度には一・三兆円、二五年度には二・四兆円の給付費削減を見込む。(以下略)
六月二十二日に開催された参議院本会議において、介護保険制度改革関連法が賛成多数で可決し、成立した。新しい介護保険制度は、制度発足後五年が経過し、制度の基本理念である高齢者の自立支援、尊厳の保持を基本としながら、制度の持続可能性を高めていくため、予防重視型システムへの転換や新たなサービス体系の確立などを骨格としている。
新しい介護保険法においては、さまざまな新しい制度が創設されたが、そのひとつが、小論のテーマである「地域包括支援センター」である。
この言葉が初めて使われたのは、私が知る限り、昨年七月三十日に社会保障審議会の介護保険部会がとりまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」である。
これによると、地域包括支援センターは、介護給付、新予防給付、生活支援サービス、高齢者に対する情報提供、地域のマネジメント機関の支援といった、地域における総合的なマネジメントを担う中核機関として位置づけられ、介護保険制度のみならず、地域における高齢者の生活を支援し、地域に安心を保障する、これからの最重要機関とされている。
しかしながら、その対象とする圏域や具備すべき機能、配置のあり方等については、今後の検討課題とされていた。
在宅介護支援のあり方検討から出発
ちょうどその頃、本県では、二〇〇三年度に、岡山県在宅介護支援センター協議会との協働により作成した地域ケア会議岡山モデル\その機能と役割\\について、在宅介護支援センターの委託元である市町村を対象とする説明会を県内各地域で開催するなどして、浸透を図っていたところであった。
この地域ケア会議岡山モデルは、@「支援を必要とする人」に対するニーズキャッチのシステムと支援のシステムをドッキングさせた、A地域性を踏まえ、「三つのモデル」を作成した(大都市部、中規模市町部、小規模町村部)、B資源を利用するだけでなく、必要な資源を作っていくための「社会資源開発会議」を設置した。
市町村の規模ごとに、詳細に、在宅介護支援センターや地域ケア会議、地域ケアシステムの構築等について、あるべき姿を明らかにしたものである。
地域包括支援センターにおいても、応用できる考え方であり、地域包括支援センターの具体的中身づくりに関して、市町村の果たすべき役割が期待されていると考えた。
介護保険制度改革により、ますます重要性が増し、機能が強化された市町村であるが、本県では、昨年九月末に七八あった市町村数は、現在、三四になり、来年三月末には二九にまで減少するなど、市町村合併が進行中であった。(以下略)
十月からのホテルコスト徴収に伴う、介護報酬の減額が先月十五日に決定した。「改定額を見た時にやめたくなった」と話すのは、静岡県内の個室ユニット型の単独ショートステイ施設「まはえ」の施設長の横山源太さんだ。減額幅は個室ユニット型の施設で最も大きく、ショートステイだけの小さな施設はさらに厳しい。役所の「想定外」の施設を直撃したかたちだ。
ショートステイまはえは、静岡市街から車で二○分程度。安倍川を渡った山の間にあり周りには茶畑が広がっている。「まはえ」とは沖縄の言葉で「真南風」。平屋建ての小さい施設で、定員一〇人の二ユニット。ショートステイは施設併設が前提で、単独で民間が事業化しているケースは全国的にも少数だ。
窓が大きくとられているので内部は明るく広々とした印象だ。Tシャツ、ジーパンのラフな姿の男性が二十八歳の施設長、横山さんだ。若くて活発な施設長の影響か、自由で明るい雰囲気。
利用者が部屋で休んだり、コミュニティルームに集まってくつろいだり、思い思いの時間を過ごしている。午後には毎日違ったレクリエーションが催され、利用者が部屋に閉じこもりきりにならないようにしている。ただ寝に来るだけではなく、滞在を楽しんでもらうことが運営の方針だ。
スタートから二年になろうとする今では月一〇〇人が利用する。リピート率も高く、ケアマネジャーに「是非、まはえさんで」との声もかかるという。
「改定額を見た時にはもうやめるしかないと思いました」(横山施設長)
単独型のユニット個室のショートステイの十月からの報酬は、要支援から要介護5まで介護給付費が一律二七七単位がカットされる。一日一人約二七七〇円。月額にして一人当たりの減額幅が八万三一〇〇円、二○人で約一六六万円、一年では約一九九二万円になる。今は室料をとっていない多床室や個室なら減額分は利用者負担でカバーできるが、すでに室料をとっているユニット型個室では挽回は難しいのが実情だ。(以下略)
近年、震災や台風による水害などが多発している中、被災後に介護を必要とする高齢者や障害者などへのサポート体制をどう構築するかが、介護・福祉サービス提供事業者にとって共通の課題となっている。これまでは、被災地の外から専門職やボランティアなどが支援に駆けつけるのが一般的だったが、もともと被災地域の情報が乏しいこともあって効果的なサポートに結びつかない場合も少なくない。仮設住宅で暮らしている間の精神的なサポートも必要だ。こうした実情を踏まえ、被災した地域に対する効果的な支援体制の構築を目指す新たなネットワークがこのほど立ち上がることになった。
ネットワークの名称は「災害福祉広域ネットワーク・サンダーバード」(仮称)。設立のきっかけとなったのは、昨年秋に発生した中越地震で被災者への支援に効果を上げた高齢者総合ケアサンターこぶし園(新潟県長岡市、小山剛園長)の実践にある。
こぶし園では、特養ホームを運営する傍ら、三年ほど前からバリアフリー住宅と在宅サービスの提供拠点を組み合わせた「サポートセンター」の運営を行っている。デイサービスや訪問介護・看護、配食サービスを二四時間・三六五日切れ目なく提供することで、高齢者が住みなれた場所を離れたり、施設に入所しなくても生活することが可能となるようにするのが目的だ。
中越地震の際には、三割が高齢者となった仮設住宅の敷地内にもこのサポートセンターを設置。必要な介護サービスを仮設住宅の高齢者に提供するとともに、デイサービスがコミュニティづくりの機能も果たし、仮設で暮らしながらも高齢者が体力と生活意欲を維持し続けることができたという効果を上げた。
この取り組みに着目した県内外の福祉関係者が呼びかけ人となり、こぶし園のサポートセンターの取り組みをどこの地域で災害が起きても実現可能となるシステムとして構築するのが、サンダーバードの目的だ。
設立準備委員会の事務局を務める健康の駅とうきょうの平田智子さんによると、具体的には、お風呂やトイレなどの設備と介護サービスを提供する人材をパッケージ化して被災地に迅速に届ける仕組みを考えているという。ネットワークがサービス提供者など人材の手配を行い、設備の保管・運搬は自衛隊や運送会社などの地域資源の協力によって行う。いわば、移動型のサポートセンターだ。(以下略)
厚生労働省は、二○○六年度から現行のヘルパー研修を見直した「介護職員基礎研修」を導入する。具体的な研修体系や運営のあり方を検討していた同省の研究会(座長・堀田力さわやか福祉財団理事長)がこのほど、講義・演習三六○時間、実習一四○時間の合計五○○時間とする研修カリキュラムをまとめた。在宅・施設を問わず、新たに介護サービスに従事しようとする場合には受講が義務付けられることになる。すでにヘルパー資格を持っている人や無資格の施設職員などについては受講科目を免除する措置を設けて受講を促す。報告書では、研修の質が確保されるよう、修了時の評価を行うことや研修機関に対する教育も必要と指摘。年度内の最終報告でガイドラインを示すとしている。
現行のヘルパー研修に代わる基礎研修の導入は、将来的に介護職員に国家資格である介護福祉士資格を義務付けるための移行策の位置付けだ。同研究会では、昨年度から資格取得前後を含む介護職の生涯研修体系について検討しており、昨年十一月に取りまとめた第一次中間報告の中で、介護福祉士の資格を持たないヘルパーのレベルアップと新規就業者の就業要件とするために、施設・在宅共通の基礎研修の創設を提案していた。
今回まとめられた第二次中間報告では具体的な研修カリキュラムを提示。現行の一・二級研修の内容をベースにしているが、これまでバラバラだった講義・演習を一体的に学習できるよう一科目あたりの標準研修時間を三○時間とし、コミュニケーションや介護技術の修得に重点を置いて九○時間に拡充するなど大幅な見直しだ。「ソーシャルワーク」「生活支援とアセスメント」「認知症の理解」「医療との連携」の四科目は、個別ケアの実施能力の向上を目的に、新たに追加する。
さらに実習も従来の三○時間から一四○時間に大幅拡充。施設で十日間、通所・小規模多機能事業所、訪問介護事業所でそれぞれ五日間程度とし、さらに介護保険事業所以外のNPOや社協など地域の社会資源の訪問も半日程度行う。一日八時間めいっぱい行ったとしても二週間以上はかかる日程だ。
新規就業者にはこの五○○時間が義務付けとなるが、すでにヘルパー資格を持つ現任者には、二級カリキュラムで足りない科目を追加で受講する措置を設けた。追加受講時間は一年以上の実務経験があるヘルパー二級者で一五二時間、実習は免除する。実務経験のないヘルパー二級者は三二○時間だ。また、施設職員など無資格で就業している介護職については、実務経験一年以上であれば実習は免除するが、それ以外は新たに全カリキュラムを受講する。いずれにしても無資格者の場合は、導入から一定期間内に基礎研修を受講することが必要とした。(以下略)
厚生労働省はこのほど、中央社会保険医療協議会の総会に〇六年度からの診療報酬改定に向けたスケジュール案と検討項目例を示した。中医協改革の報告を反映させ、独占的に報酬決定を行わないようにする。来年一月に厚生労働相が諮問を行った後、報酬点数の改定案について国民からの意見も募集。二〜三月に改定案を答申する予定だ。 これまで中医協の役割だった報酬改定の基本方針決定は、社会保障審議会の医療保険部会、医療部会に移され、同部会が九〜十一月に審議、策定する。 十〜十二月には、診療報酬の改定率について、中医協が医療経済実態調査結果の報告を基に議論し、必要に応じて大臣に意見提出。決定は十二月末の予算編成過程で内閣府が行う。この改定率を踏まえて、来年一月に厚生労働相が中医協に対し、基本方針に基づく点数改定案の調査・審議を行うよう諮問。国民に対してパブリックコメントを行った上で、二〜三月に改定案を答申する予定だ。(以下略)
厚生労働省は七月二十日の介護予防サービス評価研究委員会(座長=井形昭弘名古屋学芸大学長)に、軽度の認定者が対象となる新・予防給付のアセスメント・ケアプランの雛形を提示した。今後、現場での検証を踏まえ、秋には確定する見込みだ。ここではその概要を紹介する。
予防システムは、主に認定非該当の高齢者を対象とする地域支援事業と新しい要支援者(現行の要支援1、要介護2の過半)を対象とする予防給付で構成される。
地域支援事業のアセスメントは、運動機能の低下や認知症やうつなどのリスクを調べる簡易なアセスメントが示されている。リスクの高い項目を解決するための簡易な予防プランを作成する。
予防給付のアセスメント・ケアプランは新予防給付アセスメント・ケアプラン等研究会(辻一郎東北大学大学院教授)が策定した。地域支援事業のプランと基本的な考え方は共通する部分もあるが、「生活行為が低下しはじめた状態の高齢者」に明確に焦点をあてている点が異なるといえる。生活行為を向上させることにより、自己実現を増進することを介護予防の目的とした。
暫定版として示されたのは二九項目のアセスメントと、現行のケアプランを見直し・拡充した第0表から「第6│2表」までの八枚の書式だ。
同省によると、考え方のポイントは、@本人主体の徹底、A生活主体、B包括的・継続的ケアの実現、C爾後評価の導入、などだ。
アセスメント表のタイトルは「得意なところ、強いところを一緒に探してみましょう」だ。本人、家族にもそれぞれにアセスメント表を渡し、文字通り一緒にアセスメントを進める。
「日常生活に必要なものを自分で買っているか」「家の掃除、ゴミ捨て洗濯を行っているか」などの二九項目はICF(国際生活機能分類)をもとに、日本の高齢者向けに練り直したものという。身体機能よりも社会的役割を問いかける内容が多い(以下略)
地域包括支援センターについて方針を決定していない自治体が多い中、滋賀県の近江八幡市は早くも全庁的な了承を得て、来年四月のスタートに向けた準備にとりかかっている。七万人の人口に対して直営方式で一カ所を設置。障害者に対してもマネジメントや相談を行う専門組織として位置づけ、予防と同時に地域づくりも進めていく考えだ。
近江八幡市は滋賀県の中央、琵琶湖沿いに位置する人口七万人の都市だ。新たに予防事業を担う地域包括支援センター(以下、包括センター)について、全国的に「様子見」「調整中」の市町村が多い中、早くから構想を打ち出し、六月には市長の了承を得るところまでこぎつけている。
設置するのは、直営で一カ所。基幹型在宅介護支援センターを再編して、現在福祉に関する相談などを受けている市総合福祉センターに置く。
包括センターの中に三つの中学校区ごとの担当チームと、全体を統括するチームを配置し、高齢者だけでなく障害者も含めた一元的なサポートを行うという独自の構想だ。全市に一八人いる保健師のうち半数以上が一堂に集まる「専門機関」となる。担当チームに地域づくりコーディネーター(社協職員)を置くのは、予防事業と地域づくりを両輪で進めていくため。インフォーマルサービスを地域で育て、介護保険にのみ頼らない地域力を再生するのがねらいだ。
現在は、基幹型在支は健康推進課に配置され、地域型は市内四カ所に設置されている。
しかし、総合福祉支援センターや関係各課のある市中心部にはどこからでも車で一五分という地理環境もあって、利用者は、「事業者」のイメージが強い地域型在支ではなく、総合福祉センターの窓口に相談を寄せることが多いという。地域型には公正中立の観点からの課題や、一人の職員で十分に対応できない面もあった。
「四人の専門職が集まれば五〜六人分の機能が発揮でき、住民に還元できると考えていました。それに、キャリアも職種もさまざまな人間が集まるほうがスキルアップも図りやすいのは確かです」と同市健康推進課の森村敬子副主幹は集約型のメリットを説明する。
保健と福祉のつながり奏功
かつて障害者のケースワークを担当したときに、「もっと継続的に、専門的に関われる体制が必要だ」と感じた。今回の包括支援センター制度化の話は、以前から描いていた青写真を具体化する後押しになった。(以下略)
どこで死ぬか、どのように死ぬか。超高齢化社会にあって死のあり方が政治や政策の場でも議論されるようになっている。尊厳死の法制化にまつわる動きも活発になっており、国は「終末期医療のあり方に関する指針」の作成を進めている。しかし、「高齢者などを死に追いやる内容」と真っ向から反対する声も小さくない。終末期をめぐる最近の動きについて紹介する。
六月初旬、日本尊厳死協会(井形昭弘理事長)は、「尊厳死」の法制化を求める請願書を衆参両院議長に提出した。集まった署名は一三万八○○○人分。今後は、衆議院の厚生労働委員会で法制化するかどうかが審議されるという。
実は同協会が法制化を求めるのは二度目。八三年に素案を作って国会に提出している。そのときの署名は今回の一○分の一の一万三○○人に過ぎず、結局「時期尚早」として審議未了となった。今回の請願は、二〇数年後の「復活戦」でもある。
国会では、昨年六月に法制化を推進する超党派の尊厳死法制化を考える議員連盟(会長=中山太郎衆院議員)が発足したのを皮切りに、与党や公明党でも懇話会などが開催されているが、こうした動きの核となってきたのが協会の主張や活動だ。
「尊厳死」とは、病気などで不治かつ末期の状態や植物状態に陥ったときに、延命治療を行わずに痛みを取り除きながら死を迎えることをいう。このような死を望む意思を示すのが「リビング・ウイル」という文書。@不治かつ末期と診断された場合はいたずらに死期を引き延ばす延命治療を拒否する、A苦痛を最大限に和らげる処置を希望する、B植物状態に陥ったときは生命維持措置を中止する――の三項目について署名をする。万一のときに示されれば、医師が「本人の意思」を尊重した医療を行ってくれるというものだ。
今年六月末時点の同協会会員、つまりリビング・ウイル登録者数は一〇万八〇〇〇人。会員の約八割は六五歳以上の高齢者で、女性が約三分の二を占めている。「介護の場面などで、意識もないまま人工呼吸器やカテーテルを挿入された状態で生きている親や家族の姿を目の当たりにして、『自分はそうした終末期は迎えたくはない』と感じリビング・ウイルを書く決意をされる方は多いようです」と井正文事務局長は話す。
文書には法的拘束力がないので、もっと厳格に「死の自己決定権」を保障しようというのが法制化の目的だ。
同協会が〇三年に作成した法律要綱案には、十五歳以上は延命措置を拒否する意思表示ができる、意思はあるが署名ができないときは主治医以外の医師を含む二人以上の立会人が署名捺印する、「末期の状態」は主治医を除く二人以上の医師の診断で確認する、末期にある者に医師が延命治療を控えたり停止しても民事上や刑事上の責任を問われない、持続的植物状態の場合も同様の取扱いをする――などが盛り込まれている。(以下略)
厚生労働省の介護予防サービス評価研究委員会(座長=井形昭弘名古屋学芸大学学長)は二十日、介護予防のプログラムの実施マニュアル、アセスメント表などについて検討した。軽度の認定者が対象になる新予防給付の概要が初めて示された。現行の通所サービスを見直して実施されるが、口腔機能の向上には、歯科衛生士の配置が必要とされるなど現場の実態とかい離は大きい。また、暫定版として示された新予防給付のアセスメント、計画書は三〇ページにも及ぶ内容だ。いずれも理想色が濃く、導入にあたっては現場での十分な検証が必要といえそうだ。
「暫定版」として示された新・予防給付のアセスメント、介護予防計画書は、「本人が意欲を持ち必要な支援を活用し、努力しながら積極的に実現をめざす生活」をめざす内容だ。
アセスメントは二九項目の生活行為に関するものだが、それぞれ現在しているかどうか、過去にしていたかどうかを訪ねた上で、「していない理由」「今後どうしたいか」を本人、家族のそれぞれに聞く。家族と本人の意向を区別しているのもポイントの一つだ。これらを調整し、目標となる「するようになる行為」を決定してケアプランを作成。「予防」というよりも、ケアマネジメントの原点といえる内容だが、計画書も含めると三〇ページ以上にも及び「簡素化が必要」と指摘された。来月から一〇〇カ所程度で行う「新予防給付ケアマネジメントモデル事業」の結果なども反映させ、十月中には確定する予定。地域支援事業のケアプランは別途、より簡素な方式とする。
「運動器の向上」「口腔機能の向上」など六つの予防プログラムのマニュアルも示された。それぞれについて専門家の配置が求められるなど生活を重視したアセスメントとは対照的に保健・医療職の濃い内容だ。(以下略)
全国知事会など地方六団体は十九日に行った代表者会議で、三位一体改革で国から地方へ税源移譲を求めるにあたって約一兆円の国庫補助負担金削減案を決定し、二十日に小泉首相に提出した。社会保障関係では、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金八六六億円、在宅福祉事業費補助金五九九億円などを優先して税源移譲すべきとしている。小泉政権後も改革を継続させるために、国と地方の協議の場の法制化を求める共同声明も合わせて提出した。
削減案では、〇六年度中に三兆円の税源移譲を確実に実施するよう要請。その際、優先的に税源移譲すべき補助金は、昨年八月に同団体が示した三兆二〇〇〇億円の削減リストの中から選別するよう求め、「地方の改革案にない補助負担率の切り下げ」や「税源移譲に結びつかない補助金等の廃止・縮減」などを改革に含めることをけん制した。特に、昨年度の協議の過程で突如国側から浮上した生活保護費負担金の国庫負担率引き下げについては、「地方への負担転嫁であり、絶対に移譲の対象としてはならない」と釘をさした。具体的な移譲対象リストとしては、社会保障、文教・科学振興、環境など六二項目九九七三億円をあげた。
また、従来と類似した補助金や交付金を創設することには、「国に権限と財源を残す上、地方の裁量を高める改革の意義を損ねる」と批判。今年度から施設整備の補助金の代わりに創設された「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金」も、項目にあげている。(以下略)
社会保障審議会は十五日、十月からの介護保険施設での食住費を保険給付からはずして自己負担とするのに伴う報酬の改定について原案通りに了承した。新たな報酬では特養の従来型個室の扱いについて基準額、報酬の減額幅を五万円から三万五〇〇〇円に圧縮するなど水面下で譲歩を引き出したかたちだ。しかし、居住費の設定を療養環境別に四段階としたことで、介護報酬上では多床室が最も高くなる矛盾はそのままとなった。導入までに時間がないことから、答申では、この問題を来年四月の報酬改定の宿題とし、暫定版として当面の報酬額の確定を急いだかたちだ。答申では、円滑な導入に向け厚生労働省が保険者と協力し十分な支援を行うことを求めている。
◇ ◇
ホテルコストの設定は、ユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室、多床室の四段階。利用者からみると療養環境の高いほうが自己負担が多くなる仕組み。自己負担化した分を機械的に減額して報酬設定をするために負担の低い多床室で最も報酬が高くなる点に批判が集中した。
食事提供費は全額が自己負担になり、年間で給付費三〇〇〇億円(マイナス五%)、一人当たり保険料二〇〇円の減額が見込めると試算している。
最終的に争点になったのは、従来型個室の扱いだ。月額五万円が自己負担化されるとされていたが、特別養護老人ホームは建設費に補助金が投入されており、五万円では取りすぎとなることが施設側から指摘されていた。また、老人保健施設では、個室の回転率が計算上よりも低くなってきていることからその分を報酬に上乗せすることが求められていた。
最終的には特養ホームでは、補助金分を一万五〇〇〇円として月額基準額は三万五〇〇〇円に。老健では、稼働率を八〇%と見積もって報酬からの減額分が圧縮された。さらに、計算上、ホテルコストと食事提供費の両方でダブってさし引かれていた水道光熱費の月額五〇〇〇円分を報酬本体に戻すなど施設側の巻き返しが功を奏したかたちだ。
食事サービス提供費は全額廃止になり、基準額は予定通り月額で四万二〇〇〇円。栄養士などの配置は加算で評価する。
経口摂取への移行を評価する加算も創設されたが、嚥下機能の著しい低下を内視鏡などで評価する条件が設けられ、現場からみるとハードルの高い内容になった。
「ユニット型個室がなぜいいのか国民にも説明が不十分」「ユニット型個室の特養ホームにも共用部分に補助金が投入されているが、その分は勘案されない」「栄養士の加算が安すぎて人件費が確保できない」など施設側の不満は強い。(以下略)
来年度から導入される予防給付。現場の関心は筋トレや栄養改善など新しいサービスメニューに集中しているが、どんなに効果的なプログラムでも本人がやりたくなければそれまで。特に高齢者の場合は″その気″になってもらうのが難しいもの。山口県の夢のみずうみ村山口デイサービスセンターは、二○○一年の開設当初から口コミで利用者が増え続け、今では三五○人の登録者がいるほど人気のあるデイサービスだ。その日のプログラムもリハビリの目標設定も、すべて利用者本人が決めるのが基本。利用者主体というシンプルな原則にこだわった、心と身体を動かすリハビリが魅力の秘密だ。
「今日の午前中は『あんま』と『入浴』にしよう。お昼を食べたらちょっとだけ『昼寝』。その後は…」
「先週の花札は大負けしたから今日は取り返さないと。相手は誰かな」
朝の九時三○分を過ぎると、夢のみずうみ村のホールはまるでどこかの卸売り市場に来たかのような賑わいぶりだ。片まひで杖をついた人や車いすの人。子どもから高齢者まで、一○○名近くの利用者がみんな手にマグネットを握り締め、自分の名前の書かれたボードの前に押し寄せる。
「マグネットには一つずつ、ここで行うプログラムのメニューが書いてあります。それを選んで貼り付けることで日課を組み立てているんですよ」
これが朝の恒例、と理事長の藤原茂さんが話す。利用者が自分でその日の予定を決める。十人程度ならまだしも、一二○人の定員で毎日これをやっているというのだから驚きだ。さらに、ボードには支援の必要度(=スタッフの介助が必要な場合)も本人が表示する。たとえば『入浴』。少しの介助で済む人は「ちょこっとヘルプ」、全介助が必要なら「スーパーヘルプ」のマグネットを。スタッフはそれを見た上で今日のシフトを決め、すばやく持ち場につく。
人生の現役引退を食い止める
藤原さんが夢のみずうみ村を開設したのは二○○一年。それまではOTとして医療機関でリハビリテーション医療に携わってきた。
「脳梗塞などで一命を取り留めた後、高齢者はみんな障害が治らなくても家に帰りたいと訴えてきます。ですが、スタッフは″歩行が安定するまで入院して訓練しましょう″などと言ってしまう。高齢者にとっては一日一日が勝負。感じている時間の長さと重みは私たちには測れないことを痛感しました。だからリハビリテーションの評価や目標設定は第三者ではなく、本人が行うことが原則であるべきだと考えたのです」
リハビリと生活を切り離してはいけない。介護保険の導入とほぼ同時期にWHOがICF(国際生活機能分類)をまとめたことも、藤原さんにとって大きな励みとなった。障害が治らなくてもできることを見つけて増やしていく。生活全体を生き生きと活発にしていくというICFの考え方を、具体的に実践する場が夢のみずうみ村。
ここでは歩行能力以外に心身の機能評価などは行わない。施設内に手すりはないが、至るところに置かれている私物入れのたんすやいすなどが、もたれかかったり支えとなって歩行を助ける道具となっている。利用者にとっては、自分の立てた予定をこなすために目的の場所に移動することがすでに歩行訓練だ。移動中も大勢の利用者やスタッフとすれ違うたびに会話が弾む。気遣い合ったりコミュニケーションを取るという行動が自然にでてくる。(以下略)
排泄は介護の基本と言われて久しいが、ケアのノウハウや用具の種類、使い方や工夫などの「情報」はなかなか得にくい分野だ。浜田きよ子さんが京都西陣で運営している「むつき庵」は全国でも珍しい、排泄に関する相談を受けながら用具や情報を提供している情報館。高齢者の生きる意欲を支える使いやすい道具について提案し続けてきた浜田さんは、排泄ケアを考えることは暮らしを支える基本だと話す。排泄用具の具体的な選び方からケアのポイントなどを紹介してもらう。 (編集部)
暮らし全体と密接に関連する排泄
おいしく食べてしっかり排泄すること、これは暮らしの基本です。食べることについては調理や栄養、それに食具や食器についてもさまざまな情報が入手できるようになってきました。 ところが排泄にトラブルが生じたとき、どこに相談して、どのようなものを使ったらいいのか、戸惑ってしまうのが現状です。
私はこれまで「高齢生活研究所」という介護や福祉用具にかかわる研究所を運営してきましたが、ここでも排泄についてさまざまな相談が寄せられました。
「寝たきりの父を介護しています。朝になったら布団がいつも濡れていて、困っています」
「ベッドのそばにポータブルトイレを置きたいのですが、どういったものがいいですか」
など、内容は多岐にわたります。そんなとき、「漏れるから吸収量の多いおむつを」「トイレが間に合わないからポータブルトイレ」といった対応では根本的な解決になりません。排泄は、食事内容や水分摂取量、それに運動にも関係していますし、言い換えればその人の暮らし全体と密接に結びついているものです。治療が必要な場合や薬のためにトイレが近くなっていることもあります。
また、排泄動作がうまくできないためにトイレが間に合わず、失禁するということも少なくありません。そんなときは、トイレまでの移動や衣服の着脱、便座に座ることなど一連の動作を観察することが肝心です。そうして初めて、その人にとって一番いい解決の方法が見えてくるのです。 このように排泄の相談を受けるには、医療や身体、それに福祉用具についての幅広い知識が必要です。何よりその人らしい暮らしについて一緒に考える姿勢が大切です。
福祉用具とひと口でいっても、ポータブルトイレやおむつ、尿器など多種多様のものがあります。ですが、排泄については調べたり、比べてみたりということがなかなかできません。それならば実際に数多くの用具を一連の動作を伴いながら試すことができ、紙おむつは見本をお渡しできれば、相談に来る人にとっては大変役に立ちます。排泄の相談に乗るたびに、排泄用具をしっかりとそろえていて、丁寧に相談を受けられる場所を作れないものかと考えていました。
メーカーなどの出資や協賛を得て開設
しかし、いくら社会的に意義があっても、そのような場所はどう考えても収入のめどはたちません。紙おむつメーカーなど、いくつもの会社に趣旨を説明し、理解していただいた上で、出資や協賛をお願いしました。そうして開設されたのが排泄用具の情報館「むつき庵」です。
むつき庵は民家を改造したものです。暮らしが垣間見えるような雰囲気のある場所のほうが、相談者にも分かりやすいと思ったからです。ここには市場に出回っている主な紙おむつ、布おむつ、失禁パンツのほかに、尿器や便器、消臭グッズ、工夫のある衣服などがおよそ四○○点展示してあります。ポータブルトイレは二○台ほど並んでいて、それぞれが特徴のあるものです。トイレは車いすが入りやすいようにドアを工夫し、手すりを設置しました。お風呂には入浴用のリフトがあり、お湯をはって実際に試すことができます。(以下略)
衆議院厚生労働委員会で審議されていた障害者自立支援法案の採決が十三日に行われ、「自立支援医療」の施行期日を当初の十月一日から三カ月延期して二○○六年一月からとするなど修正した上で、自民・公明の賛成多数で可決した。野党三党は反対した。施行後三年をめどに行う制度見直しでは対象となる障害者の範囲や就労支援を含めた障害者の所得保障策についても検討するなど十一の付帯決議を行った。自立支援医療の利用者負担にかかる基礎データが不十分であることなどから野党側は採決の引き伸ばしを強く求めて抗議したが、与党に押し切られたかたちだ。
11の付帯決議も
採決前に行われた討論で、自民党の八代英太議員は「極めて貧弱だった日本の障害者福祉が、自立と社会参加の理念を据えた障害者基本法が制定され、支援費の導入によって大きく前進した。このまま予算不足を恒例化させるわけにはいかない。この法律によって障害者の基礎的なサービスについて義務的経費となるのは、国がきちんと障害者の生活に責任を持つということになる」。課題はあってもまず必要な財源を確保していくことが先決とした。
一方野党は福祉・医療サービスの応益負担の導入など利用者負担増になるのに、所得保障が確立していない、障害が重くサービスをたくさん使う人ほど負担増となる矛盾などの点で反対した。
民主党が大幅な法案修正を求めたが、与党との修正協議には至らず、法案に対する修正は自民・公明が共同で作成したものが今月八日に提出されていた。施行が延期された自立支援医療は、精神障害者の通院、障害を軽減する身体障害の医療、子どもの心臓病などの医療費負担の軽減策を原則一割の自己負担とするもの。負担増の前提になる正確なデータがないことが最後まで争点化していた。
今月八日の審議では、厚生労働省が法案作成の段階で社会保障審議会障害者部会に提示していたデータで、身体障害者の更生医療と児童の育成医療の月平均の利用者数がそれぞれ八万人、一万人だったところを、九八万件、一四万件と明記していたことが、社民党議員の指摘で明らかになった。同省では、月の利用者数と年間の利用者数を間違えた単純ミスと答弁したがさらに不信を招く事態に。(以下略)
厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会は七日、被用者保険に加入している前期高齢者の配偶者などの被扶養者から保険料を徴収する案を検討した。これまで世帯単位としていた保険料負担を個人単位とする方針だ。また、現行では制度ごとに決めている医療保険と介護保険の自己負担についても、両者を合算すると高額になることから、負担軽減の仕組みを検討する必要があるとしている。
現行制度では、健康保険組合や政府管掌健康保険などの被用者保険では、会社員の妻などの被扶養者は保険料を支払わなくてよい仕組み。被扶養者の給付費は保険料を負担する会社員が標準報酬に応じて負担している。
しかし、年金も合わせた前期高齢者の被扶養者の平均所得は九六万円で、六五歳未満の被扶養者二二万円の約四倍にあたる。一人当たり給付費も一〇万三四〇〇円にのぼり保険料を払っている被保険者とほぼ同様に給付を受けていること、国保では低所得者でも平均一人当たり年間二万五〇〇〇円の保険料を負担していること\\を指摘した。仮に年齢階級ごとに分け、そのグループの加入者間で被扶養者の給付費を負担すると、前期高齢者のグループでは一人当たり一一万円となり、全年齢平均の四倍以上となるため、被扶養者からの保険料徴収が必要との論理だ。
また、高齢者の自己負担についても、現行では六五〜六九歳は三割、七〇〜七四歳は原則一割と前期高齢者の中でも負担が異なっているのに加え、現役並みの所得がありながら二割負担の高齢者もいるため、三割負担の現役世代との均衡を考える必要があるとした。(以下略)
Q子 結局、介護保険施設の入居費用っていくらあがるの。個室で五万円とかっていうじゃない。
A男 正直に言うと、分からない。これまでは保険給付の中でみていた、家賃相当分の減価償却費、光熱費と食事提供費を保険外の自己負担とするということは、施設が好きに決めていいという話だからね。
今、君がいった個室の「五万円」というのは、基準額といって低所得者対策をする場合の上限であり、今の保険給付からマイナスする給付費の額のことだ。
当面は、報酬が減額される分を利用者に転嫁するかたちになるだろうから、低所得者対策のある人なら多床室入居で多くても月一・五万円位の負担増だ。問題はそれ以上の所得の人だが、今もいったように自由価格だからわからない。
極論すれば、低所得者対策はいらないと思えば、景色がいいとか、立地がいいとか、設備とかの理屈をつけて高級ルームにしてもかまわない。今回の見直しの経営への影響を考えれば、施設側もどんどん保険外の負担を増やしていかざるを得ないんじゃないかと思うよ。
Q子 そんなに大変なの。
A男 報酬を減らされた分を全部自己負担で回収できるかというとそうじゃない。一番分かりやすいのが、食事提供費だ(表1)。今は基本食事サービス費として、一人一日二一二〇円が保険から支払われている。食材料費のほか、調理コスト、栄養士の人件費などが含まれる。一月を三〇日で計算すれば、六万三六〇〇円。このうち、食材料費分の自己負担として一日七八〇円を支払っている。
見直しても、栄養士の配置分については栄養マネジメントの費用として残すとは言っているけれど、九割がたは保険からカットになる。
一方で、新しい「基準額」、つまり、低所得者対策を受けるための上限の費用設定は四万二〇〇〇円だ。この範囲でやり繰りしようと思えば、単純に考えれば一人当たり二万円の収入減だ。一〇〇人規模の施設なら、月二〇〇万、年間で二四〇〇万円になる。
Q子 何でそんなに下がったの。
A男 昨年度の経営実態調査の結果、介護保険三施設の平均コストが四万二〇〇〇円程度だった(表2)。
Q子 もともと差益があったってことね。
A男 ずさんな設定だったということだけど、それは厚生労働省の問題で、施設にとってはあてになる収益源だったのが現実だ。それがなくなるのはきつい。
Q子 数字をみるとコストは施設によって相当ばらつきがあるみたいね。
A男 基準額の四万二〇〇〇円と比べると、特養は不足するし、療養型はまだ差益が出る。報酬設定上は一律にせざるを得ないのだろうけれど、実態がバラバラだから無理がある。
居住費でもそういう問題はある。算定の根拠になっている減価償却費は施設の建設費のことだから、もともと施設で差がある。(以下略)
東京都社会福祉協議会はこのほど、訪問介護事業所のサービス提供責任者の業務実態について調査した結果をまとめた。サービス提供責任者が行っている業務のうち、最も多くの時間を割いている業務では「担当ヘルパーとの調整」が全体の二割でトップ。また、約四割の事業所ではすべての利用者に訪問介護計画書を作成できていないと回答した。サービス提供責任者の業務範囲が多岐にわたっており、責任者として行うべき業務をこなし切れていない状況であるほか、新人ヘルパーの指導・教育や利用者への対応など、事業所全体の質の向上につながる取り組みが不十分な実態であることが明らかになった。
調査は二○○四年七月、東京都内の訪問介護事業所二五七八件を対象に実施。九六六件から得た回答を分析した(回収率三七・五%)。サービス提供責任者が一名のみの事業所が全体の三割。事業所の管理者を兼務している人は四○・五%だった。
行っている業務の内容では、「訪問介護計画の作成」「サービス実施の確認」「担当ヘルパーの調整」「代替ヘルパー業務」がいずれも九割以上の事業所で実施していると回答。一方、行っている割合が低い業務は、「日常的なサービスの評価」(六八・二%)、「他の居宅サービス・医師との連携」(五二・○%)だった。
さらに、最も多くの時間を割いている業務について尋ねたところ、トップが「担当ヘルパーとの調整」で約二割を占め、「訪問介護計画の作成」(一六・三%)、「代替ヘルパー業務」(一五・四%)と続く。利用者へのアセスメント(六・五%)やヘルパーへの介護技術指導(二・三%)など事業所全体の質の向上につながる取り組みをあげた事業所はわずかだ。(以下略)
NTTグループ六社はブロードバンドを活用した介護予防支援事業の実証実験を始める。東京都老人総合研究所が開発した予防プログラムをもとに、転倒や失禁などを予防するための運動の映像を配信して、プロの指導者がいなくてもデイや公民館などで予防教室が開けるようにする。テレビ会議システムで、他の会場の参加者とコミュニケーションを取ったり、個別に保健師などのアドバイスを受けることも可能だ。
介護保険の非該当者が対象になる地域支援事業での介護予防プログラムとして自治体向けに販売するほか、予防給付の対象者向けにはグループ企業が運営するデイサービスセンターでプログラムを取り入れる。七月末からは名古屋市、静岡市でトライアルを行い九月から販売予定。
実証実験はグループ会社のテルウェル西日本が運営する静岡市、名古屋市内のデイサービスセンター「ケアサポート」で七月末から行う。自治体向け事業の核として秋には東京世田谷区に同社の介護予防センター(仮称)で運用を開始する。東京都老人総合研究所の開発したプログラムを活用。最初に「おたっしゃ21」でアセスメントを行い一人ひとりの介護予防のリスクを判定した後で、転倒や失禁の予防などの指導映像をブロードバンドで配信した映像を見ながら運動する。
ブロードバンドが使用できる環境とパソコン、プロジェクターがあれば高齢者にとって身近な公民館などで教室が簡単に開催できるのが特徴だ。テレビ電話システムやメールを使って保健師などが健康相談、食事指導などに活用することも可能だ(以下略)
社会保障審議会介護給付費部会は六月三十日、十月からホテルコストや食事提供費を保険外とすることにかかわる介護報酬の改定について審議した。老健、療養型のユニット型個室も特養と同じ基準とすることや、多床室をユニット型に改修した場合は、固定式の間仕切りであることや窓があることなどを条件に「準個室」扱いとするなど具体的な基準を示した。現在は料金を徴収していない個室に入居している高齢者には、一定期間の経過措置を設け、多床室と同じ光水熱費のみの負担とする。二○○四年度の経営実態調査結果から、低所得者対策の上限となる食費提供費の基準額はこれまで示していた四万八〇〇〇円から、四万二〇〇〇円程度にする方針を固めている。今月中旬にも諮問・答申を行うスケジュールだ。
介護療養型や老人保健施設は、これまで個室・ユニット型の報酬がなかったが、居住費の徴収が「ユニット型個室」「ユニット型準個室」「準個室」「多床室」の四類型の療養環境別になることで新たに創設されることになる。基準は一ユニット定員一〇人以下など特養ホームと同様だ。
従来型の多床室中心の施設をユニット型に改修する動きが現場にあるが、完全な個室にすることは難しい。この場合は、通常の個室の一三・二平方mの要件を緩和し、可動しない間仕切りであれば「ユニット型準個室」とする考え。ただし、窓があることが条件となるため、単純に四人部屋を区切っただけでは認められない。改修は進みにくいといえる。
これまで特養ホームでは、個室はあっても、個室料はとらず、認知症で落ち着かなかったり、感染症にかかった場合の静養室的に使われてきた経緯がある。このため施設関係者からは、個室料を新たに徴収することはなじまないと指摘されていたが、一定期間は経過措置を置き、多床室と同じ光水熱費のみの負担ですむようにする。
眺望や立地、広さなど本人の希望によって提供する付加価値に対し、特別な室料を徴収していた居室は引き続き費用の徴収ができる。老健の個室では七五・三%、(以下略)
厚生労働省の社会保障審議会医療部会は六月二十九日、医療提供体制に関する中間まとめの素案について議論した。これまで病床数の量的調整にとどまっていた医療計画に、住民にとって分かりやすい指標を導入して評価可能な内容とすることや、介護保険との役割分担による在宅医療の推進、医療分野の人材養成と資質の向上\\などを盛り込んだ。十四日に開催の会合で決定する予定。
医療提供体制の改革は、現在社会保障審議会医療保険部会で議論している医療保険制度改革と合わせて、〇六年度の医療制度改革の二本柱という位置づけだ。中間まとめ(素案)では、これまで基準病床数の調整という意味合いの強かった医療計画を見直し、がん対策、脳卒中対策といった事業ごとに構築する地域の連携体制や、疾病予防やリハビリテーション、在宅医療、ターミナルケアといった指標による数値目標を導入して、評価可能な計画とする。介護施策や地域保健・健康増進施策との連携も考えたものとする。
また、〇六年度からの補助金の交付金、統合補助金化により、都道府県の計画達成を的確に支援すべきとしている(以下略)
厚生労働省はこのほど、特別養護老人ホームで実効性のある感染症対策を進めていくため、感染症に関する基礎知識や食事・排泄などケアごとの標準的な予防法についてまとめた「感染対策マニュアル」を作成した。昨年から全国の施設でノロウイルスによる集団感染が多発したことがきっかけとなって検討していたものだが、医療職の少ない特養ホームの実態に見合った「実践可能な」マニュアルとしたのが特徴。基礎資料となった全国調査では、特におむつ交換で使い捨て手袋の着用や、入所者一人ごとに手洗い・手指消毒を実行する現場が少ないことも分かり、一斉交換を止めて個別ケアを実施することが望ましいとしたほか、介護職が日常のかかわりの中で高齢者の変化を素早くキャッチできるよう、日ごろから免疫力を高めるケアを行うことなども重要な視点だと強調している。
感染対策マニュアルは厚労省が設置した研究班(主任研究者=辻明良東邦大学医学部教授)が、全国五四一九カ所の特養ホームの感染管理の実態調査を踏まえて作成したもの。調査では、医師の常駐は三・二%、看護職の二四時間勤務体制がある施設もわずか二%にとどまっており、介護職を中心とした感染対策の確立の必要性が改めて浮き彫りになった。また、七割の施設では感染管理委員会を設置しており、対策マニュアルについても九割の施設で作成されていたものの、「一行為(ケア)一手洗い」、「職員からの感染防止のための基準づくり」、「定期的な研修」などは実施率が低く、感染対策の基本から周知徹底され実践可能なマニュアルとすることが目指されていた。
マニュアルは、「感染症対策の基本」「感染管理体制」「平常時の衛生管理」「発生時の対応法」の大きく四つの柱で構成。感染源となる排泄物や血液・体液などは必ず手袋を着用して取り扱い、手洗い・手指消毒を徹底することを基本とした上で、食事・排泄介助、医療処置などのケアの場面ごとに注意点をまとめている。特に、特養ホームでよく見られるタオルのおしぼりは保温器の中で細菌が増殖する恐れがあるので使い捨てのものを使用すること、おむつ交換も、「必ず使い捨て手袋を着用し、入所者一人ごとに手洗いを実施すること。個別ケアが望ましい」とした。(以下略)
三菱商事の一○○%子会社のニュー・ライフ・フロンティア(03・5730・0160)は八月から、「介護情報館・シニア住宅情報館」をスタートさせる。高齢者が自分にあった有料老人ホームや高齢者住宅などを選択するためのサポートを行う。一万件の相談実績をもつベテラン館長を迎え、基本的な知識を得ることから、入居後のフォローまでをきめ細かく行っていく方針だ。同社は五〇歳以上のアクティブシニア向けの会員組織の運営会社で現在一万四〇〇〇人の会員がいる。情報館は有料ホームなどが会員となり、高齢者には無料で相談を行う。六月から準備を開始し、現在会員は二七社になった。
「高齢者の方が本当に納得できるホームを選べるようにお手伝いをしていきたい」
館長の中村寿美子さんは話す。商社、有料老人ホームでの勤務などを経て、一九九七年から銀座に開設した有料老人ホーム展示場で相談にあたり一万三〇〇〇件以上をこなしてきたベテランだ。最近増えてきている相談センターなどでは、紹介料をとるために、事業者寄りになりがちなところもみられるが、「中立」が信念だ。東京都の認知症グループホームの第三者評価にも携わっており、介護施設全般に詳しい。(以下略)
韓国では、公的老人療養保障制度(以下では、介護保険制度と称する)を二〇〇七年七月から三段階に分けて実施する予定で、今年七月から介護サービスモデル事業を実施している。生活保護者しか公的なサービスを受けることのできない韓国において、介護保険制度は所得にかかわらず全ての人を対象とした普遍的な制度である。韓国の介護保険制度は一九八九年の国民皆健康保険制度と国民皆年金制度以来の新たに設けられる本格的な社会保険制度であると位置付けることができる。家族の女性が無償で担ってきた介護を高齢者に応分の費用の負担を求めながら社会で支えていく方向に一歩踏み出したという点で「脱家族化」とみなすことができる。
以下では、韓国の介護保険制度の導入の背景として大きく三つをあげて説明する。
第一に、人口高齢化と少子化が進展していることだ。六五歳以上の人口が総人口に占める比率についてみると、二〇〇三年、韓国は八・三%、日本は一九・〇%だが、高齢化社会(七%)から高齢社会(一四%)に移行するのに韓国が一九年(二〇〇〇年から一九年)と予想されており、日本の二四年(一九七〇年から一九九四年)を上回る。合計特殊出生率、すなわち、一人の女性が生涯に生む子どもの数は、一九七〇年、韓国が四・五人、日本が二・一人だったが、〇三年には、韓国が一・一九人、日本が一・二九人。急速な少子化が高齢化に拍車をかけている。
韓国の要介護高齢者は、〇五年の五三万人から一〇年には六五万人に増加すると予想されており、近年、家庭内の要介護老親の放置、認知症の老親の殺人事件などがマスコミを騒がせるようになった。それと共に、主たる高齢者の扶養者である労働人口の減少による扶養負担が大きな問題になっている。人口の減少と共に、韓国には日本と異なり家を継ぐという儒教意識が根強く存在し、男を優先するという意識が残存しており、男女の比率の差が大きく、近い将来には嫁不足になることも憂慮されている。
第二に、家族形態や機能が変化している。韓国では、老後の生活と介護保障は家族が担ってきており、家族から支援を受けられにくい生活保護者に限定して公的介護サービスが提供されてきた。
しかし、平均世帯員数は、韓国が七五年五・一人、〇〇年で三・一人、日本は三・四人から二・八人で、韓国の方が早いスピードで減少している。既婚者の一〇〇組当たり離婚件数は、〇〇年、韓国が三五・九件、日本が三三・一件だったが、〇三年には五四・八件にはねあがり、九八年のイギリスの五二・七件より高くなっていた。
老父母の介護について、韓国統計庁の調査によると、「家族が解決すべきだ」という意識は、九八年の八九・四%から〇二年には七〇・七%に減少している。(以下略)
厚生労働省は六月二十七日、全国介護保険担当課長会議を開いた。従来の老人保健事業と地域支え合い・介護予防サービスを再編して創設する「地域支援事業」については事業の全体像を初めて示した。施策をハイリスクな高齢者向けサービスと、一般向けの施策に二分。ハイリスク層となる特定高齢者に対するサービスは「通所系」「訪問系」の二体系とする。スクリーニングに使うチェックリストも示した。老人保健事業の過半を占める健診事業は生活習慣病対策とは切り分ける方針で、どこまで盛り込むかは、医療制度改革や健康フロンティアなどの動向をにらみ、来年度予算編成の過程で明らかにする考えという。(関連記事=3面)
スクリーニング用チェックリストも
介護保険法に基づく地域支援事業は、@介護予防事業、A包括的支援事業(地域包括支援センター運営費など)、B任意事業の三種類。このうち、介護予防はこれまで、補助金で行われてきた老人保健事業、地域支え合い介護予防事業を再編して位置付ける考えが示されてきた。
具体的な再編策としては、いきがいや健康づくりを行うボランティア活動や健康教室の開催などすべての高齢者を対象する「一般高齢者施策」とハイリスクな高齢者に対する「特定高齢者施策」の二区分とする。特定高齢者施策は、要介護認定を受けている人も必要な場合は利用できる。
特定高齢者施策の対象は高齢者人口の五%程度。「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」「閉じこもり予防」「認知症予防」「うつ予防」「その他」の七項目に分類し、さらにサービスの提供形態に応じそれぞれを「通所型介護予防事業」(仮称)、「訪問型介護予防事業」(仮称)の二区分とし従来事業を振り分ける。訪問型はこれまでの訪問指導で通所が難しい場合など限定的に行う。サービスのメーンは通所型。個々のプログラムの実施にあたってはマニュアルを提示する予定だ。(以下略)
厚生労働省は二十二日、今年度創設された地域介護・福祉空間整備等交付金で、都道府県などが作成する「施設生活環境改善計画」の内示を公表した。九四計画で総額は八〇三億八〇〇〇万円。交付金予算は今年度八六六億円が計上されていることから、残り六〇億円強が八月に内示が予定されている市町村整備計画の割り当てとなる。 内示が出されたのは、中核市以上が特養やショートステイ、老健、ケアハウスなどの整備を行うにあたって作成する「施設生活環境改善計画」。四七都道府県、一四指定都市、三三中核市の九四計画で、八〇三億八〇〇六万円となった。
千葉県は特養九件(ショートステイ併設)、老健一件の新設のほか、併設型特養、デイサービスセンターなどの継続分を盛り込んだ計画に対して一九億三二七二万円の内示。県高齢者福祉課によると、整備を希望する法人との協議で見込んだ交付金額は保障されたという。「見込みを下回れば、県からの補助金が減るところだった」。ただ、内示がズレ込んだために今後の整備スケジュールはかなりタイトだという。(以下略)
十月からの介護保険施設でのホテルコスト、食費の自己負担の導入で実施される低所得者対策は保険で上限との差額を補填する「特定入所者介護サービス費」、旧措置入所者の負担軽減策の五年延長、一割負担の上限を設定する「高額介護サービス費」の見直し、社会福祉法人による減免の拡充の四種類。現在の保険料段階で幅広すぎると指摘されていた第二段階を二区分にする来年四月からの見直しにあわせ、負担段階を四段階に設定する。低所得者対策のない第四段階にあたる住民税課税世帯でも、夫婦のうち一方が入所したことにより、残った家族が生活に困らないように世帯の年間収入が施設の一割負担を含む利用者負担をひくと八〇万円以下になること、預貯金が四五〇万円以下であることなど条件を満たす場合はワンランク低い第三段階として扱う特例減額措置を設ける方針だ。
七月末までに保険者は利用負担の各段階の対象者を把握し、必要な場合は利用者に周知を図るように求めた。
特定入所者介護サービス費は、負担区分毎に上限額を設定し、施設が決めたホテルコストなどとの差額を保険から補填するもの。ホテルストなどが国が定める基準費用以下であることが条件だ。
対象となるのは、介護保険三施設とショートステイ。基準費用などは現在、介護給付費分科会で検討中だが、従来の案と大きなずれはない見通しだ。
負担限度額は、負担区部により食費一〜二万円、居住費は居室の類型毎に五万〜無料の予定。利用者は上限額までを支払い、差額分は施設が保険に請求する。
適用を求める場合は、申告制なのが注意が必要だ。あらかじめ保険者から負担区分についての認定証を発行してもらうことが必要となる。認定証は毎年五月に更新。今回は八月頃から申請を受け付ける。
措置時代からの特養ホーム入所者に対する利用料負担の軽減は今年四月からさらに五年間延長されている。全国で六万八〇〇〇人が対象とされる。すでに軽減措置を受けている人はホテルコスト導入にあたっても措置時代の費用徴収額を上回らないようさらに負担軽減措置を行う。
具体的には、一般の入所者と同様に計算したホテルコスト、食費と一割負担の利用料の合計が措置時代の費用徴収を上回らない水準になるよう五%、三%、〇%と段階的に負担割合を下げて計算する。従来通りユニット型個室の居住費は低所所得者対策の対象外。新たな認定証が必要だ。
施設、在宅の一割負担の上限を超えた分を保険から払い戻す高額介護サービス費も、保険料区分、利用負担区分にあわせて見直す。現行保険料の第二段階のうちの低所得者層(利用者負担第二段階)が最も低い月一万五〇〇〇円が適用になる。現在は毎月申請を行わなければならないが、十月からは老人医療費の扱いと同様、保険者の工夫で初回のみの申請だけで実施できるようにする。
新たな利用料、保険料区分でも第三段階は年金収入だけで八〇万〜二四五万円までと幅広い。このため、第三段階の中でも単身世帯で年収が一五〇万円以下の所得層など条件を満たす人に対しては、社会福祉法人が行う減免措置の対象を拡大する。
ホテルコストの徴収では収入のある本人が入所してしまうと、在宅に残された妻の生活が立ちゆかなくなる懸念があることから、低所得者対策のない課税層でも、条件を満たす場合は第三段階の利用料上限を適用する特例措置を新たに設ける方針だ。
今年度から税制改正で、年金の最低課税額が引き下げられることに伴い、住民税の課税非課税を要件とした低所得者対策にも大きな影響が出る。特に○五年度改正は引き下げ幅が大きく、地方税法上も二年の経過措置が設けられることから、介護保険料、利用料の負担についても二年の激変緩和措置を設ける方針が示された。(以下略)
ケアマネジャーの労働時間は一日平均九時間四九分。そのうち約三割は要介護認定調査業務や住宅改修理由書の作成、入院・入所の相談など、直接給付にはつながらない業務となっていることが、名古屋市介護サービス事業者連絡研究会(名介研)がこのほどまとめた実態調査結果から明らかになった。新規利用者の数や利用サービス種類の多さと業務時間との相関関係は認められなかったが、独居利用者については数が多くなるほどアセスメントやサービス調整に費やす時間が増えている上、ケアマネジャー自身の感じるストレスの強さとも関係していることがうかがえる結果となった。調査の実施主体である名古屋市では、今回の調査結果をケアマネジャーの業務の標準化に向けた検討材料としていきたいとし、今後本格化する報酬改定議論にも反映させることを求めている。
現在のケアマネジャーの介護報酬は、二○○三年の改定で月一回の訪問や三カ月ごとのモニタリングなどが義務付けられ、実施しなかった場合は減算される仕組みとなっているが、ケアマネジャー側からは連絡調整や報酬請求の事務作業に時間がとられているなど求められている業務と現実とのギャップを指摘する声も強く上がっており、質の向上と業務の効率化の板ばさみ状態が指摘されている。
同市では、ケアマネジャーの業務が標準化されていないことが背景にあるとし、国が求める業務を遂行していく上で支障となっている要因を探る目的で調査を実施。ケアマネジャーの業務内容を一カ月間にわたり記録するタイムスタディのほか、業務とストレスの関連などについても調べた。市内のケアマネジャー一三○○人を対象に実施し、四三八名が調査に協力した。勤務形態では常勤専従が最も多く、二五九名。三五歳〜五四歳までの既婚女性が大半を占めている。
タイムスタディの結果によると、常勤ケアマネジャー一人あたりの一日の総労働時間は九時間四九分。この中には昼食休憩の時間も含まれているが、その平均は三五分となっており十分な休憩は取れていない状況といえる。さらに、業務内容ごとに労働時間を見ていくと、認定調査や住宅改修理由書の作成、入所・入院に関する相談や本人の家族にかかわる相談など、直接報酬につながらない業務が労働時間の三割を占めていることが分かった。(以下略)
介護労働安定センターはこのほど、「二○○四年度介護事業所における介護労働実態調査」の結果をまとめた。介護労働者の離職者の勤続年数は一年未満が半数近くを占めており、三年未満で約八割に達しているなど、人材が定着しない状況が改めて浮き彫りとなっている。また、ケアマネジャーをはじめPT・OTなど有資格者の不足を訴える事業所も多いが、人材確保のための施策より教育・研修への支援を求める事業所が上回った。
調査は、介護事業所の労働者について賃金・労働条件などの雇用実態の課題を明らかにすることを目的に毎年実施している。今回は、基礎的な労働条件に加え「教育・研修の実施状況」、「人材確保の状況」を把握する質問項目も新設した。昨年十二月、全国の介護サービス事業所五○○○カ所を対象に実施し、有効回答数は一○一六事業所。
報告書によると、ケアマネジャー、サービス提供責任者及び直接介護に当たる介護職員の三職種の一年間の採用者数は七三三九人。一方、離職者数は三五七三人となっており、一事業所当たり平均三・七人の人員増となっていた。だが、離職者の勤務年数をみると、四五・五%は一年未満で離職。三年未満では七九・二%に達している。雇用形態別では、一年未満の勤務で離職した正社員が三五・二%だったのに対し、非正社員では五三・四%となっており、事業所の新規参入などによって労働者数は増えているものの、非正社員を中心に職場に人材が定着しない現状が改めて明らかになった。(以下略)
社会保障審議会介護給付費分科会は二十日、介護報酬改定議論をスタートさせた。十月から実施が予定されている介護保険施設でのホテルコストなどの徴収に伴う報酬改定を先行し、七月中旬にも答申を得るスケジュールだ。焦点となっている介護予防についてはワーキングチームを立ち上げ、アセスメントや評価方法など技術的側面、事業者の指定基準などを検討した上で夏以降、審議会での議論を本格化する。ホテルコストは居室のタイプ別に四類型とし、六万円〜一万円とする方針を改めて示した。
居宅のタイプ別で4類型に区分
見直しでは、施設の居住費、食事提供費を保険外にし自己負担にする。十月改定の介護報酬では、これらを保険外にした後の新たな施設報酬と保険給付から差額を補てんする低所得者対策を設定することになる。自己負担額は個室ユニットかどうかなど居室の種類で差別化するために、報酬体系も居室類型別となる。また、食事提供費のうち栄養士などの人件費にあてていた分を栄養管理費に組み替えて報酬内にどう残すかもテーマとなる。通所、ショートステイも連動する。
この日、厚生労働省は新しい報酬類型を、「ユニットケア型個室」、「ユニットケア型準個室」「従来型個室」「多床室」の四類型とし、保険外とする金額をそれぞれ毎月一人当たり一〜六万円とする案を示した(表参照)。実際に入居者が負担する金額はそれぞれに各施設で設定することになるが、報酬減額分、またはそれ以上が上乗せになる可能性が高いといえる。(以下略)
京都府はこのほど、京都市の医療法人「正生会」が運営する二件の老人保健施設の介護保険法の開設許可を取り消す方針を決めた。同法人への返還請求額は総額で四億一二〇〇万円。市への返還は終わったが、府は額が大きいことや虚偽報告、事実の隠蔽を図ろうとした悪質な事例とみて、「厳正な対処が必要」と今回の措置に踏み切る。施設ごと買い取ってくれる法人を選定する考えで、第三者機関が具体的なスキームを検討している。老健の許可取り消しは全国で初めて。
同会は二〇〇〇年と〇一年に老健を開設。理学療法士の配置基準を満たさず運営しており、減額請求しなければならないところを、府に対して基準通りの配置を行っていると虚偽の申請を行い、報酬を満額受け取っていた。返還請求額の総額は、加算金も含めて四億一二〇〇万円。そのうち京都市では昨年十月に一億円の加算金を含めた三億六〇〇〇万円の返還請求を行っていたが、法人は今年一月に全額返還している。
二施設には約二〇〇人の入所者がいるため、施設ごと買収してくれる運営法人を選定した上で取消を行う方針。選定スキームを、府老人保健施設協会、府医師会、京都私立病院協会で構成する第三者機関に検討するよう依頼している。
老健の指定取り消しは決定すれば全国初。(以下略)
改正の目玉となる「地域包括支援センター」の設置で最も頭を痛めているのは市町村が共同で保険運営にあたっている広域連合だろう。改正介護保険法では、広域連合が設置の責任主体となるが、構成市町村の保健・福祉事業や生活圏域の考え方はそれぞれ違う。市町村=保険者を前提にした改正介護保険法では、整合性がとれない部分があるからだ。連合側は、来月上旬に厚生労働省との会議を持ち、疑問をぶつける予定だ。
介護保険の広域連合は、制度発足時には厚生労働省も財政の安定化のために設置を支援してきた。市町村合併の影響もあり、団体数は減少。今年四月現在、全国に四九団体がある。
六つの市町で構成する空知中部広域連合(北海道)。地域包括支援センターの設置方針については、来月構成市町の課長が集まって会議を開き、合意を図る予定にしている。
日常生活圏域は一市町を一圏域ととらえることに決めた。在宅介護支援センターも一市町に最低一カ所あるので、連合としては各市町に一カ所ずつ包括センターを設置する形をイメージしている。設置責任者とはいえ、連合がトップダウンで方針を決めるわけにはいかない。「とにかく市町村の意向を確認しながら決めます」と担当者は慎重だ。
三市二町一村の諏訪広域連合(長野県)は、「市町村レベルで一カ所にするのか、二〜三カ所つくるのかも含め、実質的には各市町村の判断にまかせる」。
包括センターの業務とされている地域支援事業は、これまでは市町村が展開してきた福祉施策であり、連合で統一的に実施するのはふさわしくないと考えるからだ。ただ、地域の力の入れ具合によっては、現在人口割りとしている市町村の財源負担のバランスも崩れかねないと懸念する。(以下略)
大阪YMCAと大阪府地域福祉推進財団(ファイン財団)、大阪府の三者が中心となってこのほど、介護予防の基本的知識や実践ノウハウを身に付けた人材を広く養成することを目的に、「日本介護予防指導者協会」を設立した。改正介護保険法で軽度認定者を対象に創設される予防給付に対応できる人材養成がねらいだが、特にホームヘルパーやケアマネジャーなどに予防の理念や技術を修得してもらうことに重点を置いている。予防のノウハウを持った人の裾野を広げていくことが予防事業を効果的に進めていく鍵になるという考えだ。七月三日には設立記念講演会を開催する。
制度見直しの柱である予防給付では、対象となる軽度認定者に予防サービスを提供できる人材の確保が課題の一つ。新しい分野だけにノウハウはほとんどなく、PT・OTや看護職など機能訓練の専門資格を持つ医療職が指導者の中心となることが想定されているが、具体的な要件についてはまだ決まっていない。
協会事務局の大阪YMCAウェルネス事業本部によると、協会が養成する「介護予防指導者」は、ホームヘルパーや施設の介護職、ケアマネジャーなど、医療職以外を主な対象とした研修を実施するという。
「予防の基礎となる機能回復の専門知識があるといっても、PT・OTなど限られた専門職で対応していくにはコストや人数の面でも課題がある。予防事業の詳細はまだ確定していないが、利用者にかかわりの深いヘルパーやケアマネジャーなどがきちんと予防の知識・技術を備えて対応していけるようにするのが現実的だ」。予防サービスの実践に生かすだけにとどまらず、地域住民に対する普及・啓発の担い手として活躍してもらうねらいもあるという。ボランティアベースで予防の意義やノウハウを浸透させていくことが必要だとしている。
協会長は大阪体育大学副学長の永吉宏英氏が就任。来月三日の設立記念講演会には、同氏を始め、大阪府健康福祉部の担当者、大阪市立大学大学院白澤政和教授など設立委員会メンバーが介護予防事業の解説と今後の協会の研修予定などについて紹介する。(以下略)
「この方、急に老け込まれたなぁ」
ケアマネジャーとして、多くの高齢者と接しているとハッと目を見張る瞬間がある。
高齢者の精神・身体機能の急激な低下にはさまざまな要因がある。転倒による骨折・家族との死別・引越しや入院などの環境の変化……。これらのでき事が引き金となり、「それまでできていたことができなくなる」ケースは多い。
しかし、その後の経過は二つに分かれる。@急に老け込んだように見え、そのまま機能が低下していくケース。A一時的には低下しても、また元に近い生活を取り戻すケース。
私は、この予後の違いに介護予防の鍵が隠されていると考えている。今回は、事例を紹介しながら高齢者の機能低下の奥に何があるのかを考えてみたい。
(事例1)
七○代・女性・独居。成人性水頭症にて「手術が必要」と医師の診断。思いも寄らぬ病名に本人の動揺は大きい。しぶしぶ手術に同意したものの、ベッド(空床)がなく入院できない。主治医に手術の時期を尋ねるも納得した回答が得られず、不信感がつのる。娘や姉妹に相談するが、満足するほどは話を聞いてくれない。これらが精神的なストレスとなり、食欲低下と不眠が続く。最近では顔つきも急に老け込まれ、腰痛が悪化。外出もめっきり減った。
(事例2)
七○代・女性・独居。夫をとても頼りにし、どんな小さなことでも夫に相談しながら生活をきりもりしてきた。最愛の夫を亡くしてから三カ月が経過したが、常に気分が沈みがちである。心配した友人から励まされ、「元気をださなければ」とリハビリ教室に参加。しかし、がんばって参加すること自体がストレスとなる様子。顔色不良・倦怠感があり、体重が激減。膝関節症が悪化し、ADLが低下してきている。
(事例3)
八○代・女性。脳梗塞で入院中に病室で転倒。大腿骨頸部骨折で寝たきりの状態となる。「死にたい」「私なんかおっても仕方ない」と、生きる意欲を失った状態で退院。退院後は日中独居となったが、ヘルパーのかかわりにより歩行器練習を開始。「自分で歩けるぐらい元気になりたい」とリハビリにも積極的になり、歩行器を使って歩行可能な状態となった。ヘルパーとの外出歩行が生活の中でよい刺激となり、顔色もつやつやとしてきている。
事例1は、診療に対する不信感が本人のストレスとなったケース。事例2は、最愛の夫の死により「心のよりどころ」を失ったケース。そして事例3は、脳梗塞に転倒が重なり、自分の体に対する喪失感から生きる意欲を失ったケース。きっかけはそれぞれであるが、どの事例も共通に精神・身体機能の低下を招いていた。
2つに分かれた経過
しかし、その後の経過は違う。事例1は誰からのサポートもなく、また、事例2は友人のサポートを得ても、その後の体調不良や生活全般の悪化が続いている。しかし、事例3については、身体的にはこのまま機能が低下しても当然と思われたにもかかわらず、歩行器歩行にまで回復している。その後の経過に影響を与えた因子は何だったのだろうか?
この事例では、退院後へルパーが一日二回訪問し、ご本人のつらかった体験や「死にたい」という気持ちをじっくりと受け止めながら歩行練習を促した。最初の散歩もしぶしぶ行ったそうである。
しかし、散歩道で、@見慣れた山の風景と新鮮な空気、A通りがかりの友人からの温かい声がけ、があった。そして、Bヘルパーからのサポーティブなかかわりを継続して得ることができた。
歩ける足を失ったという喪失体験を超える@ABのサポートが用意されたとき、「死にたい」という気持ちが「もっと歩けるようになりたい」という前向きな気持へと変化していったのである。そして本人のモチベーションの上昇に引っぱられるように、身体機能の回復が見られたのだ。
高齢者の機能低下は、けがや病気・環境の変化等の要因で引き起こされることが多い。しかし、その後の経過は「本人のモチベーション(将来に対する希望・生きる意欲)」によって大きく左右される。筋力をつけることも、栄養状態を改善することももちろん必要。しかし、高齢者のモチベーションを視野に入れたかかわりがなければ、せっかくの予防事業も効を奏さないだろう。(以下略)
全国痴呆性高齢者グループホーム協会(全国GH協・木川田典彌代表理事)はこのほど、グループホームの空室などを利用して短期間、在宅の認知症高齢者を受け入れるモデル事業を行った結果を報告書にまとめた。冠婚葬祭や介護者のレスパイトなど緊急・臨時的なニーズに柔軟に対応できるサービスとして効果が認められたほか、利用者本人と入居者双方に自立度や生活意欲の向上なども表れたとしている。入居者の入院期間中も収入が確保できる点では事業者にとって経営面でのメリットも大きい。同協会では、介護保険で爆発的に数が増えたグループホームがこうした″多機能化″することによって地域で新たな社会資源となり得る可能性が見出せたとしており、厚生労働省に対し制度化の実現を求めていく方針だ。
入院時の空室活用
経営にもメリット
認知症グループホームは、施設のショートステイのように期間限定や日帰りでの利用形態は制度上認められていない。そのため環境の変化に弱い認知症高齢者がいきなり入居せざるを得ない問題も指摘されていた。同協会では、グループホームが制度改正で創設される地域密着型サービスとして位置付けられることを踏まえ、在宅で生活する認知症高齢者に対する新たな支援機能をアピールしていくねらいがある。
モデル事業は今年一〜三月にかけ、二三の会員事業所で実施。既存ユニットの一室を短期利用者専用とするタイプと、入居者が入院や長期外泊などで定員を満たさなくなった際に家族の宿泊や研修用の部屋などを一時的に活用して受け入れるタイプの二種類とした上で、三九人の在宅認知症高齢者に最大二週間を限度に利用してもらった。複数回の利用も含めると延べ利用回数は四八回。七割が要介護2以上、認知症高齢者日常生活自立度では八割強がU以上だ。
短期利用開始後の本人・入居者の変化についてみると、「利用者同士の会話」や「笑顔」、「食事の雰囲気の明るさ」などについてはいずれも「増えた」が六〜七割に達している。一方、「落ち着きのない場面」「トラブル」「混乱」「生活の乱れ」などマイナス影響は七割以上で「増えなかった」という結果に。個別の事例について寄せられた事業所の意見では、「入居後は帰宅願望が続いていたが三、四日で落ち着き、自宅で問題としていた夜間のせん妄や排泄状況も良くなった」「二回目の利用の際は、スタッフの顔を見て″覚えている″と笑顔になった。混乱はなかった」など、個別対応ができる小規模ホームのメリットが発揮できたことがうかがえる例が多い。一方、入居者も短期利用者を疎外する様子はほとんどなく、逆に身だしなみを整えるようになったり、いつもより積極的に家事を手伝うようになるなど良い刺激となっている。さらに、いつも利用しているショートステイより、本人が容易に馴染めたと感じている家族の割合が高く八割近くに達しており、今後も積極的に利用したいという回答が六五%。高い評価を得た。(以下略)
厚生労働省はこのほど、身寄りのない高齢者などに代わって市町村長が成年後見制度の申し立てを行う際の要件を緩和する方針を決めた。現在は申し立てには、四親等までの親族の確認と承認が必要だが、手続きの迅速化を図るためこれを二親等までに簡略化する。また、市町村長の申し立てを行う場合に必要な費用助成の対象として、現行の認知症高齢者と知的障害者に加え、新たに精神障害者を追加する。今夏をめどに、同省が通知を行う予定。
成年後見制度で市町村長が家族や親族に代わって家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てる際の要件が「四親等までの親族の有無の確認と承認が必要」とされていたため、費用と手間がかかり申し立てが進まない実態があった。最高裁によると、二〇〇三年の市町村長申し立ての件数は四三七件で、利用全体の二・五%にとどまっている。 (以下略)
介護保険制度見直しで創設される「地域包括支援センター」をどうやってつくっていくか多くの自治体が頭を悩ませる中で、いち早く方針を固めたのは東京都品川区だ。庁舎内にある直営の基幹型支援センター一カ所を「地域包括支援センター」に移行させる。区内一九カ所に配置した在宅介護支援センターについてはそのままとし、既存事業の再編を含め、区としての予防マネジメントの確立を急ぐという。
運営協議会には 制度推進委当てる
品川区は在宅介護支援センターを核に行政主導で介護保険を運営してきた自治体だ。区内を一三カ所の圏域に分け、民間に委託し地域型の支援センターを一九カ所設置。庁舎内の基幹型支援センター(在宅相談係)をコントロールタワーとして、足並みを揃えてきた。区内で約五五〇〇件の在宅の要介護者のケアプランの八割を現在も在宅介護支援センターで作成している。
保険運営に行政が積極的に関与するという意味では品川方式は、市町村事業として「地域包括支援センター」が創設されたことに象徴される制度見直しに最も近いところにあるといえる。
「地域包括支援センターに求められている機能のうち、総合相談、包括的ケアマネジメントはすでに在宅介護支援センターで行ってきた。足りないのは予防マネジメントだけ」(新美まり・前福祉高齢事業部長)
しかし、「方針を決めるまでは半年間は大混乱した」という。
見直しで厚生労働省では、市町村毎に設定した生活圏域毎に地域包括支援センターを設置することを求めている。このため、見直しを機に、区に集中しているコントロール権を地域に分散して民間の在宅介護支援センターに委せていくべきという問題意識が現場に生まれたからだ。
結局、区の在宅相談係である基幹型支援センター一カ所だけを包括支援センターに移行させることとしたのは、関係機関との調整など民間任せでは難しいこと、今の二層の仕組みを区、包括支援センター、その他の三層に変えるメリットが少ないと判断したからだ。
在宅相談係は一七人体制。保健師三人のほかは、管理職やケースワーカーなど事務職で社会福祉士はいないが、将来の分権化に向けての人材育成もねらい、区内の法人から社会福祉士、指導的なケアマネジャーの逆派遣を検討していくという。(以下略)
厚生労働省は介護保険制度の改革に伴い、将来的に介護職全員に介護福祉士資格を義務付ける方針を示した。その移行策として現行のヘルパー養成研修は新たに創設する四○○〜五○○時間の「介護職員基礎研修」に一元化していくことが検討されている。わずか一三○時間で誰でも実務に就くことができる二級研修では不十分という指摘は以前からあったが、これまで数多くのヘルパー研修をコーディネートしてきた水鳥寿美恵さんは、「現場経験を積みながら段階的にステップアップしていく養成過程の仕組みは残すべき」と主張する。研修を受講する大半を占める主婦は、登録ヘルパーから徐々に仕事を増やしていく中でヘルパーとして長く働く自信をつけていく人が少なくない。豊富な人生経験や優れた家事能力を持つ人たちを排除せず、段階的な研修体系を構築していくほうがふさわしいと話す。
\\ヘルパー二級研修の一三○時間は介護福祉士の一六五○時間と比べても差が大きい。基礎研修に一本化では何が問題か。
「私はヘルパーの需要が急速に高まった介護保険直前から、自治体のヘルパー研修を受託するNPO法人に所属してカリキュラムの作成や講師の手配などのコーディネート業務を行ってきました。昨年退職して現在はフリーの立場ですが、これまで多くの研修を手がけてきた経験から、サービスの質向上につながるヘルパー教育とは、単に国家試験合格を目指せば済むという単純な話ではないと考えてきました。
どんなに基本や理論を学んでも、教科書やマニュアル通りに対応できないことが山ほどあるのがホームヘルプサービスの現場です。同じ認知症のお年寄りでも、この人に上手くいったからあの人にも通用するという保障はありません。ですが、そうやって一つひとつの問題をクリアしながら前に進んでいくことが利用者に感謝されたときに喜びとなったり、ヘルパーとしてのやりがいを感じることにもなる。それが結果的に続ける原動力になっている人は多いのです。
受講した動機は家事の合間のお小遣い稼ぎという主婦の方が、その後ヘルパーとして長続きしているというケースもよくあります。いつの間にかハマッてしまうんですね。
受講生の大半を占める主婦層が持つ家事能力や人生経験が、生活支援サービスが多いヘルパーとして働く上で強力な武器になっているのも事実です。掃除の順番、味付け一つとっても一人ひとり、その家庭で大事にしているやり方がありますが、家事の経験が少なく基礎ができていない若い世代には難しく、利用者からのクレームにつながることが多いんですね。
ヘルパーの受講目的は多様ですから、就業希望者には修了後に技能試験を行うなど、プロとして働く者としての意識と技術の基準が誰にでも分かるような評価の仕組みにすることがまず先ではないでしょうか。多様な能力や経験を持った人を受け入れる間口の広さは残しておくべきです。
四○○時間の基礎研修に一本化してしまうと、時間や費用の面でも受講できる人は限られてしまい、今でさえ深刻な人手不足に拍車をかけることにもなりかねません」(以下略)
一緒にする家事の
自立支援効果に疑問
「私は来年までよ〜生きてないわ…」
八一歳の女性が淡々と語るその言葉を聞いたとき、私は一瞬ヒヤリとした。これは「いつまで今の家で一人暮らしをされますか?」という主治医の質問に対するご本人の答えだ。
私はてっきり息子さんが定年になる「五年先まで」と答えられると思っていた。なぜなら、この方の要介護認定は要支援。腰は痛いが、急変が予測される種類の病気は持っていない。ヘルパーを利用しながら、週末の孫の来訪を楽しみにされる穏やかな生活を続けている。しかし、こんなごく普通の日常を、この方は「あと一年も続かない」と″本気で″思われているのだ。
高齢者の生活に対する不安・身体機能に対する失望感…。介護保険が始まって五年が経ち、その間ずっとお付き合いの続いている利用者さんも少なくない。「この人とはすっかり信頼関係ができた」。そう思えるようになることが、私たちケアマネジャーにとって仕事を続けていく上で何よりの自信になっていることは間違いない。
しかし、深くかかわっていたつもりでも、実はその人の本当の気持ちや本音を理解していなかったのではないかと思うこともまた、少なくないのである。
介護保険の改正によって、現在の要支援・要介護1程度の軽度認定者の方を対象に予防給付が創設されようとしている。
厚生労働省は、「予防給付のホームヘルプの家事援助では、できることは本人が行い、できないところをヘルパーが支える。共に行う家事で自立支援を促すようにする」と説明している。
だが、ケアマネジャーとして在宅高齢者の生活支援に携わってきた経験からすると、この「一緒に行う家事」が高齢者の自立支援に効果があると短絡的に結びつけてしまうことには、疑問がある。
在宅軽度認定者のお宅を訪問した時、ヘルパーを利用している方なら私は必ず次のような質問をしてみる。
「今してもらっている家事をヘルパーさんと一緒にするのはどうですか?」
要支援のAさん。
「私は腰が痛いからヘルパーさんの足手まとい。一緒にすると余計時間がかかって、ヘルパーさんの邪魔になると思うので、一緒にするのは悲しい…」
また、要介護1のBさんは、「一緒にするくらいなら、仕事を残して帰ってもらう。後でゆっくり自分でするほうが気楽かな。でも結局しんどくなって、せずにすますかな…」
私は、「家事も生活リハビリの一部だという考えを、高齢者へどう伝えたらいいのでしょう?」と、主任ヘルパーに聞いてみた。だが、ベテランのその人も「軽度認定者の平均年齢は八○歳。人生の先輩に対して、失礼にならないように『一緒にお料理しましょう』と言うことさえも、実際には難しいわよね…」と、ため息をつく。
「自立を促すための家事援助」。誰もが頭では理解し納得できても、実際には戸惑いを隠せないでいる。
高齢者の本当の心をつかむことが重要
高齢期は喪失の時代とも言われる。健康を失い、親しい友人や家族を失う。今までできていたことが除々にできなくなり、ある日ふっと「できなくなっている自分」に気づく。この喪失感をきちんと自分の中で処理できないまま、生活している高齢者は意外と多いのだ。(以下略)
要支援・要介護1の軽度者の要介護度悪化は、転倒よりも疾患が要因\\。保健師が中心となって介護予防に関する研究などを行っているNPO法人地域保健研究会(田中甲子会長)がこのほど、こんな調査研究結果をまとめた。介護保険改正では、軽度認定者の重度化が引き金となって新予防給付が創設されることになった。厚生労働省は訪問介護など不適切なサービス利用が原因としてきたが、研究では、認知症やうつを含むなんらかの疾患が主要因となって介護度が悪化した高齢者の割合が六割に達しており、疾患のリスクを早期に把握するためのアセスメント項目が必要であるなどと提言している。
改正介護保険では、現行の要支援・要介護1など軽度者を対象に「新予防給付」が創設され、アセスメントや予防プランの作成は市町村が設置する地域包括支援センターで保健師を中心に行う。標準的なアセスメントを現在国が作成中だ。
調査は、予防アセスメント項目の検討や、介護予防事業にかかわる専門職の教育プログラムに生かすための基礎資料として生かすのがねらい。都内にあるE市で二○○○年四月に要支援・要介護1だった二四三名のうち、二○○二年十月で介護度が重度化していた一○○名について、担当ケアマネジャーに聞き取るかたちで実施した。七五歳以上の後期高齢者が約九割、独り暮らしが最も多く二割強。要介護度の変化では、要支援・要介護1ともに一段階重度化した人が多く、全体では四五%を占めた。
一人ひとりについて重度化した要因をあげてもらったところ、その総数は一五八件に上った。最も多いのが「脳血管疾患・がん」と「その他の疾患」を合わせた「疾患」で四四件。次いで「認知症」三九件、「加齢による脆弱化」二三件と続く。寝たきり要因の代名詞になっている「転倒」は意外に少なく一四件。ヘルパーによる″家事代行″など「介護過剰」はゼロだったため、分析段階では削除したという。(以下略)
介護保険財政をまかないきれない保険者が、都道府県の財政安定化基金から借り入れている赤字総額が全国で一五〇億九〇〇〇万円にのぼることが、厚生労働省がまとめた二〇〇四年度の財政安定化基金貸付状況から分かった。借り入れをしている赤字保険者は二九〇団体で、全保険者の約一三%。昨年の一・七倍に増加している。
財政安定化基金は、市町村の介護保険会計に赤字が生じた場合に貸し出すことを目的とした基金。借り入れ分は次期保険料に上乗せして返済する。〇三年度に比べると、赤字保険者数は一・七倍、貸付額は三・五倍に増加している。ちなみに単年度で借入額が最も多かったのは〇二年度の二八七億三四〇〇万円。
赤字保険者の割合が多いのは、長崎県(四三・五%)、福岡県(四二・三%)、青森県(四一・七%)。一方、借入額が最も多いのは、福岡県の二七億八二〇〇万円。次いで大阪府二三億六一〇〇万円、広島県一三億二二〇〇万円となっている。 (以下略)
予防重視、地域包括ケアを目指す介護保険制度見直しの要となる「地域包括支援センター」だが、人材確保や財源確保がネックになりどのようなかたちで設置するかは市町村にとって大きな課題となっている。設置には二年間の経過措置も認められるが、来年度からのスタートに向けいち早く動き出したのが岡山県だ。 二月末には原則として市町村直営とするなど県としての方針を提示。四月末には「地域包括支援センター岡山モデル事業」検討会を立ち上げ、県としての理想像を実現するためのマニュアルを提示する方針だ。
介護保険法案では、地域包括支援センターが従来の在宅介護支援センターと異なるのは、求められる人員配置と、法律に市町村事業として明記された点だ。直営又は委託での運営も可能だ。厚生労働省では二〜三万人に一カ所程度と方針を示しているが、財源が十分でないことから何カ所設置するかは市町村の判断に委せている。
保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの三資格者の確保一つとっても市町村には頭の痛い課題だ。難しさは折り込み済みで、二年間の経過措置も設けられている。
「法案も確定していない段階では国の情報を流しているだけ」「市町村の判断に委せる」などとする都道府県が多い中で岡山県の対応は際立っている。
まず、二月末には県としての方針を市町村に示した。原則としてセンターは市町村の直営か、委託の場合は社会福祉協議会、公社などに限ること。介護予防プランは居宅介護支援事業所への委託は行わずセンター自身が作成すること。さらに、来年四月から設置することの三点だ。
四月二十日には、「地域包括支援センター岡山モデル事業」検討会を立ち上げた。自治体の規模別(大都市、中規模市町部、小規模町村部)に県としてあるべき地域包括支援センターのモデルを示すのがねらい。 (以下略)
問1 地域包括支援センターは誰が設置できるか。
答 市町村、または包括的支援事業(介護予防マネジメント、高齢者や家族の総合相談・支援、虐待の防止・早期発見、ケアマネ支援)の実施の委託を受けたもの。公正、中立、効率性の観点から省令で要件を定める。既存の社会福祉法人、医療法人等だけでなく、NPO、公益法人等を設立して受け皿とすることも考えられる。
問2 設置個所数は。
答 圏域設定は人口規模、業務量、運営財源や専門職の人材確保等の状況、地域の生活圏域との整合性に配慮し各保険者で弾力的に考える。おおむね人口二〜三万人に一カ所が目安。全国レベルでは五〜六〇〇〇カ所と思われる。
小規模保険者では複数市町村で共同設置も可。地域の実態にあった弾力的な対応が望まれる。
問3 機能の分割はできるか。
答 四事業それぞれの機能の連携が重要であることから、分割して別々の主体に委託することは想定していない。新予防給付のマネジメントは委託できる。
問4 総合相談・支援事業のみを行うブランチを置くことはできるか。
答 認められない。地域包括支援センターにつなぐための窓口を設けることは可能。
問5 人員体制、運営の基準は。
答 専門職の配置と公正・中立な運営ができること。人員体制は保健師又は経験のある看護師、社会福祉士、主任介護支援専門員(仮称)が原則。各一名が標準的。各々に準じる専門資格を有するものでも可能とする経過措置を置く予定。
公正・中立の担保については市町村単位でチェック機関として「地域包括支援センター運営協議会」を設置する。原則として適当ではないと考えられるが、運営協議会が認めた場合は地域包括支援センターが介護予防サービス事業者を兼ねることも認められる。
問6 各専門職の経過措置は。
答 社会福祉士については、「福祉事務所の現業職員等の業務経験が五年以上、又は介護支援専門員の業務経験が三年以上あり、かつ、高齢者の保健福祉に関する相談援助業務に三年以上従事した経験を有する者」を想定している。
経験のある看護師は、地域ケア、地域保健等の経験の趣旨。主任介護支援専門員は「実務経験を有する介護支援専門員であって、ケアマネリーダー研修受講終了者でケアマネリーダー実務の従事者」を想定している。地域包括支援センター従事予定の職員には研修を予定している。
問7 運営協議会の権能、構成メンバーは。
答 @地域包括支援センターの設置(選定・変更、設置者が新予防サービス、居宅介護サービス事業者になる場合の承認等)、A運営・評価(定期的評価、予防マネジメント業務の再委託先の承認等)、B地域における多機関ネットワークの形成、C地域包括支援センターへの職員確保(協議会構成メンバーからの派遣等)が考えられる。
構成メンバーは、基本的に、@介護保険サービス事業者、A利用者、被保険者(二号を含む)、B介護保険以外の地域資源や地域の権利擁護・相談事業を担う関係者等。市町村は運営協議会の事務局を担う。(以下略)
日本介護福祉士会(田中雅子会長)は二○○六年度から、介護福祉士資格取得後のキャリアアップを支援するための生涯研修システムを創設する。資格を取得して間もない初任者向けから、医学知識やアセスメントなど介護の実践力を高めるプログラムを基礎研修として導入するとともに、管理者やサービス提供責任者向けの職能別研修、特定技能を習得する専門研修など目的を明確にしたきめ細かい研修体系とする方針。「生涯研修手帳」を発行し、修了者を独自に認証する仕組みだ。
生涯研修システムはこれまでの初任者研修・現任研修を再編し「基礎研修プログラムT・U」として位置づけるとともに、現場によって求められる実践能力の違いを考慮した選択制の「基礎研修プログラムV」を追加する。この三つをベースに、さらに段階的にキャリアアップを図っていくため、サービス提供責任者や管理者、介護支援専門員など職能別研修、認知症ケアなど特定の技能向上を目指す専門研修を導入する。
資格取得後間もない初任者レベルからベテランまで、キャリアアップの目的を明確にしたきめ細かい研修体系を構築するのがねらい。管理者など組織のトップを目指すだけでなく、介護福祉士の専門性や職業倫理について学術的な観点から現場を支援する研究者などの養成コースも構築していきたいという。(以下略)
年令や障害の種類で「縦」にも「横」にも細切れになっている福祉施策を生涯にわたり総合的な支援ができるよう改革に動き出したのが栃木市だ。今春には組織改革を行い窓口を一本化、さらに全国初の取り組みとなる「福祉トータルサポートセンター」をスタートさせた。キーワードは「ゆりかごから旅立ちまで」。福祉・保健・医療・教育など制度の枠組みを超え、子どもからお年寄りまでライフステージごとに適切な相談、支援を一貫して行うための機関だ。(3面に関連記事)
組織や制度の枠組みを排除
市役所から目と鼻の先にある「総合福祉庁舎」が、お役所っぽくないつくりなのは、もともとがスーパーとして使われていた建物だからだ。入り口を入るとカウンターには、「福祉総合相談窓口」のプレートがかかげられている。子どものことでも、高齢者のことでも経済的な問題も困ったことを何でも相談できる窓口だ。手続きに必要な住民票などの書類もここでとることができるようになっている。役所の窓口でたらい回しにあった経験のある人なら誰でもこのありがたさは分かるはずだ。
窓口だけでなく組織も一元化された。福祉部門の横断的な政策立案部門である「福祉政策課」と「福祉サービス課」の大きく二体系とし、福祉サービス課の中に障害、生活保護、保育などの各担当チームが所属するかたちだ。業務が多いことや性格の違いもあるので、高齢福祉、健康増進はそれぞれに課が設けられている。
「福祉トータルサポートセンター」も総合庁舎の一角にある。構想ではセンターの機能は、@生涯にわたっての相談機能、Aライフプランの作成と情報提供、B関係諸機関との連携機能、C新しいサービスや社会資源開発などとされる。困った時に相談に行けば解決に結びつく拠点、誰もが自分らしく暮らせる地域づくりを目指すという。 (以下略)
厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長=星野進保総合研究開発機構客員研究員)は二十五日、医療保険制度改革の争点となっている高齢者医療制度について審議を始めた。政府は七五歳以上を対象に独立させた制度を考えているが、経済界や医療関係団体は六五歳以上を対象とすべきと主張。患者の自己負担、制度の担い手などでも異なる意見が並んでいる。同省は今秋をめどに改革案のたたき台を作りたい考えだが、調整にてこずりそうだ。
政府は七五歳以上を対象に、給付費の五割を税金で、残りを高齢者から徴収する保険料、自己負担、各組合が拠出する社会連帯的な保険料でまかなう骨格を示している。都道府県レベルの広域な地域での運営をイメージしている。
しかし、団体の意見はばらばらだ。対象年齢については、経団連や健保連は「年金や介護保険との整合性をとるべき」として六五歳以上を強調している。患者負担についても、現行の一割負担を維持すべきとする政府や日本医師会に対して、「現役世代との均衡を図る」との考えから健保連は二割に、経団連や経済同友会は三割への引き上げを求めている。 (以下略)
滋賀県はこのほど、認知症介護指導者養成研修を修了した指導者を県独自に認証する制度を開始する。研修修了者を指導師として明確に位置づけ、現場の指導にあたりやすくし、県の人材育成事業に協力しやすくすると同時に、県が認知症を介護モデルの標準としていることをアピールすることがねらい。今年度から設置された「県認知症高齢者・家族支援センター」へも派遣し、専門職からの相談や指導も受け付ける。
認証の対象となるのは、施設や在宅などで働く介護職で、認知症介護研究・研修大府センターで行われる指導者養成研修を修了した者。六月三日に指導師一一人、指導師が所属する登録事業者一〇社が知事により認証される。 (以下略)
栃木市が取り組んでいる全国初の福祉トータルサポートセンターの設置などの施策は〇三年に福祉の充実を公約に掲げて当選した日向野義幸市長(四五歳)の肝煎りで進められている。福祉と教育がこれからの自治体業務の根幹と考えるからだ。「市役所を市民に喜ばれる場所に」「行政にも企業と同じ経営感覚が必要」と行革にも積極的。目指すは、従来型のバラまきではない新しい時代の福祉だという。(1面参照)
――今、なぜ福祉なのか。 「地方の仕事は増えているが、三位一体改革で財政状況は厳しくなっている。指定管理者制度も導入され、採算部門はどんどんアウトソーシングできるようになっている。お金がなくても、採算がとれなくても行政がやらなければならない仕事が福祉と教育と考えている。福祉の根幹は人だ。人を育てることが何より大切だ。行政の限界もみえており、住民とのパートナーシップの中で従来のバラまきではない福祉を栃木市から発信したいと考えている。
教育については、小中九年の一貫教育を特区で実施する準備をしている。これらのことが結果的に市の付加価値を高める。産業振興策も何もかも一つの自治体で完結させる必要はない。「住むなら栃木市」といってもらうことが目標だ。
――トータルサポートセンターの必要性は。
「今の福祉制度は、少数派で声にならない問題が抜け落ちている。県議会議員時代から自閉症の子どもをもつ親の方々と交流し、ボランティアもしてきた経験からも痛感していた。知的発達障害のない子どもは療育手帳ももらえない。発達障害のある子どもの四〇%は判定から漏れ、何のフォローもないまま学校に進学していく。そのことが学級崩壊にもつながっていると思う。根っこの問題を何とかしないと学校での現象だけをみていては解決しない問題だ。相談機関や支援策はさまざまあるが、制度を人にあてはめているだけで十分に機能していない。人を中心にしてコーディネートする仕組みが必要だ。(以下略)
褥瘡予防のケープ(神奈川県横須賀市、046・821・5511)が三月に新発売した「ビーズパッド」(写真)は寝ている姿勢を整えて体圧を効果的に分散させるだけでなく、身体の動きを「支持する」という新しい考え方を取り入れた補助用具だ。
「エアマットでは体圧を分散させるため、身体を支えることのできる″低圧″の限界に挑戦してきました。一定以上低圧にすると身体が埋まってしまい、自分では動きにくくなり、褥瘡も改善しにくく、さらにいえば自立を疎外しかねないのがジレンマでした」(竹田和博企画室長)
エアマットだけで解決するのではなく寝ている時の姿勢の崩れをなくすことで無理なく体圧を分散するための補助用具を利用する。そのアイデアは市内の施設へ勤務する理学療法士伊藤亮子さんと竹田室長が研修会で出会ったことから生まれた。ドイツへの留学で体操指導者と理学療法士の資格を取得した伊藤さんは、単に姿勢を維持するだけでなく動きをサポートするポジショニングを提案していた。ドイツの養護学校では、ピローを用いてサポートしながら、腹這いや座る、横向きなど自分一人ではできない姿勢をとらせることをリハビリテーションの一環で行っていた。姿勢を維持するだけでなく「動きを支持する」場面での使用も想定したのがビーズパッドの特徴だ。
たとえば、抱き枕のような棒状のI型タイプは、折り曲げて使えば腰から両足にかけて下半身全体の姿勢保持に使える。仰向けで長い時間寝たままでいると起こりがちな足の拘縮の予防や進行防止になる。また、まっすぐに伸ばして仰向けの状態で肩、腰、足を支えるようにすれば、自然に身体が傾くため、自分で寝返りをうちやすい環境を整えることもできる。身体の中心を包み込むような形のC型、関節の曲がりに沿わせて使うV型、隙間を埋める補助にも使えるクッションタイプのO型の四タイプ。これまで日本製ではなかった形状だ。価格は四七二五円〜八四〇〇円。
課題は正しい使い方の普及。同社の情報誌「ケープハート」の最新号で伊藤さんにポジショニングの考え方やポイントの解説、ビーズパッドを使ったケアの実際を紹介してもらった。プロだけでなく在宅でも正しく利用してもらうためだ。姿勢体位管理の必要性を訴え、ビーズパッドの定着を着実に図っていく考え。(以下略)
東京都は十三日、国会で審議中の障害者自立支援法案について、利用者負担にかかる上限額設定の設定には障害者本人の所得を基準とすること、長時間サービスを利用している重度障害者が多い市区町村の財政負担が生じないよう、国の負担上限額の設定にあたっては現行の支援費等のサービス利用実態を十分に反映し、基準額を上回る水準でサービスを提供している自治体についても何らかの財政支援を講ずるべきなどとする要望書をまとめ、厚生労働省に提出した。
負担上限は「個人単位で」
障害者自立支援法案は現在衆議院厚生労働委員会で審議が進められているが、政省令委任事項が二○一、告示事項が一二と、運用の詳細はほとんど法成立後の検討事項となっている。国会では、利用者や自治体など関係者の意見を聞きながら慎重に検討すると厚生労働省は繰り返し答弁しているが、すでに利用者負担の導入などは自立支援医療については今年十月から、介護給付については来年の一月から予定されており、余裕はまったくないといっていい。
そこで都では、特に慎重な検討が必要だとする項目について、障害者団体や市区町村の意見を踏まえた上で要望をまとめた。当事者からも反発の大きい利用者負担の導入に対しては、@負担上減額の設定を世帯収入ではなく本人の所得に着目すること、A精神障害者の通院医療費やグループホーム・施設入所者に対する負担軽減措置の追加、など、負担能力を適切に反映した仕組みが不可欠だとした。住居費・生活費が高い地域事情も十分勘案すべきとし、現在自治体の単独補助で実施している家賃助成なども収入認定対象から除外を求めた。(以下略)
社会保障制度の一体的な見直しを検討している「社会保障の在り方に関する懇談会」(細田官房長官の私的諮問機関)は十七日、これまでの議論の整理を行った。比重の高い高齢者関係給付を少子化対策へシフトする方針が示された。介護保険制度については、自己負担の見直しについて意見が分かれたことや、給付の伸びについて明確な目標設定が必要との意見が出たことに触れている。
同懇談会は、昨年七月に設置され、これまでに九回の会合を行ってきた。論点の整理は、六月に政府がまとめる骨太の方針のたたき台とするのがねらい。
論点整理では、現在の少子化の流れを変えるために、「高齢者関係給付の比重が高く、児童・家庭関係給付の比重が非常に低い現状を見直す」と明記。特に少子化対策と経済政策強化していく必要があるとした。現行の扶養控除や児童手当などの代わりとして「育児保険」の創設も検討材料としてあげている。
一方、社会保障の給付と負担のあり方については「大きく意見が分かれた」としており、個別制度の合理化を優先させる意見や、全体の規模を設定した上で個別制度の合理化を進めるべきとする意見を併記。一体的な見直しにあたっては、年金と介護重複給付の調整、高齢者の社会的入院解消のための医療と介護の役割分担など、制度の役割や相互関係の調整が必要とした。(以下略)
財政破綻の二大リスクは地方交付税の削減と介護・医療など福祉関連の義務経費と考えている首長が多いことが「市町村サミット」のアンケートでわかった。行財政改革のために七割を超える市町村が中長期的な財政見通しが必要だと考えているものの、実際にプランを策定しているのは四割弱でその理由としては「地方交付税」の見込みがたたないことを挙げている市町村が最も多かった。三位一体改革で地方交付税は廃止の方向で削減され続けているが、自治体の自立のためにも全国的な財政調整の堅持を導入することを求めている。
「市町村サミット」は、市町村の自治権の確立を実現することを目的に二〇〇三年に発足。改革推進派の一四九市町村長で構成している。アンケートは「市町村が自立を図るために必要なこと」をテーマに今年三〜四月に二六九〇市町村を対象に実施し、九八七団体から回答を得た(回答率三六・七%)。
「中長期的な財政見通しが必要だと思うか」の問いには、七割が「絶対に必要」と回答したが、「策定済み」は三七・七%にとどまる。策定を検討していない理由として、「地方交付税や税収等の歳入面の見込みが立たない」を理由とする市町村が五割強と多くなっている。財政破綻のリスクとしてあげられるのも、トップは地方交付税の削減で、次いで、介護、医療、生活保護などの義務負担だ。
一方で、財政再建のために住民にどんな協力を求めているかについては、「税や使用料・手数料などの負担増」が三七・六%と四割近くで最も多く、ついで「役所業務の市民へのアウトソース」三〇〇件(二二・五%)、「歳出カットのためのサービス水準の低下」二三五件(一七・六%)という状況にある。
同サミットは、自治体に対しては、「住民の協力を得るためには、『コスト削減□総人件費削減』への努力が望まれる」とする一方、市町村の自立のためにも地方交付税のように全国的な財政調整の仕組みを堅持することを求めている。
サミットの呼びかけ人である穂坂邦夫市長の志木市では少子高齢化の影響を見込み職員数を一六年後に六一九人から三〇一人に削減するなどの目標を掲げ積極的にコスト削減に取り組んでいる。(以下略)
全国痴呆性高齢者グループホーム協会(全国GH協・木川田典彌代表理事)などが主催する全国認知症高齢者グループホーム大会が二十一日から二日間、愛媛県松山市で一四○○人が参加して開催された。認知症ケアの切り札として介護保険でいち早く制度化されたグループホームだが、直後から事業者の急増や密室化によるケアの質の確保など多くの課題が指摘されている。大会では、二月に石川県のグループホームで起きた殺人事件について、研修体制や評価事業の強化など協会を上げて再発防止に取り組む方針が示されたが、ユニットケアや新型特養の普及もあって″家庭的″″個別ケア″がもはやグループホームだけの特権ではなくなりつつある。グループホームが果たす役割やそこで働く職員の専門性を改めて問い直すべきだとする現場関係者の声も上がった。
二日目の最終プログラムに予定されていたパネルディスカッションでは急遽予定を変更し、全国GH協の岩尾貢理事(石川県支部)が二月十一日に石川県のグループホームたかまつで起きた殺人事件について、協会としての対応の経緯や再発防止のための方策などを説明した。
事件はまだ公判中であり全容解明には至っていないが、同支部では職員の派遣や入居者・家族等への相談にあたるなど支援してきた。
その経過の中で、事件を起こした施設は協会員ではないものの悪質な運営をしているわけではないことが分かったという。
夜間のケアを容疑者一人だけで担っていたことが事件の要因ではないかと問題視したマスコミなどの報道については、「その時々の利用者の状況などに応じてシフトを柔軟に組むのが認知症ケアの基本であり、もっと多い利用者を一名で担当している介護現場は数多くある。一人で夜間ケアを対応することが事件の主要因とは考えられない」。むしろ容疑者が夜勤専門で利用者の日中の生活をよく知らないことに問題があると指摘し、制度上の人員配置だけの問題ではないという考えを強調した。
再発防止へ研修 体制の強化要望
その上で全国GH協としては、事件の再発防止のために必要なこととして研修体制の強化を第一にあげた。特に開設前のホームに対する研修や審査については、指定・指導権限を持つ自治体が中心となって取り組んでいくべきであるとし、県に要望書を提出したという。
「職員の精神的負担を軽減するための支援体制づくりも今後の検討課題だが、現在グループホームだけに義務化されている外部評価事業に一層力を入れていくことが地域住民にグループホームを理解してもらうことにつながる」。
評価事業がこれまで認知症ケアの質の向上に重要な役割を果たしてきており、事件の再発防止にも有効に機能するという考えを示した。
「ミニ施設化」しているホームも
この後行われたシンポジウムでは、グループホーム関係者や外部評価調査員、介護家族などさまざまな立場からグループホームの抱える課題や今後の展望について発言があった。
愛媛県の岩間寿子さんは、介護相談員の活動をしながら二○○二年度からはグループホームの外部評価調査員にもなった。
「最初はちょっと質問をしただけで追い返されてしまったりと苦労も多かったが、今では私たちの意見を環境づくりや日常のケアに生かしてくれる現場も増えてきている」といい、評価事業が着実に根付いてきていると話す。一方で病院的なナースコールを設置していたりトイレのドアがカーテンで仕切られているなど″ミニ施設化している″ホームも目に付くと報告した。(以下略)
フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団は二十一日、「車いすの安全性を考える」をテーマにシンポジウムを開催した。車いすのまま乗車できるのが便利な福祉車両だが、利用者の安全対策は未整備だ。具体的な事故例をもとに、さまざまな課題が指摘された。
岐阜県警科学捜査研究所の福山邦男管理監が紹介したのは二〇〇〇年に起きた死亡事故例だ。
事故に遭ったのは、バンタイプの軽自動車。後部収納スペースに車いすを固定し、乗車していた身障者が死亡した。事故による衝撃でも固定装置は壊れず、進行方向を向いたまま乗車、当初は腹部に軽い打撲を訴える程度だったが、八時間後に容態が急変した。
解剖の結果、ベルトが当たるべき骨盤の位置から身体がずり下がってお腹に衝撃を受け内蔵が損傷したことが死因だった。車いすは座席ではないために、安全基準はないのが現状だ。
福山氏はメーカーに対して@ベルトは骨盤や状態を完全に拘束できるようにする、A身体に密着する部材は衝撃吸収できるものに変える、B三点以上のシートベルトやエアバッグの装備、C固定装置への衝撃吸収装置の装備などを提言した。(以下略)
厚生労働省は十三日、介護サービス情報の公表担当課長会議を開催した。〇六年四月の施行に向け、都道府県への支援や協議を行う場として、国や都道府県、シルバーサービス振興会などが参画する「『介護サービス情報の公表』制度施行準備・支援協議会(仮称)」を六月にも立ち上げる。施行まで一年を切ったことを受け、同省は、参加した都道府県担当者に、直営か指定かの実施体制の決定や調査員の確保などの準備を進めるよう促した。これまで「情報開示の標準化」とされてきたが、改正介護保険法では「介護サービス情報の公表」と改めている。グループホームだけに義務付けられている外部評価についても将来的には一本化する方針を示した。
会議では、施行までのスケジュールが示された。一年弱の期間に円滑に準備を進めるため、国と都道府県、指定調査機関、調査研究に関わっているシルバーサービス振興会が参画する「『介護サービス情報の公表』制度施行準備・支援協議会(仮称)」を六月以降、ブロックごとに順次立ち上げ、公表の仕組みの構築や「必要な協議や支援」を行うとしている。
具体的には、@調査員の養成に関する取り組み、A養成研修教材の開発、B啓発・普及セミナーの開催、C公表システムの業務省力化の検討\\などの取り組みを進める。 都道府県に対しては、早急に直営で行うか、指定調査機関や指定情報公表センターなどの指定による体制にするかの検討を行い、調査対象事業所数に見合った調査員の養成・確保を行うよう促した。公表事務などに関する費用については、国が算定方法などのガイドラインを示すとした。(以下略)
介護サービスの事業所数は、訪問介護や通所介護、認知症グループホームなどの在宅サービスで伸びている一方、特別養護老人ホームや老人保健施設の前年比の伸びは四%程度にとどまっていることが、厚生労働省が十一日に公表した「〇四年介護サービス施設・事業所調査結果(速報)」から分かった。
昨年十月一日に調査を実施。全体的には在宅サービス事業所数が伸びが顕著だ。
訪問介護は前年に比べ一〇%増えて一万七二九五事業所と増えてはいるが、前々年の二七%の伸び率から見ると伸びは鈍化している。
依然高いのが通所介護で一七・九%増。居宅介護支援事業所は、前年比四%増と比較的低調だ。
特に増加しているのはグループホームだ。前年比四八%増の五四三六カ所。二〇〇一年以降は伸び率は縮小傾向にあるが、当初と比べると八倍となっている。(以下略)
今月十一日から衆議院厚生労働委員会で審議が始まった「障害者自立支援法案」について、全国各地の障害当事者団体が法案の問題点をアピールし、修正・再検討を求めるデモを繰り広げている。十二日には五七○団体・八六○○人あまりが厚生労働省前や隣接する日比谷公園に集まり、国会議員に対して問題の徹底解明と慎重な審議を求める緊急要望書を提出した。
法案を巡る大規模なデモは、二月に国会上程直後に行われたのに続いて二回目。全国自立センター協議会や知的障害者の当事者団体・ピープルファーストジャパンなど六団体が中心となり、全国から障害の種別を超えた五七○団体が参加した。参加者総数は八六○○人と過去最大の規模だ。
「所得保障が確立していない中での利用者負担の見直し、高齢者向けの要介護認定を使った支給決定、移動介護の縮小など法案の骨格だけを見ても問題点は山ほどある。さらに肝心な運用はほとんど政省令に委ねられており、法成立後の影響が見えず全国に不安が広がっている」(実行委員会横山委員長)
当事者の意見が十分に反映されないまま、厚労省が拙速に法案づくりを進めたとして強い怒りを表明した。(以下略)
Q子 国会で審議されている障害者自立支援法案の給付の一つに「自立支援医療」というのがあるけれどどういう医療なの。
A男 別に何か新しい医療をするということではない。医療費の自己負担を税で軽減する「公費負担医療」の仕組みがあるのを一つの体系にするということだ。精神障害者福祉法では、「精神通院公費負担」といって、精神障害者が通院で医療をきちんと受けられるようにするための制度だ。デイケアなんかも対象になる。これを使うと所得によらず五%の負担ですむ。
障害者福祉法では「更生医療」で障害を軽減するような医療の低所得者の自己負担分を軽減する。こっちは所得に応じた応能負担だ。児童福祉法の「育成医療」も基本的には同じ考え方で、先天性の心臓病の手術の時にも使える。
Q子 確かに優遇されているけれど、これをどう変えるの。
A男 いつもの得意のやつさ。原則一割の定率負担にし、今まではとっていなかった入院時の食事の自己負担も導入する。
精神は五%からの倍。所得制限が設けられたから一定所得以上の人は通常の三割負担になる。一方、更生・育成医療では応能負担が廃止になる。提供機関の指定、一年の有効期間など運用も共通にする。法律が通れば早々に今年十月から導入予定だ。
Q子 福祉サービスの利用料の引き上げは一月からなのにさらに急ぐのね。払えるの。
A男 特に低所得の人の対策を設ける。市町村民税の非課税世帯を低所得者として二ランクに分け、それぞれ二五○○円、五〇〇〇円の負担上限を設けるんだ。それ以上の所得の人の中でも、医療の必要度が「重度かつ継続」的な場合は、負担軽減のために所得によって三段階の上限をさらに設定する。この場合は負担上限額は五〇〇〇円、一万円、二万円だ。つまり、「重度かつ継続」に該当すれば所得が多くても当面は減免が受けられる。
Q子 「重度かつ継続」って。
A男 今あげられているのは、「重度」にあたるのが精神では統合失調、狭義の躁鬱病、難治性てんかん、更生・育成医療では、腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害。継続は医療保険での多数該当だ。同一世帯で高額療養費を超える医療費が一年で三回以上を超えた場合に上限が適用になる。
当面は激変がないように配慮するようだが、どういう人を「重度、継続」にするかは二年以内にその範囲を見直すというし、三年後には、一割負担の対象となる所得層を引き上げることも検討する。厚生労働省の試算では、十月実施からの半年で、精神医療でマイナス一二億円。厚生・育成医療でマイナス二六億円。そんなに大きな金額ではない。とりあえず、導入してずるずると引き上げていく思惑かもしれない。乱暴な話だと思うよ。(以下略)
介護保険制度見直しで創設される予定の新・予防給付では、軽度者が利用するホームヘルプサービスが大幅に制限される不安は消えない。ヘルパーによる家事援助は、厚生労働省の言うように自立を阻害し、重度化をひき起こす要因なのか。現場の実態に詳しい立命館大学小川栄二教授に検証してもらう。措置制度時代から続いている家事援助に対する低い評価や、多様な生活実態を無視した政策づくりが進められてきた中で、本来家事援助の持つ有効性が歪められたまま給付削減のために利用されていくことに強い危機感を抱いている。(編集部)
介護保険改正法案の国会審議が最終局面を迎えようとしている。周知のとおり、国は介護保険制度の見直しの目玉として、軽度者に対する新予防給付(筋力向上、栄養改善、口腔機能向上など)を新たなサービスとして導入するとともに、既存サービスの見直し=給付抑制を打ち出した。
特に「単に生活機能を低下させるような家事代行型の訪問介護」については原則行わないものとし、例外的に行う場合でも、必要性について厳格に見直した上で、期間や提供方法等を限定する、という立場は国会答弁でも一貫しており、ホームヘルプサービス利用者、訪問介護事業者、ホームヘルパーの間に危機感が強まっている。
要支援・要介護1の軽度認定者は、生活の不活発さによって徐々に心身機能が低下していくタイプ\\いわゆる「廃用症候群モデル」が多く、その要因として利用者が自ら実施できるにもかかわらず、掃除・調理等の家事を利用者に代わって行う「家事代行型」の訪問介護サービスの利用があるというのが見直しの根本にある理屈だ。
しかし、これは大きな間違いである。筆者は一研究者としてホームヘルパーの業務、特に家事援助の専門性とは何かを長年追求し続けており、現在も登録ヘルパーを中心とした全国組織「ホームヘルパー全国連絡会」とともに、一○○○の事例研究を進めている。家事援助が「家事代行」であるどころか、家事援助こそ軽度者の自立や生活改善に極めて有効なサービスであると認識している。
そこで本連載では、家事援助が廃用症候群を引き起こし、「家事不能」を作り出すとする論拠が極めて脆弱であることを指摘していくとともに、事例等を踏まえながら家事援助の有効性について考察していきたい。
ところでこうしたホームヘルプサービスに対する制限はすでに現行制度でも行われており、その代表的なものが二○○○年の途中から導入された「不適切事例」である。「利用者以外の者に係る洗濯、調理・買い物」「花木の水やり」「ペットの世話」などが代表例だが、利用者の状態からみて画一的に制限することは難しく、事業者、ヘルパー、ケアマネジャーの間ではすでに″共通の悩み″となっている。
また、通院・院内介助の制限、散歩介助などの「禁止」が現実に強化されている(閉じこもり防止が課題のはずなのに)。特に困っているのは待ち時間の長い大病院での付き添いである。介護報酬は送迎時間部分しか認められず、事業者・ヘルパーの″ボランティア″で行うか、利用者の私費契約で行わざるを得ない。
また、措置制度の時は、老人福祉法に基づくホームヘルプ事業の実施要綱が定められていたわけだが、所得や心身の障害要件、同居家族の有無などによる対象制限、派遣回数・時間数などが示されていた。
サービス内容の制限については、実施要綱で明確に示されていたわけではないが、一九六五年、厚生省(当時)は都道府県からの疑義に対して、「田畠の耕作、商品の売買、庭の草取り、家屋の修繕、便所のくみ取り、大掃除等、直接身の回りの世話に属さないとされる業務」と回答しており、実質的な制限となっていた。家族要件については、一九八九年の要綱改定で「その家族が老人の介護を行えないような状況にある場合」から「老人又はその家族が老人の介護サービスを必要とする場合」と、″介護に欠ける″という考え方から、利用契約や家族介護負担の軽減を念頭に入れたと考えられる「必要とする場合」に変更されている。
個別のニーズに対応しない画一的なサービス提供など、公的サービスの限界が政策サイドから批判されたこともあり、要綱上は徐々に緩和されてきた。有料の契約型サービスはそうした流れの中で生まれてきたものでもある。(以下略)
北海道本別町はこのほど、認知症高齢者の在宅生活継続を支援するため、長時間の見守りや話し相手となるボランティアを養成・派遣する「やすらぎ支援事業」の成果を報告書にまとめた。認知症の初期の段階に利用を開始すれば、家族の介護負担軽減をはじめ、本人のコミュニケーション能力の向上や社会参加への意欲を取り戻すなど重度化予防にも効果がある上、施設入所の場合と比較した財政効果も確認した。このため同町では介護保険制度の見直しで創設される新・予防給付や地域支援事業にも同事業を位置付け、全国的に推進していくべきと提言している。
「認知症高齢者家族やすらぎ支援事業」は、市町村の補助事業である「介護予防・地域支え合い事業」に位置付けられているメニューの一つ。
人口九二九四人、高齢化率二七・八%の同町には在宅で生活する認知症高齢者が一一○人いる。できる限り在宅生活を継続できるようにするための仕組みづくりを目指して二○○二年度からこの事業を実施。年齢や資格の有無を問わず研修を修了した住民が主体的に支援員として活動できるようにしているのが特徴だ。○三年度から国の「未来志向プロジェクト」で事業の有効性について検証してきた。(以下略)
政府の経済財政諮問会議は四月二十七日、社会保障給付費の伸びの抑制について議論した。民間議員らは名目GDP(国内総生産)の伸びの範囲内に抑え、高齢化が急速に進む時期にはある程度の伸びを許容する「高齢化修正GDP」を提案。小泉首相が「(社会保障給付費には)何らかの目標を決めて管理する必要がある」との見解を示した。今回の民間議員の提案も含め、給付抑制策についての検討が進められる見通しだ。 奥田碩日本経団連会長ら四人の民間議員は、「いかなる歳出も、名目GDPを超えて伸び続けることは不可能」とし、増え続ける社会保障給付費を名目GDPの範囲に抑える考え方を基本に掲げた。 ただし、高齢化のピークである二〇二五年までは、ある程度の自然増はやむを得ないとして、経済成長率に高齢化要因を加味した指標「高齢化修正GDP」を提案。具体的には、名目GDP成長率に、前年度の全人口に占める六五歳以上人口の増加数の半分の割合を加算した数字を伸び率としている。高齢者数の増加がとまれば、名目GDPが上限となる。
昨年五月の厚生労働省の試算によると、二〇二五年度の社会保障給付費は一五二兆円となり、名目GDPの二一%を占める見込みとなっている。これに対して民間議員側は、高齢化修正GDPを採用した場合には、一二三兆円、同比一七・二%に抑えられると試算している。
高齢化のピーク時には、「給付スリム化」のためのサービスの向上プログラムや診療報酬・介護報酬改定、保険給付範囲の見直し策を盛り込んだ医療・介護の「集中改革五カ年計画」を策定するよう求めている。(以下略)
移動困難者に移送サービスを提供する市民団体などが参加する全国組織三団体は、有償移送を行うNPOが道路運送法上の許可を得るために必要な「運営協議会」の設置が全国的に遅れているとして、各都道府県に設置を促す申し入れを今月中に順次行う。協議会の設置は、長らく黙認扱いされてきた活動を正式に「認可」するための前提条件だが、市町村の動きが鈍く設置数は全国で四〇地域にとどまっているため、NPO側が申請できないという状況が各地で起こっている。三団体は行政への働きかけを強め、年度末までに全国五〜六割の地域での設置を実現したい考えだ。
申し入れを行うのは、移送・移動サービス地域ネットワーク団体連合会、移動サービス市民活動全国ネットワーク、市民福祉団体全国協議会(市民協)の三団体。合わせて約一二〇〇の団体が所属している。 都道府県あてに、各地域の移送・移動サービス団体の実態を把握すること、NPOから運営協議会設置の要請があった場合には市町村に協議会を設置させるか、都道府県が広域的な協議会を設置すること――を求める要請書を作成。各地で移送サービスを実施する市民団体が担当窓口に提出する。あわせて、県内の利用者ニーズや団体の活動実態、協議会設置の課題などについての調査も行い、六月中にとりまとめを行う予定だ。
NPOによる有償移送サービスは、昨年三月の国土交通省の通達により、自治体が設置し行政や関係交通機関などで構成する「運営協議会」の協議で認められれば、一定の条件を満たした上で道路運送法上の例外を規定する八○条にもとづく許可がとれることになったが、その協議会の設置が全国的に遅れている。現在、設置している都道府県、市町村は四〇地域ほど。準備をしている地域を含めても一〇〇地域と「危機的な状況にある」(市(以下略)
認知症の予防や進行の悪化防止を目指す「予防デイサービス折り梅」(054・268・5521)が先月二十九日、静岡市内に開設した。スリーA方式の認知症予防を全国に広げてきた増田末知子さんが立ち上げた。介護保険の通所介護事業としての認知症予防のモデルケースとしていく考えだ。
スリーAは、明るく、頭を使って、諦めないの頭文字。増田さんは、初期段階の認知症を判定し、早期に機能回復することに一〇年以上前から取り組んできた。「優しさのシャワー」と表現されるスタッフとの濃密なコミュニケーションの中で、散歩や太鼓の練習、ゲームなど脳を刺激する活動を行うのがポイントだ。一九九二年から民間の脳活性化訓練施設を運営、参加者の体験談は「折り梅」として映画化もされた。介護保険の導入で予防が注目されるようになったことで、自治体の予防事業として取り入れるところも増えてきている。 介護保険の通所介護事業は増田さんにとって初の挑戦だ。「介護保険の中でできる事業としてのモデルをここで示し、全国に広げていきたい」と抱負を話す。
従来のプログラムは六カ月単位だったが、デイの場合は必要であればいつまでも利用できるようになるメリットもある。痴呆型と一般型の併設で定員一五人に一〇人のスタッフを揃えた。要支援〜要介護2程度の軽度の高齢者を対象にし、最大で週三回の実施が当面の目標だ。(以下略)
支援費制度を見直し、これまで身体・知的・精神とバラバラの法律だった三障害の福祉サービスを同じ体系にする「障害者自立支援法案」の国会審議がいよいよ本格化する。改革の全体像と論点をまとめた。サービス体系の再編 身体・知的・精神・児童と、これまで障害の種別ごとの法律で整備されてきた膨大なサービスメニューを再編し、基礎的な福祉サービスについては共通の枠組みで利用できるようにするのが今回の改革の最大のねらいだ。 新たな給付体系では、給付の種類を一人ひとりの支援の度合いに応じて支給する「自立支援給付」と、地域の実情に応じて市町村が実施するメニュー事業「地域生活支援事業」に整理。前者についてはかかった費用に対して国の負担義務を新たに設けた。
自立支援給付はさらに、基礎的な介護サービスにかかわる「介護給付」と、就労や機能訓練に関連する「訓練等給付」、そして精神障害の公費通院医療など基本的な医療系サービスをまとめた「自立支援医療」の三種類に分類されるが、それぞれの給付に位置付けられるサービスメニューについては三障害相乗りの効果が発揮できるよう、支援内容や機能に着目して大幅に再編する。
例えばホームヘルプであれば重度の肢体不自由者向けのほか、さらに難病などで状態の変化に合わせた柔軟な対応を必要とする重度者については、さまざまな介護サービスが一体的に提供できる重度包括型も設ける。同様に、施設やグループホームなども障害者本人に着目して、サービスを再編する。これまでの知的・精神のグループホームではある程度自立した障害者が対象だったが、今後は重度者やさまざまな障害者が共同生活を送ることもできるようになると説明されている。施設入所者が他の施設のデイサービスや機能訓練を利用するといったことも可能だ。
新たな事業体系については今月から実施する在宅・施設サービス事業者の経営実態調査の結果を踏まえて決める。障害者個別の状況に合わせたサービスが受けやすくするのがねらいだが、事業者にとっては事業のリセットと同じ。小規模作業所は地域支援事業に移行するケースが多いとも見られており、法成立後の運営基準ができるまで先行きは分からない。(以下略)
衆議院厚生労働委員会は二十七日、介護保険法改正案について焦点になっていた介護予防の三年後の検証など二点について政府案を修正した上で、自民、公明、民主各党の賛成多数で可決した。民主党が修正を求めていた三項目のうち、被保険者・受給者の範囲について付則に「拡大」と方向性を明記する修正については与党が拒否したため、付帯決議で決着した。五月十日の衆院本会議で可決し、参院に送られる見通しだ。
法案の修正は、法律の施行後三年をめどに、新たに創設する予防給付・地域支援事業の費用対効果などの検証を行う上で所要の措置をとることと、虐待の防止・早期発見のために権利擁護事業を地域支援事業の必須事業にすることの二点。いずれも民主党が求めていた。
審議で焦点になってきたのは、新たに軽度者を対象に創設される介護予防サービスだ。これまで利用してきた家事援助やデイが引き続き利用できるのかどうか、新しい支給限度額がどの程度になるのかなど具体的な内容について政府が明らかにしないことから、予防の目玉とされてきた新サービスの筋力トレーニングの効果が追求され、昨年の市町村が行ったモデル事業でも一六%が状態が悪化、途中で中断したり、参加者集めに苦労していたりする実態を明らかにした。また、これまで補助金で行ってきた六五歳以上のヘルス事業などを保険財政も投入して行う地域支援事業については、かえって費用が膨らむのではないかといった問題が指摘されていた。
最も懸念されていた家事援助サービスのカットについて尾辻大臣は「適切なマネジメントにもとづくサービスは認められる。独居や要介護者同士の夫婦が行えない家事援助は行うことができる」とした。このほか、軽度者の通所介護でも筋トレ以外のメニューも行えるようにする、予防サービスを強制しないことなどが確認されたが、かえって従来の介護給付との境界が判然としなくなった印象だ。
付則に盛り込まれている、「被保険者・受給者の範囲」についての検討を「範囲の拡大」と方向性を明確にする修正は与党が拒否、付帯決議で決着した。このほか、医療・看護の小規模多機能化を念頭においた在宅療養の強化、地域包括支援センターの弾力的な設置形態を認めること、ケアマネジャーの質の向上と介護報酬の見直しなど四点が付帯決議に盛り込まれた。(以下略)
厚生労働省は二十六日、障害者自立支援法案成立後、来年一月から新制度に基づく支給決定基準で使用する「新障害程度区分」について、介護保険の要介護認定基準をベースとした調査項目を使うことを決めた。
全国二四六八人の障害者に対して要介護認定を実施してみたところ、一次判定結果と支援費の施設給付で用いられている障害程度区分などとの間に高い相関関係が認められ、要介護認定基準が障害者の介護の必要度を測る尺度としても「有効である」とする結果がまとめられたのが理由という。来月から六一の市町村でモデル事業を行う。ただ、精神障害者については四割が自立(非該当)。
同省では、要介護認定基準による一次判定はあくまで心身機能の評価にとどめ、就労支援などのニーズについては別途勘案する調査を行った上で最終的な支給決定を行うとしている。慎重に検討すべきと異論も相次いだ。
同省では、以前から基準の検討にあたって介護保険の要介護認定基準を活用することを示唆しており、有効性を検証するために調査研究を実施。二十六日の社会保障審議会障害者部会(部会長=京極高宣国立社会保障・人口問題研究所所長)に結果を報告した。
対象となったのは現在福祉サービスを利用している全国二四六八人の障害者(身体障害七三七人・知的障害八四一人・精神障害八九○人)。全員に要介護認定基準を用いた調査を実施し、併せて現行の支援費制度の施設給付で使用されている障害程度区分、介護支援専門員が判断した要介護度なども参考にし、その相関関係を調べた。
給付対象外となる非該当者はそれぞれ一割程度となっており、判定結果とその他の評価結果との間には高い相関性が認められたとしている。(以下略)
介護保険法改正案は衆院を通過しそうだが、ほっと息をついている余裕はない…と池上直己慶應義塾大学医学部教授はハッパをかける。介護保険を社会保険の普遍的な基準による給付という原則から見たときに、改正では積み残しにされたままの課題がたくさんあるという。今回は予防給付の導入で給付抑制がもくろまれたが、むしろ自立と軽度者の境界があいまいな認定基準と、給付限度額をそれぞれ見直した上で介護保険の対象範囲を拡大すべきだと総括する。目を向けているのはすでに次の〇九年度改正だ。給付の基準と給付額だけでなく、医療保険や生活保護制度などとの調整を同時並行的に進める作業を、「法案が通過し次第ただちにとりかかるべき」と促す。
――改革案についてはどのように評価されているか。
「今回の改正は、″給付の抑制″が最大の課題といわれてきた。そのために、給付限度額の中で購入できるサービスを限定しようというのが予防給付の考え方だが、私は二つの意味で、期待されるほどの効果は得られないのではないか、と見ている。
一つは、給付増をどの程度抑制できたら介護予防として成功したとみなすかの具体的な目標値が示されていないこと。高齢化による自然増は避けられないが、どの程度の伸びであれば許容するかという議論がなかった。これでは予防給付の効果を評価できない。
もう一つは、サービス内容は実態として変わるのかということ。筋トレ、口腔ケア、栄養改善といったメニューに加え、最終的には予防訪問介護や予防通所介護などが設けられた。しかし、本当に″本人の自立を促す内容″になっているかを確認するのは、現場への抜き打ち指導か監視カメラの設置でもしない限り難しい。結局は、ケアプラン上の操作によって介護給付と変わらないサービス提供に終わる可能性もある。以上の理由で、予防給付による給付増の抑制効果は限られている」(以下略)
ヘルパーが定着している事業所では、定着していない事業所に比べて、サービス提供責任者(以下、提供責任者)が訪問介護計画作成などの「指定基準で定められた業務」を行っている割合が高いことが、連合総合生活開発研究所の調査結果から分かった。現状では、事業所のヘルパー不足などから代行訪問などのヘルパー業務に時間を割かれている提供責任者だが、本来業務であるヘルパーの研修業務を充実できれば、ヘルパーの定着にもつながるとの主張だ。報告書は、サービス提供責任者の業務を明確化することや、その職業能力を担保する資格の新設、介護報酬による加算を求めている。
調査は昨年八月、全国の訪問介護事業者の中から「営利法人」で「職員数七人以上」の三五〇〇法人と、その職員のうち四一一一人を対象に行った。集計数は各六〇五法人、六三六人だった。
提供責任者は五〇歳以上五五歳未満が最も多く、平均年齢は四四・三歳。持っている資格は、介護福祉士と、ホームヘルパー一級がそれぞれ四割超。勤務先は「有限会社」が五六%で、雇用形態は「正社員」が八六%と多く、平均年収は二七五・五万円となっている。
事業所のサービス提供責任者の人数は「二人」が最も多く、担当するヘルパーの人数は「九〜一〇人」が最も多い。責任者としての仕事以外に事業所やサービス提供部門の管理の仕事を「兼務している」割合は約半数だった。(以下略)
ダイヤ高齢社会研究財団では現在、訪問介護サービス事業所にモニタリングシステムを定着させるための研究事業に取り組んでいる。その第一段階としてこのほど、サービス提供責任者向けのモニタリング表を作成した。ヘルパーは利用者とのかかわりが深く、生活実態を最も身近で把握できる職種であることに着目。ヘルパーやサービス提供責任者がモニタリングの観点から適切に把握することで、訪問介護計画書やケアマネジャーのケアプランにも生かせるようにするのがねらいだ。
研究は、同財団の町田研究分室が中心となって取り組んでいる「介護サービスの質に関する研究事業」の一環として、昨年度から三カ年計画で取り組んでいるものだ。
ケアマネジャーには三カ月に一度のモニタリングの実施が義務付けられているが、サービス提供の効果や利用者の状態を的確に把握するには一人の力では限界もある。一方、ホームヘルプは他のサービスに比べて利用回数が多く、要介護度の軽い高齢者にも単独のサービスとして利用されるケースもあることから、ホームヘルパーの持つ情報をケアマネジャーが共有できる仕組みがあれば、ケアプランや訪問介護計画書の作成にもメリットは大きいと考えたという。それが訪問介護事業所用のモニタリングシステムだ。
その第一段階としてまずサービス提供責任者の役割に着目。介護保険の運営基準では、ヘルパーの行うサービスが訪問介護計画に沿って実施されているかを把握し、助言・指導などを行うことが位置付けられているが、その頻度やモニタリングの手法は特に定められておらず、記録に残すことも義務付けられてはいない。そこで、サービス提供責任者が訪問によって把握した利用者の状態の変化を、体系的に蓄積できるようにするためにモニタリング表を作成した。(以下略)
厚生労働省は十九日に二○○四年度に市町村が実施した「介護予防事業モデル事業」の中間報告を衆議院厚生労働委員会に報告した。審議で焦点となっていた筋力トレーニングの有効性については、参加者九八人のうち四三・九%で要介護度が改善したものの逆に悪化した人も一六・三%もいた。厚生労働省では「有為な効果があった」と評価しているが、野党は「効果がない人もいるという点が重要」と反発している。効果があると評価している自治体の中にも、リスク管理やスタッフの確保など多くの課題をあげている。効果がどこまで維持できるか、費用対効果はあるのかといったモデル事業では分からない点も含めてさらに検証が必要なのは間違いなさそうだ。
介護保険の見直しについて審議していた衆議院の厚生労働委員会の審議では、新・予防給付の効果について質疑が集中しており○四年度モデル事業の結果を提出するよう求めてきた。厚生労働省では十五日までに報告があった四八自治体のデータを提出したが、さらに同省としての「評価」を行うように求められていた。
分析したのは参加六九自治体のうち、十一日までに報告のあった四八自治体。うち、筋力向上を実施したのが四四自治体。マシンを使用した筋力トレーニングが三七自治体で多数派だ。
筋力トレーニングを行った前後での要介護の変化は改善が九八人中四三・九%で悪化が一六・三%。
「麻痺拘縮」「移動」「複雑動作」など認定にかかわる七つの身体機能の全てで統計学的に有為に効果があったと厚生労働省は評価した。年令別にみると、改善者の割合は七五歳未満の高齢者が四〇・五%に対し、七五歳以上が四六・四%で年齢層の高いほうが改善率が高い。また、脳血管疾患の既往歴がある人では要介護度の改善率は二七・六%と平均を大きく下回る。(以下略)
介護療養型医療施設で、容態急変の可能性は低く医学的管理を必要としない、いわゆる社会的入院患者は減少していることが厚生労働省のまとめで分かった。一方、「病状が不安定で常時医学的管理を要する」患者は増加しており、重度化の傾向がうかがえる。
二〇〇一年にまとめられた医療経済研究機構の「療養型病床群における患者の実態等に関する調査報告書」と、〇四年の「療養病床における医療提供体制に関する調査報告書」の結果を元に、医療保険と介護保険の療養病床それぞれの患者状態を比較した。同省が十三日に行われた社会保障審議会医療部会に提出した。
介護保険適用の療養病床では、〇一年には「容態急変の可能性は低く、施設や住宅で対応できる」が三六%を占めていたが、〇四年には同内容を示す「医学的管理をさほど必要とせず容態急変の可能性も低い」は二八%にとどまった。同省は、医療の必要性が低いのに入院している社会的入院の患者が減少したと見ている。(以下略)
審議終了が間近に迫った介護保険法改正案に市民の意見・要望を反映させようと、市民を対象に介護福祉情報の発信や勉強会を主催する市民福祉情報オフィスハスカップは十九日、衆議員会館で緊急集会「おかしいよ!介護保険」(写真)を行った。衆参両院の厚生労働省委員会委員あてに、新予防給付を振り分け方式ではなく選択メニューとすべきなどの要望をまとめ、出席した民主党議員に提出した。
要望書では、要支援や要介護1の利用者が介護給付から予防給付に振り替えられる新制度の仕組みに異議をとなえ、現状の枠組みのまま必要な介護予防サービスは選択メニューとして追加すべきと要望。厚生労働省が国会に提出した筋力向上トレーニングのモデル事業の結果によると、参加者の一割が脱落、三分の一が悪化していることを指摘し、「介護予防の効果が実証されていない段階での新制度移行は反対」とした。
さらに、本来市町村事業である老人保健事業を「地域支援事業」に組み込み、介護保険料を財源に運営することは介護保険財政の悪化につながるとの懸念を示した。
施設の居住費・食費の自己負担化についても年金収入による区分が妥当でないと指摘した上で、「デイなどレスパイト機能を持ったサービスも利用できなくなる」として、低所得者対策を被保険者が納得できる内容に再調整するよう求めている。(以下略)
長野県はこのほど、高齢者や障害者、乳幼児などを支援する小規模ケアホーム「宅幼老所」について二○○四年度分の概況調査結果をまとめた。介護保険の通所介護を中心とした事業所が全体の八割を占めており、時間延長や宿泊などの自主事業や支援費でのサービスを組み合わせて多機能に展開している事業所も五割に達している。介護報酬で安定した収入が得られることもあって六割の事業所は黒字経営となっているが、一方で職員の病欠やキャンセルが出た場合に事業運営に対する影響が大きいこと、十分なミーティングの機会が持ちにくいなど小規模ならではの課題も改めて浮き彫りになった。同県では今年度から、新たにケアや経営に関する専門家をアドバイザーとして派遣するなど、小規模事業所を運営面から支援していくことにしている。
県では介護保険以降、高齢者や障害者などが住み慣れた地域で暮らし続けていくことを支援するため、日常の生活圏ごとに住民のニーズに応じてさまざまなサービスを柔軟に提供できる小規模ケア施設を「宅幼老所」と呼び、二○○二年度から開設にかかる改修費を補助するなど独自の支援を行っている。
概況調査は、宅幼老所に対する行政支援のあり方を探るために毎年実施しているもので、今回対象となったのは二○○四年度末までに開設した一六二カ所。一二○カ所から回答を得た(回収率七四・一%)。
調査結果によると、全体の八割にあたる七七カ所が介護保険の通所介護を主たる事業として行っていると回答。認知症高齢者グループホームや補助事業としての「生きがいデイ」はそれぞれ一割ずつ。また、全体の半数が複数の事業に取り組んでいたが、通所介護中心の事業所では特に保険外の「通い」や「泊まり」を同時に提供している割合が高く、多機能化が進んでいる実態が分かった。
一二○カ所全体の利用状況を見ると、一カ月間の利用者総数は二三四九名。うち、八○歳以上が七割近くを占める。障害者や乳幼児の利用は全体からするとそれぞれ一%ほどしかなく、後期高齢者の利用が圧倒的多数となっている。(以下略)
Q子 ホテルコストの徴収って施設入所の人の自己負担が引き上げになるってことよね。
A男 入所者だけでなく、デイサービスやショートステイの利用料も上がるよ。
Q子 どうして。
A男 今回の見直しは、今は介護報酬に含まれている原価償却費、つまり事業者からみれば建設コスト、利用者からみれば家賃相当分、光熱費、いわゆるホテルコスト分と、調理の人件費など食事の提供のための費用も保険から外すということだ。年金給付との重複をなくし、在宅との均衡を図るという理屈だ。保険から外した分は報酬から引かれる。これで約三〇〇〇億円の財源削減効果があるとされている。
だから、デイサービスでは食事提供費用分が、ショートステイではさらにホテルコストを自分で負担しなければならなくなる。
Q子 なるべく在宅でって言っているのに変ね。特にショートステイは重度の人を介護する家族にとっては大切なサービスじゃない。
A男 全体的に練れてない感じだ。まず、家賃分に関しては、療養環境、つまり、入居する部屋が個室か四人部屋かで差をつける。一定の所得以下の人には低所得者対策を行う。これがポイントだ。
法律の関連個所は少なくて、これらの費用を報酬から外すことと、特定入所者介護サービス費の支給が追加されたくらいだ。
Q子 特定入所者介護サービス費って。
A男 低所特者対策のことだ。厚労省が食事、居住費にそれぞれ標準的な負担額を設定して、低所得者の負担上限を超えた分を給付する。つまり、本来払うべき金額との差額を保険給付で補うというのが基本的な考え方だ。
対象サービスとしては、介護保険三施設、小規模特別養護老人ホームが条文に規定されている。六二条では、要支援者向けの低所得者対策としてショートステイがあげられている。
高額介護サービス費と同じで、保険で低所得者対策をするというのがポイントだ。違うのは、給付の請求は個人ではなく施設がする点だ。市町村が交付する認定証で保険料の区分を施設に確認してもらって、施設が国保連に請求する現物支給だ。つまり、保険で補てんされる分の費用は支払わなくて済む。ただ、本人が申請しないとだめだからこの点は注意が必要だね。
Q子 入所者が標準額を超えた費用を払った場合は、補てんしないって書いてあるわね。
A男 保険外にするってことは、施設がいくらに設定しても構わないということだ。それじゃあきりがないから、厚生省が決めた標準額以下の料金じゃない場合は低所得者対策はしないということだ。
Q子 具体的にいくらあがるの。個室で月六万円とかっていうじゃない。
A男 六万円というのは、厚生労働省が個室・ユニットの特養ホームの居住費の標準額として示している金額だね。それでいけば、準個室が五万円。四人部屋は光熱費だけで一万円で食事の提供費用が四万八〇〇〇円。多床室の場合だと三万円のアップと試算している。
ただ、これは世帯課税以上の人の話で、それ以下の世帯非課税者は保険料区分ごとに上限が変わる。額面をみると今と差はほとんどない。(以下略)
厚生労働省は十二日、全国の特別養護老人ホームを対象に行った感染管理の実態調査結果をまとめた。感染対策マニュアルは九割の施設で作成していたものの、日常業務の中で遵守されているかを確認していない施設が一割あったほか、感染管理について検討する場が全くないとする施設も三割に上っている。入居者の発熱や下痢など、感染症の早期発見のために症状の把握を行っているのは九割以上が看護職員だ。一方、一施設あたりの平均看護師数は一・九人で半数近くが「日中のみの勤務」。特養ホームでは、少ない看護職が中心となって日常の感染管理を行っている実態が改めて浮き彫りになった。同省では現在、調査結果を踏まえた介護施設向けの感染管理マニュアルの作成に取り組んでおり、来月初旬にも完成する見込みだ。
介護施設の感染管理に関するマニュアルの作成は、この冬、ノロウイルスなどによる高齢者施設での集団感染が全国で相次いだことを受けて厚労省が着手することを決めた。一月末に医療・介護の専門家や施設関係者で構成する研究班を立ち上げており、今回の実態調査もその一環だ。感染対策の具体的な取り組み状況や職員の健康管理のほか、施設によってばらつきのある医師・看護職の勤務体制、業務内容などについても調査した。
十二日に公表した調査結果の速報によると、一月時点で運営している全国五四一九カ所の特養ホームのうち、一九○四カ所が回答(回収率三五・一%)。施設形態は従来型が八割近くを占め、全室個室・ユニットと一部ユニット型がそれぞれ七・七%、五・一%。入所者の平均定員は七一・二人。(以下略)
厚生労働省は十二日、全国介護保険担当課長会議を開催し、施設入所者に対する低所得者対策や地域介護・福祉空間整備等交付金の基本方針、介護保険事業計画作成など主に事務的な手続きについて説明を行った。十月から施設の食費・居住費が利用者負担になるのに伴い、入所者の所得段階に応じた低所得者対策が導入されるが、施設側は入所者の所得段階が把握できないため、保険者が認定証を発行し、サービス利用時に利用者が提示して負担軽減を受ける仕組みとした。
施設での食費・居住費の徴収は、今年十月から実施されるが、施設入所者の中には負担が困難な利用者もいることから、所得に応じた低所得者対策を行う。具体的には、所得に応じて負担限度額を決め、施設が定める費用額との差額部分を介護保険から補足する仕組みだ。
対象となるのは、施設利用者のうち保険料の段階が新しい第一〜第三段階(住民税世帯非課税以下)に該当し、申請した人。入所者がどの所得段階に属するかは施設で把握ができないため、申請を受けて保険者が氏名、住所のほか居住費・食費の負担限度額などが記載された「特定入所者認定証」を交付するとした。入所する際に被保険者が認定証を施設に提示。施設は差額分の給付を国保連から受ける仕組みになる。認定証の有効期限は一年間で、年ごとに申請し直す。
今年は、七月中に施設利用者に給付の見直しについて通知し、第一〜第三段階の該当者を把握。八〜九月に保険者が被保険者からの申請を受け付け、認定証を発行。十月には保険者が国保連の「受給者異動連絡票情報」に「特定入所者認定」の情報を送付する。(以下略)
厚生労働省は十一日、介護保険制度の見直しで導入予定の介護予防システムの要となる「地域包括支援センター」をテーマに市町村セミナーを開催した。既存のシステムを活用してスムーズな移行をめざす自治体もあるが、職員確保や財源への不安など会場からは切実な悩みの声も出た。
介護保険制度で新たに創設される地域包括支援センターは、予防、総合相談、地域のケアマネジャーのサポートを総合的に行う機関で、従来の在宅介護支援センターをパワーアップしたものだ。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの三職種で構成する。保健師は制度見直し後は軽度者の予防マネジメントを一手に担うことになる。国の構想では人口二〜三万人に一カ所程度。専門職を確保するために運営費は割高で、一カ所当たり二〇〇〇〜二五〇〇万円と見積もられている。
「介護保険制度改革の目指すもの」と題して講演した高橋紘士立教大学教授は、「二〇二五年に向けた高齢化の最後の登り坂は、従来型の施策の発想では乗り切れない」と指摘した。全国一律ではなく地域に根ざした介護保険施策を講じること、要支援・要介護1を増やしてしまった地域ケアのマネジメントシステムの転換を図ること、そのためには地域包括支援センターの運営がポイントとなるとし、「従来型の委託方式ではなく、市町村が相当関わらなければならない」と強調した。
先行しているのは北九州市だ。急速に高齢化が進んだ同市では、措置時代から保健福祉センターに保健師を配置し、窓口にきた高齢者の相談に応じる体制を整備。ここで明らかになった課題を区レベルで設置した協議会で検討、必要があれば市にあげる仕組みを構築してきた。
しかし、介護保険制度開始と同時に、相談機能がケアマネジャーにも分散したことで情報を一元化できなくなり、仕組みが一時機能しにくくなったという。そこへ出てきたのが今回の制度改正だ。(以下略)
「子育て」と「介護」。この二つがいっぺんに重なった人たちがその悩みや苦労を分かち合うことができるホームページがあるのをご存じだろうか。東京都内に住む川端美和さんが二○○三年に立ち上げた「育児と介護の両立を考える会」。介護保険に対しては介護者へのサポートが不十分、という指摘は根強くあるが、子育ても同時に行っている家族への支援はさらに乏しいのが現状だ。今はまだ少数派であっても、この先少子高齢化や晩婚化が進めば決して特別なことではなくなる、と川端さん。自分たちの経験と知恵を伝えていく場が、いつしか新たな支援を生み出すきっかけになると考えている。
利用者は両方こなしている現役
「一人暮らしで認知症も出始めてきた父がどうしても寝タバコを止めてくれません。難燃性のシーツや布団はどこに行けば買えるの?」
「義母には一日数回の吸引が必要です。子どもの学校の父母会の役員をうまく断るコツはないでしょうか」
「介護食と食べ盛りの息子の食事を一緒につくるのが今一番の悩み」
インターネットの育児と介護の両立を考える会のホームページを訪れると、メインの「掲示板」には日夜こうした書き込みが絶えない。時間は真夜中だったり早朝だったりとさまざまだが、ここを利用する人はみな、子育てと介護を両方″現役″でこなしているのが共通点だ。
「始めた当初はわずか五人にも満たないくらいだったのですが、今では登録メンバーも二二○人ほどに増えました。登録しても参加(書き込み)するのは自由ですが、愚痴を吐き出すだけになっても必ず誰かが応えてくれる。同じ立場だからつい、共感してしまうのですね」
1年半前にHP開設
会の代表を務める川端美和さんはそう話す。川端さんがこのホームページを立ち上げたのは、約一年半前のこと。自分自身が育児と両親の介護を同時に行っていた真っ最中だ。(以下略)
全国三カ所の認知症介護研究・研修センター(東京・仙台・大府)が二○○一年度から共同で開発を進めてきた「認知症の人ためのケアマネジメント・センター方式」(略称センター方式)がこのほど、全国一六地域でのモデル事業を終え、その検証結果が公表された。ケース担当者の八割超が「効果があった」と評価しており、要介護度や利用しているサービスの種別、周辺症状の有無などの違いにかかわらず同水準の効果が得られたとしている。特に大きかったのはチームとしてかかわった専門職や家族の変化だ。利用者のことをよく見るようになり、ささいな言動や表情からも本人の気持ちを汲み取ろうとする意識が強くなったという。
センター方式は、環境や対応の変化にダメージを受けやすい認知症高齢者が最期まで安定したケアを受けられるよう、サービス事業所などが変わっても本人の情報を継承できるようにしたケアマネジメントシステムだ。全国三カ所に設置された認知症介護研究・研修センターの共同研究事業として二○○一年から開発に着していた。
センター方式の構成は、(A)基本情報、(B)家族や生活史などに関する暮らしの情報、(C)心身の情報、(D)生活リズムやできること・できないことなどを重点的に評価する焦点情報、の四つの領域別に一五種類のアセスメントシートがあり、それを最終的に(E)「二四時間生活アセスメントまとめシート」に反映させて具体的なケアプランにつなげていくようになっている。
利用者の状態に合わせ必要なシートを選択して他のアセスメントツールと併用することも可能だが、最大の特徴は「本人を主語に(本人の視点に立って)、具体的に記入すること」にある。研究開発にかかわった東京センター・ケアマネジメント推進室室長の永田久美子さんは、「介護する家族や友人など、専門職以外の人にも書いてもらえることを目指しています。本人をよく知る人こそケアのツボを知っているからです」と説明する。本人の生活習慣や過去の暮らしぶりを知る身近な人たちからの情報は、いわゆる問題行動とされる周辺症状の原因を探り出す大きなヒントになる。
本人の立場に立って情報を書き込むことで、最終的にケアプランを作成する際、その人らしさを尊重した目標が立てられるようにするのがねらいだ。(以下略)
厚生労働省は三月三十一日、「介護予防サービス評価研究委員会」を開催し、二○○五年度のモデル事業の概要を明らかにした。現在、国会で審議中の法案に沿って、新しい予防給付の認定、予防マネジメントを実践・検証する内容だ。運動器の向上や栄養改善など新たに追加が予定されているメニューについてはマニュアルを作成して提示する。ただ、訪問介護など既存サービスをどう予防給付に位置付けるかは介護報酬を審議する社会保障審議会介護給付費分科会で来年二月頃に結論を得る予定であり、今年度中に予防マネジメント全体を検証することは難しい情勢だ。
見直し後の新しい予防給付の対象となるのが、現行の要支援の高齢者全員と要介護1からスクリーニングで選定された人だ。新しい要支援は二区分になり、現行の要支援が「要支援1」、要介護1の人が「要支援2」となる。
スクリーニングは要介護認定時に行われるため、調査から認定までの流れに見直しが求められる。基準については、予防給付の利用が適切と見込まれない対象者を除外する方式で行う。
除外する条件は、@疾病や外傷等により、心身の状態が安定していない状態、A認知機能・思考感情の障害で十分な説明を行っても新予防給付の利用に係わる適切な理解が困難な人。前者では脳卒中や心疾患、慢性病の急性増悪期などで病状が不安定な状態、後者は痴呆性老人の日常生活自立度U以上、精神疾患などが対象になる。五〜六月に実施予定のモデル事業で追加すべき状態像があるか検証予定だ。二次審査会で実施するスクリーニングの判断材料とするために、調査員が行う調査、主治医の意見書にも項目を追加する。調査項目に追加されるのは、日中の生活、外出頻度、転居をして引きこもっていないかなど家族や居住環境、社会参加の状況の変化を調べる項目だ。かかりつけ医の意見書では、移動、栄養、介護度の改善可能性があるかどうか、改善が期待できるサービスがあるかなど生活機能に関する項目が追加される。これらは新・予防給付が対象とする廃用症候群があるかどうかを見極める項目だが、「対象外の方を排除する方法がスクリーニングの基本であり、ほとんど予防対象になると考えられる」(三浦老健課長)。二次審査会での判定には大きな影響を与えないと説明された。振り分けた結果が、予防に適切な対象者かどうかの検証は行わない。 新たな予防給付に追加される筋力トレーニング・栄養改善、口腔機能の向上や、地域支援事業で実施する介護予防健診、閉じこもり予防、認知症予防などについては個別のマニュアルを作成する。これをうけて、介護予防マネジメントについても秋にモデル事業を実施する。(以下略)
厚生労働省はこのほど、医師や看護師にしか認められていない医療行為の中で、「原則医行為ではないと考えられるもの」について一般からの意見募集を行っている。三十日まで。体温測定や薬の使用などを医療行為から外し、ヘルパーが行えるようにする方針だ。
医療行為にあたらないとしてあげているのは、体温計を使った体温測定、切り傷・すり傷・やけどの処置、自動血圧測定器による血圧測定など。患者が入所・入院して治療する必要がなく容態が安定し、医師や看護師による連続的な経過観察が必要でない場合は、軟膏の塗布、点眼、一包化されている薬の服用、座薬の挿入もできる。このほか、つめのケア、耳垢の除去、ストーマ装具のパウチにたまった排泄物の廃棄、カテーテルの準備、体位の保持、浣腸なども挙げている。
医師や看護師免許を持たないものが行うのが適切かを判断する際の参考とするよう求めているが、病状が不安定で専門的な管理が必要な場合は例外。実施するヘルパーに一定の研修や訓練を行うことや、施設で医薬品を使用する際は看護師が実施することが望ましいとしている。(以下略)
介護保険制度の見直しにあたって、車の両輪である成年後見制度の活性化についても国会で議論を――。日本成年後見法学会(理事長=新井誠筑波大学教授)は五日、衆議院議員会館で成年後見制度の活用を求める緊急集会を開催した。国会では四月から改正介護保険法の本格的な審議が行われているが、車の両輪とされる成年後見制度は「置き去りにされている」ままという。同学会員らは、集会に参加した各党の議員らを前に、利用費用の公的補助や、制度の周知など制度改善を図るための議論を国会で行うよう求めた。
集会には民主党や社民党など一三人の議員が参加。同学会の関係者らを含めて約一〇〇人が集まった。
五年が経ち利用が三〇〇万人を超えた介護保険制度に比べて、成年後見制度の利用はその一〇〇分の一。制度そのものが周知されていないこと、後見人への報酬の支払いが利用者の負担になっていることなどが要因と見られている。
「認知症の高齢者が一五〇万人強いるというのにも関わらず、制度の利用はきわめて低い。介護保険でもこの点について十分な施策を講じてほしい」(赤沼康弘弁護士)
介護保険サービスの利用にあたって、本人に契約締結能力がない場合は、「家族やケアマネジャーが代わって契約している」実態について、「法律的には契約が無効であったり、サービスに問題があった場合や本人に代わって代弁できる人がいないがために不利益を被るケースもある」(大貫正男成年後見センター・リーガルサポート理事長)と指摘した。「財産管理のための制度」という誤った認識もあるという。(以下略)
登録ヘルパーを中心に、ホームヘルパーが個人単位で加入できる唯一の全国組織「ホームヘルパー全国連絡会」は、介護保険法改正で創設される「予防給付」に強く反対している。法案では予防サービスにホームヘルプが位置付けられることになったが、重度化の要因がヘルパーによる安易な家事代行にあるとする厚生労働省の見解は変わらず、予防給付の利用者に対する家事サービスは大幅に制限される可能性が高い。事務局長の森永伊紀さんは、「ヘルパーによる週一、二回の食材の買出しや調理の下ごしらえなどの家事援助が自立生活を支えている」といい、家事を含む生活援助はヘルパーの根幹的な業務であり、単なる家事代行ではないと反論する。
――これまで予防給付に対する反対のアピール文を三回厚労省に提出している。
「現場の怒りが爆発したきっかけとなったのは、昨年予防給付の対象者はホームヘルプサービスが受けられなくなる、ということを大々的に報道した一般紙の記事だったが、仕事がなくなってしまうかもしれない、という危機感よりもむしろ、ホームヘルプという職業に対する誇りを傷つけられたショックの方が大きかった。言い換えれば、家事援助に対する評価の低さです。
私たちは以前から、ホームヘルプに家事代行という概念はなく、身体介護と家事援助も切り離せないものであるとして報酬類型の一本化を求めてきた。前回の報酬改定で生活援助となったが、家事も利用者の生活を支える根幹的な業務の一つとして生活援助に含まれているという意味において的確だと思っている。
最終的に法案では予防訪問介護も入ったが、内容や期間は制限される。相変わらず国にとって家事援助は″家事代行″という認識でしかない」
――家事が利用者の自立を支えている、とは具体的に?
「要支援・要介護1などの軽度の認定者が利用しているホームヘルプは、週一〜二回の生活援助というケースが多い。私自身の利用者でいえば、硬いかぼちゃやさつまいもの皮をむくなど比較的力のいる調理の下ごしらえや食材の買い出しなどが主ですが、こうした家事をなぜヘルパーが行うかというと、残りの週五〜六日を利用者自身が家事を行って過ごすことができるようにするためです。
石川県金沢市の会員ヘルパーも事業所の利用者一八○人を対象に実態調査を行っているが、ヘルパーが食事にかかわる援助をしていたのは約一○○人。一人暮らしや高齢者世帯が七割超で、半数はヘルパー以外に食にかかわる援助者がおらず、やはり本人のできない下準備的なことを行っていることが分かった。
個々の事例を挙げるときりがありませんが、要は限られた時間の中で何をしておけばその人が残りの日々をがんばれるのか、ということ。それは言い換えれば個々の利用者の″生活の質″を決める要素であり、ヘルパーがきちんとアセスメントし、話し合いながら具体的に決めていくものなのです」(以下略)
介護保険制度の見直しで新たに地域密着型サービスの一つとして「小規模多機能居宅介護」が創設されることを受け、静岡県はこのほど、県内ですでに複数のサービスを提供している通所介護事業所の実態調査を行い、在宅生活の継続に資する多機能サービスの要素について分析した。一三七カ所の小規模通所事業所のうち、通所以外にサービスを持つ事業所は全体の二割にあたる四八カ所あったものの、利用者のニーズに応えるかたちで緊急の泊まりや訪問介護などを臨機応変に提供しているところは一五カ所とわずかだった。県では、制度化されると具体的な利用ニーズがないまま多機能化を進めていく事業所も増えることが懸念されるとし、小規模多機能居宅介護の適正な普及・発展のためには、@具体的な利用ニーズを出発点とした多機能サービスに徹すること、Aスタッフ間の意思統一を図るための連絡体制の確立――などが重要な要素であるとまとめている。
実態調査は昨年八月、県内にある定員一五人以下(認知症型一○人以下)の介護保険指定通所介護事業所一三七カ所を対象に行った。介護保険の見直しで創設される「小規模多機能居宅介護」は、デイサービスを中心に個々の利用者のニーズに応じて柔軟に泊まりやホームヘルプなどを提供しながら在宅生活を支援する仕組み。宅老所のケアがモデルとされているが、単純に複数のサービスを持つことが「多機能」と誤解されがちな面もある。同県では、小規模多機能居宅介護が介護保険サービスの対象になると、こうした誤解を持ったまま新規参入が急増することも予想されるため、すでに複数サービスに取り組んでいる現場の実態調査に乗り出した。ねらいは「多機能」と「多角経営」の違いを明らかにし、小規模多機能居宅介護の適正な普及を進めることだとしている。静岡県宅老所・グループホーム連絡協議会が調査委員会となって実施した。
報告書によると、まず事業の概要を把握するアンケート調査を行い、利用者のニーズに対応する形で切れ目なく、一体的に複数のサービス提供を行っている事業所を抽出したところ、回答のあった一一○カ所のうち通所以外に訪問介護やショートステイ、居宅介護支援などの在宅サービスを実施しているのは四八事業所だった。しかし、そのうち二二カ所は介護保険サービスだけの組み合わせとなっており、任意の自主事業などインフォーマルなサービス提供は行っていなかった。一方、通所のほかに市町村の補助・委託事業や任意の自主事業を組み合わせている事業所は二六カ所。このうち、緊急の泊まりやホームヘルプを行うなどして高齢者の在宅生活を支えている事業所は一五カ所あり、それ以外は障害者や児童、介護保険対象ではない元気高齢者など、要介護高齢者に限定しないサービス提供を行っていた。(以下略)
厚生労働省は三月三十一日、「介護予防サービス評価研究委員会」を開催し、二○○五年度のモデル事業の概要を明らかにした。現在、国会で審議中の法案に沿って、新しい予防給付の認定、予防マネジメントを実践・検証する内容だ。運動器の向上や栄養改善など新たに追加が予定されているメニューについてはマニュアルを作成して提示する。ただ、訪問介護など既存サービスをどう予防給付に位置付けるかは介護報酬を審議する社会保障審議会介護給付費分科会で来年二月頃に結論を得る予定であり、今年度中に予防マネジメント全体を検証することは難しい情勢だ。
見直し後の新しい予防給付の対象となるのが、現行の要支援の高齢者全員と要介護1からスクリーニングで選定された人だ。新しい要支援は二区分になり、現行の要支援が「要支援1」、要介護1の人が「要支援2」となる。
スクリーニングは要介護認定時に行われるため、調査から認定までの流れに見直しが求められる。基準については、予防給付の利用が適切と見込まれない対象者を除外する方式で行う。
除外する条件は、@疾病や外傷等により、心身の状態が安定していない状態、A認知機能・思考感情の障害で十分な説明を行っても新予防給付の利用に係わる適切な理解が困難な人。前者では脳卒中や心疾患、慢性病の急性増悪期などで病状が不安定な状態、後者は痴呆性老人の日常生活自立度U以上、精神疾患などが対象になる。五〜六月に実施予定のモデル事業で追加すべき状態像があるか検証予定だ。二次審査会で実施するスクリーニングの判断材料とするために、調査員が行う調査、主治医の意見書にも項目を追加する。調査項目に追加されるのは、日中の生活、外出頻度、転居をして引きこもっていないかなど家族や居住環境、社会参加の状況の変化を調べる項目だ。かかりつけ医の意見書では、移動、栄養、介護度の改善可能性があるかどうか、改善が期待できるサービスがあるかなど生活機能に関する項目が追加される。これらは新・予防給付が対象とする廃用症候群があるかどうかを見極める項目だが、「対象外の方を排除する方法がスクリーニングの基本であり、ほとんど予防対象になると考えられる」(三浦老健課長)。二次審査会での判定には大きな影響を与えないと説明された。振り分けた結果が、予防に適切な対象者かどうかの検証は行わない。 新たな予防給付に追加される筋力トレーニング・栄養改善、口腔機能の向上や、地域支援事業で実施する介護予防健診、閉じこもり予防、認知症予防などについては個別のマニュアルを作成する。これをうけて、介護予防マネジメントについても秋にモデル事業を実施する。(以下略)
厚生労働省はこのほど、医師や看護師にしか認められていない医療行為の中で、「原則医行為ではないと考えられるもの」について一般からの意見募集を行っている。三十日まで。体温測定や薬の使用などを医療行為から外し、ヘルパーが行えるようにする方針だ。
医療行為にあたらないとしてあげているのは、体温計を使った体温測定、切り傷・すり傷・やけどの処置、自動血圧測定器による血圧測定など。患者が入所・入院して治療する必要がなく容態が安定し、医師や看護師による連続的な経過観察が必要でない場合は、軟膏の塗布、点眼、一包化されている薬の服用、座薬の挿入もできる。このほか、つめのケア、耳垢の除去、ストーマ装具のパウチにたまった排泄物の廃棄、カテーテルの準備、体位の保持、浣腸なども挙げている。
医師や看護師免許を持たないものが行うのが適切かを判断する際の参考とするよう求めているが、病状が不安定で専門的な管理が必要な場合は例外。実施するヘルパーに一定の研修や訓練を行うことや、施設で医薬品を使用する際は看護師が実施することが望ましいとしている。(以下略)
介護保険制度の見直しにあたって、車の両輪である成年後見制度の活性化についても国会で議論を――。日本成年後見法学会(理事長=新井誠筑波大学教授)は五日、衆議院議員会館で成年後見制度の活用を求める緊急集会を開催した。国会では四月から改正介護保険法の本格的な審議が行われているが、車の両輪とされる成年後見制度は「置き去りにされている」ままという。同学会員らは、集会に参加した各党の議員らを前に、利用費用の公的補助や、制度の周知など制度改善を図るための議論を国会で行うよう求めた。
集会には民主党や社民党など一三人の議員が参加。同学会の関係者らを含めて約一〇〇人が集まった。
五年が経ち利用が三〇〇万人を超えた介護保険制度に比べて、成年後見制度の利用はその一〇〇分の一。制度そのものが周知されていないこと、後見人への報酬の支払いが利用者の負担になっていることなどが要因と見られている。
「認知症の高齢者が一五〇万人強いるというのにも関わらず、制度の利用はきわめて低い。介護保険でもこの点について十分な施策を講じてほしい」(赤沼康弘弁護士)
介護保険サービスの利用にあたって、本人に契約締結能力がない場合は、「家族やケアマネジャーが代わって契約している」実態について、「法律的には契約が無効であったり、サービスに問題があった場合や本人に代わって代弁できる人がいないがために不利益を被るケースもある」(大貫正男成年後見センター・リーガルサポート理事長)と指摘した。「財産管理のための制度」という誤った認識もあるという。(以下略)
登録ヘルパーを中心に、ホームヘルパーが個人単位で加入できる唯一の全国組織「ホームヘルパー全国連絡会」は、介護保険法改正で創設される「予防給付」に強く反対している。法案では予防サービスにホームヘルプが位置付けられることになったが、重度化の要因がヘルパーによる安易な家事代行にあるとする厚生労働省の見解は変わらず、予防給付の利用者に対する家事サービスは大幅に制限される可能性が高い。事務局長の森永伊紀さんは、「ヘルパーによる週一、二回の食材の買出しや調理の下ごしらえなどの家事援助が自立生活を支えている」といい、家事を含む生活援助はヘルパーの根幹的な業務であり、単なる家事代行ではないと反論する。
――これまで予防給付に対する反対のアピール文を三回厚労省に提出している。
「現場の怒りが爆発したきっかけとなったのは、昨年予防給付の対象者はホームヘルプサービスが受けられなくなる、ということを大々的に報道した一般紙の記事だったが、仕事がなくなってしまうかもしれない、という危機感よりもむしろ、ホームヘルプという職業に対する誇りを傷つけられたショックの方が大きかった。言い換えれば、家事援助に対する評価の低さです。
私たちは以前から、ホームヘルプに家事代行という概念はなく、身体介護と家事援助も切り離せないものであるとして報酬類型の一本化を求めてきた。前回の報酬改定で生活援助となったが、家事も利用者の生活を支える根幹的な業務の一つとして生活援助に含まれているという意味において的確だと思っている。
最終的に法案では予防訪問介護も入ったが、内容や期間は制限される。相変わらず国にとって家事援助は″家事代行″という認識でしかない」
――家事が利用者の自立を支えている、とは具体的に?
「要支援・要介護1などの軽度の認定者が利用しているホームヘルプは、週一〜二回の生活援助というケースが多い。私自身の利用者でいえば、硬いかぼちゃやさつまいもの皮をむくなど比較的力のいる調理の下ごしらえや食材の買い出しなどが主ですが、こうした家事をなぜヘルパーが行うかというと、残りの週五〜六日を利用者自身が家事を行って過ごすことができるようにするためです。
石川県金沢市の会員ヘルパーも事業所の利用者一八○人を対象に実態調査を行っているが、ヘルパーが食事にかかわる援助をしていたのは約一○○人。一人暮らしや高齢者世帯が七割超で、半数はヘルパー以外に食にかかわる援助者がおらず、やはり本人のできない下準備的なことを行っていることが分かった。
個々の事例を挙げるときりがありませんが、要は限られた時間の中で何をしておけばその人が残りの日々をがんばれるのか、ということ。それは言い換えれば個々の利用者の″生活の質″を決める要素であり、ヘルパーがきちんとアセスメントし、話し合いながら具体的に決めていくものなのです」(以下略)
介護保険制度の見直しで新たに地域密着型サービスの一つとして「小規模多機能居宅介護」が創設されることを受け、静岡県はこのほど、県内ですでに複数のサービスを提供している通所介護事業所の実態調査を行い、在宅生活の継続に資する多機能サービスの要素について分析した。一三七カ所の小規模通所事業所のうち、通所以外にサービスを持つ事業所は全体の二割にあたる四八カ所あったものの、利用者のニーズに応えるかたちで緊急の泊まりや訪問介護などを臨機応変に提供しているところは一五カ所とわずかだった。県では、制度化されると具体的な利用ニーズがないまま多機能化を進めていく事業所も増えることが懸念されるとし、小規模多機能居宅介護の適正な普及・発展のためには、@具体的な利用ニーズを出発点とした多機能サービスに徹すること、Aスタッフ間の意思統一を図るための連絡体制の確立――などが重要な要素であるとまとめている。
実態調査は昨年八月、県内にある定員一五人以下(認知症型一○人以下)の介護保険指定通所介護事業所一三七カ所を対象に行った。介護保険の見直しで創設される「小規模多機能居宅介護」は、デイサービスを中心に個々の利用者のニーズに応じて柔軟に泊まりやホームヘルプなどを提供しながら在宅生活を支援する仕組み。宅老所のケアがモデルとされているが、単純に複数のサービスを持つことが「多機能」と誤解されがちな面もある。同県では、小規模多機能居宅介護が介護保険サービスの対象になると、こうした誤解を持ったまま新規参入が急増することも予想されるため、すでに複数サービスに取り組んでいる現場の実態調査に乗り出した。ねらいは「多機能」と「多角経営」の違いを明らかにし、小規模多機能居宅介護の適正な普及を進めることだとしている。静岡県宅老所・グループホーム連絡協議会が調査委員会となって実施した。
報告書によると、まず事業の概要を把握するアンケート調査を行い、利用者のニーズに対応する形で切れ目なく、一体的に複数のサービス提供を行っている事業所を抽出したところ、回答のあった一一○カ所のうち通所以外に訪問介護やショートステイ、居宅介護支援などの在宅サービスを実施しているのは四八事業所だった。しかし、そのうち二二カ所は介護保険サービスだけの組み合わせとなっており、任意の自主事業などインフォーマルなサービス提供は行っていなかった。一方、通所のほかに市町村の補助・委託事業や任意の自主事業を組み合わせている事業所は二六カ所。このうち、緊急の泊まりやホームヘルプを行うなどして高齢者の在宅生活を支えている事業所は一五カ所あり、それ以外は障害者や児童、介護保険対象ではない元気高齢者など、要介護高齢者に限定しないサービス提供を行っていた。(以下略)
障害者支援費制度の基準単価が今月から改正される。居宅生活支援のホームヘルプサービスでは長時間の身体介護の単価が引き下げられ、一時間三○分を超えた場合の三○分ごとの単価が一八二○円から八三○円となる。身体介護を伴う移動介護の場合も同様となり、基本的には介護保険の報酬単価と横並びになるかたちだ。また、行動障害のある重度の知的障害者に対する移動介護サービスとして新たに「行動援護」の類型を創設する。支援の必要度を意思表示のレベルなど一○項目の基準表によって点数化し、判断する仕組みだ。事業所にはヘルパー二級以上で五年以上の経験を有するサービス提供責任者などの配置が求められるが、すでに知的障害者・児のホームヘルプサービスの指定事業所については条件を満たしていれば新たな指定は必要なく、都道府県への届出でサービスが提供できる。
今年度の支援費基準単価は、先月十八日に官報告示され都道府県に通知された。
主な改正点は、ホームヘルプサービスの身体介護と移動介護(身体介護を伴う)の単価が見直され、長時間サービスが引き下げになったことだ。これまでは一時間三○分を超える場合、三○分ごとに一八二○円の加算となっていたのを八三○円に引き下げる。つまり、身体介護、移動介護、乗降介助についてのホームヘルプは、介護保険と横並びになったかたちだ。
長時間サービスを見直し介護報酬の単価に合わせることについては、もともと支援費制度の財源不足の対応策として厚生労働省としては昨年度から実施したい考えだったが、障害者団体からの強い反発があったため激変緩和措置をとっていた。日常生活支援の単価は従来通りだ。 また、知的障害者の移動介護については、マンツーマンでつきっきりの介助が必要な重度障害者を対象に新たに「行動援護」の類型を創設する。利用対象者は、別途示された基準表によって判断することとし、意思表示のレベルや自傷・他害行為、パニックやてんかん発作など一○項目について発生の頻度などを点数化し、合計点数一○点以上が対象となる。単価は一時間三○分までは身体介護と同じだが、それ以降は三○分ごとに一五○○円を加算し、四時間三○分以上は一万六三四○円で固定される。 知的障害者の移動介護については、支援費で特に利用が急増したサービスであることからコストダウンが課題となっていた。(以下略)
厚生労働省はこのほど、四月からの個人情報保護法施行に伴い医療・介護関係事業者に適用される「個人情報取扱いのためのガイドライン」に関するQ&Aを作成、公表した。ガイドラインの対象となる事業者の範囲や、情報利用時に本人の同意が要・不要なケース、データ漏えい時の対応などについて解説している。同省のホームページで公開している。(以下略)
国民生活センターはこのほど、認知症高齢者・知的障害・精神障害のグループホーム(GH)について、契約や日常のケア計画、退去などに関して本人の意思がどのように反映されているのかを調査した結果をまとめた。その結果、特に認知症GHで本人より家族の意見が取り入れられている傾向が強く、また、成年後見制度の利用率は全GHを通じて低いことが明らかになった。制度について利用者や家族に説明している割合も四割以下にとどまっている。全国各地の消費者センターに寄せられるGHについての相談は二○○○年以降一○○件近くに上っており、同センターでは、意思表示が十分でない利用者であっても可能な限り本人の意思に基づく契約締結が尊重されるべきであるとし、成年後見制度の利用・普及が急務であると提言している。
調査は二○○四年十月、全国の認知症高齢者・知的障害者・精神障害者のGH計五六七○カ所を対象に実施。三四六一カ所から回答を得た(回収率六一%)。 三種類のGHは制度はそれぞれ異なるが、契約に基づく利用の仕組みは共通だ。介護保険制度が始まった二○○○年以降、GHが提供するサービスを始め、利用料など契約内容に関するトラブルが増えていることもあり、消費者保護の観点からGHにおける権利擁護のあり方を探るのがねらいとしている。(以下略)
国会での介護保険改革法案の審議が開始された。筆者は今回の見直しの内容は保険給付の収支(金銭)面で制度を持続させることが最優先され、保険制度の信頼を失わせかねない「危機的な改革」と考えている。
現在の要支援の方は無条件で、要介護1の方は急性疾患やトレーニングが理解できない認知障害、トレーニングができないくらいの医療ケアが必要な受給者以外は新しい予防給付に移行する。それも、本人の意向は聞かずに行政処分としての介護認定時に一方的に見直されることになる。
ケアマネジャーのプランが妥当でないため利用者の重度化を招いたとの認識から「ケアマネジメントの適正化」として軽度者の予防ケアプランは地域包括支援センターの保健師が作成することになった。実際にはケアマネジャーに実務を担当させ、その指示・決定・評価は保健師が行う仕組みである。
ではどのようなプランが「不適切」であり、何が「適正」とされるのか。ここでは、厚生労働省「有識者によるケアプラン検討委員会」が不適切と指摘したケアプランとその見直し案をもとに具体的な課題を検証する。
例は、要介護1で八六歳の女性が、訪問介護を週五回利用して、心臓病をもち病弱な夫と二人の生活を維持していたケースである。「生活機能の低下の原因を分析しておらず、リハビリなど代替サービスの検討が不十分」と問題が指摘されている。見直し後の利用サービスは通所系サービス(一〜二回)と週一回の訪問介護。そのほか、介護保険以外のサービスとして、掃除や食材の購入などを行う地域サービス、外出支援、訪問による安否確認、会食形式の食事サービスが位置付けられている。(以下略)
A男 今回は情報開示の義務化について話そうか。
Q子 あんまり問題なさそうな感じだけれど。
A男 どうかな。法律をみてみようか。第九節のところに「介護サービス情報の公表」が丸々追加されている。これまでモデル事業では「情報開示の標準化」といっていたのが名前を変えて法律に位置付けられている。まだ検証作業中の仕組みをここまできっちりと法律に位置付ける必要があるのかというのがまず感じるところだ。 対象になるのは、介護保険の指定サービスが全部という。サービスを開始する時、その他省令で定める時には介護サービス情報を都道府県知事に届け出ることが義務になる。
Q子 その他省令で定める時って。
A男 年一回程度とされているよ。
一方、報告を受けた都道府県は介護サービス情報のうち厚労省が必要と決めた事柄については調査することが義務付けられる。この事業スキームは「情報開示の標準化」事業と同じだ。
報告をしなかったり、調査を妨害した場合は、都道府県が調査を受けるよう命令したり、指定の効力を停止することもできる。グループホームなど地域密着型サービスは市町村の指定になるからこうした問題が起きたら都道府県が市町村に通知する仕組みになる。
Q子 絶対にやらないといけないのね。調査とかは誰がやるの。
A男 基本的にこの事業は都道府県の事務と規定されている。自分でやらないのであれば、都道府県が指定した機関に調査をさせることができる。だけど、調査は厚労省令の定める方法で行わせること、調査員の要件も厚労省が決めると書かれている。 情報の公表も同様で、都道府県ができない場合は指定情報公表センターにさせることができる。
Q子 費用は誰が払うの。
A男 調査だけでなく、公表の事務の手数料も事業所から徴収できると法律に書いてある。負担分は介護報酬で手当てするとも説明されているけれど、そうならなくっても、結局、保険料でやるのは同じだ。事業所の収入のほとんどが給付費だからね。
今だいたい四〇万件ぐらいサービス事業所が登録されている。グループホームの外部評価が一回六万円だから、この調査にかかる費用を仮に五万円と見積もっても二〇〇億円位の規模になる計算だ。(以下略)
厚生労働省は十八日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌千葉大学法経学部教授)を開き、介護保険制度見直しに伴う報酬の改定の論議を開始した。今年十月に前倒しで導入予定の施設の居住費・食事提供費の自己負担化に伴う報酬について優先的に議論を行い、七月下旬には報酬を告示、指定基準を公布する段取りだ。来年四月からの改定事項については二月初旬に決定する。新しい予防給付については分科会の中にワーキンググループを設けて別途検討する方針だ。
まず同省は、三月の一カ月間にわたる介護サービス事業の実施状況や収入・支出についての経営実態調査を行う。この結果明らかになった各サービスの平均費用額を踏まえて、五月から分科会で具体的な検討を開始する流れだ。
施設からの居住費、食費の徴収は今年十月分からの前倒し実施を目指していることから、この検討を優先的に行い、七月には諮問・答申し、七月下旬には告示したい考えだ。その後、事業者が正式に料金を決めて、利用者に説明する。ぎりぎりのスケジュールだ。(以下略)
厚生労働省は十八日、政府の「社会保障の在り方に関する懇談会」(座長=宮島洋社会保障審議会年金部会長)に、平均在院日数の短縮や糖尿病など生活習慣病対策の充実などの医療費抑制策により、二〇二五年度の国民医療費を約七・七兆円抑制できるとの試算を示した。ケアハウス、グループホーム、高齢者向け住宅などは、平均在院日数の短縮化により退院した高齢者の受け皿として位置付けられている。
同省が昨年まとめた「社会保障の給付と負担の見通し」では、医療保険給付と患者の自己負担を合わせた国民給付費は、二〇〇四年度の三二・一兆円から、二五年度には六九兆円に膨れ上がると予測している。(以下略)
Q子 有料老人ホームも制度が大きく変わるんですってね。
A男 法案が出てやっと全体像が分かった。なんか唐突ですっきりしない印象だよ。有料ホームの根拠となっている老人福祉法の規定、それに介護保険法の「特定施設」の規定、それに高齢者居住確保法の高齢者専用住宅もからんでくる。ややこしいよ。
Q子 覚悟するわ。
A男 介護保険法でいえば、第八条の定義の中に介護専用型特定施設というのが突然出てくる。まったく新しい言葉だ。当初から要介護者やその家族しか受け入れない施設とあるから、今の介護付き有料老人ホームがほとんどこれにあたる。
要支援者は給付対象外だ。さらに定員規模で二グループにするというんだ。二九人以下は地域密着型で市町村が指定する。三〇人以上は都道府県の指定で住所地特例の対象となる。どちらも計画数を上回る場合は指定しなくてもいい。つまり、総量規制ができるようにする。
地域密着型になると、指定を受けた自治体の人だけの専用施設になる。(以下略)
二○○二年度からスタートした認知症グループホームの外部評価事業。高齢者認知症介護研究・研修東京センターに委託することができる経過措置が今年度末で終わり、来年度からは全国の都道府県で独自に評価機関を選定して実施することが義務付けられている。新年度はもう目の前、だが、二十三日現在で評価機関の選定が終わった自治体は半数以下の一九カ所にとどまっていることが、本紙の聞き取り調査で分かった。「これから募集する」と回答した自治体も九カ所。また、評価機関の選定は済んだものの手数料に格差があるため事業者の理解が得られるかが不安、という声も。出足から問題は多そうだ。
グループホームの評価事業は、サービスの質向上策の一環として二○○二年度からスタート。事業者には自己評価と外部評価が義務付けられ、評価の実施主体は都道府県だが、体制を整えるまでの準備期間として今年度末までは高齢者認知症介護研究・研修東京センターに委託できる経過措置が設けられていた。一方、事業所の経過措置も今年度で終わり、年一回が義務化される。体制整備は緊急課題だ。
本紙では、四月以降の実施体制について全国の自治体担当者に準備状況を聞いてみた。その結果、二十三日現在で評価機関の選定が終了したと回答したのは、一九自治体のみ。現在公募などで申請があった評価機関を「審査中」としたのが一五自治体。実施要綱の策定や募集など「まだこれから」が九自治体に上った。(以下略)
福祉用具業界では中古ベッド市場への模索が始まっている。ニップクケアサービス(東京都新宿区、03・5287・1821)は中古ベッドのリサイクル事業を本格展開する。自社のメンテナンス工場で消毒・動作確認を行い説明書をつけ、インターネットで販売する。現在は月間数十台の売り上げだが、安全な製品を流通させる仕組みづくりで先行し将来は同事業を経営の柱に育成する考えだ。
リサイクル事業は、個人ユーザーから下取りしたベッドを、自社の消毒拠点で洗浄消毒・部品交換を行い、説明書、三カ月の保証書を付けて販売する。関東甲信越地域であれば、福祉用具専門相談員などの資格を持った配送スタッフが出向いて組み立てを行う。ベッド本体、マットレス、サイドレールをセットにして六万円台〜一〇万円程度。新製品の三〜四分の一程度の設定だ。祉士取得のベースとなる研修としては不十分だという考えは、条件付き賛成派の中にも多く含まれていそうだ。(以下略)
厚生労働省は九日、「高齢者居住施設における一時金保全措置に関する検討委員会」(座長・高橋紘士立教大学コミュニティ福祉学部教授)を立ち上げた。介護保険制度改革の関連法案として国会に提出されている老人福祉法の改正案では認知症高齢者グループホーム、有料老人ホームの入居一時金の保全措置を義務付けている。検討会では保全すべき一時金の範囲や具体的な保全方法を詰める。全額の保障は難しいというのが大勢の意見で、倒産した場合の当座の生活費用として一定金額を支払うことができる仕組みとする方向で調整が進みそうだ。ただ、全施設をカバーする具体的な事業スキームは今後詰める点が多い。
老人福祉法の改正案では、倒産した場合でも返還ができるよう認知症グループホーム、有料老人ホームに入居時に徴収する一時金の保全措置を義務付けている。入居金の算定根拠についても明示するよう求めていく。経営への影響が大きいことから来年三月末までの既存のホームには経過措置が設けられる。
有料老人ホームで一般的に行われてきた終身利用権方式は、入居一時金を徴収し、毎月償却していく仕組みだ。全額を償却後も入居し続けられることを約束する。事業者にとっては、イニシャルコストを早期に回収でき、利用者も毎月費用を支払うよりも割安になるメリットがあり、国でもケアハウスで入居一時金を徴収することを認めている。半面、利用権という権利や算定方式が曖昧であることが課題として指摘されてきた。特に、事業者が倒産した場合は、償却の終わっていない一時金が返還されず、住み続けることもできなくなるリスクがある。(以下略)
介護経営を科学的に研究することを目的とした「日本介護経営学会」の設立発起人総会が十四日に開かれた。介護事業者は急増しているが、その経営について科学的研究を進める学識者は多くない。介護事業に関わる経営学、社会福祉学、経済学などにおける研究を発展させ、実務への応用を目指す。事業関係者、行政職員などにも参加を呼びかける。(以下略)
Q子 有料老人ホームも制度が大きく変わるんですってね。
A男 法案が出てやっと全体像が分かった。なんか唐突ですっきりしない印象だよ。有料ホームの根拠となっている老人福祉法の規定、それに介護保険法の「特定施設」の規定、それに高齢者居住確保法の高齢者専用住宅もからんでくる。ややこしいよ。
Q子 覚悟するわ。
A男 介護保険法でいえば、第八条の定義の中に介護専用型特定施設というのが突然出てくる。まったく新しい言葉だ。当初から要介護者やその家族しか受け入れない施設とあるから、今の介護付き有料老人ホームがほとんどこれにあたる。
要支援者は給付対象外だ。さらに定員規模で二グループにするというんだ。二九人以下は地域密着型で市町村が指定する。三〇人以上は都道府県の指定で住所地特例の対象となる。どちらも計画数を上回る場合は指定しなくてもいい。つまり、総量規制ができるようにする。
地域密着型になると、指定を受けた自治体の人だけの専用施設になる。かなり強引な話だ。民間の施設は費用がバラバラだ。競争で料金も安くなってきたところだから、総量規制という行政的な発想はもちこまないほうがかえって健全なのだけど。介護専用型はもうつくってもらいたくないというメッセージが込められている。
Q子 でも新しい住まいの体系とかいってたじゃない。
A男 増やしたいのは、介護型ではなくて、自立者、虚弱者向けの住まいだ。法律には書かれていないけれど国土交通省の「高齢者専用住宅」を新たに特定施設の対象にする方針が示されている。特定施設の報酬体系についても、今のような包括払いだけでなく、外からのサービスを利用できる新しい特定施設の報酬体系をつくるといっている。
Q子 高齢者専用住宅って何。
A男 高齢者居住確保法に基づく登録制度の中に新たに設けられる予定のカテゴリーだ。今の登録制度は高齢者の入居を拒否しない住宅を紹介するためのものだけど、主に高齢者だけを入居対象にする住宅の登録制度を設けて、どういうサービスが受けられるかなど情報公開していくものだ。
Q子 有料老人ホームとどこが違うの。
A男 一番の違いは、正式な賃貸借契約を結ぶことだ。毎月払いというだけじゃだめだ。老人福祉法に基づく有料老人ホーム規制もかからない。ただ、入居一時金を取る場合は、「終身賃貸契約」に基づいて入居金の保全措置が義務付けられる。高齢者専用住宅の登録をすれば、有料老人ホームの届け出をしなくてもいいようにする方針だ。(以下略)
各都道府県のケアマネジャー連絡協会を会員とする全国介護支援専門員連絡協議会が十二日、横浜市で初の研究大会を開催した。全国から約一〇〇〇人が集まり、テーマ別の演題発表やシンポジウムが行われたが、制度改正に対するケアマネジャーの「本音」が自由に出されたのは四五人が参加した特別企画のグループディスカッションだった。「五年間やってきたことがこんな形の評価になのか」「行政が五○ケース抱えるモデル事業をやってみたらいい」など、憤懣やる方ない現場の思いや疑問が続出した。協議会は、こうした現場のケアマネの声を政策に反映させる場として、個人加盟の「日本介護支援専門員協会(仮称)」の設立準備に入る。
同連絡協議会は〇三年八月に発足。「現場で働くケアマネジャーの制度に対する意見や要望を吸い上げ国に提言、専門職としての資質の向上と地位の確立を図ること」が目的だが、都道府県ごとの連絡協会を束ねる組織として始まった。現状では事業者を会員とする組織も混在するなど過渡的な状況にある。いずれにせよ「介護支援専門員」を名前に掲げて開催される初めての研究会だ。
大会テーマと同じ「介護支援専門員の役割と本質」をテーマにしたシンポジウムには、医師、痴呆性デイサービス事業者、保険者、ケアマネジャーがシンポジストとして登壇し、それぞれの立場から、ケアマネジャーの本来的な役割や意義、課題について意見を述べた。広島県介護支援専門員連絡協議会の会員で医師の落久保裕之氏は、ケアマネジャーは主治医とのコミュニケーションの難しさなどから目標設定が難しくなっていると指摘。川崎市の痴呆性デイサービス管理者の柴田範子氏は、状態の変わりやすい認知症高齢者には特に十分なアセスメントを行い、短時間でも現場に足を運んでほしいと要望した。ケアマネジャーの立場からは、群馬老人保健センターの山田圭子氏が「サービスを使わない限り報酬に反映されない介護報酬の仕組みを変えなければならないのでは」と発言したが、現場の本音が噴出したのは、こぢんまりと行われたグループディスカッションだった。
研究会の冒頭のプログラムでは、厚生労働省の中村秀一老健局長が制度改正について講演を行い、「介護支援専門員を法律の定義規定に明確に位置付けた」と報告。ケアマネジメントの基本に立ち戻るよう求め、「社会保障制度改革のフロントランナー」としての介護保険における役割の大きさを強調した。(以下略)
介護職員の基礎資格を将来的に「介護福祉士」に統一するため、厚生労働省が現行のヘルパー研修を拡充した「介護職員基礎研修」(仮称)を導入した場合、積極的に実施したいと考えている介護福祉士の養成校はわずか二割であることが、本紙のアンケート調査で分かった。研修そのものを見直すことには七割以上が賛成しているが、「カリキュラムや時間数による」など″条件付き″とする声が半数を占めている。各校共通の課題は、少子化による入学希望者の減少だ。今後は資格取得後の専門分野別研修や社会人教育への取り組みを強化したいとする養成校が多く、基礎教育分野からの脱却が一つの生き残り対策となりそうだ。
アンケート調査は、介護福祉士の養成カリキュラムを持つ厚生労働省の「指定養成校」約三九○校を対象に実施した。
養成校は、来年度から介護福祉士国家試験の実技試験に代わって導入される「介護技術講習」の実施主体となる。全国団体である日本介護福祉士養成施設協会の取りまとめでは、全国で二六七校が講習を実施する予定だが、本紙ではその実施概要に加え、今後の介護職の養成研修のあり方についての考えや課題なども尋ねた。三○校から回答を得た。
厚生労働省では、介護保険制度の見直しの柱の一つに「サービスの質向上」を掲げており、将来的にはどの介護職にも介護福祉士資格を義務付ける方針だ。その段階的移行策として、まずは現行のヘルパー研修を大幅に拡充し四○○〜五○○時間程度の「介護職員基礎研修」を導入する。
アンケート結果では、介護福祉士資格の一本化に対しては「賛成」が八割強で反対はゼロ。圧倒的に賛成派が多数だ。しかし、介護福祉士資格を持たないヘルパーのレベルアップのために「介護職員基礎研修」を導入することについては、「全面的に賛成」は二割にとどまる。最も多かったのは、「賛成だがカリキュラムや時間数による」という″条件付き賛成派″で半数を超えた。「反対」は一校のみだが、その理由は「四○○〜五○○時間程度の時間数でも足りない」というもの。現在のヘルパー研修は一・二級を合わせても三六○時間。介護福祉士の一六五○時間に比べれば五○○時間に増やしたとしても三分の一以下とまだ差は大きい。介護福祉士取得のベースとなる研修としては不十分だという考えは、条件付き賛成派の中にも多く含まれていそうだ。(以下略)
東京、大阪の大都市周辺部の認知症グループホーム(GH)などでは施設所在地外からの入居が四八%とほぼ半数あることが本紙のアンケート調査で明らかになった。ただ、ホーム所在地外に住民票を残している人は四一%あり、地域外からの入居は必ずしも懸念されているような保険財政の圧迫にはつながっていない。地域外からの利用が多いのは施設の偏在が大きいことだけでなく、家族の近くへの「呼び寄せ」など利用者側の理由によるものも少なくない。制度改正で、所在地の自治体住民しか利用できなくなれば影響は大きい。このため制度変更で「一番困るのは利用者」と四割が回答した。(関連記事2〜4面)
認知症グループホームの所在地が中心部で少なく、周辺地域で多い事情は全国共通だ。アンケート調査は、東京、埼玉、神奈川、千葉、大阪、奈良、兵庫にあるGHと定員二九人以下の有料老人ホーム九〇〇カ所余りをピックアップして実施した。いずれも法改正で「地域密着型サービス」となるサービスだ。
三月四日までに回答を寄せた事業所は一三六カ所、利用総定員は二〇八二人で一カ所当たりの平均定員は一五・三人。事業主体は営利法人が最も多く五八%。社会福祉法人、医療法人が一八%ずつでこれに続く。
まず、現在の利用者のうち、ホームの所在する自治体からの入居者がどのくらいいるか尋ねたところ、地元入居の割合は五二%、地元外からの入居が四八%でほぼ拮抗した。
地元外からの入居が多いと、自治体の負担が増える、保険料を圧迫しかねないと自治体から大バッシングが起きていたが、住民票が自治体外にある人は四一%。ホームに異動させている人は一八%で少数派。地域外から入居した人のほとんどが住民票を異動していないことがうかがえる。指摘されていた問題と実態は大きく異なっている。こうした状況で「住民限定」にすることはむしろ住民票の異動を推進することになり保険財政には逆効果といえそうだ。(以下略)
認知症グループホームや小規模の介護付き有料老人ホームが制度見直しで「地域密着型サービス」に変わることで原則的に所在地の住民しか利用できなくなることについて、「一番困るのは利用者」と考えている事業所が最も多く四三%を占めた。現在、他の自治体からの利用者が半数を占める状況では当然の意見だろう。総量規制の導入についても「利用者の選択肢を狭める」が最も多い意見だ。地域で暮らし続けることができるようにする理念には反対の意見は少ないものの、利用者の「選択」を第一にしてきた制度から急ハンドルを切ることに疑問、怒りの声も寄せられた。(1面から続く)
まず、今回の制度改正で認知症グループホーム、二九人以下の介護付き有料老人ホームが「地域密着型サービス」になることで、原則的に地域外の住民が利用できなくなることについて、「知っている」と答えたのは六〇%、大きな変更だがまだ「知らない」も三五%あった。
一面で紹介したように、ホームによって差は大きいものの現状ではトータルで約半数が地域外からの入居だ。当面、一番、気になるのは今の利用者がどうなるのかだろう。
地域密着型サービスに変更になった場合も、複数の自治体から指定を受けることは可能。また、ホームに住民票を移せば「住民」として堂々と入居することも可能だ。
継続して利用してもらうためには、こうした対応策をとらざるを得ないことについて、「やむを得ない」は三一%。ただ、「住民票を移すのは簡単ではない」三二%、「他の自治体の指定をとるのは困難」二八%と多くの事業所が現実的なハードルの高さを訴えている。「どうやれば指定を受けることができるか分からない」「住民票を移せば結果的に地域の保険財政を圧迫することになる」などの意見も。指定はいったんしてしまえば、その自治体の住民の誰もが利用できるようになる。地域外の施設に「乱発」することは考えにくい。この難しさは、そのまま制度導入後の住民外利用の難しさにつながる。(以下略)
日本経済団体連合会(経団連、奥田碩会長)は一日、フィリピンとの経済連携協定(FTA)による看護師・介護士受け入れ合意を踏まえ、一層の看護・介護分野での外国人の受け入れに取り組むべきとの意見をまとめた。外国の看護師資格者が日本の国家試験を直接受けられるよう受験資格要件を緩和したり、介護福祉士やホームヘルパーの資格取得者であれば日本で就労できるよう在留資格を整備すべきとしている。
法務省が示している来年度からの「第三次出入国管理基本計画案」では、人口減少による労働力不足への対応として認められていない分野での単純労働者の受け入れを検討するとしている。専門的・技術的分野の外国人労働者についても、在留期間を延長するなどの案を盛り込んだ。この案に経団連が意見・要望をまとめた。
意見では、昨年十一月の日比の経済連携協定で、日本の国家試験合格を条件に継続的な就労を認める合意が交わされたことについて、「とりわけこれまで専門的・技術的分野とみなされていなかった介護分野での外国人の就労の途が開かれた点で、その第一歩として評価できる」とした上で、労働力不足の深刻化が予想されることから、一層の受け入れを進めるべきとしている。
具体的には、介護では介護福祉士やホームヘルパーなどの資格を取得している外国人であれば就労できるよう在留資格を整備すること、看護では外国の看護師資格者が研修などを経ずに日本の国家試験を受験できるよう見直しを行い、在留資格制限を撤廃し、合格者には日本人と同等の就労機会を確保すること――を求めている。合わせて、外国での養成実施のための制度整備や日本語教育の充実、試験方法の多様化を課題にあげた。(以下略)
日本看護協会(南裕子会長)が新卒看護職員の離職実態について調べたところ、一二人に一人の割合で入職後一年以内に職場を辞めていることが分かった。二割近くの病院では早期離職者が増加する傾向にある、と回答しており、その理由と考えられる意見として最も多かったのが「現場で求められる能力とのギャップの大きさ」で七六・二%に達している。病院の中での新人教育体制はあっても、配属された部署での専門的な知識・技術不足に悩む新卒看護職員の実態も浮き彫りになっており、同協会では卒後研修の制度化など国レベルでの新たな対策が必要だと提起している。
調査は二○○四年十一月、全国二八七九の病院(二○○床以上)と三年以上の看護師養成学校六七一、及び今年度から採用された新卒看護師一○○二人を対象に実施。回収率はそれぞれ四二%、六五%、七四%だった。
調査結果の速報によると、二○○三年度の新卒看護職員の就職後一年以内の離職があった病院は五一七。離職率は○%〜二○%以上と病院格差が大きかったが、平均でみると八・五%。一二人に一人の割合となった。一年以内の早期離職が「増加する傾向にある」と回答した病院は一八・六%。全体の約三割の病院では、「健康上(精神的な)の理由による離職が増えている」としている。
また、新卒職員の職場定着を困難にしている要因として考えられるものとして、病院及び学校の意見として共に最も多かったのは、「基礎教育終了時点の能力と看護現場で求められる能力とのギャップ」で八割ずつとなった。
一方、新卒の看護職員本人に対して仕事上の悩みについて尋ねたところ、「専門的な知識・技術が不足している」(七六・九%)、「医療事故を起こさないか不安」(六九・四%)、「基本的な看護技術が身についていない」(六七・一%)が上位を占めた。(以下略)
NDソフトウェア(山形県南陽市、0238・47・6700)は一月、介護事業者向けの業務支援ソフト「ほのぼの」シリーズに新たに「ほのぼのSilver」を発売した。来年四月に施行予定の介護保険制度改正の対応を一早くうたい、制度導入から五年のリース期間切れに伴う買い替え需要をねらう。次世代版として、個人情報保護法への対応を盛り込んだほか、データを経営やサービス分析に活用する一歩踏み込んだ機能も充実させた。こうした運用の際のマニュアルも充実させる方針だ。
「ほのぼのSilver」は、特養ホームなどの施設や訪問介護、デイ、福祉用具レンタルなどの在宅系事業者、老健施設のほか在宅介護支援センターまで幅広く介護保険業務に対応する総合ソフト「ほのぼの」シリーズの次世代版。
目玉の一つが、四月に施行される個人情報保護法への対応した機能を標準装備したこと。五〇〇〇人以下の民間事業者は対象外となるが介護事業者は全事業者が努力義務の対象。厚生労働省ですでにガイドラインを示しているほか、改正介護保険法でも守秘義務強化など対応が強化されている。
新しい個人情報保護機能では、すべての機能を操作できる管理者や限られた操作しかできない登録者、入力できない閲覧者と職員一人ひとりがアクセスできる情報を細かく設定できるようにした。禁則設定では、たとえば登録者であるヘルパーがスケジュール表を入力するときにも必要な項目だけが表示され利用料請求に伴う口座情報などは項目自体が画面に表示されない。
文字と画面サイズが大きくパソコン初心者でも見やすく操作しやすい点や、手入力を極力抑えてマウス操作だけで入力を行うことができる点など従来からの特徴をさらに機能強化している。(以下略)
厚生労働省はこのほど二〇〇三年度の介護保険事業状況報告をまとめた。年報の確定版だ。〇三年度末の第一号被保険者は二四四九万人で、認定者数は三八四万人。認定者は制度スタート年度の一・五倍に増加している。特に軽度の認定者が増加しており、要支援、要介護1だけで全体の五割を占める。サービスでは認知症高齢者グループホームや福祉用具レンタルなどの支給額が急増。全体的に右肩上がりが続く中で、都道府県間の支給額、認定率の格差は大きいままだ。
認定者の8割が75歳以上
〇三年度末の第一号被保険者数は前年比二・三%増の二四四九万人。要介護認定者数は同一一・三%増の三八四万人で、制度初年度の二五六万人から一・五倍増えた。六五歳以上の高齢者の認定率も一年で一・二ポイント増え一五・一%となっている。第一号で認定を受けている人の八二%が七五歳以上。
軽度の要介護者の増加率は顕著だ。二〇〇〇年度と比べると要支援で八四%増、要介護1で七七%増となっている。この二段階だけで全要介護者に占める割合は約五〇%にのぼる。
一カ月平均のサービス受給者は、前年度の二五四万人から一三%増えて二八七万人に。在宅サービスの受給者は二一四万人、施設は特養三四万人、老健二六万人、療養型一三万人の合わせて七三万人。
訪問と通所の支給額が突出
一割負担も含めた保険の総費用は、前年度の五兆一九二九億円から九・六%増加して五兆六八九一億円。 支給額も、同九・五%増の五兆六五三億円になった。年度ごとの一カ月平均の給付費も、〇三年度は四二二一億円に増えている。(以下略)
国土交通省は、高齢者居住確保法に位置付けられる登録住宅制度を改正し、新たに「高齢者専用住宅」を追加する。厚生労働省ではこの高齢者専用住宅を、現在は有料老人ホームとケアハウスだけを対象としている介護保険の特定施設に追加する方針を示している。ハード・ソフトの連携で自宅での生活の継続が難しい高齢者が、介護を受けながら住み続けることのできる「受け皿」とする考えだ。秋までに省令改正し、〇六年度の介護保険改正法施行と同時にスタートさせる。
二月二十五日に東京都内で行われた高齢者住宅財団のセミナーで、国土交通省住宅総合整備課の伊藤明子公共住宅事業調整官が施策の概要を説明した。
二〇〇一年十月に全面施行した「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づく登録住宅制度は、高齢者の入居を拒否しない住宅の情報提供を目的に設けられた。都道府県に登録申請した情報は、担当窓口、高齢者居住支援センターのホームページ、一部の不動産会社などで閲覧できる。全国に現在七万戸の登録がある。
登録制度に、主に高齢者世帯向けに特化した賃貸住宅である「高齢者専用住宅」を加えることで、よりきめ細かな情報提供を目指す。賃貸借契約の種類、家賃の支払い方式や前払い家賃の保全措置、介護が必要になった場合の対応策などが情報開示項目として検討されている。
「借地借家法に基づく正式な賃貸借契約であるものが基本条件」(国土交通省)
現行の高齢者居住安定確保法に定められている高齢者優良賃貸住宅などがその具体例で、家賃の前払い方式を活用する場合は「終身建物賃貸借契約」を活用することになる。(以下略)
Q子 今回は地域密着型サービスね。いつも通っているところに、泊まりもできて、同じスタッフが訪問もしてくれて、いよいよになったら住み替えもできる。フットワークの軽い「宅老所」が一杯できたら、住み慣れた地域で暮らすことのできる人が増えるんじゃない。
A男 そうあってほしいと思うけれど。「地域で暮らし続ける」というと単純にいいことと思ってしまいがちで見逃されている点がある。認知症グループホームも含めて、民間の小規模施設つぶしをねらっているとしか思えないんだ。利用者にとっても、困ったことになるんじゃないかと思う。いずれにしても議論も検証も不十分なことが制度化されようとしているのは間違いない。
Q子 えっ、どういうこと。
A男 順番に説明しよう。「地域密着型サービス」は、制度的には市町村が指定・指導権限をもつサービスということになる。第七八条の二をみてごらん。市町村の指定は市町村長が長である介護保険の被保険者のみに効力を有するとある。報酬を引き下げたり、独自の指定基準を設定することもできる。
Q子 地方分権の仕組みなのね。
A男 あくまでも省令で定める範囲であって、裁量は大きくない。さっき君が言った「宅老所」的なイメージのサービスが「小規模多機能型居宅介護」だ。
「通い」「泊まり」「訪問」に柔軟に対応できるよう人員配置も弾力化して、報酬も個別に出来高で請求するのではなく、基本部分を包括払いにする施設に似た仕組み。昨年秋に厚生労働省が出した資料では、一事業所当たりの登録は二〇〜二五人。デイを利用している人じゃないと泊まりはできないとか随分細かなことをいっている。分権というならもっと大胆に任せないと。小規模多機能というけれど言葉をかえれば「囲い込み」サービスだ。「優良事業者は規模は問わず囲い込み可」なんて仕組みにして柔軟な運用を可能にしたら、将来に向けて面白い仕組みになると思う。
この規模で介護支援専門員の配置や、従事者の研修も義務付けられる。現場に無理を強いる大変な仕事になるんじゃないかと心配だよ。(以下略)
厚生労働省は、現在施設などの介護職員とグループホームの指定要件として管理者に義務付けている「認知症介護実務者研修(基礎課程・専門課程)」のカリキュラムを改正し、来年度からは新たに介護職向けの「認知症介護実践研修(実践者研修・実践リーダー研修)」と「グループホーム管理者研修」を別建てで実施することを明らかにした。研修では、最低限満たさなければならない時間数や科目も定める。自治体によって研修時間に二倍以上の開きがあることが原因で、サービスの質の確保の面からも大幅にテコ入れを図る必要があるとの考えだ。
認知症介護研修は二○○一年度から各都道府県を実施主体としてスタート。基礎課程と専門課程の二段階で、基礎課程では講義・演習で二○時間(一二○○分)が標準研修時間として示されている。
来年度からは、現行の基礎課程・専門課程を「実践者研修」・「実践リーダー研修」と変え、合わせて標準カリキュラムも実践者で三六時間、実践リーダーで五七時間と大幅に拡充する。さらに、実践者研修については講義・演習で二四時間を必修時間と指定し、このうち一五時間以上は認知症の医学的・心理的理解や生活のアセスメント、事例演習など一二の必修科目で確保することを義務付ける。
また、基礎課程の受講を指定要件としていた認知症グループホームの管理者についても、職員配置や勤務体制、リスクマネジメントなどケアサービスとは別に管理・運営のための知識や技術の修得を強化する必要があることから、実践者研修との共通科目部分以外に「管理運営」の科目を必修とした「認知症高齢者グループホーム管理者研修」を創設する。(以下略)
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)を対象にシーティングに関する研究や情報提供を行うNPO「日本シーティング・コンサルタント協会」が、法人の認定資格シーティング・コンサルタント(SC)を創設し、養成に乗り出した。先月十八〜二十日、第一回の基礎課程研修(写真)を実施、第一期生として五三人が受講、修了した。今後研修受講や学会発表などの一定の単位を取得後に協会が認定する。介護保険制度や障害者支援費制度に、今後SCを介入させ、利用者に合った福祉用具の選定を定着させるのがねらいだ。
養成研修を受講できるのは、NPOに会員登録したPT、OTの資格を有する者。理学療法士三二人、作業療法士二一人が三日間で一二テーマ・一八時間の講義を受講し、シーティング(いすや車いす使用者の身体的、社会的適合)に必要な身体機能評価や座位能力の分析、褥瘡の治療・予防、車いすの理解と選定、各施設・医療機関別のシーティング技術などについて学んだ。研修を修了すると、協会が指定する研修受講や学会発表などのステップに進むことができ、一定単位を取得後に協会が認定する。
同協会は、PT、OTがシーティングを学び、学術的な研究を深める目的で昨年一月に設立された。
同協会理事長でPTの吉川和徳さんは研修の講義の中で、「″どうすれば目の前の利用者が座れるようになるか″を考え実践するのがSCの役割。起きていすで過ごすことは生活機能低下予防にもつながる」と強調。「現在の介護保険制度は、福祉用具だけが流通すればよいという仕組みになっていることが根本的な問題」と指摘した。(以下略)
二○○六年度からの介護保険料の改定に向け、算定の根拠となる市町村介護保険事業計画の見直しの準備を始めるよう厚生労働省は十八日、都道府県宛てに事務連絡した。国会に提出している制度改革法案の成立時期さえまだ読めない情勢だが、来年度予算案の編成に間に合わせるために十月には保険料の仮設定を求める考えだ。
六五歳以上の高齢者が支払う第一号保険料は、サービスの見込み量を盛り込み市町村が策定する市町村介護保険事業計画をもとに策定される。
改正法が施行される二○○六年度は第三期事業計画の開始年度にあたる。介護報酬の改定もあり、スケジュールはタイトだ。
住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう地域包括ケアを目指すとする改正法では、従来よりもきめ細かく「日常生活圏域」でサービスを設定するのがポイントの一つだ。
年度内にまず、日常生活圏域を設定することを求める。
法改正で新たに計画に追加される事項はこのほか、日常生活圏域ごとに新たに地域密着型サービスに位置付けられる認知症GH、定員二九人以下の小規模な特定施設・特別養護老人ホームの必要利用定員数、介護予防サービス見込み量・地域支援事業の必要額など。
地域包括支援センターを設置できない場合は二年間、介護予防の経過措置があるため、いつから実施を見込むかも給付量を算定する重要なポイントになる。
日常生活圏域ごとに設定した地域密着型施設については、計画値を上回る場合は新規参入事業者を市町村が指定しないことができるようになる。(以下略)
介護保険制度改革で焦点となっている「介護予防重視のシステムへの転換」の具体的な内容について、現場の一線で働くケアマネジャーらにアンケートを行ったところ、「予防の考え方は理解できるが制度は疑問」が七五%だった。(関連記事7面)
アンケートは本紙の「ネットご意見番」の登録者五○○人余りが対象。今月初めに国会に提出された法案の具体的な内容を踏まえて実施した。回答率は二○%。
法案で明らかになった予防重視のシステムは、@予防と介護の体系を別にする、A予防マネジメントは地域包括支援センターが行う、B認定非該当者の予防事業を地域支援事業として保険制度に位置付けるなどがポイント。現行の要支援の方全員と、要介護1から認知症などを除いたほとんどの人が、新たな予防給付の対象となる見込み。
アンケートではこうしたシステム転換の是非を尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのは「予防の考え方はわかるが、制度の内容には疑問がある」で七五%。「運用がややこしくなる」六七%、「高齢者の立場に立った見直しではない」四二%。反対意見が「将来に向けて必要な転換」(二一%)を大きく上回った。「給付抑制が期待できる」はわずかに四%だ。その理由としては、高齢者の参加意欲が低く、継続が難しいことが指摘されており、「現行の認定区分がようやく認識されたばかりなのに」「さらに分かりにくく混乱は避けられない」など「過激」な制度変更に戸惑う声も多い。
Q子 今回の制度見直しで一番大きいのが、介護予防なんでしょ。今回はそれを教えてくれる。
A男 そうだね。沢山の問題もあるから、ぜひ、法案を読んでほしいところだ。ところで、どの辺まで知っているのかな。
Q子 制度が始まってから、軽度の認定者が急速に増えて、しかも、重度化が進んで、保険財政を圧迫しているから、要介護にならないようにしたり、重度になるのを防ぐために予防が必要なんでしょ。筋力トレーニングを受けてもらうようにするって話ね。うちのおばちゃんなんか、今から嫌がっているけど。あなたも前から、反対でしょ。
A男 筋トレだけが予防サービスということではないんだよ。僕は個人的には予防という考え方は否定しないけれど、それを制度にした姿がおかしいって言っているんだよ。
軽度の人の給付を減らしたいだけなのに、なんでこんな手間暇かける必要あるのかってくらいにややこしい仕組みだ。かえってお金がかかるんじゃないかとも疑っている。
Q子 どういう仕組みなの。少し整理して説明してくれないかしら。
A男 予防重視型システムのポイントは、@予防給付と介護給付を別体系にする、A現行の要介護1の人を新たに予防サービスの対象とする、B予防プランの作成は市町村の責任で新たに創設する「地域包括支援センター」が行う、C認定非該当の人への予防サービスなどを「地域支援事業」として制度に位置づけることの四つだ。
Q子 予防給付と介護給付を別体系にするっていうのはどういうこと。これまでも、要支援の人のサービスは予防給付だったんじゃないの。
A男 その通りだ。だけど、運用は一緒だったから、違いはあまり意識されていないんじゃないかな。別体系にするってことは、別のサービスにするってことだ。
つまり、同じ訪問介護でも、予防と介護でサービスの運用を変える。指定も別に必要とし、多分、報酬も別になる。
現場では訪問介護の身体介護と生活支援はまぎらわしいから一本にしてくれという要望が根強くあるけれど、見直しはこれに逆行することにもなる。(以下略)
厚生労働省は十八日、全国高齢者保健福祉・介護保険関係主管課長会議を開催し、国会に提出した法案の概要や、法改正に伴う準備作業について説明した。中村秀一老健局長は「制度改革のポイントは長持ちする制度にすること。社会保障改革の先頭を走ってきた介護保険がトップランナーであることは変わらない」と協力を要請した。制度改正に伴い、都道府県ではケアマネの名簿管理や、事業者指定の更新制など、市町村では地域密着型サービスの指定、事業者の指導業務など事務作業が大幅に増え、システムの構築・改修が必要になる。施行は〇六年度から。法案が成立する前からカウントダウンで準備作業が始まっている。主な内容を紹介する。
新年度予算に盛り込んだ「地域介護・福祉空間整備等交付金」は、今国会に提出された三位一体改革法案の中に盛り込まれたWAC法改正案が根拠法となる。同法案は三月末にも成立予定で、なるべく早期に初の交付決定をしたい考えを示した。市町村交付金を受けるには、トータルな基盤整備計画を提出することが条件だ。
交付を受けるには、三年以内に実施する基盤整備事業を盛り込んだ市町村整備計画の策定を行い、五月上旬までに都道府県を通じて、管轄の地方厚生局に提出する。
交付の対象は、小規模多機能型やサテライト型の特養・老健・ケアハウス(特定)、認知症高齢者グループホームや認知症対応型デイ、夜間対応型訪問介護などの地域密着型サービス拠点、介護予防拠点、地域包括支援センターなど。当面は介護予防拠点の整備だけの計画も認める。
計画の提出を受けた国は評価を行い、一市町村一億円を上限として交付額を設定する。介護保険事業計画で定義した日常生活圏域に交付される市町村交付金は、三年に一回を限度とするが、介護予防拠点のみの計画の場合は例外とする。(以下略)
上智社会福祉専門学校(東京都千代田区)は四月から、介護サービス事業所に所属する「中堅」介護福祉士を対象に、組織のチームリーダーや責任者へとキャリアアップするための二年間の研修コースを開講する。介護職としての倫理、ケア技術の修得だけでなく、職員に対する指導やスーパーバイズを始めとする「働きやすい職場づくり」を担う総合的な能力を備えた人材育成を目指す。現職の介護福祉士を対象とした継続研修では初めての試みだ。厚生労働省では今後、介護職の基礎資格を介護福祉士に統一し、生涯研修体系を確立する方針を示している。そのモデルになることも視野に入れた取り組みだという。
「中堅介護職の継続研修コース」は毎月第三土曜日を通学日とし、一日五時間・二年間で修了するカリキュラムだ。「中堅」とは、研修コースを担当する三浦虎彦専任教員によると「新人職員や実習生の指導にあたっている人、あるいは近い将来そういった役割を任される予定がある人」。介護福祉士が所属する事業所は在宅から施設まで、規模も法人種別も実に多様だ。そのため一概に肩書きや経験年数で判断するのではなく、実質的に職場の中で指導者的な立場にある人を対象にしたいと話す。
カリキュラムは半年ごとに一つのテーマで設定されており、四月から始まる第一期では「介護職としての倫理」を取り上げた。人の生命と常に接する職業人として利用者の尊厳や権利をどう守り、支えていくか。ケアサービスの根幹を成す部分であり、終末期ケアや介護事故などさまざまな側面から共通の理解を深めることを出発点とした。これを踏まえ、第二期からは新任者への指導や困難ケースに対するケアカンファレンス、スタッフ間のコミュニケーションを図る方法など、現場のリーダーとして組織の問題解決能力を具体的に身に付けるプログラムに進んでいく。受講生が職場で抱えている問題に対応するヒントになるよう、毎回演習の時間を多くとっているのも特徴の一つだ。二年間で全てのプログラムを修了すると「研修修了証」が交付される。(以下略)
支援費制度を見直し、これまでばらばらだった身体、知的、精神の三障害の給付を同じ体系にする「障害者自立支援法案」が十一日、閣議決定された。今年十月より段階的に実施する。新しい制度は、全障害共通の「障害程度区分」で給付額を決定する仕組みとなる。すでに厚生労働省は当面は介護保険の要介護認定で代用する方針を示している。法律の規定も介護保険法に準じたかたちになり、同省が意欲をみせる介護保険法との相乗りに含みを残したかたちだ。(関連記事4面)
厚生労働省の当初の案では、「障害者自立支援給付法案」だったが、与党調整の中で「給付」を外すことになった。支援費制度では、かかった費用に対して国が財源を保障する仕組みがなかったために、予算不足にみまわれたが、新しい法案では国の負担を義務化。国が定める範囲で事業を実施した場合は補助を約束する仕組みとした。しかし、その見返りに来年一月から、制度見直しに先駆けて、一割の応益負担が導入される。これまで収入に応じた利用者負担を大きく変えることになり、障害者の反発も強い。国会審議でも最大の焦点となりそうだ。
法案では、これまでのサービスを整理し、個人の状態に合わせて支給する自立支援給付と、市町村が取り組む「地域生活支援事業」に整理。自立支援給付には、介護給付、訓練等給付、自立支援医療費、補装具費を位置付けている。
このうち、介護給付部分は厚生労働省が介護保険の適用にしたい部分だ。ケアマネジメントとして、「相談支援事業」を位置付けたほか、容態の変化に合わせ、柔軟にサービスが利用できるよう重度の障害者向けに包括払いの給付を設ける。(以下略)
仙台市は新年度から、介護保険制度改革で導入が予定されている新予防給付や地域支援事業のサービス提供にあたって「介護予防ケアマネジメント」のモデル事業を行う。地域の団体や関係機関との調整などを行う「地域包括支援センター」にあたる組織を置き、「〇六年度から導入される新制度に円滑に移行するための検証事業」(高齢企画課)とする。地域の公民館やデイサービスセンターなどを活用した介護予防サービス拠点の整備も同時に進めていく。
介護保険制度改革法案には、軽度の要介護認定者を対象にした「新予防給付」と、認定外の高齢者が要介護状態にならないための「地域支援事業」の創設が盛り込まれている。
市はこの新制度を実践するかたちで、市内五区にある既存の在宅介護支援センターなどを「地域包括支援センター」のモデル施設として指定し、利用者ごとに介護予防プランを作成、関係機関などとの調整をはかりながらサービス提供を行う。介護予防サービスは、国で給付対象として認める予定の筋トレ、栄養改善、口腔ケアを行う予定だが、現時点では詳細が不明確な包括支援センターや地域支援事業については、中身が明らかになるのをにらみながら実施していく方針だ。市の予算で五一〇〇万円を計上している。新年度には、サービス事業者や学識者をメンバーに迎えた協議会を設置し、介護予防を推進していく上での市の方向性や、モデル事業の結果を踏まえた検討を行っていく予定だ。(以下略)
Q子 介護保険法案が国会に提出されたそうね。
A男 そうだね、二月八日に閣議決定された。審議が始まるのは三月末ぐらいからになると思うから、まだ時間がある。読んだほうがいいよ。
Q子 法律って難しそうで苦手だわ。
A男 現場の人にもそういう人は多いだろうね。でも、決まってしまえば簡単に変えられない。現場のことがわかっている人が現実の場面を想像しながらちゃんと読み込んで、意見を言わないとひどい目にあうのは利用者だ。慣れるとそんなにしんどくないし、案外面白い。まず、わかりやすいところでケアマネジャーにかかわる部分について読んでみよう。関係する部分を抜き書きしたからまず読んでみて。
Q子 そうはいっても、難しいわね。何がどう変わるの。ヒントをちょうだい。
A男 一番感じたのは、お役人は民間の居宅介護支援事業所に辟易しているってことだね。軽度の利用者を掘り起こして、サービスを押し売りする。事業所の都合のいいサービスでケアプランをたてさせるってさんざん、いわれていたじゃないか。
Q子 事業所に所属しているケアマネジャーに、厳正な公正中立を求めること事態無理と思うけれど。
A男 お役所的な見方だと許せないんだろうね。まず、二七条の認定のところだ。これまでは、居宅介護支援事業所への委託ができた要介護認定の調査は初回は必ず市町村が行うことにした。市町村も行革で簡単に人が増やせないから、新たに指定市町村事務受託法人を創設してアウトソーシングできるようにしている。
Q子 公正中立じゃないといけないでしょう(笑)。
A男 その通り。公益的法人で中立性を確保するためにサービスを提供していないことを条件とするようだけど、そういう法人で介護支援専門員を確保しているところって今はない。すでに当面経過措置がとられる方針が示されている。(以下略)
石川県かほく市の認知症グループホームでスタッフが入所者を殺害する事件が起きた。犯行の動機など事件の真相は警察に委ねるしかないが、マスコミ報道などで問題と指摘されている「夜間ケアの一人体制」について現場に意見を聞いてみた。国の基準では「夜間は二ユニットまで一人体制でOK」。緊急対応などを考えれば最低でも二人は必要と考えるのが現場の本音だが、現状では複数配置すれば経営は一気に苦しくなる。一方、ケアの質の面からいえばスタッフの数より利用者の状態に応じて柔軟に対応できる体制が理想的という声もある。二○○三年の報酬改定で宿直から夜勤体制に加算が付くようになったものの、その後実態把握は行われていない。改めて多角的な視点から検証が必要だろう。
グループホームの職員配置は、国の基準では「夜間は一人以上、日中は利用者三人に対して一人以上」。夜間は介護保険当初は宿直でも可としていたが、徘徊のお年寄りにつきっきりで見守るケースなどが多く実態は夜勤と変わらないことから、二○○三年の報酬改定で夜勤ケア加算が設けられた。スタッフ数は変わらず二ユニットまでは宿直でも夜勤でも一人体制でOKだ。
「入所者全員が認知症のお年寄りなのに、一人で二ユニットまでよしとしている基準は現実的ではない」
広島県で複数のグループホームを運営する法人の代表は、夜勤ケア加算に引き上げられても不十分だと話す。緊急対応を考えれば二人体制が最低でも必要だからだ。しかし、実際には夜勤は一人だけ。「うちは一ユニットずつの独立型。九人未満の入所者に対して二人体制にすれば一気に経営が立ち行かなくなってしまう」。
その代わり発熱など緊急対応の基準をつくり、電話で連絡を取り合ってすぐに応援に駆けつける体制を取っているという。(以下略)
パラマウントベッドは二月から、レンタル事業者で使用して償却期限の過ぎた介護用ベッドを下取りして消毒・メンテナンスを行い、六カ月間の保証書をつけてメーカー認定の中古品として販売する事業を始めた。二〇〇〇年の介護保険制度施行から五年を経て償却期間が過ぎた中古ベッドが大量に出まわりつつあることが背景にある。「これまで手付かずだった中古の介護ベッドの安全性の確保やリユース、リサイクルの仕組みを作るための試行事業の位置付け」と、坂本郁夫取締役営業本部長は話す。
事業のねらいはベッドの安全性の確保が第一。最近は福祉用具の中古品販売の折り込みチラシも見かけるようになった。介護保険のレンタルとして使われ期限が切れたベッドが安全性もチェックされないまま取扱説明書もなく販売されているのも見受けられる。マット、柵の組み合わせもばらばら。適正に組み合わせないと挟み込みや転落などの事故につながりかねない。メーカーとして何らかの形でリユースのあるべき姿を示す必要があると考えた。医療機関のベッドメンテナンスを行ってきたグループ会社パラテクノのノウハウも活用して基準を作った。基準に業者が追随すれば中古ベッドに一定の安全レベルが保たれる効果もある。
第二に中古ベッド市場が成長していることもある。現在介護ベッドは約六〇万台流通していると考えられる。介護保険が始まるのに合わせてレンタル事業者がリースで仕入れたベッドはリース期限の五年間が切れるものがこの三月以降増加していく。今後回収対象のベッドが年間で一〇万台程度出てくると考えている。この市場に対するビジネスモデルを作る試行ととらえている。(以下略)
政府は八日の閣議で介護保険法改革法案を閣議決定した。改革の最大の焦点となる予防システムの強化では、軽度の認定者への「予防給付」のメニューは一七種類。何がどう給付抑制につながるかは、支給限度額などの政省令や報酬が固まってからでないと法案だけではわからない。厚生労働省の裁量に委ねられることになる。〇八年四月まで経過措置はあるが、今はまったく形のない地域包括支援センターを中核とする予防システムの導入には課題が山積している。(法案要綱は2面に掲載)
介護保険の対象を障害者にも広げるとともに、被保険者を二〇歳以上とすることについては、法律本文に書き込むことは断念したものの、与党調整では付則に具体的な年次を盛り込むことに最後まで腐心した。最終的には社会保障の一体的な見直しを踏まえて再検討した上で「○九年度に所要の措置を講じる」と明記することで決着した。
法案では、要支援者の定義を「要介護状態になるおそれのあるもの」から「介護予防に特に資する支援を要するもの」に変更。現行の要介護1の人も認定時のスクリーニングで「要支援者」とする。
新しい要支援者が利用できるサービスが予防給付。介護給付とは別の体系にする。それぞれ新たに基準が設けられ介護給付とは別に指定が必要となる。予防訪問介護、予防通所介護や地域密着型介護予防サービスなど一七種類を位置づけた。三〇人以下の介護専用型有料老人ホームなど一部と、介護保険施設を除けば、介護給付と同じサービスメニューだ。法律上の大きな違いは、予防マネジメントを地域包括支援センターに限定し、居宅介護支援事業所が直接は担えないようにした点だ。(以下略)
茨城県は来年度から、高齢者の動作訓練の指導をする「シルバーリハビリ体操指導士」の養成事業を開始する。リハビリテーションの第一人者で県立医療大学付属病院の大田仁史院長が考案したリハビリ体操「いきいきヘルス体操」を幅広く地域に広め、住民が要介護状態になるのを防ごうというねらいだ。二〇一五年までに一万人を養成する目標を打ち立てている。「この事業は介護の中にリハビリの思想を入れ込むための戦略の一つ」と大田院長。介護予防は地域で一体的に進めるのがポイントで、介護保険の中に入れることには反対だという。事業内容や介護予防の考え方について発案者の大田院長に聞いた。(聞き手=大元美樹)
・・茨城県では来年度から「シルバーリハビリ体操指導士」の養成事業を進めるそうだが。
「指導士はおおむね六〇歳以上を対象とした県知事の認定資格で、『いきいきヘルス体操』の実技と、介護学や解剖生理学、制度についての講義とを合わせて約五〇時間(三級)で学んでもらう。『いきいきヘルス体操』とは、私が二〇年ほど前に脳卒中による片まひの人のために開発した体操で、専門家がいなくても自宅で一人でできる。肩を上げたり、寝たまま股関節を開いたり、座ってお尻を上げたりのごく簡単な体操だ。
認定された指導士は公民館でサークル的な活動を展開してもいいし、施設などへ出向いていって指導してもいい。地域での普及活動を担ってもらいたい。
来年度は五月ごろに三級(サポーター)コースを立ち上げ、夏ぐらいから二級(リーダー)コースを始める。最終的には二・三級指導士の養成にあたる一級指導士まで養成し、二〇一五年までに合わせて一万人強を養成する計画だ」
・・なぜ独自資格なのか。
「茨城県の理学療法士(PT)は人口一〇万人に対して一七人、作業療法士(OT)は一二人と全国でも最下位レベル。リハビリ職が最も多い高知県ではPT同七八人、OT同三三人という状況だが、この地域格差は埋まらないだろう。専門職の多くが都市、病院に集中するという偏在構造もある。
一方で、茨城県は脳卒中患者が非常に多い。寝たきりを防ぐためには、国の対策や公的資源の充実を待つよりも、一人ひとりが介護予防やリハビリについて学んで実践することが近道と考えた。
幸い県では、一九九四年から一人暮らしのお年寄りや障害者を対象に、必要な支援を民生福祉委員や施設、一般住民などがチームを編成して提供する『地域ケアシステム』を動かしている。この土台の上で、○三年度から始めた県民全員でホームヘルパー三級資格を取得しようという運動と、今回の体操指導士の養成を進めていけば、システムのチーム員が強化されることになりよりよい支援につながる。
これから一斉に定年を迎える団塊の世代を地域社会に引き込むためのツールにもなるだろう」(以下略)
厚生労働省は、この冬ノロウイルスなどによる高齢者施設での集団感染が相次いだことを受け、特養ホームの感染管理マニュアルの作成に着手した。重度の高齢者が増えているのに手薄な医療体制であることが感染拡大の原因と指摘する声も強まっているが、「生活の場である特養ホームでは、日ごろからどれだけ高齢者の免疫力や体力を高めるケアをしているかが予防の原点になる」と話すのは、マニュアル作成の研究班に参加する特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘の鳥海房枝副施設長だ。安易な経管栄養やおむつの使用を見直し、一人ひとりの変化や異常に早めに気付くことができるようにする。それは介護と看護の協同作業に他ならないという。(聞き手=吉田乃美)
――集団発生の背景には特養ホームの手薄な医療体制を指摘する声もある。
「特養ホームには医療処置の必要な高齢者が増えているのに常勤の医師がおらず、看護職も少ないから感染症管理ができていない、という論調がマスコミ報道で強まっていることに、私自身は大いに疑問と反発を感じています。だったら、病院は完璧なのかというと実際に感染者を出した医療機関もあるわけです。
ノロウイルスに限らず、インフルエンザや疥癬、結核などさまざまな感染症があり、発症しても生命に別状のないものもあれば非常に短い期間で死に至るものもある。しかし、いずれにしても個々の病気の特徴と感染のプロセスをきちんと理解していれば冷静な判断と対応ができるものです。
ただ、多数の人間をケアしなければならない施設や病院においては何が起こるか分からないため、それに加えて最低限のリスクマネジメントも必要となる。それが血液と排泄物・吐しゃ物などの体液の取り扱いに注意するということ。『一行為一手洗いの原則』といわれる理屈です」
――病院と特養ホームの感染管理は違うのか。
「特養はあくまで生活の場です。かかってしまった病気を治療するのが目的であれば医療機関と何も変わらない。
特養ホームでは『できるだけ病気にしない』という観点で、日常から高齢者の免疫力を高めるようにケアを行うことが何より重要です。要は、お年寄りが自分の口から食べて自分の力で排泄できるようにすること。誰でも分かるような健康の基本にこだわり続けることなんです。(以下略)
全国老人福祉施設協議会(全老施協・中村博彦会長)はこのほど、要支援・要介護1の軽度認定者への給付のあり方について、ケアマネジャーと利用者本人に対するアンケート調査の結果をまとめた。筋力向上トレーニングなど、予防給付のプログラムとして導入されるメニューを「積極的に受け入れたい」とした利用者はわずか七・三%。予防を義務化されることへの抵抗感や効果に対する疑問の声もそれぞれ二〜三割に上っている。全老施協では、軽度認定者に対する予防は、現在の給付体系のまま個々のサービスの機能強化を図る中で提供していくべきであるとし、予防プログラムに特化したサービスは介護保険非該当の自立者に重点的に投入することなどを提案している。
調査は昨年六月に会員施設のケアマネジャー二二○名と、ケアマネジャーが担当する要支援・要介護1の利用者・家族六六○名に対して実施したもの。回収率はそれぞれ七九・五%、七四・三%だった。
利用者を対象にした調査では四九一人が回答したが、その平均年齢は八一・九歳。全体の七割近くが八○歳代以上であり、家族形態では独居が三七・七%で最も多い。
現在でも自治体の介護予防・地域支え合い事業の中で転倒予防教室や痴呆予防教室など介護予防メニューが実施されているが、実際に利用している割合を見ると、転倒骨折予防が二・四%、アクティビティ・認知症予防教室やIADL訓練教室で一%。配食サービスや緊急通報サービスなどが二割に達しているのと比べると、ほとんど利用されていない状況だ。
介護保険改正による新・予防給付導入についての意向では、最も多かったのが「現在の在宅サービスを利用できなくなるのは絶対に困る」で七九・六%。積極的に予防プランを受け入れたいとする人はわずか七・三%に過ぎず、「予防プランを義務化されるのは困る」(三四・四%)、「効果が期待できない」(二二・二%)、「馴染みのない場所には通いたくない」(四七・五%)など消極的・否定的な意見が大半を占めている。(以下略)
介護ベッド最大手のパラマウントベッド(東京都江東区)は二月十四日から、自社の介護用ベッドをレンタル事業者から下取りして消毒・メンテナンスを行い、取扱説明書や保証書をつけて個人や老人ホーム向けに再販する新事業を始める。レンタルで使用され償却期間の過ぎたベッドの市場が大きくなり無視できない存在になっているため。六カ月間の保証期間を付けメーカー認証の中古品として差別化を図る。
介護ベッドの再販売事業は名古屋配送センター内に設置したメンテナンスセンターを拠点として展開する。消毒装置など四八〇〇万円を投じた。同社と取引のあるレンタル事業者やレンタルにリースする会社から、介護用ベッドを下取りして徐塵、消毒、清拭、検査、修理を経て同社の認定中古品のラベルを貼り、六カ月のメーカー保証をつけて販売する。当初は六人の体制で月に二〇〇台のペースで整備、二、三月で二〇〇〇万円、来期一億五〇〇〇万円を売り上げる計画だ。同社は新事業のねらいを「循環型事業」としているが、同社の中古品が大量に流通し始めたことが背景にある。
同社では一昨年十一月に新「楽匠」シリーズを投入、新シリーズへの買い替えを積極的に進めたことでそれまで主力だった「アウラ21」「キューマアウラ」シリーズの中古品が大量に出まわり始めている。
都内のある介護ショップでは新品では三〇万円を超える価格の「キューマアウラ」を消毒・メンテナンスを行い、認定からもれた軽度者や一般向けに一〇万円を切る価格で販売している。レンタル卸・事業所から月に数十から数百台の単位で仕入れ、販売する体制をとる介護ショップも中にはある。
「消費者の購入志向は強く、メンテナンスなどの手間をかけても、事業化できると判断した」(介護ショップ経営者)(以下略)
厚生労働省は介護保険制度の見直しに伴い有料老人ホームの規制強化に乗り出す。老人福祉法の定義を見直し、事業として一人でも高齢者を預かれば有料老人ホームとみなし、都道府県への届け出を求める。終身利用権方式の場合の入居一時金には、倒産した場合も返還できるよう銀行保証などの保全措置を義務付ける。また、要介護の高齢者を入居させる介護専用型については、自治体の計画値を超えた場合には介護保険による指定を拒否できるようにする「総量規制」を導入する。制度創設後に急増した有料老人ホームの参入規制の思惑がにじみ出る内容といえる。
老人福祉法の改正案では、有料老人ホームの定員要件を廃止し、@食事、A介護サービス、B日常生活サービスのいずれかを行っている場合と幅広く定義した。
事業として一人でも入居させれば、有料老人ホームとしての届け出を義務付け広く網をかける。例外扱いとするのが、認知症対応グループホーム(GH)と賃貸住宅。それぞれ別の規定で入居者の権利が保護されているためという。
賃貸住宅については、現在、国土交通省が「高齢者専用住宅」として情報提供の強化目的とする新たな任意登録制度を準備しており、これを活用する方針だ。介護保険の基準を満たせば特定施設として給付対象にする。
その上で、有料老人ホームには帳簿の保存、情報開示を義務化し、都道府県が違反者に改善命令できるようにするなど行政指導を強化。また、入居時に一括して費用を徴収する場合に、倒産しても返還ができるように、銀行保証、保険、供託金などで保全措置をとることを法律で義務化する。有料老人ホームの中でも特に規制が強化されるのは、最も参入の多い当初から要介護の高齢者を入居させる「介護専用型」タイプ。自治体の計画値による「総量規制」を導入し、要支援者を給付から除外する。
定員二九人以下は「地域密着型」として、市町村が指定する。GHや小規模特養と合計した総利用定員数が市町村の計画値を超えた場合は指定を拒否することができる。住所のある人しか利用できなくなる。(以下略)
神奈川県はこのほど、県内の有料老人ホームの重要事項説明書を閲覧できるホームページ(以下HP)を開設した。有料老人ホームの名称や所在地、連絡先をホームページ上で公表している自治体はあるが、重要事項説明書の公開は全国的にも珍しい。
重要事項説明書とは、有料老人ホームの入居希望者に対して交付される入居契約に関する重要事項を示した文書。これまでは県政情報センターや横浜市、川崎市の担当課に置いてある閲覧用の冊子を見に行くか、各施設から取り寄せなければ見ることができなかった。
具体的には、従来から公開していた施設名や所在地、居室数・定員のほかに、入居一時金や返還金の保全措置の有無、月額利用料の内訳などの利用料、苦情解決の体制や事故発生時の対応、協力医療機関との連携体制、入居の状況(介護度の内訳、平均年齢)、入居・退居の条件、実費の必要な介護サービスの一覧――などを施設ごとにPDF画面で閲覧できる。
二月一日現在、県内全一八一カ所の情報を掲載している。HPアドレスはhttp://www.pref.kanagawa.jp/osirase/koreihoken/sisetu/itiran/yuuryo.htm(以下略)
介護保険制度に導入される介護予防システムの理論的裏付けとなっているのが、厚生労働省の「介護予防サービス開発小委員会」が昨年末にまとめた中間報告書だ。軽度者の予防給付として筋トレなどの新メニューを追加するほか、訪問介護などの既存サービスを見直し位置付けることが提言されているが、「一番のポイントは介護予防ケアマネジメント」と座長の辻一郎東北大学大学院教授。きちんとした予防効果を出して将来の給付減につなげるためにも、むしろ当面のコスト・給付は手厚くすべきと強調する。軽度者に限定されることになる給付やマネジメント手法についても、「本来はすべての要介護者に必要。今後の検討課題だ」との考えを示した。(聞き手=大元美樹)
――報告書のポイントは。
「最も時間をかけて話し合ったのが介護予防ケアマネジメントについてだ。それはどういうものなのか、実現のためにケアマネジャーやヘルパーはどうすればいいのか…そもそも論のところを時間の許す限り詰めた。
介護予防ケアマネジメントとは、ひと言でいえば目標志向型のマネジメント。従来のサービスが、利用者が「困っていること」や「できないこと」を補う補完的なものだったのに対して、現状では何ができているのか、実際に本人はどんな生活を希望していて、実現のためにはどんな支援が必要なのかを、全人的にアセスメントする手法をいう。例えば「外出できない」高齢者に対しては、「じゃあヘルパーを入れましょう」ではなく、「どうして外出できないのか」を探るところから始める。原因が尿失禁だったと分かれば、薬や骨盤のトレーニングで改善をはかる。外出できるようになれば生活も広がり、自信にもつながる。予防給付だけでなく、改善した利用者の地域支援事業への移行や、逆に改善の見込めない利用者の介護給付への移行についての配慮も求められる」(以下略)
連合のシンクタンクである連合総合生活開発研究所(中名生隆所長)はこのほど、質の高いホームヘルパーを確保し育成するための最終提言をまとめた。良質な訪問介護サービスを提供するには高い能力を持ったヘルパーの確保・育成ができるような雇用管理が不可欠だが、小規模な事業所では事業所経営を行うための費用がすでに介護報酬の収益を大幅に上回っており、雇用管理を行う余裕がないことを試算で明らかにした。同研究所は、現状の介護報酬では訪問介護事業のみで健全な経営とサービスの質向上を目指すヘルパーに対して的確な処遇を行うのは困難であるとした。
ヘルパーに対して最低限の労働条件や研修機会などの確保にあたって適正な介護報酬を探ることを目的に、二〇〇二年介護事業経営実態調査結果の在宅サービス事業所、訪問介護の合わせて七五二事業所の損益試算表(平均値)を基に試算を行った。介護報酬の収益に占める給与費は全国平均で八六・五%、社会保険料や減価償却費など運営にかかる最低限の事業費用は一〇〇・七%。介護報酬収益だけでは事業経営が困難な実態が明らかになった。 さらに、社会・労働保険の適用とそれ以外の移動や待機時間の賃金支払いなど雇用管理の状況によって事業者を四つのケースに分けたところ、社会・労働保険のみ適用している事業者でも赤字が発生し、非サービス時間の賃金支払いや標準的な研修・人材育成、年休の取得などを考慮している事業所では大幅な赤字になった。(以下略)
日本アビリティーズ協会はこのほど、ホームヘルパー二級講座に独自のカリキュラムを導入するなど、従来から行ってきた人材養成事業を刷新することを明らかにした。厚生労働省の規定する標準時間数を上回る講義・実習を行うほか、グループ企業で各種在宅サービス事業を手がけるアビリティーズ・ケアネットの現場スタッフを講師に据えて車いすのシーティングを指導するなど、実際に同社が提供しているケアサービスのノウハウを公開するのが特徴だ。三月から神奈川県横浜市や大阪府で順次開講し、修了認定者や現職ヘルパーを対象にしたレベルアップ研修も今後導入していく考えだ。
同協会事務局によると、新しいヘルパー養成講座は、サービス従事者が押さえておくべき理念と実践の原則や、障害の程度に応じて調整可能なモジュール型車いすのシーティングについて解説する講義のほか、装具を付けた高齢者疑似体験の演習を組み込んだ一三三時間のカリキュラム。講師には同協会の会長で自身も障害を持つ伊藤弘泰会長を始め、グループ企業として在宅ケアサービスを展開するアビリティーズ・ケアネット社からPT・OTや看護師・介護福祉士など、現場の幹部クラスの専門職を総動員する。(以下略)
厚生労働省は二十五日、今国会に提出する予定の「障害者自立支援給付法案」の要綱を明らかにした。現行の身体障害者、知的障害者、精神障害者、児童の各法で整備されてきた給付体系を再編し、障害の種別にかかわらず基礎的な福祉サービスを利用できるようにするのが目的だ。法案要綱では障害者の定義を始め、給付の種類や障害程度区分に基づく支給決定のプロセス、サービス利用に伴う一割の定率負担の導入などを定めている。二月中旬までには法案を完成させる考えだ。改革の概要はほぼ固まったが、新しい支給決定や利用者負担の見直しなどは来年度中に導入する。責任主体となる市町村にとってはほとんど準備期間はなく、厳しいスケジュールに懸念の声が相次いでいる。
法案要綱は、同日開かれた社会保障審議会障害者部会(部会長=京極高宣日本社会事業大学学長)に提示された。
新法では、障害者自身が選択した場所に居住し、自立した日常生活や社会生活を送ることができるよう必要なサービスを提供する責任が市町村にあると明記。現在障害種別ごとに整備されている個々の福祉サービスについては一本化し、「自立支援給付」として介護や就労支援、通院医療など障害者共通の基礎的なサービスを位置付ける。かかった費用については予算不足が生じないよう財源が保障される義務的経費に変更される。ただし、地域ごとに上限を設ける。
サービス利用にかかる一割の定率負担や施設の食費・光熱費の実費負担は、障害当事者団体などから最も反発の強かった点だが、介護保険など他制度の月額利用上限と足並みを揃えた低所得者対策を創設して導入。特に負担の増えるグループホームや施設入所者については、負担上限をさらに低く設定するなど三年間の経過措置を設ける。(以下略)
厚生労働省は十九〜二十日の二日間、全国厚生労働関係部局長会議を開催した。老健局は、二十一日に召集された通常国会に介護保険法の改正案を提出して〇五年のスタートを切る。中村秀一老健局長は、「改正は制度創設時に勝るとも劣らない内容になる」と影響の大きさを強調。さらに「法改正は骨格で、筋肉や神経をつけるには〇六年四月の介護報酬改正と一体的に考えなければならない」との認識を示し、都道府県や市町村に対しては、改正への対応と合わせて第三期事業計画の策定や保険料の見直しに取り組むよう促した。老健局の主な説明事項を紹介する。
予防システムの構築は制度改革の柱と強調。新予防給付の対象者は要支援、要介護1の中から、予防給付にふさわしくない者を除外して選定すると同時に、認定調査票や主治医意見書の様式の見直しを行うとした。新たな要介護者をつくらないため市町村が行う「地域支援事業(仮称)」の費用は、第一号・第二号被保険者の保険料と公費でまかなう方針を示しているが、「具体的な負担割合は現在検討中」。来月十八日の全国課長会議で明らかにするとした。現行の老人保健事業については、六五歳以上のみが地域支援事業に移行する。
なお、従来の介護予防・地域支え合い事業には、@市町村介護予防試行事業、A「介護予防一〇カ年戦略」推進のための啓発事業、B介護予防従事者研修事業、C認知症高齢者をかかえる家族に対する地域支援事業(市町村)、D苦情・事故事例活用研修事業(都道府県)を新メニューとして追加。一方、三位一体改革により、緊急通報体制等整備事業、外出支援サービスや訪問理美容サービスなど高齢者等の生活支援事業への補助金は廃止される。養護老人ホームと生活支援ハウスへの国・都道府県の補助金も廃止、市町村へ税源移譲される。養護老人ホームでは、〇六年度から介護保険サービスが利用できるよう法改正する方針。(以下略)
厚生労働省が示した障害者自立支援給付法案は、これまでバラバラに進められてきた障害者施策を一体化させるものだ。現行の給付体系も大幅に変わる。保険と税という財源の違いはあるが、市町村にサービスの提供責任を一元化することや障害程度区分の認定調査と判定、利用に伴う一割の自己負担導入など、仕組みの基本は介護保険と共通だ。概要をまとめた。
これまで障害者福祉サービスの費用は、知的障害、身体障害は支援費制度で賄われてきた。新制度はもともと介護保険制度と仕組みのよく似た支援費制度をベースに、精神障害の公的医療を組み入れた上で、サービスの体系を大幅に見直した内容となっている。
膨大なサービスメニューを一人一人の必要に応じて支給される個別給付とその他に分類。前者の個別給付にあたるのが法律上の「自立支援給付」だ。その他は市町村が独自にメニューを決めて行う地域生活支援事業となる。
「自立支援給付」は訪問介護やデイなどの介護給付など五つの給付に分類される。訪問介護の類型だった移動支援(ガイドヘルプ)は介護給付から外れ、地域生活支援事業になる。自己判断能力が低い自閉症や統合失調症などつきっきりで見守りが必要な場合と、脳性まひなど重度の身体障害者は例外的に自立支援給付としての給付を行う。(以下略)
日本在宅ケア学会(島内節理事長)は二十三日、神奈川県横浜市で第九回学術集会を開催した。今回のテーマは「ケアマネジメントを支えるチームアプローチの展開」。高齢者の在宅ケアを効果的・効率的に進めていく上でカギとなるケアマネジメントだが、現状では疾病や機能障害の種類、そして個人個人の生活の特性などを踏まえたケアプランをケアマネジャー一人で担わなければならず、限界も指摘されている。学術集会長を務めた加瀬裕子早稲田大学教授は、介護保険見直しで創設される地域包括支援センターについて、「保健師や社会福祉士だけでなくさまざまな専門職種がチームを作ってケアマネジャーをバックアップしていく機能が必要」と話した。
加瀬教授は、現在の介護保険下でのケアマネジメントについて、@利用者が入院するとケアマネジメントが終結してしまうなど医療サービスとの橋渡し機能がない、A単一サービスで済む場合でもケアマネジャーの訪問が義務付けられており、利用者のニーズに応じた柔軟な対応ができない、B併設事業所のサービスに偏るのは、自分が最も良く知っているサービスを利用者に勧めたいというケアマネジャーの良心的行動の結果としても当然に起こり得る事態である――と課題を指摘した。(以下略)
簡単な読み・書き・計算で脳機能の活性化を図り、認知症を改善・予防する「学習療法」を高齢者介護の現場に普及させていくため、研究開発者である川島隆太東北大学未来科学技術共同研究センター教授が中心となって研究会を設立、今年度から学習療法の指導者を養成する試みが始まっている。これまで七年間の実証研究で脳機能活性化などの科学的なエビデンスが認められてきた一方で、「子どものドリルさえやってもらえばいい」など安易に導入するケースも多く、学習療法の普及に向けては基本的な考え方や意義を理解した指導者を養成し、導入・継続のためのノウハウを伝えていくことが必要と判断したためという。研究会では実践者を中心とした全国大会も四月に開催する予定だ。
資格名は「学習療法士」といい、学習療法の理論全般を学ぶ二級と、実際に施設などが学習療法を導入する際の中核的存在となる指導者を養成する一級の二つがある。川島教授が代表となって昨年四月に発足させた「学習療法研究会」が認定する。
学習療法は声を出して読み・書き・計算を行うことが認知機能をつかさどる脳の前頭葉機能を活性化させるというのが基本的な理論だが、成果を上げるのに重要なのがお年寄りとの密なコミュニケーション。四年前から研究が進められてきた福岡の特別養護老人ホーム永寿園などでも、スタッフがきめ細かなコミュニケーションをとりながら学習を継続させたことが、認知症症状の改善や生活意欲の向上に大きく影響したとされている。
「学習療法をすぐに導入したいという施設が増えている半面、こうしたポイントが理解されないまま自己流で導入したり、お年寄りに無理矢理行わせて失敗するケースなども相次いでいる」。認定資格の導入は、実践のノウハウを正しく伝えていくのがねらいと、同研究会事務局の佐々木丈夫さん(くもん学習療法センター)は話す。(以下略)
公明党はこのほど、高齢者虐待防止対策として一年前から党内で議論を続けてきた「虐待防止法(仮称)案」の要綱をまとめた。虐待の早期発見・対応と防止のために実効性ある仕組みを構築するため、介護サービス従事者など虐待を発見した者に対してすみやかに市町村に通告する努力義務を課すほか、通告を受けた市町村が虐待を受けた高齢者の保護措置をとることなどを定めた内容だ。在宅の家族だけでなく、施設職員などによる虐待防止も視野に入れ、研修や苦情処理体制の整備を図る措置を事業者に求めている。自民党の合意を得た上で、議員立法として今国会に提出を目指したい考えだ。
法案骨子は、公明党が党内で立ち上げたワーキングチーム(座長・古屋範子衆議院議員)が作成した。
二○○○年五月に児童虐待防止法が、二○○一年四月にDV(ドメスティック・バイオレンス)防止法がそれぞれ成立しているが、高齢者虐待に関しては介護保険法で施設での身体拘束禁止が盛り込まれていた程度だ。特に、在宅での虐待は実態把握も遅れており、二○○三年十一月に医療経済研究機構が調査を行ったのが最初。一年間で虐待が発覚した高齢者は一九九一人、その一割が生命にかかわる危険な状態だったことや、虐待者の九割が家族によるものなど深刻な状況が明らかになった。
厚労省では今回の制度改正の中でも地域包括支援センターなどで高齢者の権利擁護のための総合的なケアマネジメント体制を構築するとしているが、実効性のあるシステムを構築するためには法的整備が欠かせないとする声が強まっていた。
ワーキングチームが作成した法案要綱骨子では、高齢者虐待について@身体に外傷が生じ、又は生じる恐れのある暴行、A看護放棄(ネグレクト)、B心理的外傷を与える行為、C、性的嫌がらせ、D財産を侵害する行為――と定義。
その上で、虐待の早期発見・対応措置として、介護サービス従事者や保健・医療職などは虐待を発見しやすい立場にあることを自覚するとともに、虐待の疑いがあったり発見した場合には速やかに市町村に通告する努力義務を設けるとした。通告者が刑法等で定める守秘義務に抵触しないようにする措置も盛り込む。(以下略)
特別養護ホームで集団感染が発生する背景を現場に尋ねた。生活の場であることから、医療体制が手薄なことや職員にゆとりがなくなっていることなどがあげられた。今後ますます感染リスクの高い重度の入居者の増加が見込まれており、ケア体制の見直しや医療との連携のあり方など根本的な対策が求められるだろう。
「特別養護老人ホームは生活の場。しかし、国では重度者を受け入れる場で、医療行為は行わないことと指導している。だから、介護職が知識もないままに生活的な医療行為を行わなければならなくなっている」
神奈川県内の特養の施設長は感染症が問題化する背景に「生活の場」としての建前と実態の乖離を指摘する。法律上、日常生活を営む場と定義される特別養護老人ホームでの医療職は、日常的な健康管理を行うことが業務で、常勤医師の配置は義務付けられておらず、看護師も日勤だけで構わない。制度創設以来、一度も人員配置は見直されておらず、役割もあいまいなままだ。そもそも要介護の高齢者は感染症に弱く、発熱は日常茶飯事。にもかかわらず、医療軽視の政策をとってきたことが原因の一つであることは間違いない。
ユニット毎に運営をまかせているある特養では、感染のリスクも承知の上で、あえておむつ交換時には手袋を使わないことを取り決めていたユニットもある。高齢者を傷つけないためだ。特養の紙おむつは今でも家庭ゴミ扱いでも廃棄できる。「生活文化」は深く根づいている。
「介護保険で利用者の要求も高くなっている。国も身体拘束廃止など高いレベルのケアを求める。それだけでへとへと。ユニットケアでは体調が悪い時に休んでもらえるような人員体制にもなっていない」
都内の施設長は話す。一人ひとりの状態に合わせた個別ケアは感染症対策としても有効と考えられるが、皮肉なことにそれがゆとりを失わせている。(以下略)
介護福祉士国家試験の中で行われてきた実技試験に代わる「介護技術講習」が来年度から導入されることに伴い、日本介護福祉士養成施設協会(江草安彦会長)が行っていた指導者の養成研修がほぼ終わり、全国で主任指導者一一七九人、指導者五○○○人強となることが分かった。講師の確保は講習を実施する養成施設にとって第一の課題とされていたが、当初予定していた計画値を倍近く上回る結果となった。ただ、都道府県によっては予定数を下回ったところもあり、受講を希望する受験者をさばききれない施設がでる可能性も否定できない。厚生労働省では今週中にも講習の実施届出に関する記載マニュアルを完成させ、全国の養成施設からの申請を開始する。届出期限は二月十五日までだ。
介護技術講習は介護福祉士の質の向上策の一環として来年度から導入するもの。現行の国家試験は筆記と実技の二本建てとなっているが、実技試験については受験者数が年々増加しているため限られた時間内で多くの人数をさばききれないなど、適正な実施が課題となっていた。受験者が申請し、試験前に講習を修了していれば筆記試験のみで合格する制度に変わる。実技試験も従来通り継続して行う。
講習を実施できるのは、厚労省が指定する職業能力開発校や養成校など、全国に四○○校近くあるいわゆる「指定養成施設」のみ。開催スケジュールや受講定員、受講料などを決めた上で事前に申請することが必要だが、最大の課題とされていたのが指導者の養成だ。受講者四○人につき一人の主任指導者と八人ごとに一人の指導者を確保することが義務付けられており、主任指導者の場合指定養成施設での五年以上の指導経験か一○年以上の実務経験がある介護福祉士・保健師・看護師が条件。何人の指導者が確保できるかが一回あたりの受講定員や開催回数などに左右する。(以下略)
市民福祉サポートセンター(SSC・栗木薫子運営委員会代表)はこのほど、昨年十一月に実施した介護保険や高齢者福祉施策に関する一般市民向け電話相談の内容をまとめた。制度見直しの最大の焦点となっている「介護予防」については相談者の四割が「知らない」「分からない」と答えており、ましてその改革の中身を具体的に知っている人はほとんどいなかったとしている。利用者である市民に対して十分な説明がないまま、予防重視型システムへの転換が進められることに対して大きな危機感を感じざるを得ないという。
電話相談「介護問題ホットライン」は、高齢者福祉全般に関する市民の声を聞くことを目的に、一九九八年以降毎年実施しているSSC恒例の活動だ。昨年十一月に実施した第十一回目は「介護予防」がテーマ。 二日間で寄せられた相談件数は二十八件と決して多くはないが、「介護予防についてどの程度知っているか」を尋ねたところ、「何のことか分からない」「聞いたことがない」などの答えが全体の約四割に達した。また、「介護予防」の捉え方については、「食べ物に気を遣うこと」「歩くこと」「人と話す機会を増やす」など、日常生活に根ざしたものと捉えている人が多いことが分かり、国が進めようとしている介護予防とは大きなズレがあると指摘している。(以下略)
布信仰の強かった特別養護老人ホームでも紙おむつのみの使用が七年で三倍になっていることが紙おむつなどの業界団体日本衛生材料工業連合会が十七日発表した使用実態調査で分かった。特養ホームの四〇%が紙おむつだけを使っており紙・布併用に迫る勢いだ。
「介護施設におけるおむつの使用実態調査」は九七年に続き二回目。紙おむつの使用状況や使用後の処分の実態を把握する目的で、昨年八月から十二月にかけて全国の特養二四〇〇、老健一六〇〇施設を対象に行った(有効回答特養三一六、老健一五一施設)。
紙おむつは特養、老健の九九%が使用している。このうち特養では紙おむつのみが三九・四%、紙・布おむつ併用が五九・三%、布おむつのみは一・三%だった。
前回調査では紙おむつのみは一三・一%、併用が七八・一%で紙おむつだけを使用する割合は三倍になっている。八八年以前に開設した特養では紙おむつのみの使用が二九・八%だったのに対し、八九年から九六年開設では五三・九%、九七年以降の開設では七一・六%と開設年が新しくなるほど紙おむつだけを使用する割合が高くなっている。紙おむつの選択に当たって重視するのは吸水性能、装着のしやすさ、価格の安さが上位を占めた。
老健では紙おむつのみの使用率は七四・七%、併用は二四・七%で特養を上回る。
また、使用後の紙おむつは特養の七五%、老健の六二%が一般廃棄物として焼却処分している。産業廃棄物業者と契約しているのは特養で一〇・〇%、老健一八・二%。老健では医療行為を行うことから感染性、非感染性廃棄物に分けたり施設全体が医療系廃棄物業者と契約しているケースもあるなど特養より複雑な処理をしていた。(以下略)
介護予防サービスについて検討する「介護予防サービス評価研究委員会」は十二月二十七日、保険制度の見直しで最重要テーマになっている介護予防のサービス内容を検討していた小委員会の中間とりまとめを了承した。予防サービスとしては、「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」の三種類を新たに取り入れるとともに、既存のサービスを見直し、「予防訪問介護」「予防通所介護」を設定する。高齢者の状態に合わせて適切なサービスを提供できるよう介護予防マネジメントを強化する点が最大の特徴といえる。
介護保険制度の見直しでは、要支援、要介護1の高齢者を「新・予防給付」に振り分けて、介護給付と分離すること。予防マネジメントは市町村が責任主体となって新たに創設する地域包括支援センターで、従来の老人保健、認定外の人を対象にした介護予防事業を再編する地域支援事業と一体的に保健師が行うことが示されている。小委員会は具体的なサービスの内容について検討してきた。
中間まとめでは予防ケアマネジメントの理念、目指すべきもの、プロセスはこれまでと基本的に同じだが、@利用者とサービス提供者の目標の共有、利用者の主体的なサービス利用を進めること、A将来の改善の見込みに基づいたアセスメント、B明確な目標設定をもったケアプランづくり・・がより求められるとした。
具体的にはサービス提供者が目標を共有できるようサービス担当者会議で要点を共有したり、モニタリング時に目標に達しているかどうかを評価する書類を追加するなど標準書式の見直しを行うことや、介護予防を重視したアセスメントツールの開発やガイドラインを策定することを求めた。
軽度者がよく利用する訪問介護、通所サービスは新たに「予防訪問介護」「予防通所介護」「予防通所リハ」として予防給付に位置付け直すことを提言した。 適切なサービスが選択できるよう提供されるサービス要素に分解し、利用者の状態像と提供目的の関係を標準化する。訪問介護の場合、ヘルパーが見守りながら、家事を一緒に行い自立に結びつけるのがその例だ。(以下略)
厚生労働省は昨年末、介護保険制度改革の全体像を明らかにした。二十一日からの通常国会には関連法案を提出する。概要をまとめた。
全認定者数の約五割を占める要支援、要介護1の軽度者を対象にした予防強化は今回の制度改正で最も大きな見直しとなる。
介護給付か予防給付かで受けられるサービスが変わるのがポイントだ。保険給付区分の決定は要介護認定と一体の行政処分として行う。従来の要介護認定で要支援、要介護1と判定された人から、審査会が病状が不安定な人や痴呆があってサービスの内容について理解ができない人など条件に合わない人を「除外」する方式だ。軽度者の七〜八割が該当するとみられている。「除外方式」にしたのは、予防給付がターゲットにしている廃用症候群の対象者を評価するだけのデータが不足しているためだ。
予防給付の対象に選ばれた人が新たな要支援者。旧要支援者は要支援1、要介護1は要支援2と二段階に区分する予定。
また、要介護認定時の調査には、審査の参考となるように生活機能の低下の程度や維持の可能性を評価するための一〇項目程度を追加する。主治医の意見書の見直しも行う。
保険給付区分の有効期間や、不服申し立て手続きは現行の要介護認定と同じとする。
介護給付とは別建てに サービス内容
新・要支援者、すなわち「予防給付」に区分されると介護給付との併給は認められない。このため、サービスが大きく制約されるのではないかと懸念されていたが、既存サービスが見直された上で予防給付にも位置づけられることになり、サービスメニューを見る限り大きな変更はない。従来と最も違う点は、地域包括支援センターの保健師が予防マネジメントを担う点だ。市町村の責任のもと、老人保健事業や従来の介護予防事業を再編して創設される「地域支援事業」と一体で効果をあげることが期待されている。
新たに追加するのは科学的根拠が認められたとする「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」の三種類。
「運動器の機能向上」では、大掛かりなトレーニングマシンを利用したものだけでなく、セラバンドやダンベル、太極拳など幅広い手法も含む。デイのプログラムに加えたり、居宅療養管理指導と配食サービスを組み合わせるなど既存サービスも活用しながら実施体制をつくる。(以下略)
〇五年度の政府予算案では、一般歳出は、三位一体改革に伴う一兆円超の削減により同〇・七%減の四七兆二八二九億円に抑えられた。社会保障関係費も歳出改革の例外ではなく、介護保険施設の食費・ホテルコスト徴収、国民健康保険への都道府県負担導入による抑制が織り込まれたが、高齢者増による年金給付費や生活保護費の増大の前には「焼け石に水」で、来年度は二〇兆円を超える。老健局予算(既報)以外の厚生労働省各部局の予算を見る。
国と地方の税財政を見直す「三位一体改革」では、昨年十一月、〇五年度に概ね三兆円の税源移譲を目指す政府・与党合意がなされ、厚生労働省分では七八五〇億円程度の税源移譲と、施設整備費関係など一三九〇億円を交付金化する案で合意した。
税源移譲項目として大きいのは、国民健康保険の国庫負担金。地方への権限移譲を前提に約六八五〇億円(〇五年度は経過措置として五四五〇億円)を都道府県が負担する。
国民健康保険以外には、養護老人ホームの運営経費約五六七億円、生活支援ハウスの運営や市町村による緊急通報体制整備などにあてる在宅福祉事業費補助金(一部)約一二〇億円、児童保護費等補助金の一部約九一億円などが税源移譲の対象となった。
今回、補助金を廃止する代わりに創設されたのが交付金だ。複数の補助金を統合して使途の縛りを緩やかにしているが、国が地方に配るという図式は同じ。介護予防拠点の整備や特養の個室・ユニット化を対象とした「地域介護・福祉空間整備等交付金」や保育所の整備などに使う「次世代育成支援対策交付金」、市町村が効果的な介護予防サービスを提供するための「介護保険地域支援事業交付金」などが創設される。
生活保護負担金や児童扶養手当の補助率見直しは一旦見送られ、協議機関を設置して検討を行い、〇五年秋までに結論を得る。(以下略)
介護保険の見直しで導入される「予防給付」の影響を大きく受ける現場の一つがケアマネジャーだろう。予防給付の対象者と認定された高齢者のケアマネジメントは、新たに創設される地域包括支援センターに移ることになる。ケアマネジャーにとっては顧客が減ることにもなりかねないからだ。東京都内で独立型の居宅介護支援事業所を経営する高橋敬さんは、「事業所の存続にかかわる危機」だとし、今後は軽度の新規利用者の受け入れをストップせざるを得ないという。制度の導入は一年後だが、すでに現場には影響が出始めている。
「悩んだ末の苦渋の決断。腹の中は怒りで煮え繰り返っています」
そう話すのは東京・世田谷区で「ケアプラン調布・世田谷」を経営する高橋敬さんだ。同事業所は、併設サービスを一切持たない居宅介護支援事業所として二○○三年十一月にオープン。ケアマネジャーである高橋さん一人が行うケアマネジメント事業だけで成り立っている完全な独立型だ。
高橋さんが新規の利用者の受け入れを要介護2以上に限定することを決めたのは昨年十二月。介護保険制度の見直しで創設される「予防給付」で、対象となる軽度の認定者のケアマネジメントが新たに創設される地域包括支援センターに委ねられる見通しとなったのを受けての決断だ。高橋さんは現在上限いっぱいの五○人の利用者がいるが、そのうち七割が要支援・要介護1の軽度認定者。予防給付の対象となる可能性が高く、ケアプランが作れなくなれば経営に与える影響は大きい。
「実際に制度が変わるのは二○○六年度からといっても、いきなりこの七割の収入ダウンを回復するのは無理」。ケアプランの作成だけが収入源である以上、今のうちから新規の受け入れを要介護2以上に限定し、徐々に件数を増やしておかないと事業が成り立たなくなると見込んだという。
しかし、冒頭の言葉にもあるように、決してそれは本意ではない。社会福祉士の資格を持つ高橋さんは、介護保険スタート前から「相談援助業務は公正・中立な立場で行うべき」と考えており、併設サービスを持たない独立型のケアマネ事業所の開設は一つの目標だった。どんな人でも終末期まで付き合うことを運営の基本方針に掲げ、一人で地域のサービス事業所や自治体に営業をしてきた。口コミで顧客が増えてくるようになるまで軌道に乗ってきたところだけに、今回の見直しに対する怒りは大きい。(以下略)
在宅サービスのセントケア(村上美晴社長)は十一日、米国メディカル・ケア・コーポレーション(メディカル社、デニス・フォーティエ社長)が開発した、痴呆の早期発見や進行の度合いに応じて生じる機能低下をアセスメントできる総合的なツール「痴呆ケアシステム(MCCシステム)」を、日本国内で使用・販売するライセンス契約を締結したことを明らかにした。同社が展開する訪問看護ステーションやデイサービス、グループホームなどの事業所で導入し、痴呆の早期発見・予防に役立てるとともに状態に応じた個別のケアサービスの提供に生かし、痴呆ケアの質向上で他社との差別化を図るねらい。スタッフが痴呆の専門知識を身につけられるよう、研修材料として活用していくメリットもあるとしている。
MCCシステムは、痴呆発症のリスクを特定する「痴呆予防プログラム」を始め、記憶障害、認知機能など痴呆によって生じる機能低下や併発しやすい病気などを判定する六つのアセスメントツールから成る。 痴呆症状が出る前から痴呆になりやすいリスクを捉え、生活習慣を直したり早期治療につなぐとともに、アルツハイマーや血管性痴呆、うつ病による仮性痴呆など痴呆症状を引き起こす原因疾病を見極めたり、病状の進行過程で生じる機能低下を判定することで状態に応じた治療やケアプランに生かせるのが特徴だ。予防から終末期までをトータルに、継続して支援するためのシステムだ。
米国では四八○万人のアルツハイマー患者がいるが、一人当たりの年間医療費が四万ドル。九割以上の患者が重い記憶障害が出るなど中期の段階まで確定診断がなされていないというデータがあり、痴呆の早期発見と治療は医療費抑制の最大テーマの一つ。メディカル社が開発したMCCシステムは米国健康衛生局で九割超の精度が確認され、長期介護保険を扱う民間保険会社の八割で採用されているという。(以下略)
『妻に先立たれた男性高齢者。家事をしたことがなく、身の回りのことをヘルパーに頼っているうちに、依存心が強くなり、足腰が弱り、閉じこもり、痴呆になる』
介護度の悪化を招く安易な家事援助としてよく厚生労働省が引き合いに出す例だ。
『ヘルパーが一緒に家事をしているうちに、できることが増え、自信がつき挑戦する意欲が生まれ、町内会や老人会の行事も活発に参加するようになる』
「依存するほどサービスを利用している人はいない」「うちのおじいちゃんは絶対無理」という声も聞こえてきそうだが、ここではおいておいて、「物語」として生活機能の落ち方や改善の道筋を分かりやすく説明している。筋力がつけばいいというものではなく、気持ちや生活が一緒についていかなければならない。生活不活発病とはよくいったものだ。
ただ、この男性の場合、一番の問題は、家事全般を奥さんに頼りきっていたこと。家事を切り盛りする男性を増やしていくことも広い意味での介護予防だ。気持ちが向いた時に出かけられるような場所や生きがいを持って取り組める活動をつくっておくのも町づくりとしての介護予防。裾野には健康づくり。もちろん、一番重要な要素は一人ひとりの生き方だ。
すでに認定を受けてしまっている人に予防サービスをするよりも、その前の段階で食い止めたほうが効果が高いと指摘する識者もいる。介護保険の持続可能性は今のお年寄りではなく、これからの方々にかかっている。
本来は奥行きの深い介護予防だが、除々にかたちになってきた制度のあり方には大いに疑問をもっている。介護予防=マシンを使った筋力トレーニングという風潮にも苦言を呈したい。(以下略)
静岡県東伊豆町が介護給付費適正化事業の一環として取り組んでいるのが、軽度認定者向けの「あすなる塾」。東洋医療の理論に基づいて痛みをとるマッサージや身体の動かし方を覚えてもらい「セルフケア」できるようにするのがねらい。介護予防事業では筋力パワーアップ系の運動ばかりが注目されているが、こちらはどちらかというと脱力系。無理なくできること。指導でも治療でもないから、専門家いらずでどこでもできるのがポイントだ。介護事業者にもノウハウを覚えてもらい、地域全体に広げていこうとしている。取材してみると、参加している人が楽しそうなのが一番印象的だった。介護予防=筋トレのイメージをお持ちの方は、目からウロコが落ちるはずだ。
生活体力で効果も測定
東伊豆町は伊豆半島の中程にある人口一万五〇〇〇人ほどの町だ。要支援、要介護1の軽度の認定者が急増していることが、介護保険制度の課題としてクローズアップされているが、東伊豆町はその典型だ。スタート時の二○○○年には要支援二一人が今年度は七二人(増加率二四三%)となる見込み。要介護1は六三人だったのが一七五人(増加率一七八%)で、平均の増加率が一〇一%なのに比べると軽度者の伸びが突出している。このため、軽度者の自立を促し、なるべく介護サービスを使わずにすむように東伊豆町では昨年度から、介護給付費適正化事業として軽度介護者に運動プログラムを提供する介護予防事業に取り組んできた。
今年度は運動プログラムの提供だけでなく、事業所のヘルパーに運動プログラムの研修を受けてもらい、民間の事業所でも実施できる体制をつくること、要介護認定の認定時、更新時に「生活体力」テストを行って運動プログラムへの参加の可否を判定できるようにすることを新たに目標にした。適正化事業では給付費の支払状況をチェックできるコンピューターソフトを購入する自治体が多い中で、挑戦的な試みといえるだろう。(以下略)
〇五年度予算の内示で、〇六年度実施の介護保険制度改革の中から施設での食費とホテルコスト徴収が、今年十月から前倒しで実施されることが決まった。これにより介護給付費の国負担は四二〇億円圧縮された。社会保障の歳出改革としてはこのほか、国民健康保険制度に都道府県負担を導入し五四四九億円の圧縮を図ったが、社会保障関係費は初めて二〇兆円を突破した。
政府の〇五年度予算の財務省原案によると、一般会計総額は今年度当初予算比〇・一%増の八二兆一八二九億円。政策的経費にあてる一般歳出は、三位一体改革に伴う一兆円超の削減により同〇・七%減の四七兆二八二九億円に抑えられた。
施設での食費とホテルコスト徴収の前倒し実施は、社会保障の歳出改革の一環として実施。標準的な所得段階の利用者で月々約三万円の負担増となる計算だ。これにより介護給付費の国負担は四二〇億円圧縮され、介護保険の給付費の総額は、一兆九五一八億円となった。社会保障関係費全体では前年度比二・九%増の二〇兆三七八六億円となっている。
厚生労働省分の予算は、今年度比三・一%増の二〇兆八一五三億円。うち社会保障関係費は今年度より五八二七億円増えて二〇兆二二一八億円となっている。(以下略)
特別養護老人ホームやグループホームなど施設系の職員の約半数が賃金に不満を持っており、「資格」や「働きぶり・成績」を賃金に反映させて欲しいと考えていることが、介護労働安定センター(野寺康幸理事長)の実態調査から分かった。希望する月収と実際の月収では四万二〇〇〇円の格差があり、個別の評価を求めていることがうかがえる。仕事に対する社会的評価の低さに不満を抱えている人も三割に上った。
調査は、〇三年十二月、施設系、ショートステイ、グループホームなどの入所系、デイや通所リハなどの通所系サービスを実施する一〇〇〇事業所に勤務する介護従事者一万人を対象に実施した。三〇〇一人(三〇%)から回答を得た。
男女比は女性七八・五%、男性二〇・四%。二〇歳代が三五・八%で最も多く、三○・四〇歳代が約二二%、専門学校卒や高校卒で約七割を占める。持っている資格で多いのは介護福祉士三五・六%。次いでホームヘルパー二級二九・四%、看護師・准看護師一五・八%だった。
賃金は月給制が六割強。平均賃金は一八万一〇〇〇円。〇三年十一月の実際の月収は平均一九万七〇〇〇円だった。
これに対して、希望する月収は、平均二三万六〇〇〇円。十一月月収とのかい離度を調べたところ、四万二〇〇〇円、率で一・三倍の格差があった。さらに、諸手当などにどんな希望を持っているかについては、「働きぶり、成績によって賃金に差をつけてほしい」が五一・四%と最も多く、次いで「資格によって差をつけてほしい」が四七%。「早朝・夜間勤務手当」「皆勤手当」などの希望も四〇%台だった。自らの月収を「低い」と感じていることの裏返しか、個別に評価して差別化してほしいと考えている職員が多いことがうかがえる。(以下略)
ランダルコーポレーションは十二月から埼玉県朝霞市にデイサービスセンター「おせわーく広場」(048・475・3671)を開設した。福祉用具の正しい使い方を知ってもらうため車いす体験コースを設け高齢者の家族、ヘルパーらが実践・体験ができる拠点としても活用する。
「おせわーく広場」は東武東上線朝霞台駅から歩いて五分、八三三平方mの敷地に三階建て。一階部分が定員三〇人のデイサービスセンターで、二階が研修室、福祉用具展示室、三階部分が同社施設、屋上に車いすの体験コースがある。体験コース設置は岡島正和社長の希望だ。障害がある家族に派遣されてきたヘルパーが車いすの扱い方を分からずに介助を受けた家族が危険な目に遭った経験からだ。運営の実質的な責任者は小林靖子介護関連事業部長。現場経験二〇年以上のベテランだ。
デイでは高さがバラバラなテーブルといすを設置している。座ってレクリエーションをしたり食事をとるときに体型や体の状態の違いに合うようにとの工夫だ。利用者用ロッカーも使いやすいよう低位置に据えている。福祉用具メーカーならではの工夫も随所にある。
食事はホテルの総料理長経験者が毎日手作りで陶器の皿で提供する。気管切開や胃ろうなど医療行為の必要な人も積極的に受け入れる。介護予防メニューも提供する。
二階の研修室ではヘルパー二級の養成講座や現職ヘルパーのスキルアップ講座などを開設予定。特に福祉用具の使い方を身につけてもらうなど即戦力の人材養成を特長としていく。
屋上の体験コースは、側溝の排水用金網のグレーチング、傾いた歩道など現実の場面を想定した障害物を設けている。(以下略)