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シルバー新報 2003年12月19日号の主な記事 見出しと要旨


ケアマネ試験 合格者は3万4634人 昨年度より5129人増加

 今年十月二十六日に行われた第六回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の合格者数は三万四六三四人で、昨年度より五一二九人増加したことが本紙の調査で分かった。受験者数は一一万二九六一人と昨年より一万六○○○人強増加している。合格率は三○・七%で、過去最低だった前回試験と同水準だった。
 受験者は一九九八年の第一回試験の二〇万七〇八〇人をピークに減少を続けていたが、昨年度の第五回試験で再び、前回試験を上回った。今回は昨年より一万六七五四人増え、二桁台の一一万二九六一人に。再び増加基調に乗ったともいえるが、背景には今年度からケアマネジャーの配置が介護保険施設で義務付けられ、来年度からは痴呆性グループホームや有料老人ホームなどの特定施設でも義務付けられることがあると見られている。
 合格者数は三万四六三四人。
 受験者数は大幅に増加したものの、合格率は低迷した前回試験と同水準で、三〇・七%だった。都道府県別に見ると、合格率上昇組と下降組がほぼ半々で、難易度もおおむね前回試験並みだったといえそうだ。四国・九州では熊本、沖縄以外のすべての県で合格率がアップしている。
 合格率が高かったのは、京都府(三七・五%)、東京都(三四・九%)、山口県(三四・八%)など。
 京都府は昨年に引き続きトップだ。逆に低かったのは沖縄県(一九・六%)、佐賀県(二一・五%)、岩手県(二一・八%)。(以下略)

障害者支援費 基準単価で見直し案 厚労省

 来年度の予算編成が大詰めを迎えているが、厚生労働省が障害者福祉の支援費の切り下げを打ち出したため、障害者福祉が揺れている。グループホームで一律に二割の引き下げ、訪問介護では夜勤加算の縮小などの案を示したが当事者らの反発をうけ十七日までに白紙撤回した。切り下げは、増え続ける利用者に対応する苦肉の策。財源について抜本的な解決策がない限り混迷は長引きそうだ。
 支援費ホームヘルプについては、施行時の四月から利用者が増加し、今年度予算額二七八億円を五○億円オーバーする見込みとなった。グループホームなど他のサービス分も合わせると不足額は約一○○億円に達する見通しで、急きょ省内の予算をかき集めて対応、「全額確保の道筋をつけた」(坂口厚労相)としたが、来年度予算分は当初から圧縮せざるを得ない状況だ。
 同省が十二日までにまとめたグループホームと訪問介護の基準単価の見直し案を自治体、当事者らに提案していた。
 グループホームについては、一律二割カット。
 ホームヘルプについて@早朝・夜間の二五%加算の適用の縮小、A身体介護・家事援助の単価を介護報酬に合わせる、B全身性障害者の移動介護を日常生活支援に一本化、C移動介護の「身体介護あり・なし」の区分を廃止し、介護報酬の生活援助単価に統一、D地域区分加算の廃止または縮小――とした。
 介護報酬と同体系とすることで家事援助の単価は上がるが、身体介護の九○分以上の単価が三○分につき二一九○円から八三○円に、移動介護(身体介護あり)が約半額になるのが大きな変更点だ。(以下略)

大腿骨頚部骨折 冬場で80歳代が半数

 寝たきりの原因の一つである大腿骨頚部骨折は、冬場に多く、八〇代が半数を占める。「転倒」が原因で起こるケースが多いものの、寝たきりの高齢者などのおむつを替えたり拭いたりするときに骨折する「おむつ骨折」もあることが厚生労働省の長寿科学総合研究の結果から分かった。今後はさらに後期高齢者が増加することから、超高齢患者への取り組みが重要としている。
 調査は、萩野浩鳥取大学助教授を主任研究者とする研究班が、九八年から〇一年にかけて、全国の整形外科病院から三五歳以上一五万五二一六例のデータを集め分析を行った。大規模な実態調査はわが国初だ。
 骨折した原因については、「立った高さからの転倒」が七〇%を占め、「転落」が九%、「階段・段差の踏み外し」が七%となっているが、介護時におむつを替えたりするときに起きる「おむつ骨折」も全症例中〇・二五%の二七二例起こっていた。さらに九〇歳以上になると〇・三五%の割合で起こっており高齢化につれ頻度が増加することがうかがえる。特に後期高齢者では骨祖しょう症が進行することで、内側よりも外側の骨折が増える。
 年齢別には八〇歳台の骨折が四六%を占め、十〜一月の冬場に多発している。特に一月は最も多く九・七%を占めていた。
 男性よりも女性が、屋外よりも屋内での骨折が多い。特養や老健などの施設入所中などに骨折した人が全体の六割を占めているのに比べ、一人暮らしのお年寄りなどでは一五%にとどまっていた。
 治療方法は、九割以上が外科的手術。人口骨置換手術が七割を占める。入院期間は平均五六日で年々減少傾向にある。骨折前は五六%の人が介助なしで外出できる比較的元気な人で、寝たきりは一七・五%。これが、一年経過後では、自立は一七ポイント下がり、逆に車いすで移動が六ポイント増加するなどADLの低下が認められた。死亡者は八〇歳台から増える。(以下略)

NPOの会計・税務支援 専門家ネットワークがシンポ

 NPOの活動を会計・税務の側面で支援する公認会計士や税理士の地域ネットワークづくりを目的に設立した「NPO会計税務専門家ネットワーク」が五日、東京都内でシンポジウムを開催した(写真)。現在NPOには法律によって会計報告が義務付けられているが基準はなく、税務署によって課税対象となる収益事業の判断もまちまちであるなど会計・税務を巡る課題は山積している。同ネットワークでは今後公益法人制度改革の議論が本格化していく中、多様な事業内容で地域に貢献できるNPOが社会に根づいていくためには専門家による理解と協力が欠かせないと、設立の意義をアピールした。
 同ネットワークは、公認会計士・税理士で以前からNPOの相談活動などに取り組んできた赤塚和俊氏が呼びかけ人となり設立した。現在NPO法人格を申請中だ。会計・税務の専門家を対象に全国各地でNPOを支援するネットワークづくりに取り組む。
 赤塚氏はこれまでの活動を通じて、「課税対象となる収益事業の判断が税務署によって異なる」「都道府県に提出する事業報告や決算書をチェックしてくれる専門家が欲しい」などNPOが会計・税務の面で四苦八苦している状況にあることを実感したという。
 NPOの会計義務は、九八年に施行されたNPO法(特定非営利活動促進法)二七条で明記されているが、特に決まった会計基準は設けられていない。一方、税制面では法人税課税対象となる三三業種が政令で定められているが、その解釈や運用は所轄税務署の判断に委ねられており、いわばグレーゾーンだ。(以下略)

福祉用具の安全評価 認証機関を来春設立

 新JISマーク表示の第三者認証機関を目指し、「日本福祉用具評価センター(仮称)」が来春にも設立される。関連団体、企業など十数団体が参加することが決まっているほか、二十七日に開かれる説明会ではさらに広く出資を呼びかける予定だ。福祉用具業界では長年、仕様の標準化が遅れ、安全の課題があると指摘されてきたが、新制度を活用して製品の試験・評価を行い、国際的に通用する安全性が高い製品を供給する環境を整える。
 高齢者、障害者が使用する福祉用具は、個々の障害に合わせる特殊な商品が多く少量多品種にならざるを得ず、「標準化」や安全に対する業界の取り組みは遅れている。これまでは、車いすなど一部にはJIS規格はあったが、JISマークを表示できる指定商品はない。介護保険制度で福祉用具レンタルが普及したことで、昨年は国民生活センターが商品テストの対象に車いすを選定し、課題を指摘するなど安全に関する社会的な関心も高まっていた。
 経済産業省が二〇〇五年までに導入するとしている新JISマーク制度では、これまでは政府が認証していたのを、民間の第三者認証機関による認証に抜本的に組み替える。公益法人改革の一環だ。これまで国が一律に定めていた認証方法も、国の大まかなガイドラインに沿って各認証機関が独自に定めることができるようになる。(以下略)



シルバー新報 2003年12月12日号の主な記事 見出しと要旨


囲い込みや押し売り傾向 不適正サービス 一目で

 今年度からスタートした介護給付費適正化事業の目玉として国民健康保険中央会が開発していた適正化システムの概要が明らかになった。国保連が審査支払いに用いているデータを分析し、保険者に情報提供するもので来年二月から運用を開始する。一人ひとりの利用者の要介護度の変化やケアマネジャーが特定の事業所ばかりに片寄ってサービスを入れるなど「囲い込み」をしていないか、サービスの「押し売り」傾向にないかなどサービスの提供状況がチェックできる。また、市町村は、専用回線を通じて瞬時にデータを入手でき、適正化事業に生かせる。九日、厚生労働省などは全国の担当者を集めて適正化をテーマに研修会を実施したが、効果的な事業実施に向け「先進」とされる保険者さえ手探り状態にある状況だ。こうしたシステムの存在自体はけん制になるが、実際に効果を発揮するかどうかは保険者次第といえる。(関連記事3面)
 効果の有効性は保険者の対応に
 介護保険からの給付は初年度三・二兆円が、毎年一〇%を超える高率で伸び続け、制度開始から三年半を経て一・五倍に急増しており、来年度予算で四・八兆円が見込まれている。
 要介護認定者は当初の二一八二万人が昨年八月末で三六四六万人に。施設入所が頭打ちなのに対し、在宅、特に要支援、要介護1の軽度者の伸びが顕著なのが最近の傾向だ。このままでは、さらに保険料が高騰しかねないことから、厚生労働省は今年度七〇億円の予算を確保し、本来の目的に添った利用がされているか、不正な請求がないか、サービス提供と給付の両面から都道府県や保険者に適正化への取り組みを求めていた。
 請求データを活用した不正チェックのシステム開発はこの事業の目玉。昨年度補正予算で一五億円を確保し、国保中央会で開発が進められてきた。
 開発にあたっては、膨大な請求データの中から不適正が疑われるデータをどう抽出するかがカギとなる。保険者からの意見を吸い上げて反映した。サービス利用が要介護度にどう影響しているか、ケアマネによる囲い込みや、訪問介護、福祉用具レンタル事業所による不必要な掘り起こしや、医療との重複請求がないかなどシステムに反映された抽出項目は今後の重点チェックポイントといえる。(以下略)

介護保険事業の適正な運営で研修会 厚労省

 厚生労働省が九日に開催した「介護保険事業の適正な運営」研修会(写真)では、すでに取り組みを進めている三保険者が報告した。地域の事情は違うが、ケアプランの一枚一枚に保険者として目を向ける姿勢と、現段階では「決め手」がない中で手探り状態であることは共通だ。冒頭、藤木則夫介護保険課長は「サービス適正化事業では公的保険として保険者がサービス提供にまで責任を持つ姿勢が重要」と指摘。市町村合併で、保険料が安易に流れないこと、人材や書類などノウハウが流出しないよう配慮することを求めた。
 運営を軌道に乗せるには保険者として粘り強い取り組みが求められるが、多くの町村が合併の問題を抱える中でどこまでエネルギーを割けるかが一番の課題といえる。(1面参照)
 通所サービスの定員増保険料アップに直結 岡山県寄島町
 「サービスの定員が増えた分だけ、給付が増える」
 悩ましい実態を訴えたのは同町の長安つた子保健福祉課長。同市は、人口六七五〇人、高齢化率二八・八%。今期の保険料四五四〇円は県内で一番だ。瀬戸内海沿岸の広島県寄りにある小さな町だが、市内には在宅ケアに熱心に取り組む医療機関がある。この三年で老健が三〇床増床され、通所リハ・介護の定員が五〇人増。それがダイレクトに給付の伸びに反映されている。施設だけではなく、通所を中心とする在宅サービスの給付が保険料を引き上げた。
 同町では、すでに現状把握のために、家族や本人、施設入所者、介護サービスの未利用者などへの聞き取り調査を実施。適切なケアプランがたてられるよう、保健師を中心にした相談体制を整備したり、保険者として全ケアプランの提出を求めチェックしているが、問題のある事業所ほどケアマネジャーの交代が激しく指導が徹底しないのが悩みだ。
 利用者向けには、介護保険関連の書類が散逸しないようファイルシステムを配布予定。すでに介護給付通知の送付を始めているが、三カ月前のことは覚えていない人が多く、不正の発見やコスト意識の醸成には結びついていない。国保連の適正化システムが完成するのを受け、今後は不正請求のチェックも強化するほか、介護保険の適切な利用についてあらゆる機会に住民に啓発していくという。
 「現在でもサービスが足りず、重くなりたいと考えている人がいる。こういう住民にどう分かっていただくか。また、虚弱な人は掘り起こせばせばきりがない。なぜ、生きがいデイや通所に通うのか理由を分析して代わるサービスを考えたい」
 定員の分だけ給付が伸びる現状に歯止めをかける決定打はまだないようだ。(以下略)

在宅要介護高齢者9割に障害・疾病 永田札幌国際短大教授らが調査

 北海道札幌市内でホームヘルプサービスを利用しながら在宅生活を送っている要介護高齢者のうち九割は何らかの障害や疾病などを抱えており、ヘルパーの訪問しない日には「食料品・日用品を買う」「掃除」「ゴミ出し」「洗濯」など日常生活行為の多くが不可能になると答えていることが、札幌国際短期大学永田志津子教授らの調査研究で明らかになった。また、ヘルパーの援助があればやりたいことは「庭や花木の手入れ」「楽しみのための外出・散歩」など趣味的な分野に多く、身体機能が低下してできないことが多くなるほど多様な支援をヘルパーに求めている実態も浮き彫りになっている。
 在宅での自立した日常生活のためには、身体状況により困難となった行為を肩代わりする援助だけでなく、地域の一員として社会的な存在を支える援助などが必要であり、現行制度での固定化したヘルパーの生活援助内容の見直しを始め地域の支援体制の確立が必要だとしている。
 調査は昨年九月〜十月にかけ、介護保険ホームヘルプサービスを利用しながら在宅で暮らす六五歳以上の高齢者を対象に実施、二二五名から回答を得た(回収率七五%)。現行のホームヘルプサービスが利用者の生活要求と適合しているかについて利用者自身の視点から検証することが目的だ。
 対象者のうち、介護者がいない一人暮らしは七二・八%、何らかの障害や慢性疾患をもっている人が全体の九割に達している。要介護度では要介護1と2で全体の七割以上を占めるが、在宅での日常生活の困難さは疾病や障害による身体機能の低下が大きく影響することから、調査では生活動作に関わりの深い「両足立位」、「歩行」、「手指の動作」について支障の度合いを「なし」から「一部に支障あり(支障1)」「すべてに支障あり(支障2)」「すべてできない(支障3)」の四グループに分類。
 この支障度を用いて家事と身体介護に関する日常的生活行為を二四項目設定しヘルパーへの依頼状況を聞いたところ、最も重い支障3は、支障なしよりも調理、食器洗い、生ゴミの始末、入浴、着替え、趣味的外出など生活全般にわたる幅広い項目で二割以上増加していた。
 また、こうしたさまざまな生活行為に対して、ヘルパーが訪問しない日の対応方法を聞くと、支障度が高まるにつれ「自分でする」とした項目が全般的に減少し、「できないのでしない」と答えた割合も支障3では「掃除」「食料品・日用品の購入」「回収日のゴミ出し」などで半数を超えることが分かった。(以下略)

「小規模多機能」制度化に関心 全国宅老所・GH研究交流フォーラム開く

 第七回目となる全国宅老所・グループホーム研究交流フォーラムが六日から二日間、長野市で開催された。現在進められている介護保険の見直しでは、宅老所の機能を「小規模多機能サービス拠点」として制度化する方向で模索されている。現場の関心は新たな基準づくりに集まっているが、小規模多機能は個々の利用者との馴染みの関係をもとに連続性のあるサービスを提供することに最大の意義があるとして、宅老所の原点である通所サービスの重要性が改めて強調されたかたちとなった。基準はむしろ、ハードよりも利用者の立場に立ったサービスを組み立てる、そのプロセスにある。事業者自身にとっても発想の転換が求められることになりそうだ。
 開催地となった長野県には現在一三○カ所の宅老所があり、全国でも急速に宅老所の整備が進んだ地域といわれている。もともとは介護保険スタートと同時期に、施設介護に限界を感じた人たちが県内三カ所で立ち上げたのが始まりだが、すぐに現場同士のネットワークづくりに着手、県に対して宅老所への理解と支援を求める活動を続ける中、田中康夫知事がその理念に共鳴し県の単独事業として推進していくことを表明した。二○○一年秋には、県の呼びかけで市町村職員を対象にした大規模な現場見学も実施され、昨年度から開設支援として民家改修費の三分の二、五○○○万円を限度に補助する独自の「小規模ケア施設(宅幼老所)支援事業」がスタートしている。
 「大規模な施設にいくら畳を敷いても古びたタンスを置いても、そこにはお年寄りにとっての″原風景″はない。厳しい財政の中で豊かに暮らしていくための智恵を出していくためには、そこに暮らす住民と自治体の力が欠かせない」
 田中知事は講演の中で、公共事業も福祉も地元にある資源を最大限生かしてくべきと話した。高齢者も子どもも、地域に暮らす住民も、必要があれば誰でもいつでも利用できる地域ケアの拠点として、小学校区に一つずつ整備していく考えだという。地域の需要に応じた小規模ケアを市町村が主体的に整備できるよう、補助は事業者でなく市町村に対して行うのが特徴だ。
 「予算が始めから確保されているため、宅老所をやりたいと思った時から短期間で開設できるのがメリット」(宅老所おらほ代表・笹谷祐輔さん)
 「市町村には事業者と継続したパートナーシップを持ってもらうことを重視している」(長野県社会部高齢福祉課介護支援係長・花岡和友さん)。早い段階から市町村と事業者の連携体制を重視してきたことが普及の原動力になった。(以下略)

マシントレが好評 ケアパートナー 男性のデイ利用増加

 大東建託の全額出資子会社のケアパートナー(東京都港区、03・6718・9077)が昨年から同社のデイサービスで、日本医科大学とタイアップしてパワーリハビリテーションをもとに楽しくトレーニングできるよう簡素化した「Qアップ・トレーニング」が好評だ。現在は全国八施設で展開しているが、同社では潜在している男性利用者の掘り起こしツールとして今後展開するすべての施設に導入する予定だ。全国五〇カ所に拡大する。
 同社は昨年から日本医科大学と提携して、パワーリハビリテーションを取り入れたマシントレーニングのサービスを提供。日常生活動作(ADL)と生活の質(QOL)改善を狙うことから「Qアップトレーニング」と名づけた。パワリハとの違いは運動メニューの違いと理学療法士や作業療法士ではなく、同大のパワーリハビリテーション研究会の講習会を受けた健康運動指導士などが指導すること。付加サービスとして料金は無料、このため社内で有資格者を養成しコストダウンを図っている。
 このトレーニングを取り入れたことで、七対三で少数派だった男性の利用者が徐々に増加し、特に都市部では半数以上が男性という傾向もでてきた。また、四〇、五〇歳代の二号保険者で障害を持つ人の利用もみられるようになった。「トレーニングを取り入れた新施設ほどこの傾向が強い。おしゃべりやゲームなど従来のメニューにあきたらない、新たな利用ニーズを掘り起こしたと思う」(川原光隆社長)。
 同社は大東建託の高齢者向けマンションの隣接地に全国に八施設デイサービスセンターを展開してきた。今後、全国で五〇施設に拡大する計画で、さらにデータを集めて分析、同社のデイサービスの特徴としてアピールする。(以下略)



シルバー新報 2002年12月5日号の主な記事 見出しと要旨


最期を送る療養場所 国民は“病院派”が圧倒的

 高齢で治る見込みのない疾病になった時、最期を送る療養場所として「自宅」を選んだ国民は約二割しかいなく、六割は一般病院あるいは介護保険施設などでの生活を希望している。一方、医師・看護師や介護職員ではいずれも四〜五割が「自宅派」――。このほど、厚生労働省の検討委員会による調査で明らかになった結果だ。終末期医療についての意識調査は五年に一度行われているが、希望する最期の場所について尋ねたのは今回が初めて。住み慣れた自宅で死を迎えることが一つの理想的な姿として表現されてきたが、″国民の総意″とはほど遠い結果となった。自宅療養を困難とする理由は、「家族介護の負担」が最も多く、八割に上っている。
 医療職の半数自宅派
 調査は、厚労省に設置された「終末期医療に関する調査等検討会」(座長=町野朔上智大学教授)が今年二月〜三月にかけて実施。時代の流れ、社会の意識に沿ったターミナルケアのあり方や、それを実現するための方策などについて検討するのが目的で、調査はその基礎資料となるもの。
 九二年から五年に一度の割合で行っているが、三回目となる今回は一般国民と医師・看護師に加え介護施設の介護職員も対象としたこと、設問に「高齢者の終末期療養の場所」や「延命治療に関する意思確認(リビング・ウィル)」を追加したことが特徴だ。二○歳以上の国民五○○○人と医師二○○○人、看護・介護職員各三○○○人を対象とし、約半数から得た回答を集計した。
 自分自身が高齢で不治の疾病にかかった際、望ましい療養場所として回答したのは、国民では「一般病院」が三八%でトップ。次いで「介護療養型施設など長期医療型病院」が二四・八%。「自宅」は二二・七%だった。一方、医療・介護職では「自宅」が医師四九%、看護職四一%、介護職三八%となっており、一般病院の希望はいずれも二%台とわずか。「住み慣れた場所で最期を迎えたい」、「好きなように過ごしたい」、「家族との時間を多くしたい」など、自宅を選ぶ理由も専門職の回答が一般国民を上回る結果となった。(以下略)

都が第2次都庁改革行動計画 都立福祉施設の民間移譲を推進

 東京都は十一月二十七日、二〇〇六年度までの都庁改革の行動計画である「第二次都庁改革アクションプラン」を発表した。民間参入を促すためPFI方式による病院建設などを進めるほか、都立福祉施設の民間移譲なども行う。行政組織の簡素化・効率化のため、都の監理団体も現在の四七団体から四一団体に統廃合する方針を打ち出し、福祉局と健康局を統合するなどの大幅な組織改編も盛り込んでいる。合わせて二八九の施策が示された。
 第二次都庁改革アクションプランは、都が二〇〇〇年に策定した都庁改革アクションプランの成果と課題を踏まえ、さらなる改革を推し進める方針を打ち出したもの。財政再建や民間の発想、経営感覚の活用という考え方をベースに具体的な施策を盛り込んでいる。
 行政サービスの見直しの一環として、事業の民間移譲や民営方式の導入を一層進める。多摩老人医療センターや大久保病院などは東京都保健医療公社に運営を移管。東京都社会福祉事業団に管理運営を委託している小平・町田・日の出福祉園は民間移譲を進める。さらに、公の施設の管理運営に、民間事業者の参入を可能とする指定管理者制度を導入する。
 さらに、都営住宅や道路の区市町村への移管や権限移譲も進める。
 業務改革では、給与事務などは集約化・IT化・委託化による事務処理のセンター化を進める。(以下略)

介護施設の経営者育成 ケア・リンク

 「はぴね」の名称で痴呆性グループホームや有料老人ホームなどを全国七カ所で展開するケア・リンク(075・212・1131)は、介護保険施設の経営者を育成するための総合養成講座を来年一月二十三日から開設する。特養ホーム、老健施設、痴呆性グループホーム、特定施設など施設系サービスで現在ホーム長や管理者を務める人材を対象に、業績・品質管理、人材育成など″総合的な経営者としてのスキル″を身に付けてもらうことがねらいだ。
 介護保険が始まって以降、痴呆性グループホームの急増を始め手ごろな価格で入居できる有料老人ホームなども全国的に増え続けているが、その一方で質の確保は最大の課題となっている。
「国の痴呆介護やユニットケア研修は個別ケアの質向上に重点を置いたもの。民間レベルには経営者向け講座もあるが、マネジメントや人事管理などに特化したものが多い。事業運営の要である経営者を総合的に育成する内容の研修はなかった」(同社東京オフィス・町野重光氏)。
 同社は、経営コンサルティング会社である日本エル・シー・エーの子会社としてグループホームなど介護保険事業に参入。個人の経験や勘に頼らず質の向上を目指す施設運営を基本方針とし、医師の診断に基づき痴呆のタイプを分類、個人の症状に合わせた痴呆ケアを提供するなど独自の標準化システムが売りだ。今後、介護施設分野での補助金削減も進むと予測されることもあり、経営者としての資質・能力はますます重要になると判断。コンサルティング事業の実績と現場の人材教育のノウハウを基に養成講座に乗り出すことにしたという。(以下略)

都市部における在宅シフト促進の課題 中・長期的高齢者ケアのあり方長寿社会開発センターシンポ

 来年度末で終わるゴールドプラン21以降、団塊の世代が六五歳以上となるわが国の中・長期的な高齢者ケアのあり方について、厚生労働省が「高齢者介護研究会報告書」をまとめたのは今年六月。その内容を普及・啓発するためのプロパガンダセミナー「これからの高齢者介護を語る」(主催・長寿社会開発センター)の最終回が先月二十九日、東京都庁で開催された。在宅シフトを進める上では、住宅の確保や独居高齢者のためのコミュニティの構築など都市部ならではの課題をクリアしなければならない。住み替えの選択肢の拡大を始め、介護保険外で支えあう地域ケアシステムの必要性などが指摘された。
 パネルディスカッション(写真)では、野村勸日本大学理工学部教授をコーディネーターに弁護士の高村浩氏、園田眞理子明治大学助教授、特養ホームマザアズ東久留米の高原敏夫施設長、ベネッセコーポレーションの武田雅弘シニアカンパニー本部調査室次長、板橋区三園高齢者在宅サービスセンターの田邊薫主任、東京都福祉局の松田雄二高齢者部計画課長が参加。
 負担の不公平が施設志向を後押し
 今後国が進めようとするのは、在宅重視、痴呆高齢者を標準にケアの体系を組みかえることだ。報告書では、そのための二四時間・三六五日を支えるケアサービスのあり方や、新しい住まいの整備などの方向性が打ち出されている。
 しかし、地域によって事情は異なり、抱えている課題も違う。東京都などの場合も在宅重視に異論はないものの、都市部には在宅生活の基盤となる住まいの整備や地域で支えあう体制が整っていないことなど特有の課題がある。
 「高齢者が二四時間三六五日のケアを受けようとすれば、介護保険を使っても月額二八万円の負担になる。これが施設なら七〜八万円から可能」(田邊薫氏)。費用の不公平が、施設志向を後押ししていると現場の実感から訴えた。(以下略)

マイクロソフトのプログラム 高齢者支援で採用

マイクロソフト(東京都渋谷区、03・5454・8000)はこのほど、ITを活用した高齢者や障害者支援のプログラム「Unlimited Potencial(UP)」で、日本で初めて大分県などが実施することを発表した。自治体とNPOなどが協力して高齢者を対象としたコンピュータ初級コースやオンライン決済システムの構築、e・ラーニングでの講座などを行う予定だ。
 UPはITを活用する機会の少なかった高齢者や障害者のスキルの向上と同技術を使った生涯教育の推進に取り組むことで地域社会の活性化に寄与するのがねらい。世界三八の国や地域で行われている。
 日本の実施第一弾として、大分県と同県のハイパーネット研究所、NPOなどが協力して研修を中心としたプログラムを提供する。マイクロソフトが中古パソコンやソフト、東京のNPOイーエルダーが研修プログラムを提供。大分県のNPOシニアネット大分が講師となって展開する。
 年明けをめどに高齢者・障害者向けのパソコン初級講座を県内八カ所で約七四〇人を対象として実施する計画で、現在は講師を育成中だ。地元のNPOが講師になることで同プログラムが持続的に活用されることを狙う。ハイパーネット研究所が県民への窓口になる。(以下略)



シルバー新報 2003年11月28日号の主な記事 見出しと要旨


介護保険の利用者負担 2〜3割に引き上げを 財政審が建議

 財務省の諮問機関である財政制度等審議会は二十六日、「平成十六年度予算の編成等に関する建議」を正式決定し、谷垣禎一財務相に提出した。社会保障関係費が増大することが見込まれるため、この給付の伸びを抑制することを「最重要の課題」と位置付けている。介護保険制度では、利用者の自己負担率を二〜三割に引き上げることを求めている。
 建議では年金、医療、介護などの社会保障制度について、「一般歳出の約四割を占めるに至っており、その抑制を図ることは財政上の最大の問題」と強調。二〇〇四年度の予算編成にあたっては、「現行の制度、給付水準、単価などを前提とした社会保障関係の自然増を放置することは許されず、年金をはじめ医療・介護・その他の分野の制度改革や給付・コストの引き下げを行い、削減を図ることが必要」とした。
 介護保険制度については、二〇〇二年度時点で五兆円の給付費は、二〇二五年度には高齢化などにより二〇兆円に膨らみ、国民の所得に占める負担割合も三・五倍に増加すると見込んでいる。こうした状況を踏まえ、「利用者の自己負担率を二〜三割に引き上げ、コスト意識を喚起することが必要」と明記した。さらに、施設のホテルコスト・食費を給付対象から外す、負担軽減を行う対象者を資産も含めた低所得で低資産の者に限定する、保険者機能の強化とセットで給付と負担の保険者責任を徹底するよう求めている。
 年金制度については、団塊の世代の受給が始まる前に早期の抑制を行い、現在の年金受給者の給付を引き下げるほか、過去の物価スライド停止分一・七%の引き下げ実施、保険料納付額に見合った給付額の支給、支給開始年齢の繰り下げ・・などが必要とした。厚生労働省が年金改革案で前提としている国庫負担割合の二分の一への引き上げについては、「具体的な安定財源の確保なしに引き上げることは許されない」とした上で、現行制度でも高齢者増により公費負担は毎年約一兆円ずつ増加していると留意を促した。(以下略)

支援費制度にも導入を ケアマネジメント

 全国市長会と全国町村会は二十六日、厚生労働省の「障害者(児)の地域生活支援のあり方に関する検討会」(座長=江草安彦旭川荘理事長)に対し、現在の支援費制度についてケアマネジメントの制度化や支給決定に関する基準の明確化などが必要とする意見書を提出した。
 財源問題については、予想を上回る伸びで予算不足が見込まれることから、すでに全国知事会や東京都、障害当事者団体などが補正予算による財源確保を求める緊急要望書を相次いで提出している。
 全国市長会では、国庫補助金、サービス基盤整備、サービス利用の仕組みの三つについて意見を整理。支援費制度では市町村に支給量をコントロールする仕組みがないのに国庫補助が全国単純平均で制限されるとし、必要なサービスを提供するためには確実に二分の一補助を確保するよう国に求めるとともに、将来的には障害者福祉にかかる財源を地方に移譲するべきとした。
 また、ケアマネジメントは専門性を要する分野であること、その運営費用を確保する観点などからも障害者ケアマネジメントの制度化が必要とし、現在市町村の裁量となっている支給決定について国による「ガイドライン」の策定などを求めた。(以下略)

顔の見える法人後見を目指す 多摩南部成年後見センター 田山輝明理事長に聞く

 判断能力の不十分なお年寄りなどに代わって後見人が契約を代行する成年後見制度。介護保険制度と車の両輪といわれながら利用が十分に伸びないこの制度に、行政が一丸となっててこ入れを図るため、東京都調布市を始めとした五市が共同で「多摩南部成年後見センター」を発足、十月から事業を開始した。全国的にも珍しい試みだ。理事長に就任した田山輝明早稲田大学法学部教授は、身寄りのない人や費用負担が難しい人を利用主体とした法人後見のメリットを生かす一方で、被支援者との個人的関係を維持できるような「顔の見える法人後見」を目指すと語った。(聞き手=大元美樹)
・・なぜ個人ではなく、法人で後見人を引き受けるのか。
 「本来後見というのは、被後見人の老後の生活ぶりや何を考えているのかをよく分かっている生身の人間がやるのが理想だが、少子高齢化が進む中で、後見人の確保も難しくなっている。親族がおらず、資産のない人でも後見を受けられるようにというのがセンター設立のねらいだ。
 法人後見は、個人の後見と比べていくつかのメリットがある。たとえば、不慮の事故や病気などで後見人のほうが先に亡くなってしまうことがあるが、法人が後見人の場合はそのような心配がない。
 さらに後見には福祉や医療、法律、税制などの知識や経験が必要だが、なかなか一人でいくつもの分野に通じている人は少ない。何人もの顧問を雇うには莫大なお金がかかるが、法人には複数の専門家が関わっているため余分な費用を負担せずにすむ。
 五市共同運営によるスケールメリットも大きい。A市と後見の内容などを巡って行き違いがあっても、ほかの市が支えてくれる。公平性や中立性が保てる」。
・・運営の方針は
 「職員が××市に住んでいる○○さんの状況がしっかり分かっている『顔の見える後見』にこだわりたい。そのためにも繰り返しの研修が必要だ」
・・センターの将来像は。
 「今後制度が浸透し、被支援者が増えれば、五市で一カ所の拠点を二カ所以上に増やすこともあるだろう。と同時に、専門職の成年後見への取り組みが活発化するのに合わせて、センター機能は低所得者に重点を置いたものにシフトしていく。ただ拠点は分かれても、一つの市で受けきれない場合は他市で代わって受けるというような連携体制は維持していくつもりだ」(以下略)

ニチイ学館9月中間 過去最高の増収益

 ニチイ学館(東京都千代田区、03・3291・2121)が二十一日発表した二〇〇四年三月期の中間決算(連結)は、売上高九四〇億六八〇〇万円(前年同期比一三・八%増)、営業利益六六億四五〇〇万円(同一九・七%増)となり過去最高の増収増益となった。介護部門事業の同期売上高は全体の三七%を占め主力の医療関連事業に迫ることから「二本柱」が確立したとし今後はこの二事業に資金を集中して事業を展開する。
 訪問介護、通所介護、福祉用具レンタル・販売、住宅改修サービスなどのヘルスケア事業は、〇四年三月期の中間(連結)売上高三四七億七二〇〇万円(昨年同期比一八・二%増)。売り上げ規模で医療関連事業の四七八億五五〇〇万円に迫り売上高に対して三七%、営業利益でも三〇%を超え「主力事業の位置を確保した」(寺田明彦社長)としている。
 ただし、〇四年中間期予想に対しては二一億円の未達。中でも福祉用具レンタルは五八億円の予想に対し四九億二四〇〇万円と九億円届かなかった。このため、@福祉用具専属の営業部隊を本社に新設置、A全国を一三ブロックに分けそれぞれ営業担当責任者と研修トレーナーを配置、B福祉用具相談員を〇四年三月まで一四〇〇人に増員、アフターフォローを充実する、C物流・メンテナンス体制の充実で強化を図る。
 今年四月の介護報酬見直しの影響は九月までの間に約二%の売り上げ増をもたらした。このうち一・三五%をヘルパーやスタッフの時給アップとして還元したという。(以下略)

在宅配食事業協議会 個別対応が重要に

 全国在宅配食サービス事業協議会(東京都新宿区、03・3351・2886)は二十六日、都内で経営者研修会を開催した。配食サービスが食の自立支援と位置付けられる来年度以降の対応がテーマだ。
 制度変更の全面実施に先駆け、東京都葛飾区では、これまで二社に委託していたのを七社に拡大、病院食などのメニューや価格もバラエティーを持たせ、利用者が選ぶかたちに見直した。勘澤忠義会長は、「行政の委託方式から、利用者の選択する方式への切り替えは進む。事業者の良い悪いがはっきりでる時代だ」と話した。
 講演では聖隷三方原病院の金谷節子科長が、同病院の個別メニューを紹介。嚥下障害などによって刻み、ミキサー食でも味を楽しめるよう工夫したり、低栄養状態改善にはタンパク質や亜鉛など、高齢者に不足しがちな栄養素は栄養補助食品を活用している。配食事業者にも個人データを基にした個別対応を要望し、食事を届けるだけでなく、残した場合に医療機関などときめ細かな対応も求めた。



シルバー新報 2003年11月21日号の主な記事 見出しと要旨


高齢者リハは“個別”“地域”で 厚労省研究会が中間報告骨子案

 厚生労働省は十七日に開催された高齢者リハビリテーション研究会(座長=上田敏・日本障害者リハビリテーション協会顧問)に、中間報告書の骨子を提示した。高齢者のリハビリテーションは地域の中で提供されることを基本とし、個別性の重視を始め、専門職種間の連携体制の再構築、サービス機能の見直しを求めたのがポイントだ。介護者のレスパイトや閉じこもり防止など通所介護と重なる現行の通所リハについては、リハビリ機能に特化した見直しの必要性もあげられている。今後一、二回の議論を経て年内には中間報告書としてまとめる予定だ。
 議論にあたって前提となったのは、現在の介護保険が抱えている課題の一つに軽度の認定者が増えたことがあり、その一因として要介護状態の悪化防止や改善など本来のリハビリテーションサービスの効果が発揮されていないとする指摘があることだ。
 六月に取りまとめられた高齢者介護研究会の報告書でも現行のリハビリテーションについて「サービスメニューの見直し」「予防のための新たなプログラムの開発」「要介護度に応じた悪化防止・軽減のための施策の体系の構築」などが必要とされ、介護保険制度見直しに反映させるための具体的な方策について議論を続けていた。
 中間報告の骨子では、まず高齢者のリハビリテーションについて基本となる考え方を明記。@自立を支援し、可能な限り在宅で暮らし続けることができるよう、保健・医療・介護の領域において適時・適切に提供する、A利用者にとって個別的・個性的な目標設定と計画に基づくもの――とし、高齢者のリハは地域で行うことを前提に、そのための医療と介護の連携体制を″再構築″する考えが示された。
 専門職については、PT、OTなどいわゆるリハビリ専門職だけでなく、在宅サービスのコーディネートを担うケアマネジャーやかかりつけ医の役割も重視。共通のガイドライン作成の必要性なども盛り込まれた。
 維持期のリハを担っている介護保険のリハについては、施設・在宅の両面から機能の見直しが求められている。(以下略)

障害者支援費ホームヘルプ補助金 50億円財源不足も

 障害者支援費制度のホームヘルプについて厚生労働省は十四日、今年度事業費が予算額を上回り、財源不足に陥る可能性が高いことを明らかにした。今年五月分の利用実績は事業費ベースで五九・九億円となっており、四月分と比べて六・六億円の増加。六月以降も同様のペースで利用が増え続けた場合、予算額を約五○億円ほどオーバーする見込みとなった。
 四月以降のサービス利用状況について月ごとの実績を全国調査で分析したところ、四月分で五三・三億円だった総事業費は五月に五九・九億円となっており、六・六億円増加した。四月分の総費用額を昨年同月と比較すると伸び率は三四・六%。
 不足分の財源確保については、「他の予算項目との調整も含めて確保できるよう努力したい」としており、坂口厚労相も同日の記者会見で同様の意向を示した。
 最終的に事業費の二分の一補助を下回る可能性も出てきたことに対し、全国知事会、日本身体障害者団体連合会など当事者団体七団体は十四日までに、補正予算の計上など国の責任において財源確保を求める緊急要望書を相次いで提出した。(以下略)

成年後見制普及 NPO活用し支援を

 東京自治研究センター(町田俊彦理事長)はこのほど、成年後見制度の利用促進・普及のため、NPO法人や中間法人を活用した組織を創設し、制度利用に関する支援やサービス提供を行っていく新たな仕組みづくりについて提言した研究報告書をまとめた。制度の申立件数は年々徐々に増えているものの、社会システムの一環として誰でも利用できる制度として定着させていくためには、地域密着できめ細かなニーズに対応できる新たな事業スキームが必要との考え方だ。
 最高裁判所事務総局家庭局がまとめた申立件数の推移によると、今年三月までの一年間で全体の申立件数は一万五一五一件、前年より三七%の増加率となっており施行三年で制度の利用は着実に進んでいることが分かる。
 しかし、その九割以上が法定後見(後見・保佐・補助)で占められており、将来の安心確保のために創設された任意後見に関する申立はごくわずか。さらに、申立者・成年後見人のそれぞれ八割以上が親族となっているなどの実態が分析された。
 そこで、同センターではあらゆる場面での自己決定を貫くためのツールという、成年後見制度が持つ本来の機能を定着させていくためには、社会システムの一環として継続的に事業運営が可能となる仕組みづくりが必要と判断。具体的には、NPO法人による「成年後見支援センター」と、法人後見を含めた利用希望者へのサービス提供などを行う中間法人の二層組織とし、さらに第三者による事業評価委員会などを組み込んだ新たな事業スキームを地域ごとに整備していくことを提案している。(以下略)

報酬改定どう影響 施設サービス編 

 厚生労働省が七日に公表した改定後初の影響分析データから今回は施設サービスの詳細を紹介する(在宅サービスは既報)。施設サービスの総給付費の対前年伸び率は改定前の三カ月の六・五%が、四〜六月では一・二%に大きく急ブレーキがかかった。一日当たり費用で施設毎に影響をみると、対前年同期の伸び率は三施設ともマイナスに。改定の影響を少しでも緩和するためか、入所者の平均要介護度がじわじわと上がり始めている。
 特養ホームの報酬改定は、マイナス四・二%とされた。改定前後の影響を一日当たり費用の伸び率でみると、改定前の一〜三月の三カ月の伸び率が一・五%だったのに対し、改定後の四〜六月ではマイナス二・四%。四・〇ポイント下がったことになり、ほぼ改定前の予想通りだったといえるだろう。
 今回の改定のポイントは、重度者への重点評価と小規模生活単位型、いわゆる個室ユニットケアの新型特養の優遇だ。新型では、人手が多く求められるために、通常の三対一に上乗せし、二・一対一まで確保できるように設定された。総額の枠がある中ではその分が、従来型の報酬はさらに削られたことになる。
 全国老人福祉施設協議会がこのほどまとめた改定影響度調査では、じわじわと入居者の要介護度が上がっているようすがみてとれる。改定後の今年四月時点での収入を昨年四月と比較したところ改定の影響はマイナス四・一%。五〇人以下の小規模ではマイナス三%程度なのに対し、五一〜一〇〇人以下の規模でマイナス五%以上。また、平均要介護は三・四九から三・五五に上がっている。(以下略)

よくわかる介護と労働 Q&A アイル人事プロジェクト

 社会福祉法人に特化した人事コンサルタント集団。メンバーの中には、県社会福祉協議会の経営指導員も在籍。高知、沖縄で県社協の人事セミナー等を担当している。現在、西日本各地でセミナーを随時開催中だ。
 「アイル」とはフランス語で「はばたく」という意味。初刊「施設長の思いを一二〇%伝えられる人事制度の作り方」年内発行予定。

 Q:うちの施設では就業規則に公務員規定を使ってきましたが、それでは労働基準法違反になる場合があると聞きました。どういうことですか。
 A:社会福祉法人の事業所の就業規則を見させてもらうと、公務員の規定をそのままひな型として使われているケースを見ます。賃金表などは設計の中身は問題があるとしても法律に触れないものなのでいいのですが、有給休暇や割増賃金の算定の方法、休憩時間などが労働基準法違反になっている場合があります。どうしてこのようなことが起こるのかといいますと、そもそも適用される法律が公務員と社会福祉法人では違うのです。例えば、有給休暇について言えば、公務員では 時間単位、労働基準法では日単位の取得です。
 公務員は公務員の法律・規定があり、これをまねすると、結果おかしくなってくるのです。これまでは補助金の条件として給与を公務員に準ずるとする縛りがありましたので就業規則についても何となく公務員式がまかり通ってきたのでしょう。そもそも就業規則とは、組織で動く以上、最低限の決まりごとや守るべきことを定めたものです。施設の特性を出していく人事制度と同様、できるだけ事業所の現状に合ったオリジナルなものにされてはいかがでしょう。(仲井 京子)(以下略)



シルバー新報 2003年11月14日号の主な記事 見出しと要旨


介護保険給付費 前年伸び率 急ブレーキ 厚労省が分析

 厚生労働省は今年四月の介護報酬改定後の影響を示す給付費の分析結果をまとめた。十日に行われた介護給付費分科会に提出した。マイナス改定の影響を受け、総給付費の対前年伸び率は改定前の一〜三月の一二・一%から九・三%に鈍化。施設サービスでのマイナス幅が特に大きい。プラス〇・一%の改定となった在宅では居宅介護支援が一五・五%の伸びとなったのに対し、訪問看護、居宅療養管理指導では想定を上回る下げ幅となっている。(関連記事=2面)
 四月の初の介護報酬改定は、最近の賃金・物価下落の方向を踏まえ、保険料の引き上げ幅を抑制するためにマイナス二・三%となった。在宅重視の視点で在宅では〇・一%引き上げる代わり、経営の順調な施設ではマイナス四・〇%の引き下げとなった。
 改定前後三カ月の平均の総給付費は、改定後一五九億円増加しているが、対前年同期の伸び率を比較すると、一二・一%だった伸び率は四月以降では九・三%に鈍化した。わずかなプラス改定となった在宅サービスでは伸び率への影響はほとんどみられないが、施設では六・五%あった対前年同期比の伸び率が一・二%まで下がっている。改定の目論見通りの結果といえるだろう。
 在宅サービス種類毎の影響を、一人当たりの費用額の対前年同期比でみると最も伸び率が高かったのが、要介護別の単価が廃止された上で大幅引き上げとなった「居宅介護支援」で一五・五%。四種類以上のサービスを組み込んだケアプランには一〇〇単位の加算が新設されたことで、要介護三以上の重い人で四種類ケアプランの割合が増加している。
 訪問介護は一人当たりの費用の伸び率は昨年夏以降減少傾向にあり、一〜三月の平均ではマイナス〇・七%になっていたが、改定後の四〜六月の三カ月間の平均ではプラス〇・一%になっていた。
 身体介護と家事援助(旧)の中間の「複合型」はこれまで総提供時間の三四・三%を占めていたが、改定で廃止されたことでほぼ一対二の割合で改称された身体介護、生活援助(旧・家事援助)に流れた。一方、「通院等乗降介助」が新設されたことで、これまで介護タクシーなどが請求していた三〇分未満の身体介護の請求は一人当たり月三・〇八回から二・六四回に減少した。(以下略)

報酬改定どう影響 在宅サービス編

 今回、厚生労働省がまとめた報酬改定の影響分析は数字の上では、居宅療養管理指導など一部を除けば素直に改定内容を反映しているという印象だ。しかし、通所介護の長時間化や通所リハでの個別リハ算定の増加などマイナス改定分の「挽回」といえなくもない行動パターンもみえる。在宅重視、質の向上を重視したとする今回の改定の影響を評価するには、さらに細やかな調査が必要といえそうだ。主な在宅サービスについて、改定後の動向を詳述する。(1面参照)
 対前年同期の伸び率が一五・五%と伸びたとはいえこれまでが安すぎただけのこと。一人一カ月の報酬が八五〇〇円ではまだ採算ベースにはのらないことは、居宅介護支援事業所なら実感していることだろう。
 改定の大きなポイントは、新設された加算・減算の影響だ。
 四種類以上サービスを組み込んだケアプランを作成した場合は、一〇〇〇円の加算。一方、月一回の訪問や三カ月に一度のモニタリングを実施しない場合は報酬は七割に減算される。
 四種類加算が、ケアプランの総件数に占める割合は六月時点で四・七%。要介護度が重いほど割合が多いのが特徴だ。最も多い要介護5では二七%が四種類以上で平均を大きく上回る。 また、昨年の同時期と比較すると、全体に占める四種類サービス利用の割合はほとんど変わらないものの、要介護3以上の重度者では四種類以上のサービスを利用する人が増えている。これまでは必要なサービスが見落とされていたために利用されていなかったのか、単に加算ほしさの事業所の都合なのか。データだけではわからない。
 一方、運営基準を満たさない場合の七〇%の減算件数は、意外に少なく六月時点では総ケアプラン数の二・九%。加算とは逆で要介護の軽い利用者で減算件数が多いのが特徴。体調の変動も少なく必要性が少ないと判断されているのかもしれない。改定直後では四・二%だったのが漸減傾向にあるのは、業務として定着したことを示すのかどうかも検証が必要だろう。
 通所サービス 進む長時間化個別リハ算定増
 通所介護、通所リハの対前年同期比での改定前後の差は、それぞれマイナス一・一%、〇・八%。改定率よりも影響が少ないのは、利用時間が長期化したこと、通所リハでは新設された個別リハの算定が増えていることによるようだ。
 通所介護の場合は、これまで最も長い六時間以上八時間未満が三月までは五四%程度で推移していたが、四月を境に六一%に急増。通所リハでは七五%から七八%とまだ緩やかなのに比べると通所介護は極端だ。新設された八時間以上はいずれも〇・四%程度でごくわずか。
 通所リハで個別リハビリテーションの新設が目玉だが、算定割合は四月時点の二三・一%が六月に二九・一%に伸びている。特に単価が高く設定されている、退院後一年以内の人の利用件数の伸びが顕著。また、要介護1、2といった軽度の人より、重度者ほど算定割合が高くなっている。(以下略)

58の補助金を一般財源化

 政府は、要介護認定事務費の補助金である介護保険事務費交付金など五八の国庫補助金を一般財源化する方針で検討に入った。補助金削減を行いながら、地方自治体への税源移譲を進めるとする「三位一体改革」の一環。対象は、公立施設の運営費や職員配置費、設備整備費などで、厚生労働省所管分は五八のうち七割の四〇補助金に上る。
 厚生労働省所管分の対象補助金は、介護保険事務費交付金(〇三年度予算三〇五億円)、保健衛生施設整備費補助金(同五八億円)、児童扶養手当事務交付金(二二億円)など合わせて四〇の補助金が挙げられている。予算額の大きい介護保険事務費交付金を所管する厚生労働省老人保健課は、「市町村事務として定着しているかどうかは検証する必要がある。市町村の要望により創設された経緯もあるので慎重に検討したい」と話している。

終末期ケア  特養ホームの看護・介護職 受け入れへ理解進む

 特別養護老人ホームの昨年一年間の退所者数は一万九〇〇〇人で、死亡により退所した一万四三七〇人のうち、二八・六%が特養で亡くなっていることが、厚生労働省の外郭団体の医療経済研究機構がまとめた「特別養護老人ホームにおける終末期の医療・介護に関する調査研究」から分かった。看護・介護職員の終末期ケアへの関心は高いが、マニュアル整備や研修を行っている施設は少なく、実施までには少し隔たりがありそうだ。今後の課題として、医師や医療機関との関係強化や職員の知識・技術の向上などを挙げている。
 調査は昨年十一〜十二月、全国三〇〇〇カ所の施設を対象にアンケート形式で行われた。
 過去一年間の退所者数は一万八七四四人で、うち一万四三七〇人は死亡退所者。施設で亡くなったのが五三五二人(二八・六%)、病院・診療所が八九二七人(四七・六%)だった。
 施設の終末期ケアについての方針は、「原則として速やかに病院等に移す」が五五%ある一方で、「原則として施設内で看取る」は二割弱と、看取りへの方針を明確にしているところは少ない。一方、看取り経験が五回以上あると答えた職員は、看護職が四六%、介護職が三二%。それぞれ八割が終末期ケアに関心を持っており実際の受け入れも進んでいる様子だが、終末期ケアのガイドラインやマニュアルが「ある」とした施設は一二%に過ぎず、施設内で研修や勉強会を行っていないとの回答も七割に上った。常勤医がいる施設、夜勤体制に看護職がいる施設ともに五%だった。(以下略)

メンタルヘルス研究センター開設 あいマックス

 介護専門職や家族介護者がストレスで燃え尽きないようにするため、老年心理学に基づいた独自の研修プログラム開発やセミナーなどを開催するあいマックス(03・5333・9480)は今月二十五日、心のケアについて総合的な研究・研修の拠点となる「メンタルヘルス研究センター」を東京・武蔵野市に開設する。
 センターは「研修・教室」、「カウンセリング」、「啓発・情報収集発信」の三部門で構成。研修・教室部門では、介護専門職種と家族介護者向けに分けて、それぞれ心の健康管理に関するプログラムを用意した。例えば、介護職向けには老年心理学やコミュニケーションスキルのほか、ストレス・マネジメント訓練講師の養成など。家族介護者に対しては、運動・栄養面からストレスに対応する知識やコンディショニングの実践法などを。アメリカ大リーグ選手のトレーナーによる″三分間集中コンディショニング″を介護者向けにアレンジしたものなど、さまざまな角度から心の健康管理に役立つ手法を提供していく方針だ。
 研修と、個人の抱える悩みに対応するカウンセリングで得た介護者のストレスの実態はリソースセンターで分析・研究し、ストレスチェックシートや新たなプログラムの開発などに生かす。同社の大塚博巳社長は、「介護に関する悩みやストレスは千差万別。最終的には、どのような状況にも対応できるセルフケアの技術を身につけてもらえるようにしたい」と話す。(以下略)



シルバー新報 2002年11月7日号の主な記事 見出しと要旨


医師、法律家が調査 成年後見制度の拡充必要

 痴呆などで判断能力の低下した高齢者に医療行為についての説明や同意を求める際、八割以上の医師が「不安を感じたことがある」ことが、成年後見法に関わる医師や法律家で構成する「痴呆性高齢者の権利擁護に関する医学・法学研究会」による調査結果から分かった。本人以外に同意を求める場合は約九割が「家族」を最優先しているが、家族がいない場合、いる人よりも医療を受ける機会が少ない実態が明らかになった。医療を円滑・公平に提供するには成年後見制度の拡充が必要と考えている医師は六割強に上っている。ただ、制度を詳しく知っている医師は二人に一人にとどまっていた。
 調査は今年六〜八月、痴呆性高齢者の同意能力低下の問題点を探るため、全国約三二〇〇人の病院医・開業医を対象に郵送によるアンケート形式で行われた。回答数は六四三人。
 痴呆性高齢者に治療の説明や同意を行う場合に不安や疑問を感じた経験があるかを聞いたところ、「ある」と答えたのは八一%。「自分が同意したことも忘れてしまう」五六%、「患者の意見に一貫性がない」三七%、「何を言っても気軽に同意してしまう」三五%などを理由に挙げた。
 また、本人から同意を得る際にも八一%が困った経験をしており、「本当に理解して同意しているか分からない」六五%、「不合理な理由で必要な治療を拒否した」五八%などの回答があった。
 本人に同意が得られない場合には、約九割の医師が「家族(配偶者や子ども)」に同意を求めていた。一方で「家族の判断に時間がかかり治療ができなかった」「家族間の意見が対立した」ため困った経験も七割に上っている。
 医療にかかわる判断は現行の成年後見制度では対象外となっているが、円滑に医療を提供するためには「成年後見制度の拡充」が必要としている割合が六三%と最も多く、成年後見人が患者に代わって判断することについても「良い」とした医師は八割強と、制度への期待感が伺える結果が出た。(以下略)

高齢者と障害者 ショートステイの相互利用

 富山市は、現在国が募集している構造改革特区の第四次提案募集に、介護保険のショートステイ施設で知的障害者や障害児の受け入れを認める特例措置を今月中旬にも提案する。現在市内には障害者のショートステイ施設が三カ所しかないため受け入れ先を増やすのが目的。国の基準では、ショートステイで知的障害者や障害児を受け入れるには、二〇床以上の専用ベッドを持っているか、特養や老健に併設されている施設に限られているため、単独型の二床以上二〇床未満の小規模施設でも認め、支援費の支給が受けられるようにしたい考えだ。
 同市は先月締め切られた第三次の特区申請に、指定通所介護施設を高齢者と障害者が相互に利用できるようにする「富山型デイサービス推進特区」を申請し、今月中にも認定される見通しとなっている。対象事業者である市内の宅老所「このゆびとーまれ」では、すでに長年、年齢・障害の区別なく利用者を受け入れている。(以下略)

質の伴う安定成長目指す 苦情対応や社員研修徹底 セントケア社長 村上 美晴氏

 先月末、店頭(ジャスダック)市場に上場したセントケア。訪問入浴、訪問介護を中心とする専業での上場は介護保険初。村上美晴社長の舵取りは一言でいえば「堅実」だろう。この三年、苦情対応や社員研修を徹底するなど足固めに力を入れてきた。今後も引き続き「質の伴う安定成長」を目指すという。
 ――現在の心境は。
 株式の公開は事業家としての一つの目標。一五〜六年前から意識して準備してきた。資金調達のメリットもあるが、介護は公の仕事であるので、会社がパブリックになること、知名度の点でもメリットは大きいと考えている。何より、ここに向かって社員が一丸となって取り組んでくれたことが嬉しい。
 ――今期の見通しは。
 連結の売上高は二割増の一一三億九二〇〇万円。経常利益六億二七〇〇万円で、当期利益二億八二○○万円を見込む。事務処理を集中化したことや、社内システムの構築による経費削減、報酬の改定で今期は六〜七割収益率が上がる見込みだが、その後は二割の安定成長を目指したい。この仕事は展開が速ければいいというものではない。顧客本位を貫くためには「質」が重要になる。派手な話がなくて申し訳ないが、「質の伴った安定成長」が最大の目標だ。
 たとえば、介護保険がはじまった時には、利用者が急増する一方で、苦情も増えたため、クレーム対応を徹底することにした。お客様からのクレームは必ず営業所の所長が出向いて対応するだけでなく、役員にも必ずFAXで連絡が入る。社をあげて取り組む体制だ。ヘルパーには苦情を受けた場合、個人的な責任は追及しない代わり、必ず報告することを義務付けている。サービス利用の伸びに比べ、苦情は相対的には減ってきており、並行してサービス利用の終了者も減ってきている。この姿勢が評価されているものと考えている。
 ――ホームヘルプサービスの質の向上は業界全体の課題でもある。
 「一〇年ほど前、米国の大手ヘルスケア企業に視察した時に、教育によって定着率、質が向上し、結果的に販促になると言っていたがその通りだと思う。社員教育は力を入れている点の一つだ。例年、売り上げの二・二%程度を教育研修にあてている。ホームヘルパーの二級資格は業務につく最低の条件で十分ではない。
 まず、お客様と接する基本的な態度や業務上の基本的な対応などについてはわかりやすく「方針書」にまとめ、常に目を通すように求めている。社の方針を徹底した上で、各種の教育プログラムを提供する。ヘルパーだけではないが、昨年は延べ九三〇〇人が研修を受けている。また、社員の資格取得もバックアップしている。ベースは整ってきた」(以下略)

介護福祉士養成校出身者 試験免除の見直しを

 介護福祉士国家試験のあり方について、実技試験に代わる講習会の導入の方向で議論を進めていた厚生労働省の検討会が、講習会の義務付けによる試験免除を法改正して導入する場合には、現在無条件で資格を与えている介護福祉士養成校卒業者のあり方についても根本的に見直す必要があるとする案を新たに提示した。養成校出身者の国家試験免除に対して質の面で問題視する声は依然として根強くあり、介護福祉士全般の質を確保するためには、実技試験の適正化だけの問題ではないという認識だ。
 これまでの議論では、多くの受験者をさばくために一人あたり五分の割り当てしかない実技試験の適正実施が課題と指摘されたことから、試験前に指定講習を修了した場合は実技試験を受けなくて済む方向でシステム案を提示。並行する作業部会では三五時間のカリキュラム案や講習のリーダー指導者養成講習会などの実施案が提示されていた。
 しかし、九月末に開催された第二回検討会では、「単なる実技試験の廃止は介護福祉士の資質低下を招くおそれがある」とし、国家試験の一環として事前講習を位置付けるには法改正が必要であることなどがあがった。根底には、現在卒業者に対して無条件で資格を与える介護福祉士養成校の見直しを根強く求める声がある。仮に法改正して講習会を義務付ける場合でも、養成校と国家試験の二本立てで資格取得の道がある現状について根本的に見直さなければ質の確保は難しいとする課題は別途議論していく必要があるとし、講習会の実施について一通り議論を終えた後にこの問題についても取り組んでいくことになるとしている。

今、気になるTOPICS 笑害トイレが増殖中

ハートビル法や交通バリアフリー法が制定され、障害者の外出を後押しする障害者用の公共トイレは確実に増えてきた。しかし、残念ながら同時に使い勝手の悪い「とんでも設計」のトイレも増殖中のようだ。ユニバーサルデザインの影響か、誰にでも使いやすく配慮した結果、誰のためのトイレかわからなくなっているのが最近の傾向と日本笑害トイレ改善会の呼びかけ人朝倉義子さんは指摘する。一人ひとりの障害は多様。障害者が自分にとって使いやすいかという視点でチェックした本当の福祉マップづくりをすすめている。(川名佐貴子)
 まずは、写真をご覧いただきたい。これは日本放送協会の渋谷正面玄関の障害者用トイレ。天下のNHKの顔ともいえる場所にあるだけにさすがに凝っている。四角い部屋のコーナーに斜めに便器が取り付けられた変わった設計で充実のフル装備。しかし、これもダメトイレの一例という。
 「自分が使う立場になってよく考えてみて下さい」と日本笑害トイレ改善会の呼びかけ人である朝倉義子さんは言う。
 分かりやすいのはトイレットペーパーのホルダー位置だ。左右に二カ所。便器が壁に対して斜めに取り付けられている関係でかなり「遠い」。左手側のほうにいたっては、遠い上に位置も高く自分で使うには絶望的な場所にある。
「左手側は壁面に手洗いをつけた関係で、トイレットペーパーはつけられない。で、いっそのこと介助者用として設置したのでしょうね。これだと右半身がマヒしている人は、トイレに入る前にあらかじめ介助者にペーパーを切っておいてもらうか、介助者と一緒ではないと使えないんです」(朝倉さん)
 埼玉新都心郵政庁舎前のトイレでは、同じように壁面に手洗いをつけた結果、トイレットペーパーはNHKのとは逆に手前に追いやられ身体をひねらないと取れない位置に取り付けられていた。これもつらい位置だ。トイレットペーパーは自立排泄のシンボルであると同時に、「いざという時に『ペーパーがない!』つらさは誰でも共感できる」(朝倉さん)格好のメルクマールでもある。会の調査でも「位置が高すぎる」と苦情が集中した点だ。
 実はこれには理由がある。取りやすいのは、座った位置で腕を少し伸ばせばいい位置でせいぜい八〇cmが上限だが、障害者用トイレではこの高さは「L字型手すり」の定位置。
 朝倉さんが調べたところ、障害者用トイレの基準には、トイレットペーパーの取り付け位置は決められていない。手すりや手洗い、緊急通報ボタンなど他の設備を取り付けた後の残りのスペースの「どこか」。役割の重要さの割りにそもそも「日陰の存在」なのだ。朝倉さんは、人間工学の研究者の協力を得て、取りやすいトイレットペーパーの取り付け位置を算出し、「ゴールデンエリア」を割り出したが、これも「世界初」なのだとか。(以下略)



シルバー新報 2003年10月31日号の主な記事 見出しと要旨


被保険者年齢拡大や保険給付の見直しを

 厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は二十七日、二○○五年度に行う介護保険制度見直しに向けた論点のまとめに入った。認定者数が予想を上回る伸びを続ける中で給付費が増え続け、保険料が高騰する中では「持続可能な制度」への見直しが最大のテーマだ。安定財源確保のための被保険者の年齢拡大やサービスの適正化のための保険給付の見直し、保険者機能の強化が主要な論点となる。今後、各論について月一回のペースで審議を進め来年六月ごろまでに意見書をまとめる。○五年の通常国会に提出する介護保険法改正案に反映させたい考えだ。
 これまで四回の審議を受けて今後の論点を整理した。
 財政面での最大の争点は、財源確保のための被保険者年齢の引き下げだ。それに伴い、新たに障害者も保険対象に加えるかが議論されることになる。また、既に国民健康保険では、安定運営のため都道府県単位での再編が目指されている中で、保険者の規模の見直しも論点にあがった。現在では保険者は実質的には保険運営をコントロールする権限がないことから、事業所の指定や調査・指導権限などの権限移譲をどこまで進めるかも争点となる。
 サービス面では、施設と在宅の給付格差の是正が俎上に上った。在宅で生活していてもかかるホテルコスト分を新たに徴収すると低所得者には大きな負担となるため、市町村が独自に行ってきた低所得対策を国の制度の中に取り入れるかについても議論となる。
 在宅サービスでは、急増する要支援〜要介護1、2の軽度者のサービスのあり方や給付見直しがあげられた。要支援は対象外にすべきとする極論もあり注目点だ。厚生労働省の高齢者介護研究会が提言した「小規模・多機能」ホームの位置付けも問われる。
 いずれにしても、すべての論点について「賛否両論」があり、結論は今後の議論にゆだねられる。(以下略)

支援費国庫補助 基準算定の見直しを

 東京都は二十八日、今年度の支援費制度ホームヘルプに対する国庫補助金の算定について、利用実績の伸びに見合った配分を求める緊急要望書を厚生労働省社会・援護局長宛てに提出した。四月から六月にかけての一人あたり平均サービス利用実績がいずれのサービス区分でも厚労省の全国調査の平均値を大きく上回っており、特に日常生活支援については全国平均の二倍、前年度と比較しても一・五倍となるなど、前年度水準の補助金額ではカバーしきれない見込みとなったためだ。「サービス支給決定の抑制につながりかねない」と危機感を強めている。
 ホームヘルプサービスの国庫補助については同省が今年一月、一般の障害者で月二五時間、視覚障害者等月五○時間、全身性障害者が月一二五時間などの算定基準を導入し、これをもとに各自治体に交付することを決めた。地域や障害の種別によってサービス提供量に大きなばらつきがあり、バランスのとれた提供体制の整備を進めるための措置だ。
 ただし、算定額が従来の補助金額より下回る自治体については激変緩和の経過措置として、補助金の一部をプールして配分する調整交付金によって従来水準を維持することとした。
 東京都が四月から六月分までをまとめたサービス利用実績では、身体・知的・児童の三障害を合わせた月平均利用者数は一万二三九六人で支給決定数の約八割の利用率。時間数も支給決定量の七割にあたる四九万八六六一時間となっており、厚労省が九月末に公表した四〜五月分の全国調査をいずれも上回っている。
 この傾向は身体介護・家事援助・日常生活支援・移動介護などサービス区分別の一人あたり利用時間でも同様で、特に重度の全身性障害者を対象とした日常生活支援においては二三三・三時間と全国平均の約二倍。もともと、月二四○時間を上限とする全身性介護人派遣を単独で実施するなどサービス水準が高かったこともあるが、前年度の決算見込み数値と比較しても一・五倍の伸びとなっており、「調整交付金で従前額を確保できても新規の伸びはカバーできない」(都福祉局障害福祉部)と見込んでいる。(以下略)

ALS患者の在宅診療支援 1 日本看護協会 山崎摩耶常任理事に聞く

 在宅で療養するALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の吸引について、厚生労働省は七月、医師・看護師の指導を受けるなど一定条件のもとにヘルパーなど家族以外の者にも認めると通知した。在宅医療・訪問看護が十分に整備されていない中での特例措置だが、明記された三年後の見直しに向けて医療・介護の現場ではそれぞれが実績づくりに動き始めている。ヘルパーに医療行為よりもまず、訪問看護の拡充が先決と訴え続けてきた日本看護協会では先月、いち早く事業計画をまとめた。全県の看護協会と連携して一人ひとりの患者のニーズに対応するサービス体制の構築を目指す方針だ。デイケアやレスパイトなど、訪問以外で在宅支援のできる訪問看護ステーションの新しい役割も提案していきたいという。
 ――三カ年計画のねらいと重点事項は。
 「患者さんが安心して確実に在宅療養を送るための方策を推進していくには、政府が責任を持って取り組まなければならないが、とにかく一刻も急がれる事態だ。
 何よりの目的は、在宅で療養する患者一人ひとりにとって必要なサービスを適時・適切に提供できる体制を早急に構築すること。全国には一三○○人の在宅ALS患者がいるが、そのうち吸引が必要な患者は約七○○人とされている。まず、この人たちにとって十分にサービスが行き届くようにしなければならない。
 患者の状態やニーズは一人ひとり違うし、地域によって対応のあり方も異なるだろう。それを詳細に把握する必要がある。十二月から始めるコールセンターは、患者・家族からの派遣要請や相談などを受け付け、各都道府県看護協会を通じて各地の訪問看護ステーションなどにも対応していただく仕組みだが、一人ひとりの患者・家族のニーズと地域のサービスをマッピングするための重要な調査と位置付けている」(以下略)

ベネッセ 子会社3社を統合

 ベネッセコーポレーションは十二月一日付で、介護事業を手がける三子会社を新会社ベネッセスタイルケア(東京・渋谷区、資本金一億円)に統合、代表取締役社長に浅野茂三シニアカンパニープレジデントが就任する。マーケティングなどの効率化を進めて〇六年度までに有料老人ホームなど一六〇拠点程度を整備し、営業利益を五〇億円とする中期目標の達成を目指す。
 これまで子会社のベネッセケア(東京・渋谷区)は有料老人ホーム「まどか」や「くらら」を、伸こう会(神奈川・横浜市)は「グラニー」「グランダ」を、ベネッセシニアスタイル(東京・渋谷区)は十二月から富裕層向けの新ブランド「アリア」を立ち上げるなど、多ブランド化を進めて六九カ所の拠点を整備してきた。
 今後は廉価な「まどか」ブランドを首都、関西・名古屋圏などで幅広く展開する予定。統合により各ブランド毎に行ってきた開設マーケティングや募集ロスを抑えシニア全体の事業展開のスピードを上げるのが目的。背景には〇六年度まで一六〇拠点整備する中期目標がある。現在、全ブランドで一年あたり一五拠点の整備を来年度から倍の三〇拠点の達成を図る予定。

第6回介護支援専門員実務研修受講試験解答速報 総評

 介護支援分野について、問われている知識の難易度は、一部の難しい選択肢を除けばいずれも例年並みである。昨年より各肢の文章が長いものが多いが、受験者にとって大きな負担となるほどのものではない。一見難問であるように感じても、すべての問題が、正しいもの(適切なもの)を2つ、あるいは3つ選べという設問であり、冷静に誤りが含まれている肢(不適切な肢)を選ぶ消去法が活用できれば、結果として正解できる問題が多かったものと考えられる。
 保健医療サービス分野も一部に基本テキストに載っていない知識もあるが、過去問で問われている基礎的な知識を前提として、冷静に誤っているものを発見するという消去法を適宜活用することができれば、正解できる問題が多かったといえるだろう。
 福祉サービス分野は、財団法人長寿社会開発センター発行の基本テキストの改訂を最も反映し、介護保険制度と関連するテーマが多く問われるなど、昨年よりは明らかに難化しているといえる。(以下略)



シルバー新報 2003年10月24日号の主な記事 見出しと要旨


ケアマネ試験 受験者が増加基調に転換

 今月二十六日に行われる第六回の介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の申込者数は一一万九四一二人で、前回試験より約二割増加していることが本紙の調べで分かった。四七都道府県のうち沖縄県を除く全都道府県で軒並み一〜二割増加している。第二回の試験以降減少傾向にあったが今回から明確な増加基調に転じたのは、来年度からはグループホームや有料老人ホームなどでもケアマネジャーの配置が義務付けられることの影響が大きいと都道府県はみているようだ。
 本紙が二十二日までに各都道府県に調査を行ったところ、第六回試験の申込者数は全国で一一万九四一二人にのぼり、この段階で昨年の申込者数よりも一万八〇六八人増加した。
 受験者数が最も多かったのは、第一回の平成一〇年の二〇万七〇〇〇人。制度施行を目前に控え、「要」の仕事として注目を集めブームとなった。以後は毎年減り続け、制度施行二年目の一三年は最低の九万二七三五人まで落ち込んだ。申し込みベースで比較しても昨年度と比べても増加は顕著だ。合格率も初回以来、右肩下がりだ。第一回が四四・一%で二人に一人が合格したのに比べ、昨年は最低の三〇・七%。三人に一人の狭き門になっている。
 四七都道府県のうち、微減したのは唯一沖縄県のみで、他の都道府県ではすべて増加した。
 増加率が最も大きかったのは三重県で前年比四六%増の一七七八人。一五〜二五%程度の増加が大勢だが、特に中部・東海、中四国では二〇%以上増加した都道府県が多い。
 申込者数が最も多かったのは東京都で九八〇三人。次いで大阪府の八七二六人、北海道の六三〇一人のとなっている。
 増加の背景について多くの担当者が指摘したのは、施設などでの需要増。経過措置はあるが、介護保険施設では今年度から、来年度からは痴呆性グループホームや有料老人ホームなど特定施設でケアマネジャーの配置が義務付けられるため、「施設単位で申し込んでいるケースが見受けられる」という。
 特にグループホームでは、小規模のために新たな人材を雇用するゆとりもないだけに大変だ。また、「民間事業者によるヘルパー養成研修が始まって五年が経過し、受験資格要件を満たす介護従事者が増えている」や「ここ数年の合格率が低いため、再受験している人が多い」「支援費制度が導入され、障害分野でもケアマネジャーが位置付けられる可能性があると見込んでいる知的・身体障害者施設職員の申込者が目立つ」との指摘も。
 「不況で『手に職』と考える層もいるのでは」。いずれにしろ関心が高まっているのは間違いない。(以下略)

単独世帯が35%に 高齢・単身世帯も急増

 核家族はさらに進んで、一人家族へ――。「単独世帯」は今後も増え続け、二〇二五年には「夫婦と子」世帯を上回る全世帯の三五%を占めることが国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計から分かった。また、世帯主が六五歳以上の世帯も二〇〇〇年の一・六五倍の一八四三万世帯に増加。家族介護を前提にした制度は成り立たなくなることが予想される。
 推計は、二〇〇二年一月に発表された同研究所の将来推計人口を基に行われた。世帯総数は二〇一五年に五〇四八万世帯でピークを迎え、以降減少していくとしている。平均世帯人員も、二〇〇〇年に二・六七人だったのが、二〇二五年には二・三七人まで減少する。家族類型別に見た場合、最も増えるのが「単独世帯」。二五年には二〇〇〇年の三三%増の一七一六万世帯となり、全世帯の三四・六%を占め類型別ではトップに躍り出る。次いで「ひとり親と子から成る世帯」で三四%増の四七九万世帯。
 逆に、現在類型別では最も多い「夫婦と子」世帯は、二〇%減の一二〇〇万世帯に減少する。(以下略)

アセスの重点化が必要 介護度変化

 厚生労働省は十日、全国の市町村の介護保険担当者を集めた市町村セミナーを開催した。キーワードは「適正化」。国の適正化事業を受けて各自治体がケアプランのチェックなどに乗り出す状況を背景に、日医総研の川越雅弘主席研究員は「介護度によって低下しやすい機能に着目するなどアセスメントの重点化が必要」とする調査結果を発表した。
 施設入居者に重度化の傾向
 介護保険の認定者数、受給者数が右肩上がりに増え続ける中で、特養の待機者問題など施設整備は自治体にとり頭の痛い問題だ。川越氏は「ある時点の利用者の介護度、所在地が数年でどのように変遷するかを追うことは施設整備の見込みの観点からも重要」との問題意識から、二〇〇〇年十月時点の島根県の高齢者の所在地、介護度を追跡した。
 調査は「ケアマネジメントの現状と今後のあり方」をテーマに、川越研究員が二〇〇〇年から二〇〇二年にかけて島根県の高齢者を対象に行ったもの。二〇〇〇年時点で認定を受けていた七八七八人のお年寄りのうち、二年後の二〇〇二年に介護度が「悪化した」割合は二九・一%。「改善」した七・八%より割合が高かった。また、在宅で生活をしていた自立相当の高齢者のうち、二年後に寝たきりになった割合は八・七%だったのに対し、老健で生活していた自立高齢者では、二年後には寝たきりが二六・五%と施設入所者のほうに重度化の傾向が顕著だった。川越研究員は「身体機能がある程度保たれている人の場合、在宅で生活するよりも施設に入所するほうが機能が落ちる度合いが高い」と分析。利用者に個別にかかわるのが難しい施設のケアの状況が影響していると指摘した。(以下略)

H.C.R.2003が閉幕 生活用品と専門機器に2極化

 十月十五〜十七日の三日間、東京ビッグサイトで開かれた第三〇回国際福祉機器展(H.C.R2003)には、三日間で約一四万人が訪れ、例年通りの賑わいだった。とはいっても、ほぼ昨年並みで、一頃のような新製品の開発ラッシュも峠を越した。大手住宅設備メーカーが一般市場をにらみ「ユニバーサルデザイン」をテーマに障害があっても快適な暮らしをコンセプト提案する一方で、専門メーカーは地道に高機能化を進めている。生活用品と専門機器の二極化が印象的だった。
 保健福祉広報協会のまとめでは、三日間のトータルの入場者数は一三万八〇一〇人。昨年より八九八人増えた。しかし、昨年の入場者数がその前年よりも三〇〇〇人増だったのと比較すると伸びは鈍化している。しかし、人出はひきもきらず、自動車メーカーが出揃う「花形」の福祉車両の展示コーナーの賑わいも例年通りだ。優れたアイデアや技術で際立って印象に残る新製品は少なかった。新製品の開発ラッシュも介護保険の導入前後がピーク。三〇年経って展示会自体が成長期から成年期を迎えているといえる。
 介護保険で増加している在宅サービス事業者と一般の入場者が増える傾向も続いている。来場者の内訳では、最も多いのが「一般」の三二・八%。介護ショップなど「販売業」一四・五%、福祉施設一二・七%、製造業一一・四%。スーツ姿のビジネスマンよりも、ラフな普段着姿が目立つ。機器の使い方や性能を熱心に聞く姿も見られ、そのためか、特に新製品を投入していないメーカーからも「手応えが十分」の声が聞かれた。全国的にみても公設展示場が少なくなっている中で、展示会は最新の機器に直接触れることができる機会にもなっている。
 介護保険のレンタル向けでは、派手さはないが各社が新製品を投入していた。車いすでいけば、キーワードは「座位の保持」「モジュール機能」「電動ユニットの高機能化」をあげたい。
 モジュールは座面の幅や高さなどを一人ひとりに会わせて設定できるイージーオーダー車いすだ。フィッティングは欧米では「常識」だが、わが国は「あてがいぶち」。特に高齢者では用途や利用者の状況によらずに一律に同じものが使用されてきた。
 身体が前へずれないように座面と背もたれの角度を保ったまま、同時に後ろへ倒すティルト機能搭載の車いすも確実に増えてきた。(以下略)

積水化学 複数の共有空間確保

 積水化学工業(東京都港区、03・5521・0590)は十一月から、グループホーム(GH)に対応した住宅を新発売する。ユニットごとに三つのトイレを設置し複数の共有スペースを用意するなど入居者の快適な暮らしを実現するほか、建築期間が短く、高省エネでランニングコストが抑えられるなどオーナーや事業者へのメリットも特徴だ。
 GH対応住宅「セキスイハイムハーベストメント」(写真)は、リビング以外にも交流スペースを確保し、六畳のプライベートスペースには全室洗面台を完備している。浴室システムは浴槽の位置を動かすことができる可変タイプを採用。また、一ユニットあたり最低三カ所のトイレを設置することを提案し、自立支援とともに介護負担の軽減を図っている。トイレも跳ね上げ式アームレストや大型背もたれで長時間座っても疲れにくい。
 外壁にはメンテナンス不要な磁気タイルを使用し、高い機密性と断熱性で省エネ対応。また、工期が六〇日と短いユニット工法なので、開業準備期間を短縮でき事業の採算性も向上することができる。
 価格は一坪あたり四六万円から。来年度七〇棟、〇五年度は一〇〇棟の販売を目指す。



シルバー新報 2003年10月10日号の主な記事 見出しと要旨


特集「みんな一緒」の地域ケア

 これまでの福祉政策は高齢者、障害、保育とすべて縦割り。それが当たり前・という「常識」をちょっと疑ってみませんか。
 高齢者も障害者も、サービスを必要としている人なら誰でも制限なく受け入れるデイサービス、富山県の「このゆびとーまれ」。最近ではこれをモデルにした高齢者・障害者のデイの相乗りを構造改革特区に申請する動きが全国の自治体で少しづつ広がっている。
 「混合型とか富山型とか。ごちゃごちゃと名前をつけられるけど、いろんなニーズを持った人がいるからそうなっただけ」。代表の惣万佳代子さんは常にそういい続けてきた。逆にいえば制度や政策は、自分たちに都合のいい人をピックアップして自己満足していただけではと思える。草の根で生まれた宅老所も泊まりあり日帰りありのごった煮状態で必ずしも「きちんと」はしていないがしぶとく支持を受け続けているのは、失われつつある大家族や共同体を思わせるノスタルジーか。日本人のDNAのなせるわざか。
 「縦で考えていたらいくら予算があっても足りない。インフラよりも人材育成。地域で暮らしていくことをどう支えていくか、住民が主体となって考えてほしい」。今年二月にあるセミナーで壇上に立った愛知県高浜市の森貞述市長。その翌月には、言葉通りフラットな地域福祉計画を打ち出した。財政難も「一緒」のケアを後押ししている。
 これまで別々と思っていたことを、一緒に並べてみた時、見えてくるものがある。
 今後本格化する介護保険制度の見直し議論の中では、浮上してくるだろう障害者施策との統合問題もそうした視点から考えてみても良さそうだ。
 必要とされるサービスは地域から見えてくる。介護保険だけが上手く軌道に乗ったところで、誰もが幸せになれる地域なんてどこにもないのだから。

特集「みんな一緒」の地域ケア 各地で広がる“共生ケア” 富山型デイ

 小規模で家庭的な雰囲気の中で赤ちゃんから高齢者、障害児・者が共に過ごす「地域共生ホーム」が注目を集めている。全国区で知られる富山県を始め、富山をモデルに構造改革特区でも次々と申請・認められるようになっている。小規模で家庭的なだけではない。縦割りの行政制度では対応できないさまざまな地域のニーズに応えてきたことが、評価の原点だ。
 舞台の上に勢揃いしたのは、ヨチヨチ歩きの幼児、障害児、車いすのお年寄り、スタッフを含めた総勢五○人ほど。九月二十六、二十七日、富山県で開かれた「第一回地域共生ホーム全国セミナーin富山」での一コマだ。全国に先がけて、赤ちゃんから高齢者、障害者までが大きな家族のように過ごすデイを実践してきた「このゆびとーまれ」は、富山型といわれる地域共生ケアの生みの親だ。(フリーライター・甘利てる代)
一九九三年、子ども、障害者、高齢者がそれぞれ別の場所でサービスを受けるという、従来の縦割り福祉の枠組みから大きく逸脱した小規模なホームが富山県で誕生した。それがこのゆびとーまれだ。「誰でも必要な時に人に必要なサービスを」を目指した無認可のデイサービスだ。
 開設当時は、利用者家族には料金を支払ってサービスを受けるという意識がない頃だ。利用者が少ない状態が数年間続いたが、次第にその自然なケアのあり方が受け入れられ、県内に同じ形態のデイが広がっていく。
 富山市内の住宅街にあるこのゆびとーまれは、可憐なピンク色の外壁が目立つちょっと大きめの一軒家といったところだ。玄関前の路地では就学前の幼児、障害児がにぎやかに遊び、傍らのベンチでは高齢者がニコニコとそんな子どもたちを目で追っている。
 玄関を入ると、広いデイルームを中心に和室、事務室、台所などが配置されている。デイルームには大きな円卓が置かれ、その周りを囲むように高齢者が腰掛けている。高齢者の周辺を幼児が通り抜け、和室の布団の上では障害児が横たわっている。地域のボランティアもいる。畑で野菜をつくったり、洗濯物を干したり、赤ちゃんをあやしたり。これが日常の風景だ。(以下略)

内閣府が介護で調査 ホテルコストなどの給付 見直し必要が6割

 割安感のある施設サービスと在宅サービスとの均衡を図るため、ホテルコストなどの給付を見直す必要があるとの回答が六割に上ったことが、内閣府が四日に公表した「高齢者介護に関する世論調査」の結果から分かった。また介護サービスの費用負担についても、過度にならない範囲である程度増加することはやむを得ないとする意見も六六%だったなど、過半数の人が見直しについて肯定的に考えている傾向がうかがえる結果となった。
 調査は今年七月から八月にかけて、二〇歳以上の五〇〇〇人を対象に高齢者介護や介護保険制度、高齢者保健福祉施策への要望などについての意見を聞き、約三六〇〇人から回答を得た。
 今後、高齢化が進むに合わせて介護サービスを充実させる場合の費用負担について聞いたところ、「保険料負担などが相当程度増加してもやむを得ない」と回答したのは一〇・八%、「ある程度の増加はやむを得ないが、過度の負担増とならないようにすべき」が六六・四%で、合わせて八割近くがサービス充実のために負担が増えるのはやむを得ないと考えている結果となった。
 都市規模別では、過度の負担増にならない範囲では中都市部の回答が多く、町村部では「現状維持とし、必要な費用は利用者の自己負担に」の回答割合が高かった。
 また、在宅と施設との負担の均衡については、施設サービスでホテルコストも給付されているため割安感があるとした上で「在宅との均衡を図るために施設サービスの給付の範囲を見直すべき」と思うかの問いには、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」が六〇・六%で、「そう思わない」「どちらかと言えばそう思わない」の一五%を大きく上回った。(以下略)

特集 介護保険と福祉用具 利用者事業者 必要性考えて利用する時代に

 福祉用具レンタルは利用者数が伸び続けているサービスだ。これに伴い給付費も右肩上がりで増え、在宅サービス全体の伸び率を上回る勢い。事業所の参入も活発だ。保険制度によって高齢者の自立を支援する機器の利用が急速に広がったと評価できるが、一方で、「本来必要ないのに給付されている」「売らんかなの押しつけ給付がある」といった「不適正な給付」の問題が浮上し始めている。その実態を各種データと本紙独自のアンケート調査で探った。
 介護保険では福祉用具は車いすやベッドなど一二品目が「レンタル」、ポータブルトイレや入浴関連用具などリユース向きでない製品が「購入」対象品になり、さらに二〇万円までの住宅改修が保険から支払われるにようになった。
 高齢者の自立支援に向けた環境整備の環境は以前よりも格段に身近になったといえる。
 中心となるレンタルでは利用者数の伸びは顕著だ。〇一年四月には二八・八万人だった利用者は今年三月には六九万人。通所介護の七九万人にも後少しの勢いになっている。利用者の伸び率は痴呆性グループホームに次いで二番目だ。
 福祉用具貸与事業所も〇〇年十月末には四五八一カ所だったのが今年九月末現在で七三四七カ所と一・六倍に増加している。今年度当初六八七七カ所だったのと比較しても、半年で四七〇カ所の増。まだ勢いは衰えていない。
 福祉用具レンタル事業所は九割を営利法人が占める。介護保険サービス中最も割合が高い事業であるのが特徴だ。
 本紙の調べではサービス事業所のうちで同一系列で最も数が多いのが在宅介護大手のニチイ学館。介護保険当初から介護ショップのM&Aに積極的だったが、昨年から同社として本格的に取り組む体制をとっている。このほか、上位にはセントケア、コムスン、アースサポートなど訪問介護の大手中堅が名を連ね、フランスベッドメディカルサービスやヤマシタコーポレーションといったレンタル本業企業よりも事業所数では上回るところもある。同一法人、チェーンで一〇以上の事業所をもつのは八六八事業所で全体の一割強。
 在宅介護に取り組む企業が「副業」で増えているのが最近の特徴だ。事業所が必ず行わなければならないのは主に配送組み立てで、講習を受けるだけの福祉用具専門相談員を配置して、仕入れや消毒はレンタル卸を使えば比較的参入がたやすいことが背景にある。
 在宅介護事業所が自社レンタルに切り替えたり、地域の基幹的なレンタル事業所が卸を行うなど流通は今も動きつつある。
 利用者が増え、事業所が増えれば当然、給付額も増える。国保中央会の審査データで〇一年六月と〇三年四月を比較してみると、福祉用具レンタルは四六億四六〇〇万円だったのが、一〇四億二六〇〇万円と二・二倍に増加。この間、在宅サービス全体では給付費は一二三三億八七〇〇万円が一九六一億九二〇〇万円で一・六倍だから在宅サービスの全体の伸びも上回っている。このため、在宅サービス全体に占めるレンタルの給付費も三・八%から五・三%へじわじわ上昇している。(以下略)

特集 介護保険と福祉用具 福祉用具貸与事業所アンケート 本紙

 本紙では 今年七月現在指定を受けていた七一七一事業所を対象に福祉用具貸与事業所への調査を行った。テーマは「適正給付」「今春の制度変更」「経営実態」の三点だ。九月一日までにその約一三%にあたる九四三事業所から回答を得た。「適正給付」については単に悪質事業者による不正給付といった問題ではなく、ケアマネ、専門相談員の知識不足や「囲い込み」や在宅の限度額に引っかかり利用したくてもできないなど制度の構造的な原因も浮かびあがった。
 今回のアンケートのテーマは「適正利用」だ。介護保険事業所の中でも、福祉用具レンタルは事業所数の伸びが未だ衰えない。福祉用具の専業事業所だけでなく、介護サービスや異業種からの参入も多い。
 これに伴い、給付の伸びも右肩上がりだ。前ページで紹介したように給付抑制に頭を痛める厚生労働省は今年度から始まった「給付適正化」事業の対象の一つに福祉用具を名指しして例示している。
 この問題について、現場はどう考えているのか。
 まず、福祉用具が現在、適正に利用されていると思うかどうか尋ねたところ、「利用者のニーズに応じた適正な利用が概ねされていると思う」との回答が七一%だったのに対し、「適正に利用されているとは思わない」二一%、「わからない」五%だった。(図1)
 利用者へのトータルな視点なく給付
 なぜそう考えるのか、適正利用に関する問題点の認識では、「住宅改修、介護サービス利用などをトータルに視点に入れないで給付されている傾向にある」が最多で、「適正に利用されているとは思わない」との回答者の五一%。
 次いで、「自己負担への配慮などにより本来は必要と思われるものが利用されない傾向にある」四九%。「要介護度など本人の状況からみてマッチしていないものが利用される傾向にある」四一%が多く、「要介護度など本人の状況からみて過剰に利用される傾向にある」一九%。「まだ必要とされないものまで早目に利用される傾向にある」一六%は、比較的少なかった。(図2)(以下略)



シルバー新報 2002年10月3日号の主な記事 見出しと要旨


2015年の高齢者介護 痴呆性GHアンケート 総論賛成、各論には慎重

 介護保険制度見直しのたたき台として、高齢者介護研究会(座長・堀田力さわやか福祉財団理事長)がまとめた報告書「二〇一五年の高齢者介護」について本紙では全国の痴呆性グループホームにアンケート調査を実施した。介護サービスのあり方を痴呆高齢者を標準としたモデルに切り替えることについては、「当然」が約半数。新しいサービス体系の目玉となる小規模多機能型のサービスについては七割が賛成で、「ぜひ」取り組みたいと三割が回答した。総論では賛成だが、具体化にあたっては慎重な意見も目立った。(関連記事3〜4面)
 痴呆性高齢者グループホームは、報告書に沿った制度変更が行われた場合は最も大きな影響を受けると考えられる。新たなサービス体系として提言された自宅でも施設でもない「新たな住まい」でもあり、「小規模多機能の地域拠点」にも最も近いからだ。
 本紙では八月中旬、「二〇一五年のケアサービス」として研究会報告の特集を組んだが、その紙面を読んでもらった上で、全国の痴呆性グループホーム三三八七カ所にアンケート調査を実施した。二二七カ所から回答を得た。
 まず、今後の高齢者介護を痴呆のお年寄りへのケアを標準に組み替えるとした点については、「当然」が最も多く四七%。日頃、痴呆高齢者に接しており、制度の手薄さを感じているだろう割には意外に少ない。
 今後のサービス体系の目玉としてすでに厚生労働省が力を入れ始めている「小規模多機能サービス」を新たな介護サービスの体系に組み入れることについては、「考え方に賛成」が七割を超えた。
 「小規模多機能サービス」について取り組み意向を尋ねたところ、「ぜひ」と応えたのは二七%。最も多かったのは、「報酬や人員配置の基準によっては取り組みたい」で五八%。
 逆にいえば、基準などの設定次第では、すでに三〇〇〇カ所以上ある痴呆性グループホームを拠点に小規模多機能ケアが一気に広がる可能性もある。(以下略)

養護やケアハウス 高齢化で要介護者増

 老人ホームで、介護保険制度に移行した特養やケアハウスは定員数、施設数ともに増加しているのに対し、養護老人ホームや軽費老人ホームA・B型は横ばいか減少していることが、厚生労働省が発表した「二〇〇二年社会福祉施設等調査の概況」から分かった。養護老人ホームでは入所者の高齢化が進んでおりADLが自立した者は約六割。ケアハウスでは、要介護認定者は四五%となっている。
 調査によると、養護老人ホームや特養、軽費老人ホーム、有料老人ホームなど老人ホームの定員は、前年比二万七一二四人増の五一万六五二七人。特養で一万六七二四人増、ケアハウスで五五七九人増となっている。一方、軽費老人ホームA型は二三九人減の一万四二九三人、B型は一三〇人減の一六八八人、養護老人ホームは七四人増の六万六六八六人だった。
 養護老人ホームでは、一九九六年の前回調査に比べると入所者の平均年齢は一・三ポイント増の八〇・八歳に。要介護認定者の割合は約二割だったが、入所者のADLの状況を見ると、自立している者(ランクJ)は前回調査より一〇・四ポイント減少し五八・三%に、軽度の介護状態(ランクA)は六・一ポイント増の三三%、寝たきり者(ランクB・C)は同二・三ポイント増の五・八%で、入所者のADLが低下傾向にあることがうかがえる。
 一方、ケアハウスの入所者の平均年齢は九八年の前回調査より二・四ポイント増の八〇・八歳。要介護認定者は約四五%だった。(以下略)

すでに支持あり「小規模多機能ホーム」

 すでに全国には多様な形で多機能なサービスを提供している小規模ケアホームがあり、各地で根強い支持を受けている。東京・大田区の「グループホーム寿々」もその一つだ。個室はないが、痴呆のあるなしにかかわらず、医療処置が必要な人も断らない。独自のやり方で地域のニーズに確実に応えている多機能サービスの一例だ。
 商店街に面した扉を開けると車いすや経管栄養のお年寄りが寛ぐデイルーム。すぐ横にはカーテンで仕切られたベッドが並び、点滴をしている人もいる。個室もない、たった三○坪の二フロアに一六人のお年寄りが暮らしていると聞いて驚く人は少なくないだろう。
 「寿々」は一九九七年、施設長の依田攝男さんと妻の美智恵さんが夫婦で開設したグループホームだ。ちょうど、国が北欧モデルのグループホームを制度化した時期と重なり合うが、依田さんの目的は最初から「基準外のケア」にあった。
 それまで一二年間勤めていた民間在宅サービス会社では二四時間の訪問や高齢者アパートなど多様なサービスを展開していた。しかし、それでも在宅生活が困難になったり緊急対応ができずに亡くなってしまうなどの苦い経験を味わった。
 「必要なのは、生活を支えるというより″生命を守る″という視点に立つことではないか」。そう思った時、どんな症状の人にも個別対応ができる場所をつくろうと決心した。
 寿々を住まいとして一八人の介護スタッフが交代で二四時間生活支援を行うとともに、訪問看護や往診など必要なケアがあれば地域のサービスを利用する。日中は散歩や買い物に行く人もいれば、趣味の裁縫や囲碁で過ごす人もいる。狭いスペースでも、一人ひとりの健康を守りながら、その人が輝くことだったらあらゆる資源を使って支援するのが寿々のやり方だ。
 利用料は自立度に応じて一日八○○○円〜一万八○○○円。外部の介護保険サービスと合わせれば最高で月四○万円になる人もいるが、何年も待った特養入所を断って選んだ人もいる。利用定員は常に一杯の状態だ。
 利用者を限定しないことで生まれた効果もある。重い痴呆のあるKさんと痴呆はないが身体障害のあるTさん。気丈なTさんは最初、Kさんがそばにいることを嫌がったが、共に寿々で暮らすうちお互いに世話を焼くようになっていった。今ではいつも二人一緒。強い信頼関係で結ばれていることが端から見てもよく分かるほどだ。
 「年を取って、他人の世話になって『ありがとう』と言うばかりの人生にしてしまいたくない」と依田さん。存在を認め合える関係づくりを支援することは、身体ケアよりもむしろ重要で高度な技術だと確信している。(以下略)

痴呆高齢者在宅支援 介護保険外の体制を

 在宅で暮らす痴呆性高齢者の支援のあり方を探るため、大阪市社会福祉研修・情報センター(右田紀久恵所長)が市の委託を受けて昨年から独自に実施している「痴呆性等高齢者サポート事業」が、このほど報告書としてまとまった。介護サービスの利用に強い抵抗があったり長時間の見守りが必要など、ケアマネジャーだけでは対応が難しい困難ケースでは、時間をかけた信頼関係づくりやアセスメントの実施などが効果的であるとして、介護保険外で専門的に支援する体制整備の必要性を提言している。
 同事業は、基幹型在宅介護支援センターと同センターとが共同し、昨年九月にスタートしたもの。まず、事業開始前にそれぞれの機関がかかわった相談事例をもとに困難ケースをピックアップしたところ、後期高齢者で要介護度が1〜2までと比較的軽いが、「独居」「妄想がある」「対人関係が上手くいかない」「長時間の見守りが必要」――などの特徴があることが浮かび上がった。物忘れなど痴呆の症状が出始めているのに診断を受けたがらないなど、支援自体を拒否している人も少なくない。
 事業では、こうした対象者に対して各基幹型支援センターが適切に対応できるよう、訪問介護経験のある「在宅相談員」を各センターに配置。地域の保健センターなどと連携しながら対応困難なケースの直接の相談窓口となるとともに、情報・研修センターが相談員の研修やスーパーバイズ、医療・福祉の専門的アドバイスを行う機能を担う仕組みとした。
 この結果、二つのセンターが対応した約二六○件の事例のうち、「介護保険サービスが円滑に利用できるようになった」「生活の安定が図れた」「行動障害が改善」「急変時の迅速な対応が可能になった」――など事業による取り組みが効果を上げた例が少なくないと報告。その根拠には、時間をかけた信頼関係づくりによるニーズの明確化とアセスメントの実施、痴呆専門医など専門医療機関による継続的なかかわりができたことなどのポイントがあったとする。また、スーパーバイズやコンサルテーションは、効果の見えにくい支援を行う援助者にとってストレス軽減に大きな役割を果たしたとしている。(以下略)

シーホネンス GMマークを取得

 シーホネンス(大阪府東大阪市、06・6784・0972)はこのほど、同社の電動ケアベッド「生活支援ベッドケプロコア800シリーズ」が国際的な第三者試験認証機関テュフラインランド(TUV)の試験で「GMマーク」の認証を取得した。
 同社によると電動ケアベッドの安全性は日本国内ではJISやSGマークなどがあるが、基本的には家具としての扱い。TUVの認証は医療機器として機械的な安全性に加え電気的な試験も行っていることで、より安全性が高いという。
 同社は現在の同社の製品が国際水準を満たすかどうかの確認の意味で取得を行った。
 国際的な安全性を満たしていることが確認されたことで将来的に国際市場も視野に入れた展開を図りたいとしている。



シルバー新報 2003年9月26日号の主な記事 見出しと要旨


在宅サービス需要2010年に3.4兆円

 介護が必要な状態にある人のうち、要介護認定を受けた割合である「認定率」は、二○○五年には八割を超え、二○一○年には九七%とほぼ全員が認定者となる。それに伴い在宅サービスの需要も現在の約二・六倍にあたる三・四兆円に――。こんな将来推計が十九日、内閣府の経済社会総合研究所による調査研究ではじき出された。介護保険制度が定着すれば認定を受けるまでの期間も短縮し、要介護認定者数が上昇する。結果的にサービスの受給率や一人当たりの給付額も押し上げるためだ。当たり前とはいえ、要介護認定率が介護保険財政に与える影響は、予想以上に大きく急ピッチのようだ。
 介護保険導入後の介護給付費の実績については、国民健康保険中央会(国保中央会)が毎月まとめているデータが公表されている。七月末にまとめたデータでは、今年四月の介護給付費総額は、報酬改定を受けて前月比マイナス三・六%となったものの三九二一億円。特に施設はマイナス七・五%と大幅ダウンしたのに対し、在宅サービスはプラス一・五%と″堅調な伸び″を見せた。介護保険が始まって三年、給付の伸びは、在宅分野の増加によるところが大きくなりつつある。
 今回の調査は、この背景にある要因が、サービス利用の″入り口″にあたる要介護認定者の比率の増加によるものとして着目、認定率の上昇を推計することでサービスの受給者率や一人当たりの費用額、さらには介護サービス需要を将来にわたって予測することを試みたものだ。
 内閣府が二○○一年と二○○二年に実施した要介護高齢者世帯の実態調査(サンプル数:一回目一○○五世帯、二回目一○七四世帯)を使った。介護が必要になった状態から実際に要介護と認定を受けるまでにかかった平均値をみると、二○○一年のサンプルで約三年、二○○二年では約二年。その時点での全体の認定率はそれぞれほぼ六割だ。さらに、一○年先までの予測値では、制度開始五年後の二○○五年には八三・五%と現在より二○%上昇し、二○一○年には九七・二%とほぼ要介護者の全員が「要介護認定者」となる見込みだ。時間の経過とともに身体状態や家族環境が変化すること、制度に対する学習効果が浸透することなどが、認定率の上昇を加速させる要因と分析している。(以下略)

NPOの有償運送など 67項目を規制緩和

 政府の総合規制改革会議は十九日、全国規模で規制を緩和する事項として、現在特区で地域を限定して行っているNPOによる有償運送など六七項目を挙げ閣議に報告、発表した。
 全国規模での規制改革要望は、今年六月の一カ月間、内閣府が受け付けを行った。民間事業者や地方公共団体などから一カ月で四一七項目の要望が提案されていた。
 総合規制改革会議はこのうち、全国規模で規制を緩和する六七項目を報告した。
 具体的には、現在構造改革特区として認定され、地域を限って行われているNPOによるボランティア輸送に係る有償運送は、必要に応じて内容を見直した上で、今年度中に全国に適用する方針を打ち出した。現行の特区の評価が行われるのは来年度以降。その結果を待たずに全国に拡大するというもので、半ば見切り発車的な展開だ。
 福祉分野では、工業地域でも一定の条件を満たせばグループホームを設置できるよう今年度中に用途地域規制を緩和する事項のほか、訪問介護事業者が行う移送サービスの道路運送法上の取り扱いを、実態も踏まえた上で〇四年度中に明確化すると明記した。(以下略)

発症直後の急性期リハ 在宅復帰へ見直しを

 自立支援と在宅推進に効果のあるリハビリテーションのあり方を議論する「高齢者リハビリテーション研究会(座長=上田敏日本障害者リハビリテーション協会顧問)が、十八日で第三回目を迎えた。これで各委員によるプレゼンテーションが一巡。在宅への流れをつくるためには、発症直後の急性期リハの見直しが必要とする意見が多く、今後の論点の一つになりそうだ。いよいよ来月から中間報告の取りまとめに向けた本格議論に入る。
 七月の発足から今回までの三回は、委員によるプレゼンテーション主体で進められてきた。現状の急性期から維持期にわたって提供されているリハビリテーションについて、ひとまずそれぞれの立場から課題を洗いざらい出してもらい、論点整理に向けた土台をつくりたいとするねらいからだ。
 今回意見発表を行ったのは、日本リハビリテーション医学会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会、日本看護協会の五団体。その中でいずれの団体からも言及があったテーマの一つが「急性期リハの見直し」だ。
 「発症後、二つの病院でリハを受けると、退院までにかかる期間が平均四三日も長くなる。急性期での対応のまずさにより、リセットに時間がかかることが理由の一つ」
 日本理学療法士協会・吉尾雅春神経系研究部会部長が、二○○○年に全国一八四病院を対象に実施した調査結果などをもとに急性期リハの質について指摘したのに続き、日本作業療法士協会も「高齢者のリハは入院期間をできる限り短期間にして在宅を基本にするのがベスト。急性期リハの役目は廃用症候群の発生防止に特化し、施設基準よりもマンパワー重視に変えるのが望ましいのではないか」(太田睦美保険部部員)と提案した。いずれも、現在の急性期リハが訓練室での機能訓練中心となっており、障害を抱えながらも在宅生活の復帰・継続を目指すリハビリテーションとは温度差があることを指摘するものだ。急性期リハに対して在宅への移行を早い段階で見極められる機能が必要との考え方だ。(以下略)

特区の波 1 千葉県 健康福祉千葉特区

 千葉県の「健康福祉千葉特区」は構造改革特区の第一弾認定組の一つだ。介護保険のデイサービスに空きがある場合に、知的障害者の受け入れを行う特例措置を導入。こうしたデイの混合利用型が特区で続々と認定されている。
 指定介護事業所における障害児等のデイサービスの容認――。この特例措置を申請し認定された特区数は現在全国で七カ所になる。
 千葉県の場合、八〇市町村のうち知的障害者のデイサービスがあるのは四市町村のみ。七六市町村ではその町でデイサービスを受けられない状況にあった。こうした状況を解消するために、介護保険のデイサービスを知的障害者や障害児も使えるようにし、一方では施設の利用効率を高めようというのが申請のねらいだ。
 同時に、県では昨年度から、これまで高齢者・障害者・児童というように対象別に行われてきた施策の垣根を取り払って横断的な施策展開を行う「健康福祉千葉方式」の考えを打ち出していた。健康福祉五原則と四つの重点施策を定めている。今回の特区は、千葉方式を進めるための一つの具体策という位置付けだ。
 四月の認定時には東金市と印西市の二市を対象地域としてスタート。印西市のNPO法人が運営するデイサービス「秋桜(コスモス)」では現在、同市で在宅生活を送っていた知的障害者の二人を七月から受け入れている。
 ただ、「障害者と高齢者は一緒にサービスを受けるのが絶対にいいというわけではない」と県健康福祉政策課の水田勲さんは話す。人によっては、高齢者が多数の空間になじめない人もいるからだ。重要なのは障害者にとって「新しい選択肢ができた」ことだという。一方、東金市の事業者では、高齢者や障害者、学童保育の子どもたちが一緒に日中を過ごす県独自のデイケアハウスのモデル事業を実施する。今月中には施設整備を終え、十月ごろからスタートする予定だ。(以下略)

あったら便利な夢の福祉用具 アイデアコンクール受賞作決定

 十月一日の「福祉用具の日」を記念して行われた「あったら便利な夢の福祉用具アイデアコンクール」の受賞作がこのほど決定した。最優秀賞は、下肢に障害のある人が自由に歩き回ることができるようにする超ハイテクボディスーツ。まさに近未来の「夢」だ。一方で、介護の現場や身近な日常生活に根づいたアイデアも。バラエティに富む楽しい内容だ。
 夢の福祉用具のアイデア募集には二カ月間で全国から七〇〇の応募があった。テーマ別にみると、移動関連が最も多く三割。中でも車いすにかかわるアイデアが多かった。誰にとっても最も身近な福祉用具といえるかもしれない。
 募集は六月二日から七月末までの約二カ月間。全国から七〇四作品が寄せられた。氏名不詳などで無効となった一五作品を除き、六八九作品の中から審査委員会(委員長・京極高宣社会事業大学学長)が入賞作品を決定した。
 応募者の傾向をみると、年代別・性別では、年代別では十代が一九七人と最も多く、全体の二九%を占め、次いで二十代の一三一人(一九%)、三十代の九九人(一四%)となっている。十代と二十代を合せると応募者全体の約五割。また、性別では女性三七五人、男性三一三人となっている。
 都道府県別の応募者をみると、静岡県が最も多く一○五人、次いで東京都の七○人、宮城県の五二人、島根県の四八人の順となっている。一方、職業別では学生が最も多く二五○人と約四割を占めている。
 応募作品の内容を取り上げているテーマ別にみると、移動関連が最も多く一九一作品(二七・七%)、次いでコミュニケーション関連が八七作品(一二・六%)、歩行補助関連が七一作品(一○・三%)の順となっている。(以下略)



シルバー新報 2003年9月19日号の主な記事 見出しと要旨


養護ホームでもケアプランを 評価は「要養護度」で

 介護の必要な人から身体的には自立でも生活面での支援が必要な人まで、多様な高齢者が入居する養護老人ホームで、入所者のアセスメントを行い適切な援助を提供するための「養護版ケアプラン」の手引きを兵庫県の養護老人ホーム関係者らが作成、全国に九五三カ所ある養護ホームに向けて配布した。入所者にどの程度の相談や見守りなどの援助が必要かを表すため「要養護度」という概念をつくり、養護ホームでのケアの中身を客観的に見えるかたちにし、その役割を明確にしたいというのがねらいだ。全国の養護ホームから追加の請求もあり四月に印刷した二〇〇〇部を完配、七月に五〇〇部を増刷した。反響は大きいようだ。
 養護版ケアプランは、神戸市の養護老人ホーム「神港園」の施設長・高谷敦子さんら県内の養護ホーム施設長一一人が二〇〇〇年末に発足させたプロジェクトチームで研究・作成を行った。
 養護老人ホームは二○○二年度末現在全国に九五三施設ある。特養が身体的な介護を要する高齢者を対象としているのに対して、養護ホームはADLは自立していても、家事援助や金銭管理、相談援助などの個別の生活援助を必要としているケースが多い。
 プロジェクトチームが昨年秋に兵庫県内の四一施設、二五〇七人の日常生活自立度、痴呆度などを調べたところ、食事や排せつ、歩行などが自立している入所者は八割以上を占め、身体介護を必要としているのは二割程度ということが分かった。一方で、外出や金銭管理で自立している人は三分の一で、協調性、問題行動、買い物などで援助の必要な人は半数近くに上った。こうした身体的な介護以外の援助の必要性を客観的に測る指標がなく、各施設が独自に対応していた。
 そこで高谷施設長らは、入所者の援助の必要性を測る「要養護度」という四段階の基準を作成。食事や排せつ、入浴などの「身体介護」、整理整頓、掃除などの「家事援助」、相談援助や協調性、問題行動、金銭管理などの「生活援助」の三分野四〇項目をチェックすると、判定が出る仕組みだ。ケアプランシート、カンファレンスシート、週間・日課計画表なども統一フォーマットを作成した。(以下略)

論点 介護保険部会から 運用状況 サービスや認定 ″たれ流し″に批判

 介護保険制度の見直しを議論する部会は十二日で四回目。運用状況の検証として、保険給付、要介護認定の状況等について事務局が資料を提出した。給付の伸びに大きな影響を与える軽度の認定者の伸びが課題とされた。次回以降は「検証」を踏まえて論点を整理し、年内にさらに議論を深めるスケジュールだ。
 一月当たりの介護給付費は昨年度で三七五四億円。介護保険初年度の二〇〇〇年度から三一%と大幅な伸びをみせている。内訳をみると施設給付の伸び率が一四%なのに対し、在宅六四・二%。施設三割、在宅七割だった給付割合も四対六に変わってきた。
 在宅給付の伸びの最大の要因はサービス利用者の増加だ。月平均の利用者は一七六・一万人で初年度の五割増し。厚生労働省の分析では、最も給付への影響が大きいのは要介護1〜2の軽度の高齢者の伸びだ。
 在宅利用者のうち、要介護1は二六・六%、要介護2が二〇・九%でおよそ半分を占めるようになっている。
 しかし、要介護認定者の被保険者数に対する割合は最も少ない茨城県一〇・八%から最も高い鹿児島県の一八・五%まで大きな開きがある。要介護度別の構成比も同様に地域によるばらつきが大きい。
 「認定率、軽度者の割合が都道府県毎に違う原因は何か。県内の勉強会では要支援の人への介護サービスは不要という声もあがっている。予防給付の効果があがっているか検証する必要がある」(潮谷義子熊本県知事)
 「老人会にきていた人が要支援なら簡単とすすめられ、認定を受け、デイに通うようになっている現実もある」(見坊和雄全国老人クラブ連合会副会長)
 「今の審査はケアプランと合っているかどうか見るだけ。中身の点検は介護でできるのか」(下村健健康保険団体連合会副会長)
 サービス、認定が「たれ流し」になっているという意見が相次いだ。一方で、「給付抑制ありきはよくない。現在の仕組みでは突発事故に対応できないという指摘もあり、在宅で必要なサービスが十分受けられているかを見極めないと施設志向はとまらない」(山崎摩耶日本看護協会常任理事)とする指摘もあった。(以下略)

ホームヘルパー 養成研修見直しを

 在宅介護の主力でありながら、″即席栽培″と揶揄されがちなホームヘルパーの養成研修のあり方を見直すため、群馬県榛名町の社会福祉法人新生会が昨年度から独自に研究事業を続けている。養成研修事業所や講師に対する研修や研修修了生に対する実態調査などを通じて課題を抽出、研修カリキュラムの標準化を目指す。研修の成果を確認するため修了時の試験導入の必要性など、具体的な提案も浮かび上がってきているところだ。これまで養成研修の見直しは行政レベルでも行われておらず、まずはこうした基礎的な教育のあり方から質の向上について考えてみる必要もありそうだ。
 ホームヘルパーの養成研修の問題は以前から指摘されてきたが、実際には一九九一年に研修システムが制度化され、九五年に現在の一〜三級のカリキュラム見直しがあったのみ。大きな見直しはされていない。介護保険の導入でさらに研修受講者は増えているのに現場では慢性的な人手不足、といった現象も続いていて、ちぐはぐだ。
 新生会が「訪問介護員養成事業担当者技能向上研修事業」に着手したのも、そうした問題意識が背景にある。一つの法人が中心となって研修事業の検証に乗り出すのは、全国でも珍しい試みだ。
 具体的には、学識経験者を中心に連絡協議会を設置。県内外の養成研修事業所と講師を務める人材の資質向上を目的に、@年四回の講演会、A高齢者のシーティングをテーマにした介護の実技能力向上研修、B実習教育のあり方検討会の設置・開催、C養成研修事業所と研修修了生に対するアンケート調査――などを行った。講演会のテーマも「仕事とストレス」「死をみつめる心」など、現在のヘルパー養成研修やテキストではあまり見られないテーマを取り上げたり、介護労働法などについての講義も行った。
 中でもアンケート調査では現状の研修内容の課題が浮かび上がった。八一カ所の養成研修事業所(一級・六件、二級・五五件、三級・一七件)と一○七人の研修修了生から得た回答内容を分析したところ、受講生への添削課題を「毎回課している」のは最高の一級でも四割。「実習の評価の実施」は一級六割、二級三割、三級二割弱。さらに、「修了試験の実施」については、一級が全事業所で実施しておらず、二級で筆記あるいは実技試験を行っているのが一六%。三級は六%とほんのわずか。
 一方、研修修了生では研修修了の効果測定として全体の七割が「筆記・実技試験ともに実施すべき」と答えており、現在の研修内容に不足を感じていることが分かる。また、ホームヘルパーは修了証の交付だけで″資格″ではないが、例えば訪問介護士(仮称)など国家資格化を進めていく考えについては、事業所側で「賛成」が四六%と「現状維持」を上回ったものの、研修修了生では「現状維持」が五四%と過半数。(以下略)

介護特約の加入率増加

 生命保険加入者のうち、介護保険・介護特約の加入率が前回の六・九%から一六・四%に増加していることが、生命保険文化センターが十一日発表した「生命保険に関する全国実態調査」で分かった。世帯主や配偶者が要介護状態になったとき、介護保険以外に平均で六七五万円の資金が必要だと考え、不安を感じている人が八五・九%に上っている。
 前回の二〇〇〇年度調査では民間の生命保険に加入している人のうち、世帯で六・九%だった介護保険・介護特約の加入率が一六・九%に伸びた。世帯主では一二・九(前回五・〇)%、配偶者は七・〇(前回二・九)%。
 世帯主や配偶者が要介護状態になった場合、介護保険の適用範囲のほかに住宅改造などの初期費用として必要と考えている金額は三〇〇万円未満層が三九・四%、二〇〇〇万円以上の層も九・五%となった。平均で六七五万円。この蓄えに関して「不安」「非常に不安」は合計で八五・九%。特に「非常に不安」が五〇・四%と五割を超えている。実際にこの費用の準備に期待できるものは「預貯金・貸付信託・金銭信託」が三七・一%と最も多く、次いで「生命保険」一九・八%、「不動産」一三・〇%と続く。「期待できるものはない」は三一・九%だった。
 こうした状況を反映して今後保険に加入や加入の意向のある保障内容では「介護費用の準備に重点をおいたもの」が三五・二%。病気やけがの保障、同入院、老後の生活資金準備に次いで高い。(以下略)

アイホン PHS端末1台でOK

 アイホン(愛知県名古屋市、052・682・3877)はこのほど、PHS端末(写真右)一台で患者照合システムとナースコール応答ができる制御装置(写真左)を発売した。これまでは両機能の一体化を実現したものはなく、別々の端末を持つ必要があった。
 「患者照合システム連動用ナースコール制御装置」は同社のPHSを使ったナースコールシステムにNECインフロンティアの電話交換機と島津エス・ディーの患者照合システムと接続できる機能を内臓している。
 同社によると患者照合システムは薬剤投与時などに本人確認が簡単にできることから導入が増えている。患者のリストバンドについたバーコード情報を読み取って本人確認などを行うPHS端末で、患者からのナースコールに応答することが可能になった。看護師は患者への応答や本人確認、仕事上の連絡などをPHS端末一台でできる。
 同社は医療過誤に対する精神的な負担を軽減し、看護業務をスムーズに行うのに役立つシステムとして積極的に販売する。ナースコール制御装置は一台一一〇万円(患者照合システム含まず)。(以下略)



シルバー新報 2003年9月12日号の主な記事 見出しと要旨


高齢者ケアシステム 10年後視野に研究

 厚生労働省は八日、高齢者介護現場における先駆的・試行的な研究や取り組みを推進するため、今年度、新たに「未来志向研究プロジェクト」を実施することを決めた。二四時間の在宅介護を支えるサービス提供体制や痴呆ケアの確立、介護予防事業の開発など、″十年後″の高齢者ケアシステムの骨格となるような、現場レベルの実践を支援するのがねらい。先行して打ち出された高齢者介護研究会報告書を念頭に置いた実践版といえる。高齢者事業の実施経過や評価結果は公表し、介護保険制度の見直しにも反映させたい考えだ。
 介護保険見直しに反映も
 同プロジェクトが視野に入れる「十年後」とは、六月に中村秀一老健局長の私的研究会である高齢者介護研究会が報告書で提案した「二○一五年の高齢者介護」とリンクするものだ。
 介護を必要とする高齢者像は、団塊の世代が六五歳以上となる約十年後には大きく変化する。その時利用者のニーズに即応できる制度や施策を確立しておくための準備の一環として、同プロジェクトは位置付けられている。
 地方公共団体や公益法人から募集する。一五事業程度を採択した上、五○○万円〜一○○○万円程度の補助を行う。計画書の提出は来月十五日まで。十一月上旬に実施事業を決めるスケジュールだ。
 ○五年度に控えた介護保険制度の見直しに向けて、特に現場レベルでの独自の取り組みをモデル事業として支援し、制度改正や新たな施策に反映させるのが最大のねらいのようだ。在宅推進が思うように進まない介護保険に対する同省のてこ入れは、見直しの本格議論を待たずしてすでに始まっており、プロジェクトは、いわば高齢者介護研究会報告書の実践モデル版といえそうだ。(以下略)

制度見直し ソロリ前進

 厚生労働省は九月八日、全国介護保険担当課長会議を開催した。給付の伸びへの警戒感は相変わらずだ。今回、最も力が入ったのは、同省が制度見直しのたたき台とする「高齢者介護研究会」の報告書や、小規模・多機能ケア、リハビリのあり方の見直しなどについての説明だ。少しずつ来年度概算要求にも反映されており、議論の本格化を待たずに実質、走り出したともいえる。
 ●適正化事業
 今年度からスタートした「介護給付適正化事業」については、八月までに二三七自治体からの申請を受け付けた。総額七〇億円分のうち一五億円。しかし、今後、九月議会で補正予算編成後に申請する自治体も多く見込まれており必ずしも少ないというわけではないという。しかし、都道府県により取り組みに温度差があり、認定率が高い、サービス利用の状況に片寄りがあるなどの保険者でもまだ取り組んでいない現状があると指摘。都道府県に指導を求めた。単年度事業に終わらせず当面、来年度、再来年度については引き続き予算要求していく考えだ。
 適正化事業は一保険者当たり一〇〇〇万円で「適正化」にかかわることであれば内容に限定はない。現在までのところ、取り組み内容の三割がケアプランのチェックで最も多い。次いで、給付額の高齢者への通知、訪問調査が一割程度。
 ケアプランのチェックでは、北海道・釧路市はケアプラン点検員を配置し、給付状況をチェックし、アドバイスする。岡山県鴨方市では第三者のケアマネジャーが訪問し、ケアプランの内容と訪問状況などを調査するなど。横浜市では要介護認定の適正化のため、各事業所の要介護認定の委託件数の三%について市職員が再調査し、結果をもとに事業所を指導する事業を実施する。国保連合会が開発している給付分析システムは○四年一月に稼働予定。
 そのほか、事業所指導マニュアル、要介護認定などにかかわる適正化指針を年度内にはまとめる予定だ。(以下略)

医務室や機能訓練室廃止 否定的意見が8割に

 全国老人福祉施設協議会(中村博彦会長)はこのほど、四月の報酬改定で個室・ユニット型の新型特養(小規模生活単位型特養)が新たに施設体系に盛り込まれ、それに関連して医務室や機能訓練室などが省令改正によって設備基準から削除されたことなどについて、アンケート調査による施設経営者の意見をまとめた。医務室等の廃止については「反対」など否定的意見が約八割と圧倒的。重度化していく入所者の生活を支えるためには、医療やターミナルケアなども積極的に担える多機能性が求められているとして、特養ホームの機能を単なる生活の場と位置付けることには否定的な見方が大半を占めた。
 調査は「特養解体阻止アンケート」として全老施協会員施設を対象に六月〜七月にかけて実施。一○九四施設から回答を得た。四月の報酬改定や基準省令改正等を踏まえ、今後本格化する介護保険制度見直しで特養ホームの制度上の位置付けが大きく変わることが予想される″危機感″が背景にある。
 調査結果によると、省令改正によって特養ホームが「生活の場である」と限定されたことについて否定的意見は七一・七%。その代表的な理由は、「特養ホームは純粋な生活の場ではなく、機能訓練や医療、ターミナルなど重度化していく入所者の生活を支える多機能性を持つ」というものだった。そのため、医務室や静養室、機能訓練室が設備基準から削除されたことについても利用者の実態を無視した画一的な判断であるなど、「反対」とする意見が七八・五%を占めた。(以下略)

障害者福祉 介護保険と一本化も

 今月八日に開催された、厚生労働省の第七回障害者(児)の地域生活の在り方に関する検討会で、先ごろまとめられた老健局の高齢者介護研究会報告書「二○一五年の高齢者介護」が紹介された。同報告書は、介護保険制度見直しの″青写真″として痴呆高齢者を標準とする地域ケアの確立を提案したもの。高齢者の介護保険と障害者福祉の一本化については今後の見直し議論で注目されているテーマの一つだが、障害当事者の反発は根強い。報告書を紹介した高橋紘士立教大学教授は、「高齢者の尊厳を支える地域包括ケアシステムの理念の普遍化は、その人らしい生活を支える仕組みという観点において障害者ケアにも通じる」とした上で、財源面も含めて統合的に議論していく価値があると提案した。
 同検討会はこれまで六回にわたって障害当事者団体等によるヒアリングが行われ、今回から障害者の地域生活を支えるサービス体系のあり方について議論が開始されたところ。今年四月から始まった支援費制度の実施状況をサービス提供主体である三団体が実績をもとに報告したのに続き、検討会委員であり、高齢者介護研究会のメンバーとして報告書の取りまとめに関わった高橋教授がその概要を説明した。
 高橋教授は、同報告書のポイントを「従来の寝たきりケアモデルから、最も弱い在宅の痴呆高齢者の生活ケアの構築に転換した点」と言い、グループホームや施設のユニットケアの普及、そして小規模・多機能サービス拠点を新たに整備することによって日常の生活圏域を基本とした在宅サービスのケアモデルの構築を目指すものだと説明。その根底を流れる視点には、高齢者ケアに関わる社会の意識と制度が、従来の「自分に関わりのない彼ら(三人称)のためのケア」から、「当事者(一人称の)として自己決定が重視されるケア」へと変わりつつあることとした。(以下略)

ヘルパー講座受講料 最大で8割を返還

 人材派遣のピープルスタッフ(愛知県名古屋市、052・953・5001)は九月から、同社から介護事業者に派遣されて就業したヘルパーに資格取得にかかった受講料を最大で八割返還する制度を開始した。介護事業者のヘルパー派遣要望が高まっていることに対応したもの。介護事業者で人材育成機関を設けている場合は同様の制度を設けることはあるが、派遣業者では珍しい。現行八〇〇人のヘルパーを一〇〇〇人に拡大する計画。今後は東京、大阪圏でも同制度で登録者を増やしたい考えだ。
 この制度は機関を問わず、二年以内に講座を受講したホームヘルパー二級の取得者が対象。最大で八万円の受講料を返還する。
 金額は同社の派遣した介護現場の仕事に就業した期間で三種類。八〇日以上の就業なら受講料の二〇%、一二〇日以上で五〇%、二〇〇日を超えると八〇%を同社が支払う仕組み。最大八万円が登録者に返ってくる。講座受講料は三〜八万円が相場だ。
 ヘルパーの利用は右肩上がりだが、介護事業所のニーズは「深夜勤務に対応できる人」というように条件が厳しくなっている。登録者数を増やすことで条件に合致するヘルパーを確保したいという。順次東京、大阪でも同様の制度で登録者拡大を図る予定。



シルバー新報 2002年9月5日号の主な記事 見出しと要旨


ケアマネの全国組織が発足 意見、要望を提言

 各都道府県のケアマネジャー連絡協会を会員とする「全国介護保険制度支援専門員連絡協議会」が八月三十一日に設立され、会長にNPO法人青森県介護支援専門員連絡協議会副会長の木村隆次氏が選ばれた。現場で働くケアマネジャーの介護保険制度に対する意見や要望を吸い上げ、国に提言していくとともに、専門職としての資質の向上と地位の確立を図ることが目的。今後一年をめどに、個人加盟の職能団体「日本介護支援専門員協会(仮称)」への発展を視野に入れたスタートだが、会員である各都道府県の連絡組織の性格や規模のバラツキは大きい。内部の足並みをそろえることが最優先課題といえそうだ。
 設立総会では各ブロックから選出した一三人の理事を選出。会長にはNPO法人青森県介護支援専門員連絡協議会の木村隆次副会長、副会長にNPO法人神奈川県介護支援専門員協会の齊藤学理事長、熊本県介護支援専門員連絡協議会の米満弘之世話人が選ばれた。
 会費は各県連絡会につき十万円。都道府県連絡協会等に所属するケアマネジャーを対象とした介護保険制度見直しについてのアンケート調査や、熊本県で開催されるブロック研究大会の後援が今年度事業として挙げられた。アンケート調査の取りまとめについては同日調査・研究部会を発足。結果をまとめた上で、早ければ十月に開催される厚生労働省の介護保険部会に提出する見通しだ。
 総会後には厚生労働省老健局振興課の佐藤信人課長補佐が講演を行い、「ケアマネジャーには励ましあい高めあう仲間組織が必要。優れた点を定着させ、短所をなくすために力を発揮してもらいたい」と連絡協議会への期待を述べた上で、「ケアマネジメントについての基礎的なトレーニングの機会を協議会で設けてほしい」と要望した。
 これを受け、木村会長は「ケアマネジャーからの要望を集約し提言する一方で、襟を