文京区が設置する特別養護老人ホーム「くすのきの郷」が就労資格のないフィリピン人を夜勤に組み入れていた問題で、東京都は十八日、区に対して十一月三十日付けで事業者指定を取り消す処分を行った。後処理のための猶予期間は設けたものの、段階を追った改善指導の手続きを踏まない「一発取り消し」は最も重い処分だ。特養の指定取り消しは全国で初めて。運営は指定管理者として社会福祉法人が行っているが、設置主体である区のサービスに「連座制」が適用され、公設の三カ所の特養、デイを行う八カ所の高齢者在宅サービスセンターも区のサービスとしては来年三月で指定更新ができなくなる。「区立消滅」という大きな影響を残すことになった。 取り消しの理由は、夜勤に就労資格のないフィリピン人を組み入れ報酬を不正請求したこと、日本人と偽って報告していたことの二点だ。 くすのきの郷は指定管理者として社会福祉法人同胞互助会が運営していたが、設置主体である区が処分を受けることになる。 取り消しになるのは、特別養護老人ホームと、同様の夜勤体制にあったショートステイの二種類。引き継ぎのための猶予期間をおき、十一月末付けで事業を打ち切りとする。 改正法では、指定取り消しまでに「改善勧告」「改善命令」の手続きを位置付けているが、今回の処分はこうした手続きを踏まない「一発取り消し」にあたり、最も重い処分だ。 都福祉保健局指導第一課は「不正期間が長期に及び、都の指導監査でも虚偽の報告をしていたことから、非常に悪質かつ重大と判断した」と説明した。
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