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シルバー新報 2001年12月14日号の主な記事 見出しと要旨

介護保険施設で新参標準を提示

 厚生労働省は十日の介護給付費部会に、介護保険事業計画の見直しの目安とする新しい施設整備の「参酌標準」を提示した。来年度予定されている社会的入院解消分の五万人を上乗せし、平成十九年の施設利用者の総見込み数は六五歳以上人口の三・二%と前回の三・四%より〇・二ポイントのマイナス。新たに痴呆性グループホームやケアハウスなど特定施設の目標を〇・三%と設定、トータルで三・五%を確保する。療養病床は特例を設けよりコストの安い老人保健施設への転換を促す。保険料への影響を最小限とする「数合わせ」に終始した。
 現在、中央医療保険協議会(中医協)で進められている診療報酬改定では、医療費抑制策として医療の必要が少ないのに療養病床に六カ月以上長期入院している患者の自己負担を大幅に引き上げることが検討されている。その多くが高齢者だ。療養病床二四万床のうち、五万人が対象となる見込みだ。
 新しい参酌標準はこの五万人分をどう折り込むかが焦点となった。
 厚生労働省の案では、平成十九年の施設利用者の総見込み数は六五歳以上人口の三・二%と前回の三・四%より〇・二ポイントのマイナスに設定。新たに痴呆性グループホームやケアハウスなど特定施設の目標を〇・三%と設定することで、トータルで三・五%に増やす。
 これにより、平成十九年の六五歳以上人口を二六〇〇万人とした場合、入所定員は特養三九万人、老健二九万人、介護療養型一五万人となる計算だ。介護療養型医療施設については、十六年度の計画値を大幅に下回ることになり、社会的入院の解消分はできるだけ老健、特養など「介護保険施設」で吸収するかたちにした。
 療養病床の介護保険への転換は今年度約一二万床と遅れている。転換が進まないことが社会的入院を温存しているとして、日本医師会などでは療養病床の介護型への転換促進を主張していたが、介護報酬が高い介護保険適用への転換を増やすことには、保険料への影響を懸念する保険者から反発が強い。そもそも介護保険に転換するメリットが少ないとして医療保険にとどまっている病院が多い実状もある。最終的には、新たに「老人保健施設」を療養病床の転換の受け皿とすることで折り合いをつけた。(以下略)

入居の優先基準必要

 介護給付費部会では、介護報酬改訂にかかわる論点の整理が続いている。十日は特別養護老人ホームについて議論された。
 「施設の平均規模が七〇人なのに、現在の介護報酬は五〇人を前提にしている。儲かるのは当たり前。退職金の三分の二を公費で賄う退職共済もあることは、報酬を決める時には知らなかった」
 他のサービスと比べると優遇されていると青柳日本医師会常任理事は厳しい。福祉サイドの委員である京極高宣社会事業大学学長も「段階的に報酬を引き下げることはやむを得ない」とした。
 特別養護老人ホームに入居希望者が殺到していることから、何らかの受け入れの基準を必要とする意見が大勢だ。しかし、優先順位のつけ方によっては、「措置」に逆戻りする可能性もある。介護保険になったのだから「できるだけ身体介護の基準のみにする」(樋口恵子高齢社会をよくする女性の会代表)は原則論だが、家庭環境を含め総合的に判断すべきという意見は得に福祉サイドの委員で強かった。
 来年度から厚生労働省が導入を予定している個室・ユニットの新型特養は家賃・光熱費などの「ホテルコスト」が一人当たり、四万四〇〇〇〜五万五〇〇〇円とする試算を提示した。
 「補助金の減額分の資金調達が今の社会福祉法人制度では難しい」
 社会福祉法人の見直し議論が先としたのは中村博彦・全国老人福祉施設協議会会長だ。
 低所得者への対応は介護報酬の中で行うことになるが、「保険料の徴収基準では本当の低所得者かどうかはわからない」。
 喜多洋三・守口市長は、低所得者を課税状況から把握する難しさを改めて指摘した。
 「保険料の全額徴収が始まったばかりで、さらに負担を求める話は時期尚早。低所得者に特化した議論をまず行うべき」(山本文夫・全国町村会会長)
 「ターミナルケアをやっている施設もやっていない施設も同じ報酬でいいのか」(山崎摩耶・日本看護協会常任理事)といった特別養護老人ホームの介護の質の向上を誘導するための意見はごく一部だった。(以下略)

老年学を学ぼう!<桜美林大学教授 柴田 博さんに聞く>

 「高齢者」と聞いて多くの日本人は「障害を持ち、体力や知力が低下した存在」をイメージする。しかし、実際は高齢者の八割はいわゆる「元気老人」だ。誤解や偏見が根強いのは「老年学」の不在が原因だと、老年学研究の第一人者である柴田博桜美林大学教授は言う。高齢社会の正しいコンセプトを持てば、介護や商品開発の現場でのケアやサービスのミスマッチもなくなると主張する。柴田教授は、来年四月、同大学大学院に全国で初めて設立される「老年学専攻」で教鞭を取る。(聞き手=大元美樹)
 \\そもそも「老年学」とは何か。
 「一言でいうと、加齢に伴う心身の変化を研究し、高齢社会に起こるさまざまな問題を解決するための学問だ。加齢変化を追うには成長期から見ていかなければいけないし、社会的な問題では、高齢者と高齢者を取り巻く家族や若い世代との関係まで視野に入る。老年医学、老年心理学、老年社会学などにまたがる学際的な研究と、ヘルスプロモーションなどを含む回想心理学の実践法を学び、問題解決のためのスキルを身につけるものだ。
 日本は、世代間の不信が強く、高齢者に対する偏見も世界一の国だ。先進国に比べると半世紀遅れている。縦割り行政に代表されるように、いろんな領域との連携が苦手というのも浸透しない要因だろう。
 たった二五年で高齢人口が七%から一四%になってしまった日本の場合、障害老人に対するシステムづくりで手一杯だったという事情もあるが、いまだに高齢者全体の五%の障害老人、一〇%余りの虚弱老人を『高齢者』とみなし、八割の健康な高齢者を見ようとしない。」
 \\誤解や偏見の原因は。
 「高齢者とどのように交流すればよいかという教育がないこと。もっと言えば、教育すべきコンセプトを持っていないことだ。
 だが、私はこれまでさまざまなフィールドワークを行ってきた中で、施策の遅れを取り戻し、社会が変わる可能性はあると確信している。高齢社会全体を考えるためのコンセプトを老年学を通じて学び、学校教育、社会教育で広めるべきだ」
 \\教育により具体的には何が変わるのか。
 「商品開発一つとっても違ってくる。『洋服売場のシルバーコーナー』のようなナンセンスなものもなくなる。多数の高齢者を対象にすることでシルバーマーケットも拡大される。
 施設や在宅での介護も変わる。知能は小学校レベルだから、遊びもそのレベルでいいという考えは、老年学の不在が原因だ。障害や虚弱な高齢者は高齢者全体の一部だと知れば、障害をもった人に対してもその生活機能を向上させ、自信を回復させるケアができるようになる。
 私の勤める桜美林大学では来年四月から大学院の修士課程に『老年学専攻』を新設する。
 産官学民のあらゆるセクターに老年学のコンセプトを広め、『老年学センター』を設ける構想もある。本当の高齢者や高齢社会を知るために、看護系、福祉系問わず広く受講をしてほしい」(以下略)

共通でリーラの家展開へ サンフォーレとユニバーサルホーム(グループリビング)

 小人数の高齢者が集まって暮らすグループリビングを拠点に地域の活性化を−−。神奈川県湘南地区で民間の高齢者ホームを展開するサンフォーレ(堀井戸利修社長)などは、「リーラの家」シリーズとしてグループリビング事業を本格化する。
 コンセプトは地域の活性化だ。個人の所有する土地や家屋を活用し、住宅街の中にグループリビングを展開し、地域の雇用の受け皿とするとともに、ホームコンサートや趣味の集まりなど地域の高齢者の活動拠点として施設を開放する。モデルとなる「リーラの家鵠沼松ケ丘」(写真)がこのほどオープンした。
 サンフォーレと木造住宅建設のユニバーサルホームが共同で出資する「リーラの家」が、施設開設希望者にハード・ソフトのノウハウを提供するかたちで、横浜市・東京都方面にも事業を拡大していく考えだ。
 「鵠沼松ヶ丘」は、鵠沼海岸の瀟洒な住宅街の立地。二階建ての木造住宅で、全室トイレ・洗面所付きの個室(約一四平方メートル)七室と共用のリビングがある。コンパクトながら、リフト付き風呂が各フロアにあるほか、エレベーターもある。
 入居一時金は八六〇万円。食事、掃除洗濯付きで毎月の費用は二〇万円から。介護が必要な場合は、別途、介護保険の一割負担が必要となる。小規模のデメリットは、近隣のサンフォーレグループの施設と連携して、カバーしていく。
 共用のリビングは、地域に開放し、ホームコンサートや朗読会、趣味の集まりなどを開き、地域の高齢者の外出の機会をつくる考えだ。
 「民間で地域社会のクオリティをあげることができることを、まず、かたちとして見せていきたい」(堀井社長)(以下略)

見えてきた介護保険(24) 全国老人福祉施設協議会   中村博彦会長に聞く

 全国老人福祉施設協議会は、中村執行部の下、規制に縛られず競争力を持った「二十一世紀型社会福祉法人」への脱皮の必要性を強調し、精力的なロビー活動を展開。経済財政諮問会議や規制改革会議などの方針、答申に主張が反映されるなど、政治力を強めている。利用者のニーズに応えられる供給体を目指し、人材育成に力を入れるが、待機者が列をなす黒字経営下で変革を求める会員は少なく、「笛吹けど踊らず」(中村会長)が現実だ。一方で、全社協の下部組織という位置付けへの不満も根強くあり、老施協自体も二十一世紀型への変革を迫られている。(後藤隆)
 \\社会福祉法人の規制改革を訴えているのは。
 「措置の時代を引きずった、いわば二十世紀型の社会福祉法人はすでに限界を迎えている。
 ″非営利″を錦の御旗にして、行政から補助金や優遇税制などの恩恵を受けているが、採算性を考慮しない独占的で非効率、無駄が横行し、人材的にも資金的にも貧弱な経営基盤に陥りがちだ。それでは、企業や医療法人と競争できる経営環境は整わない。二十一世紀型に生まれ変わらなくてはならない」
 \\二十一世紀型とは。
 「国民ニーズに応えることのできる供給体であるということだ。
 今、小泉内閣の下で特殊法人改革が進められている。次は公益法人だ。そして医療改制度革では医療法人と、供給体のあり方が問われるようになっている。
 医療を独占的に供給している医療法人のあり方が問われているように、介護保険の供給体である我々社会福祉法人のあり方も問われるだろう。独占型の供給体は、需要者のニーズに応えなければすぐ崩壊する。
 その前に自ら経営責任体制を強化し、介護サービスの品質を高めることで、国民や利用者が納得できるシステムを構築し、説明責任や透明性を確保する必要がある。
 具体的には、介護保険型の社会福祉法人を目指すとともに、非課税法人としての事業を充実するため、低所得者対策や健康・介護予防サービスを充実させる。また、施設面では個室化を進め、生活支援介護に重点を置いた特養やデイを増やす」
 \\改革を進める上での問題は。
 「最大の問題は、経営責任の上に立った利益や資源の分配が行われていないことだ。理事会による合議の法人運営は責任が分散し、ある意味で無責任体制だ。今は黒字経営で前向き戦略だから弊害が少なく見えるが、今後介護過誤の問題が出ててきたり、赤字に転落する負け法人・施設が増えてくる。そうなった時に誰が責任をとるのか。
 老施協は利用者ニーズに応えられる戦略を立てて挑戦して行くため、サービスの質の向上に取り組んだり、五年先戦略を立てることを会員に奨励しているが、あまり実施されておらず、『笛吹けど踊らず』だ。老施協もまた二十一世紀型に変わらなくてはならない。
 体制的にも問題が多い。現在は全国社会福祉協議会の傘下団体で法人格がなく、常勤職員や専用の事務所もない。全社協が人事を決め、しかし給与はこっちで払っている。単独では決済や事業決定もできない。護送船団時代のように厚生省の情報を流せば良かった時代とは違うので、抜本改革が必要だ。
 こうした状況を変えるため、現執行部は常勤でないのに半常勤で働くなど、いわば制度を超えた活動をしているが、あくまでボランティアで長くは続かない。長期で行うには活動内容や時宜に合った体制にしなくてはならない」
 \\介護保険制度について意見は。
 「要介護認定で1や2の人を在宅にシフトすべきという意見があるが、特養は本来生活ホームであり、要介護度4、5の人が特養\\という図式はおかしい。
 また、これからは老人だけでなく、身体障害者の方も視野に入れた体制づくりが必要だ。さらに、介護老人福祉施設と介護老人保健施設の一体化も主張していく。
 一方、介護報酬については、今の特養の介護報酬は措置の延長線上で決まっているが、次回の見直しで介護サービスの妥当性に基づいて見直されることになる。
 特に、家賃や光熱費などのホテルコストを原則利用者負担とし、介護サービス上の報酬と分離する案が出ている。高品質な介護サービスを行わなければならないだろう」(以下略)



シルバー新報 2001年12月7日号の主な記事 見出しと要旨


医療制度改革 サラリーマンの3割負担

 政府の経済財政諮問会議(議長=小泉純一郎首相)は四日、三一回目の会合を開き、「改革断行予算」と位置付けた二〇〇二年度予算編成の基本方針を決定した。焦点の医療制度改革については、事務局側が提示していた基本方針原案が、サラリーマン本人の患者負担三割引き上げの時期を「〇三年度」と明記していたことに対して自民党内から異論が噴出し、結局「必要なとき」と、政府与党協議会が先月末にまとめた大綱の表現がそのまま盛り込まれ、事実上の骨抜きとなった。
 予算方針は、国際の新規発行額を三〇兆円以下にするとともに、全体で五兆円を削減し、少子高齢化などの重点七分野に二兆円を配分することを理念・目標として明記。PFIの活用による介護や保育サービス供給体制の充実などを掲げている。これを受けて財務省では年末にかけて予算編成作業を行う。
 また、同会議では構造改革と経済財政の中期展望も決定された。(以下略)

福祉施策 ″地域で生活″に転換

 東京都は来年度から施設偏重、公立・社会福祉法人中心だった福祉を、地域でサービスを受けながら生活できるケア付き住まいにシフトするとともに、供給体制の多様化をめざす改革を実施する。具体的には、障害、高齢者のためのグループホームをつくる事業主体が安く用地を確保できるよう市町村にファンドを設置したり、痴呆性高齢者のグループホームについてはこれまで建設費補助のなかった企業も新たに対象に加える。三十日にまとめられた来年度の重要施策に盛り込まれた。来年度は、昨年十二月に策定した「福祉改革推進プラン」の「新たな段階」の位置付けだ。
 高齢者福祉分野では、「ケア・リビング」がキーワードだ。ケアが必要になっても暮らし続けることが地域の中で安心して暮らし続けることができる多様な住まいで、具体的には痴呆性グループホームやケアハウスを積極的に推進する。来年度からは、企業への建設費補助を創設。有料老人ホームやケア付き住宅など民間主導の住まいを安心して選択できるよう設置運営指導指針などを見直す。
 障害者分野でも、親元や入所施設を離れて地域で暮らすため支援を拡充し、「生活寮」にNPOが参入できるようにする。(以下略)

現場からの提言 自治体の参入拒否で民活本家は悪戦苦闘

 財政が潤沢だったゴールドプランの時とはうって変わり、今後は「民」の力なくしては介護基盤を支えるのは難しくなっているが、民活の本家でもある有料老人ホームは福祉行政の「鬼っ子」のままだ。介護保険の対象施設となったことで、低価格化、多様化が進んでいるが、保険料への影響を楯に自治体が参入を拒否するなど新たな規制の動きもある。東京都・町田市では在宅複合型施設づくりを目指すNPOの計画が市の反対で暗礁に乗り上げている。(川名佐貴子)
 介護保険の導入で、有料老人ホームや高齢者住宅が都市部を中心に増加している。終身介護をうたう「重装備」型の高級ホームとは一線を画した中堅所得層にも手の届くタイプが増えてきた。
 町田市で、NPO法人の「鶴川にケアセンターをつくろう会」が計画している事業も、そんな新しいタイプの有料老人ホームだ。
 三階立てで居室は二〜三階。全室トイレつきの個室が四八戸。デイサービス、訪問介護といった介護保険事業を行うほか、地域に開かれた喫茶店や地域住民のたまり場となる交流センターなどを設置する。在宅を支える複合施設を民間ホーム事業に置き換えたかたちだ。
 NPOの会長の吉岡良美さんは老人ホームの職員として働いていた。施設で働く中で、人間の幸せは住み慣れた地域で暮らすことと感じるようになり、身体が不自由になっても地域で支え合いながら暮らすことができるよう、ボランティアの活動拠点として、仲間と五年前からケアセンターの建設を目指してきた。いったんは社会福祉法人での事業化をめざしたが、計画が頓挫し、行きついたのが有料ホームだった。
 計画では入居金五〇〇万円、毎月の費用は家賃・管理費・食費などで一六万五〇〇〇円。一棟を丸ごと借り上げることで、価格設定も安く抑えることができた。
 行政の補助を受けたケアハウスでも七〇〇万円の入居金を必要とする施設もある。補助金を使わずに、年金の範囲で賄える民間ホームができることを証明した、これからの日本社会にとって「お手本」と言えるホームだが、この計画が市の行政指導で暗礁に乗り上げている。
 有料老人ホームの届け出は都道府県の管轄だが、町田市の場合は、「まちづくり」として建築確認の段階で独自の行政指導を行っている。
 有料老人ホームは、すべてシャットアウト。建築確認を受け付けていない。大手企業も含め一〇数社がアプローチしてきたが、例外なく認めていない。
 「市内には二カ所の有料老人ホームがあるが、市民の入居者は七%。よその住民が移り住んでくるだけなのに、介護保険料はその分高くなる」(土屋豊高齢者介護課長)
 個人的には今後は方向を出していく必要があると認めるが、「市全体の方針として今は例外はない」の一点張りだ。人口四〇万人の町田が保険料への影響を言い出せば、民間ホームはどこにも建てることはできないし、高齢者は住まいの選択の権利を奪われる。単なる自治体エゴだ。
 「特別養護老人ホームや老健で十分足りるから民間はいらない」
 独自の有料老人ホーム指導指針で市町村との事前協議を義務づけている兵庫県ではそんな理由で市から参入を拒否されたケースもある。コントロールのきかない民間ホームはどんな内容であっても「迷惑施設」でしかない。それはおそらく受け入れる自治体の共通の「本音」だろう。バブル期に相次いで策定された現在の厚生労働省の指導指針や都道府県の上乗せ基準も、多様な民間ホームの参入を阻んでいる。
 「法律的には有料老人ホームは届け出制なのに、地域によっては実質的に許可制になっている。明らかに違法。訴訟に持ち込めば勝てるが、コストが合わないからやらないだけ」(大手企業関係者)(以下略)

デジタル駆使した有料ホーム 松下電器が開設

 松下電器産業は、先端技術を活用した介護支援システムを導入した介護専用型有料老人ホーム「サンセール香里園」を十一月三十日に竣工、十二月十五日から開所する。ホームの所在地は大阪府寝屋川市。同ホームは松下電器一〇〇%出資会社「松下介護サービス」が運営を行う。
 サンセール香里園は、デジタルネットワークとデジタル機器の駆使により、家族や看護婦、ヘルパーなどに頼っていた看護、介護のサービスを補完する「デジタル・ナーシングホーム」の考え方を基本コンセプトにした都市型の介護専用型老人ホーム。
 高齢者ケアペットロボットや電子健康モニターを用いた在宅ヘルスケア支援システムを導入。新たに癒しのプログラムの集合体である「セラピーコンプレックス」を構築。園芸療法の場ともなる屋上のケア・ガーデンの設置、ホスピタリティーを重視した職員教育の実施などサービス・ソフト面での充実を図り、入居者の高い満足を目指す。
 ICカードの四〇〇〇倍の大容量CD(コンパクト・ディスク)カードで、介護記録や健康管理など幅広い情報を一元管理しデジタルデータで簡単に家族に報告できるシステムやデジタルナースコールシステム、明治生命ケアプラン作成支援システム「ケアマネくん」などデジタル技術やソフトを統合した介護支援システムを導入。
 また、車いすから移りやすい高さに設計した芝生ゾーンなど、バリアフリーへの配慮を図り、香りや色、手触りなど「五感で愉しめる庭」を屋上に設置している。
 建物の構造は、鉄筋コンクリート造・地上四階、屋上。居室は一〇三室。一人部屋一〇〇室、二人部屋三室。うち介護専用型七六室、痴呆対応グループホーム方式二七室。定員一〇六人。
 入居一時金は一八〇〇万円(月額利用料二五万円)〜二九八七万円(同一一万円)となっている。(以下略)

訪問リハで在宅支援システム構築目指す

 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)などリハビリの専門職が自宅に出向いて行う訪問リハビリテーションを、在宅支援の一環として機能させていくことを目的に、来月全国レベルの研究会が発足する。介護保険では在宅サービスに位置付けられたものの、他のサービスに比べると利用率が低くマイナーな存在だ。専門職の多くが病院の中の機能訓練に集中していることや、医療と介護の二つの保険制度からサービスが提供できるようになったため退院した後の生活を継続的にフォローできる仕組みがつくりづらくなっている。研究会では、リハビリの専門職を中心に所属機関や地域を超えてこうした状況について考えていこうと、広く参加を呼びかけている。
 機能していない 訪問リハサービス
 自宅で行うリハビリの良さは、ベッドから車いすへの移乗、食事、入浴など日常生活を送る上で必要な身体機能の回復や維持訓練を、暮らしの場面の中で行うことにある。在宅復帰に力を入れる老健施設ではよく、ベッドの位置を変えたり個別浴槽を使うなど自宅の環境に近づけてリハビリを行っているが、訪問リハの場合はまさに生活の場そのものが訓練室。馴染みの環境が本人の気持ちを前向きにする効果も大きく、一人ひとりに合ったプランが立てやすいのもメリットだ。
 しかし、「介護保険で訪問リハビリが位置付けられても、実際には在宅生活継続のためのサービスとしてはほとんど機能していない」。そう話すのは、東京都台東区にある「たいとう診療所」のPT・伊藤隆夫さんだ。
 介護保険施行で利用わかりにくく
 理由の一つは、リハビリの専門職であるPT、OTのほとんどが病院の中で行う機能訓練に従事していること。医師が治療をした後に機能訓練を受けて退院するというスタイルは一般的となったが、退院した後の生活を継続的にフォローするしくみは定着していない。それを肩代わりしてきたのが訪問看護ステーションの看護婦だという。
 訪問看護ステーションで提供するサービスの六割はリハビリだというデータもある。しかし、ステーションのPTやOTは圧倒的に人数が足りず、実際には看護婦がみようみまねでこなしているケースも少なくない。
 さらに、もともと医療保険で報酬が算定されていた訪問リハビリが、介護保険ができて四種類の報酬類型になったこともこうした状況に拍車をかけた。「どの医療機関が、誰を使って訪問リハビリを行うのか。そしてそれが介護保険なのか医療保険なのか。利用者にはとても分かりづらいしくみになってしまった」と、伊藤さん。病院や診療所からの訪問リハビリは単価設定が低い。スタッフが一日かけても、訪問できるのは五〜六件が限界となれば、訪問に手を伸ばすメリットはあまりないようだ。
 職種や所属機関超え改善検討へ
 病院の中だけにいるとその人が自宅で暮らす上で本来必要としているリハビリに目が向かない。一方で訪問リハビリは、一つの医療機関で広域の利用者をカバーすることは難しい。「それぞれが自分の領域で分業しているのではなく、同じ目線で在宅支援のための共通認識や連携システムができないだろうか」。全国ネットでは、こうした現状について職種や所属機関の枠を超えて考えていきたいという。(以下略)



シルバー新報 2001年11月30日号の主な記事 見出しと要旨


無許可保育園の指導強化 届け出を義務付け

 行政の目の届きにくかった無認可保育園の指導を強化するために、届け出制の創設や保育士の国家資格化などを盛り込んだ改正児童福祉法が二十六日、参議院本会議で可決、成立した。東京豊島区の無認可保育園での死亡事故など民間保育園での事故が相次ぐ中で、議員立法として提出されていた。認可外への監督強化は○二年度中、国家資格化は○三年度中に実施される。
 保育園は、誰でも自由に開業できるものだが、行政による施設整備や運営に補助のある保育園を「認可」保育園と言うのに対し、それ以外は認可外保育園、無認可保育園と区別される。老人福祉分野の特別養護老人ホームと有料老人ホームの関係と同様だ。
 認可保育園の数が不足していることや、延長や長時間保育など多様なニーズに応え、都市部を中心に根強いニーズがある。これまでも、都道府県では、行政指導の対象としてきたが、届け出義務はないため、所在地は電話帳などで探すしかなかった。このため、改正法では、オープン後一カ月以内に都道府県に届け出ることを義務化。
 また、情報公開として、必要事項の掲示や、契約時の書面の交付、年一回の運営状況の報告を義務付けることなどを盛り込んだ。都道府県は毎年報告事項を公表する。
 また、今回新たに、都道府県の権限として、運営や設備への改善勧告と従わない場合の公表を規定。立ち入り調査、施設閉鎖までの手続きを整備した。
 「保育士」資格は、現在は、政令に定められた認可保育園に勤務する場合の基準であり、一種の任用資格だ。名称独占資格として法定化することで、保育士でないものが、名称を使用することができなくなる。福祉分野での国家資格は、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士に次いで四番目となる。
 政府の総合規制改革会議が七月にまとめた「中間とりまとめ」でも、民間参入による質の低下を防ぐため、保育士個人がサービスの質を担保できる仕組みとすることが必要と盛り込まれていた。(以下略)

高齢者  長期入院は負担増を

 厚生労働省の諮問機関の中央社会保険医療協議会は、二十八日の総会で、長期入院する高齢者に負担増を求めるなど次期診療報酬改定の基本方針を承認した。年度末の決定を目標に、具体的な内容について話し合いを進めていく。
 総会では、診療報酬基本問題小委員会が四月以降の審議で検討した具体案の中から、診療報酬改定に関わる事項が議題にあげられた。具体的には、@入院の必要性が低いのに六カ月以上入院している高齢者の負担を増やす、A大学病院などを対象とした包括評価の導入、B高度先進医療や患者の差額ベッドなど患者の選定による自己負担枠の拡大、C二〇五円ルールの見直しなど。高齢者の長期入院については、逓減制を廃止し、リハビリの必要度に応じた報酬水準に設定するとともに、六カ月を超えて入院している場合は自己負担額をアップする。
 来年度予算編成の方針を決める今月末を間近に控え、医療制度改革について政府・与党内での議論は混迷を極めている。政府・与党社会保障協議会では二十九日に最終報告を取りまとめる予定だが、自民党内には反対論がくすぶっているためだ。(以下略)

インタビュー 日本高齢者生活協同組合連合会会長 大内力氏

 高齢者同士が連帯し助け合うことを目的に活動する高齢者協同組合(以下、高齢協)は、現在二九都道府県に設立され、うち二二組合が生協法人格の認可を受けている。これらをつなぐ全国組織として十一月三日、日本高齢者生活協同組合連合会が設立された。同会の大内力会長は、高齢者が自ら仕事を生み出し、自分の人生も充実させる社会を実現するための取り組みや提言を行いたいと語る。(聞き手=大元美樹)
 ――高齢協とはどんな団体か。
 「高齢者は社会のお荷物というイメージが根強いが、実際には健康で、もっと働きたいという意欲を持っている人は多い。このほど組合員約一五〇〇人を対象に実施した ″高齢者の意識・生活実態調査アンケート″でも、七割が自分の健康状態を「よい」「ふつう」と答え、約半数が社会活動を生きがいとしている結果が出た。高齢協は″寝たきりにならない、しない″をスローガンに、そういった高齢者が活躍できる場を提供してきた。ここ三年では特にヘルパー養成講座に力を入れ、労働者協同組合とともに全国で延べ三万五〇〇〇人のヘルパーを養成してきた。全国に約一四〇カ所ある地域福祉事業所でデイケアを行ったり、在宅でのケアにあたっている。高齢者の気持ちがわかり、話が合うと好評だ。
 今後はこの事業所を中学校区に一つの割合に増やし、介護サービス以外の事業も積極的に展開していきたい。そこで、高齢者のニーズと、その能力や技術とを結びつけていく」
 ――連合会では何をやるのか。
 「高齢者が社会的活動を継続できる社会を実現するために、一つの団体として発言力を持っていくことが必要だ。二〇〇三年までに全県に高齢協を設立し、組合員一〇〇万人の組織を目指す。まずは実態調査の結果を踏まえ、高齢者が何を考え、何を望んでいるかを多くの人に知ってもらうことから始める。
 また、現在認可を受けている生協法人の枠では、員外利用ができないが、組合で作った商品やサービスが全国的に流通すれば、高齢者自身の収入も増えるし働きがいにもつながる。この活動に即した″協同労働のための協同組合法″の制定を関連省庁に働きかけているところだ。(以下略)

依然厳しい経営環境

 企業の九月中間期決算の時期とあって、介護関係の上場、店頭登録企業も相次ぎ決算内容を発表している。介護企業や福祉用具関連企業など介護関係の主な企業の二〇〇一年九月中間決算は、全体的に依然厳しい結果となった。二〇〇二年三月期は各社経営強化により収益の改善を予想している。
<ジャパンケアサービス>サービスセンター方式が裏目に
 ジャパンケアサービスの二〇〇一年九月中間決算は、売上高が前年同期比七一・一%増の二五億六五〇〇万円、経常損益は五億五三〇〇万円の赤字(前年同期は三億六〇〇〇万円の赤字)、最終損益は六億九一〇〇万円の赤字(前年同期は二億五四〇〇万円の赤字)となった。
 減益要因は、六月にステーション改革として都市部を中心としたヘルパーステーションを八八カ所から六〇カ所にへ統合するサービスセンター方式を導入したが、都内のヘルパーから予想以上の反対があり、退職者が増加したことで利用者を減少したため。また、本社移転、ステーション統合による経費も予想より増加した。
 同社は、業績不振により財務体質が悪化している。そこで、キャッシュ・フローの効率化を図る。来年一月からレセプトの債権を流動化する。これにより、国保連への請求から支払いまで約二カ月かかる債権の資金化を一・五カ月期間短縮でき、今まで以上にキャッシュ・フローの効率を向上させることができる。
 債権の流動化先は、同社が出資している債権流動化の会社を使う。コスト的には銀行借り入れとあまり変わらないという。
 二〇〇二年三月期の業績予想では、売上高が前期比三二・五%増の四八億五一〇〇万円、経常損益は一億九九〇〇万円の赤字(前期は七億三七〇〇万円の赤字)、当期最終損益は三億六〇〇〇万円の赤字(前期は一〇億三八〇〇万円の赤字)を予想している。
<日本医療事務センター>介護部門は大幅増収も減益に
 日本医療事務センターの二〇〇一年九月中間連結決算は、売上高が前年同期比一三%増の一九二億四〇〇〇万円、経常利益は同一六・四%増の一〇億七三〇〇万円、当期純利益は同一六・二%減の三億七八〇〇万円となった。
 介護事業部門は、ヘルパーステーションの新設は医療法人とタイアップした医療・福祉型を指向している。中間期末時点での拠点数は一〇カ所となった。売上高は前年同期比一三三・七%増の一億二三〇〇万円、営業損益は六八〇〇万円の損失となり、収益面では厳しい結果となった。
 二〇〇二年三月期の連結業績予想では、売上高が前期比一五%増の三九三億円、経常利益は同九・六%増の一九億五〇〇〇万円、当期純利益は同六二%増の八億円を予想している。
<ベネッセコーポレーション>介護関連売り上げが大幅増し
 通信教育大手で介護事業を展開しているベネッセコーポレーションの二〇〇一年九月中間連結決算は、売上高が前年同期比二・二%増の一三四四億円となった。経常利益は通信教育の延べ会員数減少などで同一〇・一%減の一九一億一〇〇〇万円、当期純利益は同一二・八%減の一〇三億五七〇〇万円となった。
 売上高は新規事業の柱である介護関連の売り上げが、介護付き高齢者向けホーム運営の事業拡大により八六・六%の大幅増収となった。
 二〇〇二年三月期の連結決算予想は、売上高が前期比二・〇%増の二六八二億六〇〇〇万円、経常利益は同二四・二%減の二四六億六〇〇〇万円、当期純利益は同一九%減の一三三億六〇〇〇万円を予想。
<パラマウントベッド>販価下落などで営業利益47%減
 パラマウントベッドの二〇〇一年九月中間の連結決算は、売上高が前年同期比一〇・四%減の一九九億一一〇〇万円、経常利益は同四五・五%減の一七億五六〇〇万円、当期純利益は同五八・八%減の七億四二〇〇万円となった。
 利益面では、販売単価の下落や製造部門の操業度見達により売上原価率が前年同期に比べ大幅に上昇したため営業利益は前年同期比四七・二%減の一六億三三〇〇万円となった。
 二〇〇二年三月期の連結業績予想では、売上高が前期比二%増の四七五億二〇〇〇万円、経常利益は同六・八%減の六四億円、当期純利益は同一三・八%減の三三億五〇〇〇万円を予想している。
<フランスベッド>医療・介護向けが大幅に下回る
 フランスベッドの二〇〇一年九月中間期の連結決算は、売上高が前年同期比五・五%減の三二〇億六五〇〇万円、経常利益は同七三・八%減の一億四三〇〇万円、当期最終損益は九〇〇〇万円の赤字(前年同期は四九億七六〇〇万円の赤字)となった。
 医療用と介護用ベッドは伸び悩み前年を大幅に下回った。主力の一本ベッドは販売台数は前年並みだったが、販売単価の低下により五・六%のマイナスとなった。家具事業部門の連結売上高は二・五%減の一七五億七二〇〇万円となった。
 二〇〇二年三月期の連結業績予想では、売上高が前期比三・四%減の六五八億五〇〇〇万円、経常利益は同四〇%減の一一億一〇〇〇万円、当期純利益は五億八〇〇〇万円(前期は四九億八七〇〇万円の赤字)を予想している。(以下略)

支給限度額区分一本化への対応(本紙アンケート調査)

 「在宅サービスを限度額一杯に利用していた方や要介護度の低い方には実質サービス減。ケアプランが立てにくくなる」「業務ソフトのバージョンアップが間に合うか不安」…。本紙では来年一月からの訪問・通所サービスと短期入所サービスの支給限度額区分一本化への準備状況について、全国の居宅介護支援事業所に緊急アンケート調査を実施した。「不安がある」と回答した事業所は過半数。サービス利用者への影響や対応版ソフトの遅れを心配する回答も多かった。約三分の一の事業所ではソフトのバージョンアップが別途有料とされ、その費用負担への不満も強かった。(鶴賀 茂)
居宅介護支援事業所の185事業所から回答
 アンケートは十一月中旬に全国約二万三〇〇〇の居宅介護支援事業所のうちから無作為に抽出した五〇〇事業所を対象に、ファックスまたは電話で回答を求め、二十六日までに三七%にあたる一八五事業所から回答を得た。質問項目は、@一本化に不安があるかどうかA不安の理由B業務ソフトを使っているかCその使用目的D一本化対応の具体的な方法Eソフトバージョンアップの時期、費用F対応で困っていることG使用ソフト・メーカー名Hその満足度と理由など。
 一本化には「不安がある」としたのは約五四%で、「準備ができているので不安はない」の四二%を上回った。
 不安の理由(複数回答)は、「利用者への影響が大きい」と「ソフトの対応が遅れそう」が同程度に多かった。
 記入式で自由に意見を書いてもらったところ、今回の一本化の意義について、制度が簡素化されることに賛同する声や、「振替利用が廃止され手続の事務量が減ることはありがたい」と評価する声も寄せられていたが、利用者の立場に立ってサービス利用への影響を懸念する声の方が圧倒的に多かった。
 一本化後の支給限度額は、現在の訪問・通所系サービスと同水準。結果的に、従来のショートステイ枠の分だけ、利用できるサービスの量が減る。また、ショートステイは最長三〇日までと制限されるほか、要介護度の低い人ではショートステイを利用した月はほかの在宅サービスは利用しにくくなるなどの問題がある。
 「業務や手続の簡素化とはいえ、実質サービス減となり、利用者へのしわ寄せと言えるのではないか。一本化とは聞こえがよいが、改悪である」(福岡県の医療法人)(以下略)



シルバー新報 2001年11月23日号の主な記事 見出しと要旨

秋田県鷹巣町 高齢者安心条例制定へ

 秋田県鷹巣町は、介護保険施設等での身体拘束を禁止するなど高齢者の人権擁護のための「高齢者安心条例」の原案を公表した。拘束にあたる行為を具体的に明記し、やむを得ず拘束する場合の手続きを明確にしたほか、褥そうをつくってしまった場合は毎月報告を求める。罰則の規定はないが、保険者としてサービスの質に対して責任をもつ姿勢を明らかにしたかたちだ。十二月議会に提出、来年四月からの施行を目指す。
 権利擁護 保険者の責任で
 介護保険制度では、サービス事業者への指導は都道府県、苦情処理は各都道府県の国民健康保険団体連合会が行うことになっており、保険者である市町村がサービス質の向上や利用者の権利擁護への責任を果たすためには独自に条例をつくるしかない。条例案は利用者である高齢者の行動を管理・制限する行為を「権力行使」と呼ぶなど、高齢者の人権擁護を第一とした内容だ。同町と交流の深いデンマークでは二〇〇〇年一月に制定した社会サービス法の中で、サービス提供者から利用者への「権力行使」を制限する規定を設けており、参考にした。
 条例の原案によると、車いすに縛る場合は、事前許可制。緊急保護や居室への拘留は緊急度の高い場合にサービス提供責任者の判断により行う。「権利行使」の内容と手続きを明確にした。当初案では一六の拘束禁止項目が挙げられていたが、「抜け穴」を突いた事例が出る問題が指摘され、やむを得ない場合の扱いを明確にすることで、それ以外は認めないかたちにした。
 条例には罰則の規定はないが、問題があるとされた事業者が調査などを断った場合は、町長がその経緯や内容を公表できる。(以下略)

生活者起点の構造改革を

 経済、労働、言論、自治体関係者などでつくる「新しい日本をつくる国民会議」(二十一世紀臨調)は十九日、個人が経済成長より豊かな人生を重視することや、ワークシェアリングやNPOなど新しい働き方を提言した「日本人のもう一つの選択――生活者起点の構造改革」を公表した。
 この提言は、同臨調の国民生活再構築会議(座長=小倉昌男ヤマト福祉財団理事長)がまとめたもので、生活者を起点とした構造改革を実現するために、個々人が事なかれ主義や他人まかせの態度、既得の利益を捨て、官主導体質から脱却し、生活者の現場から政策改革を求めていく自己改革が必要であると強調。福祉、雇用、産業、医療、環境、教育などあらゆる分野での取り組みを求めている。
 福祉分野では、ケア専用住宅を建設して高齢者や障害者を社会から分離するのではなく、健常者とともに働くことのできるまちづくりを目指すべきであるとし、高齢者介護施設は在宅や地域での介護を基本にして再編し、なかでも税金ばかりがつぎ込まれている特別養護老人ホームは、可能な限りゼロにしていくべきであると指摘している。(以下略)

ケアマネ試験受験者 3割減の9万2736人

 十一月十一日に行われた第四回の介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)を全国で九万二七三六人が受験したことが本紙の調べで分かった。
 申し込み者数は約十万人、受験率は約九四%だった。昨年の受験者数が一二万八一五三だったのに比べ七二・三%と約三割減だ。毎年減少している。
 受験者数が最も多かったのは東京都で八四六八人。次いで、大阪府の六四八二人、北海道四六〇六人、福岡県四四五四人、神奈川県四二七五人の順。
 逆に最も少ないのは山梨県六七二人。次いで、高知県六九四人、福井県七一八人、鳥取県七四一人、島根県七八九人の順。
 「受験者の減少が続いているのは、とりあえず取得しておく受験者が減り、実質的に必要で取得する受験者に限られてきたからではないか」との担当者の声も聞かれた。合否の通知は十二月中の予定。

ケアマネの事務負担大幅軽減 給付管理システム 共同運用が威力

 町田介護支援ネットワーク協同組合は給付管理システムを共同運用することで、介護保険でのケアマネジャーの事務負担を大幅に軽減する成果を上げている。一カ月間で一人のケアマネジャーが八○件のケアプラン作成と新規訪問を六○件こなせるようになった事業者もあり、共同でヘルパー研修にも乗り出すなど活動の幅を広げている。資金力のない小規模な事業者が多い介護サービス業界で、協同組合化のもたらすメリットは今後、各地で注目されそうだ。
 法人種別の異なる8事業者で
 業界の中の中小企業が複数で協同組合を設立して共同仕入れなどを行うことができる「中小企業等協同組合法」が制定されたのは、昭和二十四年。大企業と比べて資本や経営体力のない小規模な企業を保護するための法律で、一般の産業界ではすでに定着している。
 町田市内の介護サービス事業者がこの法律に目をつけるきっかけとなったのは、介護保険で始まった給付管理・請求事務にある。
 「事務職員が総出で二週間かけても国保連からの返戻は三割を超えた。みんなへとへと。何とかこの負担を減らしたかった」。そう話すのは、特養ホーム合掌苑の措置事業部長・森一成さんだ。どこの事業者も同じような状況だと聞き、請求業務なら法人の枠を超えて連携できる分野だと直感したという。
 当時、複数の事業者で共有できるシステムは「かがやきぷらん」(NTTデータ通信システム)のみ。自治体向けで高価だったが、こうしたコストの問題や管理の面でも、協同組合の設立は有効だった。医療法人、社会福祉法人、民間企業など八事業者で設立し、昨年七月から運用を始めている。
 ヘルパー研修も共同実施
 その結果、ケアプランの作成から給付管理・国保連への報酬請求まで一連の事務が自動化されただけでなく、利用者ごとに請求書をまとめて作成、郵送まで行うこともできるようになった。返戻は激減し、合掌苑ではケアマネジャー一人で八○件のケアプランを担当しても、新規の訪問に六○件回れるほどの余裕が生まれた。残業もほとんどない。
 組合の中には配食やボランティアなどインフォーマルなサービスを行っている事業者も多い。
 「こまめに利用者の相談に乗ったり緊急の手配などにも臨機応変に対応できるようになった」
 おかげで、新しいサービスを利用する人も増えているという。この成果を土台に来月からは共同でヘルパー研修も始める予定だ。(以下略)

見えてきた介護保険 21 国民健康保険中央会 櫻井正人常務理事に聞く

 \\一月からの限度額一本化の準備は。
 「介護保険の審査・支払いシステムについては、現在、中央会でのベンダー向けテストを実施している。十二年四月の制度発足時には、制度がぎりぎりまで決まらなかったり土壇場で修正が入ったりしたこともあって相当な混乱があったが、今回は十分な準備期間があったので問題はないと思う。中央会で出している簡易入力機能付き伝送ソフトの改訂版も十二月には用意できる予定だ。これまでの意見を参考に使い勝手もかなり向上させた」
 \\請求の電子化は順調か。
 「島根、岩手、秋田などは伝送率は高いが、大都市圏のように事業者が多いところなどは少し遅れている。県庁が音頭をとって準備を進めたところが、早いということは言える。
 十二年五月の最初の審査では、事業者数ベースで「紙」による請求が七割だったのが、今は磁気媒体、伝送が増え紙は三割強となっている。全体的には順調といえるだろう。電子化によって給付実績データをいろいろなかたちで分析することもできるようになってきている。
 介護保険は、いろんな意味で医療保険になかった斬新な仕組みを取り入れている。審査・支払いの電算化もその一つだ。医療保険の分野でも、これまでは例外的に電子請求を認めるかたちだったが、すでに十月一日付で省令が改正されており、今後本格化するだろう。介護保険でIT化が進んだことが、連合会としての基礎づくりになったと思う」
 \\苦情処理はどうか。
 「苦情申立の受付件数は十二年度三〇〇件だったが、今年度は八月末で既に一七〇件になっており、相談件数ベースでは一三〇〇件を超えている。当初は苦情処理機関としての連合会の認知度が低かったが、広報に努めた結果、少しずつ知られるようになってきた。
 一年の実績を踏まえて、中央会では、苦情処理の状況について各連合会の聞き取りなどを行い、実態に即して業務を見直すようお願いしている。従来は、事業者へ「指導書」を出すところで終わりだったが、今は指導に対してどういう対応をとるか「改善計画書」をとる仕組みに変えた。言いっ放しではなく、実際の改善に結び付くように期待している」
 \\医療保険改革について、国保中央会の立場は。
 「医療保険の現状を考えれば改革は待ったなしだ。国保サイドとしても、九月二十日から市長会、町村会、中央会の三者で緊急対策本部を設置した。
 われわれは、医療保険制度の一本化を訴えてきたが、厚生労働省の改革試案ではそうした方向性が全く明らかにされていない。逆に老人保健の対象年齢を七五歳に引き上げるとしており、一本化の考えとは逆行している。引き上げれば、七〇歳から七四歳の高齢者は老健拠出金による財政調整の対象から外れ、国保の運営に重大な影響を及ぼすことになりかねない。
 今回の試案は来年度には破綻すると言われている政府管掌健康保険の救済策に力点が置かれている。破綻寸前というなら、国民健康保険も同じだ。なんとか、赤字を一般会計からの繰り入れでしのいでいる状況だが、単年度赤字額は三〇〇〇億円と恒常化しており、一般会計繰り入れも限界だ。
 国保は健康保険、政管健保と比べると老人・低所得者の加入者が多い。所得に対する保険料負担は国保が格段に重くなっている。負担が重く給付が少ない構造だ。被保険者の負担と給付の格差をなくすためには保険制度を一本化すべきだ」(以下略)



シルバー新報 2001年11月9日号の主な記事 見出しと要旨


個別浴槽が増えてます 老健施設・特養ホーム

 在宅復帰に力を入れる老人保健施設や個別ケアを目指す特養ホームなどの介護施設で、最近増えているのが、小さなサイズの「個別浴槽」だ。入浴ケアを見直して「利用者の満足度が上がった」との声も聞かれる。機械浴や集団入浴に抵抗はあっても、利用者から変えて欲しいとはなかなか言えない。施設の三大介護の一つといわれる入浴だが、食事や排泄に比べてケアの見直しは遅れがちだ。生活の小規模化・個別化の波に乗って、ようやく、静かなブームになりそうな気配だ。
 介護施設でのお風呂といえば、温泉旅館の大浴場のように広くて浅い浴槽と特殊な機械浴槽のセットが定番だ。しかし、「特殊浴槽はあっても使わない」。そんな施設が増えている。
 代わりに活躍しているのが、一般の家庭にあるような小さな浴槽だ。特に在宅復帰に力を入れる老健施設では、特養に比べると利用者の介護度が軽度なことや、できるだけ自宅に近い環境でのリハビリが効果的なことから普及が進んでいる。初めから設置しているところも増えてきた。
 平成五年に開設した「いごっぱち」(高知市)では、各フロアに浴室があり、まひの状態や自宅の浴室環境を考慮して浴槽を選べるようになっている。母体の医療法人がリハビリ医療の先駆けであり、常に在宅介護を視野に入れたリハビリを積極的に行ってきた。
 入浴専門の介護スタッフを配置して九つの個別浴槽で入浴ケアをしているのは、「しょうわ」(埼玉県)。浴槽と浴槽の間に設置した可動式の手すりは施設長の考案で、特許も取った。数人で入れるタイプの中規模浴槽と合わせて、一日二○○人が入浴できるという。時にはリクエストに応じて温泉を運んできたりと、「楽しみながら入浴できる健康ランドの要素」(佐藤施設長)も持ったお風呂だ。
 都内の老健施設「小金井あんず苑」では、増床に合わせて家庭サイズの浴槽を三つ設置、一つひとつをカーテンで区切れるようにしてプライバシーにも配慮した。八月から使用を始めたところ、「みんなの前で裸になるのはいやだった」と初めて本音をもらすお年寄りがいた。
 「銭湯で育った世代はどんどん少なくなり、こうした入浴のニーズは増える」(天野久美子施設長)(以下略)

訪問介護に議論集中 社会保障審給付費分科会

 介護報酬を議論する社会保障審議会介護給付費分科会が五日開催され、サービス分野別の課題の整理が始まった。初回のテーマは、訪問介護・訪問入浴・通所介護・通所リハの在宅系四サービス。議論が集中したのは、訪問介護サービスだ。「類型の一本化」から「家事援助の価格の自由化」まで意見が出た。
 事務局が提出した見直しの視点は、「三類型」「移動時間」「サービス提供責任者の配置」など五点だ。いずれもこれまでに事業者など関係団体から要望のあった内容だ。
 現行の三類型は境界が曖昧な上に、時間単位の単価では七種類にもなり複雑だ。一本化を求める声は強いが、厚生労働省は消極的だ。
 「三類型は利用者にとっても分かりにくい。一区分でいい」(喜田・守口市長)
 保険者からも一本化を求める意見があったが、一方で「保険料は上げられないというのが前提である以上、一本化すれば結果的に身体介護の報酬が引き下げられることになる。家事は誰でも利用したいサービスだから価格を自由化すべき」(田中滋・慶大教授)と反論もあった。「区分を定めずに、要介護度で設定する手もある」「家事援助という名称の見直しをすべき」までさまざまだ。
 「全費用をタクシー代にしている利用者もいた。県ではなく、保険者が指定すべき」(山本文夫添田町長)
 介護タクシーには厳しい声が相次いだ。
 「今までの考え方では在宅は無理。家族手当の導入も視野に入れていい」
 介護の社会化を訴え家族介護には否定的だった樋口恵子・高齢社会をよくする女性の会代表が、持論を撤回し大胆に制度の見直しを求める場面もあった。(以下略)

療養型不足分の穴埋め 特養、老健の増床批判

 介護療養型の不足分を、特養や老健の増床で埋め合わせようとする自治体の動きを批判し、当初の計画通り施設間のバランスに配慮して整備を進めるべきとする報告書「介護保険制度施行一年の総括」を日本医師会がこのほどまとめた。特別養護老人ホームは介護保険導入後、収入が増加しており、次回の改訂では「全体のバランスに配慮した配分を」と報酬の引き下げを示唆している。
 厚生労働省では将来的に介護保険施設の一本化を目指しているとされているが、療養病床は医療的ケアの必要な高齢者にとって必要な施設であり、他の介護保険施設とは異なるというのが同会の考えだ。報告は医療、介護の療養病床の実態調査を実施。医療保険適用の療養病床には軽い人が入院しているという批判に対し、要介護認定基準に医療行為が反映されず、現行基準では低く判定された結果と反論している。持論である介護保険と医療保険の統合に向け、認定基準の見直しを求めていく姿勢だ。
 介護保険施設は当初計画では、特養・老健・療養型病床群を八対七対五で整備することとしていたが、介護療養型への転換が遅れている分を特養や老健を割り当てようという一部自治体の動きを、「三施設の入所者特性、医療依存度などは大きく異なっており、単に目標達成を目指すのは言語道断」と牽制している。(以下略)

ホームネット FC事業に進出

 タクシーを使った緊急通報サービスや健康・医療・介護相談サービスなどを行うホームネット(東京都新宿区、03・5285・4536)はこのほど、オーナーシップ型のグループホームのフランチャイズ事業に着手した。全国にグループホームのネットワークシステムを構築することで紹介先を増やしていく。
 介護保険適用のグループホームを土地所有者と共に開設・運営し、土地の有効活用、安定した収益、社会貢献の三要素を持つ事業にオーナーを募り、全国各地にグループホーム・ネットワークを展開する考え。
 このシステムではオーナーには原則としてグループホーム施設長に就任してもらうオーナーシップ制度の形をとる。
 グループホーム施設長としての管理ノウハウなどは、同社が開発した、施設長要請研修プログラムを受講することで、介護保険知識、運営管理手法、介護概論、スタッフ管理などを習得する。計画段階から開設・運営・管理までを支援する。運営面としては、来年二月法人認証取得予定のNPOあんしんネットワークが支援する。
 今後、二年以内に主要都市に展開し、一〇年後には全国に広げていきたい考えだ。北関東では人材派遣・業務請負のワークプランと、その新会社のピュアライフと提携して事業を進めていく。(以下略)

見えてきた介護保険 (20) 介護療養型医療施設連絡協議会 木下 毅 会長に聞く

 介護と医療の両方を担う介護療養型医療施設のあり方が問われている。介護保険事業計画に対して整備が遅れているとの指摘や、介護型への転換が進まないために「社会的入院」が解消されないとの見方もある。それに対し、介護療養型医療施設連絡協議会の木下毅会長は、退院した患者や要介護者の受け皿がないというシステムの根本を問い直さなければ問題は解決しないと答える。医療法による医療型か介護型かの届け出締め切りを見据えて、看護・介護の質の維持・向上、機能の明確化、そして施設の必要性を会を通して訴えていく。何より前向きに高齢者医療に取り組むことが肝心という。(聞き手=大元美樹)
 ・・一七万床の目標に対し、一二万床弱。整備の遅れが目立つが。
 「地域によってバラつきがある。沖縄、四国、中国地方、札幌、福井などはほぼ計画通り。少ないのはもともと療養型病床群が少なかった大都市部と東北地方などだ。地域の事情まで考えないと整備が遅れている理由は出てこない。医療法にある届け出の締め切りまでまだ時間はあるが、もう考えておかなければ対応できない」
 ・・療養病床のうち「介護」か「医療」かは、機能というより報酬で分かれるのではないか。
 「全体的に見れば医療保険でも介護保険でも報酬の差はあまりない。入院する患者の状態と、地域の医療機関の整備状況で分かれる。あとは在宅の進み具合がカギだ。医療と介護のダブりを少なくする努力はできると思うが、完全に切り分けることは無理だろう。だから日本医師会は、高齢者医療制度で一本化する事を考えている」
 ・・依然として社会的入院は解消されていないというデータも出ている。
 「医療機関側が抱え込んでいるとか、居続ける利用者が悪いという問題ではない。受け皿が不足していることが問題だ。在宅推進や住宅政策を地域で総合的に進めていく方法しかない。国も考え始めているようだが、施策はバラバラに出ている印象だ。
 六カ月以上入院する高齢者に負担を求める方針も出たが、医療保険に財源がないからとりあえず介護保険に移せというだけの話だ。そもそも社会的入院とは何を指すかの定義もない。介護療養型に移行しやすいように後押しする政策や特例は何もない。年内により具体的な方向性が出ないと病院も患者自身も対応できない。いつも場当たり的だ」
 ・・保険者からは介護療養型医療施設を介護保険から外せという声もある。
 「介護保険制度に組み込まれた施設として始まったのだから、途中からどけろと言うのは見当違いな話だ。市町村が反対するのは保険料を負担できないからで、では今そこを利用している人はどうなるのかまでは考えられていない。保険者や提供者側の権利や財政の都合だけで見るのではなく、利用者が何を望んでいるかを考えなければ問題は解決しない。
 保険者には金食い虫にしか映らないかもしれないが、現場から見れば、今の人員配置ではまだ少ない。会員病院に限らず介護療養型の八割は看護六対一、介護三対一(看護・介護二対一)でやっている。しかし、この基準は二〇〇三年三月までで、それ以降は介護保険では介護四対一までしか認められなくなるとされている。すると、介護職員を大幅に減員しなければならなくなる。身体拘束しないで、患者の安全を保ち、看護・介護の質を向上させ、さらに従業員の労働基準も守ってケアするには人数が必要だ。その「必要性」を示すため、日医総研の協力で会員病院の調査を行った。
 今の高齢者医療には、トータルケアサービスがない。四病院協議会は、リハスタッフやケアマネジャー、相談員、医師などの専門職が集まりチーム医療を行う場として「地域一般病棟」を提案している。これは急性期からでも在宅からでも入れて、患者の病状の評価からリハビリ、退院後の在宅復帰や振り分け機能までを担う病棟だ。療養病床も同じ考えが良いと思い、リハスタッフやMSWの配置を義務付けることを目指している。介護型の療養病床もその考えを視野に入れ、まずは『実績』を示していくつもりだ」(以下略)



シルバー新報 2001年11月2日号の主な記事 見出しと要旨


厚労省 医業経営効率化で検討会

 厚生労働省は二十九日、「これからの医業経営のあり方に関する検討会」(座長・田中滋慶大教授)の初会合を開いた。医療法人の理事長を医師以外にも開放するかなど、経営効率化のため医療経営の規制緩和について検討する。来年三月中には中間とりまとめを行う予定だ。
 今年七月の政府の総合規制改革会議では、病院経営と医療管理を分離し、効率化を図るために現在医師、歯科医師にしか認められていない理事長要件を廃止することを二○○一年度中に実施することや、株式会社方式など経営に関する根本的な見直しを求めた。九月にまとめられた経済財政諮問会議の「改革工程表」でも二○○二年三月までに検討するとされた。
 同検討会はこうした「外圧」を受けて発足したもので、理事長要件の緩和や経営情報の開示などについては今年度中に結論を出す方針。
 株式会社の参入については、二〇〇二年度中に意見集約するが、「株主優先の経営は医療にはなじまない」とする声が医療界にも厚労省内部でも強い。営利企業的な経営手法をどう医療経営に取り入れていくか法人制度のあり方が焦点となりそうだ。
 医療法人の理事長が医師、歯科医師に限定されるようになったのは、一九八五年の「富士見産婦人科事件」がきっかけ。経営者に医学的な知識がなかったことが事件につながったとされたためだ。都道府県が認めた場合など例外も認められるほか、一九九八年にも一部規制緩和が行われている。
 医療法人は医療法に基づく特別法人だ。わが国では長年個人病院が多かったが、近年急速に法人化が進んでいる。一九九九年には法人立が五二九九カ所と個人病院の二一一八カ所を大きく上回る。
 しかし、法人数は二〇〇一年現在で三万四二七二カ所のうち、一人医師による医療法人が二万七五〇四カ所と大多数を占めており、個人事業的な色彩が強い。収益事業など医業以外にできる事業も社会福祉法人と比べて厳しく限定されている。(以下略)

訪問介護事業者の人手不足が深刻化 5割超がヘルパー不足

 介護保険以降、訪問介護事業者にとってヘルパー不足は悩みのタネだが、増員は正職員よりも融通のきく登録・パートヘルパーで対応していきたいと考えていることが、日本労働研究機構がこのほどまとめた調査結果で明らかになった。
 調査は、株式会社、社会福祉法人、特定非営利活動(NPO)法人など約一万三○○○事業所を対象に昨年末から今年一月にかけて実施したもの。有効回答率は三一%。利用者の数の推移、ヘルパーの雇用状況、経営収支など運営全般に関する状況を把握するために行った。
 ヘルパーの数を「過不足なし」とした事業所が約三割だったのに対し、「足りない」事業所は半数を超える五三・五%に上っている。利用者を五○人以上抱えている事業所や、都市部で特に強い傾向だ。しかし、今後の雇用では、「正社員を増やす計画」は約一割にとどまり、六割の事業所が登録・パートなど非常勤ヘルパーで補っていく方針を示した。正社員に比べて人件費が割安なこと、人手が足りない時だけスポット的に依頼できる融通性のあることが大きな理由だ。
 正社員と非常勤職員では、社会保険の加入や通勤手当、年次休暇など雇用管理・福利厚生面での格差も見られた。(以下略)

日雇い労働者からホームヘルパーへ 福祉業界へ転職・地域の担い手養成

 山谷地域の日雇い労働者を対象にしたホームヘルパー二級講座が始まった。東京都労働産業局が九月からスタートさせた「山谷地域就労自立促進事業」のプログラムの一環だ。日雇い労働から福祉業界への職業転換と、地域の高齢者福祉の担い手養成という一石二鳥が狙いだが、全国に例を見ない「実験的試み」とあって、道のりは平坦ではない。事業に協力する医療法人社団、NPO、そして当事者たちは「乗るかそるか」の覚悟で、自立の道を模索している。(大元美樹)
 医療法人やNPO協力
 「山谷地域就労自立促進事業」は、都産業労働局が今年九月から来年二月まで、山谷地域に住む生活保護受給者を対象に実施する事業。職業訓練からヘルパー講座、アパート入居時の身元保証、就労後の定着指導までが盛り込まれたプログラムで、「入口から出口までをパッケージして支援する」(都産業労働局)。医療法人社団福寿会がヘルパー講座を、NPO法人「ふるさとの会」が住居提供と身元保証を行う。
 土木・建設業中心の日雇い労働は、不況の影響を受け頭打ちの状況。地域ではホームレス問題も深刻化している。事業ではこうした山谷の状況を踏まえ、山谷労働者が日雇い生活から可能性の高い労働分野へシフトしていくことを狙っている。
 もう一つに、地域全体の高齢化の問題がある。現在山谷地域で就労する約五〇〇〇人の平均年齢は五〇代後半〜六〇代前半。要介護者も増えているが、介護サービスを提供するシステムがないために、社会的入院を余儀なくされている人も多い。そこで、「後輩が先輩を介護する」地域循環型のシステムを作りたいという考えだ。
 事業対象の一五人は、区の福祉事務所や山谷地域の労働センターを通じ、参加の意思確認や相談等を経て選考された。しかし十月末現在の受講者は九人。体調を崩したり、長時間の講義になじまなかったり、ヘルパー職の責任の重さを担えないと判断したなどの理由で六人がリタイアした。
 今までに「一般の生活暦」がない受講者の中には、タオルのしぼり方、洗濯物の干し方などから指導が必要な人もいるため、実習時間は、通常より一六七時間も多い。養成講座の責任者で、福寿会のホームヘルパー養成事業部長の圓尾照子氏は、受講者たちを「ヘルパーとしての素質は十分」と評価する。「障害のある方などを身近に見てきた経験のある人が多く、声かけなどもしっかりしている」。一方で、「利用者と関わる中で『カルチャーショック』はあるだろう」とも話す。
 ヘルパーになることに迷いのない人もいるが、自信のなさを率直に打ち明ける受講者の方が多い。
 「仕事は何でもよかった。ヘルパーになれるかは分からないが、卒業したいと思っている」(五〇代の受講者)。(以下略)

H.C.R.2001が閉幕 3万4000人が来場 ユーザーが7割占める

 国内最大の介護・福祉機器の総合展示会「H・C・R・2001(国際福祉機器展)」が、東京ビッグサイトで十月二十四日〜二十六日の三日間開催された。来場者は三日間で一三万四〇一八人(同展事務局調べ)と昨年を若干上回った。特に目玉となる新製品は少なく、話題性の点では今ひとつだったが、一般来場者と介護現場のスタッフといったユーザーサイドの来場者が七割を占める中、介護保険のレンタル製品や福祉車両など身近な製品をじっくりと眺める姿が目立った。
 今回は、一三カ国一地域から六三三社が出展。ビッグサイトの六つの展示ホールにまたがって開催された。六三三社の出展は「過去最高」だが、昨年の六三一社と比べると伸びは少ない。入場者数も昨年の一三万一七〇〇人から微増。これまでの右肩上がりにも一息ついたかたちだ。
 とはいっても、にぎわいは相変わらずだ。一番人気が福祉車両の展示が華やかな自動車各社のブースであることも変わらない。常時黒山の人だかりだった。
 「新しい福祉用具や技術を見に来た。最近は利用者も勉強していて、知らないとまずいので」(三〇代・在宅介護事業所勤務)
 「どんなポータブルトイレがあるか見に来た」(四〇代ケアマネ)
 スーツ姿のサラリーマンよりも、こうした介護の現場の職員などが来場者では目立っていた。
 来場者の内訳は、一般入場者が三五%と最も多い。ついで販売業一四・六%、製造業一二・三%、福祉施設一〇・六%の順だ。
 昨年は、製造事業者・販売事業者といった業界関係者が約三五%。数字の上でも「福祉用具業界関係者」は減少している。
 介護保険導入への期待感が一息ついたせいか、ビジネスショーとしての役割も一段落したようだ。目玉となる新製品も少ないが、着実に製品の改良が重ねられている印象だった。(以下略)

見えてきた介護保険 19 全国有料老人ホーム協会 市原俊男理事長に聞く

 民民契約による高齢者住宅の走りである有料老人ホームは、入居一時金による終身利用権方式の採用で昭和五〇年代以降急速に増加し、平成初期にかけてブームにもなったが、バブル経済崩壊などの影響で倒産、一時金の返還不能に陥るホームや、誇大表示などの事例が相次いだ時期もあった。しかし、介護保険で指定事業者に位置付けられたのを機に、介護体制の充実やマネジメントの強化、自己評価の導入など体質改善に取り組み、競争力を身に付けようとしている。会員数一一〇法人、利用者総数二万一〇〇〇人を超える全国有料老人ホーム協会の市原俊男理事長に、介護保険制度下での有料老人ホームの抱える課題と生き残り策を聞いた。(後藤隆)
 ・・介護保険で有料老人ホームはどう変わったか。
 「もともと契約で始まったこともあり、措置から契約への移行にあたって大きな混乱は無かったし、介護保険の対象事業者に位置付けられ、介護報酬の給付対象になったことは、率直に言ってありがたかった。
 当初、入居者の終身介護に対する費用をホームが介護一時金として徴収していたため、それと保険給付との費用調整の問題もあったが、今では解決している」
 ・・介護報酬の見直しについては。
 「ゼロだったものが介護報酬を受け取れるようになったので、特段の要望はないが、特定施設の報酬を切り下げるのは避けて欲しい。また、競争条件のイコールフィッティングが検討されるべきだ。例えば介護報酬にはホテルコストが入っていないが、介護コストは私たちホームが当初予想していたより大きくなっている。人件費部分は介護保険でずいぶん救済されているが、介護のための施設や設備などハードの部分でやや不足しているので、介護報酬に改修や新・増築の際の費用もみて欲しい」
 ・・ハードが不十分か。
 「以前は、有料老人ホームで終身介護を行うよりも、特養や老健をつくって移ってもらう例が多かった。しかし、今は入居者も老人ホームに終身利用を期待して来るし、利用者のうち要介護状態にある人が四分の一を占める現状を見ると、かつてのハード水準では不十分な部分はある。例えば、一二、三年前に建てられたホームでは介護用ベッド数が入居者の五%程度しかなく、改修が必要だ。
 こうした点について、公正取引委員会の対応も変わってきている。以前は、協会加盟のホームが特養や老健を使って終身介護を行うことについて、施設の類型面を指摘して警告してきたが、最近では、老人ホームなのだから最後まで面倒を見よという『べき論』にまで踏み込んで警告してくる。公取としては、高齢者住宅の市場が前にも増して混沌とする中、いわゆる類似施設から届出ホームへ移行させたいのかもしれない」
 ・・有料老人ホームが生き残るために必要なのは。
 「業界自体の体質改善や、マネジメントの強化だ。
 まず料金体系について、コスト計算をして市場で支持されるように見直す。現在は一時金プラス月々の管理費・食費の支払いが主流だが、年齢別の入居金を採り入れることも一つの方策で、協会加盟ホームの一割以上がすでに行っている。
 また、中心価格帯は協会加盟の全ホーム平均で二三〇〇万円ほどだが、これをコストダウンして行かなくては。ただ、この点については、事業者サイドもさることながら税制など行政面での支援が必要だ。特に都市部では高齢者向け住宅の整備が急がれており、遊休公共用地の活用などの施策を打ち出して欲しい」(以下略)



シルバー新報 2001年10月26日号の主な記事 見出しと要旨

支給限度額一本化へ 来年一月スタート

 介護保険制度で短期入所を利用しやすくするための支給限度額の一本化が来年一月からスタートする。これまでは、別々だった「訪問通所系サービス」と「短期入所系サービス」の区分がなくなり、毎月、限度額の範囲でショートステイが利用できるようになる。利用者にとっても、ケアプランを作成するケアマネジャーなどの事業者にとっても大きな制度変更となる。新方式に対応するケアマネジメントソフト・介護報酬請求ソフトを早いメーカーでは十一月から順次リリースするなど、現場での準備はこれからが本番だ。
 ●もともとが見切り発車
 そもそも区分を分けたのは、「ショートステイは毎月利用するサービスではない」ためと説明されている。しかし、現実には毎月一週間など定期的にショートを利用している人も多く「利用日数が大幅に減る」「そもそもわかりにくい」など批判を受けた。改善策として、利用しなかった訪問・通所分をショートに変更する「振り替え利用」を認めることに決まったのは制度導入の直前だ。区分の変更は審査・支払いシステムの大幅な変更が必要となるために、この段階では不可能。事実上、見切り発車となったかたちだ。
 制度施行後は、介護者の急病など「いざ」という時のために備えてショートステイの利用を手控える現象も起こり、さらに見直しを求める声が強くなり、施行後初の見直しの課題として取り上げられた。昨年十月には医療保険福祉審議会の合同部会(当時)が「一本化」を答申した。
 ●受けられるサービスは減少
 一本化後の限度額は、現行の訪問・通所系の限度額と同水準だ。従来のショートステイの枠分だけ利用できるサービスの総量は減少することになる。連続利用は「三〇日まで」と上限も決められた。
 「これまで限度額一杯に利用していた人が、サービス水準を維持しようとすると大幅な負担増になる」
 大阪府のNPO法人「介護支援の会松原ファミリー」では問題提起をしてきたが、反応は今一つだ。「現状ではサービスの利用水準が低く、枠目一杯まで利用する人が少ないせいもあるようだ」と事務局の上村加代子さんは分析する。
 一本化では、月の途中で介護者が急病になった場合など、緊急避難的な利用やミドルステイ的な利用がしづらくなる懸念もあるほか、要介護度の低い人では、ショートステイを使った月は他のサービスが受けられなくなるが、現場からの声はまだあがっていない。ショートステイは家族の都合による利用が多く、要介護度と必要なサービス量は必ずしも連動しない。要介護度で枠をはめる以上、どう制度をいじってもどこかに無理がくる。利用実態を踏まえた議論は積み残しのままだ。(以下略)

高齢協 来月、連合会を設立

 高齢者の就労、福祉、生きがいを求める事業や運動を展開する高齢者生活協同組合(以下、高齢協)による全国組織「日本高齢者生活協同組合連合会」(高齢協連合会)が、設立される。
 高齢協は現在、全国二九都道府県に設立され、うち二二が生協法人を取得、約三万人の組合員がいる。社会的認知を高め、発言力を強めることが連合会設立のねらいだ。
 高齢協は、九五年、三重県で設立されたのを皮切りに全国に広まった。母体である日本労働者協同組合連合会と連携し、就労、医療福祉、社会保障、生きがいづくりなどにおける高齢者の要求を訴えると同時に、お年寄りの溜まり場としてスタートした地域福祉事業所、宅老所、デイケアセンターの運営、介護保険制度では訪問介護指定事業所として、サービス提供の一翼を担っている。
 全国組織を結成し、生協法人格を取得するのは、組織的に活動を行い、社会的認知を獲得することが最大の目的だ。介護保険制度の見直しに向けても提言や要求を行っていく方針。一〇〇万人加入の連合体を目標としている。
 設立総会は、十一月三日。「新しい福祉社会のあり方を問う」と題して、日本医大の竹内孝仁氏の記念講演、辻哲夫厚生労働省年金局長、袖井孝子お茶の水女子大教授ほかによるパネルディスカッションのほか、連合会がモデルとしているAARP(全米退職者協会)のエスター・テス・カンジャ会長、ジェームス・パーケル次期会長の報告も予定されている。(以下略)

特養ホーム─老健施設─介護療養型 平均要介護度で格差

 厚生労働省はこのほど、二〇〇〇年の「介護サービス施設・事業所調査」の結果を発表した。これまで別々の制度だった介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老人保健施設)、介護療養型医療施設(療養型)の介護保険三施設の比較調査はまだ少ない。利用者の要介護度は重度の4、5が最も多いが、施設別の平均要介護度では介護療養型で三・八八と最も重く、逆に軽いのは老人保健施設で二・九九と差がある。データから各施設の現状の一端をうかがい知ることができる。
 ●ベッド数は特養五割、療養型二割
 同調査は、昨年十月に、介護保険の三施設のほか、訪問看護、通所リハ、居宅サービスなどの介護サービス事業所を対象に実施された。  これによると、全国の介護保険施設は一万九九二施設で、ベッド数は六四万八五五九人。うち介護老人福祉施設が四四六三施設で二九万九〇〇〇人(四六・一%)、介護老人保健施設が二六六七施設で二三万四〇〇〇人(三六%)、介護療養型施設が三八六二施設で一一万六〇〇〇人(一七・九%)。介護保険ベッドに占める割合は、特養が半数近くに上り、療養型が二〇%に満たない状況だ。
 ●平均要介護度が最も軽い老健
 在所者の要介護度をみると、特養、老健では「要介護4」の入所者がそれぞれ二八・七%、二四・九%で最も多い。療養型では「要介護5」が三七・九%。老健は要介護1、2の軽度の割合が三七%と多く、平均要介護度は二・九九と三施設中最も軽い。最も重い療養型は三・八八、特養は三・三五だった。
 ●「医療機関への退所」が三割超
 施設ごとに最も大きな差がでるのは平均入所日数だ。特養が一四五五・五日、療養型四〇三日、老健一八四・八日となっている。療養型は一年未満が五割を占める一方で、二年以上と長期化している人も三割おりばらつきが大きい。老健は一年未満が七割と「中間施設」としてのあり方にまだ忠実といえるだろう。
 退所者の行き先で最も多いのは介護老人福祉施設では「死亡」(五七%)、老健が「家庭」(四五%)、療養型が「医療機関」(三三・一%)。三施設とも「医療機関」が軒並み三割を超えている。「介護施設」での医療の限界を示すデータだ。結果として高齢者がたらい回しになっていないか、掘り下げた検証が必要だろう。(以下略)

ヘルパー不足が深刻化 訪問介護事業者

 都市部を中心にヘルパー不足が深刻化している。訪問介護事業者の各社は資格取得費の免除や補助、募集の強化など工夫を凝らしているが、人手不足は解消しない。新規の利用者は着実に増えているが、ヘルパーが足りずに対応できない。「保険あってサービスなし」になりかねない状況だ。(草野千明)
 訪問介護大手の「コムスン」は、人材確保策として九月から一定期間ヘルパーとして働くことを前提に、ヘルパー二級の資格を無料で取得できる制度を導入した。東京二三区が対象で、年内をめどに神奈川、埼玉、千葉でも導入するほか、大阪市、名古屋市などにも広げることを検討している。
 しかし、これも決定打とはいえない。都内で訪問介護を展開している「平成介護」では、三年前からヘルパー二級の資格が取得できる講習の費用およそ八万円を、四〇〇時間以上同社で働くことで無料にしているが、現在では受講生は激減している状況だ。当初は受講生二〇〜三〇名のうち約一〇名はこの制度を利用して働いた。しかし、最近では受講生は一〇名ほどしか集まらず、実際に働くのは一人か二人という。
 日本在宅サービス事業者協会東京支部が今年五月に取りまとめた調査でも、困っていることの筆頭が「ヘルパー不足」だ。すでに不足は慢性化している。
 「利用者は徐々に増えている。すでに、ヘルパーの数が足りなくて新規の仕事が受けられない状況。このまま放置すれば社会問題化するのではないか」(建部悠・平成介護社長)と、「保険あってサービスなし」の状況を懸念する。
 「日本福祉サービス」では、十月から公共職業安定所(ハローワーク)や看護婦が登録して就職のあっせんを受けるナースバンクなどを巡回する専門スタッフを置き、ヘルパーなどの人員の強化を図っている。東京と神奈川、千葉に一名ずつ配置し、関西での配置も検討している。同社ではこのほか、各地に募集広告を出したり、ヘルパー二級の教育機関と協力し、定期的にパンフレットを配ったり、六カ月以上同社で働いた場合のヘルパー二級取得の講習の費用の半額補助など、さまざまなヘルパー確保のための方策を講じている。
 民間介護の老舗「ジャパンケアサービス」でも、事情は同じだ。ヘルパーの紹介制度や講習の費用の一部負担などを行ってきた。
 「介護報酬の額からいって、ヘルパーはパート中心にならざるを得ない。それにより待遇が安定しないのがきらわれているのではないか」(島田良一・ジャパンケアサービス・戦略・IRチーム室長)。
 しかし、「常勤雇用を積極的にすることで他の事業者と差別化できればと思っているが、なかなか思うように進まない」(小林由憲・「大起エンゼルヘルプ」常務)。常勤化も決め手にはならないという。
 責任は重いが、社会的な評価が低く、低賃金。ヘルパーにはそんなイメージが定着し始めている。(以下略)

障害者の二次障害考える全国ネットが来月発足

 障害による骨の変形や神経の圧迫などが原因で新たな障害を負ったり、呼吸不全になったりする「二次障害」に苦しむ障害者が増えている。その予防と治療法の確立に向けた初めての取り組みとして、来月、全国規模のネットワークが誕生する。障害者の専門医療は発達する一方で、定期的に健康状態をチェックできる医療体制は整っていないことも二次障害の悪化要因の一つという。全国ネットではそうした問題にもスポットを当てながら、障害者が身近な地域で安心して医療を受けられる体制をつくることを目指す。
 「二次障害」とは、脳性まひや脊髄損傷など全身に障害がある人が、首や股関節などに痛みや腫れを感じるのを発端に、そのうち神経が完全にまひして寝たきりになってしまったり、ひどい場合には呼吸不全で死にいたることもある。原因は、障害のある部分に過剰なやストレスや負担が加わり続けることで、比較的若い三○代の障害者が発症する割合が高いという。
 だが、実際にはこのような症状が医学界で注目されるようになったのはつい数年前からで、「一般的にはもちろん、当の障害者自身も認識していない」。そう話すのは、東京都世田谷区で障害者の自立生活支援を行うNPO法人「自立の家をつくる会」代表の小佐野彰さんだ。
 小佐野さんは会発足直後の九三年頃から、一人暮らしをしながら働く仲間がバタバタと倒れていくのを目の当たりにしたのを機に研究や相談事業などを行ってきた。事例が集まり、協力してくれる医療者の存在もあって原因や予防法の一端が見えてきた。同時に、身近に健康チェックを受けられる医療体制が整っていないことも分かり、「障害の種類や活動地域を超えて取り組むべき」と、全国ネットの発足に踏み切ったと話す。(以下略)



シルバー新報 2001年10月19日号の主な記事 見出しと要旨


一人ひとりが主役の福祉

 「規制緩和」「民営化」。小泉内閣の大号令のもと、いま日本は構造改革の真っ只中にいる。高齢者介護・保育などの福祉分野も三五○万人の緊急雇用対策の柱の一つとして位置付けられた。ケアハウスの規制緩和を始め、保育所の増加、NPOの育成……新産業創出と高まる期待は、介護保険導入前の盛り上がりムードとどこか似ている。
 そのあてが外れたように、このままいけば今回も同様だろう。規制緩和や民営化を声高に叫ぶだけでは「弱者切り捨て」「福祉を食い物にする」と反発をかい、社会の不安をあおるだけだからだ。どっちも旧態然とした対立の構図だ。
 われわれに必要なのは、まず発想の転換だ。
 大手資本の参入が期待された介護保険だが、蓋をあければ、元気になったのは草の根の「小さな起業」だ。デイ、グループホーム、訪問看護など多様な分野に及んでいる。「雇われる」しかなかった医療・福祉の世界に大きな風穴をあけたといっていい。
 地域の子育ての問題に高齢者が取り組む。障害者自身が、自分自身の問題解決に立ち上がる。身近な問題の解決にチャレンジする人たちの例が山ほどある。日本人だってそう捨てたものではない。
 「施し」はもう結構だ。誰もが役割を持つ、一人ひとりが主役になれる。チャレンジを後押しする施策が必要だ。そうなって始めて福祉が社会の活力となる。その芽は、足もとから育ち始めている。

事業者代表   医「高」福「低」の構成

 十五年四月からの介護報酬の改訂を審議する社会保障審議会介護給付費分科会が二十二日から開かれる。当面は月一回程度のペースで開催される予定だ。内定している委員は二三人だが、事業者代表だけを見れば医高福低の配分だ。争点になるとされるケアマネジャーやホームヘルプ、グループホームなどの代表者は含まれておらず現場の声が届きにくい構造だ。
 改訂は経営の実態データをもとに行われるため、審議が本格化するのは、正式な経営実態調査がまとまる来年五月以降。当面は月一回程度のペースで課題を整理する。システム変更の時間が必要となるために、来年七月には新しい報酬の骨格を設定する。
 委員の顔ぶれは、医師会、薬剤師会、歯科医師会の三師会が入っているのを始め、介護療養型施設、老健施設など医療系の事業者が多いのに対し、福祉系は全国老人福祉施設協議会、介護福祉士会の二つ。事業者ベースでみると医高福低となっている。民間企業の在宅介護事業者の代表として日本在宅サービス事業者協会でも委員への選任を求めてきたが、入れられなかった。ホームヘルプの類型のあり方、グループホームの夜勤体制、ケアマネジャーの報酬引き上げなど課題はいずれも在宅サービスだが、いずれも代表は不参加。分科会としてヒアリングを実施する予定だが、現場の声は届きにくい。(以下略)

東京都が独自の利用料減免策

 東京都は十日、国の低所得者を対象とした介護サービス利用料の軽減策を「改善」した独自制度を来年一月から開始することを発表した。軽減を行う社会福祉法人の実績がなく、国の制度が事実上機能していない状況を踏まえたもので、事業者やサービスの対象を拡大し、法人の負担を減らす。都道府県単位で利用者負担の軽減を行うのは全国で初めて。
 国の特別対策では、低所得者対策として、施行前から訪問介護を受けている人への利用料の減免と、社会福祉法人が行う措置が位置づけられている。
 社会福祉法人の方は、利用者に対して減免を行った場合に、一定割合を公費で充当する仕組みだ。しかし、事務手続きが煩雑なことや、法人側の負担が重いことから、これまで都下での実績はゼロだった。
 今回の都独自策は、この国の制度に上乗せするものだ。福祉用具レンタル、特定施設入所、痴呆性グループホームを除いた訪問・通所系と短期入所サービスに拡大。社会福祉法人に限らずにこうしたサービスを提供する事業所すべてが対象となる。減額することで在宅サービスの利用にはずみをつけたい考えだ。
 減免額の総額の半分を都・区市町村が負担する仕組み。残りは事業所の持ち出しだ。対象者の要件は、世帯の年間収入が一人世帯の一二〇万円以下、世帯の預貯金額が六〇万円以下、介護保険料を滞納していないこととしている。
 また、社会福祉法人の特別対策についても法人負担を軽減する上乗せを行う。国では法人に対して、本来受領すべき年間の利用者負担の一%を法人の義務負担とし、それを超えた分に対しての助成をする仕組みだが、都ではこの義務負担をなくすとともに、額が大きくなる食事や日常生活費などを減額対象外としたことで、「大幅に法人負担が減額されることになる」とする。
 都下で特別対策以外での利用料減免を行っている保険者は一三区二〇市二町に上っている。都制度に対して、これまで利用者減免を行っていない保険者は概ね肯定的に見ているようだ。稲城市は「利用者の軽減を図るためにも基本的には取り組みたいと思っている。制度の中身を踏まえた上で、法人への打診も考える」と話す。都は、今月下旬に区市町村に対する説明会、来月には事業者向け説明会も行う予定だ。(以下略)

全員でケア情報共有 特養ホーム緑の郷が開発

 特別養護老人ホーム緑の郷(横浜市青葉区、045・903・8500)はこのほど、入所しているお年寄りや提供したケアの情報をスタッフ全体で共有するためのコンピューターシステムを、独自に開発した。現場の介護スタッフが直接システム会社と話し合い、誰でも入力しやすく、肝心な情報を申し送り時に確実に伝えることに主眼を置いた。ケアプラン作成や報酬請求とは連動していないが、介護業務に特化することでかえって現場にとっては使い勝手が良いという。
 システムソフトは「日常管理システム・ふるさと(仮称)」。三年前から同施設の介護スタッフが中心となって取りかかってきたもので、このほどゲームソフトなどの企画・開発を手がけるアクセス(東京都江戸川区、03・5605・4855)が製品化した。
 介護の現場は、いってみれば記録との闘いだ。早出、日勤、夜勤と一日の間に大勢のスタッフが入れ替わりケアにあたるため、お年寄りの体調の変化や介護の注意点を伝える申し送りは欠かせない。しかし、その都度メモをとったり、紙に書き直したりの「伝言ゲーム」では、肝心な情報が伝わらないこともある。
 「ふるさと」は、入所者一人ひとりのADLや服薬の状況、性格などが入力された「個人情報」のほか、食事、排泄、入浴、リハビリなどのケア記録を入力していく「日常生活」の画面がある。ケア記録は必要な部分だけをピックアップして印刷できるため、申し送り時の紙の量は格段に少なくなったという。
 単にデータ入力だけでなく「食事の時に子どもさんの話で盛り上がった」「入浴が待たされてちょっと不機嫌」といった″話題″が書き込めるのも特徴だ。
 「生活日誌みたいな感じですね。直接介護にあたっていないときに、自分の担当するお年寄りがどんなことをしていたのかを知ることでさらに話が発展します」と、事務長の田中さん。システム開発の発端には、「記録の手間を思い切って省いてじっくりお年寄りと話したい」という思いもあったという。
 ケアプラン作成や報酬請求とは連動していない、介護業務だけに特化したシステムだが、かえってその分使い勝手がよさそうだ。(以下略)

H.C.R.2001開催へ 14カ国・地域633社が出展

 国内最大の介護・福祉機器の総合展示会「国際福祉機器展H.C.R.2001」が十月二十四日〜二十六日、今年も東京ビッグサイト東ホールで開催される。
 前回の出展社数六三一社を上回る一三カ国一地域から六三三社が出展し、史上最大の規模で開かれる。六つのホール、五万平方mの会場におよそ二五〇〇〇点を超える機器が勢ぞろいする。関係イベントも盛りだくさんだ。来場者数も過去最高の一三万人を見込んでいる。
 国際福祉機器展は今年で二八回目。わが国の福祉機器展の草分け的な存在でもある。高齢社会を迎え新規参入企業が増えるとともに、業界内の最大のイベントになっている。今年の新規出展は国内外合わせて一五三社。この開催に合わせて新製品の発表を行う会社も少なくない。
 この規模の展示会はアメリカの「Medtrade」、ドイツの「Reha」に次いで世界三番目という。
 出展内容は、車いす、福祉車両などの移動機器、移動補助製品、ベッド、マットレスなどベッド関連用品、入浴用品、トイレ、おむつ関連用品、日常生活用品、コミュニケーション機器、建築・住宅設備、施設用設備・用品、在宅サービス・施設の経営、管理システムなど幅広い。
 最近では、福祉車両、入浴用品、食事関連が増えているという。
 経済産業省が三月に公表した九九年度の調査では、わが国の福祉用具の市場規模は、二兆八六二一億円、対前年比で一九%の増だ。うち、純粋な福祉用具は、一兆一四九七億円で前年度比七・五%増。一方、誰もが使いやすい製品である共用品の市場規模は一兆八五四八億円で同二六%増だ。
 介護ベッドや車いすなどの高齢者や障害者のための福祉用具の伸びは鈍化したものの、誰にでも使いやすいように配慮された「共用品」が増え続け、市場を広げている。
 高齢社会到来のかけ声、介護保険導入の期待もあってこの数年右肩上がりで来た業界だが、今が一つの曲がり角だ。
 新規参入の大手メーカーの中でも、最近では、福祉用具の開発で得たノウハウを足がかりに、広汎な生活者に向けた製品としての提案が増えてきた。リフトアップシート付きの福祉車両などがその代表例だ。さらに高齢社会が進むことを考えれば、今後はこうした動きが加速するだろう。
 「福祉から、生活用品への転換点は二〜三年後」と読む業界関係者もいる。
 一方で、昨年から施行された介護保険では、福祉用具レンタルと一部の製品の購入が保険対象となった。必要な福祉用具を選択できる「市場」ができると期待されていたが、利用に思ったよりも弾みがつかないのが大きな課題となっている。
 ケアマネジャーとの連携が難しいことも理由の一つだが、福祉用具について、利用者だけでなく、介護にかかわる専門職にもあまり知られていないことが最大のネックであるという。
 期待や将来予測と現実の大きなギャップを抱えて、これから市場はどこに向かうのか。H.C.R.は時代を反映し、毎年さまざまな顔を見せてきた。今年の「顔」は何か。会場にヒントがあるはずだ。



シルバー新報 2001年10月12日号の主な記事 見出しと要旨


厚労省 第2期介護保険事業計画策定へ

 厚生労働省は先月末の全国介護保険担当課長会議で、介護保険事業計画の見直しに向けて、今後のスケジュールや考え方などを提示した。二期目となる計画は、現状の給付実態の分析をもとに市町村ごとに判断していくことを求める。市町村が独自の政策を打ち出しやすいよう計画作成の基本方針やサービスの参酌標準も見直す。「在宅サービスの利用率の増加、後期高齢者の増加、施設整備の進展の三つの自然増の要素があるが、大幅な保険料の引き上げは難しい」(堤修三老健局長)中にあっては、すでに給付の六○%を占める施設サービスを在宅へどうシフトさせるか知恵を絞るのが焦点だ。しかし、医療保険での長期入院解消や、介護報酬改定など市町村レベルではままならない課題も多い。(関連記事3面)
 市町村が策定する介護保険事業計画は保険料算定の根拠となる計画だ。計画期間は五年だが、三年ごとの保険料改定に合わせて見直される。二期目がスタートするのは十五年四月だが、計画策定は十四年度中。介護報酬の改訂や要介護認定ソフトなど並行して行われる見直し作業を横目で見ながらの作業となる。
 計画策定の方向を示す国の基本方針の改正案では、「給付実績について分析評価を行い利用意向を把握した上で」、参酌標準を参考にサービス量を推計するとしている。すでに給付実績データから利用実態を把握するための給付分析ソフトを配布している。
 要介護度別にサービスの利用状況の実態を把握し、地域に必要な施策を見極めてもらう。
 保険料の設定については施設サービスの見積もりが大きい。介護保険導入後、逆に施設需要が高まっていると指摘されており、施設から在宅へシフトするための施策を打ち出すことができるかが焦点だ。
 市町村の独自施策を誘導するために、基本方針の中に「市町村特別給付」を追加するとともに、参酌標準では、軽度の要介護者の受け皿として痴呆対応型共同生活介護など「住宅型」施設の目標を設定するように促す。(以下略)

医療費伸び率  全医療費管理を

 財務省は五日、厚生労働省の医療制度改革試案への対案を公表した。
 それによると、医療の質を確保しつつ持続可能な保険制度を担保するため、公的医療保険の範囲を大幅に見直すことが必要であるとし、医療費の伸びは保険料収支も含めた経済全体の伸びに合わせるとしている。その場合の伸び率管理の枠組みは医療費全体とし、老人医療費のみを対象とする厚労省案と大きく異なる。
 一方、厚生労働省は十日、自民党に提示した高齢者医療費に関する方針の中で、伸び率管理は当初試案通りに、夫婦の高額所得世帯については二割負担に引き上げる内容を示していて、調整は難航しそうだ。
 財務省案は、患者負担について年齢による区分をなくし、負担能力や医療の必要性など心身特性などを基準とし、原則三割にすることを提案。七〇歳以上で老健制度の適用を受けている人は原則一割負担だが、月額の上限は若年層と同じにする。
 老人保険制度についても同様の手法や受診頻度によって負担水準を決める。 さらに、給付の増大を抑えるため効率化を徹底し、厚労省案が見直しにとどめた診療報酬の引き下げや、二〇五円ルールなど薬価基準見直しに踏み込んでいる。

介護保険給付分析ソフトの活用方法と活用事例を作成

 厚生労働省は介護保険事業計画の見直しの参考としてもらうために「介護保険給付分析ソフトの活用方法と活用事例」を作成した。十日から都道府県を通じ各市町村に配布している。
 国民健康保険連合会の審査データから、給付実績を分析する給付分析ソフトは、日本福祉大学の平野隆之教授が作成したもので、すでに六月に全市町村に配布している。「活用事例」では、東京都武蔵野市や滋賀県彦根市など六市町での分析結果や、ソフトの使い方などをまとめている。
 分析ソフトは、中小規模市町村向け。実態のつかみにくい在宅サービスの利用状況を詳細に分析できるのが特徴だ。要介護度別の支給限度額に対するサービス利用割合、利用サービスの種類、サービスの平均利用回数などがわかる。
 たとえば、東京・武蔵野市。施設と在宅サービスの費用が五対五と全国平均に比べると在宅の比重が高い地域だ。
 特に、訪問介護の利用が高くサービス利用者の六三・八%が利用している。
 要介護度別にみると、重度化が進むと医療系サービスの比重が増えてくる。「訪問入浴」は要介護4、5の重度の人で利用率が圧倒的に高いなどの特徴があった。要介護度の比較的低い段階で、ケアプランに複数のサービスが盛り込まれているのも特徴という。
 事業計画との比較では、「訪問介護」「通所介護」「通所リハ」はすでに計画値を上回っている。独自策として所得にかかわらず負担額を七%助成していることから利用が促進されたと分析している。(以下略)

自国の福祉システムを積極PR

 わが国にとって常に福祉の先進国として君臨する北欧の各国だが、このほど改めて日本向けに自国の福祉システムをピーアールする取り組みが活発となっている。フィンランド政府観光局は、福祉現場の視察旅行のモデルコースを冊子にまとめた。スウェーデンではグループホームのスタッフなどを日本の介護現場に派遣し、直接ケアのノウハウを提供する会社が設立している。いずれも、お決まりの視察や文献だけでは断片的にしか伝わらない部分も多いとして、情報を最も役立ててもらいたい介護の現場で活用してもらうことを目指したものだ。
<フィンランド>
 フィンランド政府観光局が作成した「視察旅行マニュアル」は、社会福祉、環境、産業クラスター、建築と都市計画など日本からの視察が多い分野をピックアップし、それぞれにモデルコースを設定した。北欧の中でも人種の異なるフィンランドは、日本人と感覚的に近い国だ。
 福祉関連では、目的に合わせて五つのコースを提案している。例えば、フィンランドの社会福祉を「体系的に」知りたい人には、ヘルシンキを経由してオウル市、タンペレ市の八カ所の施設を五日間で訪問するものがある。(以下略)
 <スウェーデン>
 痴呆高齢者のグループホームを始め、福祉のモデル国として定着しているスウェーデンでは、今年五月に地方自治体、民間の福祉施設や福祉機器メーカー、研究者など産・官・学の分野が共同で福祉専門のコンサルティング会社「スウェーデン福祉研究所(SCI)」を設立した。
 目玉は、現地のグループホームスタッフなどを日本の介護施設に派遣し、直接スタッフにケアのノウハウを指導したり運営のアドバイスをする点だ。スウェーデンといえば、視察ツアーや書籍などですっかりお馴染みとなったような感はあるが、「断片的にしか伝わらない部分も多く、せっかく見聞きした知識を生かしきれていない現場も多いようだ」と、日本で同研究所の窓口となっているスウェーデン大使館の大政晶子さんが説明する。
 グループホームは自分の好きな持ち物に囲まれて受ける個別のケアを通じて、痴呆になっても価値のある老後を送ることをサポートするための方法の一つだが、介護スタッフやハードを作る建築業者にも共通する理念と知識がベースにあることが必要だ。スウェーデンのグループホーム関係者から見ると、日本では単に規模や人数を小さくしただけの「ミニチュア施設」も少なくないという。(以下略)

見えてきた介護保険(18)シルバーサービス振興会 長橋茂常務理事に聞く

 良質な介護サービスや商品を提供する事業者に交付して、利用者の福祉用具選択の目安にすることを目的としたシルバーマーク。訪問介護、訪問入浴介護、福祉用具販売、貸与、配食の五つのサービスについて認定を行い、今年二月時点での認定数は一四八五事業所・施設になる。昨年三月には介護保険の施行を前に、事業者から事業所に認定単位を変えるなど大改訂を行い差別化を図ったが、指定基準さえ満たせば参入できる制度の下で、コストをかけてシルバーマークを新規に取得しようとする事業所は少なく、いかに取得数を伸ばすかが課題だ。(後藤隆)
 \\シルバーマーク制度を昨年三月に大改訂したのは。
 「介護保険施行に伴う指定基準との併存を念頭に置いて強化を目指したもので、制度の議論と並行して内部の専門部門で四年以上議論し、消費者団体や事業者団体等と意見交換しながらつくった。
 具体的には、事業者単位で行っていた認定を、事業所単位に変更した。基準を満たした事業所だけが取得できるようにするためだ。昨年の六月から新基準による認定を行っている。
 また、自己評価を導入した。評価には第三者評価、利用者自身の事業者への評価、そして自己評価の三つがあり、今回第三者による評価を経た改善点を受けて事業所自らが自己評価する仕組みを構築した。マークの対象は、訪問介護、訪問入浴介護、福祉用具販売、貸与、配食の五つで変わっていない」
 \\介護保険で民間事業者が多く参入してきたが、シルバーマークの取得事業所は増えているのか。
 「伸びたとは言えず、やや苦戦している。介護保険の指定基準を満たした事業所なら誰でも参入できるようになり、事業所の数は措置の頃に比べて急激に増えた。特に、訪問介護、訪問入浴介護、レンタルなどへの参入が目立つ。昨年三月から六月の三カ月をピークに急激に伸び、この三分野での民間事業所数が全体の約五〇%を占め、参入意欲の高さがうかがえる。
 いずれもマーク対象サービスだが、それでもマークの取得が伸び悩んでいるのは、シルバーマークは質の確保・向上が第一義であるため、介護保険の指定基準よりも基準を高く置いているためだ。例えばホームヘルプでは、指定基準に加えて、看護婦を配置することを求めている。訪問介護の対象となる高齢者は何らかの病気を持ち、ヘルパー、ナース、ソーシャルワーカーがセットで介護するのが理想だからだ。また、レンタルでも独自に消毒基準を設けている。
 しかし、今の状況では事業所に看護婦を置くだけの報酬がなく事業者のコスト増につながるため、マーク取得が進まない要因になっている」
 \\差別化が図りにくいということか。
 「そうだ。本来シルバーマーク制度は、福祉や介護にかかわる良質なサービスや商品を提供する事業者にマークを交付し、利用者が選択する際の目安にするもので、玉石混淆の事業者が入ってくる時こそ真価を発揮しうる。
 しかし、今の状況ではマークがあってもなくても事業はできるので、差別化を打ち出しにくい。質を上げるとコストがかかるが、質の向上を評価して介護報酬が上がる仕組みがないのも問題だ。質の向上に関するインセンティブが必要だ。
 また、利用者も措置の頃は低所得者中心で、介護保険が導入されてもその延長が続いていることや、一割負担への抵抗もあってか、サービスを選ぶところまで来ていない」
 \\シルバーマークの存在感を増すため、テコ入れが必要では。
 「評価の手法はまだ進化の余地があるし、三ツ星で評価するなど格付けの手法を入れる手もあるだろう。しかし、事業者がまだ育っていない段階で格付けしても、成長途中の中小事業者の芽をつみ取る危険があるので、導入するには時期尚早だ。事業者の参入が進み、淘汰が行われるなどして、事業者が成長し市場が成熟するのを待つべきだ」(以下略)



シルバー新報 2001年10月5日号の主な記事 見出しと要旨

民間企業のケアハウス参入 上場基準クリアが条件

 厚生労働省は先月二十八日、来年度概算要求に盛り込んだ、民間企業によるPFIを活用したケアハウスの整備について、実質的な参入条件となる都道府県の許可条件の一部を明らかにした。株式会社が経営する場合、直前期末で三億円以上の純資産と直近一年間で一億円の利益が必要と、二部上場企業と同じ基準に設定した。ハードルは高い。
 医療法人、NPOなど 資産1億円相当が必要
 PFI方式による公設民営のケアハウスは来年度からとされていたが、先にまとめられた「改革先行プログラム」に位置づけられ補正予算で前倒し実施を求めていく方針だ。来年度概算要求では、この手法を使って新たに四○○○人分のケアハウスを整備することになっている。
 社会福祉法人以外が福祉施設を開設する場合は、事前に都道府県知事の許可必要で、許可要件が実質的な参入要件にあたる。企業だけでなく、条件を満たせば医療法人、NPOなども参入は可だ。
 厚生労働省の案は、経営安定が最優先だ。株式会社などの民間企業の場合は純資産が直前期末で三億円以上単体でプラスであることと、最近の一年間において一億円以上の利益がなければならないと、二部上場の基準にならった。子会社が経営する場合は、親会社の連結ベースでこの基準を満たすものとする。上場会社の場合は無条件かどうかは今後検討するとした。
 医療法人やNPO法人でも一億円相当の資産が必要。しかし、適正な会計処理や監査で行われていれば良いとされており、営利企業への根強い不信がうかがわれる。
 このほか、経営者に必要な「社会的信望」として、社会福祉事業への関与やボランティア活動の経験を求めるほか、サービス提供責任者には社会福祉士または介護福祉士の有資格者か、特養ホームなどの施設経験が五年以上あることが必要。市町村の用地に民間が施設建設し、それを買い取った上で、民間に貸すというPFI方式の実現のカギを握るのは実施主体となる市町村。(以下略)

社会福祉法人の行方

 同じ介護保険で運営されているのに社会福祉法人だけ優遇されているのはおかしいと企業など新規参入組が「イコールフィッティング」を求めてきたが、今度は社会福祉法人からだ。競争の手足を縛る規制はおかしいという。すでに構造改革の「改革工程表」では法人のこれからのあり方の検討を年度内をメドに行うと期限をつけている。しかし、公益法人としての規制と、税制優遇などの保護はバーターであり、社会福祉法人の規制改革は「両刃の剣」といえそうだ。
 「工程表」では年度内実施
 小泉内閣の「骨太の方針」を具体化するために九月二十一日に決定した「改革工程表」の中間案では、「社会福祉法人のあり方の見直し」について来年三月を期限とした。そのあり方については、年末までに結論を出すとしている。全国老人福祉施設協議会が、ロビー活動に精を出してきた二一世紀型社会福祉法人の主張が入れられたものだ。
 形骸化した行政指導 根っこの福祉足かせ
 「企業や医療法人と競争できる経営環境にすることが必要」(中村博彦会長)
 補助金や優遇税制でがっちり守られた社会福祉法人は端からみれば恵まれているが、ややこしい規制だらけだ。それでは企業などと競争できないというのが規制緩和を求める理由だ。
 税金によるサービスである「措置」ならともかく、公益事業ではない介護保険になれば変わるはずだったが、そう簡単ではなかった。
 たとえば、理事会の諮問機関としての評議委員会の設置が新たに義務づけられた点だ。公的な関与がある措置事業には必要ないがが、それ以外の事業を行う法人は税法上の公益法人の扱いとして必要になるというのがその理由。
 「私も理事の一人だが、たまにしか行かない施設の実態はよくわからない。経営にかかわる重要事項を合議で決めれば公益性が担保できるという発想はナンセンス。さらに、評議委員会の設置を求めるなどばかばかしい限り」
 福祉に詳しい識者が話す。外部の理事がそう思うのだから、やらされるほうはたまらない。競争が求められているならなおさらだ。
 社会福祉法人が位置づけられている社会福祉法を管轄するのは、社会・援護局。介護保険を管轄する老健局との足並みが揃わないことも混乱の理由の一つだ。
 会計に関する問題は典型的だ。介護保険と並行して準備されてきた社会福祉法の改正では、社会福祉法人の会計の改革も行われた。施設ごとの区分をやめ法人としての体系的な会計を確立するためのもので、参考にしたのは学校法人だ。
 一方の老健局の「会計指針」は、介護保険事業としての経営状況を把握するためのもの。両者は性格も異なり、内容もバラバラ。さすがに不満が爆発し、最終的にはどちらでもよくなったてん末がある。
 特別養護老人ホームは、介護保険の介護老人福祉施設であると同時に、老人福祉法の施設でもある「二枚看板」。そもそもが矛盾だ。
 介護法人は「亡霊」 利用料減免踏み絵に
 社会福祉法人、企業、NPO、医療法人など多様な主体が参入する介護保険制度下でのイコールフィッティングは厚生労働省も予想していた問題だ。
 導入議論の中では、事業主体として、「介護法人」の創設も提案された。医療法の医療法人、社会福祉法の社会福祉法人のように、介護保険法に基づく特別法人として「介護法人」をつくるという発想だ。そうすれば、経営実態の把握も簡単で、将来的に予定されている介護保険施設一本化への移行もスムーズだ。しかし、「便利」なのは厚生労働省だけ。このご時世に新しい法人格でもないと一蹴され、多様な主体の参入という規制緩和に傾いていった。
 「介護保険だけで運営する老健局主導の社会福祉法人」という老施協の要望に最も近いのは「介護法人」だが、今さら難しいだろう。となると、現実的なのは医療法人のように多様化を認めることだ。
 実は、従来型の「公益性」の高い社会福祉法人と効率的に事業を行うための介護保険型を分ける「踏み絵」がすでにある。それが、「低所得者への減免」だ。現在でも、社会福祉法人が老人保健施設を経営する場合、収入の一〇%を低所得者への無料・低額でのサービス提供にあてる場合は、公益事業、やらない場合は、収益事業として課税対象となるのと同じ。リアリティはある。
 施設体系見直し先決 規制緩和はわがまま
 改革先行プログラムでは来年三月実施と時限を切っているが、「法人の規制緩和よりも、介護保険施設の体系をこれからどうするかが先。特別養護老人ホームを社会福祉事業から外すかどうかも考える必要があるだろう」
 社会福祉法人を自由にするだけの規制改革は問題の矮小化と、厚生労働省の中堅幹部はそっけない。仮に介護保険に移行すれば、もう「福祉」ではない話だ。法人改革どうこうではないのだ。そこまで考えているのか、自由の代わりに、優遇措置をどこまで手放す覚悟があるのか。現段階での老施協の要望を見る限り、その覚悟はみられない。「ないものねだりのわがまま」と受け止めている雰囲気が省内にはある。
 いずれにしても特養ホームの根幹にかかわる問題だが、「いろいろ騒いでいるのは老施協の幹部だけで、たいていの経営者は無関心」とある老人ホームの関係者は説明する。その理由は儲かっているからだ。
 全国老人福祉施設協議会が今年二月に行った調査では、特養ホームの入居者一人当たりの収入は措置の時代よりも平均で七・五%伸びて三八万七〇〇〇円。制度導入に合わせて上乗せ補助金がカットされた東京都など一部の地域では収入はマイナスになっているが、地方都市、郡部では断然追い風状態だ。入所待機者も列をなしていれば、変わろうという気が起こる方が奇特だ。(以下略)

タクシーの仕様標準化などソフト面を充実

 国土交通省がバリアフリー関連施策を矢継ぎ早に打ち出している。
 自動車交通局は、未着手だったタクシーのバリアフリー化の標準仕様を策定する検討会を立ち上げ、先月二十八日に第一回会合を開いた。車いすに乗ったままでも乗降しやすいタクシーを開発する調査を行う。
 具体的には、従来ワゴン車などの後背部に設けていた乗降用のスロープを、観音開きやスライドドアにした車体側面に取り付け、健常者と同様に乗り降りできる「ロンドンタクシータイプの実現を目指したい」(同局技術安全部)という。しかし、国産車は車体の構造が根本的に異なるためその見直しにも踏み込み、年度内に試作車を作成。ユーザーなどの意見を聞き、二年かけて実走行試験を行う予定だ。
 一方、鉄道局は一日、鉄道施設と車両のバリアフリー化を進めるアクション・プランを策定した。基準制定などソフト面での充実や、非課税措置など制度上の支援を前面に押し出す。
 また、関係省庁や都道府県との連携では、総合政策局が先月末に開いた「第二回バリアフリー法関係省庁連絡会議」で、各地域の運輸局や管区警察局、都道府県を結ぶ地方機関連絡会議の設置や、自由闊達な議論を進めるため関係機関間にメーリングリストを開設することなどが決められた。
 同局はさらに、高齢者や障害者に駅・ターミナルのバリアフリー情報や、車いすでも乗り換えやすい経路を紹介する電子情報システム「らくらくおでかけネット」の運用を今月から開始。ホームページはもちろん、携帯電話からも情報を取り出すことができる。(以下略)

日管協のシニアステージ 高齢者入居者支援で成果

 日本賃貸住宅管理協会(日管協)が今年一月から実施している高齢者入居応援制度「シニアステージ」の登録企業数が増えている。すでにこの仕組みを利用して、入居した例も多い。十月一日からは、国の「高齢者居住安定確保法」も全面施行になり、先行する日管協のサービスとの相乗効果で、高齢者の受け入れ可能な賃貸住宅市場が広がりそうだ。
 「シニアステージ」は、高齢者が賃貸住宅へ入居する際、連帯保証人がいない場合の家賃滞納保証や、入居中に身体機能が衰えたり病気になった場合の保証を協会が行う仕組み。賃貸住宅管理会社の登録により家主の貸し渋りなどの問題を解決するのがねらいだ。
 十月現在、登録会社は全国約二〇〇社五〇〇店舗と順調な伸びを見せている。「不動産会社に行ったところで住宅は紹介してもらえない」というイメージも払拭され、目印のステッカー(写真)の張られた店舗には、来店する高齢者も増えているという。「シニアステージ」を利用して入居した高齢者は、すでに一県三〇〜五〇人に上る。
 十月一日には「高齢者居住安定確保法」が全面施行になり、各都道府県が高齢者の居住を受け入れる民間賃貸住宅の登録と閲覧を順次開始している。協会は、九月末から十一月にかけて、賃貸住宅管理会社を対象にした居確法の説明会を全国四カ所で実施。法の周知にも一役買い、高齢者向けの賃貸市場の拡大に努めているところだ。
 協会は、各都道府県の登録体制が整い次第、シニアステージの賃貸住宅を、家主に代わって登録していく。(以下略)

見えてきた介護保険 (17) 日本介護福祉士会 田中雅子会長に聞く

 全国に約二五万人いる介護福祉士。約六割が高齢者施設、約二割が障害者施設で働き、残り二割がホームヘルパーとして在宅介護に従事する。介護福祉士の全国組織である日本介護福祉士会は、介護保険施行とほぼ同時に社団法人格を取得。最近では、田中雅子会長の厚生労働省社会保障審議会の介護給付費分科会委員への就任が内定するなど、介護分野での発言力を強めつつある。しかし、介護報酬が低いため人材難が続き、ヘルパーへの苦情や不満が後を絶たないなど、課題も多い。介護福祉士に求められる専門性と、質を向上するための取り組みなどを聞いた。(後藤隆)
 \\厚労省の審議会委員に内定したが。
 「国の審議会に介護現場の従事者が参加する機会はほとんどなかったので、全国から吸い上げた現場の声を、介護報酬など制度見直しに反映する絶好のチャンスと認識している」
 \\介護報酬が低すぎるという声は根強い。
 「国は介護分野で五〇万人の雇用創出を見込んでおり、ホームヘルパーとして働きたいという人も多いが、賃金報酬が低いため新規の募集があっても待遇面で折り合わない例が多い。とりわけ、男性が働きにくいという声がある。もともと在宅介護サービス分野を女性の担う家事の延長としてとらえ、パート労働の賃金設定を引きずっていることが問題だ。
 また、介護の専門職である介護福祉士に対する評価や専門性の評価が低いのが残念だ。
 当会としては介護報酬についての提言を行うつもりだが、利用者の負担増につながるだけに、利用者の理解が得られる理論の構築が必要と考えている」
 \\介護福祉士の専門性とは。
 「介護には食事、排せつ、入浴の介護といった身体介護のみならず、相手を理解する能力が求められる。介護福祉士の仕事は、介護を基礎とした生活全般の支援で、疾病や障害の程度が異なり、ライフスタイルも異なる要介護者が、一人の生活者として自立していくプロセスに、専門家として適宜適切にかかわることができるのが、専門職と呼べる所以だと思う。
 また、援助の必要性と根拠が説明でき、実施した援助に対して責任を負うことができるのも、専門性につながるものと言える」
 \\マニュアル化しにくいだけに、経験のある人となったばかりの人の差が大きいのではないか。
 「私自身後進の育成指導にかかわりながら感じるのは、介護者は技術や経験があればいいのではないということだ。利用者の思いや願いを聞きながら、生活全般を支えると言うことは、人の持つ痛みや悲しみ、苦しみにどれだけ耳を傾け、感じ取るだけの柔らかな感性を持つかということも重要な要素だ。
 障害を抱えながら快適な生活を過ごすサポートするには、人の持つ可能性に着目しながら、どのように自立支援すればよいか的確に判断する能力や深い洞察力が必要だ。経験や年齢があれば誰でも介護に従事できるものではない」
 \\ヘルパーへの苦情や不満が後を絶たない。
 「苦情や不満は全てのサービス業に生じる問題で、ホームヘルプサービスだけに格段に発生している状況ではないはず。しかし、ホームヘルプサービスは人が人に行う仕事であるため、介護従事者には高い介護技術・知識と豊かな感性、高い倫理観が必要とされる。
 介護従事者はスキルとしての専門性を高めるだけでなく、一人ひとりのヘルパーが仕事に対する責任と誇りを持つことが大切だ。当会ではサービス提供責任者の研修会開催のみならず、職業倫理についても現任研修で指導していく」
 \\質の向上に力を入れるというが、具体的には。
 「資格職の生涯学習体系を確立、整備して実施するのが職能団体の使命なので、来年度から年度当初に資格取得した全ての介護福祉士を対象とした初任者研修を実施する。看護職の場合、戴帽式などの儀式を通して、資格を持ったことの責任を実感できるが、介護福祉士にはそれがない。
 資格取得は専門職への第一歩で、臨床の場でスキルアップしていかなければならないが、介護の現場には臨床教育に携われる指導者が不足している。この部分を充実するため、指導者の育成にも努めていきたい」(以下略)



シルバー新報 2001年9月28日号の主な記事 見出しと要旨


社会的入院の解消へ 6カ月以上は負担増

 厚生労働省は社会的入院を解消するために、治療の必要がないのに六カ月以降入院を続けている高齢者などに負担増を求める考えを二十六日に開かれた中央社会保険医療協議会に示した。診療報酬改定に合わせて来年度から実施する意向だ。実現されれば、遅れていた介護型病床への転換が一気に後押しされることになりそうだ。医療制度改革は、利用者の医療か介護かの選択にも大きく影響する。介護保険料にもはねかえる問題だ。今後、介護保険事業計画の見直し作業に入る市町村にとっては先が読めず頭の痛い問題となりそうだ。
 長期入院ベッドは療養病床のほか、介護力強化病棟、老人性痴呆疾患病棟など全国に三六万二三四六床ある。うち、介護保険指定病床は一一万八五九八床で全体の三割。介護保険では一七万床を見込んでいたが、転換は進んでいない。
 療養病床の「介護型」と「医療型」は制度上は対象患者を線引きしているが、現実には機能上の差は少なく、報酬の違いによる損得で介護型か医療型かを選択するところが少なくない。 報酬の低い介護保険への移行が少なかったこともあって、医療型にも高齢者が多く入院している。
 社会的入院を解消するとともに、介護・医療の機能分担を明確にするのが見直しのねらいだ。
 厚労省が示した案によると、療養病床に六カ月以上入院している患者は、入院基本料を「特定療養費化」する。
 特定療養費は、自費と保険の混合給付を認める制度で、一定部分は保険給付されるが残りは自己負担。結果的に患者自己負担増を求める内容となっている。難病患者や結核患者など長期入院の必要性がある人は対象外とする方向だ。医療機関をたらい回しにならないよう、転院による報酬の扱いも見直す。(以下略)

対象を75歳に引き上げ

 厚生労働省は二十五日、二〇〇二年度の医療制度改革案を、政府・与党社会保障改革協議会に報告した。 高齢者医療については、来年度から五年かけて段階的に対象年齢を現行の七〇歳から七五歳に引き上げるとともに、窓口負担の上限をなくし原則一割、高所得者には二割の負担を求める内容だ。現役世代では新たにボーナスから保険料を徴収、被用者保険の自己負担を二割から三割に引き上げるなど、国民に負担増を求める内容には、小手先の改革案と関連団体、与党内でも異論が噴出しており年末までの調整が難航しそうだ。
 主な内容は、高齢者医療制度の対象年齢を七五歳に引き上げ、七〇〜七四歳で二割、一定以上の所得の者は年齢に関係無く定率二割負担とする。また、六五歳以上の寝たきり老人は従来通り老人保健制度の対象とする。
 加えて、老人医療費に伸び率目標を設定する総枠抑制方式を導入し、超過分を医療機関が負担するとともに、対象年齢の引き上げに合わせて税金による負担分を現在の三割から五割に引き上げ、さらに五年かけて毎年度一定率引き上げる。
 さらに、老人医療費拠出金の算定にあたっての老人加入率の上限(三〇%)を撤廃する。
 また、療養病床について、医療保険適用と介護保険適用の病床別に機能区分して診療報酬を見直すことで、長期入院に関わる医療保険給付のあり方を見直す。(以下略)

頑張ればケアマネの未来は明るい

 日本ケアマネジメント学会が発足して二カ月が経った。シンポジウムを通しケアマネジメントの本質・理念をピーアールすると同時に、学会のあり方委員会で方向性を定めつつあるところだ。当初予定の五〇〇人会員達成に向け、広く理解を得たいと井形昭弘理事長は語る。現場からは報酬や仕事内容について失望の声も聞こえてくるが、「ケアマネジャーは夢のある仕事。がんばれば未来は明るい」とエールを送る。(聞き手=大元美樹)
 ・・介護保険制度二年目にケアマネジメント学会を立ち上げられた意義は。
 「幸い第一回目の試験を多くの情熱を持った人が受験してくれて、約四万人という数だけはそろえることができた。問題は質だ。待遇があまりよくないので辞めていくという側面もある。そこでケアマネジメントの重要性を学際的に示し、レベルアップを図っていこうというねらいで発足した。会の中心となるのは、ケアマネジメントの理論を指導してきた人たちだ」
 ・・問題は何か。
 「ケアマネジャーは、結局は倫理と人柄に尽きるわけだが、その点でもまだ十分な信用を得ているとは言いがたい。また、医者に遠慮しているケアマネジャーが多いというのが私の印象だ。職にプライドを持てるようなケアマネジャー像を学会が示す必要がある。それによりケアマネジメントのレベルも高くなる。高くなれば処遇も上がる」
 ・・初年度の取り組みは。
 「各地のシンポジウムを通じてケアマネジメントの本質や目的を内外にピーアールしていく。今年度は札幌市、大阪市、北九州市で行う予定だ。並行して″学会のありかた委員会″を毎回理事会で行い、今後の方向性を探る。
 私自身は″認定ケアマネジャー″という案を持っている。講習会、学会などの出席回数を点数化し、一定の点数が集まった人に受験資格を与え、ケアプランを審査して委員会が優秀と認めた人に認定を出す仕組みだ。また、理論的根拠を示す手段として、機関誌も発行していきたい。
 会では当初五〇〇人の会員を集める予定だったが、まだ達成していない。まずはケアマネジメント学会が具体的に何をするのかを知ってもらう必要がある」
 ・・現場は元気がない。がんばるほどに、収入が減るという矛盾もある。
 「一時期成功報酬という議論もあったが、結局通らなかった。何らかの形で取り入れたらいいと思う。
 研究者などからは二〇一〇年代には痴呆が解明されるといわれているが、そうすれば要介護者は減り、代わりに健康な労働力が増え社会を支えるようになる。そういった未来を見据えれば、高齢者を自立へつなげるケアマネジャーは夢のある仕事だ」(以下略)

福祉の里 施設事業に参入

 民間介護会社の草分けとして介護サービスに取り組んできた「福祉の里」はこのほど、二四時間対応型の介護マンション「遊楽苑」(愛知県西春町、0586・28・8070)をオープンした。介護者支援を目的に短期利用を中心にした運営を目指す。銀行の社員寮の借り上げで投資を抑え、入居費用もホテルコスト一日三〇〇〇円、食費一五〇〇円、介護保険自己負担分八〇〇〜一五〇〇円と抑えた。六割の入居率で採算は合うという。
 二棟二三室で、一階には同社の運営するヘルパーステーションと食堂・大浴場などの共有スペース、二階以上が一人部屋・夫婦部屋などの居室で、全室ナースコール付き。訪問入浴に力を入れてきたノウハウを生かして、トイレ・洗面所のスペースを広く取り、入浴用の配管を全室導入。訪問浴槽を入れての入浴が可能になっている。
 ベッド数の三分の一ずつを長期、定期、緊急用に割り当て、一カ月一二〇人でローテーションを組むのが理想だ。月に一〇日マンションに入所してもらい、二〇日は自宅というように、三〇日を在宅と施設の行き来で使い分けることを想定しているが、介護者支援という主旨が理解されているとはいい難く、長期希望者が多い。だがあわててはいない。
 「介護マンションができたことで一つの事業サイクルが完成した。今後はこれを二重にも三重にもしたいが、まずはこの施設でノウハウを積む」(矢吹孝男社長)と腰を据えた構えだ。(以下略)

精神障害者ホームヘルプ事業 来年度から全国の市町村でスタート

 九九年に改正された精神保健福祉法で制度化された精神障害者へのホームヘルプ事業が、いよいよ来年度から全国の市町村でスタートする。現場のヘルパーからは、高齢者とは違うやりがいがあるという声もあり、養成研修への参加も満員御礼の状態が続くなど、現場の関心は確実に高まっているようだ。全国に先駆けてサービスを実施してきた東京都世田谷区では、ホームヘルプが入ったことで病状の変化にも早期に対応できるなど、治療的な効果も表れているという。
 精神障害者に対するホームヘルプ事業は、九九年の精神保健福祉法の改正で初めて制度化されたものだ。市町村が実施主体となり、来年四月からスタートする。現在はモデル事業中だ。
 東京都世田谷区は全国でいち早く精神障害者へのホームヘルプを実施した地域として知られる。スタートは平成七年。高齢者を対象にしていたホームヘルプ事業がきっかけだった。
 「一人暮らしかと思っていたら、どうも様子がおかしい。誰かいるような気がする」
 それとなく聞いてみると精神分裂病で何年も引きこもったままの子どもがいた。
 その頃、区ではちょうど新ゴールドプランに合わせてサービスの見直しに入っていた。ホームヘルプについても、時間や回数を増やすだけでなく対象者も広げる案が浮かんでおり、これがきっかけとなって精神障害者も対象にすることになった。
 症状が安定した「寛解状態」の患者に限っているものの、派遣世帯数は区全体で四九世帯。五地域に分かれた保健福祉センターに所属するヘルパーがチームでサービス提供にあたる。ここに保健婦が加わり、ヘルパーと主治医との間に立って患者の生活全般をチェックしたり、相談に乗る。
 「身の回りのことは大抵自分でできます。私たちは、本人が気持ちよく家事ができるように雰囲気づくりをすることと、体調の変化を見落とさないことに徹します」(砧地区のヘルパー)。
 最初のうちは、こうした見守り中心のサービスに違和感を感じたというが、現在ではすっかり定着している。
 保健婦の立花鈴子さんによると、薬とデイケアだけで在宅生活をしていた頃に比べて、再発するケースが減ったという。在宅生活の一○年選手も出てきた。
 「ケア会議で常に利用者の状況を共有しておくことで、ヘルパーの不安解消や柔軟な対応ができる」(立花さん)。現場のフォローが秘訣のようだ。
 ただ、どの自治体でもスムーズにモデル事業が進んでいるわけではない。平成九年から都のモデル事業に参加していた武蔵野市は、「正直なところ手探りの状態」という。現在、民間事業者に委託して一○世帯に派遣事業を行っている。作業所や支援センターなどに相談窓口も整備しているが、国の要綱もまだ出ておらず、来年以降どれだけの業務が保健所から移管されるかが分からないため、事業を拡大しようにもできないのが現実だ。(以下略)



シルバー新報 2001年9月21日号の主な記事 見出しと要旨


ベッドのすき間に注意! 死亡事故で注意喚起

 介護ベッドのサイドレールの隙間に首が挟まり死亡する事故があったのを受けて、パラマウントベッドでは、八月末までに全国の施設・ディーラーなど三万件余りに注意を呼びかける通知をするとともに、インターネットでも情報公開した。業界としては異例の対応だ。ベッドや車いすなどの福祉用具は、医療機器などと比較すると事故や安全に対する認識はまだ薄かったが、介護保険の導入後、利用者の権利意識も高まり、現場でのリスク管理への関心も高まっている。今後は避けて通れない問題だろう。
 介護ベッドの片側に頭部、脚部の二本のサイドレールを差し込み、布団がずりおちたり、ベッドから転落しないようにするのは介護現場ではよくみかける風景だ。
 二本のサイドレールの間にできるわずかな隙間に、首をはさみ死亡した。メーカーサイドでも事故の詳細は不明としているが、日常の死角で起きた事故であることは間違いないだろう。
 「製品に瑕疵(かし)があるとは考えていないが、今後、高齢化が進めば、自由がきかない人や痴呆の人がベッドを利用することも増えることが予想される。メーカーとして情報提供することが重要と考えた。また、これからの時代、情報公開は当然の流れ」(パラマウントベッド広報部)
 今回、安全情報として対応策を現場などに通知した件について同社広報部では説明する。
 施設向けの通知では、自力で危険回避ができない人や予測できない行動をとる人には介護・看護現場で「十分な注意喚起」を求めるとともに、タオルや座布団などで隙間を詰める工夫や、同社製品のうち、サイドレールの隙間を埋める製品などを紹介している。ディーラーなどには在宅介護者やケアマネジャーへの注意を呼びかけている。(以下略)

6割が現住居希望 子供と同居も半数に

 高齢で虚弱状態になっても今住んでいる家に住み続けたいという高齢者が六割近くに上り、年を取った人ほどこうした願望が強いことが、内閣府が公表した調査報告から分かった。調査ではまた、将来子どもと同居したいという意見が七〇代以上の人を中心に全体の半数近くを占め、うち六割以上が現在の住宅で改修せずに同居したいと答えているなど、高齢になるほど現状維持・家族同居志向が強い傾向も明らかになった。
 この調査は「平成十二年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査」で、内閣府が各省の高齢者施策の基礎資料にするため、五年周期でテーマを変えて行っている。今年二月に全国の六〇歳以上の男女三〇〇〇人から調査員が聴き取り調査をした。有効回答数は二二二六人(七四・二%)。
 それによると、虚弱になった時の住まいについて「現在の住宅に住み続けたい」と答えた人が三六・三%に上り、「現住居を改修して住みやすくする」の二一・四%と合わせて六割近くが現住居に住みたいと答えている。七五歳以上の高齢者でこの傾向が強く、若い人ほど改修や施設への入居をあげる人が多い。
 また、施工費用にとらわれず将来住みたい住宅の形態を答える問いに対しては「現在の住宅を改造する」とする回答が二割で、立て替えや住み替えを望む人は少なく、単身世帯では高齢者専用住宅への住み替えを望む人が七%いる。しかし、回答中「あてはまるものがない」が約七割を占め、高齢者向け住宅や改修の情報が不足している現状が浮き彫りになった。(以下略)

社会福祉施設退職共済 突出した優遇制度 賦課方式で2/3公費

 社会福祉・医療事業団が行っている「社会福祉施設職員退職共済」は、賦課方式で毎年、職員の退職金の三分の二を国、都道府県が補助する他に例のない手厚い制度だ。昨年度の約六〇〇億円のうち三分の二の四〇〇億円が補助だ。特殊法人改革の中では、「イコールフィッティングの観点から廃止」を宣告されたが、厚生労働省は抵抗している。しかし、今となっては突出した優遇制度であるのは間違いない。
 格安の掛け金
 退職手当共済は、国家公務員並の退職金を民間の社会福祉法人に保障するためにつくられた制度。昭和三十六年に成立した法律に基づいて行われている。
 基本的な事業の枠組みは、当時と変わらない。「賦課方式」で毎年支払われる退職金総額を国、都道府県、事業主で三分の一ずつ負担する。補助があるため、職員一人当たりの掛け金は今年度で年間三万九○〇〇○円と格安だ。
 国が関与する類似の制度では、中小企業退職金共済があるが、これは事業主からの掛け金を積み立てて運用し支払いにあてる「積み立て方式」。加入促進のために、当初一年間の掛け金を半額補助されるだけ。社会福祉施設退職共済がいかに手厚いかがわかる。
 制度化される過程で、すでにあった中小企業退職金共済への相乗りも検討されたが、当時の社会福祉施設の財政状況では積み立て方式では掛け金を負担するのが難しいこと、中小企業共済では公務員並の退職金の支給が難しいことなどから見送られた。
 平成十二年度現在の加入者は約四六万五〇五九人。対象施設の職員の九五%が加入する。この年は、四万四三八〇人に約六〇〇億円を支給した。平均勤続年数は六年六カ月で平均支給額は一三五万円。加入者のうち、約四割が老人福祉分野だ。創設当時の推計では、「三〇年後のピーク時でも支払い総額は四億円程度」。現在のような民間を中心としたサービス提供体制は想定されていなかった。
 特殊法人改革の中では、「介護保険における民間とのイコールフィッティングの観点から国庫補助を段階的に縮減し、最終的廃止」とされたが、厚生労働省では「人材確保、福祉サービスの安定的な供給と質の向上を確保するために重要な役割を果たしている」と廃止に抵抗している。
 社福以外はダメ
 実は退職共済制度は今年度から、「社会福祉法人職員の共済」として再スタートを切ったばかりだ。これまでは、同じ社会福祉法人の施設・サービスでも、児童館や老健、有料老人ホームなどは対象外としていたが、改正では、補助金はないものの加入ができるようになった。また、社会福祉法人以外の法人は新たに加入ができなくなっている。「社会福祉法人は今後もサービス提供の中心」とする社会福祉基礎構造改革を受けての改正は、政府が進める規制改革とはそもそもかみあわない。
 グループホーム、デイ、ホームヘルプなど企業、医療法人、NPOなどでもすべて同じ介護報酬で運営されているのに、社会福祉法人だけ退職金に補助があるのは明らかに不公平だ。「優遇し過ぎ」の批判に対して、「今の介護報酬には退職金分が反映されていない」(社会福祉・医療事業団担当者)の言い訳も苦しい。(以下略)

百貨店・スーパー  高齢者向け売場拡充

 介護用品だけでなく、介護関連商品や自立支援のサービスや商品、ユニバーサルファッションなどシニア向け商品を集めた売場が各地の百貨店、スーパーなどでオープンしている。高齢者の顧客の増加に合わせ、各社は売場環境や商品構成に一層の工夫を凝らしている。
 在宅介護関連サービスと介護用品販売を兼ね備えたシニアショップ「荻窪まごころ一番堂」がこのほど東京・杉並の西友荻窪店にオープンした。
 昨年オープンした宮城県の仙台長町店に続く首都圏初のショップとして二一七・五八平方mと広いスペースを確保した。在宅介護相談についてはメデカジャパン、シニア向け住宅改修についてはアイタックと提携、自立支援型の住宅リフォームなど総合的なサービスを提供している。
 また、シニアを中心としたサークル、市民活動や介護・健康相談教室などに利用できる「まごころサロン」も併設している。
 東武百貨店・船橋店でもこのほど、シニア向けの商品を集めた「生き活き倶楽部」をオープンした。
 中心顧客層を六五歳の婦人に設定し、通路幅を広くとり、陳列棚を低くするなど、高齢者が見やすく買いやすい売場を展開している。売場の広さも約二五〇平方mと広い。
 扱い品目は、着やすく脱ぎやすいユニバーサルファッション