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社会保障審議会介護給付費分科会(西尾勝分科会長)は九日、来年四月から介護報酬の総額を全体として引き下げる基本方針をまとめた。居宅介護支援など在宅サービスを引き上げ、特別養護老人ホームなど施設サービスを引き下げる。七月に示されていた案と比べると、サービスの質の向上や自立支援のためのリハビリ、施設毎の特性でメリハリを付けるかたちになった。(関連記事=3面)
基本方針では、報酬改定は保険財政への影響が大きいこと、賃金・物価の下落傾向を踏まえ、「適正なものとすることが必要」と引き下げ方針を明記。このため、保険給付の六割を占める施設で引き下げ、居宅介護支援など引き上げが必要な分野に重点的に配分する。
介護保険財政は半分は公費で賄われており、国庫負担額分の予算折衝が給付費総額を左右する。下げ幅は財務省が五%を主張しているが、厚労省は小幅にとどめるよう求めており、最終的には年末までに確定する。総枠決定後、各サービスへの配分を決める。
「どさくさまぎれ。絶対に認められない」
同日の審議会では、報酬設定にあたって施設毎の「税制上の取り扱いへの配慮」を入れるかどうかを巡って中村博彦全国老人福祉施設協議会会長が気色ばむ場面があった。最終的には修正されたが、三施設中最も収益率が高く、税制上の優遇も手厚い特別養護老人ホームが集中砲火を浴びかねないことの危機感がうかがえる。生活施設をうたってきた特別養護老人ホームで重度者に報酬を傾斜配分することは、目立たないが、大きな政策転換だ。
一方、老人保健施設についても、今後はリハビリテーション機能を充実させた施設で相対的に報酬を引き上げることで、入所が長期化した施設との差別化が進むことになる。十七年度からの制度見直しの大きなテーマとなる施設再編の布石とも読める。
引き上げ予定の在宅サービスでも「質の向上」で厳しい注文がついた。夜勤加算の創設が決まった痴呆性グループホームでは、トータルなアセスメントが条件に。居宅介護支援では、ケアプランに盛り込まれるサービスが四種類以上の場合は加算となり、定期的に利用者宅を訪問しない場合はマイナスなど査定を導入。
質の向上のためと説明されるが、利用者がサービスを受け入れないため説得に時間がかかるなどサービス数とケアマネジメントの質はリンクしないという声が現場から強い。また、自治体側からも、実際に訪問したかどうかを誰がチェックするのかなど、運用面を懸念する声があがっている。
訪問介護サービスの「家事援助」の新名称は最終的に「生活援助」となった。(以下略)
日医総研はこのほど、「改訂版一次判定ソフトの概要と課題」と題したワーキングペーパー(WP)を公表した。調査の結果、改訂版ソフトの「自立」と「要支援」の区別はよりあいまいになり、動ける痴呆の評価も不十分といった問題が依然残ったままと指摘している。
現行の一次判定ソフトは痴呆の評価が低く出ることや、給付の境界である「自立」と「要支援」、施設入所の境界である「要支援」と「要介護1」の境界があいまいな点が問題点として指摘されていた。
これらを受けて厚生労働省は、昨年から今年にかけて改訂版ソフトを開発した。
改訂版の主な変更点は、@調査項目が八五項目から七九項目に減少A食事、排せつ、移動などの樹形図を、九種類から八種類(整容と入浴を一本化)にB要支援の基準時間を「二五分以上三〇分未満」のみとしたC一次判定を変更する場合の指標など二次判定の資料の充実\\など。同省はこのソフトを用いて、全国三四市町村での第一次要介護認定モデル事業と、全市町村での第二次要介護認定モデル事業を行っている。
WPは一次モデル事業報告の結果をもとに、同一対象者に対する現行と改訂版での一次判定結果の変化を比較・検証した。
それによると、平均要介護度は現行一・八二、改定版で一・八七と改定版のほうが重くなっていた。「要介護5」「4」ではほとんど同割合だったが、要介護1では一〇・八ポイント増(三五・六→四六・四%)、要支援では一〇・三ポイント減(二一・七%→一一・四%)となっており、軽度の層でソフト変更により一次判定が変わっていることが分かった。改訂版ソフトでは、現行より軽度層の推計時間が若干多くなるため、要介護1の割合が増加したと分析している。
また、三四市町村のうち、二町村から調査協力を得て、現行と改訂版の一次判定結果の比較検証も行っている。対象者四二六人中、現行と改訂版の一次判定が一致した人は二五六人(六〇・一%)、異なっていたのが一七〇人(三九・九%)だった。うち動ける痴呆の人は二四人で、現行と改訂版による結果が一致したのは一一人(構成割合四五・八%)、改訂版の方が高かったのが五人(同二〇・八%)、低かったのが八人(同三三・三%)だった。(以下略)
子どもを産み育てることを社会で支援するという理念に基づく「育児保険制度」を上智大学の山崎泰彦教授(写真)が提案している。介護の次は「育児の社会化」をうたう構想の実現に意欲を見せるが、抵抗、反対意見もある。議論はこれからだ。
今月七日、産官学民が世代間連帯の社会を市民の立場から構想する「シニア社会学会」が、「次世代支援」をテーマに定例会を開催した。講師は、この夏、持論の「育児保険制度」構想を発表した上智大学の山崎泰彦教授だ。
構想では、児童手当などの「福祉制度」と、育児休業給付などの「社会保険制度」が併存する現行の育児支援策を保険で一元化し、親の所得や働き方に関係なく、必要としている子どもにサービスを提供することを目指していると説明。基本モデルは介護保険制度で、保険者は市町村、保育所・幼稚園・ベビーシッターなど多様なサービスを対象にし、合わせて現金給付を行う。保育所でも「保育に欠ける」要件は外し、均一料金で誰もが利用できる体制を整えるという。将来的には、介護保険と一体化させた「福祉保険」の展望も示した。
講演を聞いた三〇人の参加者からは「新たに社会保険制度をつくるのは難しい」「所得に関係なく給付を行えば、サービス需要が高まりかなりな財源が必要となる」など実現性を疑問視する意見も出た。山崎教授は、「育児の社会化への抵抗が強いことは承知している。さまざまな意見を出し合って議論していきたい」と意気軒昂だ。
来年度から始まる支援費制度に向け、現在各都道府県ではサービス提供事業者の指定手続きが進んでいる。報酬の仮単価も示され、在宅分野では特に介護保険のホームヘルプサービス事業者の参入が期待されていたが、現時点で積極的に指定を受ける事業者は少ないようだ。
厚生労働省は多くの民間参入を促して十分なサービス量を確保したい狙いだが、利用者の相談窓口となるケアマネジャーの不在など事業者にとっての懸念材料もある。
支援費制度は介護保険と同じように、法人格があれば民間事業者も在宅サービスの指定事業所となることができる。九月に示された報酬の仮単価では、身体介護、家事援助、移動、日常生活支援の各サービス類型でそれぞれ介護保険と同水準となった。しかし、現在のところ積極的な参入意向は見られない。
「現在マーケット調査中。参入するかどうかは終わってから検討する」(ニチイ学館企画広報室)
「全く検討していない。社内で話題にも上っていない」(ジャパンケアサービス担当者)と、大手どころは揃って後ろ向きだ。
ある中堅事業者は、指定を受ける方向で準備を進めているが、「これまで自治体の委託を受けているためやらざるを得ない」と″消極派″。介護保険のようにケアマネジャーが制度に位置付けられていないことも不安材料の一つという。
東京都の指定状況を見ても、今月一日までに指定した一○三の事業所のうち、介護保険とのダブル指定は八七カ所。一見参入は進んでいるようだが、四分の三以上は委託事業者で占められている。都市部でも積極的な参入は進んでいないことが分かる。
対象者の違いは事業者にとって大きい問題だ。高齢者と比較してサービスに対する権利意識が高く、主体的に生活を組み立てていくという意思が強い。特に身体障害では自立運動などの歴史もあり、当事者同士のピアカウンセリングや個人でヘルパーを雇用するケースも広がっている。
「それだけ、ヘルパーに求める要求のレベルも高いということ。参入意欲はあるが、今のスタッフで対応できる自信はない」。さいたま市内を中心に五カ所のヘルパーステーションを運営するウイズネットの手塚澄子専務はそう話す。ニーズがはっきりしている分、サービスに対するクレームも出てきやすい。対応しきれるかという不安は多くの事業者の本音だろう。
一方、そうした障害者サービスの特徴を前向きにとらえる事業者もいる。コムスンは、都内で四カ所の事業所を指定済み。「クレームが増えるのは承知している。むしろ、高齢者からは出てこなかった意見を聞くことができるメリットは大きい」(頭島常務)。介護保険でサービス提供実績のある地域で順次、参入を考えていく予定という。(以下略)
来年四月からの新介護報酬に対応したソフトは、少なくともメーカー等の準備状況を見ると、三月までに大半のソフトが発売になる見込みであることが、本紙アンケートで分かった。回答のあった四五本のソフトのうち、半数近い二二本が「メンテナンス契約者には無料でバージョンアップ」する。「特別メンテナンス料設定」「新版に買いかえてもらう」を合わせた回答とちょうど同数。ASP方式の回答も増え、パッケージでも月額利用料方式を取っているところもあるため、これらを含めると今回のバージョンアップが「有料」となるのはむしろ少数だ。
アンケートは十一月下旬に約一〇〇社のメーカー・取扱会社などソフト各社を対象に実施し、九日までに二七社から四五本の新介護報酬対応の介護保険業務支援ソフトの回答があった。このうち四〇本はパッケージソフトだが、五本はインターネット経由でソフトを利用するASP方式。提供開始時期は表の通りだ。
なお、アンケートでは販売実績も尋ねており、四五本の現行バージョンの実績合計は約三万事業所、七万本。本紙が今年五月から六月にかけて行った居宅介護支援事業所アンケートでの採用事業所数上位二〇社のうち一二社(シェア合計約五二%)が回答している。
回答時点での新版提供開始時期については、「決定済み」が三七本に対して、「検討中」は八本。二月発売を決めているのは一六本。介護報酬の新単価の公表を受けてすぐの提供開始を予定しているが、詳細設定は後日のメンテナンス時になるものも出てきそうだ。三月発売は「時期検討中」の六本も含めると二四本となり、もっとも多い。
報酬は一月中には確定予定だが、細部が固まるのはその後しばらくかかる。ケアマネなどが新しいソフトに慣れる時間を確保することを重視するか、完成度を重視するかが分かれ目といえそうだ。
新介護報酬対応版の価格やバージョンアップ費用の質問では、四五本のうち約半数の二二本がメンテナンス契約者には基本的には無償でバージョンアップする。現場作業費が必要になるケースもあると但し書きしたところもあるが、最初から予定されていた制度四年目からの介護報酬改定での高額な追加徴収は無理と考えたメーカーが多かったようだ。
「特別メンテナンス料を設定」したのは一〇本。その金額の回答は少なく、なかには三〇万円のところもあるが、せいぜい五万円まで。「新版に換えてもらう」は二本で、その価格はやはり不記入やオープン価格としたところが多い。ASPなどの月額利用料方式の価格は三〜八万円であり、利用者一人当たり五〇〇円という課金方法もあった。
支援費制度に半数が対応
アンケートでは、来年四月からスタートする障害者の支援費制度に対応した業務支援ソフトの提供予定についても尋ねた。二九社のうちASP一社を含む一四社が発売予定などを回答した。
すでに発売しているのは三社だが、四月までにはあと一〇社程度が介護保険業務支援ソフトの経験を生かして参入する。基本価格は三〇万円程度から一五〇万円まで。初年度レースの真最中だ。(以下略)
医療法改正で精神科など特殊な病床以外については来年八月末までに「療養病床」「一般病床」を選択し、届け出をしなければならない、しかし締め切りまで一年を切って届け出を行っている病棟は、二割程度しかないことが、厚生労働省のまとめで分かった。期限までに届け出を行わない場合は、病棟開設の許可が取り消される。介護保険の新しい報酬が来年一月に固まることから、様子見を決め込む病院も多いと推測されている。
病床区分の導入は、昨年四月に施行された第四次医療法改正に基づくもの。これまで「精神」「結核」「感染症」以外の病床として一括りにされてきた「その他病床」は急性期を担う「一般病床」と「療養病床」に区分される。対象となる病院はどちらかを選択し、来年八月末までに都道府県に届け出をすることが求められている。
同省は今年九月、各都道府県に対して、病床区分の届け出状況の調査を実施した。それによると、届け出を行わなければならない「その他の病床」は、一二七万八五八四床。うち届け出を行った病床は一般病床一九万一八八二床(一五%)、療養病床一〇万一四六八床(七・九%)の合わせて二九万三三五〇床で、全体の二二・九%にとどまった。
残り九八万五二三四床(七七・一%)が今後届け出を行う必要がある。都道府県別に見ると、最も届け出が進んでいるのは、山口県(六二・六%)。まったく届け出がないのが鳥取県だった。三〜四割が届け出済みの四国四県が、全国的に最も進んでいる。一方、東北、近畿地方などで動きが鈍い。
療養病床は、医療保険か介護保険かを選択できる。厚労省では、人員や設備が未整備でも前倒しで届け出を受け付けるよう対応してきたが、それでも進まない原因として、同省医政局総務課は「一月に決定する予定の新しい介護報酬の状況を見極めているのではないか」と推測する。
最初の届け出は医療機関の自由意思だが、いったん届け出た後での区分変更は「許可」。急ぐ理由はない。(以下略)
厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会で進められている介護報酬の見直し作業を受けて、個人加盟の労組の連絡会「介護ユニオン連絡会」(鴨桃代代表)は十一月三十日、「引き下げの『見直し』は認めない」と題した集会(写真)を開催した。現場で働くヘルパーらが集まり、「生活支援の若干の引き上げでは、複合型を廃止した分、全体としては引き下げとなる」と主張し、報酬の引き上げによる労働条件の改善を訴えた。
介護ユニオン連絡会は、労働者供給事業関連労働組合協議会と、介護・福祉ユニオンネットワーク(東京ユニオン、千葉なのはなユニオン、下町ユニオン)の連絡会。集会には、各労組に所属するヘルパーや民主党議員などが参加した。
連絡会の林丘事務局長は、現行の報酬について@そもそもの報酬単価が低いA報酬に占めるヘルパーの賃金の割合が低い――の二点を問題提起。分科会の審議では、現行三類型の報酬を「身体介護」と「生活支援」の二類型に変更した上で、生活支援は若干引き上げ、身体介護は現状維持か引き下げの方針が出ていることに対して、「複合型が廃止される分だけ生活支援の報酬が引き上げにならないと、全体としてはマイナスになる。『少々の引き上げ』は引き下げと同義」と指摘し、生活支援の引き上げ幅を大きくし、「身体介護」との格差をできるだけ縮めるよう訴えた。
会場からは「見直し案はケアマネジャーの中立、ヘルパーの地位向上という方向性に矛盾する内容」との批判も。参加したヘルパーらが演題に立ち、「家事援助は報酬改定で二倍になると自分に言い聞かせて二年間がんばってきた。若干の引き上げでは納得できない」と、労働条件の改善につながる報酬改定を求めた。
厚生労働省は今年七月、介護報酬見直しの骨格を発表。同連絡会は「要求が反映されていない」として十月、
▽「生活支援」と「身体介護」の格差を最小限に留める
▽介護報酬の平均単価(ヘルパー賃金、事業者の管理費・利益の合計)約二七〇〇円を三二〇〇円に引き上げる
▽報酬に占めるヘルパー賃金の割合を実績の四五%から六五%以上に引き上げるため、事業者に適正なマージンを指導する――など一一項目を盛り込んだ要望書を同省に提出した。
日本ケアマネジメント学会(理事長=井形昭弘あいち健康の森健康科学総合センター長)は、今月一日に開催した第一回研究大会(写真)の中で、ケアマネジャーの資質向上を目的とした「学会認定ケアマネジャー制度」を創設するにあたって資格要件や認定の手続きなどの骨子を明らかにした。在宅のケアプランに関わる実務経験三年以上のケアマネジャーを対象とし、施設内のケアマネジャーは対象外。当面は、介護保険サービスの利用者についてのケアマネジメントに限定する″介護保険優先″路線でいく方針だ。(吉田乃美)
認定ケアマネジャー制度は、介護保険制度において大きな課題となっているケアマネジャーの質の確保策の一つとして、昨年七月の設立当初から学会が提案してきたもの。介護保険制度上での位置付けはないが、「ケアマネジャーとして実務に携わる人の向学心をかきたてる」(学会理事の竹内孝仁日本医科大学教授)意味合いも込めて、医学会では一般的な専門医制度を取り入れたかたちだ。
学会理事らが提案した制度の枠組みでは、認定の対象者を当面、在宅で介護保険サービスを利用する高齢者のケアプラン作成に三年以上の経験を持つケアマネジャーとし、施設のケアマネジャーについては在宅復帰に関わっている場合のみに限定する方針。在宅重視、という介護保険の主旨にのっとった形でスタートさせることを明らかにした。
その他の申請資格要件としては、@都道府県や地域の連絡協議会の会員であること、A学会主催もしくは学会が承認する各種研修会やシンポジウム等への一定以上の参加実績、B実際に担当した利用者三○名分の事例概要と、要介護度別・困難事例の詳細なレポート――など。試験方法については現在検討中だ。(以下略)
ニチイ学館(東京都千代田区、03・3291・2121)の二〇〇二年九月中間期の連結決算は、売上高が前年同期比二六%増の八二七億円、経常利益は五四億八三〇〇万円の黒字で、いずれも中間期では一九七三年の設立以来、過去最高を記録した。訪問介護サービスや福祉用具レンタル・販売を中心とするヘルスケア部門と、ヘルパー講座など福祉関連の教育事業の好調が牽引役となった。当期純利益も二九億二八〇〇万円の黒字。
二〇〇三年三月期の業績については、売上高一七一五億円、経常利益一二七億円の黒字基調を予想。うちヘルスケア事業のみで売上高六二〇億円を見込むなど、医業事務と並ぶ主力事業として位置付けていく。また、今年から開始したドイツからの福祉用具の輸入販売・レンタルについて、車いすだけでなくベッドや介護用リフトも展開していく。
ヘルスケア事業は、訪問介護などの各種サービスが売上高、利用件数ともに伸長し、三月の単月黒字化達成後も順調に推移。
また、福祉用具レンタル・販売で、今年子会社のアイタックを吸収合併して国内の拠点整備に緒をつけたほか、ドイツのサニテーツハウス・アクトェル社と独占契約を結び、車いすを中心とした福祉用具を輸入・提供するなど新展開を見せた。
この結果、住宅改修も加えた同部門全体の売上高は前年同期比六三%増の二八一億円、経常利益で一五億円の黒字となり、同社の基幹事業として定着した。
このうち福祉用具では、ドイツ・マイラ社の車いすが十月の発売開始後三〇〇台を突破。今後介護用ベッドや、来年レンタル品目に加わる見込みの強い入浴用リフトを輸入し、国産品と共にナウネットの供給網を生かして拡販。「車いすで三万台、ベッド五〇〇〇台、リフト三万台を供給し、改修も含め一四〇億円の売り上げを目指す」(寺田大輔常務)としている。(以下略)
主に施設や病院で利用されてきた介護食品は、在宅介護が進むにつれ家庭で使われるようになり、メーカーも在宅市場に力を入れている。日本介護食品協議会(会長=伊東佑文・キユーピー常務取締役、東京都千代田区、03・3213・4751)は、介護食品を製造販売する食品、容器メーカーなどの集まりだ。「介護食」のイメージを変え、種類や用途がユーザーに分かりにくい現状を改善するため「ユニバーサルデザインフード」(UDF)を提唱。統一区分表の作成やロゴマーク認定、自主規格策定などを通して普及を目指す。(後藤隆)
日本介護食品協議会
日本介護食品協議会は、事務所を置く日本缶詰協会が二年前に介護食の市場調査を行ったのをきっかけに、同協会のWGとしてスタートした。市場の実態を調べるうち、介護食を提供する側が食品系だけでなく、飲料メーカーや製薬会社などさまざまで、定義や区分も違い、市場規模もはっきりしないことが分かった。その後、準備委員会を経て今年四月に発足。十一月末現在の会員数は四六社だ。 同協議会が発足以来提唱しているのが「介護食からUDFへ」だ。同協議会の稲垣聡事務局長は次のように話す。
「家庭での介護食品のニーズは高まっているが、スーパーなどの小売店に行ってもコーナーはなく、仕様や分類、表示なども各社バラバラだ。それでは消費者や介護者が混乱し、最悪誤嚥につながるおそれがある。また、味も二の次になりがち。そこで、加工食品メーカーが率先して、『誰でもおいしく食べられる』食品としてUDFを掲げた」
咀嚼・嚥下能力に応じてUDFを四分類した、独自の「UDF区分表」を専門家の監修の下に作成。消費者向けに店頭表示やパンフレットに使用して、UDFを啓発する。また、先月二十九日には、一般から募集して決めたUDFのロゴマークを公表。今後、会員企業の製品に順次表示していく予定だ。
さらに、どんな人でも、いつでも、おいしく、安全に食べられると言うUDFの理念を実現するため、製品の品質や安全衛生に関する自主規格を策定中だ。「粘度やなめらかさなどの物性に加え、人により、またその日の体調によって嚥下能力が異なる場合がある。食品衛生法など制度への対応も含めてさまざまな要素を加味する必要がある」(稲垣氏)ため、完成は来年六月頃になると言う。(以下略)
公正取引委員会は二十日、国や自治体が参入や価格、業務内容などを規制している介護、医療、労働分野での競争を進めるための研究会報告書をまとめた。特養ホームだけにとどまらず設置主体が限定されている介護施設に株式会社やNPOが参入できるよう規制を緩和することや、介護事業での社会福祉法人の税制優遇を除外する提案が盛り込まれている。これまで社会的規制のかかっていた分野でも、政策が見直され規制緩和された後に競争を制限する行為があった場合は、不適切な行政指導や事業者同士のカルテルなどについては公正取引委員会が監視し、独占禁止法で対処することを打ち出している。
政府の規制改革の下、社会的な目的で規制がかけられてきた介護、医療、労働などの分野でも競争政策が導入され始めている。研究会では、こうした新しい分野での競争促進の方策について公取としての提言や今後の取り組みのあり方をまとめた。検討にあたっては、今年三月に居宅サービス事業者を対象に実態調査を実施した。
報告では、介護サービス分野では医療に比べ、事業者と利用者の情報格差が大きいことから、公的制度を維持しつつ、公正自由な競争が可能と指摘。新規参入の促進と競争を促す条件を整備が必要とした。
ターゲットになっているのは、在宅と異なり設置主体が限定される介護施設。特別養護老人ホームについては、措置時代から続く現在の規制のままでは経営の自由度が低く、規制緩和をしても活発な参入が望めないことから、低所得者や過疎地などの特別なニーズに対応する福祉的機能を担うものと、それ以外の「一般サービス」に区分。その上で、公設民営やPFIにより企業や株式会社などの参入促進を求めている。一方で、民間介護施設である有料老人ホームとの公正競争の問題も指摘。特養での日常生活費を自己負担とすることで、利用者負担の格差の是正を図る必要があるとしている。訪問看護ですでに株式会社参入が認められていることから、老健やその他の医療系サービスも規制緩和を進めるべきとした。
社会福祉法人については、課税措置などの面で「同じサービスを提供する株式会社と比べて極めて優遇されている」と指摘。介護分野では株式会社によるサービス提供が今後大いに期待されるため、介護事業の税制上の優遇措置を除外するなど大幅な見直しを必要としている。また、地方自治体に対しては、社会福祉法人を優先するのではなくPFIを用いて株式会社を活用するよう促している。(以下略)
「介護保険制度は小規模町村には耐えられない制度」。一期目を終えての「実感」の下に三四の市町村が集まり、来年四月に約一四億円の負債を抱えて沖縄県介護保険広域連合が介護保険事業を開始する。同連合は「適正給付」を最優先事項に掲げ、ケアプランやレセプトチェックに力を入れるが、それ以上の難題は「サービスの格差是正」だ。過疎や高齢化の進む離島でも「同一水準の認定、給付、保険料」は実現できるのか。連合内からも不満や不安の声が聞えている。(大元美樹)
沖縄県は介護保険料が全国で最も高い県だ。原因は要介護認定率の高さやサービス利用の高さにある。要介護認定率は二〇〇二年三月実績で一六・三五%。全国平均の一二・九%に比べて三・五ポイントも高い。施設入所率も三五・四四%と全国平均を大きく上回り、高齢者一人あたりのサービス利用額も全国一。予想を上回る給付状況に四〇市町村が昨年度財政安定化基金から借り入れた金額は二七億円にのぼり、県内の次期保険料基準月額は六月時点で現行の一・五倍の五三二四円に跳ね上がった。今年度も二二億円の借り入れが見込まれており、各保険者は六年、九年の償還期限の延長を申請している。
介護保険は使った分だけ保険料にはねかえる\\その仕組みの影響をまともに受けるのが小規模な保険者、沖縄で言えば離島だ。
今年八月、県内五三市町村のうち三四市町村が参加する「沖縄県介護保険広域連合」が発足した。実は、一九九九年に準備会が設置された当初は県内全市町村での連合を目指していたが、宮古島、石垣島とその周辺町村などは結局参加を見送り、最終的に財政の苦しい小さな町村の寄り合いとなったといういきさつがある。来年四月からの事業開始に向け準備を進めているが、当初から約一四億円の負債を抱えているなど船出前から行く手は荒れ模様だ。
それでも離島にしてみれば、連合の実現でようやく一息つけるかたちだ。介護保険導入の前年に三〇床の特養を設置した粟国村は、単独運営のままでは次期保険料は月額九〇〇〇円超に跳ね上がる試算だったが、連合に参加したことでかなりな額を抑制できる見込みだ。広域連合の宮城洋子総務課長は「小規模保険者にとってあまりに厳しい制度」と漏らす。来年度以降は市町村合併も本格化し、広域化の流れを飲み込んでいくことも予想される。だが、参加市町村にはそれを待っている余裕はない。「介護保険は来年度から広域でやるしかない」というのは共通認識だ。
連合は、全国でも初めて保険料を三ランクに分けて設定する。粟国村のような赤字保険者もあれば、給付が見込みを下回る保険者もあり、連合内の格差は約四倍。給付は低いにも関わらず連合に参加した保険者にも理解を得るため、一本化は避けた。代わって焦点になっているのは、その三ランクの線引きをどこでするのかだ。「二月議会に入るギリギリまで精査を続ける」覚悟で、公平性を担保する方法を探っている。
事業の要となるのは、給付費の適正化対策だ。このままいけば二〇〇七年には、サービスの総費用額は二〇〇一年度の一・四倍の約八五〇億円になる。連合は、給付課に適正対策係を設置し、まずは、認定率が平均二〇%超と突出して高い「要支援」「要介護1」について専任スタッフによるケアプランのチェックを行う。あわせて、ケアマネリーダーによるチームを参画市町村内五カ所に作り、ケアマネに対する適正なプランの立て方を指導。認定調査員三七人を雇用し、レセプトのチェックも行い、利用を必要レベルに絞っていく方針だ。このシステムを整えるために職員五〇人のほかに、約六〇人の嘱託スタッフなどが加わる。
「施設はこれ以上つくらない」との方針も基本に据えた。そもそも県の施設整備率はすでに参酌水準をはるかに超えているが、中には村に施設を望む利用者もいる。参加する十の離島の中には、老健・特養などの施設がない村が六カ所、ケアマネジャーがいない村が五カ所もある。このままでは在宅サービスに主軸を置くことは難しい。(以下略)
埼玉県毛呂山町で重度身体障害者授産施設「ふれあいの里・どんぐり」を運営する埼玉聴覚障害者福祉会では現在、聴覚障害を持つ高齢者のための特養ホームをつくる準備を進めている。目が見えない、手足が不自由といった他の身体障害と比べると、聴覚障害の特性はケアの専門職の間でも共通の理解がなく、コミュニケーションが取れないため精神病院へ長期入院する人も少なくないのが現状だ。「通じ合える」という安心を保障する場をつくりたいという。
介護保険導入で施設の必要性痛感
「どんぐり」は、正確には聴覚障害に加えて知的障害など重複する障害を持つ人たちが利用する「ろう重複障害者」のための入所型授産施設だ。五○人の利用者のうち、九割が知的障害を伴なうろう者。
学校教育を終えても就職先がなかったり、たとえできても上手くコミュニケーションが取れずに孤立してしまったり。そんなカベに突き当たった親たちが中心となって運動を起こし、今から一七年前に東日本で初めて開設した重複障害者のための作業所が母体となっている。授産施設としての開設は九六年。こうした形態の施設は全国でも少なく、特に「どんぐり」のような当事者運動から生まれた施設はまだ四つしかない。
「手話によるコミュニケーションと、情報提供をしながら働く場所や生活の場所といった″親亡き後″の保障をしていこうというのが活動の原点。ですから老人ホームの建設計画も当初から視野にありました」
法人の常務理事・岡野公一さんはそう話す。しかし、必然性を強く感じるようになったのは介護保険の導入が大きいようだ。
聴覚障害者も介護保険の対象にはなるが、八五項目の要介護認定調査で「聴力」に関する項目はたった一つ。認定されることだけでも難関な上、実際にサービスを受けることになっても手話のできるヘルパーや介護施設はほとんど見当たらないからだ。
法人では、実態を把握するために県内の老人ホームを対象にろう者の利用状況を調査たところ、現在までに施設で暮らす聴覚障害者は三四名いることが分かった。
濃密なコミュニケーションが不可欠
岡野さんによると、聴覚障害に対する理解は、ケアの専門職や手話関係者の間でも共通認識がなく、コミュニケーションが取れないため精神病院へ長期入院する人も少なくないという。また、手話さえできればその人を理解できるという思い込みもある。特に現在の高齢者世代はろう教育を満足に受けていない人も多く、ホームサインといわれる自己流の手話を使う人も少なくない。
理解するには、最低でも五年、一○年という長い時間をかけた付き合いが必要なのだが、手話ボランティアでさえそれだけ濃密なコミュニケーションの必要性はなかなか認識していないという。
長く関わることのできる人材を育てようと、法人では二年前から聴覚障害者の支援を目的としたヘルパー養成も始めている。修了者は約九○名に達し、今年の四月からは月一回のミニデイサービスを開いている。
特養ホームは、そうした聴覚障害を理解したスタッフに対して、きちんとした就労の保証をする意味もある。
岡野さんは言う。「現在の制度で最も手厚い人員配置ができるのがたまたま特養ホームというだけ。本当につくりたいのは、通じ合えることの安心を提供できる場なのです」と。(以下略)
長瀬産業(東京都中央区、03・3665・3372)は十八日までに、岩谷産業、日動火災海上保険及び丸紅の三社と共同で「在宅医療プラネット」事業を立ち上げた。来月から米社が開発した医療用酸素濃縮器を軸に在宅酸素療法の支援サービスを開始し、二〇〇五年をめどに合弁会社を設立。海外の技術やシステムを導入し、在宅血液透析や睡眠時無呼吸症候群など広範な在宅医療事業を展開する。同年の年間利用者数一万人、売上高六五億円以上を見込む。
在宅酸素療法の患者は全国で約一〇万人いるが、利用者や家族への説明や、機器の交換・メンテナンス時の消毒が不十分だったり、提供者側が患者情報を共有しにくいなど課題が多い。
同プラネットは、長瀬産業が開発した患者情報管理システム「CTI」を活用。サポートセンターが患者から電話で聞きとり入力した機器の利用状況などを基に、在宅医療情報担当者(HMR)が代理店に機器の設置やメンテナンスの指示を行うほか、担当医に報告書を配信するため、関係者が患者の最新の状況を共有できる仕組みだ。
患者に提供される酸素濃縮器は、長瀬産業が米国の呼吸器関連機器メーカー・レスピロニクス社と共同で開発した二1タイプ。安定した高濃度酸素を高精度の流量で供給可能で、故障も少ない。また、一度使用した機器は、長瀬産業の整備センターでフィルターから内部まで徹底整備した後、再度、患者に提供される。さらに、センター機能はセコム医療システムに業務委託し、二四時間サポートを実現する。(以下略)
ドイツの「アルテンフレーガー」はわが国の介護福祉士の独のお手本となった専門資格。わが国では「老人介護士」と訳されるのが一般的。もともとは福祉領域から生まれたこの資格について十月末、連邦憲法裁判所は「保健医療職」に該当すると判断を示した。来年三月施行される「老人看護師法」の下、全ドイツ共通の看護資格として再編される。背景には高齢化で老人ケアの中の医療行為の比重が増えたことなどがある。ヘルパーの医療行為が取りざたされるわが国も同じ課題を抱える。この問題に詳しい華表教授に連載していただく。(編集部)
ドイツ連邦共和国(以下ドイツ)の看護・介護領域の専門職種として、アルテンフレーガー・アルテンフレーゲリン(男女を総称してAltenpflegerIn、以下アルテンフレーガー)という新しい専門職種の養成が開始されてから、まだ三〇年余りしかたっていない。その間にドイツの人口の高齢化はますます進展し、同時に少子化が進み、家庭を中心とした社会的連帯関係の維持の仕方も大きく変化してきている。
周知のようにドイツは、アメリカ合衆国と同じ連邦国家であり、一六の州は教育・保健領域などでかなりの権限を持っている。一九六九年にノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州が法律を制定して、州独自でアルテンフレーガーの職種とその養成を始めた。その後ほかの州も続々と、同様な法律を制定し、現在に至った。同じアルテンフレーガーの名称をもった専門職種といっても、教育内容や実際の業務を見ると、州によってかなりのばらつきがあり、その是正のため一九八五年に各州の担当大臣会議で申し合わせをしたが、「なしのつぶて」と言ってもよかった。
初めは社会福祉領域の専門職種として出発したアルテンフレーガーは、主な勤務施設である老人ホーム(アルテンハイム)、養護老人ホーム(フレーゲハイム)などで、老人性痴呆やいろいろな疾患を抱えた老人の割合が増えたため、本来は看護師の業務となっている医師の指示による医行為にもかかわるようになっていった。現在では、むしろ看護師と同じような業務をしているといっても過言ではない。
一九九〇年代になって、当時のコール政権時代に連邦レベルで統一されたアルテンフレーガーに関する法律を制定する動きが二回ほどあったが、いずれも不発に終わっている。一九九八年の総選挙で新しく連邦首相に就任したシュレーダー政権のもとで、改めて一九九九年三月に、連邦レベルで統一した老人看護法師(Altenpflegegesetz)の原案が提案された。その後連邦議会と連邦参議院での審議・修正・同意を得て、二〇〇〇年十一月に制定され、連邦官報に掲載された。
この老人看護師法の施行は、翌二〇〇一年八月一日となっていたが、バイエルン州政府から連邦憲法裁判所に、この連邦法は基本法(わが国の憲法に相当する)に違反しているので無効であるとの提訴がなされた。その要点は、アルテンフレーガーは基本法七四条一九項にある「その他の医療職」(andere Heilberufe)に該当していないので、連邦政府には立法権限はないということであった。
二〇〇一年五月、連邦憲法裁判所は、バイエルン州政府の申し出を受け入れて、この老人看護師法の施行を一時凍結し、はたしてアルテンフレーガーは基本法でいう保健医療職に該当するかどうかを慎重に判断することになった。(以下略)
厚生労働省は十八日、来年四月の介護報酬改定で、介護保険三施設について求められる機能別に報酬にメリハリをつける改定案を提示した。特別養護老人ホームと療養型病床群については、要介護度に応じて異なる報酬の単価差を拡大する。ユニットの新型特養については新たに「小規模生活対応型」とネーミングし直すとともに、従来型の特養とは別体系の報酬設定とする。老人保健施設は在宅復帰に向けたリハビリ体制などを評価の対象とする。施設サービスは在宅サービスに比べて経営状況がよくマイナス改定は避けられないと見られている。その場合、介護療養型、特養では介護度の重い人の報酬は現行水準程度とし、軽い人の報酬を引き下げる可能性が高いと見られる。いずれにしても施設の運営状況によって明暗が分かれる内容だ。(関連記事3面)
七月初めに決まった介護報酬の骨格案では、介護療養型で重度療養管理、ホテルコストを徴収する新型特養ホームでの報酬設定以外は従来の報酬骨格を踏襲していた。施設の機能でメリハリを付けた改定とする案は居宅介護支援に続き、大きな方針転換となる。
同省が、各施設について今後充実すべき機能としてあげたのは特別養護老人ホームが「日常生活のケアの実現」、介護老人保健施設は「在宅復帰」、介護療養型医療施設は「医学的管理下の重介護施設」。
特別養護老人ホームで力を入れるのが、「小規模生活対応型」と新たにネーミングし直した新型特養だ。これまでの「居住福祉型」が個室を全面に出していたのと比べると、ユニットケアに重点を移したと言える。ユニット毎の人員配置を考慮するなど従来の特養とは別体系とする案だ。
一方、従来型の特別養護老人ホームについては、要介護度の報酬格差を広げ重度者に重点配分する。
軽度の高齢者に在宅での介護を推進し、重度者の優先入所を政策的に誘導していく狙いがあるものと見られる。
介護療養型医療施設も同様に重度者に重点化し、長期にわたる医療管理が必要な重度な高齢者の受け皿としていく。
老人保健施設については、在宅復帰機能を重点評価するとして、施設内でのリハビリ体制や在宅への橋渡しとしての訪問リハビリができるようにすることをあげた。
改定幅については、保険者側の引き下げ要求と施設側の現状維持が対立しているが、施設は在宅に比べて経営状態が良いことからマイナス改定は避けられないと見られる。その場合、特養、介護療養型では重度者の報酬が現状維持となり、軽度で引き下げられる可能性が高い。また、老健ではリハビリ体制が減算の対象となることもあり得る。同じ種類の施設でも運営状況によって収入に差が出る内容だ。(以下略)
老健での入所期間は「一〜二年」の層が二三・三%と最も多く、「一年以上」入所している人の割合も前回調査の三二・一%から三九・九%に増加していることが、厚生労働省の二〇〇一年介護サービス施設・事業所調査の結果から分かった。
調査は、昨年十月一日、同省が介護保険施設や在宅サービス事業者を対象に行った。
これによると、老健利用者の入所期間では、「一〜二年」の割合が二三・三%(前年比一・六ポイント増)と最も多く、一年以上入所している人の割合は、前回調査の三二・一%から三九・九%に増加しており、入所が長期化していることが分かった。逆に一年未満は前年比七・九ポイント減少し、五九・九%となっている。
また、入所前にいた場所を見ると、老健では医療機関(四三・六%)が最も多かった。特養では老健(二七・六%)と医療機関(二八・二%)、療養型では医療機関(六九・九%)からの入所者が多く、家庭からの入所はそれぞれ四六・九%、二八・七%、二〇・六%にとどまった。
一方、退所後の行き先は、三施設とも医療機関が三割前後を占める。老健では家庭が四〇・五%、医療機関が三九・三%で、医療機関から入所し家庭に戻らず医療機関に戻る人の割合は二五・五%に上り、本来の家庭復帰の機能が十分に果たせていない現状がうかがえる結果となった。BR> 特養では、五年以上の入所者が二八・二%と最も多いが、全体的な入所期間の状況は昨年とほぼ同様で、二年以上の在所者が約半数を占めている。療養型でも一〜二年の在所者が三五・六%と最も多かった。
厚生労働省は八月、介護保険施設の入所基準を改正し、必要度の高い人を優先的に入居させることを義務付けた。待機が殺到する特別養護老人ホームについては必要性を客観的に判断するためのガイドラインを作成することが求められている。基準を作れば待機者の不公平感が解消され、とりあえずの申し込みも減る。在宅サービス利用のインセンティブにもなる――というのが狙い。しかし、入所指針による影響をさまざまな角度から想像してみると、そんな明るい未来ではなさそうだ。
公平と措置の間で板ばさみの都道府県 入所基準の作成は介護保険後、特別養護老人ホームに申し込み者が殺到していることを受けてのもの。こういう状況で申し込み順に入居者を選んでいては、不公平感が広がり、掛け持ち申し込みも減らないからだ。最も懸念されたのが行政が一律に基準を決め、低所得者を優先していた措置時代への逆行。このため、国のガイドラインでは、入居の目安を「介護の必要度」「家族の状況」とし「所得」は除外。指針の作成にあたって「関係自治体と関係団体が協議し、共同で作成することが適当」と施設側の自主性にも配慮した。
本紙では今月十五日までに、全都道府県の入所指針作成状況を聞いた。八月初旬に優先入居を義務付けるよう施設の運営基準が改正されたのを受け、現在は指針づくりの真っ最中だ。地域毎にバラバラだと分かりにくいということから、都道府県が音頭を取るところが多い。都道府県に頼らず「より地域に即した指針を」と、独自に指針を作成している市町村も続々と増えている。現在作成中も含め、市区町村単位で一三自治体が来年度までに運用を開始する予定。
地元の施設関係団体にイニシアチブを取らせて原則を崩さないようにしているところがほとんど。ある県は「老施協が作成した原案を尊重した。行政は入所判定が円滑に進むよう事務的なサポートをするだけ」と強調する。
「(基準自体が)施設に対する規制。本当は各施設で主体的にやるのが正しい」(M市)
利用者の代表を検討委員に加えている熊本や滋賀などもあるが、待機者にとっての公平性と施設の自主性の担保で板ばさみとなっている感は否めない。(以下略)
今年五月に成立した身体障害者補助犬法が十月より施行されたが、肝心の補助犬の数は合計でまだ一〇〇〇頭。育成は急務だ。そうした中、日本盲導犬協会などの訓練センターで働いてきた訓練士らが新しい育成組織である「日本補助犬協会」(五十嵐光雄理事長、事務局・神奈川県茅ヶ崎市東海岸南、0467・88・2279)を設立、十一月初めに東京と大阪で発会式を行った。盲導犬、介助犬、聴導犬の三種類の補助犬を総合的に育成する団体は日本では初めてだ。
約一○○○頭の補助犬のうち、約九〇〇頭が盲導犬。介助犬はまだ約三〇頭、聴導犬は約二〇頭に過ぎないのが現状だ。
今月六日に大阪市の都ホテル大阪で開かれた発会式では、朴善子訓練センター所長(元日本盲導犬協会神奈川訓練センター施設長)が、「盲導犬と介助犬の訓練には共通する点もあり、総合的に養成する方がいい。ユーザー第一主義でいく」と同協会の訓練方針を説明。式の最後では同協会として初めて送り出す介助犬ホンゾ号(写真)を紹介した。
同協会では、今年度盲導犬八頭、介助犬二頭を育成し、ユーザーに提供する予定にしている。また、法律では補助犬の認定施設になるには社会福祉法人になることが必要なため、設立資金の募金活動も展開していく。
介護分野で今、品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を取得する動きが活発化し始めている。医療法人社団北條会(東京都小金井市、諸星咲子理事長)が経営する秦野老人保健施設「みかん」(神奈川県秦野市、042・387・3104)もその一つで、今年八月に、入所や訪問介護などの事業に関してISO9001を取得した。その経緯やその後の状況を追ってみた。(藤本正)
入所者が予定日に来ないことも
「みかん」は秦野市の南側にある小高い山の中にあり、周囲は文字通りみかん畑や雑木林の静かな環境にある。施設の前庭にはボランティアの人達によって花が植えられ、清楚な感じを漂わせている。
施設の開設はちょうど四年前の一九九八年十一月。入所定員は短期入所も含めて八〇床。事業としては、居宅介護支援(ケアマネみかん)、訪問介護(ヘルパーみかん)、福祉用具貸与(レンタルみかん)も行っており、職員は約七〇人。ISO9001の認証取得は、これらの事業に関する介護、看護、リハビリ、支援相談、ケアプラン作成、栄養管理、事務、運転、清掃の各業務が適用範囲だ。
ISO認証取得の動機は、業務が円滑に運ばないことにあった。諸星理事長は、「開設して一年半ほど経っていましたが、指示したことが思うように伝わらず、どうしたらよいかと考えていました」と話す。例えば、入所のスケジュールがスタッフ会議で決まっても、入所者が入所予定日に来ないこともあった。調べてみると伝票が回されていないし、部課長会議でも連絡されていなかった。
一方、現場からの意見が上がって来ないという問題もあった。「現場と話し合ってみると、いろんな意見がいっぱいあることが分かりました。職員が六〇〜七〇人にもなると、組織として動かすスキルがないと、無免許運転と同じ」と痛感。何かないかと探しているときに、ISO9001を知ったという。その後、セミナーなどに職員を参加させるなどして勉強をし、何社かのコンサル会社とも話をして、コンサルタントを選定。施設に一回来るといくらという料金の分かりやすさが選定理由だった。こうして二〇〇二年四月取得を目標に、二〇〇一年三月にキックオフした。
難しかった文書化の必要性への理解
作業は、日常業務を文書化し、マニュアルを作ることから始まった。それまでは、ほとんどの職員が中途採用なので、それぞれのやり方で業務をこなしていた。「介護の世界は、決まったやりかたでなければならないという考え方はなく、ベテランになるほど利用者に応じた個別対応が大事という考え方が強いところです。だから、なぜ、ISOを取らなければならないのか、なぜマニュアルを作る必要があるのか、を理解してもらうことが大変難しかった」と話す。
そこで、全職員に「何が生き甲斐か」「理想の介護はどのようなものか」といったアンケートを行い、職員の考えを吸い上げながら、「みかん」には伝統がなかったので、「みんなで『みかん』のやり方をつくっていこう」と理解を求めていった。その後約三カ月ほどかけて文書化を進めた。その過程で、職員同士の理解も進んだという。
さらに、こうして作ったマニュアルを約半年ほどかけて職員に浸透させていった。勤務が終わる夕方や、夜勤明けの人には朝、といったふうに週に何回も頻繁に集会を持って、業務の手順などを徹底していった。
「みかん」の業務改善に向けたもう一つの特徴は、ISO認証取得の作業と並行して、能力評価を取り入れた職能制度もつくったことだ。施設の目標、部門の目標に加え、個人の目標もつくった。「個人の目標がなければ自己実現の満足もありません。評価され、待遇に反映されれば、スキルアップにもつながりますから」と諸星理事長。
現場へのマニュアルの浸透に時間がかかり、当初の四月取得の目標よりも遅れたが、八月にケーピーエムジー審査登録機構により認証を取得した。(以下略)
政府は五日の閣議で、経済活性化を図るため地域を限って規制の緩和を行う「構造改革特別区域法案」を決定し、同日国会に提出した。株式会社の特別養護老人ホーム経営参入については、「ホームの不足地域」と、条件付きだがPFI方式か公設民営で運営が行えるようになる。このほか、幼稚園の入園年齢の引き下げなど一四の特例措置が盛り込まれた。法案が成立すれば、政府は来年四月から特区設置の申請の受け付けを開始する。
法案は、特区で規制緩和を行うとしていた九三項目のうち、一七項目の緩和実現のため一四の法律で特例措置を設ける内容だ。
特別養護老人ホームは、老人福祉法上、地方自治体と社会福祉法人が運営主体と定められているが、営利法人やNPO、医療法人などでも参入できるよう特区のために特例を設ける。「企業参入」とうたわれるが、必ずしも営利法人には限らない。
特例はPFI方式の場合と、公設民営の二種類。
いずれも、特別養護老人ホームの不足地域であることが条件。
また、「法人の経済的基礎」「経営者の社会的信望」「幹部職員の熱意」など五項目の基準に照らして特別養護老人ホームの経営にふさわしいかどうかを都道府県が審査する。
法律は特別養護老人ホームにPFI方式を導入する特例。主体の制限はなく、社会福祉法人も選定事業者になるのは可能だ。先行しているケアハウスのPFIの場合は、事業者が建設した建物を自治体がいったん買い取り、事業者に貸し出すBTOと言われる方式だが、同じ方式か、別の方式を認めるか細部の規定は法律上はない。
自治体が建設した建物の管理委託にも特例を設け、社会福祉法人以外にも認める。二三区では公設民営タイプの施設が多いが、民間事業者への乗り換えもありそうだ。管理委託の具体的な内容については法律では言及されておらず、今後詰めることになる。
不足地域とは、区域の特養の入所定員の総数が、都道府県老人福祉計画の目標値を下回る地域のことで、この地域が特区として総理大臣の認定を受けた場合が対象となる。(以下略)
サービス提供部門を持たず、ケアマネジメント業務だけで事業を行う、いわゆる″独立型ケアマネジャー″の全国的なネットワーク組織が来年一月に設立する。独立型ケアマネジャーは利用者に対して公正・中立な立場でケアマネジメントができる半面、ほとんどが小規模な個人事業所であるため経営的に苦しい。報酬改定などの議論でも実態や意見はほとんど反映されないのが実状だ。全国ネットでは、こうした独立型ケアマネジャーの業務実態について調査・研究会議などを行い、政策提言を取りまとめていくという。
設立準備を進めているのは、神奈川・静岡・富山で居宅介護支援事業所を経営する三人の独立ケアマネジャーだ。
準備委員の一人、大島栄一さんは所属組織のサービスにとらわれないでケアマネジメントをしたいと、二年前に基準該当で独立。しかし、仕事にやりがいは感じても経営を成り立たせる厳しさを実感していた。「介護報酬が安いといってしまえばそれまでだが、そもそもケアマネジメントの業務範囲が確立されているわけではありません」
地域単位の連絡組織でもこうした問題はなかなか取り上げられない。適正な評価基準をつくるための判断材料の一つとするためにも、自分のような独立型ケアマネジャーの業務実態をきちんとつかむ必要があるのではないか、と考えたのが全国ネット構想の発端だという。ホームページや研修会などを通じて交流を深めた仲間からの支持もあったため、具体化に向けて動き出したところだ。
活動の趣旨を広く知ってもらうための全国会議を来年一月十二日から二日間、静岡県浜松市で開催し、会員を募る予定だ。会員資格は、基本的には居宅介護支援のみで収入を得ているケアマネジャーとする方向だが、活動の趣旨を理解している人であれば併設サービスの有無は問わない。これから資格の取得を考えている人にも広く参加してもらいたいという。全国会議終了後、間もなく常設組織を正式に発足させる。
問い合わせは042・751・4198(ファクス兼)、またはe-mail:hurryfox@pop02.odn.ne.jp(大島氏)へ。
デイサービス二五万円、訪問看護三○万円、有料老人ホームなら三六万円――。同じ″在宅″の看護師として働くにしても、サービスの種類によって月額給与に大きく差があることが、先月二十八日に厚生労働省が公表した介護経営実態調査の結果から明らかになった。利益率では一番高かった特養ホームも、管理者の給与を見ると老健施設の半分以下。在宅サービスではいずれの職種も有料ホームが高い。一口に″利益が出た″といっても、コストの実態によって見方も変わってくる。事業費の六割以上を占める人件費は、その目安の一つだろう。
介護事業経営実態調査は、現在サービスごとに設定されている報酬水準が適正かどうかの判断材料の一つとして実施された。収入に対する利益の割合(利益率)では、施設系サービスでは特養ホームが最も高く一二・二%。一方、在宅サービスでは居宅介護支援のマイナス二○・二%を筆頭に訪問介護、訪問入浴でも赤字が目立った。
しかし、一方の給与実態調査結果では、同じ職種でもサービスの種類によって人件費に大きな格差があることが分かる。最も給与の高い施設サービスの管理者の場合を見ると、介護療養型が一七二万円であるのに対し、老健施設九三万七○○○円、特養ホームは老健施設の半分以下の四六万二○○○円だ。同じく看護師では老健施設がトップで三一万三○○○円。介護福祉士やその他の介護スタッフでは、いずれも医療系施設より特養ホームの方が高かった。
一方、在宅サービスではいずれの職種の平均給与もトップは有料老人ホーム。看護師で三六万六○○○円、介護福祉士二四万四○○○円、その他介護職員が二○万七○○○円とダントツだ。
有料ホームは、他のサービスに比べると専門職からの人気は今一つ。高めに給与を設定しないと、なかなか人が集まらないというのも理由の一つかもしれない。
介護支援専門員は二六万五○○○円。経営実態調査では事業所の採算ラインが一人当たり一○○件のケアプラン作成という結果が出ているが、忙しさを求められる割に給与面では報われていない状況が改めて浮かび上がった。(以下略)
在宅医療支援ベンチャーのエムイーネット(中村哲生社長、東京都千代田区、03・3261・1161)は、在宅診療所の開業コンサルティング事業を積極展開する。北海道で在宅診療を広く手がける健康会(國本正雄理事長)と提携し、同会が東京・目黒区で今月一日に開業した首都圏初のサテライト診療所「コスモス学芸大クリニック」の運営を受託。これを皮切りに、今後二年で同会の診療所開設を都内や神奈川など八カ所で受託し、エムイーネットとして二〇〇三年度中に約四億円の売り上げを目指す。
エムイーネットは、医療法人の理事をしていた中村社長が、在宅診療所の開業を望む医療機関や医師を支援するため、二〇〇〇年六月に設立。在宅診療の現場で培ったノウハウとネットワークを生かして、すでに都内で五カ所の在宅診療所の開設を手がけている。
業務内容は、開業のためのマーケティングや各種申請、物件の確保、人材や車両の手配から事務所の整備、医療事務全般、経理・総務代行など、診療所の開設から運営に必要な業務のほとんどを受託する。
学芸大クリニックは当面、今田英樹院長とナース二名、事務員、運転手の体制だが、「年内には五〇件を回る」(中村社長)見込みだ。國本理事長は「在宅は地方より都市がメーンと考えて進出した。エムイーネットとの提携で立地や人材を始め運営面での不安はなく、開業までの期間も短くて済んだ」と話す。
また、患者の様態が急変した時などには、世田谷区の奥沢病院と連携して対応するなど、後方支援の体制も用意。病院や診療所との幅広い連携も同社の強みだ。(以下略)
介護保険の購入対象種目のうち、最もバラエティに富んでいるのが入浴補助用具だ。シャワーチェアなどは一般的だが、手すりや浴槽内いす、バスボードやすのこなど、さまざまな製品がある。本紙では、全国の販売店にご協力いただき、売れ筋調査(九月分)を行った。入浴用いすなどで樹脂メーカーのプラスチック製品に人気が集中する中で、浴槽内いすや手すりで中堅メーカーが健闘している。一方で、バスボードなどは未活用とムラも見られる。負担のかかる分野だけに、改修も視野に入れたプランづくりが求められる。
介護保険の対象となる入浴補助用具は、シャワーチェア・ベンチなどの入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、バスボードなどの入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこの六種類で、座位の保持や浴槽への出入りなど、入浴補助を目的とするものに限られる。
全体では、アロン化成の「安寿」シリーズがほとんどの品目で圧倒的な売れ行きだ。理由として、「メーカーの知名度が高く、ケアマネジャーからの信頼も厚いので、モデルチェンジや新製品があっても続けて購入する顧客が多い」(ヤマシタコーポレーションなど)と、ブランドイメージの強さを挙げる店が多い。
品目別に見ると、入浴用いすでは、アロンのシャワーベンチが静岡や九州などで上位を占める。その中で千葉の日本ビコーでは、一位にイーストアイの「すま〜いる」、二位にコスモがランクインしている。
「イーストアイの製品は大きくて安定感があり、取っ手があって使いやすいなど機能や形状面から勧めている」(日本ビコー千葉支店)と、顧客のニーズに合わせて幅広い製品を紹介する姿勢は一貫している。購入していくのはほとんどが個人ユーザーで、通りがかりの人も多いと言う。
浴槽内いすでは、星光医療器製作所のアルコーシリーズが、三店でランクインし健闘している。もともと踏み台兼いすとして開発された90番台が、マット部の素材の良さやステンレスならではの重さのため浴槽内いすとして利用される頻度が高く、次モデルの190番台で角の部分を発泡ウレタンの一体成型で覆い、肌や浴槽への当たりを改善。ヒット商品になった。
また、コープこうべでも、オリジナルのステンレス製踏み台が、やはり浴槽内いすとしてよく出ている。
手すりでは、安寿やリッチェルなどの、取り付けが簡単で設置したまま風呂ぶたができ、視認性も良い多機能タイプが売れ筋だ。
意外に伸びていないのが、浴槽の縁にかけて出入りを補助する入浴台で、ランクインしたのは安寿と相模ゴム工業の定番のみ。(以下略)
厚生労働省は十月二十八日、介護事業経営実態調査の結果を公表した。収入に対する利益の割合(利益率)では、施設系サービスでは介護老人ホーム(特養ホーム)が一番高く一二・二%。在宅サービスでは主に特養ホームで行われる短期入所生活介護の一四・一%。最も赤字幅の高いのは居宅介護支援でマイナス二〇・二%。四月に公表された概況調査のマイナス一六%をさらに下回った。調査が提出された同日の介護給付費分科会では、引き続き制度の見直しにかかわる意見も後を絶たず、改定幅など具体的な話は煮詰まらない。厚労省が一度消えたはずの介護支援事業の加算・減算を再提案するなど、なお波乱含みだ。
介護事業経営実態調査は報酬水準が適正かどうかの判断材料となり介護報酬改定の基礎資料となる。四月に公表された経営概況調査が実態把握のための「プレ調査」に位置付けられ今回が本番だ。各サービスの事業者数の半分から三分の一を抽出し、今年三月の一カ月間の経営状況を調査した。
プレ調査と比較しても施設「高」在宅「低」の構図は変わらない。
施設サービスでは一施設当たりの収入が最も多いのが療養病床で約三五〇〇万円だが、その分費用も多く利益は月一八九万円と三施設中最低。このため、収入に対する利益の割合(利益率)は五・四%と他の二施設より大きく下回る。
特別養護老人ホームは利益は月二八一万円で老健の三八六万円を下回るが、利益率でみると収入総額が少ないため一二・二%と三施設中最も黒字幅が高い。
介護保険導入前の一九九九年四月の収支が特養マイナス五・六%、老健三・一%。併設サービスとなる短期入所、通所系サービスの収支状況も好調なことから、この二施設については介護保険が追い風になっていると言えるだろう。施設の規模と収益率には相関関係は見られなかった。
一方、赤字事業が目立つのが在宅サービス。ケアマネジメントを行う居宅介護支援事業は、マイナス二〇・二%で全サービス中最も赤字幅が大きい。経営概況調査時のマイナス一六%をさらに上回った。
居宅介護支援事業所では一事業所の利用者数が多いと、一件当たりのケアプラン作成コストが低くなり赤字幅が小さくなる傾向にある。一〇〇人以上利用者を抱える事業所は全体の四分の一だが、利用者総数に占める割合では半分を超え、寡占化傾向もうかがえる。
介護支援専門員一人当たりのケアプラン作成数別に見ると黒字化するのは一〇〇以上のケアプランを作成した場合だ。一方で、介護支援専門員の給与は常勤の平均で約二六万五〇〇〇円。介護現場の看護・介護スタッフと大きく違わない。多くのケアプランをこなすことを求められ、忙しい割に給与面では報われない状況が浮かび上がる。(以下略)
厚生労働省は十月二十八日、介護報酬改定を審議する介護給付費分科会に居宅介護支援の介護報酬に加算・減算を設定する案を提示した。加算・減算でケアプランの質や手間を評価すべきとの意見は根強くあったが、「客観的な判断基準がない」として七月初旬に決定した新しい報酬の「骨格案」には盛り込むことが見送られていた。土壇場での方針転換となる。赤字幅の大きいことから居宅介護支援は要介護度別の設定を一本化するとともに、報酬引き上げも確実視されているが、一律の引き上げに待ったをかけたかたちだ。
居宅介護支援事業は報酬引き上げの要望も強いが一方で質の問題も疑問視されている。長寿社会開発センターが昨年七月に行った実態調査では、利用者宅へ月一回も訪問しないのが一五・三%、サービス担当者会議の未実施は二三%など運営基準通りの手続きが守られていない実態も分かっている。厚生労働省の案は、アセスメントの実施、利用者宅への訪問、サービス担当者会議の開催など運営基準で求められる業務を実施しているかどうかやケアプランに位置付けられるサービスの種類によって加算・減算を設定する内容だ。
「業務範囲をはっきりさせ、質をチェックする体制が必要」と消極的な意見もあるが、「サービス四種類以上は加算で評価」「質の確保のためには減算は必要」など賛成意見が目立った。
しかし、サービス担当者会議の開催などが開催できない理由に多忙さが上げられる。専任でじっくりケアプランに取り組める大幅な報酬の引き上げなしに、加算・減算を設ければ、忙しさを増すだけでかえって質の低下を招く危険もある。(以下略)
厚生労働省は九月三十日、これまで看護師の業務範囲外としてきた静脈注射について、「診療の補助行為の範囲」とする通知を出した。在宅ケアの推進に向け、現在の看護業務の内容や役割を見直すために検討会を立ち上げたのが今年の五月。異例のスピードといえるが、看護師による静脈注射の実施は現場ではすでに日常業務となっているところが多く、現状を追認したに過ぎないという声もある。日本看護協会の山崎摩耶常任理事は、「看護師が提供した技術を診療報酬などで評価するシステムについて今後検討が必要」と指摘する。看護師の裁量権を拡大するための環境は、まだ整っていないという認識だ。 (吉田乃美)
――厚労省が看護業務の範囲について行政解釈を改めたのは五○年ぶりとなる。
「静脈注射解禁などとセンセーショナルに報道されるが、すでに病院の九割、訪問看護ステーションで六割が看護師による静脈注射を実施している(二○○一年度厚生労働省調査)。現場が先行していたのは周知の事実です。
もちろん、今回の通知が出されたことによって、看護師の静脈注射は厚労省通知違反でなくなった点は評価している。けれども、それが看護師の裁量権を拡大するという意味ではありません」
――何故ですか。
「実際に看護師が静脈注射を実施した場合、その技術料はどう評価されるのか。また、在宅ケアでは取り扱う薬剤や医療器具の入手を誰が行うのか、という問題についてはまだ何も議論されていません。看護師にしてみれば、何の手当や保障もないまま、業務だけが増えるということにもなりかねないわけです。
看護師が提供した技術を正当に評価する体制がなければ、これまで看護師が実際に行っていても医師に対する技術料や診療報酬で評価されていた状況と変わりません。早急に検討が必要です。
また、今回の通知は「静脈注射を看護師等も行うことができる」という意味で、決して「やるべき業務」になったわけではない。その辺りは看護師でもまだ誤解が多いようですが、これまで静脈注射を医師が実施していた現場は、引き続きその体制を維持していただきたいと考えています」(以下略)
「私がこだわってきたのは社会保障に関する事業です。人々が安心して暮らせるようにすること、つまり安心の提供です」と強調するのは日本生科学研究所(東京都新宿区、03・3341・2421)の青木勇社長。一九八四年にグループ診療所をスタートするために同社を設立、その後、調剤薬局、学園事業、さらに在宅介護サービスへと事業を展開、ここ数年、薬局や介護支援事業を中心に売り上げの伸び率では前年比一三〇〜一八〇%という急成長を遂げている。
だが、これまでの道のりは平坦ではなく、グループ診療からは結局、一九九五年に撤退。一九九八年に東京・新宿区河田町の現在の本社で東京女子医科大学の処方せん調剤薬局としてスタートしてようやく軌道に。現在、薬局は好調で、都内に一五店舗あり、売り上げの八割近くを占める。
この薬局をベースに二〇〇〇年からスタートしたのが在宅介護サービス・支援事業。「介護保険制度が始まる前年から準備、従業員を新たに一五〇人ほど増員」してスタート。現在、支援センターは河田町、駒込、高島平の三カ所にあり、医療・福祉の両面から在宅生活をサポートしている。
「今、時代は患者さんを病院から在宅に戻そうという流れにある。私は母の介護の体験から、健康精神面でも在宅がよいと思っています」と、この事業の強化に意欲的だ。
今後力を入れようとしているのが痴呆高齢者の介護。「専門的知識も必要で介護する側の負担も大きい。私どもは、家族のような雰囲気の中で痴呆介護を専門とするスタッフのサポートを受け、もう一度自分らしい生活が再構築できるサービスを提供したいと考えています」と述べ、来年度中に都内にグループホーム、デイサービスを五カ所ほどオープンする計画を明かす。
「これらをモデルに今後五年ぐらいで都内に一〇〇カ所ほどつくり、在宅介護では東京でトップクラスの事業にしていきたい」と意欲を燃やす。
もう一つの目標は、店頭上場。二年後の二〇〇四年十二月を目指している。資金と人の確保が狙いだ。「人がやりたがらない仕事こそ価値がある」と語る同氏だが、モットーである「真心の愛から始まる絆の創造」の拡大に一段と拍車がかかりそうだ。(以下略)
昨年からの傾向として事例重視の問題が多く出題されていたが、今年は、介護支援専門員が行う業務に関する具体的な問題が8題で、ソーシャルワーカーが2題。特に問題22は、「褥そう予防」のニーズを導き出した課題分析を問う問題で、それほど難解ではないが、褥そうを逆の立場からみた非常に良い問題だった。
また問題23は、要介護認定を申請中の方に対する介護支援専門員の対応に関するもので、「申請中」という今までにない出題の仕方でこれも現場に即したものとなった。
保健医療サービス分野においては、基本テキストに記載されている一般的なものが多く難易度としては易しかったと思われる。
総合の問題44の訪問看護については、介護保険制度上の訪問看護サービスの意義を確認する非常に重要な内容であった。
福祉サービス分野においては、問題50で地域福祉権利擁護事業利用について基本テキストには記載されていない具体的な内容が聞かれ、少し難解ではなかったかと感じた。
全体の難易度は、あまり変化はないが、実務的な問題が多く、日頃の実務を通していかに多くのことを学んでいるかということが合否を左右する。今後もこの傾向が続くだろう。
介護支援分野
【問題22】Aさんは「褥そうの予防」を二一ズとしているが、これを導き出した課題分析の内容として重要なものはどれか。3つ選べ。
1. 失禁があり、おむつを使用している。
2. 食欲がなく、食事量が少ない。
3. 年金収入で生活をしている。
4. 集合住宅の5階に住んでいる。
5. 入浴を嫌がっている。
【解答】1 2 5
褥そうの発生要因として、不潔・湿潤・摩擦・栄養不良等があげられる。
【問題23】要介護認定を申請中のAさんへの介護支援専門員の対応として適切なものはどれか。3つ選べ。
1. 居宅介護支援事業者を選択できる旨説明するとともに、自らの提供する居宅介護支援の方針等について理解してもらった。
2. 居宅介護支援を利用しない時には、どんな場合でも居宅サービスの利用に係る保険給付はすべて償還払いになる旨、説明した。
3. 居宅介護支援を利用するためには、居宅介護支援事業者への利用申込とともに、その旨を市役所へ届け出る必要があることを説明した。
4. 要介護状態にあることが明らかであり、介護者の状況が切迫していると思われたので、暫定的に居宅サービス計画を作成し居宅サービスの利用ができる旨、説明した。
5. 要介護認定の結果は、介護支援専門員に通知されるので、結果が判明したら連絡する旨、説明した。
【解答】1 3 4
2: 利用者自ら居宅サービス計画を作成し、市町村に届け出たときは、現物給付となる。
5: 要介護認定の結果は市町村から被保険者に通知される。
保健医療サービス分野
【問題44】介護保険の給付の対象となる訪問看護はどれか。2つ選べ。
1. 62歳。脳血管疾患。右片麻痺で、リハビリテーションを中心とした訪問看護を利用している。
2. 68歳。末期の悪性腫瘍。在宅療養を望み、疼痛管理を中心とした訪問看護を利用している。
3. 83歳。痴呆対応型共同生活介護を利用中。3日ほど前から経口摂取が減少し、活気がなくなってきたため、医師の診察を受け、訪問看護の利用を勧められた。
4. 70歳。慢性気管支炎。定期的に訪問看護を利用し、在宅酸素療法を受けている。
5. 42歳。うつ病。精神状態がやや不安定で日常生活に支障があり、訪問看護を利用している。
【解答】1 4
2: 末期の悪性腫瘍では医療保険からの訪問看護が適切である。
3: 痴呆対応型共同生活介護利用者は、介護保険給付の訪問看護を利用することができない。
5: 第2号被保険者のため、うつ病は特定疾病に該当せず介護保険給付の対象とはならない。
※医療保険の訪問看護は「要介護者等以外」、「要介護者の急性増悪時」、「末期悪性腫瘍または厚生労働大臣の定める疾病等の患者で週4日以上」、「精神科訪問看護」を対象とする。
福祉サービス分野
【問題50】地域福祉権利擁護事業の利用として適切なものはどれか。2つ選べ。
1. 心身ともに健康であるが、ひとり暮らしで資産がある高齢者の財産管理を支援する。
2. ひとり暮らしで、軽度の痴呆症状がある高齢者の介護サービス費の利用者負担分の支払を支援する。
3. 同居の息子夫婦との関係が悪く、軽度の痴呆症状がある高齢者の居宅介護支援事業者の選定を支援する。
4. ひとり暮らしで、軽度の痴呆症状がある高齢者の遺言作成を支援する。
5. 左片麻痺のため、日常生活動作に支障がある高齢者の要介護認定の申請を代行する。
【解答】2 3
1: 痴呆性高齢者など判断能力が不十分な者が対象。財産管理は成年後見制度の範囲。
4: 公証人役場や司法書士が担当する。
5: 痴呆性高齢者など判断能力が不十分な者が対象である。片麻痺だけでは対象とはならない。
(以下略)
今月二十七日に行われる第五回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の申込者数は、全国で一〇万人を超えることが本紙の調べで分かった。昨年度の申込者数九万八五一五人に比べて、二九一五人増加している。都道府県別に見ると、横ばいか微増のところが多く、第一回試験以降、年を追うごとに減少していた受験者数が下げ止まった格好だ。来年度からは介護保険施設で介護支援専門員の配置が義務付けられたことから、すべり込みでの申し込みが多いと分析する自治体もある。
一九九八(平成十)年の第一回試験はブームとなるほどの人気を集め約二一万人が受験した。しかし、第二回は一六万五〇〇〇人と大幅に減少、その後も漸減傾向で昨年の第四回の受験者数は初めて一○万人を切った。
本紙の都道府県への調査によると、二十七日に実施される第五回試験の申込者数は一○万人。昨年の申込者数九万八五一五人を約三〇〇〇人上回った。実際の受験者数も同様の傾向と見られ、ようやく下げ止まったかたちだ。
申込者数が最も多かったのは、東京都で八六六八人。次いで大阪府の六九九○人、福岡県の五一一四人の順。少なかったのは、山梨県の六四七人、鳥取県の六七八人だった。
地域別に見ると、昨年に比べて減少傾向にあったのは中部・北陸地方で、逆に全体的に増加傾向が見られたのは、九州・四国地方だった。
増加に転じた自治体の多くは、「来年四月以降、介護施設でケアマネジャーの配置が義務付けられるため、駆け込み的な受験者が多いのではないか」と分析している。
厚生労働省の調査では、七月一日現在でケアマネジャーの未配置施設は、特養七・一%、老人保健施設六%、介護療養型医療施設一二%となっている。(以下略)
宮城県気仙沼市の介護老人保健施設「リンデンバウムの杜」で昨年八月、入浴介護中だった当時七四歳の女性が、浴槽で溺れ死亡した事故で、気仙沼署は十日、当時介護にあたっていた元パート職員の女性(三四歳)を業務上過失致死の疑いで仙台地検に書類送検した。
行政側は施設の「安全管理体制が不十分」だったとして指導を行っていた。警察側が介護職員の個人の過失として立件に踏み切ったことに、周辺は衝撃を受けている。
被害者となった同市岩月の二瓶ハヤさん(当時七四歳)は、昨年八月四日、リンデンバウムに三日間のショートステイで入所。事故は初日の午後に起こった。ハヤさんも含めた入所者の入浴介護に介護職員三人があたっていたが、職員が目を離した隙に昇降式のリフトを使って入浴していたハヤさんが浴槽で溺れていた。リフトの固定ベルトは外れた状態だったという。病院に運ばれたが、六日後に死亡した。
介護職員は三人とも経験が二年程度と経験が浅かったことから、県では施設の安全管理体制が十分でなかったとして、業務マニュアルを改善し職員の役割と責任を明記することや職員の経験年数を勘案した配置を行うこと、利用者情報の共有化を行うよう指導した。
これとは別に、気仙沼署は、業務上過失致死の疑いで調査に入った。施設側の責任は事故との因果関係が不十分だったため立件を見送り、元パート勤務の女性(三四歳)のみを送検した。利用者の介護中の死亡事故で介護スタッフが書類送検されるのは初めて。(以下略)
来年度からの介護報酬改定に向けて社会保障審議会介護給付費分科会が十八日、七月初旬からの「長い夏休み」を経て再開された。テーマは報酬改定の枠組みを超えた制度の改善点だ。施設体系など報酬と密接に関係する問題も多いが今回は積み残しとなる。委員からの不満に応え、厚生労働省の中村老健局長は「報酬改定を終えた来年一月以降に新たな部会を設け制度改正の議論を継続。十六年の通常国会に改正案を提出する」考えを示した。次回から年末にかけて報酬改定議論の終盤戦が始まる。
制度見直しと報酬改定の同時実施を
介護報酬の改定は三年毎とされ十五年四月が第一回。制度制定時の付則である「施行五年後の見直し」はその二年後の十七年四月。介護と密接にかかわりのある医療保険の診療報酬の改定は二年毎で次は十六年四月。どんな政策もバラバラにしか実施できない状況に対し、「制度の見直しと報酬改定を同時期に実施すべき」を制度運用に関する意見のトップに掲げたのは日本医師会だ。
そのほか、「要介護認定を三段階程度に見直し」「介護保険三施設の機能分化、グループホーム・特定施設など類似施設サービスの位置付けを明確化」「医療を必要とする在宅患者の負担高額化への対応」などがあげられている。
「施設入所者が外来受診できるようになれば、今のように頻回に入院しなくていい」(青井 子日本医師会常任理事)とする指摘も。
福祉制度と介護保険の整合性を
「福祉制度と介護保険の整合性が取れていない」としたのは中村博彦・全国老人福祉施設協議会会長。規制の多い社会福祉法人制度の改革と介護職員が血圧測定や点眼など簡単な医療行為ができるよう業務範囲の見直しを求めた。
医療やこれまでの福祉制度と介護保険制度の整合性をどう取るかは大きな課題だ。
「ヘルパーの勤続年数は二年以下という調査もある。介護をディーセントワーク(価値ある労働)にしないと質の向上は望めない」として、引き下げられるとされている身体介護報酬の現状維持や介護保険施設での介護福祉士資格の配置義務化と報酬への反映を求めたのは田中雅子・日本介護福祉士会会長。
「グループホームは事業計画に基づいた整備を。住所地特例も設けるべき」(山口昇・全国老健協会会長)
「訪問介護報酬は類型別ではなく要介護度別の設定に。施設のホテルコストは自己負担とし低所得者対策を強化すべき」(京極高宣・社会事業大教授)
「保険財源は国が二五%の約束を守るべき。五%を調整交付金とすると保険者によっては二五%を切る場合もあり不公平。五%問題が最優先」(堀江侃・伊勢原市長)
「高齢者が転々としないでいられるようグループホームを終の住処へ。戦国状態にある『介護付き』居住施設などを新しい『在宅』と位置付け情報の交通整理を」(樋口恵子・高齢社会をよくする女性の会代表)
内容は、報酬設定にかかわるものから、運営基準で対応できるもの、制度改正が必要となるものまで多岐にわたっているが、基本的にはこれまでも出ていた意見だ。
「今後どう議論を進めていくのか分からない。厚生労働省はやる気があるのか」(村上忠行連合副事務局長)とかみつく場面もあった。
これに対し、八月末にバトンタッチした中村秀一老健局長は「課題を整理し、機会をとらえてできることからやる。介護給付費分科会の所掌は報酬のみとなっているため、報酬改定が終わる来年一月には新しい部会を立ち上げここでの議論を引き継ぎ、十六年の国会に改正法案を出したい」と見解を話した。(以下略)
デイサービスしか利用していなかったがホームヘルプを追加したら以前よりもお年寄りの笑顔が増えた。ヘルパーを利用することでデイを利用できない時も安心して働きに出ることができた――。千葉県我孫子市では昨年度、在宅の痴呆高齢者を対象にケアプランの見直しを行ってみたところ、利用者や家族からこんな声が寄せられた。在宅での痴呆介護の実態調査を独自に行い、その結果をもとに「理想的なケアプラン」を作成した結果だ。一人ひとりに効果的なサービスの種類や利用法を見極めることで、痴呆が重くなっても在宅介護を継続できる可能性が見えてきた。
「理想的なケアプラン」を作ることになったきっかけは、介護保険スタート直後に在宅の痴呆高齢者の実態調査を実施したことにさかのぼる。
同市では要介護認定の二次判定に、痴呆のお年寄りの場合主治医意見書などを参考に、要介護3を基準に認定審査を行うという独自ルールを導入した。痴呆の一次判定が実際よりも低く出るという当時の課題に対して対応策を考えた結果であるが、裏付けとなるデータがあったわけではない。
「そもそも痴呆のお年寄りの在宅生活の実態を示すデータはどこにもない。ならば、家族の介護負担も含めて客観的に把握してみようということになったのです」(同市介護サービス係長・大塚基勝さん)
そこでまず、痴呆はあるが身体状態に問題はない三○人の高齢者家族に対して聞き取り調査を実施。一日のうちの介護時間が平均で一三時間に達していること、その四割が″見守り″に費やされていることが分かった。
さらに、五世帯の家族については、@家族介護のみの場合、A家族に代わってヘルパーが二四時間介護サービスを提供した場合、Bデイサービスを利用した場合――の三つの生活パターンを設定し、サービスの種類によって本人の表情にどのような違いがあるのかを二四時間タイムスタディを用いて記録した。その結果、デイやヘルパーを利用した時の方がコミュニケーションや笑顔が多く、一対一の関係を基本としたホームヘルプの方が、デイよりもその回数は多かったという結果が出た。
ところが、実際のサービスの利用状況を見ると、三○人中通所サービスを利用していた人が二七人だったのに対してホームヘルプはたった四人。
「タイムスタディでは、一日のどの時間帯に介護の手間が集中するかも抽出できました。つまり、その時間帯に限ってヘルパーを利用するだけでも、家族は介護から開放されるのでは」。利用の仕方一つでホームヘルプも在宅介護に役立つことを実証するために行ったのが「理想的なケアプラン」だ。
調査に協力してくれたお年寄りのうち二一人を対象に、担当のケアマネジャーやサービス事業者、かかりつけ医、市の保健師らが集まって一人ひとりの痴呆の特性や家族の状況を考慮した上でプランを立て直した結果、一八人について訪問サービスを追加したり内容を変更した。対象者の介護度は重度化していたが、働きながら介護を続けているケースもこのケアプランの見直しによって生活のリズムを崩すことはなかった。(以下略)
ここ数年順調に推移している福祉車両市場。個人需要の伸びを受けて、大手メーカーを中心に車種が充実し、架装中心からオプション扱いへの流れが鮮明になりつつある。障害を持つ人が自分で運転できる車もブームだ。また、介護タクシーやSTSなど新たな移送サービスの登場や国の規制緩和により、移送サービス事業者にも追い風が吹いている。
福祉車両の市場動向を見ると、従来は、市販車を専門メーカーが架装・改造することが多かったが、最近は大手メーカーが福祉車両を一般車と同時発売したりモデルチェンジに合わせて追加するなどラインナップを充実させ、業界トップのトヨタでは一〇〇車種を超えた。
価格も一般車にオプションを加えた程度まで下がっている。税制優遇や購入資金の貸付制度も手伝って、完成車の昨年度国内販売数は三万四〇〇〇台に迫る勢いだ。
内訳では、全体の九割を小型乗用車や軽自動車が占め、主に家族が介助して外出、送迎を行う乗用車では助手席電動回転シートタイプが、NPOなどによる移送サービスに用いられることの多い軽では、ニールダウンやリフト車など車いす対応車種が人気だ。
また、障害者など体の不自由な人自身が運転、操作する運転補助装置付車の需要も増えていて、架装車を入れると年間五〇〇〇台販売されている。
トヨタグループのダイハツは、今月三十日から千葉で開催される展示会「東京モーターショー・商用車ショー」に、運転席がそのまま自走式車いすになる軽自動車を参考出品する。ミニバンなどではあったが、軽では初めての試みだ。
移送サービス事業者向けでは、これまで施設向けの需要を引っ張ってきたデイサービスなどの送迎車は頭打ち傾向にあるが、新たな移送サービスの登場で、ビジネスチャンスが生まれそうだ。
なかでも介護保険の介護報酬を使う介護タクシーは、道路運送法の改正による要件緩和で、既存のタクシー事業者に加えて訪問介護事業所の参入もあるなど、増車による需要が見込まれる。
また、国土交通省は、障害者や高齢者などのためのスペシャル・トランスポートサービス(STS)など新たな輸送サービス全体のガイドラインを策定し、来年度にも適用していく方針で、NPOが白ナンバー自家用車で自主的に行う移送サービスについてもその中で許可される見込みだ。(以下略)
政府の進める構造改革特区の中で、厚生労働省は、特別養護老人ホームへの株式会社参入について、公設民営かPFI方式を条件に容認することを決定した。特養への民間参入は対応不可としてきた同省の方針転換だ。しかし、自治体からも公設民営、PFIの条件つきではあまり意味をなさないとの声も挙がっており、特区による特養への民間参入は「形だけ」で進まない可能性もある。このほか、運輸省では有償ボランティアによる移送サービスを推進するため、白ナンバーでの有償運行を認めることを盛り込んでいる。(関連記事3面)
実際の効果危ぶむ声も
厚生労働省は、特養への株式会社参入については、「痴呆や寝たきりなど常時介護が必要な利用者の保護を図るために、経営主体は自治体か良質なサービスを長期間安定して提供できる保障のある社会福祉法人に限定すべき」とし、倒産のリスクや安易な参入によるサービスの質低下を防ぐため、民間企業の参入は認めない方針を貫いてきた。特区に絡んだ提案についても、地域を限って設置法人の規制を緩和するのは適当ではないとして、「対応困難」一点張りの姿勢を崩さなかった。
ところが十一日の構造改革特区推進本部の発表の中で、方針を一転。公設民営方式かPFI方式で設立・運営に地方自治体が関わるという条件付きで、特区での株式会社の参入を認めることにした。自治体が関与することで、質低下などの問題を防げるという判断だ。
一方で、医療への株式会社参入については「対応不可」の姿勢を貫いた。「もし株式会社参入を容認すれば、医療費は一層増大する。なんと言われようともここは譲れない。施設が足りない特養とは事情は違う」(坂口力厚労相)。
最後まで医療分野を譲らない代わりに、特養で折れたというのが実際のところのようだ。
しかも、今回の全国四二六件の特区案のうち、特養への民間参入を求める案は、東京都足立区と奈良県の二自治体のみ。厚生労働省でも「特区での特養解禁に限って言えばそれほど強い要望があるわけではない」と見ているように、解禁の影響は大きくないと見越しての譲歩と読めなくもない。
提案をしたとされる自治体の反応も「いまひとつ」だ。小規模特養での民間参入を認めるよう求めた特区案を提出していた東京都足立区は、同省の「方針転換」を評価しながらも、「公設民営では自治体としてはうまみがない。PFI方式は検討中。ただ自治体が最終的な責任を持つという点では今と変わりはない」と話す。奈良県は痴呆の若年高齢者や知的障害者が特養に入所しにくい状況を踏まえて、対象を特化した上で経営主体も柔軟化する提案を行ったが、「今回の回答が当県へのものだとしたら少しニュアンスがズレている」と戸惑いを見せている。(以下略)
高齢者が無理なく使いこなせるIT機器設計のガイドラインを作成することを目的に、経済産業省は高齢者を対象としたデータ収集・計測事業を実施した。その結果、マウスよりもタッチパネルの方が時間がかからないことや、数字の配列が七文字になると急激に記憶力が低下することなどが分かった。機器の製作やデザインに携わる人たちに、高齢者の認知や行動特性に関する情報を提供することも事業の狙いだ。
事業は同省が昨年度、人間生活工学研究センター(大阪市)に委託して行ったもの。六五歳以上の高齢者三二人、五〇歳代二八人、二〇歳代二八人の合わせて八八人の協力を得て、IT機器の利用に関する問題点やキーボード、マウス、タッチパネルなどの利用に関する問題点などを解明するための実験を行った。結果、IT機器との関わりや操作・知覚・認知適合性に関して約二〇〇項目にわたるデータを得た。
入力デバイスについては、キーボード、マウス、タッチパネルなど五種類の特性や使いやすさの比較を行った。キーボード上の文字の大きさが高齢者の入力にどのような影響を及ぼすかを小・中・大の表示文字サイズのキーボードで試したところ、正答率で違いは見られなかった。
ところが、マウスではポインティングにかかる時間は世代で大きく異なり、高齢者ほど時間がかかる。一方、タッチパネルの場合はポインティング時間は各年代でほとんど変わらずエイジレスだった。
操作適合性のテストでは、一二種類の押しボタンの形状、サイズ、ピッチ、押し易さ、誤操作などとの関係を見た結果、誤操作を起こさないためには、六〜七mmのキー感覚が必要で、間隔が狭すぎると高齢者は間違いやすいことが分かった。(以下略)
介護保険施設に指定されている全国の特養ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設のうち、介護支援専門員(ケアマネジャー)が配置されていない施設が一割近くあることが、厚生労働省の調べで分かった。未配置率が最も高いのは診療所の介護療養型で二六・一七%と、三割近くに達している。介護保険施設では来年三月末までケアマネジャーの配置義務に経過措置が設けられているが、四月以降は資格を持たない職員によるケアプラン作成はできなくなる。
調査は今年七月一日時点での介護保険施設数と、そのうちケアマネジャーのいる・いない施設数について、全都道府県から上げられた数字をもとに取りまとめたもの。
特養・老健・療養型を含めた介護保険施設は全国で一万一五二四施設。このうち、ケアマネジャーの配置なしとした施設は九八二あり、全体の一割近くに達している。施設別では、特養が未配置率七・○七%に対して、老健で五・七九%、介護療養型で一二・二三%。特に診療所の療養病床で二六・一七%に達している。長崎県では一○七の診療所のうち半数近くの五二施設が配置なし。茨城県では未配置施設が「配置あり」を上回るなど、都道府県ごとの傾向もある。
介護保険では、ケアマネジャー資格を持った人が立てたケアプランに基づいてサービス提供を行うことが原則だが、来年三月末までは経過措置としてケアマネジャーの未配置も可となっている。(以下略)
国民生活センターでは、ここ数年同センター危害情報システムに寄せられる車いすの事故情報が増えていることを受け、このほど車いすメーカー大手三社の六車種を対象に走行時の耐久性や乗降・移動時の安全性などに関するテストを実施した。その結果、車いすのJIS規格に基づく走行耐久試験ですべての銘柄に亀裂や破損が発生するなど、品質管理や安全性について問題があると指摘。JISマーク制度の早急な整備などを業界や行政に対して要望していくとしている。
テストに使用されたのは、車いすの中でも生産台数が多く主流となっている「自走式手動車いす」。フットレストの高さのみが調節可能な基本タイプと座面の高さなども調節できる調節可能タイプに分け、大手メーカー三社から六つの車種を選び実施した。
JIS規格に基づく条件で行った走行耐久テストでは、すべての銘柄でフレームに破損あるいは亀裂、留めビスの破損が生じる不具合が発生。続いて駐車ブレーキの性能テストでは、メーカー指定のタイヤ空気圧では問題なかったものの、指定値の半分になると五製品で静止力が不十分になった。ブレーキの構造によっては、乗降時の身体の接触などで解除されることもあり、思わぬ事故につながる恐れがあることも指摘している。
移動については、段差越え、廊下でのハンドルの取りまわし、踏み切りでのキャスターの溝落ちなどについて使いやすさや安全性を調べた。利用者の力の差などによってバラツキがあったが、いずれの車種も重心が前寄りに傾いていると転倒などの危険性が高くなることが分かり、身体に合った車いすを使用することが転倒・転落を防ぐポイントの一つであることも明らかになった。(以下略)
宅老所・グループホーム全国ネットワークでは現在、小規模ケアの実践者たちによる介護マニュアルを作る試みが進行中だ。宅老所や介護保険の痴呆性高齢者グループホームだけでなく、介護施設のユニットケアや障害者グループホームまで、制度や現場を選ばず広くスタッフのお手本となる「小規模ケアの教科書」を作るのが狙い。テキストを利用した研修事業なども展開していく予定だ。
同ネットは昨年から痴呆ケア・小規模ケアの実践者たちを講師に、介護で事業化を目指す初心者向けの研修を行ってきた。しかし、「初級・中級・上級とケアのレベルを分けることはできないと思いました。経験者も初心者も大切にするべき介護の基本は同じではないか」。テキスト作成の必要性について、全国ネット事務局次長の山越孝浩さんはそう話す。
全国の小規模ケアの実践者たちを委員に作成に取りかかったテキストでは、それぞれの現場に実在するお年寄りをモデルにして、そのお年寄りが穏やかに暮らすことができるケアのポイントをまとめた。
徘徊や暴力など、いわゆる問題行動への対処法ではなく、一人ひとりとどうかかわれば穏やかに楽しく暮らせるかに重点を置いたという。ベテランも初心者も日常の介護の中で常に基本に立ち返ることができるのが特徴だ。(以下略)
全国老人福祉施設協議会(全老施協、中村博彦会長)が、より専門性の高いサービス提供ができるよう来年度から導入を検討している「介護保険サービス管理士」の骨格が明らかになった。介護支援専門員資格を基礎資格とし、一年間の研修修了後、試験を実施、合格者を認定する。社会的に認知が得られるようハードルは高く設定する構想だ。(関連記事3面)
サービス専門性向上へ
「介護保険サービス管理士」は、介護保険上、配置が求められる管理者の資格。施設長が兼務するケースがほとんどだが、施設長になるのには国家資格などの要件がないために無資格者も多い。介護保険で専門性の高いサービスが求められるようになっていることから自ら問題解決に取り組む。
具体的な内容については、全老施協内の調査研究研修委員会・研修体系プロジェクト内で検討が進められているが、大枠はすでに固まった。
「特養にはナショナルミニマムの介護サービスを実践する責任がある。国民にも納得の得られる水準を目指している」(プロジェクトメンバーの一人)
対象者は介護保険標準の資格である介護支援専門員資格の取得者。その上で、「介護サービスの責任者」として必要な知識を身に付けるための研修を実施。
研修は一年の通信教育だが、修了後には試験を実施し、合格者を資格者として認定する。認定は、医療・福祉の識者で構成する「研修機構」が行うようにすることで、透明性・客観性を高める。
介護支援専門員資格の取得の条件は、経験五年以上と原則的に医療・福祉の国家資格。研修カリキュラムは施設経営の管理職としてではなく、介護サービスの現場の統括者を念頭に企画されている。今は実質的な経営者がつくケースが多いが、現場で実績を積んだ有資格者が「管理者」になりやすくなる。
介護保険の指定基準で管理士資格を義務付けるよう厚生労働省に働きかける方針だ。
「近いうちに特別養護老人ホームにも企業参入が認められるようになる。供給主体で歯止めがかけられなくなれば、質の確保のためには資格で規制するしかなく、その雛形を我々自身が示していく必要がある」
制度の枠を超えた介護施設の管理者資格にしたいと、中村博彦会長は話す。(以下略)
高齢者住宅財団と福祉自治体ユニットは七日、利用者負担を原則とする中所得高齢者を対象とした「安心ハウス構想」のセミナーを開催した。構想の提案者である島田晴雄慶應大学経済学部教授は、「元気な高齢者は住宅を基本にし、高齢者が生活スタイルや心身の状態に応じて住宅を選べる仕組みを構築する必要がある」と述べ、構想への理解と民間事業者の参入を促した。
「安心ハウス」は、入居者から徴収する利用料で施設の運営を行う住宅構想。入居一時金はなく、家賃や食費、サービス費などを含む月額利用料は一五〜二〇万円程度。原則個室の有料老人ホーム、痴呆性高齢者グループホーム、高齢者向け優良賃貸住宅などがそのモデルだ。民有地を活用して高齢者優良賃貸住宅を建てたり、公営住宅をリニューアルしたり、公有地を借り上げるなど、利用料を低額化するために民間事業者と行政とのタイアップが推奨されている。
構想の提案者である島田晴雄慶應大学経済学部教授は基調講演の中で、経済を活性化するために、住宅を資産としてではなく利用価値のあるものとして定着させる必要があると強調。また、介護施設への入居からあぶれる高齢者の現状にも触れ、「ある程度所得があり元気な高齢者は住宅が基本という体制をつくるべき」と訴えた。(以下略)
群馬県老人福祉施設協議会では現在、ユニークな研修事業が進行中だ。民間の損害保険会社と契約し、県内で少数のリスクマネジャーを養成。その後、リスクマネジャーとなった人が各地域で研修を引き継ぎ、会員施設すべてにリスクマネジメントのノウハウを浸透させるというものだ。施設長など組織の一部に情報を集中させる従来型の研修事業を改め、現場に確実にフィードバックできるシステムを確立しようとしている。(吉田乃美)
研修事業の改革は、昨年度から同協議会の研修委員長となった特別養護老人ホーム希望館(高崎市)の松沢斉施設長が中心となって進めているものだ。
「研修委員長になって事業計画を見直してみると、施設長向けの研修でも参加率が低い。県外で開催される研修では、前後に必ず″視察″と称した観光旅行がくっついていて、後日参加者の代表による報告会が開かれるわけでもない。これでは会費を払った施設が平等にメリットを受けられる研修とはいえない」
改革魂に火を付けたのはそれだけではなかった。介護職として現場に籍を置いていた経験もある松沢さんは、以前から外部のセミナーや研修に積極的に参加していた。目からウロコが落ちるような体験を何度もしながら、それを現場全体の共有財産として活用するシステムがないことにも疑問を感じていたという。
「県老施協として確保した研修費用は年間四〜五○○万円ほど。潤沢とはいえない額で現場の末端の職員まで有効に活用するシステムをつくらなければ」
そう考えていた矢先、あいおい損害保険会社から「リスクマネジャー養成研修」を実施してみないかと持ちかけられた。
リスクマネジメントの基本的な考え方から、安全な介護技術の方法、スタッフのコンディション管理、誤薬や転倒を防ぐための医学的な知識の習得の四分野を基本的なカリキュラムとし、それぞれにスペシャリストが講師となって派遣されるというものだ。施設長や管理者といった組織の上層部より、生活相談員や介護スタッフ長など現場のリーダー格を対象の中心としていること、一般企業でも通用するリスクマネジメントを学べる点が目を引いたという。
同社はすでに全国で六○カ所以上の施設で、施設長向けのリスクマネジメントセミナーを開催しているが、「施設長だけでは、生きた現場の取り組みにつながりにくい。施設長はマネジメントの役割とし、現場で取り組みを具体化する人材が必要と考えていた」(クオリティライフ事業部の山田滋さん)。
松沢さんは、このセミナーで地域ごとにリスクマネジャーを養成し、修了者には地域の各施設向けに研修を実施して知識とノウハウを伝達していく仕組みをつくることを思い付く。伝達研修で必要となった講師の手配などでもあいおい損保が協力することになり、群馬県老施協オリジナルの養成研修として、今年六月にスタートした。
カリキュラムを全て受講すること、修了後に伝達研修を必ず実施することを受講資格条件とし、四○人の応募者の中から事前研修などで三○人まで絞った。途中、仕事の都合でやむを得ず二名がリタイアしたが、九月末には二八人のリスクマネジャーが誕生した。
修了者からは、「施設の外に目を向けるいい機会になった」「その道のプロから得たものを、今度は自分が現場に根づかせていかなければ。新しいやりがいが生まれました」など評価の声があがっている。目的の第一段階はクリアできたといえそうだ。(以下略)
第一三回全国介護老人保健施設福岡大会が四日まで福岡市で開催され、昨年と同規模の約五六〇〇名が参加した。開会式に続いて行われた中村秀一厚生労働省老健局長の特別講演では、老健施設創設に関わり、現在は医療制度改革を強力に推進している立場からも、「訪問リハビリをやらないなら老健の看板は外してもらいたい。在宅復帰機能を失った老健施設は新種の老健施設と捉え、それなりに扱う」と二分化の方向性を示唆した。山口昇同協会会長も「一つの施設が機能により定員を区分できるように」と講演の中で述べた。今後老人保健施設も新しい局面を迎えつつある。 八月末付で就任した中村局長は、大会初参加。老健施設の黎明期に老人福祉計画課長(当時)として関わった。老健施設制度が構想された一九八五年当時から介護保険が制度化されるまでの経緯を振り返り、「初めて医療費の定額制を導入」や在宅復帰など時代の最先端をいく施設として期待されてきた老健施設のアイデンティティが今日失われつつある現状を指摘した。
「定額払いが医療機関にも広がってきた中では、リハビリ・在宅復帰機能こそが老健施設の存在意義。利用者の希望に応えた結果として長期化の路線を行くのも結構だが、それなら新種の老健施設として捉えることになる」と明言。
在宅復帰のために重点を置くべきとしてあげたのは「訪問リハビリ」。「やらないなら老健の看板は外してもらいたい。介護報酬の減算を導入して促していきたい」とした。診療報酬で今年から導入された「減算」の導入の陣頭指揮を執ってきた当事者の発言だけに現実味がある。「在宅的施設やケア付き住宅など無数の可能性がある」と、施設の多様化の方向性も示した。
この発言を受けて、続いて講演した山口昇全老健会長は、将来の老健施設にあり方について、「介護保険施設は現在の三分類ではなく、長期入所型、家庭復帰型、医療依存型の三つに機能別に類型化されることが必要。定員一〇〇人のうち半分が長期入所型、残り半分が家庭復帰型の介護保険施設があってもいい」と指摘した。病床区分の導入を示唆したものだ。「老健施設は第二期に入った。新しい試みが各地で行われている」と述べた。(以下略)
不況によるかつてない規模の雇用調整(リストラ)により中高年離職者が増加しているなか、中高年離職者を介護施設オーナーにする研修を主力業務にする新会社「ビッグハートジャパン」(大阪市西区、06・6225・1170)が誕生した。
民間施設は今後の成長分野。介護保険のグループホームや有料老人ホームのほか、多様な高齢者住宅が増加していくことが見込まれる。ビッグハートジャパンはこうした需要を受けて、中高年離職者向けに介護起業支援を行う会社として、三洋電機子会社の「三洋すまいる」などで介護事業コンサルタントを行ってきた平郡眞一氏が七月に設立した。
管理職経験と独立起業の意欲のある中高年を対象に受講者を募り、週二回、三カ月にわたる研修で介護ビジネスの経営手法を身に付けてもらう。福祉サービス分野でのナレッジ・マネジメント(知識経営)に力を入れている国立北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科や設計会社、システム開発会社などの協力を得て事業化し、大企業の再就職支援事業とも提携する。
講師は同研究科の梅本勝博助教授などで、受講料は月額一〇万円の予定。修了者には、介護施設整備や開業までの支援も行う。そのモデルとして同社自ら奈良県天理市で宅老所、伊丹市でグループホーム、石川県内でホテル転用の有料老人ホームの運営を計画中だ。施設設計はニュージェック(同市中央区)が行う。
資金面では、建設用地から施設建設までは土地オーナーが費用負担し、研修を受けた経営オーナーが退職金などを運営経費に充て、土地・建物を土地オーナーから借りて運営する形を基本に想定している。
「単独で運営するケースだけでなく、同一企業の離職者が共同で運営すれば、退職金の一部を運用するだけで起業が可能。また、リストラした企業にとっても離職者への具体的な再就職支援策となる」(平郡氏)
民間企業による小規模施設の複数展開は、西日本では日本ロングライフ、メッセージ、ベネッセケアなどが行っているが、同社はモデル施設は手がけるものの、自社で事業を独占せずにオーナー養成を主力にするほか、介護サービス専業などの既存事業者と連携する方式を取るのが特徴だ。
また、起業後の運営支援も、システム開発会社のジャパンウェーブ(同市西区)と提携し、ASPを使った教育や運営の支援システムを提供していく。
来月二十五日、大阪に研修センターを開設。当日に記念講演会を開催する予定。入場無料。
神奈川県は九月二十日、原則として申し込み順にしていた県内の特別養護老人ホームの入所を、入所の必要性が高い順に改める入退所指針を公表した。要介護度・日常生活自立度、介護者の状況、特記事項の三項目の合計が百点となるよう点数化。介護度と介護者の状況を半々の比重で評価し、個別の事情を勘案して最終的な入所順序を決める。政令市を除く市町村で十一月一日から適用を実施する。
指針は、県と市町村、特養、養護老人ホームなどが組織する県高齢者福祉施設協議会の三者が、厚生労働省が八月に改正した省令の内容を踏まえて協議し取りまとめた。
各施設は、県が示した介護サービスの利用状況や身体の状況、痴呆の症状、医療的処置などの共通項目を盛り込んだ「標準入所申込書」に基づいて入所申込書を作成。申し込み時に利用者に記入を求める。また、入所の基準を分かりやすくするために、要介護度と日常生活自立度、介護者の状況、特記事項を面接時に点数化し、一〇〇点満点で合計点数の高い順に優先順位を決定する仕組みにした。
入退所の決定は、これまで施設職員で構成される入退所検討委員会に依頼していたが、今回新たに市町村職員や社会福祉協議会職員などの第三者の参加を義務付ける。施設は委員会の決定を受けて、入所順位名簿を整備・調整する。
今年四月に独自の特養入所指針を作成した神戸市は、介護者の有無や介護度のほか、在宅サービスの利用率で入所が優先される仕組みだが、直前に老健や病院にいた人の評価が難しい、介護度の高い人が優先的に入所することで医療的ケアが必要な利用者が増えている\\などの課題が浮かび上がってきている。
神奈川県は、こうした点に配慮し、介護の必要度と介護者の状況をポイント化するとともに、在宅サービスの利用度や医療行為の有無などは特記事項の中で補足的に配慮するようにした。合計点数が同じ場合は、年齢が高い、居住地が施設に近い人を優先する。
また、退所基準については、自立・要支援認定者や、三カ月以上の入院、感染力の強い感染症などをあげている。長期入院でいったんは退所した場合は、退院後の優先入居を認める。(以下略)
厚生労働省は九月二十七日、すべての医師にプライマリケアの基本的な診察能力を身に付けさせるための臨床研修制度の内容を公表した。プログラムを提供できる臨床研修病院を二次医療圏に最低一つは設置するため、現行の施設基準を緩和。社会福祉施設、老人保健施設などは、研修医が地域保健や医療について研修を行う施設として位置付けられた。
報告書は、医療の専門分化や若い医師の専門医志向に触れ、医師と患者とコミュニケーションを取りながら全人的な診察を行う能力が欠如していると指摘。すべての医師にプライマリケアを中心とした必要な診察能力を身につけてもらうため、新しい臨床研修を設けるべきとしている。臨床研修は二〇〇四年度から必修化されることが決まっている。
研修を提供する臨床研修病院は、必要な指導体制が整備されている総合的な急性期型病院で、「内科」「外科」「精神科」「小児科」「産婦人科」の五科を持っていることが条件とされた。二次医療圏に少なくとも一カ所を設け、研修医は入院患者一〇〇人に一人、または病床一〇に対して一人とする。
研修プログラムの期間は二年間。最初の一年は内科、外科、救急部門を基本研修科目として研修し、小児科、産婦人科、精神科および地域保健・医療を必修科目とする。地域保健・医療の科目については、診療所、社会福祉施設、老人保健施設などが研修協力施設として協力を行う。(以下略)
介護保険がスタートして初の事業計画改定、報酬改定。その後には、制度発足後五年後の見直しが控える。創設以来の第二の山場といえる時期の就任だ。
当面の課題とあげるのは、「事業計画の改定、保険財政の広域化、報酬改定」の三点だ。
各市町村が六月に見積もったサービス量の集計では、全国平均の介護保険料が今よりも一一%引き上げられると計算されているが、「施設ニーズが高いと言われているが、一枚一枚のケアプランが在宅生活を継続していくのに十分なものになっているか。現状では問題と言わざるを得ない。プランの妥当率を上げることを考えてほしい」と厳しい目を向けている。
制度創設時の約束である「五年後の見直し」の最大のテーマとされる障害者の問題をすでに視野に入れている。九月二十七日には障害、老人で縦割りの福祉政策を省内横断的に検討していく介護・自立支援連絡検討会議が立ち上がった。
「障害者施策の中で介護保険が貢献できるのかどうか検討していきたい」
社会福祉法人のあり方も一つのテーマだ。税の優遇措置は他の法人から不公平と批判がある一方で規制が措置時代のままで競争ができないと社会福祉法人側も見直しを求める声がある。
「介護法人のあり方を検討した上で、社会福祉法人や医療法人にどういう過不足があり、転換が可能か」
介護保険で求められる法人像を基本に検討していきたいと話す。「一〜二年以内とは限らない」と前置きしながらも、「今の介護保険施設の体系も変わらざるを得ない」という認識だ。有料老人ホームやグループホームなど「在宅化した施設」と現在の老健など「維持・回復機能付き」の二つの体系が頭にある。
「制度の維持が目的であってはいけない。目的は良い介護サービスを提供すること」と言い切る。サービスの質の向上は誰もが指摘する最大の課題だが、何をもって「よし」とするか評価の基準さえも曖昧な状況だ。「医療の第三者評価もそうだったが、不完全でも一歩踏み出すことが大切」(以下略)
介護保険サービスを手がける企業などが中心になって「民間事業者の質を高める研究会」が九月二十七日、正式に発足した。世話人代表は新生メディカル(岐阜市)社長の石原美智子氏が就任した。サービスの質を向上させるための各種研修や、介護事業の経営者としての理念を構築するための支援を行っていくと言う。入会希望者は現在、全国約二八〇社と言う。
民間サービス事業者団体としては、シルバーサービス振興会のシルバーマークの認定を受けている企業を中心に発足した日本在宅介護協会があり、介護報酬改定などでは厚生労働省との窓口の役割を担っている。「研究会」はこうした圧力団体としての活動とは一線を画し、「利用者の立場に立った質の介護サービスの提供」の理念を共有できる参加者を募った。
具体的には、@経営理念構築の支援、A研修会の開催、B経営相談、C情報の共有化、D高齢者が在宅で暮らすことができるための国への要望――の五点の事業をあげている。
営利法人の介護事業には、ビジネスとしての介護事業と、社会的資源としての介護サービスの両輪があるが、後者の方をより重視している。一カ月に満たない募集期間だったが、中小の営利法人、NPOなど二八〇社が参加を希望していると言う。
「少子高齢化はこれからが本番。介護保険の目指す自立支援のサービスを在宅の中核を担う民間事業者がこつこつと積み上げていく必要がある」
顧客獲得競争よりも質の確保がこれからますます重要になると二十七日の総会で代表に選ばれた石原美智子氏があいさつした。呼びかけ人は、ジャパン・ケアサービスの対馬社長、福祉の里の安藤社長の三人と、措置時代から介護事業を担ってきた顔ぶれ。(以下略)
TOTO(東京都港区、03・3595・9422)は、手すり事業への取り組みを本格化させる。現在約九〇億円の売り上げを来年度中に一〇〇億円にすることを目標に、楽&楽事業計画部を中心に、介護保険による住宅改修向けに今春市場投入した低価格な新シリーズを拡販するほか、来年改正ハートビル法が施行されるのを受けて、商業施設への営業を強化する。また、特別養護老人ホームの個室化に対応して、改修向けの商品を充実、投入するなど、総合的な営業戦略で「手すり一〇〇億円事業」を目指す。
手すりのみの市場規模について公的な数字はないが、同社の調べによると、二〇〇二年度で五〇〇億円規模とされ、年五%程度の伸びで成長していることから、来年度には五二五億円の市場となることが予想される。また、介護保険の住宅改修を見ると、昨年の一五〇億円が今年は三〇〇億円と倍増し、続伸が予想されるが、工事部位ではトイレや浴室の改修が全体の九割で、工事の種類では手すりの取り付けが九五%を占めている。
同社ではこうした情勢を受けて、シェア約二割を占める手すり事業について、来年度中に一〇〇億円を達成することを目標とした事業計画を立て、営業を強化することにしたもの。
具体的には、介護保険による住宅改修の上限である二〇万円枠に収まるよう従来品より価格を約三〇%抑えた「フリースタイル手すり・Fシリーズ」(写真)の販売を強化する。
また、前国会で改正されたハートビル法が施行されるのに伴い、公共建築物や商業施設のバリアフリー化が進むことから、主力の施設向け手すりにより力を入れ、特に和風便器用や公園トイレ用の公衆向け背もたれなどを、大都市圏を中心に拡販する。
さらに、各地で新型特別養護老人ホームの個室化・ユニット化に対応するための改修が増加するとの見通しから、改修工事向けの後付け商品のラインアップをさらに充実し、市場に投入していく方針だ。(以下略)
十月一日から七○歳以上の高齢者が医療機関の窓口で支払う医療費の自己負担が定率の一割に変わる。現役世代以上の所得のある高所得の高齢者は二割負担とさらに上乗せされる。
三歳未満の乳児の保険料が三割から二割に引き下げられるのが救いだが、若年者の医療費の月額上限の引き上げも十月実施。
しかし、まだ序章。四月には健康保険組合に加入するサラリーマン本人負担の三割への引き上げも控えている。家族の入院も二割が三割負担となり、自己負担については、国民健康保険の加入者と同じになる。
高齢者の場合は特に影響が大きいのが外来。月五回目以降が無料になる診療所の「定額制」は廃止され、月額上限は三二〇〇円から一万二〇〇〇円。上限を超えた分は支払った後で払い戻しを受ける「償還払い」の仕組みが導入される。高齢者への事務負担の軽減のため、@記載内容を工夫して実質的な申請は初回のみで足りるよう配慮する、Aw指定口座に振り込む\\などの運用上の配慮を市町村に求めている。
マイナス一・三%となった四月の診療報酬改定の第二波が十月からだ。
事故防止などの安全管理や褥瘡予防の体制ができていない場合に、入院の報酬から減額する新しい仕組みが導入される。一般病棟での平均在院日数の要件は現在よりも二〜四日さらに短縮される。
患者側にとって影響が大きいのが、六カ月以上長期入院患者の自己負担の引き上げ。四月一日以降の入院患者から対象となるため、実施されるのは半年後となる。受け皿となる介護保険施設の不足も懸念されていたが医療関係者の強い反対で、適用除外となるケースが拡大され、影響は少ないと見る向きもある。しかし、裏付けるデータも少なく影響は未知数。
自己負担増は報酬の減額分だけとは限らず、幅は病院の自由設定。注意が必要な点だ。外来診療を「定額払い」にしていた「老人慢性疾患外来総合診療料」(外総診)、「老人慢性疾患外来共同指導料」は十月から廃止。一般病院に三カ月以上入院している高齢者に適用し、入院費用を包括化していた老人一般病棟入院医療管理料と、精神病院に適用する「老人痴呆疾患療養病棟管理料」は一日以降新たな受付をせず、暫時廃止する方向だ。(以下略)
財務省の財務総合政策研究所は十二日、保育所や介護事業など自治体が実施しているサービスのコスト分析結果を公表した。保育所では、サービスの質は変わらないのに公立と民間のコスト格差は一・五倍にのぼる実態や、公営住宅や学校給食、介護サービスの事務コストなどでも、公営サービスのコストが高くなりがちな実態が指摘された。改善策として、民間委託や外部委託を図ったり、臨時職員の採用を検討することが有効としている。
調査は公共サービスの効率的な提供が行われているかを把握するため、社会経済生産性本部に委託して行われた。七地方自治体を対象に、保育所、学校給食、公営住宅、介護保険在宅訪問サービスの四事業について実施。各自治体ごとに原則四カ所ずつ施設を選んでもらい、直接の事業費のほか、退職金の引当金や施設の減価償却費など間接的な経費も含めた「フルコスト」を算出して、民間と比較した。
保育所事業では、〇歳児保育の定員を一人増やすにあたって、公立では年間約三五〇万円、民間(認可保育所)では同約二四〇万円の負担が生じ、約一・五倍格差がある。
調査は、高コストの原因は、人件費単価と職員配置にあるとした上で、アンケート調査結果などから人件費の高い保育士の配置とサービスの質の向上に相関関係が見られなかったことから、公立保育所でも臨時職員の活用などを検討すべきと提言している。学校給食でも、給食コストに占める人件費や廃棄された給食のコストが高いことを指摘している。
介護保険の訪問サービスでは、直接の介護サービスに至る以前に要している事務コストは、自治体の事業規模が大きいほど額が小さいと分析。特に要介護認定作業段階のコストは総額の跳ね上がりに影響するが、臨時職員が高稼働率で訪問調査を行っている自治体ではコストは低くなっている。このことから調査担当職員の効率を見直すことが必要などとしている。
厚生労働省は介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の対象品目を見直すため、二十五日、初の「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」を開催した。玄関などで使用する段差解消機や、立ち上がり補助機能付きのいすなど五品目が追加される見込みだ。
介護保険でレンタルの対象とする福祉用具は、要介護者の自立促進、介護負担の軽減、基本的動作の支援、治療用具でないこと、取り付けに住宅改修を伴わないことなどの条件がある。介護用ベッドや車いすなど一二品目が定められているが、要介護者の便宜や技術革新などに照らして必要な場合は適宜見直すことになっている。
保険対象とするかどうか検討する福祉用具としてあげられたのは、@入浴用リフト、A段差解消機、B立ち上がり補助機能付き座いす、C移乗に使用するスライディングボード、D六輪歩行器、ET字杖││の六点。福祉用具の業界団体や保険者から要望のあった品目だ。いずれも新たに開発された製品ではなく、制度から落ちこぼれた製品といえる。
このうち、玄関の上がりかまちや縁側に取り付け段差を解消することで、車いすでの外出を支援する段差解消機は、対象品目に加えることに異論はないが、取り付け工事を必要とするものもあり、据え置きタイプだけに限定するか具体的な対象範囲は議論がある。
T字型杖は高齢者向けで最もポピュラーなタイプ。しかし、単価の安い製品については、レンタルにするとかえって高コストになると指摘されており、購入商品への振り替えを求める要望もある。(以下略)
医療経済・研究機構はこのほど「要介護者の終末期における研究報告」(主任研究員=池上直巳慶応大教授)として、スウェーデン、オランダ、フランスとの比較調査をまとめた。死亡場所では、わが国では病院が八割とトップでナーシングホームでの死亡者が最も少ないのに対し、オランダは逆。老人ケアを支える医療体制や国民意識に差がありそうだ。
ターミナルケアというとがん末期のイメージがあり、要介護者に焦点をあてた比較調査は珍しい。「これからの超高齢社会において最期の看取りとしてのニーズの方がますます重要になる」(池上教授)としている。わが国では踏み込んだ議論の行われていない分野だ。ターミナル期を特定するのが難しいため調査では、在宅より要介護度の重い介護施設、高齢者住宅の利用者を対象にしており、「介護」を支える医療体制の違いが浮かび上がらせている。
高齢者の死亡場所を見ると、日本は八一%が病院なのに対し、最低のオランダは三五・三%と開きがある。逆に日本では高齢者施設・住宅での死亡は二・四%なのに対し、オランダでは三二・五%と逆転する。施設整備率の差を割り引いても格差は大きい。スウェーデン、仏はその中間だが、前者はオランダに近く、後者は日本に近い。
違いが出るポイントとして報告書では、q病院へのアクセス、w介護施設・高齢者住宅で提供される医療サービス、e看護師の技能、r意思決定のプロセスの違いの四点をあげている。
フランスと日本は、かかりつけ医の紹介なしに直接入院できるが、オランダ・スウェーデンでは救急医療に限られる。長期入院も原則的にできない。
オランダではナーシングホームの医療が専門分野として確立されており、専門医が救急以外の医療は対応している。「安楽死法」が議論になるお国柄でもあり、痴呆で意思決定できなくなった場合に備えて、入居者には事前にターミナル期のケアについて事前に希望を確認する。在宅の高齢者の場合は、長いつきあいのかかりつけ医がその役割を担う。
オランダ・スウェーデンでは看護師の権限が広いのも特徴。施設をなくし全て「住宅」にしたスウェーデンでは看護師の配置もばらつきがあるが、在宅と同様訪問看護で二四時間対応のケアは保障されている。介護の有資格者の「介護保健士」も看護師の指導監督のもとで医療行為を行うことが可能で、医療の分権が進んでいるのも特徴だ。
わが国の介護保険三施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設)の場合、医師・看護婦の配置に濃淡の差はあるが、退所理由の三割は「入院」という点では共通だ。医療は病院任せ。スウェーデンでは施設のスタッフが看取りに慣れており、死期が近づいても病院に転院しない。
「わが国でも介護に熟練した看護師の養成と権限委譲が重要」と指摘されている。
具体的に末期のケースをあげ、点滴や胃ろうなどどこまで医療行為を行うか訊いた。わが国と比較すると控えめなのは間違いないが、「高齢者だからといって医療の制限はしない」とするのは三国共通。医療費抑制策としての意識的な対応ではないと言うから、国民意識の差としか説明できない。(以下略)
四国電力(香川県高松市、087・821・5061)は有料老人ホーム事業に参入する。西日本で同事業を展開するメッセージ社(岡山県倉敷市)と提携し、十一月にも介護新会社を設立。松山市の変電所跡地に低家賃で外出・外泊が自由な有料老人ホーム二棟を来年十月に開設する。「電力会社の知名度を生かした事業化」(同社広報部)で、今後同施設の手応え次第で四国各県の中核都市にホームを建設する方針だ。
新会社は「よんでんライフケア」。四国電力グループの中核企業である四電産業が全額出資し、十一月を目途に設立する。施設の運営や介護のノウハウについては、四国を中心に西日本で二一棟の有料老人ホームを展開するメッセージ社と業務提携する。
新施設は、一九九七年に閉鎖された四国電力岩崎変電所跡地に、全室個室、定員四五名、鉄骨三階建ての有料老人ホームを二棟建設する。竣工予定は来年十月で、総事業費は約六億円。要介護度2程度の軽度の認定者を対象とし、家賃は月額一三万円程度、入居金も家賃の約三カ月分と低く設定している。個室面積は八畳でトイレ・洗面台付。外出や外泊も自由で、低価格ながら日常と変わらない生活状態を提供するのが特徴だ。運営スタッフは一棟あたり二二名で、うち看護師などヘルパー以外の有資格者が三名配置される。
今後の施設展開は未定だが、同施設の状況を見て、四国内で有料ホームを建設していく。(以下略)
七月初めに決まった来年度からの介護報酬の骨格案では、通所リハビリテーションに「個別リハ」が導入されることが決まった。福祉系のデイサービスと「名前は違うが内容に差がない」と批判があったが、その差別化を目指す内容だ。しかし、若い世代と異なる高齢者に対するリハビリのノウハウは確立されているとはいえない。
介護報酬の骨格案では通所リハビリテーションについては、「リハビリテーションの必要の高い利用者に個別でリハビリテーションを行った場合、一日一回を限度に所定単位を加算」することに決まった。
食事の介助やレクなどの集団処遇部分は福祉系の「通所介護」と共通評価となるから、「個別リハ」をするのが通所リハビリテーションの役割ということになる。具体的な運用、単価などは今後の検討課題だが、施設にとっては、個別リハ体制を取らないと減算となることは間違いないだろう。
通所リハビリテーションの前身は、病院、診療所や老人保険施設で中で行われてきた「デイケア」。PT、OT、看護婦などリハビリスタッフは必置だが、実態はデイサービス(通所介護)という批判があった。介護保険で「リハビリ」が名前に付いていたことで、「リハビリと思っていたらアテが外れた」と利用者の声も厳しくなっている。
今年二月に医療経済研究機構が行った実態調査に基づくものだ。全国三○二の通所介護・通所リハビリテーション事業所を対象に、サービス内容などを聞いたところ、生活介助やレクリエーション、創作活動など集団で行う活動内容にはほとんど差がなかった。
一方、大きく違いが表れたのは、OT・PTによる個別での訓練。機能訓練目標や実施内容の作成を、利用者全員に実施しているのは通所介護で約四割だが、通所リハビリでは六割を超える。内容も、「歩行等の訓練」「器機等を用いた耐久訓練」が通所リハビリで実施率が高く、OT・PT、看護職員、医師などリハビリを含む医療職が担当していることが分かった。
日常的な介護は共通の評価として、違いのある「個別のリハビリテーション」を加算で評価する、という提案根拠となった。実態とすればすでに、個別リハ体制は取れているということになるが、この機会にリハビリのあり方も再考すべきだろう。
「高齢者に対するリハビリは、これまでどこにもノウハウがなかった」
リハビリテーション医で高齢者ケアに詳しい、竹内孝仁日本医科大学教授は、今年二月に発足したパワーリハビリテーション研究会の会長に就任した席でそう話した。マシンを使って高齢者に筋力トレーニングを行うパワーリハビリは、これまで高齢者の機能訓練の概念にはなかったものだ。 パワーリハビリの本来の目的は、筋力アップそのものではなく、基礎的な体力を維持することで高齢者が自信を持ち、日常生活の中でさまざまなことに挑戦しようとする意欲や行動力を引き起こすことにある。
器機があれば簡単に始められることなどの手軽さもあって、神奈川県川崎市などが先駆けて介護予防事業としてモデル実施し、成果をあげている。厚生労働省の来年度の概算要求でも新たな介護予防事業のメニューとして盛り込まれた。
若い世代の脳卒中や交通事故で障害を負った人に対するリハビリ医療では、PT・OTや言語聴覚士などの専門職が、障害の種類や度合いに応じて、社会復帰も視野に入れた個別計画を立てて行うことが一般的だが、加齢による身体的な機能の衰えや慢性疾患のある高齢者に対しては、全く同じというわけにはいかない。
竹内教授は、パワーリハビリについても「精神的な改善」に目を向け、決して手法ややり方に固執するべきではないと強調する。
利用者サイドも「機能回復だけにとらわれないように」とアドバイスするのは東京都立豊島病院のリハビリ科冨田祐司医師だ。
冨田医師は、同院の通院患者で外来リハを利用している一○一人を対象に、介護保険の通所サービスについて意識調査を行っている。
回答者七○人のうち、介護保険サービスの利用者は七割。通所サービスに最も期待している機能が「リハビリ」で、八割が筋力強化訓練や歩行訓練を希望していたが、介護保険のデイケアではレクリエーションが主体で、七割近くが不満を抱えていた。
回答者に四〇〜六四歳の第二号被保険者の若い障害者が多かったこともあって「機能回復」への期待は特に強かったといえる。
しかし、リハビリによって障害が完璧に治ることは少なく、「利用者も事業者も、患者の日常生活を下支えするシステムとしてリハビリを考えてほしい」。一方で、障害を持って生活することを受け入れながら、機能の維持を続けていくリハビリのあり方が必要と冨田医師は指摘する。(以下略)
厚生労働省は十二日、来年四月から始まる障害者分野での支援費制度で、サービス事業者に支払われる報酬となる「支援費」の仮単価と、利用者の負担額の基準額案を公表した。仮単価は、施設では利用者の障害の程度に応じて三区分、ホームヘルプやデイなどの居宅(在宅)サービスは介護保険とほぼ同水準とし、多様な事業者の参入を促したい考えだ。最終的には国の基準額を最下限に、市町村が決める。正式な基準額は今後の予算編成を経て年末までに決定する。
支援費は、施設・在宅サービスの事業者に対して支払う報酬で、介護保険でいう報酬単価に相当する。 施設サービスは、定員規模別に入所・通所とも障害の程度に応じて三区分とし、利用者の障害が重いほど事業者への支払いが手厚くなる仕組みだ。ALSなどの難病や強度行動障害のある知的障害者など重度の障害者の受け入れに対しては、医師や看護師、生活相談員などの配置に加算が付くほか、施設から在宅へ移行するための援助に対して加算で評価することなども盛り込まれた。
居宅サービスは、法人格があれば民間事業者も参入できる。仮単価の水準は事業者にとって指定事業者となるかどうかの一つの目安といわれてきたが、仮単価では介護保険の報酬単価とほぼ同水準に設定された。
ホームヘルプは、身体介護、家事援助、移動介護など類型ごとに、三○分単位で設定。身体介護中心なら三○分以上一時間未満で四○三○円、家事援助で一五三○円。脳性まひなど日常生活全般に常時介護を必要とする利用者の場合は、「日常生活支援(仮称)」という類型区分で算定され、一時間三○分までが二六三○円、以後三○分ごとに九九○円となる。夜間・早朝は別途加算を設ける。
デイサービスは、障害の程度に応じて三区分とし、利用時間は四時間未満とそれ以上の二パターンに分ける。身体障害者の単独型デイで作業中心の場合、四時間未満で一五九○〜一一八○円、四時間以上で三一八○〜二三六○円。給食、入浴、送迎についてはいずれも加算扱いだ。
知的障害者のグループホームは障害の程度に応じて二区分。重度の場合一月につき一三万四七四○円、軽度で六万七三七○円。(以下略)
東京都は十一日、民間の未利用地を活用して痴呆性グループホームなどを整備していく「暮らしの福祉インフラ緊急整備事業」の特別推進地区の指定第一号として、品川区の五地区を指定した。同区の第三セクターは都と区の補助を受けて、地区内に二〇〇五年までにグループホームを整備する計画だ。
都事業の特別推進地区に指定されたのは、品川区の品川地区、大崎地区、大井・八潮地区、荏原東地区、荏原西地区の合計五地区。区はこれらの地区に、都の制度を活用して、グループホームを設置していく考えだ。
区は、第一弾として、西大井二丁目にグループホームを設置する。第三セクターの「品川都市整備公社」に土地購入のための基金を設置し、都と区の補助を受け公社が民有地一三六平方mを購入。隣接する区有地と合わせて三七〇平方mの土地を用地とする。この土地を、隣接地で特別養護老人ホームと在宅介護支援センターを運営している社