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シルバー新報 2004年12月17日号の主な記事 見出しと要旨


受給者 被保険者 範囲拡大を先送り

 社会保障審議会介護保険部会は十日、積み残しになっていた受給者・被保険者の拡大について意見書をまとめた。「拡大を目指すべき意見が多数だった」と拡大を容認しつつも根強い反対論に配慮し、実施時期を明記するにはいたらなかった。同省が当初目標としてきた○六年度の実施は見送られたかたちだ。ただ、「普遍化」の一環として、意見書は現在は介護サービスが受けられない四〇歳以上のがん末期患者など制約の多い二号被保険者のサービスを前倒しで見直すべきと明記。部分的にはサービスの拡大が実施されることになりそうだ。与党内では公明党が○九年度からの拡大に前向きだが、自民党内には若年者の負担増には強い反対意見がある。将来的な方向性をどこまで法案に盛り込むか今後、政府、与党内での調整が本格化する見込みだ。
 介護保険の被保険者を拡大し、介護ニーズがある人では誰でも利用できるようにすることについては、「破綻している支援費の救済策」と当初反発も強かったが、並行して進められてきた障害者福祉制度の見直しで、多様なサービスのうち介護部分だけを保険で賄うことなどが明らかになるにつれ少しずつ雰囲気は変わってきた。
 しかし、負担増となることへの現実的な懸念や、障害は地域保険になじまないなど原則論からの反対は最後まで変わらなかった。
 厚生労働省は、段階的に導入するなど妥協案を示したが、拡大の意欲をにじませつつも、反対意見に配慮して実施時期を意見書に盛り込むには至らなかった。介護保険法改正にあわせて○六年度からの実施という目標自体が急ぎ過ぎの感は否めない。
 意見書では、「普遍化を目指すべきとする意見が多数」と拡大を容認したものの、実施時期については明確にせず、「○九年度実施」「明確化すべきでない」の両論を併記した。(以下略)

パートヘルパー雇用 契約で初の集団協定 日本介護クラフトユニオン

 UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン(NCCU、河原四良会長)はこのほど、パートのヘルパーの雇用契約を更新したり解雇する際には、事前に組合に通知・協議することなどを盛り込んだ協定を、アイケアサービスなど介護企業九社と締結した。四万六〇〇〇人の組合員が対象となる。契約満了日直前の雇い止め通知や、突然の解雇通知などを減らし、パートタイマーが安心して働ける環境づくりを目指す。本人の希望や実績等により正社員登用の道も開くよう求めている。
 組合員 4万6000人が対象
 協定締結に応じたのは、アイケアサービス、ケアサービス、京浜ライフサービス、コムスン、ニチイ学館、日本ビコー、ホスピカ、日本ロングライフの八社と社会福祉法人アイリス。
 協定では、契約を更新しない場合は契約満了日の四五日前までにNCCUを通して本人に三〇日前までに通知すると同時に、異議がある場合は、協議を申し立てることができるとした。雇用期間内に解雇を行う場合も事前にNCCUと協議を行う。契約を更新しないとしていたのを更新する際は、三〇日前までに本人に通知する。
 労働者が一年以上継続して週二〇時間以上勤務する見込みの場合は、雇用保険の加入手続きを行うことも盛り込んだ。また、本人の希望や実績によっては正社員登用の道も開くとしている。協定は来年三月三十一日までを有効期間とし、異議がない場合は自動的に一年ごとに更新する。
 NCCUによると、組合員の八五%は三年未満の雇用契約で、うち八割は一年以内の雇用期間となっている。
 今年度行ったアンケートによると、仕事への不満足度は、「賃金・収入」(四五・六%)に続いて、「身分・雇用形態」(三二・五%)で高く、現在よりもっと働きたいと思っている組合員も三分の一以上いた。(以下略)

ケアマネ試験合格者は3万7381人 本紙調査

 今年十月二十四日に行われた第七回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の合格者数は三万七三八一人だったことが本紙の調査で分かった。新潟県中越地震で試験が延期になった長岡会場を除いた受験者数は一二万三八五六人で、前回より一万人強増加している。合格率は三〇・二%で若干昨年を下回ったが、ほぼ同水準。三割台で横ばいが続いている。
 各都道府県は十二月上旬に合格発表を行った。
 ケアマネジャー試験は介護保険制度施行前の一九九八年から実施されている。受験者数は〇二年度の第五回試験から再び増加傾向にある介護保険施設や痴呆性グループホーム、有料老人ホームでのケアマネジャー配置義務付けや、実務経験五年の受験資格を得たヘルパーの受験者増などの影響と見られる。今年も、一二万三八五六人(前回比一万八九五人増)が受験した。
 新潟県では、試験直前の十月二十三日に起こった中越地震のため、約八〇〇人の申し込みを受けていた長岡会場での試験が来年二月二十日に延期になった。今回の集計はこの会場での受験者、合格者を除いて行った。
 合格者数は三万七三八一人(同二七四七増)、合格率は三〇・二%。受験者数は増加しているが、合格率が下がったという都道府県は三一にのぼった。ただ全体としては微減にとどまり、合格水準は昨年度と同水準といえそうだ。(以下略)

ネットご意見番 介護給付適正化にもの申す! 給付減額目的の監査に不満続出

 厚生労働省が今秋、介護給付費の抑制を目標にスタートさせた「介護給付適正化推進運動」が今回のテーマ。予想通り出るわ出るわ、杓子定規なお役所しごとに現場の不満が炸裂する結果になりました。「重箱の隅をつつくように書類ばかり見て帰る」「役人は現場がわかってない」が代表的な意見だ。お役所のいう「不正」は、決まり通りに書類が揃っていないこと。その書類を揃えるのが介護保険の場合は大変なのだ。だから、目くじらをたてれば「不正」請求は減るかもしれないけれど、サービスの質の向上にはならない、が結論だ。これでいいわけがない。
 介護給付費は毎年一○%程度の伸びが続いているのはご存じの通り。適正化事業は昨年度から取り組んでいるが、厚労省ではさらにテコ入れするため十月から新たに「介護給付適正化推進運動」をスタートさせた。これまでは、サービスの内容の「適正化」もテーマの一つといっていたが、今回の目標はずばり「給付費の一%削減」とわかりやすい。国の台所事情が苦しい中で予算をつけたのだから、結果を出せと財務省からつつかれているのが裏の事情だ。
 国保連の適正化システムの活用と事業所への指導監査強化の二本建てで、介護報酬の支払い額が上位の事業所や複数のサービス拠点を持つ事業者、担当利用者の多いケアマネジャーなどを優先で調査することを指示した。儲かっている事業所のねらいうち。確かに不正もあるかもしれないが、「直球」か。
 それでなくても都道府県の監査や実地指導については日ごろから編集部の耳にも「悪評」がちらほらと入ってくる。適正化事業への実感のこもった意見をいただくのが今回のねらいだ。十二月十五日までに「ご意見番」登録者の三割にあたる九七人から回答を得た。
 まず、適正化事業(監査強化)で不正請求が減ると思うかについて聞いてみると、「そう思わない」が五八%で「思う」の約二倍。さらにそれがサービスの質向上に結び付くかどうかとなると「思わない」が圧倒的に増えて八割を占めた。「不正請求をもくろんでいる悪質事業所には一時的に効果がある」、「サービスの総量にはある程度制限がかかると思う」。不正請求の歯止めや摘出には効果があっても、それがサービスの質を反映したものかとなると別問題、という認識だ。
 では、日ごろの指導監査を現場ではどのように受け止めているのだろうか。監査に納得できないことがあるかどうかについて尋ねてみると、七割強が「ある」と回答した。さらにその内容をできるだけ具体的に挙げてもらったところ、実に多くの事例が寄せられた。中でも特に不満が多かったのが、書類に固執する監査のあり方だ。(以下略)

介護保険支援ソフト 本紙アンケート リース切れ2005年問題

 給付管理や請求などの事務処理やケアプラン作成などの介護保険をかげで支えるのが業務支援ソフト。〇六年に予定される制度改正へのスピーディな対応が業界にとっては大きなテーマとなる。本紙が行ったアンケート調査では、業務支援ソフトの全てで現時点で制度改正への対応を予定・検討中との回答だった。来春には制度スタート時に導入した介護保険の業務支援ソフトが五年のリース契約の更新時期を迎えるが、その時点で制度改正への対応を「確約する」としたのは八割にのぼる。うち半数は特別な費用の徴収を行わずに通常のメンテナンス料で制度改正に対応するとした。ソフトメーカーの新たなシェア獲得の思惑もありそうだ。乗り換えや、契約更新にあたっては、契約内容を吟味することが重要だ。
 本紙では十一月末に主な介護保険業務支援ソフトメーカー一一四社を対象にアンケートを実施した。
 回答があったのは、約四割に当たる四三社。取り扱いソフトは延べ七八本。
 自己申告による採用実績は延べ六万五二三カ所、出荷本数は一〇万九二六本だった。提供方法はほとんどがCD・ROMだがインターネット上でレンタルするASPが七本(九%)あった。
 価格はカバーする業務内容によって違ってくるが、最高額は一八〇万円、最低額で六万三〇〇〇円、平均価格は、四二万九五九二円となっている。
 〇六年に施行が見込まれる法改正への対応については、「対応を予定」しているのは九三%。「予定していない」の二社も現時点では判断できないと態度保留であり、回答企業のほとんどが制度改正への対応を視野に入れているといっていいだろう。
 制度が変わることが分かっている中で、来春には当初導入したソフトの五年のリース期間が切れるソフトメーカーは「二〇〇五年問題」をどう乗り切ろうとしているのだろうか。八割弱にあたる三三社は制度見直しへの対応を「確約」し、契約更新、新規販売を行うと回答した。一方、見直しの内容が確定していない段階では確約できないとするのは六社。(以下略)



シルバー新報 2004年12月10日号の主な記事 見出しと要旨


筋トレ中心で介護予防専門資格創設

 東京都老人総合研究所(都老研)は長年の研究の成果を生かし、来年から本格的に筋力トレーニングを中心にした介護予防の専門資格「介護予防専門指導員」を創設する。民間のスポーツ施設や介護サービス事業者にノウハウを提供し、ビジネスベースで資格者の養成ができるようにする構想だ。また、都老研が独自に開発した介護予防のアセスメントツールである「おたっしゃ21」も有料で企業が使えるようにする。民間活力での予防事業の普及を図る。
 都老研は○三年に介護予防緊急対策室を設け、自治体向けに科学的根拠に基づいた独自のノウハウで介護事業の取り組みを支援してきた。介護予防のリスクを簡単に判定できるアセスメントシート「おたっしゃ21」で、失禁、転倒、低栄養、痴呆などのリスクを判定し、筋力トレーニングなど必要なサービスメニューに結びつける体系化されたプログラムが特徴だ。
 介護予防の強化は介護保険制度の見直しの柱だ。サービスの担い手としては多様な事業者が参入できるようにする方向は打ち出されているものの、ノウハウはほとんどない状況で都老研にも打診が相次いでいたことが資格創設の背景にある。
 資格は「介護予防主任運動指導員」と「介護予防運動指導員」の二種類。
 「主任」は研修の指導者の位置付けで、都老研自らが養成を行う。主任指導員を置くなど人員配置や講義内容が条件にあったプログラムを企業に実施してもらい、全国に広げていく。両資格とも講義終了後は試験を行って習熟度をみた上で合格者を都老研が資格認定する。
 介護予防主任運動指導員は、理学療法士、運動療法士、ヘルパー二級で実務経験三年以上が養成対象者。筋力トレーニング一二時間を中心に、予防の基本的な考え方、プランニング、評価やパワーポイントを使っての講義方法など八〇時間で体系的に学ぶことができるようにする。来年二月から研修を始め、二○○五年度は二〇〇人を養成する予定。(以下略)

普通車での有償移送 神奈川全県で可能に

 政府は一日、地域を限定して規制を緩和する「構造改革特区」について、自治体から取り下げのあった一件を除き新規計画九〇件、変更一〇件のすべてを認定した。認定件数は、第一回の一一七件についで二番目に多い。生活福祉関連で認定されたのは八件だった。福祉分野では神奈川県全域を対象に、NPOが普通車で高齢者や障害者の有償移送を行う特例措置が認定された。
 この特例措置が、全県で認められるのは神奈川県が初めて。
 これまで「白タク」として違法とされてきたNPO法人による有償移送サービスは、今年三月、行政や関連団体が地域で設置する運営協議会で承認を得れば道路運送法の規制を緩和して合法的な活動と認められるようになった。しかし、使用車両は福祉車両に限定されている。今回の特区では、セダン車両でも同様の手続きを経れば、合法と認める規制緩和。東京都板橋区も同様の特区を実施する。
 ほかに、知的障害者や障害児のデイサービス事業所が少ない状況を考慮して、高齢者を対象とした介護保険のデイサービス事業所でも定員に空きがあれば、知的障害者・児の受け入れを認める特区を、青森市、秋田市、和歌山県、高知市が実施する。
 障害児施設での給食調理業務を外部委託する特区は、愛知県小原村、和歌山県上富田町で認定された。
 構造改革特区の認定は六回目。今回の九〇件を含め、これまでに四七五件が認定されている。(以下略)

包括支援センター構想 全国在介協が反対

 全国在宅介護支援センター協議会(黒木隆之会長)は三日、厚生労働省が介護保険制度見直しにあたり新設するとしている「地域包括支援センター(仮称)」構想に反対する決議を発表した。当初在宅介護支援センターを再編して創設されると見られていたが、今はいない保健師が必置になり、専門職の派遣や運営支援を行う「連絡協議会」の設置など、現在の在支には実現不可能な内容であることが明らかになったため。決議では現在の在宅介護支援センターの活用を強く求めている。
 同協議会は先月三十日、都道府県・指定都市在宅介護支援センター協議会の全国集会を開き、新センター構想への対応について協議した。さらに今月三日に常任委員会を開催し、三項目の決議をまとめ厚生労働省計画課に提出した。
 決議ではまず「平成二年以来一四年間、住民に身近な相談援助機関として基盤整備されてきた八七〇〇カ所の在宅介護支援センターに投じられた公費を無駄にせず、その機能と役割を強化すべき」との基本的考えを示し、@在支の人員配置など基盤強化を図る、A地域包括支援センター(仮称)の検討は、在支の機能強化の成果と専門性を生かすことを前提とする、B介護予防推進のための地域包括支援センター(仮称)構想に反対する−−の三点を明記した。
 「地域包括支援センター(仮称)」は介護保険制度見直しで新たに実施される介護予防事業を担う拠点として打ち出されている。(以下略)

常時より「緊急時」対応の仕組み必要 東社協、予防給付創設で提言

 東京都社会福祉協議会(若林統治事務局長)はこのほど、要支援・要介護1の軽度者の生活実態と必要としているサービス内容を把握するため、高齢者本人に対して直接アンケート調査を行った結果をまとめた。日常の掃除はできても電球の取り替えが困難だったり、重い荷物を伴う買い物になると不便を感じているなど、普段は多くのケアを必要としていないものの何かあった時にすぐに対応してくれるサービスを必要としている特徴が分かった。既存の介護保険サービスが定期的・継続的なパターンで提供されていることとのギャップを指摘し、日頃の見守りと緊急時対応を両輪とした、柔軟にサービスを提供できる仕組みが必要だとしている。
 調査は、今年七月末に社会保障審議会介護保険部会で制度見直しに関する意見書がまとめられ、要支援1や要介護1の軽度者に対して「新予防給付」が創設される見通しが示されたことを受けて実施。八月に会員である都内の在宅介護支援センターや居宅介護事業者に協力を依頼し、要支援・要介護1の認定者と、認定は受けていないが要支援・要介護1に該当すると考えられる高齢者合わせて二九九五人に調査票を配布。一三九二人から回答を得た(回収率四六・五%)。
 回答者の半数以上がすでに八○歳を超えており、一人暮らしを含め高齢者のみの世帯が七割近くを占める。要介護認定を受けていない人も全体の一割強いた。要支援・要介護1の認定割合はほぼ半々だ。
 日常生活上で不便に感じていることについて掃除や買い物、外出、近所付き合いなどカテゴリー別に計四六項目の選択肢を設定したところ、「掃除」と「買い物・食事」に関するカテゴリーを選んだ高齢者がともに九割と最も多かった。さらに、この二つについて選択割合が多かった項目を見てみると、「掃除」では「手の届きにくい高いところの掃除」が七一・九%と最も多く、「大掃除」や「電球の取り替え」「布団干し」が六割を超えて続く。同様に「買い物・食事」では「大きな荷物や重い荷物になる買い物」が七三・一%を占めていた。(以下略)

専業主婦から手探りで夢を実現 有料老人ホーム「予縁の里」の加藤文江さん

 渥美半島への入り口に位置する愛知県豊橋市伊古部町で十一月十八日、一棟の有料老人ホームがオープンした。予縁(加藤直介社長)が経営する「予縁の里」である。「高齢者が安心して暮らせる共生の住まいを」という同社取締役・加藤文江さんの夢の実現だった。「主婦から手探りでここまできた」という加藤さんを取材した。(藤本正)
 加藤さんは、結婚した後は、一二年前まで専業主婦だった。その後、自分を磨きたいと考え職業を持つことを決意、特養で働き始める。介護に携わるうち、介護の事業を自分で行いたいと思うようになる。当時、サラリーマンだった夫の友一さん(同社取締役)も会社を辞め、二人で宅老所を始めることに。
一九九八年に在宅介護を中心とする有限会社楽乎楼(らっころう)を設立、自宅を手放して一〇〇坪のスイカ畑に小さな施設を建ててスタートしたものの、「電話一本入らない日もあり、当初は子どもの給食代も危ぶまれるような状態」と、当時を振り返る。
 「手本とするものも教えてくれる人もなく、すべてが手探り」という中で、その後、デイサービスなどを次々と立ち上げ、現在四〇名ほどのスタッフを抱えるまでに。
 文江さんは楽乎楼の仕事をするうちに、「高齢者の介護に最後まで責任を持ちたい」「高齢者のための住まいを自分の手で作りたい」との思いを強くする。
 昨年十月、有料老人ホームなどの介護施設建築に無担保で資金を融資するという新聞記事が目についた。パナホーム(本社・大阪府豊中市)のナーシングホームローンだった。その時から、夢が実現に向けて羽ばたき始めた。
 運営会社として、従来の楽乎楼とは別に有限会社予縁を設立。予縁は上海にある″豫園″から思いついた名前で、「人生の最終章にひとつ屋根の下で暮らす縁(えにし)を大事にしたい」という思いを込めた。土地は友一さんの父・直介さんが提供。二一七八平方mの敷地に、定員二四名、全室個室の二階建て住宅型有料老人ホームを建設した。(以下略)



シルバー新報 2004年12月3日号の主な記事 見出しと要旨


介護保険被保険者の範囲拡大 対象年齢25歳以上も

 厚生労働省は十一月二十九日、社会保障審議会介護保険部会に被保険者・受給者の範囲を拡大する場合の具体案を提示した。被保険者の年齢は、学生を入れると未納の温床になるとの批判に配慮し二○歳以上とする案のほか、二五歳以上、三〇歳以上とする三案。準備に時間がかかることから〇九年の全面実施を目指して段階的に施行する案も示した。来年度予算編成に間に合わせるために部会では今月初旬には取りまとめる予定だが、負担増には反対意見も根強くあり、取りまとめは難航しそうだ。
 見直し案は、被保険者・受給者の範囲を拡大するとともに、現在の受給条件である「老化に伴う介護ニーズ」を廃止する。これにより、難病やがん末期患者などこれまで制度の谷間になってサービスが受けられなかった人も年齢にかかわらず介護サービスが受けられるようになる。介護保険制度を国民共通の「普遍的」なサービスにするのをねらいとする。対象年齢は「ゼロ歳以上」とし、障害者施策のうちホームヘルプなど介護保険と重なる部分は介護保険を優先するようにするのが基本的な骨格だ。
 被保険者の範囲を二〇歳以上にすることについては、この年齢では学生も多く負担能力もないことから「空洞化」につながりかねないと批判が強いため、二〇歳以上、二五歳以上とフリーターの数も減り就労状況が落ち着いてくる三〇歳以上の三案を示した。三〇歳以上とした場合は、四〇歳以上の半額とする選択肢はなく満額を徴収する内容だ。この場合、三〇〜三九歳の年齢層では大きな負担増となる。
 たとえば、乳幼児の要介護認定をどうやって実施するかなど給付対象を広げる場合には従来の枠組みだけでは対応できない場面も多い。(以下略)

移動介護 地域生活支援事業に

 厚生労働省は十一月二十六日、来年の通常国会提出を予定している「障害福祉サービス法案」(仮称)に基づき新たな事業体系に移行する場合、現行の移動介護については基本的に市町村が独自で行う「地域生活支援事業」とし、四肢まひや自閉症など重度の障害者に限定して国の負担義務のある「個別給付」扱いにするなどの見直し案を提示した。
 社会保障審議会障害者部会に示したもの。同省は新制度を来年の通常国会で成立させ、二○○六年度から段階的に移行していくことを目指している。現行のホームヘルプやデイなど、基本的な介護にかかわるサービスを「個別給付」、機能訓練や就労支援などを「自立支援給付」とし、基本的にこの二種類を国庫負担義務のある給付と位置付け、その他は市町村ごとに整備する「地域生活支援事業」に再編する方針だ。
 在宅サービスの再編については、支援費ホームヘルプの中でも特に利用の多い移動介護の扱いが焦点とされていた。同省では実態調査を行って急増の要因を分析しているが、「予め支給額を決定してしまうと突発的なニーズに対応しにくく、使い勝手が悪い」として、基本的に地域生活支援事業に位置付け、地域の実情に応じて柔軟性のあるサービス提供体制を整えていくべきとした。自閉症やてんかんのある知的障害者、統合失調症など強度の行動障害や四肢まひの身体障害者など、移動時にマンツーマンでの介護が必要な重度障害者に限っては「個別給付」とするが、その際も一定時間継続した利用を想定した単価を設定するなどして給付に歯止めを設ける考えだ。(以下略)

急性期患者の転院問題解決へ 医療と介護の「結合」を

 医療と介護の連携強化は今回の介護保険制度改革でも大きな柱だ。しかし、制度が切り離されている限り解決できずに積み残されていく問題がある。急性期病院で治療が終わっても自宅に戻れず、「転院」を繰り返している患者の実態について調査した「転院問題を考える会」も、医療と介護の分立が医療ケアを必要とする患者の行き場をなくしていると指摘する。必要なのは「連携」ではなく両制度の「結合」。どこにいても医療保険と介護保険が併用できるようにするべきという提案は、多くの人の実感と重なるものだろう。
 「転院問題を考える会」は、東京都江東区にあるひらの亀戸ひまわり診療所の医療ソーシャルワーカー(MSW)、高山俊雄さんを中心に一二人ほどのMSWで組織するグループだ。もともとは自己研鑽のためにと自主的に開いていた事例検討会だったが、その議論の大半を占めていたのが「転院」にまつわるワーカーの苦悩だ。
 「MSWは本来患者さんの主訴に基づいて仕事をする職種なのに、転院の相談は医師からの指示で開始される。つまり、本人の希望ではないところからスタートしなければならない。患者さんや家族はどんな気持ちを抱いているのだろうかという疑問が大きくなっていきました」(高山さん)
 「転院」をテーマに患者・家族の実態調査を開始したのが九九年。都内一五病院・二二名のMSWに協力を依頼してアンケート調査を行った。直近の一年間で転院した七五人の患者・家族から回答を得たが、驚いたのは、転院後の療養の場の希望が患者と家族で大きくズレていたことだ。
 「自宅へ帰りたかった」とした患者本人が五二・五%と半数を超えていたのに対し、家族が自宅への退院を希望していたのはわずか一○%。さらに、自由回答欄には「廊下の隅でいいから置いてほしかった」「転院がきっかけで病状が悪くなったら誰を怨めばいいのか」など、転院が本心ではないことを訴える声がびっしりと綴られていたという。いずれも相談員であるMSWには打ち明けられていなかった「本音」だ。(以下略)

家族以外の吸引 ヘルパーが9割占める 在宅ALS患者

 在宅で人口呼吸器を使用しながら療養するALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の吸引の実態について東京都立保健科学大学川村佐和子教授らが調査を行ったところ、全体の三割強で家族以外の者が吸引を行っており、そのうち九割近くがヘルパーであることが分かった。訪問看護に対しては「滞在時間や訪問回数が不足」とする声が多く、ヘルパーとの違いが分からないとする意見も二割あった。
 厚生労働省は在宅で療養するALS患者の「吸引」に限って家族以外のヘルパーなどにも認めるようにした。三年後の見直しに向けてデータを収集するのが調査のねらい。全国の保健所保健師と療養者に対する実態調査の二本建てとなっており、二○○三年十二月〜二○○四年二月までを調査期間とした。
 ALS患者の概況を見ると、全国五七一一人のうち人工呼吸器使用者は一五三○人(二六・八%)で、六六五人が在宅療養中。このうち、療養者の現況について患者・家族に直接聞いたところ、吸引者の平均人数は三・六人だったが、最も多いのは「五〜一○人」で二五%。四人以上で見ると全体の四割以上を占めていた。
 「家族以外が吸引を行っている」としたのは、三割強で二一八人。その九割がヘルパーとなっておりダントツだ。医療職や家族以外が吸引を行う際には、患者本人の同意を得ることや医療職による研修を受けることなどが条件となっているが、研修については八五%が受けていたものの、「なし」も一割。医療職による定期的な指導・管理を行っていない割合も四四%に上っていた。(以下略)

良質な訪問介護ヘルパーの確保・育成へ

 訪問介護の担い手の多くを占めるホームヘルパー二級の資格をみると、講義・演習・実習あわせて一三〇時間の研修の受講によって無試験で取得することができる。つまりホームヘルパー資格は、実務能力や知識に関して公的(国家)試験でその能力を評価したものではなく、必ずしも一定の職業能力を保証するものとはなっていない。
 下表はヘルパーの仕事を一八に分け、難易度に応じた五四の課業のそれぞれについて習熟度を自己評価してもらい、ヘルパーの介護能力を得点化した調査結果である。これによれば、全ての課業について「実務経験がありだいたいできる」場合は五四点となるが、通算経験一年以下では総合得点が五〇点未満にとどまっていることが分かる。これは、資格取得から一年間程度は実務経験に基づく見習い期間と位置付け、職業能力開発を行うことが特に重要であることを意味している。
 しかし、実際には、@ヘルパーが利用者宅を一人で訪問してサービスを提供すること、ヘルパー宅から利用者宅への「直行直帰」が多いという訪問介護サービスの特徴から、先輩や同僚のアドバイスを仕事中に受けるといった現場での継続的な能力開発の実施が困難であること、Aヘルパーの能力の伸張度合いを測定・評価する仕組みがなく、また利用者のサービスニーズと就労者のマッチング、各種変更や調整などの就業管理が煩雑化し、個々のヘルパーの能力や難易度に見合った人員配置が難しいことなどから、ヘルパーの仕事に従事した後の能力開発の機会は必ずしも十分に確保されていない現状がある。
 また、現行の介護報酬は、サービス内容と提供時間に応じて決まる体系であり、実務経験に応じたヘルパーの職業能力の伸張度合いを反映するものになっていない。このことは、賃金も職業能力とは関係なく、サービス内容と提供時間に即して決められるべきものと考えられ、ヘルパーの能力開発意欲を低下させがちとなる。(以下略)



シルバー新報 2004年11月26日号の主な記事 見出しと要旨


「痴呆」から「認知症」へ 厚労省が呼称変更

 厚生労働省は十九日、「痴呆」に代わる呼称を「認知症」とすることで合意した。来月二十四日の同省の検討会で最終決定し、都道府県や関連団体へ報告書を送付する。同省は、年明けの通常国会に提出予定の改正介護保険法に記載されている表記を変更すると同時に、関連団体や学会などへの周知に努める。
 同省は、「痴呆」という用語が蔑視的・差別的な意味合いを含むとして、これに代わる用語を検討する検討会を六月に設置。九月にはホームページなどで、「もの忘れ症」「記憶障害」など六つの候補について意見を募集。六三三三件の応募があった。
 最も多かったのは「認知障害」で一一一八件だったが、「認知障害は精神医学領域ですでに使用されている用語であり、痴呆のない失語、失認、失行に対しても用いられており、混乱する可能性がある」との指摘が寄せられたことから、「一般に分かりやすく短いこと」「不快感や侮蔑感などを感じさせないこと」「痴呆と同一の概念をあらわすものであり、混乱なく通用すること」という代替用語の要件に照らして、検討会では次いで支持の多かった「認知症」(九一三件)を使用する方向性で一致した。三位は「記憶障害」(六七四件)、四位は「アルツハイマー(症)」(五六七件)だった。
 最終的には来月二十四日の検討会でまとめる報告書で決定を行う。認知機能のすべてではなく一部に障害がある場合も「認知症」として認めるという条件づけも行う。(以下略)

三位一体改革 補助金3兆円を削減

 政府・与党は十八日、国と地方の税財政のあり方を見直す「三位一体の改革」の基本的枠組みについて合意した。補助金改革では〇五〜〇六年度で三兆円を削減。税源移譲は〇四年度分も含め概ね三兆円規模を目指すとしている。二十六日をめどに、より具体的な全体像のとりまとめを行う。
 補助金改革については、「できるだけ地方案の実現を目指す」とし、三兆円の削減を明記。大幅な削減対象として挙げられている義務教育国庫負担金では、「国の責任を引き続き堅持する」としながらも、中教審で地方案を生かす方策を検討するとした。来年秋に結論が出るまでの予算措置は「別途検討する」としている。
 社会保障については、養護老人ホーム運営費、在宅福祉事業費補助金を移譲。国民健康保険は地方への移譲を前提に、都道府県負担の導入を検討する。生活保護の国庫負担金は、昨年「二〇〇五年度に実施する」とした政府・与党合意を踏まえ、国庫負担割合の引き下げを実行する構えだ。
 税源移譲は〇四年度分も含め、概ね三兆円規模との目標を掲げた。(以下略)

リスクマネジメントには組織で対応

 「リスクマネジメントは組織で対応することが必要」――。東京都国民健康保険団体連合会は十九日、都内の事業者を対象に介護現場のリスクマネジメントをテーマにしたシンポジウムを行った。都国保連によると、〇三年度の苦情件数は六六一二件。初年度一万件強の四割程度に減少しているが、介護事故での苦情は転倒骨折が最も多く、事故発生後の事業者の対応に不満や不信を持った利用者や家族が訴訟に踏み切る例も増えているという。シンポジストらは組織的な取り組みを強調した。
 基調講演の講師は、東京都多摩市でリハビリテーション病棟などからなる天本病院を経営する天本宏院長。昨年度は約一八〇件のヒヤリハットがあり、半分はベッドサイドや歩行時、車いすからの転倒・転落事故で、誤薬や点滴の間違いなどの例もあったとデータを示した。同院では十数年前からデータをとっており、これらの事例を基に事故のリスクや対応を検討する材料にしている。居宅介護支援でも七五一件の苦情があったが、その内容は「従業者の態度」「管理者の対応」「説明・情報の不足」などコミュニケーションに関する問題が大半を占めていた。天本院長は「職場風土を重視し、組織として問題解決することが何より大切」と意見を述べた。
 コンサルティング会社クロス・ロードの馬袋秀男代表取締役専務は、組織全体で事故防止に取り組むこと、万一発生した場合は被害を最小限に食い止めるためのトップマネジメントが重要であることなどを基本的な考え方として挙げた。(以下略)

GHの外部評価義務付け 来年9月末までに1回

 厚生労働省はこのほど、痴呆性高齢者グループホームの外部評価の実施頻度について、今年度末までに一回受けるとしていた義務付けを来年九月末までに延長する緩和措置を行うことにした。併せて、外部評価結果の公表が条件となっている夜間ケア加算の算定についても、都道府県が九月末までに完了可能であると認めれば通知が正式に出された以降で、算定できるようにする。
 グループホームの外部評価は二○○二年十月からスタート。少なくとも年に一度は各都道府県が選定した評価機関による評価が義務付けられたが、体制が整わないことから経過措置が設けられており、実施頻度については今年度末までに最低一回、評価機関についても高齢者痴呆介護研究・研修東京センターに委託できるとされていた。
 今回は、そのうち実施期限についてさらに半年間延長する緩和措置だ。今年九月末までに開設した事業所は、二○○五年九月末までに一回の評価を受ければいいとした。厚労省によると、外部評価導入時の見込みを上回る数のグループホームが開設され、今年度中に全グループホームが評価を受けることが難しくなったためという。現在のところ独自に評価機関を選定して実施しているのは東京・神奈川・岡山・熊本の四都県のみ。(以下略)

初の介護ベッド発売 モルテン

 モルテンが二十二日から発売した「トゥルース」は離床支援をベースにした新しいコンセプトのベッドだ。褥瘡予防マットでシェアを伸ばしてきた同社がベッドに乗りだすのは初めて。寝返りから移乗までの一連の動作を支援するバーをオプション装備、ギャッヂアップ時も足を床に下ろしやすいように工夫した。正しい使い方をケースごとに示した動作マニュアルも併せて紹介。利用者の状態の変化をデータとして蓄積し「自立するためのベッド」の確立を目指す。
 「これまでの介護ベッドはベッドの上で行う生活に対応した機能だった。トゥルースはいかに立ち上がるかを考えて日常的に使う機能に特化したまったく違ったコンセプト」(梶原隆司事業本部長)
 開発のきっかけは、厚生労働省が給付の適正化のために示した「福祉用具ガイドライン」だ。介護用ベッドが本当に利用者の生活の向上に役だっているのか業界に課題を突きつけた。当時ベッドを開発中だった同社が改めて調査を行ったところ痴呆高齢者の転落を懸念してコンセントを抜いて使っている、背上げ・足上げの操作が煩雑で使っていないなどの実態が分かった。
 トゥルースのデザインで一目で違うのは側面から伸びるアルファベット「A」の形をした離床支援バー。太目のグリップ部分が本体から外側に張り出し、腕を伸ばしてしっかりつかんで寝返り起き上がりができる。立ちあがりの前傾姿勢時も体重を真下にかけて安定する角度で取りつけてある。(以下略)



シルバー新報 2004年11月19日号の主な記事 見出しと要旨


地域密着型サービスで具体案 厚労省が全国介護保険担当課長会議開く

 厚生労働省は介護保険制度の見直しで創設する新しい地域密着型サービスの概要を固めた。十日に開催した全国介護保険担当課長会議で示した。三〇人以下の有料老人ホームも市町村が指定を行う地域密着型サービスに位置付ける。注目されていた小規模多機能型サービスは、柔軟な運営ができるよう一カ月の定額払いとする。報酬には通所を中心にした在宅サービスを「小規模多機能居宅介護」として位置付け「住まい」の機能は併設事業所が担うとしているのもポイントだ。(関連記事=3面)
 地域密着型サービスは、市町村が地域の実情に合わせてサービス量をコントロールしたり、質をチェックすることができるよう事業所の指定を市町村が行うことができるようにするサービス。介護保険事業計画に盛り込んだ整備量を超えた場合は、指定しないことができるようにするほか、指導・監督の権限をもつ。
 厚生労働省の示した案では、地域密着型サービスは、既存のサービスとしては、「三〇人以下の特別養護老人ホーム」「三〇人以下の介護専用型特定施設」「痴呆性グループホーム」「痴呆デイ」の四サービス、新たに創設する「小規模多機能型居宅介護」「地域夜間訪問介護」の二サービスとする方針だ。中小規模の有料老人ホームは都市部を中心に参入ラッシュが続いているが、見直し後は市町村の計画以上の整備は難しくなり建設にブレーキがかかりそうだ。
 「小規模多機能型居宅介護」は、草の根で広がってきた「宅老所」をモデルにしたサービス。「通い」「泊まり」「訪問」と「住」の機能をもちどんな状態になっても、同じ地域のなじみの人間関係の中でサービスが完結するようにすることを目指す。しかし、始めから四点セットを用意すると、まず居住部門から定員を埋めていくことになりかねないことから、「居住部門」は併設事業所が担うこととして、介護報酬上は「通い」「訪問」「泊まり(夜間)」の三つの在宅サービスを包括したものとして「小規模多機能型居宅介護」を新たに位置付ける。
 泊まり(夜間ケア)だけの利用はできないようにする、居住部門への入居も小規模多機能型居宅介護サービスを一定期間利用していた人に限定するなど運用にも規制を設ける。(以下略)

厚労省 2011年度から完全施行 3障害サービス一体化

 厚生労働省は十二日、社会保障審議会障害者部会に、身体・知的・精神の三障害の福祉サービスを一体化するための制度改正のスケジュールを示した。現行の個別福祉法を整理し、三障害共通で利用できるサービスを定める「障害福祉サービス法」(仮称)の法案提出は二○○五年二月とし、二○一一年度からの完全施行を目指す。
 新たな障害程度区分については来年の夏頃までに決定し、二次判定を行う給付審査会の設置やケアマネジメント機関への研修など、体制を整えた上で二○○六年度から新たな障害程度区分に基づく認定を開始するとした。
 厚生労働省が示している改革試案では、三障害共通の福祉サービス法を制定し、市町村をサービス提供主体に一元化して年齢や障害種別にかかわらず支援の必要度に応じてサービスを利用できるようにするのが柱だ。スケジュールによると、まず、来年二月の通常国会を目指して法案づくりを行い、そこに給付の支給決定の手続き、市町村・都道府県が実施する事業、障害保健福祉計画の策定や費用負担などを盛り込む方針。完全施行は二○一一年度とし、それに合わせて体制づくりを進めていくことになる。
 新たな障害程度区分については、現在介護保険の要介護認定を用いた実態調査が行われており、来年夏までに決定。また、市町村と都道府県に対しては、「障害保健福祉サービス事業計画」の作成を求める。サービス種類ごとの利用者数・提供量の見込みなどを来年度中に調査して指針を作成し、できる限りの自治体で二○○六年度からスタートさせてほしいとした。(以下略)

新・予防給付 財源に交付金を創設 50%は保険料を充てる

 介護保険制度の見直しで、新たに創設予定の新・予防給付の対象者をどう決めるかを検討していた「介護予防スクリーニング手法検討小委員会」が選定の考え方をまとめた。
 新予防給付の内容がわからない段階で、対象者を選び出す客観的な判断基準づくりは難しいため、予防の対象となる「廃用症候群」とは考えられない人を対象から除外するネガティブリスト方式とするのがポイントだ。
 具体的には、要支援・要介護1と判定された人から、q重度痴呆や精神障害などで介護予防の趣旨を理解できない恐れがある人、w脳卒中で倒れたばかりの人など要介護状態が安定していない人、eその他新予防給付が適切に受けられない人││を新予防給付の非該当とする。途中で要介護2以上になっても、予防の効果が期待される場合は予防給付のままとする。
 あくまでも心身機能に着目したもので、一人暮らしで家事能力がないなど生活力は評価の対象外となる。こうした人が新予防給付の対象になると生活援助など従来の介護サービスが受けられなくなり、生活の維持が難しくなると懸念されているが、新予防サービスの中で生活支援的なサービスも受けることができるようにする方向だ。
 スクリーニングに必要な情報は、現状の要介護認定の調査項目や特記事項、主治医意見書の記載事項のほか、新たに生活機能(特に「している状況」)が明らかになる項目を認定調査に追加する。
 要介護認定をまず行った上で、二次審査会で区分を決定する。要介護認定のようにコンピュータシステムに組み込むことは時間が間に合わないために当面は断念するが、さらに負担が増える審査会の判定業務の効率化については検討が必要としている。(以下略)

制度見直しと老健施設 全老健が全国大会

 全国老人保健施設協会(漆原彰会長)が主催する第一五回全国大会が十一日から二日間、香川県高松市で開催された。介護保険以降、老健施設は利用者の長期入所化が進み、看板であった在宅復帰率も今では四割弱と低迷。役割・機能の明確化が求められている。大会では、痴呆やさまざまな疾病を持つ多様な利用者が混在している現実を踏まえ、制度見直しで痴呆高齢者対応や短期集中型など、複数のリハビリテーション機能強化体制の導入を要望し、在宅支援機能を明確に打ち出していく方針が強調された。
 「リハも介護も、そして健康管理も行うというこれまでの老健は、いわばどの機能も特徴がなかったといっていい。これからはリハビリテーションといって漫然と機能訓練を提供するのではなく、多様な利用者の状態像に対応できるサービスの選択肢を持たなければならない」
 大会初日に行われたパネルディスカッションで老健施設が置かれている現実を厳しく指摘したのは、全老健常務理事・浜村明徳氏だ。病院からの家庭復帰を支援する「中間施設」として一六年前に創設された老健施設だが、利用者の在宅復帰率は落ち込んでおり二○○三年九月時点では三九・二%。
 長期入所の利用者が増えている現実に対して、これまで制度改革のたたき台とされてきた高齢者リハビリテーション研究会の報告書などは、「往復型」や「定期的利用」で在宅支援機能を強化していくべきと提言している。
 「現在は自宅に帰れない高齢者の受け皿としての機能も求められているのが現実。しかし、将来的には短期入所施設として位置付けるのが理想」。副会長の山田和彦氏は、全老健ではこうした求めに応えていく方針をすでに打ち出していることを改めて強調した。浜村氏の言うところの「複数の選択肢」は、その実現に向けた第一歩でもあるという。(以下略)

デイサービスに参入 フランスベッドが中期経営方針

 フランスベッドホールディングス(東京都新宿区)が十五日発表した中期経営方針で、リスク分散のため新たにデイサービス事業を展開することやホテルや病院、老人ホームなどを対象に新たにベッドのレンタル事業を行うなど介護保険頼みにならないレンタル事業展開を行うことを明らかにした。
 同社はフランスベッドの業績悪化に伴い、レンタルで好調のフランスベッドメディカルサービス下の経営統合化を図るため設立された共同持ち株会社。家具インテリア事業と並ぶ柱に介護福祉事業を位置付けたが、主力のレンタル事業が介護保険の見直しで給付抑制が懸念されることから、多角化を目指す。
 デイサービス事業への参入は事業の複合化でリスクを軽減するねらいで第一弾は長野事業所を移転して四〇人定員のデイサービス施設と健康福祉プラザ「助さんたくさん」、研修施設などを併設した複合施設を開設する。今後二年で全国で一〇カ所の拠点を整備する計画で、総額約八億円の施設整備費を予算に計上した。初年度約三億円の売上げを見込む。
 また、ホテルや病院・老人ホームなどの施設にベッドのレンタル事業を開始する。介護保険に依存しない収益源として育てる考えだ。医療・介護用ベッドだけでなく、シティホテルなどにも高級ベッドのレンタルを行う。設置や回収、消毒などで福祉用具レンタルのノウハウがあるメディカルサービスがホテル向け営業を開始した。(以下略)



シルバー新報 2004年11月12日号の主な記事 見出しと要旨


ヘルパー養成に「基礎研修」創設 400〜500時間に拡充

 将来的に介護職員に国家資格である介護福祉士資格を義務付ける方策を検討していた「介護サービス従事者の研修体系のあり方に関する検討会」(座長・堀田力さわやか福祉財団理事長)は、段階的移行策として現在ヘルパーの基礎資格となっている二級研修(一三〇時間)を大幅に拡充して、四〇〇時間程度の「介護職員基礎研修」を創設することを骨子とする中間まとめを行った。さらに介護福祉士資格へ移行できるよう支援策も設ける。また、介護福祉士の資格者にも、チームリーダー、施設長などの職種別や特定機能を習得するためのキャリアアップ研修を実施するなど施設・在宅の研修体系を全面的に刷新する内容だ。こうした研修を受けることを認定資格とし、報酬に連動し、インセンティブが働くようにすることを求めており、実施されれば労使の双方に影響は大きい。これを受けて、厚生労働省は来年度具体的なカリキュラムの作成にとりかかる。なるべく早期に実施したい考えだが、体制整備には時間がかかるものとみており時期はまだ未定だ。
 キャリアアップ研修 資格取得者にも導入
 七月末にまとめられた社会保障審議会の意見書では、介護職員の資格は将来的には介護福祉士を基本とすべきであり、これを前提に研修体系も見直すべきと初めて個人の職員の資格に踏み込んで提言した。検討会はこれを受け、具体策を検討していた。
 中間まとめでは、現在のヘルパー二級研修(一三〇時間)では養成時間が不十分と指摘。介護福祉士の一六五〇時間に比べると差は大きい。このため、両者の中間の位置付けとして、介護福祉士の資格を持たないヘルパーのレベルアップを図るために「介護職員基礎研修」を創設することを提言した。カリキュラムは現在の一・二級を合わせた三六〇時間を上回る四〇〇〜五〇〇時間程度とする。
 さらに介護福祉士資格への移行を促すために、研修修了者には、現在は受験資格に必要な三年の実務経験を短縮するなど「特典」を設ける方向。また実務につきながら養成課程を修了できる道も検討するとした。(以下略)

小規模事業者にも順守求める 個人情報保護

 来年四月に個人情報保護法が全面施行されるのに伴い、厚生労働省の検討会が医療・介護分野での個人情報取り扱いに関するガイドライン案をまとめた。五〇〇〇件未満の情報を持つ小規模な事業者にも、個人情報保護の規定を守るよう求めているのが特徴だ。介護保険の指定基準にも織り込み済みの事項が多く「激変はない」(老健局振興課)としているが、この分野では、より厳格な規制を行うための個別法の必要性も検討される予定で、今後の動向が注目される。
 個人情報の適切な取り扱いを企業や自治体に義務づける「個人情報の保護に関する法律」は昨年五月に成立。すでに適用されている国や自治体に続いて、来年四月には企業や医療機関なども対象となり全面施行される。
 保護法では、個人情報を取得する場合には利用目的の通知や公表を行ったり、本人の同意がない場合は第三者への提供を禁止している。本人が求める場合は原則開示することも義務づけられた。過去半年の間一日五〇〇〇件以上の個人情報を扱う事業者が対象。主務大臣の命令に違反した場合は、最高六カ月以下の懲役か三〇万円以下の罰則が科される。
 全面施行に向け、現在は、各省庁が業種別のガイドライン(GL)を作成しているところだ。介護を含む医療分野のGLの検討会は今年六月に設置、このほど案をまとめた。
 医療・介護分野では、診療所や介護事業所など五〇〇〇件未満の事業者が大半を占めるため、こうした小規模事業者にも法律を「遵守する努力を求める」としたのが特徴だ。
 また、「個人情報」の定義は、医療分野ではカルテ、処方箋、手術記録、助産録、看護記録など、介護分野ではケアプラン、サービス提供計画、サービス内容の記録とされた。介護ではすでに指定基準で、サービス担当者会議等で利用者の情報を使う場合は、あらかじめ文書で利用者の同意を得ることが定められており、「特別に扱いに変更はない」(老健局振興課)としている。(以下略)

生活機能重視に転換 老人保健事業見直し 厚労省検討会が中間報告

 老人保健事業の見直しについて議論していた厚生労働省の検討会(座長=辻一郎東北大学大学院教授)が、九日に中間報告書を取りまとめた。これまで生活習慣病予防や心身機能の低下に対して集団的に対応するのが中心だった事業を、生活機能の維持・向上に重点を置いた個別対応に転換するとしたのがポイント。高齢者に対する介護予防は生活習慣病予防とは分けて体系化することを提案している。同省ではすでに老人保健事業の予防対策と介護予防・地域支え合い事業について「地域支援事業」に一元化する方針を示している。検討会でも、予算確保ができるのかとも指摘をうけたが、介護保険法に位置付け財源に一部保険料をあてることも検討。
 老人保健事業ではもともと生活習慣病の予防のほか、転倒予防や痴呆予防など介護予防とかぶる事業が行われており、介護保険見直しでテコ入れが始まった「介護予防」と一体的に見直すため、七月中旬から検討会を立ち上げていた。
 報告書では、見直しの基本的な方向性として事業全体の目的を、これまでの生活習慣病の予防だけでなく、生活機能の低下予防と維持・向上に着目した高齢者の介護予防を強化していくことが重要だとした。
 現状は四○歳以上を対象に健康手帳の交付や健康診査、機能訓練など六つの事業が行われているが、いずれも心身機能の低下や疾病予防が中心で、家事や仕事など個人が生活の中で果たしている役割や意欲といった「生活機能」を見る視点はなかった。また、高齢者を対象にした転倒予防教室なども集団対応が中心だ。四○歳以上をひとくくりにして一律に事業を実施するのではなく、ライフステージに応じて個別性を重視した取り組みへの転換、特に高齢者にとっては介護予防に資する事業の実施を強化するべきとしている。(以下略)

三浦家の長寿のナゾに挑戦 都老研シンポ

 昨年、七○歳でエベレスト登頂を果たしたプロスキーヤーの三浦雄一郎さんを筆頭に、一○○歳でなお現役の父・敬三さんとオリンピック選手の息子・豪太さんの三世代にわたるスポーツマン家族として知られる″三浦家″。その健康・長寿の理由について、遺伝子や生活習慣などさまざまな側面から解析する研究が現在、東京都老人総合研究所で進められている。八日に都内で開催されたシンポジウムでは、研究グループのリーダー・白澤卓二研究員が、三浦一家の血液には老化の一因とされる活性酸素を処理する能力に優れていることなどが分かったと報告。遺伝子との関連の解明も徐々に進みつつあるという。
 「三浦家の長寿の遺伝素因に関する研究」は今年度からスタート。七○歳でエベレスト登頂をなし遂げた雄一郎さんの偉業は説明するまでもないが、父・敬三さんも一○○歳でいまだ現役のスキー山岳写真家として活躍中。さらに息子の豪太さんもスキー選手として長野オリンピックで日本人男子初の一三位などの記録を持つ。
 世界最高の長寿国となったわが国には百歳老人も数多くいるが、親子三世代にわたってスポーツマン、健康・長寿を実現しているケースは珍しい。研究では食事や運動、生活習慣を始め、遺伝子レベルでその理由を追求するのが大きなねらいだ。
 これまでの研究で分かったことについて、白澤研究員は「@足腰(大腿骨部)の骨密度の高さ、A低酸素状態になっても酸素供給ができるヘモグロビン、B血中の活性酸素の処理能力が高いこと、の三つがあげられる」と報告。
 このうち、骨密度については毎日のトレーニングとビタミンD、Kやカルシウムを多く含む食事の存在が大きいとしたが、血液については何らかの遺伝的要素が影響している可能性も高いという。(以下略)

良質な訪問介護ヘルパーの確保・育成へ 登録ヘルパーを巡る現状 1

 二〇〇四年四月の介護保険制度導入を契機に、社会のなかに潜在化していた介護サービス需要が顕在化しただけでなく、その需要が大幅に増大した。施設から在宅へと大きく転換した高齢者福祉政策により、とりわけ訪問介護を始めとする居宅サービス事業は急速に拡大している。訪問介護サービスに対するニーズは今後も質量ともに確実に増加していくと見込まれており、良質な訪問介護サービスを提供できる職業能力を持ったヘルパーの確保と育成の重要性が高まっている。
 一方、訪問介護サービスの担い手であるヘルパーの実態をみると、短時間勤務で有期契約のいわゆる「登録型」と呼ばれる非正社員が四八・七%を占めており、ヘルパーの年間の離職率は三割程度と高い水準にある。
 そこで、本稿では、まず「登録型」ヘルパーに着目し、その雇用関係の現状と課題、改善の方向を明らかにするとともに(第一回・第二回)、ヘルパーの能力開発の現状と能力開発型処遇のあり方を展望し(第三回・第四回)、ヘルパーの雇用の不安定性を減じ、職業能力開発を促進する方策を検討する。
 さて、登録型ヘルパーとはなにか。一般には、「事前に就業希望者が事業者に登録しておき、要介護者からのサービス利用依頼にもとづく事業者からの照会と登録者本人の都合が合致したときに雇用関係を結び、サービスに従事するヘルパー」と定義づけられる。これより登録型ヘルパーは原理的には「日々雇用」の範疇に含まれると解することも可能であるが、実際にはスポット雇用の実態はほとんどみられず、むしろ月間勤務表に基づいて就労する者が多い。つまり「登録型」全体でみると、日々雇用も存在するが、その典型は「月雇用」にあるといえる。
 登録型ヘルパーの所在をみると、訪問介護サービスに目立って多い就労形態であり、訪問介護サービスの基幹的存在となっている。その担い手は、四〇歳以上が約八割を占め、主婦層が中心である。(以下略)



シルバー新報 2004年11月5日号の主な記事 見出しと要旨


介護保険の被保険者範囲を拡大 20〜39歳を「3号」に

 厚生労働省は十月二十九日、社会保障審議会介護保険部会に新たに被保険者に加える二〇〜三九歳を「第三号被保険者」として保険料を二号被保険者の半額に抑えるなど、被保険者を引き下げる具体案と一人当たりの保険料の試算を提示した。その場合、三号被保険者の当初の月額保険料は一七〇〇円とした。とりまとめのタイムリミットは迫っているが、依然として委員の中には賛否両論があり溝は埋まらない。
 「給付の将来推計のデータをなぜ今頃出すのか」
 事務局の説明をうけて田近委員がそう指摘した。七月末には見直しの意見を同部会でまとめているが、数字が示されたのは今回が初めてだ。
 現行制度のままいけば給付額は二〇〜三〇%の高い伸びのまま推移するのが試算の大前提。見直しによる抑制策としては、主に施設入所のホテルコスト徴収と食事提供費用を保険外にし、利用者負担とすることと介護予防の強化の二点を織り込んだ。
 利用者負担増に伴う給付の削減効果は初年度で一三〇〇億円と試算。介護予防では、事業が定着した平成二〇年度以降、最大で軽度の要介護者への給付を二〇%減額する目標を設定した。
 これにより、第五期(二四〜二六年度)の年間平均給付額は現行制度でいくと一〇・六兆円となるのに対し、マイナス一・八兆円減額になり八・七兆円と推計した。一人当たりの保険料でみると、月額六〇〇〇円が四九〇〇円になる。
 被保険者を拡大した場合の給付対象はゼロ歳以上。給付の増額分としては、現行の障害者制度を前提にし、「介護サービス分」のみを抜き出して計算に入れた。その内容は、居宅・通所サービスでは利用者の五〇%、施設では四分の三が移行するとみている。在宅では二二万人の利用者が新規利用者の増加により平成二六年度には三六万人になるとしているのに対し、施設は一三万人のまま推移するとし、今後は数を増やさない方針だ。ただ、障害者サービスについては、平成二二年度まで機能再編が行われる予定となっていることから、介護保険制度への移行は段階的に見積もったという。(以下略)

国保負担金引き下げなど 合計9000億円を削減

 十月二十八日、三位一体改革で地方六団体が示した補助金削減案に、八府省からの対案が提出された。厚生労働省は、国民健康保険や生活保護制度、児童扶養手当の国庫補助負担金を引き下げ、養護老人ホーム運営費など六〇〇億円程度の補助負担金の廃止・移譲により、合計約九〇〇〇億円程度を削減。従来の補助負担金を総合補助金・交付金に再編・統合する代替案を示した。
 八府省が二十八日に提出した対案による削減額の合計は一兆円を切り、団体が求めた三・二兆円の削減案を大幅に下回った。義務教育費国庫負担金八五〇〇億円の削減を求められていた文部科学省や、治山事業などを持つ農水省は対案の提出を拒否。経済産業省、国土交通省、環境省なども要求を下回る額の提示にとどまっている。
 厚生労働省の「意見」では、廃止対象とされている補助負担金を三つに分類。@地方自治体の事務として同化・定着しているものは廃止、A地方の実施状況に格差があり是正が必要なものは、自治体に権限、役割の拡大と同時に、財政的にも負担を求める、B地方自治体の事務として定着しておらず、国が積極的に関与して全国的に一定の水準のサービスを整備する・・に分けた。
 このうち、地方案を受け入れて廃止する補助負担金は、養護老人ホーム運営費五七〇億円など約六〇〇億円程度。地域格差があるため地方自治体が役割を担うべきものとして国民健康保険制度や生活保護制度、児童扶養手当を挙げ、国の負担割合を引き下げるとした。合計九〇〇〇億円程度の削減になるとしている。
 一方、社会福祉や高齢者・障害者施策、医療・保健関係は「国がより積極的に関与して全国的にサービスを整備しなければならない」として、従来の細分化された補助金・負担金を、一〇本の統合補助金・交付金に再編・統合する改革案を提示。社会福祉施設整備費補助金を統合した「地域介護・福祉空間整備等交付金」も含まれている。

ヘルパーのたん吸引要望 重度意識障害者にも

 全国遷延性意識障害者・家族の会は十一月一日、厚生労働省に対し、ヘルパーにたんの吸引を認めることや実態調査を行うことなどの要望書を提出した。尾辻秀久厚労相は「前向きに検討したい」と約束した。今年度中には結論が出される見込みだ。
 遷延性意識障害とは、@自力で移動できない、A自力で摂食できない、B目で追うものが認識できない、C簡単な命令に応ずることもあるがそれ以上の意思疎通ができない・・など六項目を満たす状態が三カ月以上続いた状態。医学的にも「植物症」と表現されるが、植物ではなく人間であるという家族の思いから一般にはなじみのない「遷延性意識障害」をあえて用いているという。
 交通事故や脳卒中などの病気で一命はとりとめたものの、重い意識障害が続くと十分な治療やリハビリを受けられないまま転院や退院を余儀なくされる。多くの患者が気管切開や経官栄養が必要だが、ヘルパーが医療行為をできないことや、病院・施設での受け入れ態勢も十分でないことから在宅での家族の介護負担は重い。
 在宅ALS患者へのヘルパーの吸引が昨年から認められるようになったほか、高次脳機能障害でも在宅支援のモデル事業が実施されるなど医療・福祉の狭間の問題は一歩ずつ解決され始めているが、遷延性意識障害ではその実態すら把握されていない。全国レベルの家族会を立ち上げたことで、今後、厚生労働省などに対する働きかけを強めたい考えだ。
 要望事項は、@実態調査の実施、Aたんの吸引をヘルパーに認める、B医療機関でのショートステイの制度化、C遷延性意識障害を障害施策に位置づける、D在宅支援モデル事業の実施など。(以下略)

上場機に積極展開 ワイズマン社長 南舘伸和氏に聞く

 福祉施設や居宅介護事業者向け福祉情報システムで業界トップシェアを誇るワイズマン(盛岡市、資本金九億六〇九〇万円)が十月十八日に店頭市場ジャスダックに上場した。南舘伸和社長に、今後の事業展開についてきいた。
 ―ジャスダック上場のねらいは。
 ソフト開発には資金が必要であり、本社を現在の場所に移転した一九九七年頃から上場を考えていた。今後、〇六年四月の介護保険制度の抜本改正に伴う入れ替え需要の発生と、リースアップや減価償却完了に伴う入れ替え需要が期待できる。そこで上場により資金を調達して、よりよいシステムの開発、システムのレベルアップに力を入れていく。
 ―システム開発の今後の方向は。
 これまで福祉施設向けや居宅介護事業者向け、あるいはケアマネジャー向けなど必要なシステムは開発しているので、各システムの個別の機能をアップするとともに、相互の連動性を高めたい。
 また、介護保険制度の改正では要支援や要介護1への介護サービスが削減され、介護予防が強化される見込みで、介護予防のプランを作成するためのアセスメント、プラン作成、サービス提供などの一連のシステムを新たに作成したい。
 ―来年はインターネットでサービスを提供するASPサービスを立ち上げるそうだが。
 来年四月からテスト稼働し、八月に本稼働する予定だ。これまでの販売方式は売り切り型で、月により、年度により売り上げが変動していた。ASPにすることで、毎月利用料が安定して入って来て、売り上げの変動が少なくなる。
 一方、利用者にとってもメリットは大きい。ASPはデータセンターにサーバーを置くので、利用者はサーバーが要らなくなるうえ、サーバーの故障などに悩まされなくて済む。また、バージョンアップもデータセンターで一括して行うので利用者は便利になる。サーバー故障による経費も削減でき、ハードへの投資費用価格もダウンできるメリットもある。(以下略)

ISO9001実践講座 1 バラツキないサービス 定常的提供が可能に

 介護の関係者でも「ISO」という言葉を聞いたことがないという人は少ないだろう。しかし、取得する法人が増えてきているとはいえ、目指すものが何で、取得のためにどういう手続きが必要で、具体的に何をすればいいのかはよく分からないのが大勢ではないだろうか。
 本稿では私どもがコンサルとしてかかわったグループホームの事例を通して、ISOの考え方や取得の実務を紹介していきたい。
 今回は「基本」のおさらいを。
 ISOとは国際標準化機構(本部:スイス・ジュネーブ)のことであり、世界レベルで共通の基準を設けたり(標準化)、その発展や開発を図ったりするために一九四七年に設立された。国際貿易を容易にし、科学技術、経営活動などの国際協力を支援するのが、主な目的で、世界一四〇カ国が参加している。
 ISOで思い浮かぶのは、カメラに使用するフィルムの感度や、イソネジは代表的な規格だろう。ISO全体では一万件を越える規格が作られている。これらイソネジやフィルム感度は製品に対する規格であるのに対し、今回取り上げるISO9001は企業や組織における品質管理のための仕事のやり方を定めた規格である。
 約一万あるISO規格のうち、そのほとんどがイソネジのように製品に対する規格であるのに対し、このような仕事のやりかた(マネジメントのためのシステム)を定めたISO規格はISO9001と環境マネジメントの14001を始め数種類しかない。
 ISO9000シリーズが制定されたのは八七年のことでありISOの歴史の中では比較的新しい。二〇〇〇年には品質管理及び品質保証から品質マネジメントシステムの国際的な規格として全面改訂が行われた。この一〇年間で日本国内の認証取得の件数は、ISO9001で約四万件、(十月現在)に上っている。(以下略)



シルバー新報 2004年10月29日号の主な記事 見出しと要旨


厚労省 適正化で給付1%抑制 給付適正化推進運動

 厚生労働省は二十一日、介護給付の適正化を徹底するため、全保険者に対して「介護給付適正化推進運動」を実施するよう通知した。「運動」により、毎年一〇%程度の伸びが続いている介護給付費を一%程度抑制するのが目標。不正や不適切な請求がないか、事業者の保険給付を調査する。介護報酬支払額の大きな事業所や複数拠点を展開している事業所を優先的に調査するよう指示した。
 適正化事業は昨年度スタートし、今年度予算でも 三○億円を確保した。介護給付費が増え続ける中、途中年度で保険料引き上げに踏み切らざるを得ない保険者もあり、「待ったなし」で給付抑制に取り組まなければならない保険者を支援するのが今年度のねらい。財務省からも強く費用対効果を求められている。
 事務連絡では優先的に調査を行う事業所として、@介護報酬支払額が上位の事業所や、複数の拠点を持つ大規模事業所、A国保連合会の適正化システムでケアマネジャー一人あたりの作成ケアプラン数が多かったり、ヘルパー一人あたりのサービス時間が極端に長い傾向の事業所−−などを挙げている。特に、訪問介護や通所介護、ショートステイ、福祉用具レンタル、介護三施設などで、介護報酬額が大きい事業所をチェックするよう注意している。
 また、東京都稲城市の給付額や負担額の記載をした介護給付通知や、鹿児島県のケアプランチェックの取り組みなどの「効果的な事例」を示し、積極的に取り入れるよう促している。(以下略)

目的や機能に対応した新体系を導入 社保審障害者部会 給付体系見直し案議論

 介護保険との統合を視野に障害者の保健・福祉施策の改革を議論している厚生労働省社会保障審議会障害者部会は二十五日、障害者サービスを一本化するにあたっての給付体系の見直し案について議論した。
 在宅では訪問介護や通所介護などの「介護給付」と、機能訓練、就労支援など「自立支援給付」の二つの給付を国の負担義務のある法定サービスと位置付け、相談援助や移動支援、居住支援などは、市町村ごとに整備する「地域生活支援事業」とした。移動が訪問介護からはずれ市町村任せになることには当事者から反対も多い。
 併せて、現行の施設系サービスも療養や就労訓練など機能別でサービスを事業化し、NPOなど幅広い法人が運営できるようにする内容だ。
 厚労省が示した案で、在宅と施設サービスの体系について、目的や機能に応じた給付体系を導入し、併せて報酬体系も見直すのが基本的な考え方。
 具体的には、ホームヘルプやデイなど介護に関わるサービスを「介護給付」、就労支援や補装具、機能訓練など個別のニーズに応じて給付するサービスを「自立支援給付」とし国庫負担で賄う個別給付とする。相談支援やコミュニケーション支援、移動支援など予め支給額を決定してしまうと使いにくいサービスは市町村ごとに体制を整える「地域生活支援事業」。財源は、現行の補助とは異なる形で国費の支払いも検討するとしているが、具体案は明示されていない。
 また、障害ごとにバラバラで整備されてきた施設サービスについても、医療対応に重点化した生活訓練や就労移行支援、生きがいデイなどサービスの「機能」で分類し、事業ごとに報酬で評価する仕組みを導入する。一つの施設が複数の事業を行える「多機能型」も認め、NPOなど社会福祉法人以外でも運営できるように事業者要件の見直しを行う。(以下略)

東京都豊島区 「介護予防大作戦」を展開

 東京都豊島区と都老人総合研究所(都老研)は、地域の高齢者自身による自主活動を「介護予防」の視点でとらえ直して推進するため、自主グループなどを招いた講演会を二十二日に区内で行った。「介護予防」では「筋力トレーニング」など専門的なサービスに目を奪われがちだが、本当に求められているのは、楽しく毎日を過ごすための地域での活動の場だ。「要支援・要介護になる人を減らすことが、給付費削減には最も効果的」と都老研の大渕修一・介護予防緊急対策室長は話している。
 講演会は「地域ですすめる介護予防大作戦!」。老人クラブや各町会、民生委員などに参加を呼びかけ、ほぼ定員いっぱいの約八〇〇人が参加した。パネルディスカッションでは、地域の自主活動グループの代表を招いて、活動の報告が行われた。
 「趣味を通した痴呆予防という考え方で活動を行っています」
 同区長崎地域の住民を対象に、パソコンや料理教室などの部会活動を行っている「元気!ながさきの会」の伊藤登副代表はこう力説する。
 二〇〇〇年十月、東京都老人総合研究所の痴呆予防研究の一環として長崎地域に白羽の矢があたり、養成されたファシリテーターを中心に活動が始まった。現在は会員一三六人の大所帯だ。
 特徴的なのは、会員が痴呆(もしくは介護)予防活動を行っているという自覚を持っている点だ。データも記録している。会員を対象に行った調査では、部会活動を行って一年が経つと、記憶力が向上したという。
 メンバーが活動を根っから楽しんでいる様子を伝えたのは、世田谷区のミニデイ「おとこの台所」の小竹智久代表。「家にひきこもりがちな退職後の男性の拠点づくり」が目的で、月2回、区の施設で料理教室を行っている。三年間で作った料理は八〇種類に達した。バイオリン演奏付きの「お食事会」や、依頼のあった高齢者の家庭に出向いて料理をする「出前シェフ」など、活動の幅は広がっている。(以下略)

総居室の46%が「個室対応」

 全国老人福祉施設協議会(中村博彦会長)はこのほど、第六回全国老人ホーム基礎調査結果をまとめた。居室について見ると、特養ホームでは全体の四割強が四人部屋を占めており、個室の割合は三割にとどまっているものの、二人部屋以上の多床室でも二割強が仕切りなどを活用した「準個室化」を行っていることが分かった。これを合わせると、全体の四六%が「個室対応」になっている。今後、多床室を個室化・準個室化する意向のある施設でも「準個室化」が「完全個室化」を上回った。特養ホームではすでに利用者の九割に痴呆症状があり、寝たきり高齢者も七割以上に達しているなど重度化が進んでいる。現場では、必ずしも完全な個室が必要であると判断しているわけではなさそうだ。
 会員施設である特養ホーム、養護老人ホーム(盲養護ホーム含む)、軽費老人ホームの二○○二年十月一日現在の運営状況や職員数、利用者の状況など全般について把握したもの。
 全施設数五六七三のうち、特養ホーム二一七六、小規模特養ホーム六六、養護・盲養護老人ホーム五二三、軽費老人ホーム一三六から回答を得た。回収率は五一・一%。
 調査結果のうち特養ホームの居室の状況について見ると、総居室数六万五○九室のうち、四割以上の二万六九九三室が「四人部屋」で最も多い。一方、個室は一万九六二二室で三割。つまり多床室が七割だ。
 しかし、二人部屋以上であっても、ベッド回りに障子や襖で仕切りを設けるなど必要に応じてプライベートな空間が確保できる「準個室化」も八五五三室あり、多床室全体の二一%に達している。これらを合わせて個室とみなせば、全体の四六%となる計算だ。
 また、現在の多床室を今後個室化・準個室化にする意向を尋ねたところ、「ある」とした三五五施設のうち、「準個室」は三三・二%と「完全個室に」の一三・五%を上回った。(以下略)

製品クローズアップ 「ななめ付け」が簡単に

 王子ネピア(東京都中央区)が発売した紙おむつ「ネピアテンダー安心幅広テープ」(写真)は、独自に開発した″テープ同士の重ね付けもできる″幅広テープを採用したのが特徴。しっかりと身体にフィットし、横もれを防止する「ななめ付け」が簡単にできるので特に施設では好評だ。
 店頭での販売強化や知識のない在宅の介護者にアピールするため売り場に使い方のハンドブックを置いたほか、ビデオ映像を流して周知を図る。今後はこのテープを全製品に採用し「プロの技術を家庭に」をコンセプトに浸透を図る。
 テープタイプの紙おむつは、しっかりと固定できるので重度者用に使われることが多い。寝たきりの使用者は足、大腿部の筋肉が落ちて隙間ができやすく、横もれの原因になっていた。
 独自に開発した「安心幅広テープ」は、従来のテープに比べ接着部分の面積が約二五%アップ。左右二本づつに分かれ、四カ所で固定する。マジックテープ式で何度つけはずししても、接着力が弱まらず、テープ同士を重ね付けもできる。
 上のテープを下に、下のテープを上に引っ張って留め、身体にしっかりと装着して横もれを防ぐ「ななめ付け」や、テープの接着部を重ねて「クロス付け」も簡単にできる。
 センターラインも見やすくして体の中心に当てやすく正しい装着ができるよう配慮した。忙しい介護施設から在宅での老老介護も想定し、使いやすくする工夫だ。
 ごわつき感もなくムレやかぶれを防ぐ全面通気性の不織布素材を採用、吸収素材の形状を工夫して身体にフィットした装着を目指した。
 「ななめ付け」を家庭で行ってもらい横もれの不安を解消してもらおうと使い方をパッケージに印刷し一目で分かるよう表示。「プロの技術を家庭へ」をコンセプトに、使い方のハンドブックを作成したほか、今後は店頭で正しい使い方のビデオを流して使用方法の周知・啓発活動を強化する。(以下略)



シルバー新報 2004年10月22日号の主な記事 見出しと要旨


ケアマネ試験 制度改革前の駆け込み増?

 本紙が今月二十四日に行われる第七回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の申込者数を調べたところ、一三万二二六一人で昨年より一割程度の増加であることが分かった。特に増加率が高いのは和歌山(二八%増)や長崎、千葉県を始めとする東京、神奈川など首都圏域。数は増えたものの、増加率は前回ほどではなかった。実務経験五年の受験資格を満たしたヘルパーなど介護職がチャレンジするケースが増えていることのほか、来年に迫った介護保険制度改革の先行きが不透明なこともあって、「今のうちに」と駆け込み受験をする可能性を指摘する声もあったのが特徴だ。
 各都道府県への調査は二十日までに行った。第七回試験の申し込み者数は、全国で一三万二二六一人で、前回試験の申込者数を一万三一七○人上回った。約一割の増加だ。
 一九九八年から始まったケアマネ試験だが、約二一万人の受験者数を記録した初回以降は減少傾向。合格率も右肩下がりで勢いはなくなった。
 それが増加基調に転じたのが昨年の第六回試験で一一万人台まで復帰。背景には、昨年度から介護保険施設や痴呆性グループホーム、有料老人ホームなどでのケアマネジャーの配置義務付けが導入されたことがある。配置義務には平成十八年度までの経過措置があり、また、初回試験で受験資格がなかったヘルパーなどの介護職が実務経験五年を満たすようになるため、今後も増加基調が続くと見込む都道府県も多かったが、結果的には一割増となった。
 増加率が最も大きかったのは和歌山県で前年比二八%増の一三六六人。千葉・東京・神奈川の首都圏は一七〜一八%。東北では福島、中部では三重が同水準。一方、減少したのは新潟、山梨、島根、沖縄の四県。沖縄は昨年から二年連続の減少だ。
 申込者数で見ると、トップは東京の一万一四九七人。大阪府も前回より一二八七人増えて一万人台となっている。(以下略)

厚労省03年介護施設調査 特養ホームの個室18%の大幅増に

 特別養護老人ホームの個室数が昨年より一八・三%増加して四万七一四五室になったことが、厚生労働省の二〇〇三年介護サービス施設・事業所調査結果から分かった。一方で五人以上の大部屋は一六%減と大幅に減っている。施設に占める割合はまだ四人以上の居室が四五・六%で多いが、個室も三五・三%を占めている。
 昨年十月時点で全国の特養五〇八九施設、老健三〇一五施設、療養型三九一〇施設を対象に行った。回答のあったのは、特養五〇八四施設、老健三〇一三施設、療養型三八一七施設。
 個室の割合は老健では一六・一%増の三万三六〇室、介護療養型医療施設で六・三%増の九三一〇室だった。三施設全体でみると、まだ四人以上の居室が四〜五割を占めているが、いずれの施設でも個室の割合が増加している。
 調査を行った特養五〇八四施設のうち、ユニットケアを行っている施設は七五施設で、定員は四四八〇人。全体の二八%が五ユニットで運営していた。
 このうち、実際に居住費を徴収しているいわゆる「新型特養」は六割で四六施設。調査した施設の〇・九%にとどまっている。日額の設定料金は、個室で「五〇〇〜一〇〇〇円」「一〇〇〇〜一五〇〇円」としている施設がそれぞれ一六施設となっており、月額に換算すると一万五〇〇〇円以下の施設から四万五〇〇〇円以上の施設までバラつきがある。(以下略)

課題山積の介護サービス情報開示標準化 厚労省が担当課長会議

 厚生労働省は十二日、「介護サービス情報開示標準化担当課長会議」を開き七月から行っていた一次モデル事業の結果を公表した。調査項目数が多すぎる、判断に迷う項目が多いなどの課題を見直し、近く二次モデル事業に入る予定。介護保険制度見直しの中では質の確保の柱に位置付けられる同事業だが、事業者への負担の多さや目指す「客観的な情報の公開」と「評価」の違いが調査員に理解されないわかりにくさも浮かんだ。すでに都道府県で先行している第三者評価事業との整合性をどうつけるかなどなお整理すべき課題は多いといえる。
 近く2次モデル事業を実施
 規制改革会議などから規制緩和を進める一方で、質の確保のための第三者評価が必要と指摘をうけたのが導入を決めた発端だが、厚生労働省ではこれを「情報開示の標準化」として実施することを決めた。調査員による調査も行うが事実確認だけで、第三者評価と異なり、「いい」「悪い」の価値判断はいれない。比較可能な事実を情報として公開することで、利用者の選択材料とし、悪質事業者を排除するのがねらいだ。来年度予算概算要求ではすでに調査情報をインターネットで公開するための予算請求も行っている。
 一次モデル事業はシルバーサービス振興会がすでにまとめている事業スキームに沿って、全国七ブロックで七サービスを対象に実施した。かかった時間や負担感など、調査者、調査を受ける側のアンケートを行った。
 まず、浮かびあがったのは調査を受ける側の負担感だ。
 調査票の作成にあたり準備に要した時間は平均で一一・二時間。サービスによっても差があり、訪問介護は九時間だったのに対し、施設系は相対的に時間が長く二〇時間以上かかったケースも二〇%あった。個人情報は公開できないため、消す作業にも手間がいるという。(以下略)

生活支援の最重要性 在宅介護協会が事例発表会

 民間介護事業者の全国組織日本在宅介護協会(会長=寺田明彦ニチイ学館社長)の事例発表会が十四日、都内で開催された。会員各社の代表から糖尿病や独居、うつ傾向にある高齢者へサービスを提供することで効果をあげた事例が発表された。介護保険制度の見直しでは、軽度者に対する予防を強化する一方で、家事などの生活援助は限定的にする方向が打ち出されているのに対し、日常的に接するヘルパーの支援の重要性をアピールした。
 事例発表会は「あなたの笑顔に会いたくて」。
 東京リビングサービス(東京都港区)のヘルパー小林千代子さんは、要介護1と軽度だが、糖尿病の持病があり、血糖値コントロールができない利用者の例を紹介。
 食事提供時にどのような食材で何をつくったかを記録ノートにつけ、医師やケアマネと連携しケアプランに生かしたほか、日常的に注意できるようカロリー早分かりポスターをつくり利用者宅にも貼った。この結果、二五〇あった血糖値はが一八〇まで低下した。
 「虚弱な高齢者では日常生活の自己管理力が弱くなっており、生活や食事が不規則になりがち。支援のためには訪問介護サービスが重要」と訴えた。
 また、うつ病の要介護1の利用者への訪問介護サービスは日本ビコー(千葉県八千代市)の介護福祉士の竹原千英子さんが発表。 自傷行為もあるため長時間の見守りが必要だが、軽度認定のために利用枠が限られることから、代わりに電話でのフォローを行った。 ヘルパーが携帯電話を持ち毎日朝昼晩連絡し、利用者からの相談に二四時間三六五日の体制で臨む「電話訪問」は、精神状態の安定に役立ったという。電話訪問は安否確認や正月のおめでとう電話など同社の事業所の独自サービスに発展している。(以下略)

H.C.R.2004が閉幕 製品の機能や選び方 実演を全面にアピール

 十月十三日から十五日まで、東京ビッグサイトで開かれた第三一回「国際福祉機器展HCR2004」には三日間で約一四万人の人が訪れた。会場の賑わいは例年通りだ。人目をひくような新製品は少ない一方で、デモンストレーションを積極的に行い自社の製品の機能や選び方を積極的に説明するブースが目立った。新製品の開発ラッシュが一段落し、成熟期を迎えた印象だ。
 主催者の保健福祉広報協会のまとめによると、三日間のトータル来場者数は一三万八七二六人。昨年を七一六人上回ったが、一昨年の入場者数が対前年比で三〇〇〇人だったのと比べると、近年伸びは鈍化し安定期を迎えているといっていい。
 来場者の内訳は一般が三四・七%で最多。昨年よりも二・八%上回ったのに対し、販売業一・八ポイント減の一二・七%、製造業一・五ポイント減の八・九%。施設や在宅で介護にかかわる人も含め、来場者の四分の三強がユーザーサイドの利用者になった。学生とおぼしき若い入場者も目立つ。景品付きの射的を企画したおむつメーカーのブースに長い列ができていたが、これも新しい商品の見せ方といえるかもしれない。
 ぱっと人目をひくような新製品もないのも近年の傾向だが、一方で目立ったのが「いつまでも元気」「介護予防」「自立支援」などのコピーだ。
 介護保険制度の改革で要介護者を重度化させないための「介護予防」に重点化していくとする国の施策の方向性を敏感に反映させたものだ。
 福祉用具のレンタルについては、ベッドや車いすを必要以上に使うことでかえって自立度を悪化させていると集中砲火をうけ、今年六月に厚生労働省が「適正利用ガイドライン」を示した経緯がある。これを受け、軽度者向けをうたったベッドをモルテンが開発しお披露目した。
 機能別・目的別に細分化している製品について説明するのも、理解するのも大変だ。褥瘡予防用具のケープは褥瘡ケアと製品選びをコンパクトにまとめたガイドを配布。各社がさまざまスタイルのデモンストレーションに力を入れる中で、「素人の掛け合い」的なTOTOのデモンストレーションも新しいシャワーチェアの特徴がわかりやすく印象に残った。(以下略)



シルバー新報 2004年10月15日号の主な記事 見出しと要旨


「介護付き住まい」推進へ 特定施設の対象拡大

 高齢者住宅財団の「介護を受けながら住み続けられる住まいのあり方研究会」(委員長・堀田力さわやか福祉財団理事長)はこのほど「新しい住まい」の推進を求める中間報告書をまとめた。現状では要介護になる前の早めの時期に住み替えることができ、安心して暮らし続けることのできる住まいが不足しているとして、有料老人ホーム、ケアハウスに限定されている「特定施設」の対象を拡大し、高齢者に配慮したバリアフリー設計で生活支援サービス付きなど要件を満たした高齢者住宅を対象にするとともに、外部サービスも利用できるようにするなど多様なサービス提供形態が選べるように報酬体系の見直しも求める中間報告をまとめた。厚生労働省では制度改正の中で推進のための措置を講じる方針だ。
 昨年六月にまとめられた「二〇一五年高齢者介護」の中では、大都市近郊の急激な高齢化に備え、自宅、施設以外の「第三の類型」として多様な住まい方ができる受け皿を整備していくことを求めた。「あり方」研究会はその具体的な方策を検討するために設置された。
 中間報告では、高齢期の住み替えを要介護状態になる前の「早めの住み替え」と「要介護状態になってからの住み替え」の二種類に大別。介護保険制度の導入で都市部を中心に民間の有料老人ホームは急増しているが、要介護者向けのタイプばかりで、「早めの住み替え」に対応できる受け皿はむしろ減少していると指摘。原因として、現在の特定施設の対象が、有料老人ホーム、ケアハウスに限定されていること、報酬体系が一日単位の「丸め」で施設と同じになっているために要介護者や自立者が混在し、多様な支援を必要とする介護付き住まいの運営がしにくいことの二点をあげた。
 具体的な対応策としては、@バリアフリー設計で、適切な居住水準にある住宅、A緊急通報など三六五日二四時間の基礎的な生活支援サービスを受けることができる、B住み続けられる保障があるなど要件にあった住宅を新たに特定施設の対象に加えることを提言。
 国土交通省などが推進してきた高齢者優良賃貸住宅やシルバーハウジングなどの形態が念頭にある。(以下略)

身体・知的・精神 障害施策を一本化

 厚生労働省は十二日、社会保障審議会障害者部会(部会長=京極高宣日本社会事業大学長)に障害保健福祉施策の改革試案を提示した。現在、身体・知的・精神障害と障害の種別ごとにバラバラとなっている制度を一体化し、年齢や障害種別にかかわらず共通のサービスが利用できる「障害福祉サービス法」(仮称)を創設する。
 サービスの提供主体を市町村に一元化し、地域の障害者のニーズを把握して必要なサービスを整備していく体系を構築するのが柱だ。介護保険制度との関係については「年内に結論を得て法改正に反映させたい」(同省)としており、介護保険と共通サービスについては保険の活用を優先していく考えも明らかにした。これに伴い、費用負担の仕組みも現在の支払い能力に応じた「応能」から利用したサービス量に応じた「応益」負担へと変える。委員の中でも賛否両論が相次ぎ、今後の議論は紛糾しそうだ。
 試案では今後五年間かけて新制度に基づくサービス体系へと移行するとし、来年の通常国会に法案提出を目指す。そのため、各障害に共通の給付・サービス体系の整理と介護保険制度の関係については年内に結論を得たい考えだ。
 改革の基本的な視点は、年齢や障害種別に関わりなく必要なサービスを受けられるよう障害保健福祉施策の総合化を進めること。施設中心から、障害者が地域で就労しながら暮らすことを支援するシステムを作り、それを支える持続可能な制度を構築する。サービス提供主体は市町村に一元化し、サービスの担い手となる人材の育成などで国・都道府県が後方的に支援するかたちだ。
 利用決定プロセスでは、ケアマネジメント制度を導入し、市町村の委託を受けた事業者がサービス利用計画作成の支援などを行えるようにする。また、市町村の支給決定に際して障害の程度や心身の状況について意見を求める審査会の設置も盛り込んだ。(以下略)

2015年の数値目標示す 厚労省 全国介護保険担当課長会議開く

 厚生労働省は十二日、全国介護保険担当課長会議を開き、制度見直しに関する議論の進捗状況を説明した。同省では今回の改正を「制度のつくり直し」ととらえており、業務量が膨大になるため、できる限り前倒しで準備をすすめたい考え。九月以降、毎月一回のハイペースで会議を開催している。
 新予防給付の要支援・要介護1の一〇%で重度化を予防、介護保険三施設の入居者は要介護4・5を七〇%以上になど、制度改革の目標である二〇一五年に達成すべき数値を具体的に示した。二〇〇六年度からの第三期事業計画を作成するにあたっては三期先の将来目標が達成できるようサービス量を設定することを市町村に求めた。
 今回の見直しは、昨年六月に老健局長の私的研究会として設置された高齢者介護研究会の「二〇一五年の高齢者介護」が下敷きになっている。実現に向けては、自治体の計画にも長期的な視点が必要と判断した。今後の計画は二〇一五年の目標に対する中間地点として三年毎に見直すことになる。新しいサービスとして注目されている小規模多機能など地域密着型サービスの目標数値は示されておらず、ひとまず、国としての最終目標を示したかたちだ。
 見直しの目玉である「介護予防」については、介護保険からのサービスだけでなく、従来の地域支え合い介護予防事業や老人保健事業を再編して創設する「地域支援事業」についても対象者の推計を行う。
 地域支援事業の対象者は高齢者人口の五%程度で、参加者の二〇%が要介護になることを食い止めるのを目標とする。
 介護保険の中に創設する新・予防給付については、要支援・要介護1等を対象にし、新しいサービスが軌道にのった二〇〇八年度以降に一〇%の人が要介護2以上になることをくい止める。二〇一五年の要介護2以上の人は予防事業を行わなかった場合よりも三〇万人減り、二九〇万人と推計した。
 介護保険三施設と有料老人ホームなど居住系サービスの利用者は要介護2以上の二九〇万人の三七%が目標。現在の八七万人から一〇八万人分に増えるが、利用者数に対する割合は四一%から三七%に引き下げる。相対的に在宅の利用者を増やすことになる。
 介護保険三施設については、重度者への重点化を進め、要介護者4・5の割合を五九%から七〇%に引き上げる。個室・ユニットの割合は、一二%から五〇%以上に引き上げる。特に、特養では七〇%以上と高い目標を設定した。(以下略)

日本福祉用具評価センター 高橋理事長で発足

 来年度から実施される新JIS制度で、福祉用具のJIS規格に基づく試験を行う民間の第三者評価機関の認証取得を目指す「日本福祉用具評価センター」(JASPEC)が八日、当初の設立予定から六カ月遅れて四〇社あまりの福祉用具関連企業・団体が参加し発足した。十一月までには法人登記し、来年四月の制度改正時から評価機関としての活動を目指す。
 総会では、法人設立に必要な八個人・二法人で登記することを承認、高橋義信理事長、田中理副理事長らを選出・承認した。また、基金として一〇〇〇万円が集まったことも報告された。
 当初の四月設立の予定からずれ込むようになった原因のニチイ学館施設に間借りする同センターの事業は影響を受けないことを同社と文書で確認したと説明された。独立の有限責任中間法人としてJIS規格の試験を行う公正性を確保する考え。
 来春から実施される新JIS制度では、これまで国が安全性にお墨付きを与えていたのに代わり、国に登録した民間の第三者評価機関が国の示すJIS規格に基づき試験・評価を行い安全性を担保する。
 試験機関の登録受け付けは十月から始まっており、来年四月には新JISマークが表示できる認証機関の受け付けを開始。同十月からは登録認証機関が試験を開始するスケジュール。(以下略)

今気になるTOPICS 介護予防で銭湯復活なるか

 銭湯を使ったミニデイサービス事業がここにきて広がり始めているようだ。介護予防や健康増進事業を進めたい行政と、新しい事業展開で業界の活性化を図りたい銭湯経営者がタッグを組んだ格好だ。介護予防効果の科学的検証はこれまでは行われたことがなかったが、昨年度は厚生労働省が初めて「銭湯」をテーマにした研究を行ったり、国の法律や通知で銭湯の活用が明記されるなど、いつのまにか追い風が吹いている。介護予防で銭湯復活なるか。(大元美樹)
 東京都足立区は、閉じこもりがちな高齢者を対象に、銭湯を使ったミニデイサービス事業「ふれあい遊湯う」を二〇〇二年度から行っている。運営は生活共同組合・東京高齢協「のぞみ」(同区梅島)に委託し、毎日区内二カ所の銭湯で週五日実施。利用者負担は入浴料二〇〇円。昨年度実績で四五〇回、延べ七七〇〇人が参加するなど、年々地域に浸透している。
 十月のある日に訪問した「いこい湯」(同区江北)の参加者は一七人。近所の人たちばかりではなく、離れた地域からバスや自転車でやってくる人もいる。十時から順に看護師による血圧や体温測定を終えたあと、午前中いっぱいはレクリエーションの時間。カラオケや将棋、名札づくりや手話の講習、ストレスについての講話、健康体操…と盛りだくさんのメニューだ。昼食、休憩後にメーンイベントの入浴を楽しむ。銭湯が通常の営業に入る前の午後二時には終了だ。
 区内の自宅から送迎バスを利用してやってきた田中保弘さん(七六歳)は週に三回は「遊湯う」に参加する。「家と違って浴槽も広く足を伸ばして入れるし、同世代で戦争の裏話や政治の話ができておもしろい」と話す。
 自転車で一〇分のところに夫と住む細野よしえさん(七六歳)は、友達から誘われたのがきっかけで「遊湯う」を知った。「区内のいろんな銭湯が楽しめるし、口紅の一つもつけて出かければ生活にもハリが出ます。私は週に三〜四回『遊湯う』で銭湯に入っているから、自宅の風呂は夫が使っているだけ」と笑う。「一人暮らしで食の細かった人がよく食べるようになったり、あまり外出しなかった人が自分で交通機関を使って通ってくるなど効果は確実に現れています」と「のぞみ」の職員で事業の統括責任者の高橋一博さん。(以下略)



シルバー新報 2004年10月8日号の主な記事 見出しと要旨


特集 ユニバーサル社会へ向けて 〜萌芽は足もとに〜

 ユニバーサルデザイン。すでに説明するまでもないくらい身近になってきた言葉ではあるが、あえて言わせてもらうと、障害の有無や年齢、性別などに関係なく、最初からできるだけ多くの人が利用しやすいように製品、建物、空間をデザインすること。
 誰でも年をとるし今元気な人でもケガをすることがある。どんな人にも不便や不自由があることを前提にしようという発想から、「七原則」を提唱したのが障害を持つアメリカの建築家、故ロナルド・メイス氏だ。一九八○年代、といえばわが国ではバリアフリーもまだまだこれから、という頃だろうか。バリアフリーももともとは、建物の段差解消など物理的な障壁をなくすという意味の建築用語。
 似ているけど違う。ユニバーサルデザインがまたたく間にモノづくりの基本的な考え方として根を広げ、情報産業やまちづくり、そして行政施策まで分野を問わず波及し始めているのに対し、バリアフリーは「障害者のため」という特別な配慮のイメージが拭いきれない。
 みんなで同じ着地点を目指していれば着実に近づいていくはずだ。介護保険の見直しも、そういう視点に立てばこれまでとは違う世界が開けるかも。
 まずは、「してあげる」「やってもらう」の発想からなくしてみませんか。

特集 ユニバーサル社会へ向けて まちづくりは市民の手で

 バリアフリーやまちづくりは行政がやるもの。そんな固定概念をくつがえすような活動で地域の活性化に一役買っている市民活動が盛岡にある。ホテルマンの石川紀文さんを中心にさまざまな業種の人たちが会員となっている「アクセシブル盛岡」。会費も会則もなし、いつでも誰でも参加自由という垣根の低さが、自然と障害を持つ人・持たない人の出会いを生み、誰もが住みやすいまちづくりを目指して知恵を出し合う関係をつくりあげている。公衆トイレをつくる代わりに店舗のトイレを気軽に使ってもらう試みなどでお客を増やした肴町商店街も市内にある。元気なまちだ。
 アクセシブル盛岡が発足したのは一九九三年。ホテルマンの石川さんが支援していた車いすバスケットボールチームが、カナダのチームを招待したことがきっかけだ。試合後に観光案内で出かけた市内の岩山展望台には、車いすでは到底上ることができない長い階段しかなかった。
 アクセシブル盛岡は展望台にスロープをつける運動体として結成したわけだが、市民に賛同を呼びかけるチラシに書いたのは″高齢者やベビーカーでも歩きやすく″という言葉。バリアフリーという言葉さえまだ一般的でなかった時代に障害者だけのために、としなかったのはかなり先進的だ。
 アクセシブル盛岡の特徴は、いつでも誰でも参加自由というゆるやかな運営にある。活動計画もメンバーが自主的に提案するのが基本。一○年間の活動記録も実にバラエティ豊かだ。お酒を飲むのが好きな障害者のメンバーと一緒に市内の居酒屋を勝手に「障害者にやさしいお店」として表彰したり、繁華街のど真中で「障害者擬似体験」を行ったり。かなりゲリラ的だが、噂を聞いて次はうちも、とアピールする店が出てきたり、車いすで買い物をする障害者に手を貸す市民などが増えていったという。
 「これまで障害を持つ人と持たない人が出会う場所がなかったのです。出会いがなければ交流もないし、お互いに分かり合うこともできない。積極的に外へ出かけて存在をアピールすることが大切です」と石川さん。日常生活で頻繁に利用するのは役所や公共施設より町の中。行政主導ではなかなかこうはいかないだろう。
 会員は現在二四○名。さまざまな業界、職種の人が入れ替わり立ち代り参加、ネットワークを広げている。(以下略)

老人保健事業 介護予防の強化指摘

 厚生労働省の「老人保健事業の見直しに関する検討会」(座長=辻一郎東北大学教授)は二十七日、見直しに際しては介護保険制度の新予防給付との連続性や介護予防・地域支え合い事業との一体的な事業展開を図るべきとする中間報告書骨子(案)をまとめた。これまでの事業目的であった生活習慣病予防対策に加え、介護予防に向けた取り組みを一層強化すべきとしている。三位一体改革では老人保健事業費は税源移譲の対象として検討されているが、「引き続き国の責任の下で実施する必要がある」と強調している。
 骨子では、事業の課題として、四〇歳以下のより若い世代から実施する必要性や基本健康診査の受診率の低さ、介護予防の観点からの高齢者に対する取り組みの不十分さなどを挙げた。
その上で見直しの基本的方向性では、この事業で生活習慣病予防対策と介護予防対策についてライフステージごとに適切なサービス提供を行う必要があると指摘。「健康な八五歳」を目標に、高齢者に対する介護予防に向けた取り組みを強化し、多様なサービスの開発が必要だとしている。また、介護保険制度で検討中の新予防給付との連続性の確保や、介護予防・地域支え合い事業との一体的な運営を図っていくべきで、介護予防対策にはケアマネジメントの概念を導入すべきなどとした。
 具体的には、現行の老人保健法の制度を改める必要があるものと、制度内で見直しを図るべきものに分けて対応すべきとし介護保険との連携を図りながら、サービスの実施主体、手法、財源も考慮に入れた見直しを行う必要があるとした。
 市町村の役割は、各種サービスを提供し、介護予防が適切に利用されるようにケアマネジメントを実施することとしているが、国は事業評価に関する指針の作成や、普及啓発活動などを、都道府県は市町村による事業実施や人材育成の支援を行うとしている。(以下略)

多機能型ケアセンター 07年度までに200カ所 ニチイ学館

 ニチイ学館(東京都千代田区)は九月二十七日、訪問介護やデイサービス、介護予防、ナイトケアなどのサービスをカバーする「多機能型ケアセンター構想」で、〇六年度までに同施設を二〇〇カ所整備すると発表した。アイリスケアセンターを全国八〇〇カ所整備した拡大路線が行き詰まり、今期業績予想を下方修正せざるを得なくなったため、二〇〇六年四月の制度改正に沿った計画で巻き返しを図る。
 「多機能型ケアセンター」は、訪問介護やデイサービス、介護予防、ナイトケア(夜間預かり)、居住サービスから利用者がサービスを組み合わせることができる。@介護予防・夜間預かりのナイトケアのデイサービスセンター、A@+グループホーム、B居住系サービス(都市型介護ホーム)として展開を予定する。既存施設の改修なども活用し二〇〇七年度までに約二〇〇カ所整備する計画で二〇四億円を投資する計画だ。いずれも〇六年の介護保険制度改正の方向をなぞったものだ。
 第一弾として十月四日、福岡県北九州市に「アイリスケアセンター早鞆」をオープンした。筋力向上トレーニングによる介護予防とナイトケアメニューを設けるほか、菜園や車いすにのったまま入浴が可能だ。定員四〇人、延べ床面積も六〇〇平方mと広く取っている。また、居住系では首都圏や関西圏を中心に約六〇カ所を整備する。その後地方にも同様の施設を展開する計画だ。多機能型ケアセンターは四年後には一九億九〇〇〇万円の売上げを目指す。(以下略)

福祉用具のある風景 10月1日 福祉用具の日フォトコンテスト

 十月一日の「福祉用具の日」を記念して、「『福祉用具の日』推進協議会」は「福祉用具のある風景」をテーマにしたフォトコンテストを実施し、このほど入賞者が決定した。最優秀賞一点、厚生労働大臣賞一点、経済産業大臣賞一点、特選六点、入選九点の合計一八点が選ばれた。最優秀賞は、マラソン大会に出場した松葉杖の小学生と、その懸命に走る姿を見守る子どもたちや大人の視線を描いた「ゴールをめざして」。福祉用具を使いこなして、明るく積極的に生活を送っている姿をとらえた作品が目立った。十三日には東京都内で受賞者の表彰式が行われる。
 十月一日を福祉用具の日としたのは二〇〇二年。一九九三年に高齢者や障害者の自立や介護者の負担軽減を図るために、福祉用具の普及・開発を進めることを目的に施行された「福祉用具法」の施行日にちなんで制定された。
 私の知る限り、福祉用具を題材としたフォトコンテストは余り例がなく、募集期間も一カ月と短かったにもかかわらず、全国より幅広い年齢層からの二二二作品の応募がありました。
 審査では写真の技術的な評価はもとより、福祉用具が私たちの生活や暮らしの中に自然と溶け込んでいる様子をいかに表現しているか、そのような視点から審査するよう心がけました。
 最優秀賞を受賞したのは東京都の辻川吉夫さん「ゴールをめざして」です。マラソン大会のスタート直後、観衆が見守る中、障害をもつお子さん二人がゴールを目指して走り始めた一瞬をとらえた作品です。ゴールまでの道のりは険しくても、それを乗り越えていこうとする二人のエネルギーが感じられます。男の子が自在に扱っているロフストランド・クラッチが印象的です。
 厚生労働大臣賞は愛知県の奥野喜久雄さん「雪にも安心」です。雪の合間の晴れた日、待ちかねたように歩行補助車を使っての外出。そんな情景を想像させる作品です。雪解けの轍の中、路面を踏みしめる利用者の歩行を、四つの車輪が力強く支えています。
 経済産業大臣賞は大阪府の才脇信吾さんの「ふれあい」です。野外での音楽祭。サックス奏者が電動車いすを自在に扱っての演奏です。観客もご本人も音楽を楽しんでいる、そんな雰囲気が伝わってきます。障害の有無に関係なく誰もが人を喜ばせる側になれたら。夢を実現するには福祉用具の更なる技術進歩と普及を期待したいところです。(以下略)



シルバー新報 2004年9月24日号の主な記事 見出しと要旨


難病、末期がん患者も対象に 「若年要介護者」38万人

 制度見直しを検討する社会保障審議会介護保険部会は二十一日、被保険者の範囲を拡大し、現在は制度の対象になっていない障害者などにも給付を広げるかどうかについて議論を再開した。被保険者を現在の四〇歳以下に拡大した場合は、「老化による要介護」の給付要件は廃止され、年齢を問わずに「要介護」と認定された人を介護保険の給付対象とする案を事務局は示した。現在の障害者サービスのうち介護保険と重複する部分を吸収するほか、新たに高次脳機能障害や難病患者、障害者など給付対象者は最大で三八万人となる見込みとした。十一月下旬には意見を集約し、次期通常国会への提出を予定している改正法案に反映させる方針だが、慎重意見は根強い。
 制度創設時の議論では、障害者も給付対象にすべきとする意見も強かったが、最終的には、国民に納得が得られやすいという観点から、「老化」による要介護を給付対象とし、親の介護問題が現実になる四〇歳以上を被保険者とし、六五歳以上を受給者とすることで五年目に見直す条件で決着した。
 このため今回の見直しにあたっては最大の争点とされてきたが、審議会では折り合いがつかず七月末にまとめられた同部会の意見書ではひとまず賛否両論を併記し、持ち越しになっていた。
 事務局は、被保険者を拡大した場合は年齢や原因にかかわらずに要介護と認定されれば給付対象になるとした。「若年要介護者」は、障害者の一部と、従来は制度のはざ間にありサービスを受けられなかった難病患者、末期がん患者や高次脳機能障害をもつ人をあげ、一八歳以上でみた場合は最大で三八万人が対象になると見積もった。
 現在、障害者施策からサービスを受けている人では、介護保険が優先適用となり、これを上回る介護サービスや、ガイドヘルプや作業所など介護保険のメニューにないサービスは従来通り税によるサービスとする。
 被保険者を仮に三〇歳以上に拡大した場合は現在より一八四八万人増、二〇歳以上では三四九七万人増と支え手が増える。要介護の発生率は若年者では低く、現行よりも一人当たりの負担は減る見通しを示した。(以下略)

介護予防モデル事業 具体的な進め方を提示

 厚生労働省は二十一、二十二日、新予防給付の創設に向け、今年度市町村で行うモデル事業の研修会を市町村職員や保健師、看護師を対象に行った。対象者の選定やプログラムの進め方が示された。サービスごとに対象者を絞り込む調査や、保健師による効果測定の実施が条件とされ、市町村にとって手間と人手がかかる内容となっている。
 今年度、介護予防モデル事業を行う市町村は七六自治体。「筋力向上」「栄養改善」「閉じこもり予防」の基本メニューに、オプションとして「フットケア」「口腔ケア」のメニューが用意され、この中から自治体が選んで実施する。
 研修では、事業の基本的な条件を示した。対象者は要支援、要介護1・2から選定。参加者の絞り込みや事業運営、総合的な評価を行う組織として、介護認定審査会の委員や有識者などで構成する「介護予防重点推進・評価委員会」を市町村ごとに設置する。実施期間は三カ月(栄養改善のみ六カ月)とし、プログラム修了後の数値と、事前審査やアセスメントの数値を比較する「効果測定」は市町村保健師が行うとした。
 具体的な実施方法、対象者の選定方法、除外条件、アセスメント票、評価の測定項目、問診票のフォーマットについては、「筋力トレーニング」や「栄養改善」などの個別のプログラムごとに示された。
 例えば「筋力トレーニング」では、要支援、要介護1・2の認定者の中から「一次審査の中間評価項目のうち下肢筋力に関わる項目」の得点で選定。「歩行速度が八〇メートル/分未満」「バスや電車で一人で外出できる」などの項目による基本審査を行い、除外条件に該当しないかをチェックして参加者を決定する。事業前後には握力、十メートル最大歩行などの体力測定と、保健医療の評価指標であるSF―36、要介護認定の一次審査を行うとしている。複数のプログラムの実施を予定している市町村もあり、業務や人手の負担はかなり大きいと予想される。(以下略)

厚労省 事業所規制の強化へ 指定更新制など導入

 厚生労働省は介護保険制度の見直しに合わせ、事業所指定の更新制や、一度取り消しがあった事業所が別の都道府県でも指定を受けられないようにするなど事業所規制を強化する。
 今年七月末現在で、介護保険事業所の指定取り消し件数は一六二事業者の二四一事業所、一五施設。その理由のほとんどが、不正請求や指定基準違反だ。
 給付適正化のために監査を強めていることもあり、年々増加しているという。七月末にまとめられた社会保障審議会介護保険部会では、規制緩和で多様な主体の参入を認めているのに、医療保険と比較しても事後規制ルールが不十分とし強化を求めた。
 具体的に挙げているのが、指定しない条件として、以前指定取り消しを受けたことを追加することと、指定の期間に有効期限をつける更新制の導入だ。
 現行制度では、指定を取り消されても、別の都道府県で指定申請したり、法人の名義を替えてしまえば、行政は指定せざるを得ない。こうした悪質事業者を排除するために、厚生労働省は指定しないことができる理由として、申請者、役員個人の指定取消履歴や犯罪歴を追加する方針だ。
 また、介護保険法では事業者に対して、指定取消しか、処分方法がなかったのを見直し、社会福祉法人に対する指導のように、改善勧告、改善命令、業務停止命令と処分の公表ができるようにする。
 見直しで市町村が指定や監督を行うことになる地域密着型サービスも同様だ。
 取り消し履歴を全都道府県、市町村で共有するために必要となるネットワークシステムの構築のため、来年度概算要求に必要経費を盛り込んだ。(以下略)

ホームヘルプサービス一元化でガイドライン

 北海道総合研究調査会は、厚生労働省の未来志向プロジェクトで痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者へのホームヘルプを一元化するためにホームヘルプサービスのガイドラインを作成した。見守りや相談、安心感づくりなど「よりそい」的な支援を中心に、個別性の高い対応ができるようサービスの再編を求める内容だ。ヘルパー研修のあり方の検討材料にもしてほしいとしている。
 現在のホームヘルプサービスは制度別の縦割りで、高齢者には介護保険制度、身体・知的障害者には支援費制度、精神障害者は市町村の居宅生活支援事業となっている。介護保険で一気に参入が進んだ事業者に対して支援費制度への参入も奨励されてきたが、十分には進んでいない。介護保険のヘルパー研修は身体介護が中心で、精神・知的障害となるとお手上げ。手を出したがらない実態もある。
 「どんな障害のある人でも地域で生活ができるようにするために、これからのヘルパーには多様な障害特性への理解が必要」
 北海道の産業や経済、福祉・医療分野で数多くの調査研究を手掛ける社団法人北海道総合研究調査会の五十嵐智嘉子企画室長は、ホームヘルプの課題についてこう述べる。
 昨年度から、障害者ごとにどんな支援ニーズがあるか、実際にどんなホームヘルプが提供されているのかを比較対照する研究を厚生労働省の未来志向研究プロジェクトとして実施している。道内九市で在宅でホームヘルプを利用している軽度・重度の痴呆性高齢者、知的・精神障害者の四者一八〇人、ヘルパー九〇人に実態を調査した。
 いずれの障害でも、コミュニケーション能力や対人関係、公共機関の利用などで支援の必要性が高く、見守り、相談・話し相手、人間関係などのいわゆる「よりそい」を中心とする支援を必要としていたが、提供状況は十分でないことが分かった。
 「要介護高齢者では主に身体的なサービスのニーズが高く、知的・精神では精神的なケアを必要としているという仮説を立てていましたが、調査を通して、家事援助、身体介護、移動介助などすべての支援で″よりそい″的なサービスの視点が必要だということが分かりました」(五十嵐室長)。(以下略)

環境と福祉の融合を目指して 「環境福祉学会」発足へ

 環境と福祉の融合を目指す「環境福祉学会」の設立総会が二十六日、東京都港区のホテルはあといん乃木坂で開催される。そこで、その設立の意義や今後の展望などを、同学会設立準備委員である環境事務次官・炭谷茂氏、社会福祉法人旭川荘理事長・江草安彦氏、創造学園大学学長・小池大哲氏に話し合ってもらった。
 ・・環境福祉学会設立の意義、理由について。
 炭谷 私が一九六九年に厚生省へ入った時、公害問題は厚生省の所管であり、まさに福祉問題という捕らえ方が一般的だった。水俣市を視察した時、水俣病は単なる公害問題ではなく、地域の生活、福祉の問題が複雑に絡み合って生じているという感を強くしたし、二〇〇二年のヨハネスブルクサミットでは、貧困と環境問題の悪循環の解決が必要だと強く思った。
 福祉という言葉が明治初期に使われたように人間の幸せを意味するところから、人々の生活を向上させる取り組みがすべて福祉と結びついてきた。例えば公害が激化した高度成長期に、市町村社会福祉協議会が対策の必要性を訴えるなど福祉関係者が重要な役割を果たしてきた。また、明治中期の足尾銅山鉱毒事件では、田中正造は環境と貧困に密接な関係があると指摘した。
 しかし、公害問題から生活問題、地球環境問題へと移るにつれ、福祉と環境の関係は次第に疎遠になっていった。近代社会共通の専門化、分業化の弊害だと思うが、その再構築が今日の様々な問題を解決していく上で大きな課題だ。
 江草 私はもともと小児科医だが、障害者や高齢者など人間の生活にかかわる福祉サービスに長年携わる中で、環境条件が整えば障害者や高齢者の問題も自然と解決するケースが多いことに気付き、環境の教育力、環境の生活への影響について考えるようになった。
 和辻哲郎は「風土」という言葉を提唱し、自然の風土は文化的風土あるいは生活の風土と関係があると言ったが、汚染された環境は、身体的な健康問題のみならず文化的環境あるいは社会的な健康に大きく影響していると思う。その中で環境福祉学会が設立される意義は大きい。「環境&福祉」学会や「環境・福祉」学会なら従来の福祉学と環境学の連携にすぎないが、環境と福祉の融合という点に大きな意味があると思う。
 福祉はウェルビーイング、よく生きることだ。そのために何が要るのか、人間にとって環境とは何か、こうした問題を本質的に捕らえ、対応を考えていくことは素晴らしいことだ。(以下略)



シルバー新報 2004年9月17日号の主な記事 見出しと要旨


地域包括支援センター核に介護予防体制確立

 厚生労働省は十四日、全国介護保険担当課長会議を開き、介護保険制度の見直しの進捗状況などについて説明した。「地域包括ケア」「予防強化」の制度改正の方向性に沿って、従来の福祉・保健行政も大きく仕切り直す内容となる。介護保険制度については、七月末に社会保障審議会が見直しについての意見書をまとめたばかりだが、これを既定路線として実務の準備作業にゴーサインを出したといっていい。今後は月一回程度、課長会議を開き、迅速に情報提供していく方針だ。しかし、「三位一体改革」による補助金削減は棚上げしたまま。創設を目指す地域包括支援センターなど保険以外に十分な財源を確保できるかなど不透明な要素も多い。
 介護保険制度の見直しについては、七月末、社会保障審議会介護保険部会が意見書をまとめたが、最大の焦点とされる、被保険者・受給者の範囲の拡大は両論を併記し、九月以降に結論を持ち越した状態だ。
 しかし、中村秀一老健局長は「制度本体の改革はすでに出揃っており、行政として実務面を進める」考えを示した。今後は月一回のペースで、担当課長会議を開き、作業の進捗状況を実務担当者に情報提供するとともに、省内に介護保険制度改革広報センターを設置し広報活動も活発化させる考えだ。見直しの方向性として示されているのは、「介護予防の強化」「痴呆ケアの推進」「地域ケア体制」の整備。介護保険制度だけでなく、従来の保健福祉施策全体の大きな仕切り直しとなる(図参照)。
 「介護保険の予防給付と老人保健事業を一体的に見直している。要介護状態になる前からの総合的な介護予防の仕組みが重要」(三浦公嗣老人保健課長)(以下略)

12月初旬にも制度改革大綱 厚労省が全国介護保険担当課長会議開く

 スケジュール
 制度の見直しについては、七月末に社会保障審議会介護保険部会が意見書をとりまとめたところ。両論併記となっていた給付を若年の障害者へ拡大するか、その場合に被保険者の範囲を四〇歳以下までに広げるかどうかについては九月二十一日から同部会での議論を再開する。結論を受けて、遅くても十二月初旬には制度改革大綱を取りまとめるスケジュールだ。
 順調にいけば、改正法案の通常国会提出は来年二月上旬の予定だ。
 給付対象者や被保険者を拡大するかどうかの問題については、「障害者施策との『統合』という表現は不正確で誤解を招きやすい。すでに六五歳以上の障害者は、介護保険優先で公費による上乗せサービスを受けており、これを若年の要介護者に拡大するかが議論の焦点になる」(大島一博介護制度改革本部事務局次長)と強調し、支援費制度の救済策として議論されることをけん制した。
 そのほかの見直しに向けての具体案づくりでは、老人保健事業の見直し、介護予防、住宅サービス、ヘルパー・ケアマネジャーのスキルアップなどの検討会がすでに立ち上げられており、水面下で準備作業は着々と進められている。
 自治体での準備作業を円滑に進めるために今後毎月一回ペースで開催予定の都道府県担当者向けの全国会議では、逐次省内での検討結果を提供する方針だ。
 地域包括支援センター 各種専門職3人体制で
 地域完結型サービスの要として創設をめざす「地域包括支援センター」については、求められる機能を果たすために社会福祉士、保健師、スーパーバイザー的ケアマネジャーを必置とするなど具体的な内容を明らかにした。
 地域包括支援センターに求められるのは、「地域の総合的な相談窓口・権利擁護」「介護予防マネジメント」と、「包括的・継続的なケアマネジメント機能」で現行の基幹型支援センターをさらに強化したイメージ。老人福祉法、介護保険法のいずれかに「機能」として新たに位置づける。地域の高齢者の相談役であり、強化される予防事業の窓口となり、地域の居宅介護支援事業所のリーダーにもなる。このため、市町村の強い責任のもとで実施することを求めるが、さまざまな事業主体に委託可能とする。(以下略)

これからの介護職育成 白梅学園短期大学教授 明渡陽子さんに聞く

 介護職の医療行為の是非をめぐる問題については、昨年七月に在宅ALS患者のたんの吸引だけが一部条件付きで認められるようになったものの本格的な見直し議論は三年後に持ち越され、違法行為のまま介護職が医療的処置をしなければならない状況は相変わらずだ。白梅学園短期大学の明渡陽子教授は、介護福祉士に上乗せする専門資格として「医療介護士」の創設を提案するなど、医療行為のできる介護職の養成を主張している。看護と介護が共通の技術・知識を持ってお互いに補完し合える関係になることこそ、利用者にとって本当に安心して受けられるケアのあり方だという視点だ。
 ――なぜ医療行為のできる介護職が必要か。
 「加齢を背景に、複数の疾病を持つ高齢者のケアにおいては、医療と介護の明確な線引きは困難です。私自身、医師として高齢者診療に従事していた時、要介護高齢者のケアには医療だけでは立ち行かない現実を数多く見てきました。要介護高齢者のケアには、医療力を伴った介護力が必要であると痛感したのです。
 介護職が違法行為と知りながら医療行為をせざるを得ない実態の存在を、厚生労働省や医療・看護職側も十分承知しておりながら、看護職が増えれば解決する問題であるとして放置してきました。しかし、現在日本の看護職員数は一病床当たり○・四四人であり、アメリカの一・五七やイギリスの一・六五人と比べて圧倒的な不足状態。医療現場での配置基準を満たすには年間六万人の新たな看護職が必要ですがその数値すら確保されていないのです。 また、政府の策定した看護職の需給バランス均衡値は二○○五年に一三○万人としていますが、四人に一人が後期高齢者となる二○二五年を視野に入れた数値ではありません。そもそも高齢者をケアする人自体が足りないというべきでしょう。(以下略)

かかりつけ医に相談 ケアマネの4割「なし」

 医療経済研究機構がケアマネジャーとかかりつけ医の連携の実態について調査したところ、かかりつけ医に対して利用者に関する相談をしたことがないケアマネジャーが四割いるなど、ケアマネジャーからのアプローチの消極さが浮き彫りになった。医師側はケアマネジャーが訪問してくれば直接会う、あるいは電話で直接対応するなど、なんらかの形で対応する用意があると回答している。利用者の状態が変化した時などは、家族が連絡の仲介的役割を担っていることも分かった。
 調査は今年一月〜二月にかけて東京都内一○区に所在する九五八の居宅介護支援事業者と診療所・病院計四五七一カ所を対象に実施。一三四五事業所から回答を得た。在宅ケアの現場における医療と介護の連携の実態を把握するため、各分野のキーパーソンであるかかりつけ医とケアマネジャーに着目して行ったものだ。
 両者の連携の不十分さについては介護保険当初から指摘されてきたが、今回の調査でもそれを裏付ける結果となった。利用者に関する相談がどのように行われているかについては、「相談したことがない」とするケアマネジャーが三八・九%に達しており、医師側も四六・二%が「相談を受けたことがない」と回答。ケアプラン作成時に必要なサービス担当者会議についても、「出席を求めていない」が二七・七%、「意見を求めたことがない」も四○・四%に達していた。
 一方、医師側では「訪ねてくれば会う」(四一・五%)や「電話があれば直接対応する」(三八・二%)など、ケアマネからのアプローチがあれば何らかの形で対応する用意があると答えている。(以下略)

今、気になるTOPICS 目指せ!グッドデザイン賞

 円の中に斜めにデザインされた「G」マーク。経済産業省の「グッドデザイン商品選定制度」に基づいてあらゆる工業製品を対象に毎年審査が行われる。今年度のGマーク受賞商品が決定するのは十月一日。ノミネート商品が一般に公開される見本市、グッドデザイン・プレゼンテーション(GDP2004)が先月末に東京ビッグサイトで開催された。デザインの世界とは一見無縁のような福祉関連用具も、近年はじわじわと増えて健闘中だ。(吉田乃美)
 商品の価値をデザイン性で評価する制度というと比較的最近のものという感じがするが、これが意外にも古い。旧通商産業省が日本の産業発展と生活向上にはモノづくりにもデザイン性が重要、として「優れたデザインで生活と産業を結ぶ商品」を定義したグッドデザイン商品選定制度を創設したのが一九五七年。賞を設けてマークを付与するのは制度の普及振興策として始まったものだ。
 グッドデザイン賞を目指す企業やデザイナーなどからの応募が開始されるのが毎年四月。応募商品は「商品デザイン部門」「建築・環境デザイン部門」「コミュニケーションデザイン部門」「新領域デザイン部門」の四つのカテゴリーに分類され、各専門分野の一流デザイナーらによって個別審査が行われ、それをパスしたものだけが展示会にエントリーできるという流れだ。三日間の一般公開と、そこで行われる審査会の評価をもとに受賞作品が決まる。
 これまでにGマークを受賞した商品は約三万点ほど。過去の受賞商品を振り返ってみると、第一回一九五八年の「東芝の電気釜」に始まり「キングジムのファイル」(一九六四年)など、今でも販売されている商品も多い。九○年代に入るとミサワホームの「GENIUS蔵のある家(システムハウス)」なども家づくりをモノづくりに変えた新発想として大賞を受賞している。審査基準もその時代に合わせて少しずつ変えているが、美しさや使いやすさ、安全への配慮など「基本的要素」に加え、コンセプトやユニバーサルデザインの実践、環境への配慮、そして、そのデザインの「未来性」が重視されるのが基本。
 さて、今年度のノミネート商品は、昨年を一割程度上回る二六○○件。
 会場はテーマ別に二○のエリアに分けられており、そのうちの一つが高齢者や障害者関連の福祉用具で固められていた。車いすや介護ベッド、補聴器といったお馴染みの福祉用具に加え、杖や腰痛ベルト、健康シューズなど一般の生活用品とのボーダー領域にあるようなものが目立つのは、やはりユニバーサルデザインブームの流れだろう。介護や福祉を意識させないというコンセプトを前面に掲げている企業が多い。
 シニア世代に着やすい衣服のブランドを立ち上げユニバーサルファッションを提唱するワールドワーク社の「Gボタン」は、指先の力が弱い高齢者や半身まひの人でも簡単に着脱できるように開発したボタン。マグネットのように磁力で留めたり外したりするのだが、例えば前開きのシャツなら一カ所を合わせるだけで全てのボタンが留まる。好きな服に付け替えられる柔軟性も魅力だ。(以下略)



シルバー新報 2004年9月10日号の主な記事 見出しと要旨


ケアマネ、有料ホームの件数増加 都国保連が介護苦情相談白書

 東京都国民健康保険団体連合会はこのほど、二〇〇三年度の「東京都における介護サービスの苦情相談白書」をまとめた。苦情件数が増えているのはケアマネジャーや有料老人ホームなどだが、発生率では依然として老健、ショートステイが高い。介護事故での苦情は転倒骨折が最も多く、事故の際の事業者の対応の悪さが発端となって家族や本人が補償を求めて裁判に至るケースも増えている。同会は今年度から「苦情対応、リスクマネジメント研修」を実施し、事故の予防策や事故発生の際の適切な対応の指導を始めている。
 区市町村、国保連、東京都に寄せられた苦情件数は、二〇〇〇年度の一万三九一件から、〇三年度は六六一二件に減少。前年度からほぼ横ばいで推移。
 苦情の内容別に見ると、「サービス提供・保険給付」に関するものが二九三九件(四四・四%)を占めている。当初多かった「要介護認定」「ケアプラン」などは減少しているが、「保険料」は再び増加している。
 サービス別で件数が最も多いのは、訪問介護八六三件、居宅介護支援七五一件で、この二サービスをあわせると全体の五割を超える。全体の苦情件数が減少傾向にある中で居宅介護支援は「昨年より一〇〇件増えるなど件数の伸びも大きく、苦情の中身も変わってきている」(都国保連介護保険部)という。今年度は、「事業者から一方的に契約解除をされた」との苦情が増えている。
 特定施設は件数自体は八七件(三%)と少ないが、有料老人ホームなどが三年間で事業者数、利用件数が二・五倍に増えたことから、伸びは約三倍。
 利用件数に対する苦情件数の割合(苦情発生率)は老健トップに短期入所生活介護、グループホームの順で入所系が中心だ。中・短期で入退所する老健や短期入所生活介護では、「老健で体調が悪くなって死亡した」「ショートを利用中に褥瘡ができたが処置がなかった」という事故や体調悪化時の対応や、「三カ月で退所すると契約してほしいといわれた」「なかなか入所できない」という入退所に関する不満が目立つ。(以下略)

ヘルパーの感染症知識 8割弱が「不十分」

 訪問介護事業所の安全衛生の取り組みとして、感染症予防では八割以上、腰痛予防では四割以上が取り組んでいるにも関わらず、訪問介護員の八割弱が「感染症について十分な知識があるとは思えない」と回答していることが、労働災害の防止を目的とした各種団体を会員とする中央労働災害防止協会(=中災防、調査研究部03・3452・6179)の調査報告から分かった。
 二〇〇二年度から二年にわたって行ったもの。アンケート調査は二〇〇三年に全国二〇〇〇カ所の事業所、八〇〇〇人の訪問介護員を対象に実施、関東地区の一一事業所にヒアリングを行った。
 労働安全衛生法では、従業員五〇人以上の事業所では、「安全衛生委員会」「産業医」「衛生管理者」を設置・選任すること、一〇人以上五〇人未満では「衛生推進者」を置くことが義務付けられている。
 調査で調べた従業員五〇人以上の訪問介護事業所で「安全衛生委員会」を設置しているのは二割未満、「産業医」は四割未満、「衛生管理者」は五割未満となっており、いずれも選任していない割合は三六%だった。一〇人以上五〇人未満の事業所でも「衛生推進者」「衛生管理者」のいずれかを選任しているのは二割にとどまっている。このように安全衛生の取り組みが不十分なのは、設立後間もないため業務に追われて体制整備に手が回らなかったり、経営基盤が脆弱などの訪問介護事業所独自の状況があるとしている。
 事業所が訪問介護員の安全衛生上で重点を置いているのは、「訪問介護中の感染症の防止」が六割弱と最も高く、実際に感染症予防対策を実施している事業所は約九割にのぼった。具体的には「被服や機器の貸与」六五%、「情報提供や教育」六四%、「感染症予防マニュアルの作成」四四%だった。(以下略)

これからの介護職育成 基本は″職業教育″

 介護保険制度の見直しを始めとするこれからの高齢者介護システムの構築において前提となっているのは二○一五年モデル、つまり団塊の世代の高齢化だ。介護職の研修体系もそれに照準をあてて検討が進められている。しかし、「問題なのは高齢者人口の増加ではなくその後に本格化する人口減社会」だというのは、上智大学の栃本一三郎教授だ。これからのわが国は労働者人口が減り続け、産業界全体が労働力を求めるようになる。もはや福祉の業界の中だけで通用する教育体系は意味がなく、円滑な人材の流動化を前提とした継続的な職業教育システムを構築する必要があると話す。
 ――制度改革に先駆けて介護職の研修システムの見直しが始まった。その研究委員会のメンバーでもあるが、何が課題か。
 「今回、介護保険制度改革議論の中で初めてサービスの質向上を目的に人材育成に着目した点は評価している。しかし、私自身の問題認識は厚労省とは違うものだ。
 今回の改革では全般において昨年六月に報告書がまとめられた『二○一五年の高齢者介護』をもとに議論が進められているが、あの中で触れられているのはあくまで団塊の世代が高齢期を迎えて大量に高齢者が発生するということだけだ。介護を受ける側とともに介護する側のライフスタイルや介護に対する価値観の変化に合わせた介護システムが必要であり、着目すべきは人口減社会のほうにある。
 二○一五年以降の高齢者人口そのものはある時期から三○○○数百万人でほぼ固定化する。一方、日本全体の人口は減り続ける。となると、各産業界が必死で労働者を求める時代になるわけだ。
 私は今年七月から国立政策研究大学院大学の客員教授として、人口減社会の社会政策をテーマに七年間の研究プロジェクトを担当している。そこでは全市町村の人口推計が、学齢期から高齢期まで細かい年齢区分ではじき出されており、各市町村で就労人口や男女の比率に違いがあることが分かっている。(以下略)

グループホームは医療の空白地帯 在宅より乏しい医療行為

 在宅ケアを支える診療所・市民ネットワーク(代表=黒岩卓夫浦佐萌気園診療所院長)はこのほど、痴呆高齢者に対する医療支援の実態について、全国のかかりつけ医とグループホームを対象に行った調査研究結果をまとめた。グループホームに往診や診療訪問の経験を持つ医師は半数以下にとどまっており、医師が実際に提供している医療行為も在宅と比較してグループホームの方が種類や量がはるかに限定されたものとなっていることが分かった。
 報告書では、グループホームを含む在宅痴呆高齢者の生活の継続を支える条件として、まずかかりつけ医が痴呆に対する理解を深めて地域ケアの連携の核となることが必要であるとし、訪問看護の導入など二四時間体制の医療提供体制を整えどこに住んでいても必要な医療が受けられるようにすべきと提起している。
 同ネットワークは、在宅ケアに熱心な医師を中心に構成する全国組織。今回の調査研究は、痴呆高齢者の在宅生活の継続を支えるために必要な医療サポート体制の諸条件を明らかにすることを目的に厚生労働省の補助事業として行った。介護保険制度の見直しでは痴呆ケアに標準を置いた日常生活圏域でのケアシステムの構築が目指されており、痴呆高齢者に対する医療ケア体制の確立が課題となっている。見直し議論に反映させる基礎データを提供する意味合いもある。
 調査は全国の在宅医療を行う医療機関のかかりつけ医一一六三名と痴呆性高齢者グループホーム(デイサービスに宿泊や滞在の機能を持つ宅老所含む)四一七六施設を対象に、二○○四年一月、アンケート形式で行った。
 回答した医師四○○名のうち、痴呆高齢者の診療経験がある三八○件を見ると、身体疾患の合併により入院が必要になった例は九五%を占める三六一件に上った。(以下略)

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